(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】エンコーダ、モータ、およびエンコーダ調整方法
(51)【国際特許分類】
G01D 5/347 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
G01D5/347 110X
(21)【出願番号】P 2024523249
(86)(22)【出願日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 JP2024000761
【審査請求日】2024-04-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】福島 佑輔
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-64543(JP,A)
【文献】特開2018-91739(JP,A)
【文献】特開2018-151178(JP,A)
【文献】特開2020-38176(JP,A)
【文献】特開2015-90305(JP,A)
【文献】特開平10-227661(JP,A)
【文献】特開平11-23205(JP,A)
【文献】特開2012-141248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00-5/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出力された光を透過させる少なくとも一つのスリットを有する回転ディスクと、
該回転ディスクと一体的に回転すべきシャフトの一端において該シャフトと同軸に設けられた突出部と、
前記回転ディスクと前記シャフトの前記一端との間に配置されていて前記回転ディスクを支持するボスと、を具備し、
前記ボスの内周面にはネジ山が形成された貫通孔が前記シャフトと同軸に形成されており、
前記シャフトの前記突出部に前記ボスを係合させた後で、調整具を前記回転ディスクに形成された開口部に通して前記ボスの前記貫通孔に螺合させ、前記調整具を用いて、前記シャフトの中心軸線における前記ボスの位置を調整する、エンコーダ。
【請求項2】
前記調整具の先端を前記突出部の端面に突当てた後で、前記ボスの位置を調整するようにした、請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項3】
前記ボスの位置が調整された後で、前記調整具を前記ボスから排除するようにした、請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項4】
前記開口部および前記貫通孔は、前記シャフトの前記中心軸線と同軸に形成されている、請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項5】
前記ボスには、複数の貫通孔が形成されており、
複数の調整具を前記回転ディスクの前記開口部に通して前記ボスの前記複数の貫通孔のそれぞれに螺合させ、前記複数の調整具を用いて、前記シャフトの中心軸線における前記ボスの位置および前記中心軸線に対して垂直な平面に対する前記回転ディスクの位置を調整する、請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項6】
前記突出部の端面において凹部が前記シャフトの中心軸線と同軸に形成されている、請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項7】
請求項1に記載のエンコーダが取付けられたモータ。
【請求項8】
包囲部と支持部とを有すると共に、内周面にネジ山が形成された貫通孔が前記支持部に形成されたボスを準備し、
前記ボスの前記支持部に回転ディスクを支持させ、それにより、前記回転ディスクに形成された開口部と前記ボスの貫通孔とが同軸になり、
シャフトの一端において該シャフトと同軸に設けられた突出部に前記ボスの前記包囲部を係合させ、
調整具を前記回転ディスクの前記開口部に通して前記ボスの前記貫通孔に螺合させ、
前記調整具を用いて、前記シャフトの中心軸線における前記ボスの位置を調整する、エンコーダ調整方法。
【請求項9】
前記調整具の先端を前記突出部の端面に突当てた後で、前記ボスの位置を調整するようにした、請求項8に記載のエンコーダ調整方法。
【請求項10】
前記ボスの位置を調整した後で、前記調整具を前記ボスから排除するようにした、請求項8に記載のエンコーダ調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エンコーダ、モータ、およびエンコーダ調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回転体、例えばモータの出力軸の回転数などを検出するために、エンコーダが使用されている。光学式エンコーダは、光源と、受光部と、光源および受光部の間に配置された回転ディスクとを備えている(例えば特許文献1および特許文献2参照)。公知であるように、複数のスリットが形成された回転ディスクは回転体と同軸に配置されるか、または同期して回転するよう配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平04-063020号公報
【文献】特開2012-141248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エンコーダの検出精度を高めるために、回転ディスクと受光部との間の隙間を適切且つ一定に維持すると共に、回転ディスクの高さのバラツキを抑えることが要求される。さらに、エンコーダの構成を簡素すると共に、エンコーダを軽量化することも要求されている。
【0005】
検出精度を高めることのできる簡素な構成のエンコーダ、モータ、およびエンコーダ調整方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1番目の態様によれば、光源から出力された光を透過させる少なくとも一つのスリットを有する回転ディスクと、該回転ディスクと一体的に回転すべきシャフトの一端において該シャフトと同軸に設けられた突出部と、前記回転ディスクと前記シャフトの前記一端との間に配置されていて前記回転ディスクを支持するボスと、を具備し、前記ボスの内周面にはネジ山が形成された貫通孔が前記シャフトと同軸に形成されており、前記シャフトの前記突出部に前記ボスを係合させた後で、調整具を前記回転ディスクに形成された開口部に通して前記ボスの前記貫通孔に螺合させ、前記調整具を用いて、前記シャフトの中心軸線における前記ボスの位置を調整する、エンコーダが提供される。
【0007】
本開示の目的、特徴及び利点は、添付図面に関連した以下の実施形態の説明により一層明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示におけるエンコーダを備えたモータの軸線方向断面図である。
【
図2】第一の実施形態におけるエンコーダの軸線方向断面図である。
【
図3A】エンコーダの第一の軸線方向部分断面図である。
【
図3B】エンコーダの第二の軸線方向部分断面図である。
【
図3C】エンコーダの第三の軸線方向部分断面図である。
【
図3D】エンコーダの第四の軸線方向部分断面図である。
【
図3E】エンコーダの第五の軸線方向部分断面図である。
【
図4】第二の実施形態におけるエンコーダの軸線方向部分断面図である。
【
図5】第三の実施形態におけるエンコーダの軸線方向部分断面図である。
【
図6】従来技術におけるエンコーダの軸線方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示の実施の形態を説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図1は本開示におけるエンコーダを備えたモータの軸線方向断面図である。
図1に示されるように、モータ1は固定子9と、固定子9に回転可能に支持された回転子10とを含んでいる。固定子9の内周面には第一軸受7および第二軸受8が配置されている。そして、回転子9を貫通するシャフト5が第一軸受7および第二軸受8により固定子9に回転可能に支持されている。そして、固定子9の一端には、シャフト5の回転数などを検出するエンコーダ6が取付けられている。以下、モータ1のシャフト5に取付けられたエンコーダ6、6a、6b、6cついて説明するが、エンコーダ6等はモータ1のシャフト5以外の回転体に取付けられていてもよい。
【0010】
図2は第一の実施形態におけるエンコーダの軸線方向断面図である。エンコーダ6aは有底のハウジング11と、該ハウジング11に係合する蓋部12と、ハウジング11と蓋部12との間に配置された回転ディスク20と、回転ディスク20とシャフト5とを連結するボス30とを主に含んでいる。
【0011】
図2から分かるように、ハウジング11の底部には開口部が形成されている。そして、ハウジング11の底部には光源28が配置されており、蓋部12の内面には受光部29が光源28に対応した位置に配置されている。光源28および受光部29の位置関係は逆であってもよい。また、エンコーダ6aはハウジング11および蓋部12を必ずしも含んでいなくてもよい。また、公知であるように、回転ディスク20は、その半径方向に少なくとも一つのスリット25が形成されている。光源28から出力された光は少なくとも一つのスリット25を通じて受光部29に到達する。
【0012】
シャフト5の先端には、シャフト5と同軸に突出部4が設けられている。突出部4は、シャフト5の直径よりも小さい直径を有する円筒形であるのが好ましい。そして、ボス30が突出部4周りに係合している。
【0013】
ボス30は、回転ディスク20の一面を支持する支持部31と、該支持部31から延びていて突出部4の外周面を包囲する包囲部32とを含んでいる。厳密にいえば、ボス30の包囲部32が突出部4に圧入され、それにより、ボス30はシャフト5の突出部4に係合するようになる。ボス30は金属または硬質樹脂から形成されるのが好ましい。シャフト5の中心軸線Oにおける包囲部32の高さは突出部4の高さよりも大きいのが好ましい。包囲部32の下端はシャフト5の端面に当接しうる。
【0014】
図2から分かるように、回転ディスク20の下面を支持する目的で、支持部31の直径は包囲部32の直径よりも大きいのが好ましい。回転ディスク20の中心には開口部21が形成されており、ボス30の支持部31の中心には貫通孔33が形成されている。開口部21および貫通孔33はシャフト5の中心軸線Oと同軸であるのが好ましい。また、開口部21の直径は貫通孔33の直径よりも大きいのが好ましい。後述するように、ボス30の貫通孔33の内周面にはネジ山が形成されるものとする。
【0015】
図3A~
図3Eはエンコーダの軸線方向部分断面図であり、
図3Fは
図3A~
図3Eの処理を示すフローチャートである。以下、
図3A~
図3Fを参照して、本開示のエンコーダにおけるボス30および/または回転ディスク20の位置調整について説明する。後述する複数の工程のうちの少なくとも一つは作業者が行ってもよく、単一または複数の多関節ロボットが自動で行うようにしてもよい。
【0016】
はじめに、
図3Aに示されるように、回転ディスク20の中心軸線Oと貫通孔33とが同軸になるように、ボス30の支持部31の上面に回転ディスク20を固定する。これにより、回転ディスク20とボス30とは一体的となる。
【0017】
次いで、ボス30の包囲部32を、シャフト5の突出部4に係合させる。包囲部32の内周面と突出部4の外周面とは互いに同様の形状である。そして、包囲部32の下端がシャフト5の一端に到達するまで、包囲部32を突出部4に圧入する(ステップS11)。なお、包囲部32の下端がシャフト5の一端に到達したか否かについては、シャフトの側方に配置された視覚センサ(図示しない)を使用してもよい。
【0018】
次いで、
図3Bに示されるように、調整具39を回転ディスク20の貫通孔33を通じて、ボス30の貫通孔33に挿入する。調整具39は、その軸部の外周面にネジ山が形成されたボルトまたはネジである。あるいは、外周面にネジ山が形成された棒材を調整具39として使用してもよい。
図3Cに示されるように貫通孔33の内周面にはネジ山が形成されているので、調整具39は貫通孔33に螺合する。そして、調整具39を所定方向A1、例えば時計回り方向に回転させる(ステップS12)。
【0019】
調整具39の回転は、調整具39の先端が突出部4の端面に到達するまで行う。調整具39の先端が突出部4の端面に到達したか否かの判断は、例えば多関節ロボットのハンドに備えられたトルクセンサ(図示しない)を通じて行うようにしてもよい。この場合、トルクセンサにより検出されるトルクが所定値を越えた場合に、調整具39の先端が突出部4の端面に到達したと判断できる(ステップS13)。
【0020】
そして、
図3Dに示されるように、計測装置61をボス30の包囲部32の外周面に対向するように配置する。
図3Dにおいては、計測装置61は固定子9の端面に設けられているが、計測装置61は他の場所に設けられていてもよい。
【0021】
計測装置61は、ボス30と一体的な回転ディスク20の高さTを計測する。言い換えれば、高さTは、回転ディスク20と固定子9の端面との間の距離である。あるいは、高さTは、ボス30と固定子9の端面との間の距離であってもよい。本開示においては、高さTを調整することによって、シャフトの中心軸線におけるボス30および回転ディスク20の位置を調整する。
【0022】
図3Dに示される計測装置61は、シャフト5の中心軸線に対して平行に並置された複数の光電センサ62を備えている。複数の光電センサ62の投光方向はシャフト5の中心軸線に対して垂直である。複数の光電センサ62から投光された光が回転ディスク20によって遮断された光電センサの位置から前述した高さTを計測する。図面には示さないものの、計測装置61は、複数の光電センサ62のそれぞれに対向して配置された複数の受光素子を含んでいてもよい。
【0023】
あるいは、計測装置61として距離センサを採用してもよい。この場合には、距離センサの測定方向を回転ディスク20の表面および固定子9の端面に対して垂直になるように配置する。そして、予め計測した距離センサと固定子9の端面との間の距離から、距離センサと回転ディスク20の表面までの距離を減算することにより、前述した高さTを計測する。当然のことながら、他の構成の計測装置61を採用してもよい。
【0024】
図3Dに示されるように、計測装置61により高さTを計測しつつ、調整具39を所定方向A1に回転させる(ステップS14)。これにより、ボス30および回転ディスク20が固定子9から離間する方向に移動する。調整具39の下端が突出部4に当接しているので、ボス30および回転ディスク20が矢印A2方向に上昇するように移動する。これにより、
図3Dに示されるように包囲部32の下端とシャフト5の端面との間に隙間が形成されるようになる。
【0025】
高さTに関しては、理想高さT0が実験またはシミュレーション等により予め求められている。調整具39を所定方向A1に回転させているときに、高さTが理想高さT0に到達したら、調整具39の回転を停止させる(ステップS15)。これにより、シャフト5の中心軸線Oにおけるボス30および回転ディスク20の位置調整が完了する。
【0026】
その後、
図3Eに示されるように、調整具39を他の所定方向A3、例えば反時計回りに回転させる(ステップS16)。これにより、ボス30および回転ディスク20によって理想高さT0が維持されながら、調整具39のみが突出部4から離間する。最終的には調整具39はボス30から離脱する(ステップS17)。
【0027】
このように、本開示における最終的なエンコーダ6a等は調整具39を含んでいない。このため、エンコーダ6a等の構成を簡素すると共に、エンコーダ6a等を軽量化することも可能である。
【0028】
ところで、
図6は従来技術におけるエンコーダの軸線方向断面図である。
図6に示されるエンコーダ6’においては、ボス30に回転ディスク20を固定した状態で、ボス30を突出部4に圧入し、それにより、包囲部32の下端をシャフト5の一端に到達させることのみによって、エンコーダの位置調整を行う場合がある。
【0029】
しかしながら、この場合には、ボス30および回転ディスク20の位置は、シャフト5、固定子9、ボス30および回転ディスク20等の寸法公差の影響を受ける。従って、回転ディスク20の高さのバラツキが大きく、内挿精度も安定しない。
【0030】
また、
図6に示されるエンコーダ6’において、ボス30に回転ディスク20を固定した状態で、高さTを計測しつつボス30を突出部4に圧入させ、理想高さになった状態でボス30の圧入を停止させ、それにより、エンコーダの調整を行う場合もある。
【0031】
しかしながら、この場合には、ボス30の包囲部32をシャフト5の一端に到達させていない。従って、回転ディスク20がシャフト5の中心軸線に対して垂直な面から傾いて固定される可能性があり、従って、回転ディスク20が面ブレを起こす事態もありうる。
【0032】
この点に関し、本開示においては、ボス30に貫通孔33が形成されているので、包囲部32の下端をシャフト5の一端に到達させた後で、調整具39を用いてボス30および回転ディスク20を理想高さT0まで上昇させることが可能である。従って、本開示では、前述した不具合は生じない。言い換えれば、本開示においては、回転ディスク20の高さのバラツキを抑えると共に、内挿精度が安定したエンコーダ6aを提供することができる。さらに、本開示においては、回転ディスク20がシャフト5の中心軸線に対して垂直な面に固定でき、回転ディスク20が面ブレを抑えることも可能である。
【0033】
このような構成であるので、本開示においては、回転ディスク20と受光部29との間の隙間を適切且つ一定に維持でき、従って、エンコーダ6aの検出精度を高められる。
【0034】
図4は第二の実施形態におけるエンコーダの軸線方向部分断面図である。
図4に示されるエンコーダ6bにおいては、ボス30の支持部31には、二つの貫通孔33a、33bが形成されている。これら貫通孔33a、33bは、包囲部32内部の領域においてシャフト5の中心軸線に対して平行に延びている。これら貫通孔33a、33bの内周面には前述したのと同様のネジ山が形成されている。そして、これら貫通孔33a、33bには、調整具39a、39bがそれぞれ螺合されている。調整具39a、39bは前述した調整具39と同様に機能するが、調整具39a、39bの直径は調整具39の直径より小さくてもよい。
【0035】
この場合にも前述したのと同様に、シャフト5の中心軸線Oにおける回転ディスク20およびボス30の位置の調整を行う。第二の実施形態においては、回転ディスク20およびボス30の高さTの調整に加えて、回転ディスク20の高さに関し、回転ディスク20の面内バラツキを更に抑えるよう調整することが可能である。この目的のために、調整具39a、39bは互いに接触していないのが好ましい。なお、三つ以上の調整具を使用する場合も本開示の範囲に含まれ、そのような場合には、さらに精密に回転ディスク20の高さの面内バラツキを抑えられるのが分かるであろう。
【0036】
さらに、
図5は第三の実施形態におけるエンコーダの軸線方向部分断面図である。
図5に示されるエンコーダ6cにおいては、突出部4の端面に筒型の凹部34が形成されている。凹部34の内周面にはネジ山が形成されている。ただし、凹部34の直径は貫通孔33の直径よりも小さいものとする。
【0037】
凹部34には、他の調整具38が螺合する。他の調整具38は、その軸部の外周面にネジ山が形成されたボルトまたはネジである。他の調整具38の軸部の直径は調整具39等の軸部の直径よりも小さい。ただし、他の調整具38の頭部の直径は貫通孔33の直径よりも大きいものとする。
【0038】
第三の実施形態においては、
図3F等を参照して説明したように調整具39を用いて回転ディスク20およびボス30の位置調整を行う。そして、
図3FのステップS14~ステップS15において、高さTが理想高さT0より大きくなったことが判明した場合には、調整具39を他の所定方向A3、例えば反時計回りに回転させて調整具39をエンコーダ6cから取外す。
【0039】
次いで、他の調整具38を貫通孔33に通して、突出部4の凹部34に螺合させる。そして、他の調整具38を所定方向A1、例えば時計回りに回転させると、回転ディスク20およびボス30は他の調整具38と一体的にシャフト5に向かって移動するようになる。
【0040】
前述したのと同様に計測装置61で高さTを測定し、高さTが理想高さT0まで低下した場合に、他の調整具38の回転を停止させ、他の所定方向A3、例えば反時計回りに回転させて他の調整具38を取外す。これにより、高さTが理想高さT0よりも大きくなった場合であっても、再調整できることが分かるであろう。
【0041】
以上説明した少なくとも一つの実施形態の効果としては、検出精度を高めることのできる簡素な構成のエンコーダを提供できる。
【0042】
本開示の実施形態について詳述したが、本開示は上述した個々の実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、または請求の範囲に記載された内容とその均等物から導き出される本発明の思想および趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、置き換え、変更、部分的削除などが可能である。例えば、上述した実施形態において、各動作の順序や各処理の順序は、一例として示したものであり、これらに限定されるものではない。また、上述した実施形態の説明に数値又は数式が用いられている場合も同様である。さらに、前述した実施形態の幾つかを適宜組み合わせることは本開示の範囲に含まれる。
【0043】
上記実施形態および変型例に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
光源から出力された光を透過させる少なくとも一つのスリットを有する回転ディスクと、
該回転ディスクと一体的に回転すべきシャフトの一端において該シャフトと同軸に設けられた突出部と、
前記回転ディスクと前記シャフトの前記一端との間に配置されていて前記回転ディスクを支持するボスと、を具備し、
前記ボスの内周面にはネジ山が形成された貫通孔が前記シャフトと同軸に形成されており、
前記シャフトの前記突出部に前記ボスを係合させた後で、調整具を前記回転ディスクに形成された開口部に通して前記ボスの前記貫通孔に螺合させ、前記調整具を用いて、前記シャフトの中心軸線における前記ボスの位置を調整する、エンコーダ。
(付記2)
前記調整具の先端を前記突出部の端面に突当てた後で、前記ボスの位置を調整するようにした、付記1に記載のエンコーダ。
(付記3)
前記ボスの位置が調整された後で、前記調整具を前記ボスから排除するようにした、付記1に記載のエンコーダ。
(付記4)
前記開口部および前記貫通孔は、前記シャフトの前記中心軸線と同軸に形成されている、付記1に記載のエンコーダ。
(付記5)
前記ボスには、複数の貫通孔が形成されており、
複数の調整具を前記回転ディスクの前記開口部に通して前記ボスの前記複数の貫通孔のそれぞれに螺合させ、前記複数の調整具を用いて、前記シャフトの中心軸線における前記ボスの位置および前記中心軸線に対して垂直な平面に対する前記回転ディスクの位置を調整する、付記1に記載のエンコーダ。
(付記6)
前記突出部の端面において凹部が前記シャフトの中心軸線と同軸に形成されている、付記1に記載のエンコーダ。
(付記7)
付記1に記載のエンコーダが取付けられたモータ。
(付記8)
包囲部と支持部とを有すると共に、内周面にネジ山が形成された貫通孔が前記支持部に形成されたボスを準備し、
前記ボスの前記支持部に回転ディスクを支持させ、それにより、前記回転ディスクに形成された開口部と前記ボスの貫通孔とが同軸になり、
シャフトの一端において該シャフトと同軸に設けられた突出部に前記ボスの前記包囲部を係合させ、
調整具を前記回転ディスクの前記開口部に通して前記ボスの前記貫通孔に螺合させ、
前記調整具を用いて、前記シャフトの中心軸線における前記ボスの位置を調整する、エンコーダ調整方法。
(付記9)
前記調整具の先端を前記突出部の端面に突当てた後で、前記ボスの位置を調整するようにした、付記8に記載のエンコーダ調整方法。
(付記10)
前記ボスの位置を調整した後で、前記調整具を前記ボスから排除するようにした、付記8に記載のエンコーダ調整方法。
【符号の説明】
【0044】
1 モータ
4 突出部
5 シャフト
6、6a~6c エンコーダ
9 固定子
10 回転子
11 ハウジング
12 蓋部
20 回転ディスク
25 スリット
28 光源
29 受光部
30 ボス
31 支持部
32 包囲部
33、33a、33b 貫通孔
38 他の調整具
39、39a、39b 調整具
61 計測装置
62 光電センサ
【要約】
エンコーダは、回転ディスクと、シャフトの一端において前記シャフトと同軸に設けられた突出部と、前記回転ディスクと前記シャフトの前記一端との間において前記回転ディスクを支持するボスとを含む。ボスの内周面にはネジ山が形成された貫通孔が形成されている。前記シャフトの前記突出部に前記ボスを係合させた後で、調整具を前記回転ディスクに形成された開口部に通して前記ボスの前記貫通孔に螺合させ、前記調整具を用いて、前記シャフトの中心軸線における前記ボスの位置を調整する。