(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】骨髄に接近するための骨内空間接近器具及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20240828BHJP
【FI】
A61B17/34
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022130720
(22)【出願日】2022-08-18
(62)【分割の表示】P 2021513020の分割
【原出願日】2019-05-10
【審査請求日】2022-08-25
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】324008412
【氏名又は名称】テレフレックス ライフ サイエンシズ ザ セカンド リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ティアニー モーガン
(72)【発明者】
【氏名】フォミナス アレックス
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-213428(JP,A)
【文献】特開平07-250810(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0049727(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨内空間への接近を可能にするよう操作できるペネトレータ組立体であって、前記ペネトレータ組立体は、
骨及び関連骨髄に貫入することができる遠位端部を有する剛性内側ペネトレータと、
骨及び関連骨髄を貫入することができる遠位端部と、前記剛性内側ペネトレータの一部分を受け入れるように構成された長手方向ボアと、を備えた外側ペネトレータと、
前記外側ペネトレータの一部分の外面に取り付けられていて前記外側ペネトレータとハブとを流体連通させる可撓性管であって、前記剛性内側ペネトレータの一部分を受け入れるよう構成された前記可撓性管と、を有し、
前記剛性内側ペネトレータは、前記骨内空間への挿入手技中に前記可撓性管を支持するように構成されている、ペネトレータ組立体。
【請求項2】
前記外側ペネトレータは、さらに、雌型ロック部分を構成する近位端部を備えている、請求項1記載のペネトレータ組立体。
【請求項3】
前記剛性内側ペネトレータは、さらに、雄型キー部分を構成する遠位端部を備えたキー区分を備えており、前記雄型キー部分は、前記外側ペネトレータの遠位端部を前記剛性内側ペネトレータの遠位端部に対して方向づけて骨及び関連骨髄に貫入することができる切断先端部を形成するために前記外側ペネトレータの近位端部のところで前記雌型ロック部分と嵌合するようになっている、請求項2記載のペネトレータ組立体。
【請求項4】
前記キー区分の直径は、前記外側ペネトレータの直径以下である、請求項3記載のペネトレータ組立体。
【請求項5】
前記可撓性管は、透明である、請求項1乃至4の何れか1項に記載のペネトレータ組立体。
【請求項6】
さらに、前記可撓性管に連結されるハブを有する、請求項1乃至5の何れか1項に記載のペネトレータ組立体。
【請求項7】
さらに、前記剛性内側ペネトレータに連結されるコネクタを有する、請求項1乃至6の何れか1項に記載のペネトレータ組立体。
【請求項8】
前記コネクタの遠位端部は、前記ハブの近位端部に解除可能に係合するよう構成されている、請求項7記載のペネトレータ組立体。
【請求項9】
前記コネクタの遠位端部は、雌ねじ付き部分を備え、前記ハブの近位端部は、雄ねじ付き部分を有し、前記雄ねじ付き部分及び前記雌ねじ付き部分は、前記ハブを前記コネクタに螺着させることができる、請求項7記載のペネトレータ組立体。
【請求項10】
前記コネクタは、ドライバの駆動シャフトに連結するように構成されている、請求項7乃至9の何れか1項に記載のペネトレータ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容(本発明)は、一般に、骨内空間に接近するための医療装置、特に、医学的処置のために骨に貫入して関連の骨髄に接近するための骨内器具及び方法に関する。
【0002】
〔関連出願の参照〕
本願は、2018年5月11日に出願された米国特許仮出願第62/670,691号の優先権主張出願であり、この米国特許仮出願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
生命を脅かす緊急事態にある患者を治療するための重要な要素は、薬剤及び流体を循環系中に直接投与するために静脈(IV)ラインを迅速に確保することである。救急車で救急医療技師が実行するにせよ、緊急治療室で救急専門医が実行するにせよ、いずれにせよ、目的は同じ、つまり命を救う薬剤及び流体を投与するために、IVを開始することである。このような重大な緊急事態を成功裏に処置する能力は、血管接近を達成する際の手術者の腕前及び巡り合わせに大きく依存する。一部の患者ではIVを開始することは比較的容易であるが、医師、看護師及び救急医療技師は、多くの患者においてIV接近を確保するのに大きな困難を経験する場合が多い。これら患者にはこの問題を解決しようとして鋭利な針で繰り返し探り、静脈ルートを最終的に確保するために侵襲手技を必要とする場合がある。IV接近を達成する際にさらにややこしい要因は、「現場で」、例えば事故現場で、又は救急車で移送中に起こり、この場合、標的を探すことが困難であり、過度の動作により、静脈系への接近が非常に困難になる。
【0004】
慢性疾患のある患者又は高齢者の場合、容易に接近可能な静脈の利用可能性がほとんどなくなる場合かある。末梢静脈の解剖学的希少性、肥満、極端な脱水症、又は以前のIV薬使用に起因して、利用可能なIV部位がない患者もいる。これらの患者の場合、救命薬剤を投与するために適切な部位を発見することは、困難でありかつもどかしい作業になる。命を脅かす緊急事態にある多くの患者は、救命のIV治療で血管系への接近が遅れたか又は単に不可能であったために、続いて起こる合併症で死亡した。
なお、本発明に関連する従来技術として、例えば、下記の先行技術文献(特許文献1-3)に記載されているものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2018/0049727号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0069786号明細書
【文献】特表2003-512884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる患者に関し、骨内(IO)空間を用いて患者の血管系への直接的な導管を提供する代替方式は、IV薬剤及び流体を投与するうえで魅力的な代替手段である。骨内的に投与される薬剤は、これら薬剤が静脈内に与えられたときに入るのと同じほど迅速に患者の血液循環系に入る。しかしながら、骨内針を標的部位に適正に配置することは、決定的に重要な意味を持つ。ユーザが針を誤った場所に挿入しようとした場合、骨は、分厚すぎる場合があり、したがって、針が貫入するのに困難な場合がある。別法として、他の場所では、骨が薄すぎる場合があり、かくして針は、骨全体を完全に穿通し、かくして骨内空間を通過する場合がある。さらに、針をこの針が患者の胸部に実質的に垂直ではない場所で骨内に角度をなして配置すると、その結果として、針が折れ又は他の合併症が生じる場合がある。
【0007】
加うるに、骨中に挿入された従来型剛性カニューレは、これが何かにぶつかることによって又は患者が動いたときに偶発的に外れた状態になる場合がある。例えば、患者の上腕骨中に挿入されたかかる従来型剛性カニューレは、患者の腕が動くと、すなわち、患者が自分の腕を自分の頭上に上げたとき又は患者が挿入状態のカニューレを偶発的に叩いたときに偶然に外れた状態になる場合がある。したがって、可撓性カニューレを含むペネトレータ組立体であって、この可撓性カニューレが標的部位のところの患者の骨から偶発的に外れる恐れの発生を阻止し又は減少させるペネトレータ組立体が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記要望は、本発明にかかるペネトレータ組立体の具体化によって満たされ、このペネトレータ組立体は、骨内空間への接近を可能にするよう操作可能である。本発明の一観点によれば、ペネトレータ組立体は、長手方向ボアと、骨及び関連骨髄に貫入することができる遠位端部とを有する可撓性外側ペネトレータと、骨及び関連骨髄に貫入することができる遠位端部を有する剛性内側ペネトレータと、可撓性外側ペネトレータの近位端部に連結された遠位端部を有するハブと、剛性内側ペネトレータの近位端部に連結された遠位端部及びドライバに解除可能に係合するよう構成された近位端部を有するコネクタとを含み、可撓性外側ペネトレータの長手方向ボアは、可撓性外側ペネトレータが挿入手技中に曲がるのを阻止し又は最小限に抑えるよう剛性内側ペネトレータを抜去可能に受け入れるよう構成され、可撓性外側ペネトレータは、長手方向ボアからの剛性内側ペネトレータの抜去後に曲がるよう構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明のもう一つの観点によれば、ペネトレータ組立体は、外側ペネトレータの遠位端部に隣接したところで外側ペネトレータに連結された深さ制御カラーをさらに含み、深さ制御カラーは、骨内空間中への内側ペネトレータ及び外側ペネトレータのそれ以上の貫入を阻止するために骨に接触することができる遠位端部を有する。
【0010】
本発明のもう一つの観点によれば、外側ペネトレータの遠位端部に固定された遠位切断スリーブをさらに含み、遠位切断スリーブは、骨及び関連骨髄に貫入することができる。
【0011】
本発明のもう一つの観点によれば、可撓性外側ペネトレータは、剛性内側ペネトレータが可撓性外側ペネトレータの長手方向ボアから抜去されたときに外側ペネトレータが曲がることができるようにする複数のスリットを有する。
【0012】
本発明のもう一つの観点によれば、複数のスリットは、可撓性外側ペネトレータの中間区分に沿って設けられ、中間区分は、可撓性外側ペネトレータの遠位端部と近位端部との間に配置されている。
【0013】
本発明のもう一つの観点によれば、複数のスリットは、可撓性外側ペネトレータの中間区分の長さに沿ってパターンをなして配列されている。
【0014】
本発明のもう一つの観点によれば、複数のスリットのパターンは、1ピッチあたり3本の切れ目線を有する。
【0015】
本発明のもう一つの観点によれば、複数のスリットのパターン中の各スリットは、90゜だけ回転的に増分している。
【0016】
本発明のもう一つの観点によれば、複数のスリットのうちの少なくとも1つは、可撓性外側ペネトレータの壁に設けられた細長い切れ目である。
【0017】
本発明のもう一つの観点によれば、複数のスリットのうちの少なくとも1つは、可撓性外側ペネトレータの壁に設けられた小穴である。
【0018】
本発明のもう一つの観点によれば、複数のスリットのうちの少なくとも1つは、可撓性外側ペネトレータの壁に設けられた切り欠き又は溝である。
【0019】
本発明のもう一つの観点によれば、複数のスリットは、レーザによって形成されている。
【0020】
本発明のもう一つの観点によれば、複数のスリットは、化学エッチングによって形成されている。
【0021】
本発明のもう一つの観点によれば、複数のスリットは、ウォータブラスチングによって形成されている。
【0022】
本発明のもう一つの観点によれば、可撓性外側ペネトレータに取り付けられた被覆スリーブをさらに含み、被覆スリーブは、可撓性外側ペネトレータからの物質の漏れを阻止し又は最小限に抑えることができる。
【0023】
本発明のもう一つの観点によれば、被覆スリーブは、可撓性外側ペネトレータの中間区分を覆うよう構成され、被覆スリーブは、複数のスリットからの物質の漏れを阻止し又は最小限に抑えることができる。
【0024】
本発明のもう一つの観点によれば、被覆スリーブは、可撓性外側ペネトレータを曲げたときに曲がることができる。
【0025】
本発明のもう一つの観点によれば、被覆スリーブは、外側ペネトレータを高圧で通過する物質の漏れを阻止し又は減少させることができる。
【0026】
本発明のもう一つの観点によれば、被覆スリーブは、熱収縮チューブである。
【0027】
本発明のもう一つの観点によれば、被覆スリーブは、ポリマーから成る。
【0028】
本発明のもう一つの観点によれば、被覆スリーブは、フッ素化エチレンプロピレンから成る。
【0029】
本発明のもう一つの観点によれば、被覆スリーブは、透明である。
【0030】
本発明のもう一つの観点によれば、被覆スリーブは、螺旋中空ストランドチューブである。
【0031】
本発明のもう一つの観点によれば、被覆スリーブの外径は、カラーの外径の寸法以下である。
【0032】
本発明のもう一つの観点によれば、被覆スリーブの外径は、遠位切断スリーブの外径の寸法以下である。
【0033】
本発明のもう一つの観点によれば、コネクタの遠位端部は、ハブの近位端部に解除可能に係合するよう構成されている。
【0034】
本発明のもう一つの観点によれば、コネクタの遠位端部は、雌ねじ付き部分を有し、ハブの近位端部は、雄ねじ付き部分を有し、雄ねじ付き部分及び雌ねじ付き部分は、ハブをコネクタに螺着させることができる。
【0035】
本発明のもう一つの観点によれば、コネクタは、ドライバの駆動シャフトを受け入れるよう構成された受け口を有する。
【0036】
本発明のもう一つの観点によれば、受け口はさらに、ドライバの駆動シャフトに解除可能に係合するよう構成されている。
【0037】
本発明のもう一つの観点によれば、受け口は、ドライバの駆動シャフトのテーパ付き部分に解除可能に嵌着することができる全体としてテーパ付きの形体を有する。
【0038】
本発明のもう一つの観点によれば、受け口は、ドライバの駆動シャフトの磁性部分に解除可能に係合することができる磁気円板をさらに有する。
【0039】
本発明のもう一つの観点によれば、可撓性外側ペネトレータは、カニューレである。
【0040】
本発明のもう一つの観点によれば、剛性内側ペネトレータは、スタイレットである。
【0041】
本発明の別の観点によれば、骨内空間への接近を可能にするよう操作できるペネトレータ組立体は、骨及び関連骨髄に貫入することができるひだ付きドリル先端部と、長手方向ボア及びひだ付きドリル先端部に連結された遠位端部を有する可撓性カニューレと、可撓性カニューレの長手方向ボア内に解除可能に受け入れられるよう構成された剛性スタイレットとを含み、剛性スタイレットは、挿入手技中、剛性スタイレットが可撓性カニューレの長手方向ボア内に受け入れられたときに可撓性カニューレが曲がるのを阻止し又は最小限に抑えることができ、可撓性カニューレは、長手方向ボアからの剛性スタイレットの抜去後に曲がるよう構成され、ペネトレータ組立体は、可撓性カニューレの近位端部に連結された遠位端部を有するハブと、剛性スタイレットの近位端部に連結された遠位端部及びドライバに解除可能に係合するよう構成された近位端部を有するコネクタとをさらに含むことを特徴する。
【0042】
本発明のもう一つの観点によれば、ひだ付きドリル先端部は、頭部分、本体部分、及び頭部分と本体部分の両方に沿って延びる切断ひだを有し、切断ひだは、血液及び/又は骨髄サンプルを骨内空間から吸引することができ又は薬物を骨内空間に送り出すことができるよう働くチャネルを構成している。
【0043】
本発明のもう一つの観点によれば、可撓性カニューレは、剛性スタイレットをカニューレの長手方向ボアから抜去したときにカニューレが曲がることができるよう働く複数のスリットを有する。
【0044】
本発明のもう一つの観点によれば、複数のスリットは、可撓性カニューレの中間区分に沿って設けられ、中間区分は、可撓性カニューレの遠位端部と近位端部との間に配置されている。
【0045】
本発明のもう一つの観点によれば、複数のスリットは、可撓性カニューレの中間区分の長さに沿ってパターンをなして配列されている。
【0046】
本発明のもう一つの観点によれば、複数のスリットのパターンは、1ピッチあたり3本の切れ目線を有する。
【0047】
本発明のもう一つの観点によれば、複数のスリットのパターン中の各スリットは、90゜だけ回転的に増分している。
【0048】
本発明のもう一つの観点によれば、複数のスリットのうちの少なくとも1つは、可撓性カニューレの壁に設けられた細長い切れ目である。
【0049】
本発明のもう一つの観点によれば、複数のスリットのうちの少なくとも1つは、可撓性カニューレの壁に設けられた小穴である。
【0050】
本発明のもう一つの観点によれば、複数のスリットのうちの少なくとも1つは、可撓性カニューレの壁に設けられた切り欠き又は溝である。
【0051】
本発明のもう一つの観点によれば、複数のスリットは、レーザによって形成されている。
【0052】
本発明のもう一つの観点によれば、複数のスリットは、化学エッチングによって形成されている。
【0053】
本発明のもう一つの観点によれば、複数のスリットは、ウォータブラスチングによって形成されている。
【0054】
本発明のもう一つの観点によれば、可撓性カニューレに取り付けられた被覆スリーブをさらに含み、被覆スリーブは、可撓性カニューレからの物質の漏れを阻止し又は最小限に抑えることができる。
【0055】
本発明のもう一つの観点によれば、被覆スリーブは、可撓性カニューレの中間区分を覆うよう構成され、被覆スリーブは、複数のスリットからの物質の漏れを阻止し又は最小限に抑えることができる。
【0056】
本発明のもう一つの観点によれば、被覆スリーブは、可撓性カニューレを曲げたときに曲がることができる。
【0057】
本発明のもう一つの観点によれば、被覆スリーブは、カニューレを高圧で通過する物質の漏れを阻止し又は減少させることができる。
【0058】
本発明のもう一つの観点によれば、被覆スリーブは、熱収縮チューブである。
【0059】
本発明のもう一つの観点によれば、被覆スリーブは、ポリマーから成る。
【0060】
本発明のもう一つの観点によれば、被覆スリーブは、フッ素化エチレンプロピレンから成る。
【0061】
本発明のもう一つの観点によれば、被覆スリーブは、透明である。
【0062】
本発明のもう一つの観点によれば、被覆スリーブは、螺旋中空ストランドチューブである。
【0063】
本発明のもう一つの観点によれば、被覆スリーブの外径は、ひだ付きドリル先端部の頭部分の外径の寸法以下の外径を有する。
【0064】
本発明のもう一つの観点によれば、コネクタの遠位端部は、ハブの近位端部に解除可能に係合するよう構成されている。
【0065】
本発明のもう一つの観点によれば、コネクタの遠位端部は、雌ねじ付き部分を有し、ハブの近位端部は、雄ねじ付き部分を有し、雄ねじ付き部分及び雌ねじ付き部分は、ハブをコネクタに螺着させることができる。
【0066】
本発明のもう一つの観点によれば、コネクタは、ドライバの駆動シャフトを受け入れるよう構成された受け口を有する。
【0067】
本発明のもう一つの観点によれば、受け口はさらに、ドライバの駆動シャフトに解除可能に係合するよう構成されている。
【0068】
本発明のもう一つの観点によれば、受け口は、ドライバの駆動シャフトのテーパ付き部分に解除可能に嵌着することができる全体としてテーパ付きの形体を有する。
【0069】
本発明のもう一つの観点によれば、受け口は、ドライバの駆動シャフトの磁性部分に解除可能に係合することができる磁気円板をさらに有する。
【0070】
本発明の別の観点によれば、骨内空間への接近を可能にするよう操作できるペネトレータ組立体は、骨及び関連骨髄に貫入することができる遠位端部を有する剛性スタイレットと、骨及び関連骨髄に貫入することができる遠位端部、及び剛性スタイレットの一部分を受け入れるよう構成された長手方向ボアを有するカニューレと、カニューレの一部分の外面に取り付けられていてカニューレとハブとを流体連通させる可撓性管とを含み、可撓性管は、剛性スタイレットの一部分を受け入れるよう構成され、剛性スタイレットは、挿入手技中、可撓性管を支持するよう構成されていることを特徴とする。
【0071】
本発明のもう一つの観点によれば、カニューレは、雌型ロック部分を構成する近位端部をさらに有する。
【0072】
本発明のもう一つの観点によれば、剛性スタイレットは、雄型キー部分を構成する遠位端部を備えたキー区分をさらに有し、雄型キー部分は、カニューレの遠位端部をスタイレットの遠位端部に対して方向づけて骨及び関連骨髄に貫入することができる切断先端部を形成するためにカニューレの近位端部のところで雌型ロック部分と嵌合するようになっている。
【0073】
本発明のもう一つの観点によれば、可撓性管は、透明である。
【0074】
かくして、本発明の詳細な説明を良好に理解することができるようにするため、しかも当該技術分野への本発明の貢献を良好に認識することができるようにするために、本発明のある特定の諸観点の概略を説明した。以下に説明しかつ本明細書に添付された特許請求の範囲に記載された主題を成す本発明の追加の具体化例が存在する。
【0075】
この点において、ペネトレータ組立体の少なくとも1つの観点を詳細に説明する前に、ペネトレータ組立体は、その用途が以下の説明に記載され又は図面に示されたコンポーネントの構成の細部及び配置に限定されないことが理解されるべきである。ペネトレータ組立体は、同一の観点に加えて諸観点を具体化することができ、しかも種々の仕方で具体化されて実施できる。また、本明細書ならびに発明の概要で用いられる語句及び用語は、説明の目的のためであって、本発明を限定するものとみなされてはならないことは理解されるべきである。
【0076】
したがって、当業者であれば、本発明が立脚する技術的思想がペネトレータ組立体の幾つかの目的を達成する他の構造体、方法、及びシステムの設計のための基礎として容易に利用できることは理解されよう。したがって、請求項の記載は、かかる請求項の記載が本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、かかる均等構成例を含むものと解されることが重要である。
【0077】
本発明を容易に理解することができるようにするため、骨内(IO)接近器具の諸観点が添付の図面に例示として記載されており、図面全体にわたって、同一の部分は、同一の参照符号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【
図2】
図1の骨内針セットの分解組立斜視図である。
【
図4】
図1の骨内針セットの断面側面図であり、内側ペネトレータが外側ペネトレータから分離されている状態を示す図である。
【
図5】
図1の骨内針セットの先端部分を示す図である。
【
図6A】
図1の骨内針セットの内側ペネトレータの先端部分の平面図である。
【
図6B】
図1の骨内針セットの内側ペネトレータの先端部分の側面図である。
【
図7A】
図1の骨内針セットの外側ペネトレータの側面図である。
【
図7B】
図1の骨内針セットの外側ペネトレータの平面図である。
【
図7C】本発明のもう1つの観点にかかる
図1の針セットの先端部分を示す図である。
【
図7D】本発明のもう1つの観点にかかる
図1の針セットの外側ペネトレータの一部分を示す図である。
【
図7E】
図7Dの外側ペネトレータの回復形状を示す図である。
【
図7F】本発明のもう1つの観点にかかる
図1の針セットの先端部分を示す図である。
【
図7G】本発明のもう1つの観点にかかる
図1の針セットの外側ペネトレータの一部分を示す図である。
【
図7H】
図7Gの外側ペネトレータの回復形状を示す図である。
【
図7I】本発明のもう1つの観点にかかる
図1の針セットの先端部分を示す図である。
【
図7J】本発明のもう1つの観点にかかる
図1の針セットの外側ペネトレータの一部分を示す図である。
【
図7K】
図7Jの外側ペネトレータの回復形状を示す図である。
【
図7L】本発明のもう1つの観点にかかる
図1の針セットの先端部分を示す図である。
【
図7M】本発明のもう1つの観点にかかる
図1の針セットの外側ペネトレータの一部分を示す図である。
【
図7N】
図7Mの外側ペネトレータの回復形状を示す図である。
【
図7O】本発明のもう1つの観点にかかる
図1の針セットの先端部分を示す図である。
【
図7P】本発明のもう1つの観点にかかる
図1の針セットの外側ペネトレータの一部分を示す図である。
【
図7Q】
図7Pの外側ペネトレータの回復形状を示す図である。
【
図8】
図1の骨内針セットのコネクタの後側から見た斜視図である。
【
図9】本発明に係る深さ制御カラーを有する骨内針セットの斜視図である。
【
図10】
図9の骨内針セットの分解組立斜視図である。
【
図12】
図9の骨内針セットの断面側面図であり、内側ペネトレータが外側ペネトレータから分離された状態を示す図である。
【
図13】本発明に係る遠位切断スリーブを有する骨内針セットの斜視図である。
【
図16】
図13の骨内針セットの断面側面図であり、内側ペネトレータが外側ペネトレータから分離された状態を示す図である。
【
図18A】本発明に係る遠位切断スリーブの側面図である。
【
図18B】本発明に係る遠位切断スリーブの平面図である。
【
図19】本発明に係るひだ付き切断ドリル先端部を有する骨内針セットの斜視図である。
【
図22】本発明に係るひだ付き切断ドリル先端部の正面図である。
【
図24】本発明に係るひだ付き切断ドリル先端部の側面図である。
【
図25A】本発明の一観点にかかるキーシステムを有する骨内針セットを示す図である。
【
図25C】本発明の一観点にかかるキーシステムを有する骨内針セットに連結された手動ドライバを示す図である。
【
図26】本発明の一観点にかかる骨内針セットを示す図であり、剛性内側ペネトレータが可撓性外側ペネトレータから分離された状態を示す図である。
【
図27】
図26の可撓性骨内針セットの外側ペネトレータを曲げ形体で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
本発明は、医学的処置、例えば骨髄の吸引及び生検のために骨に貫入して関連骨髄に接近するための骨内(IO)器具及び方法を提供する。「骨内(IO)器具」という用語は、本願においては、骨の骨内空間もしくは内側部分への接近を可能にするよう操作できる任意の中空針、中空ドリルビット、ペネトレータ組立体、骨ペネトレータ、カテーテル、カニューレ、トロカール、スタイレット、内側ペネトレータ、外側ペネトレータ、IO針、生検針、吸引針、IO針セット、生検針セット、又は吸引針セット(これらには限定されない)を含むものとして使用される場合がある。しかしながら、多種多様な他のIO器具を本発明の1つ又は2つ以上の教示に従って形成することができる。かかるIO器具は、少なくとも一部が金属合金、例えば304ステンレス鋼や針及び類似の医療器具と関連した他の生体適合性材料で作られるのが良い。
【0080】
「流体」という用語は、本願では、液体、例えば血液、水、生理食塩水、IV溶液、血漿もしくは液体の任意の混合物、粒状物、骨髄の生検もしくは吸引又は骨髄もしくは他の標的部位との流体の連絡と関連した溶解状態の薬物及び/又は薬剤を含むものとして使用される場合がある。「流体」という用語はまた、本特許出願では、粒状物、例えば標的部位から取り出し可能な骨髄及び/又は細胞を含有した任意の体内流体及び/又は体液を含むものとして使用される場合がある。
【0081】
「採取」及び「採取すること」という用語は、本願においては、骨及び/又は骨髄生検ならびに骨髄吸引を含むものとして使用される場合がある。骨及び/又は骨髄生検(「針生検」とよばれる場合がある)は、一般に、生検目的のために選択された標的野から骨及び/又は骨髄の比較的小さな片又は検体を取り出すこととして説明される場合がある。骨髄吸引(「骨髄サンプル採取」とよばれる場合がある)は、一般に、選択された標的野から多量の骨髄を取り出すこととして説明される場合がある。比較的多量の骨髄を診断、移植及び/又は研究目的で使用される場合がある。例えば、幹細胞研究技術の中には、比較的多量の骨髄を必要とするものがある。
【0082】
「挿入部位」、「貫入部位」、「標的部位」、及び「設置部位」という用語は、本願では、骨内器具を骨及び関連骨髄中に挿入し又は骨及び関連骨髄に穴をあけてこれらに入れることができる骨の場所を説明するために使用される場合がある。挿入部位、貫入部位、標的部位、及び設置部位は、一般に、皮膚及び軟組織で覆われている。「標的野」という用語は、本願では、骨小腔の選択された部分又は関連の骨髄を本発明の教示に従って採取することができる骨小腔内の場所を説明するために用いられる場合がある。
【0083】
本発明の教示を組み込んだIO器具を数秒間で選択された標的野又は標的部位中に挿入するために動力ドライバを用いるのが良い。しかしながら、本発明の種々の教示は、動力ドライバとの併用に限定されるわけではない。手動ドライバ及び機械的支援型ドライバ、例えばばね動力式ドライバもまた、本発明の教示を組み込んだIO装置と併用することができる。かかる手動ドライバを骨内接近のための電池式ドライバを装備する有用性又は妥当性が実現可能ではない時点において、本発明のIOデバイスと併用することができる。かかる条件としては、極端な温度及び厳しい重量の制約により戦闘に携帯することができるものを限定する軍事用の特別な作戦を含む場合がある。同じことは、長い保存可能期間及び頻繁な使用が電池式ドライバの利便性を実現困難にする民間の救急医療システム(EMS)又はファースト・レスポンダに当てはまる場合がある。手動ドライバが用いられる場合、手の力をハンドル又はグリップに及ぼしてペネトレータ又は針を骨中に挿入して骨髄に接近するのが良い。手動ドライバはまた、電池式ドライバが例えば電源の消耗に起因して機能しない場合に有用なバックアップとしての役目を果たすことができる。かくして、骨に貫入することができ、そして関連の骨髄にいずれかのドライバを備えた本発明のIO器具を用いて接近することができる。幾つかの用途に関し、IO器具は、骨及び/又は関連骨髄に貫入することができる第1の端部及びドライバ、例えば動力ドライバ又は手動ドライバに解除自在に係合することができる第2の端部を備えるのが良い。
【0084】
本発明の教示を組み込んだIO針セット及び他のIO器具は、第1のIO器具、例えば、カニューレ、カテーテル、又は外側ペネトレータ及び、第2のIO器具、例えば、スタイレット、トロカール、又は内側ペネトレータを有するのが良い。種々の形式の切断面を第1のIO器具の第1の端部及び第2のIO器具の第1の端部に近接して形成するのが良い。第1のIO器具の切断面と第2のIO器具の切断面は、骨及び/又は関連骨髄に貫入するよう互いに協働するのが良い。第1のコネクタ又は第1のハブを用いると、第1のIO針又はIO器具を第2のIO針又はIO器具に解除自在に係合させることができる。例えば、IO針セットは、第1のコネクタ又は第1のハブを含むのが良く、この第1のコネクタ又は第1のハブには全体として中空のカニューレ、カテーテル、又は外側ペネトレータが第1のハブの第1の端部から延びる状態で取り付けられる。第1のハブの第2の端部は、第2のコネクタ又は第2のハブの第1の端部に解除自在に係合することができるのが良い。スタイレット、トロカール、又は内側ペネトレータはまた、第2のハブの第1の端部から延びる状態でこれに取り付けられるのが良い。第1のハブの第2の端部は、開口部を有するのが良く、かかる開口部は、この開口部及びカニューレ、カテーテル、又は外側ペネトレータに設けられたルーメンを通ってスタイレット、トロカール又は内側ペネトレータを挿入することができるようにするよう寸法決めされている。第2のハブの第2の端部は、動力ドライバ又は手動ドライバから延びる駆動シャフトに解除自在に係合することができる。
【0085】
本発明の種々の特徴を図示のIO器具に関して説明することができるが、本発明は、かかるIO器具には限定されない。多種多様なIO器具を種々の寸法及び/又は形体を備えた状態で本発明の教示に従って形成することができる。
【0086】
ペネトレータ組立体、例えばIO針セット100,100a,100b,100cが本発明の教示に従って形成されたIO接近器具の幾つかの実施例のみを示している。
図1及び
図2を参照すると、ペネトレータ組立体100は、可撓性外側ペネトレータ又はカニューレ110及び剛性内側ペネトレータ又はスタイレット120を含む。カニューレ110の第1の端部111及びスタイレット120の第1の端部121は、骨及び関連骨髄に貫入するよう操作可能である。特に、カニューレ及びスタイレットの第1の端部111,121は、それぞれの切断先端部を構成する。スタイレット120は、剛性の長手方向本体を有しかつカニューレ110の長手方向ボア又はルーメン118内に摺動可能にかつ解除可能に収納されるよう構成されている。カニューレ110の第1の端部111及びスタイレット120の第1の端部121の種々の特徴が
図5及び
図6に詳細に示されており、これらについては以下において説明する。幾つかの具体化例では、流体ポートがカニューレ本体上の種々の場所に設けられるのが良く、かかる場所としては、カニューレの第1の端部111のところが挙げられる。ペネトレータ組立体100の第1の端部101又は遠位端部は、全体として、カニューレ110の第1の端部111又は遠位端部及びスタイレット120の第1の端部121又は遠位端部に対応するのが良い。ペネトレータ組立体の第2の端部102又は近位端部は、全体として、カニューレ110の第2の端部112又は近位端部及びスタイレット120の第2の端部122又は近位端部に対応するのが良い。ペネトレータ組立体の第2の端部102は、ドライバに解除自在に取り付けられるよう操作可能であるのが良く、これについては以下において詳細に説明する。
【0087】
ペネトレータ組立体100は、ハブ130及びコネクタ140をさらに含む。カニューレ110の第2の端部112は、カニューレの第1の端部111から見て反対側に位置し、この第2の端部は、ハブ130の第1の端部131又は遠位端部に固定的に係合するのが良い。幾つかの具体化例では、カニューレの第2の端部112は、UV接着剤又は他形式の接着剤によりハブの第1の端部131内に位置するハブの一部分に結合されるのが良い。スタイレット120の第2の端部122は、スタイレットの第1の端部121から見て反対側に位置し、この第2の端部は、コネクタ140の第1の端部141又は遠位端部に固定的に係合するのが良い。幾つかの具体化例では、スタイレットの第2の端部122は、UV接着剤又は他形式の接着剤によりコネクタの第1の端部141内に収納されたコネクタの一部分145に結合されるのが良い。
【0088】
図3及び
図4に示されているように、カニューレ110は、ハブ130の第1の端部131から長手方向に延びるのが良く、スタイレット120は、コネクタ140の第1の端部141から延びるのが良い。ハブ130の第2の端部132又は近位端部は、ルアーロック取り付け具を有するのが良く、このルアーロック取り付け具は、コネクタ140の第1の端部141内に設けられた対応のルアーロック取り付け具に解除可能に係合するのが良い。具体的に説明すると、ハブ130の第2の端部132は、雄ねじ付き部分133を有するのが良く、コネクタ140の第1の端部141は、雌ねじ付き部分143を有するのが良く、その結果、ハブ130の雄ねじ付き部分133は、コネクタ140の雌ねじ付き部分143に取り外し可能に結合することができ、その結果、ハブ130の第2の端部132とコネクタ140の第1の端部141との螺合連結部が得られる。ハブ130の第2の端部132に設けられたルアーロック取り付け具133は、カニューレルーメン118を通ってIO空間を吸引し、カニューレルーメン118を通って薬物をIO空間に送り出し、又は骨及び関連骨髄の生検検体を捕捉するための標準シリンジ型取り付け具及び/又は標準静脈(IV)連結部及び関連流体チューブに解除自在に係合するよう操作可能であるのが良い。ハブ130がコネクタ140に取り付けられると、スタイレット120は、スタイレットがコネクタ140の第1の端部141及びハブ130の第1の端部131から長手方向に延びるようカニューレ110内に設けられる。
【0089】
種々の形式の受け口がコネクタを手動ドライバ又は動力ドライバの駆動シャフトに解除自在に係合する際に用いられるようコネクタ140の第2の端部142又は近位端部内に設けられるのが良い。例えば、ドライバ、例えばテーパ付き部分を備えた駆動シャフトを有する手動又は動力ドライバがコネクタ140の第2の端部142内に設けられた対応の全体としてテーパ付き形体を有する受け口144と解除自在に嵌合するよう操作可能であるのが良い。幾つかの具体化例では、ドライバから延びるテーパ付きシャフトの端部のところに設けられた磁石及び骨内器具の受け口144内に設けられた対応の金属又は磁気円板によって骨内器具に固定されるのが良い。
【0090】
図3及び
図4を参照して上述したように、ペネトレータ組立体100は、外側ペネトレータ110、例えばカニューレ、中空管又は中空ドリルビット及び関連のハブ130を含むのが良い。ペネトレータ組立体100は、内側ペネトレータ120、例えばスタイレット又はトロカール、及び関連のコネクタ140をさらに含むのが良い。種々の形式のスタイレット及び/又はトロカールが外側ペネトレータ内に設けられるのが良い。幾つかの用途に関し、外側ペネトレータ又はカニューレ110は、内側ペネトレータ又はスタイレット120を収容するよう寸法決めされた全体として細長い管として説明可能である。内側ペネトレータ120の別々の部分が外側ペネトレータ110を貫通して延びる長手方向通路118内に設けられるのが良い。内側ペネトレータ120の外径及び長手方向通路118の内径は、内側ペネトレータ120が外側ペネトレータ110内に摺動自在に収納されることができるよう選択されるのが良い。
【0091】
金属円板がコネクタ140を手動ドライバ又は動力ドライバの駆動シャフトの磁性部分に解除可能に取り付ける際に使用できるようコネクタ140の第2の端部142の開口部144内に設けられるのが良い。幾つかの具体化例では、ドライバの駆動シャフトが磁化されるのが良い。内側ペネトレータ120の第2の端部122は、好ましくは、金属円板から間隔を置いて配置され、絶縁又は非導電性物質がこれらの間に配置される。
【0092】
図5は、本発明の教示に従って外側ペネトレータ110及び内側ペネトレータ120のそれぞれの第1の端部111,121のところに形成されるのが良い切断表面又は先端部の一実施例を示している。外側ペネトレータ110の第1の端部111及び/又は内側ペネトレータ120の第1の端部121は、骨及び関連骨髄に貫入するよう操作可能であるのが良い。外側ペネトレータ110及び内側ペネトレータ120のそれぞれの第1の端部111,121のところの先端部及び/又は切断表面の形体は、外傷を最小限に抑えた状態で骨又は他の体腔に貫入するよう選択されるのが良い。
【0093】
外側ペネトレータ110及び内側ペネトレータ120のそれぞれの第1の端部111,121は、関連製造プロセス中に1ユニットとして一緒に研削されるのが良く、その結果、ハブ130がコネクタ140にしっかりと締結されると、外側ペネトレータ110及び内側ペネトレータ120のそれぞれの切断面が実質的に同一平面内に位置するようカニューレ又は外側ペネトレータ110とスタイレット又は内側ペネトレータ120が互いに対して配置されるようになっている。したがって、スタイレット120は、カニューレ110の傾斜/斜切先端部に合致する傾斜/斜切先端部を有する。
【0094】
換言すると、カニューレ110の第1の端部111及びスタイレット120の第1の端部121は、隣り合う切断面114,124を形成するよう同時に研削されるのが良い。それぞれの端部111,121を同時に研削すると、その結果として、
図5に示されているように全体として互いに一致する切れ刃を形成するよう単一の切断ユニットを形成することができる。他の具体化例では、外側ペネトレータ110及び内側ペネトレータ120のそれぞれの第1の端部111,121は、関連の製造プロセス中に別々に研削されても良く、その結果、ハブ130がコネクタ140にしっかりと締結されると、カニューレ又は外側ペネトレータ110とスタイレット又は内側ペネトレータ120は、外側ペネトレータ及び内側ペネトレータのそれぞれの切断面114,124が実質的に同一平面内に位置するよう互いに対して配置されるようになっている。したがって、スタイレット120は、カニューレ110の傾斜/斜切先端部に合致する傾斜/斜切先端部を有する。さらに、外側ペネトレータ110の第1の端部111の断面は、台形の形をしているのが良く、かかる断面は、1つ又は2つ以上の切断面を有するのが良い。同様に、内側ペネトレータ120の第1の端部121の断面は、台形の形をしているのが良く、かかる断面は、1つ又は2つ以上の切断面を有するのが良い。
【0095】
図6A及び
図6Bに示されているように、例えば、内側ペネトレータ120の第1の端部121の切断面は、第1のフェース及び隣接した第2のフェースを含み、第1のフェースは、第2のフェースよりも長い。同様に、外側ペネトレータ110の第1の端部111の切断面は、第1のフェース及び隣接した第2のフェースを含み、第1のフェースは、第2のフェースよりも長い。合致嵌め合いを提供することにより、外側ペネトレータ及び内側ペネトレータの第1の端部111,121のところのそれぞれの先端部は、挿入を容易にするとともにペネトレータ組立体100の別々の部分を骨及び関連骨髄中に挿入しているときの損傷を最小限に抑える単一の穴あけユニットとして働くことができる。内側ペネトレータ及び外側ペネトレータは、ステンレス鋼、チタン、又は骨に貫入するのに適した強度及び耐久性を備えた他の生体適合性材料で作られるのが良い。
図7C、
図7F、
図7I、
図7L,及び
図7Oに示されているように、外側ペネトレータ及び内側ペネトレータのそれぞれの切断面は、種々の構成例において、骨貫入の所望の有効性を達成するとともに骨及び関連骨髄中への挿入中及びこれらからの引き抜き中に針先端部の強度を維持するような寸法形状のものであるのが良い。
【0096】
ハブ130の第2の端部132は、関連コネクタ140との解除可能な係合又は取り付けを可能にするよう操作可能であるのが良い。ハブ130の第1の端部131は、外側ペネトレータ110のための関連の挿入部位と適合した寸法及び形体を有するのが良い。コネクタ140は、第2の端部142に隣接したところに拡大テーパ付き部分を有するのが良い。オペレータがドライバの駆動シャフトへの取り付け中に関連ペネトレータ組立体100をつかむことができるよう複数の長手方向隆起部149がコネクタ140の外面に設けられるのが良い。また、長手方向隆起部149により、コネクタ140を外側ペネトレータ110が骨及び関連骨髄中に挿入されたときにハブ130から離脱可能であるようつかむことができ、その結果、外側ペネトレータは、挿入部位のところに留置状態のままでいることができるようになっている。
【0097】
コネクタ140の第1の端部141は、ハブ130の第2の端部132を収容するよう寸法決めされた開口部147を有するのが良い。ねじ山143がコネクタ140の第1の端部141に隣接したところで開口部147に形成されるのが良い。ねじ山付き取り付け具143を用いると、コネクタ140をハブ130の第2の端部132に隣接したところで対応ねじ山付き取り付け具133に解除可能に取り付けることができる。ハブ130の第2の端部132の外部には、ねじ山付き部分133又は他の適当な取り付け具が形成されるのが良い。さらに、ハブの第2の端部132は、全体として円筒形の開口部134を有するのが良く、この全体として円筒形の開口部134は、コネクタ140の第1の端部141内に設けられ、すなわち、ピン型形体を構成する対応の全体として円筒形の突出部145を嵌合状態で受け入れるよう構成されている。突出部145は、UV接着剤又は他形式の接着剤によりコネクタに結合されるのが良いスタイレット120の第2の端部122を固定状態で受け入れるよう構成された受け口を有するのが良い。
【0098】
幾つかの具体化例では、ハブ130の第1の端部131は、フランジを備えるのが良い。加うるに、保護カバー又は針キャップの一端部を受け入れるよう構成された斜めのスロット又は溝がハブ130の第1の端部131に形成されるのが良い。幾つかの具体化例では、保護カバー又は針キャップの一端部を受け入れるよう構成された斜めのスロット又は溝がコネクタ140の第1の端部141に形成されるのが良い。かかるスロット又は溝を用いると、保護カバーをペネトレータ組立体100に解除可能に係合させることができる。幾つかの観点では、カバーは、丸形端部を備えた全体として中空の管であるのが良い。カバーは、関連のドライバへの取り付けに先立って、外側ペネトレータ110及び内側ペネトレータ120のそれぞれの部分を保護するために関連のスロット内に設けられるのが良い。カバーの外部には複数の長手方向隆起部が設けられるのが良い。長手方向隆起部は、関連のペネトレータの別の部分を汚染することなく、カバー又は針キャップを取り付けたり取り外したりすることができるようにするよう互いに協働する。カバーを種々のプラスチック及び/又は金属で作ることができる。
【0099】
ハブ130の第1の端部131の寸法及び形体は、種々の挿入部位及び/又は患者に対応するよう様々であって良い。例えば、ハブ130の第1の端部131は、患者の皮膚に接触するのに適合性のある環状フランジ又は形体をさらに有するのが良い。幾つかの具体化例では、第1の端部131は、患者の皮膚に接触するのに適合した環状フランジ又は他の形体を備えていない。ハブ130を貫通した通路が第1の端部131から第2の端部132まで延びるのが良い。通路の内周部の寸法及び形体は、カニューレ又は外側ペネトレータ110の第2の端部112の外周部に固定的に係合するよう選択されているのが良い。幾つかの観点では、カニューレ又は外側ペネトレータ110の第2の端部112は、UV接着剤又は他形式の接着剤によりハブに結合されるのが良い。
【0100】
幾つかの用途に関し、ハブ130の第1の端部131のねじ山付き連結部又は取り付け具133は、静脈内チューブ又はシリンジと関連した種々の形式のルアーロック及び/又はルアー取り付け具への取り付けを許容することができる。例えば、外側ペネトレータ又はカニューレ110がいったん骨及び関連骨髄中に挿入されると、静脈内チューブを外側ペネトレータに連結することによって、ペネトレータ又はカニューレを経由して流体を骨髄に送るために種々の形式の連結具を使用することができる。また、直角コネクタを用いると、静脈内チューブをチューブのルーメンをねじらず又は締め付けない角度で外側ペネトレータに連結することができる。幾つかの観点では、かかる直角コネクタをハブ130に係合させるためにロックナットを用いることができる。外側ペネトレータ110と静脈内チューブとの間で流体を流通させるために種々の他形式のコネクタを用いることができ、その結果、この静脈内チューブを用いて静脈内流体及び/又は薬物を関連の骨髄に提供することができるようになっている。チューブはまた、IO空間からの血液又は骨髄のサンプルを取り出す際に使用することができる。また、ペネトレータを静脈内チューブ、他形式のチューブ、及び/又はシリンジに連結するために他のコネクタ又はアダプタを用いることができる。
【0101】
外側ペネトレータ又はカニューレ110は、
図7A及び
図7Bに示されているように、第1の端部111と第2の端部112の間に設けられた中間部分113を有する。カニューレ110は、ステンレス鋼又は他の適当な生体適合性材料で作られるのが良い。カニューレの第1及び第2の端部111,112は、剛性であって非可撓性であるが、カニューレの中間部分113は、曲げ又は撓みによって変形するよう構成されている。特に、中間部分113の外側部分には、カニューレ110が曲がることができるようにする複数の切れ目又はスリット115が設けられている。幾つかの具体化例では、切れ目は、
図7Aに示されているように貫通切れ目である幾つかの具体化例では、切れ目のうちの少なくとも幾つかは、カニューレ材料の切り欠き又は他の薄肉化部分であるのが良い。かくして、切れ目は、カニューレ壁を完全に貫通しても良く、あるいは、カニューレ壁にエッチングにより設けられた小穴又は溝であっても良く、あるいは、これら両方の組み合わせであっても良い。切れ目という切り込みが例えば、種々の技術のうちでとりわけレーザ、化学エッチング、又はウォータブラスチングによって形成されるのが良い。切れ目又はスリット115により、カニューレの中間部分113は、カニューレの全体的な変形が起こる塑性変形セグメントとして働くことができる。切れ目又はスリットの形体(これらの寸法、形状、及びパターンを含む)は、カニューレの特定の方向及び/又は変形度の実現を容易にするようデザインされている。
【0102】
カニューレの切れ目又はスリット115によって形成された接合部は、患者の体の外部において又は体の中へのカニューレの導入箇所に隣接したところでの変形を支援する。したがって、カニューレ110は、長期間にわたって患者の体内の標的野中に挿入されたままの状態でいることができ、というのは、カニューレは、患者によって行われる動作に対応するよう曲がり又は撓むことができるからである。例えば、患者の上腕骨中に挿入された標準剛性カニューレは、患者の腕の運動時に外れた状態になる場合がある。しかしながら、本発明の可撓性カニューレ110は、患者の上腕骨から外れるのが阻止され、というのは、この可撓性カニューレは、例えば患者の腕が患者の頭上にあげられたときに患者の腕の動作に対応するよう曲がり又は撓むことができるからである。
【0103】
レーザ切れ目又はスリット115のパターン、寸法、及び形状は、所望の可撓性の度合いを提供する一方でさらに予想される加えられる力を考慮に入れて選択されるのが良い。さらに、切り目又はスリット115のパターン及び/又はデザインは、カニューレの特定の挿入と引き抜きの健全性を提供して曲げられ又は撓められたカニューレの形状がどれほど大きく回復することができるか、すなわち、カニューレの形状が部分的に回復するか完全に回復することができるかを制御するよう選択されるのが良い。
【0104】
例えば、
図7Dに示されているレーザ切れ目デザイン及び/又はパターン115aを有する外側ペネトレータ110aは、強力な挿入・引き抜きの健全性を有するとともに最小限であり又は平均以下の形状回復度を有するよう構成されている。換言すると、カニューレ110aをいったん曲げると、このカニューレは、一般に、
図7Eに示されているように曲げ形状のままでいることになる。別の具体化例では、
図7Gに示されているレーザ切れ目デザイン及び/又はパターン115bを有する外側ペネトレータ110bは、
図7Hに示されているように、中程度の挿入・引き抜き健全性を有するとともにほぼ平均の形状回復度を有するよう構成されている。別の具体化例では、
図7Jに示されているレーザ切れ目デザイン及び/又はパターン115cを有する外側ペネトレータ110cは、
図7Kに示されているように、中程度の挿入・引き抜き健全性を有するとともに平均の形状回復度を有するよう構成されている。別の具体化例では、
図7Mに示されているレーザ切れ目デザイン及び/又はパターン115dを有する外側ペネトレータ110dは、
図7Nに示されているように、中程度の挿入・引き抜き健全性を有するとともにほぼ平均の形状回復度を有するよう構成されている。別の具体化例では、
図7Pに示されているレーザ切れ目デザイン及び/又はパターン115eを有する外側ペネトレータ110eは、
図7Qに示されているように、中程度の挿入・引き抜き健全性を有するとともに最大限の又は平均を超える形状回復度を有するよう構成されている。
【0105】
図示のスリットの各レーザ切断デザイン又はパターンにより、カニューレを当初挿入されたままの状態で挿入部位に残すことができ、その結果、カニューレは、挿入部位から遠ざかって延び、かくして関連のハブは、これらに対応して患者から間隔を置いて配置されるようになる。また、図示のスリットの各レーザ切れ目デザイン及び/又はパターンにより、カニューレを所望の向きに、すなわち、患者に対して曲げて固定することができ、その結果、カニューレ及び関連ハブは、患者の近くに位置したままであり、したがって、あまり邪魔にならなくなり、かくして、これらに偶発的にぶつかったりこれらを偶発的に叩いたりすることによって挿入部位から外れる可能性が低い。
【0106】
全体として
図7Aに戻ってこれを参照すると、変形可能なカニューレ110は、さらに、使用中にこれに作用する荷重、例えば骨の中への挿入中及び/又はこれからの抜去中のトルクに耐えるよう構成されている。換言すると、カニューレのレーザ切れ目又はスリットの特定のデザイン又はパターンは、挿入手技中にカニューレに加えられる様々なトルクのレベルに耐えるために最適化されている。加うるに、スリット115によって形成された各接合部により、カニューレの変形が可能である。変形を受けるカニューレの長さは、中間区分113内で具体化される全変形量及び/又は中間区分113内に設けられているスリット115の数に応じて様々であって良い。一実施例では、レーザ切断スリット115のパターンは、1ピッチに3本の切れ目線の実現を可能にするとともに90゜だけ回転的に増分する全部で120゜の切れ目/非切れ目を有するのが良い。かかるレーザ切れ目パターンにより、カニューレは、2番目のピッチごとに存在する余分の棘に起因して大きなトルクに耐えることができる。
【0107】
再び
図1~
図4を参照すると、剛性スタイレット120は、挿入中、カニューレ110を支持するよう構成されており、この剛性スタイレットはさらに、かかる変形が望まれるまで、すなわち、変形が開始される前にスタイレットをカニューレから抜去することによって、カニューレの変形を阻止する。挿入手技中、カニューレ110のハブ130をコネクタ140に係合させ、その結果、コネクタの剛性スタイレット120は、カニューレが手動又は動力ドライバによってカニューレに加えられた力又はトルクに耐えるためにカニューレの中間部分113に十分な剛性を提供するようカニューレの長手方向ボア118内に受け入れられるようになっている。したがって、スタイレット120は、挿入手技中、カニューレ110の中間部分113に剛性を追加するよう構成され、その結果、カニューレは、手動又は動力ドライバにより加えられた力及び/又はトルクに起因して偶発的に曲がって形が崩れることがないようになっている。換言すると、剛性スタイレットは、ペネトレータがドライバによって押されるとともに/あるいは回されて(すなわち、時計回りの方向に)高密度の骨中に貫入しているときに可撓性カニューレに加えられた力及び/又はトルクに対抗するための安定性及び剛性を与える。
【0108】
ペネトレータの先端部がいったんIO空間中に挿入されると、スタイレット120を抜去してカニューレ110が同一の挿入された位置に位置したままであることができ、又はこのカニューレを患者の皮膚に対して曲げて静脈内チューブ又は他のIO器具を受け入れる一方で、カニューレ及び関連ハブがあまり邪魔にならないように患者の皮膚に対するカニューレの低プロフィールを生じさせる。カニューレの曲げ部分を患者の皮膚にテープ留めすることができ、それにより曲げ部分を定位置にさらに固定することができる。カニューレがいったん患者の標的部位内に挿入されると、流体の漏れが例えば血液又は骨髄を吸入したとき、又は薬物を投与したときにスリット115を通って起こる場合がある。切れ目のうちの少なくとも幾つかは、切れ目が受ける曲げの程度に応じてカニューレの曲げ中に少なくとも部分的に閉じる傾向がある。例えば、カニューレを撓ませることによって生じる曲げ部の内方側部のスリットは、変形の結果として閉じる傾向がある。かかる部分的閉じにより、カニューレを通る物質の漏れが減少する。しかしながら、ある特定のスリット、例えば曲げ部の外方側部のスリットは、カニューレを撓ませた場合でも大きな度合いで開いている場合があり、かくして、開かれたスリットを通る流体の漏れがこれに対応して増加する場合がある。例えば、カニューレを撓ませることによって生じる曲げ部の外方側部のスリットは、同一寸法のままであり又は変形の結果として僅かに開く。
【0109】
流体の漏れを阻止し又は最小限に抑えるためにカニューレの中間部分113の外面を覆って可撓性スリーブ150が設けられるのが良く、又は換言すると、可撓性スリーブは、切れ目又はスリット115を覆って設けられるのが良い。かくして、カニューレの中間区分113と変形可能なスリーブ150の両方は、曲がるようになっており、そして患者の体に設けられた挿入部位の内側及び/又は外側に位置したままであることができる。したがって、スリーブ150は、カニューレ110を通って注入され又は取り出される物質の漏れを減少させるために切れ目115を覆うよう構成されている。被覆スリーブ150は、透明であるのが良い。被覆スリーブ150は、ポリマー、例えばフッ素化エチレンプロピレンから成る熱収縮チューブであるのが良い。スリーブ150をカニューレ110の中間部分113の外部を覆って熱収縮させると、フィットした流体シールがカニューレのレーザ切れ目ゾーンを覆って形成され、その結果、流体は、関連のスリット115を通って漏れることがない。また、使用に先立ってスリーブをカニューレのスリットを覆って熱収縮させることにより、スリーブは、カニューレを高圧で通過する物質の漏れを阻止し又は減少するのに十分な強度でカニューレにくっつくようになる。スリーブは、これが挿入手技中にカニューレに十分にくっつけられるようにスリーブを製造中(例えば、ヒートガンにより)熱収縮させるのが良い。
【0110】
幾つかの具体化例では、スリーブ150は、スリット115を有するカニューレの中間部分113を超えて延びるのが良い。幾つかの具体化例では、スリーブ150は、物質がカニューレを高圧で流通するときにその直径が同一のままであるように非応従性であるのが良い。さらに、スリーブ150は、カニューレ110を通る物質の高圧流のもとで安定性を確保するのに十分な壁厚を有するのが良い。
【0111】
図8を参照すると、コネクタ140の第2の端部142が示されている。上述したように、駆動シャフト又はアタッチメントをコネクタ140の第2の端部142に解除可能に係合させることができ、内側ペネトレータ又はスタイレット120は、コネクタの第1の端部141から延びる。コネクタ140とハブ130を、ルアー型取り付け具、螺合連結部、又はコネクタの第1の端部141及びハブの第2の端部132にそれぞれ形成された他の適当な取り付け具によって互いに解除可能に係合させることができる。
【0112】
手動又は動力ドライバの関連駆動シャフトを受け入れるために開口部又は凹部144がコネクタの第2の端部142に形成されるのが良い。開口部144は、種々の形体及び/又は寸法を備えることができる。幾つかの具体化例では、開口部144は、駆動シャフトの別々の部分を受け入れるよう寸法決めされた通路又はチャネルを有するのが良い。1つ又は2つ以上のウェブ146がコネクタの第2の端部142に形成されかつ開口部144から半径方向に遠ざかって延びるのが良い。開放セグメント又はボイド空間148がウェブ相互間に形成されるのが良い。駆動シャフトのそれぞれの突出部をウェブ146及びボイド空間148に解除可能に係合させるのが良い。開口部144及び関連のウェブ146を用いると、コネクタ140を手動ドライバか動力ドライバかのいずれかに解除可能に結合させることができる。
【0113】
図9~
図12を参照すると、別の具体化例としてのペネトレータ組立体、例えばIO針セット100aが示されている。IO針セット100aは、上記において詳細に説明したIO針セット100と実質的に同じであり、IO針セット100aは、外側ペネトレータ又はカニューレ110の第1の端部111に固定された深さ制御カラー160をさらに含む。深さ制御カラー160は、挿入手技中、内側ペネトレータ及び外側ペネトレータの挿入深さを制限するよう構成されている。カラー160は、外側ペネトレータ110の外周部への係合と適合性のある全体として細長い中空の形体を有するのが良い。カラー160は、外側ペネトレータ110と一体型ユニットを形成するよう外側ペネトレータ110の第1の端部111に溶接されるのが良い。カラーの遠位端部は、IO空間中への内側及び外側ペネトレータの第1の端部のための挿入深さに対応した所定の距離のところで内側及び外側ペネトレータの先端部分から間隔を置いて位置している。したがって、骨及び関連骨髄中への貫入深さは、カラー160の遠位縁部とカニューレ及びスタイレットの第1の端部111,121のところに形成された針先端部の遠位又は終端部との間の距離によって定められるのが良い。
【0114】
挿入手技中、カラー160の遠位端部は、骨に接触するよう構成され、かくして、内側及び外側ペネトレータがさらに貫入してこれらがIO空間中にどれほどかさらに挿入されるのを阻止する。したがって、カラー160は、骨及び関連骨髄中への内側及び外側ペネトレータの挿入深さを制限するよう構成されている。カラー160を種々の材料で作ることができ、かかる材料としては、ステンレス鋼、チタン、又は他の材料、例えば外側ペネトレータ110を形成するために用いられた材料が挙げられる。カラー160は、一般に、外側ペネトレータ110の外面に固定的に係合されるので、外側ペネトレータ110とカラー160は、ドライバの回転に対応して互いに同時に回転することになる。例えば、手動ドライバを用いた場合、ユーザは、針セット100aを組織及び骨中に挿入することができ、ついにはカラー160の遠位縁部が骨に接触し、かくして、針セットのそれ以上の挿入を阻止する。
【0115】
さらに、カラー160を外側ペネトレータ110の外側部分上に設けて貫入深さを選択的に制限することによってペネトレータ110,120をこれらがIO空間内の骨髄に接近するのに満足のゆく程度に用いることができる。カニューレ110のレーザ切断スリットを覆っているスリーブ150は、挿入手技中の損傷からスリーブを保護するためにカラー160の外径の寸法以下の外径を有するのが良い。
【0116】
別の具体化例としてのペネトレータ組立体、例えばIO針セット100bが
図13~
図18に示されている。IO針セット100bは、上記において詳細に説明したIO針セット100と実質的に同じであり、このIO針セット100bは、外側ペネトレータ又はカニューレ110の第1 の端部111に固定された遠位切断スリーブ170をさらに含む。遠位切断スリーブ170は、外側ペネトレータと一体型ユニットを形成するよう外側ペネトレータの第1の端部111に溶接されるのが良い。
【0117】
図17は、外側ペネトレータ110及び内側ペネトレータ120のそれぞれの第1の端部111,121及び遠位切断スリーブ170のところに形成されるのが良い切断面及び先端部の一実施例を示している。外側及び内側ペネトレータ110,120の切断面114,124ならびに遠位切断スリーブの切断面174は、関連の製造プロセス中に1ユニットとして一緒に研削されるのが良く、その結果、ハブ130をコネクタ140にしっかりと締結したときに、カニューレ110及びスタイレット120ならびに遠位切断スリーブ170は、これらのそれぞれの切断面が同一平面内に位置するよう互いに対して配置されている。換言すると、内側ペネトレータ、外側ペネトレータ、及び遠位切断スリーブの先端部のところの傾斜/斜切切断面は、互いに合致するよう構成されている。
【0118】
他の具体化例では、外側ペネトレータ110及び内側ペネトレータ120のそれぞれの第1の端部111,121ならびに遠位切断スリーブ170は、関連の製造プロセス中に別々に研削されるのが良く、その結果、ハブ130をコネクタ140にしっかりと締結したときに、外側ペネトレータ110、内側ペネトレータ120、及び遠位切断スリーブ170のそれぞれの切断面114,124,174は、実質的に同一平面内に位置するようになっている。したがって、スタイレット120は、カニューレ110の傾斜/斜切先端部に合致するとともにさらに遠位切断スリーブ170の傾斜/斜切先端部に合致する傾斜/斜切先端部を有する。さらに、外側ペネトレータ110の第1の端部111の断面は、台形の形をしているのが良く、この断面は、1つ又は2つ以上の切断面を有するのが良い。同様に、内側ペネトレータ120の第1の端部121の断面は、台形の形をしているのが良く、この断面は、1つ又は2つ以上の切断面を有するのが良い。同様に、遠位切断スリーブ170の第1の端部の断面もまた、台形の形をしているのが良く、この断面は、1つ又は2つ以上の切断面を有するのが良い。
【0119】
ペネトレータ110,120及び遠位切断スリーブ170の各切断面のために合致嵌め合いを提供することにより、それぞれの先端部分は、骨及び関連骨髄中への挿入を容易にし、したがってまた、患者に対する外傷を最小限に抑える単一穴あけユニットとして作用することができる。外側及び内側ペネトレータ110,120と同様、遠位切断スリーブ170は、ステンレス鋼、チタン、又は骨に貫入するのに適当な強度及び耐久性を備えた他の生体適合性材料で作られるのが良い。さらに、カニューレのレーザ切断スリット115を覆っている可撓性スリーブ150は、挿入手技中における損傷からスリーブを保護するために遠位切断スリーブ170の外径の寸法以下の外径を有するのが良い。
【0120】
別の具体化例としてのペネトレータ組立体、例えばIO針セット100cが
図19~
図24に示されている。IO針セット100cは、上記において詳細に説明したIO針セット100と実質的に同じであるが、このIO針セット100cは、以下の注目される差を有する。具体的に言えば、IO針セット100cは、可撓性カニューレ110cの第1の端部にしっかりと固定されたひだ付きドリル先端部180を有する。ひだ付きドリル先端部180は、可撓性カニューレ110cと一体型ユニットを形成するよう可撓性カニューレ110cの第1の端部に溶接されるのが良い。内側及び外側ペネトレータと同様、ひだ付きドリル先端部180は、ステンレス鋼、チタン、又は骨に貫入するのに適した強度及び耐久性を備えた他の生体適合性材料で作られるのが良い。剛性スタイレット120cは、構造剛性を提供して可撓性カニューレ110cを支持するとともに可撓性カニューレ110cが曲がり又は変形するのを阻止するよう挿入手技中に用いられる。IO空間中への針セット100cの挿入時、スタイレット120cをカニューレ110cから抜去してカニューレが所望の向きに曲がるとともに撓むことができる。カニューレ110cのかかる曲げ及び撓みは、上記において詳細に上述したようにその中間区分に形成された切れ目又はスリット115に起因している。幾つかの具体化例では、スタイレットの第1の端部又は先端部は、鋭利な遠位先端部が生じないよう尖っていない。かかる尖っていない先端部は、スタイレットをカニューレから抜き出すときにユーザに対する安全性を高めることができる。
【0121】
ひだ付き切断先端部180は、一体に形成された頭部分182及び長手方向本体部分184を有する。切断用のひだは、頭部分又は本体部分を連続的に貫通している。頭部分の近位端部は、長手方向本体部分184がカニューレ110cの第1の端部内に受け入れられるようカニューレ110cの遠位端部にしっかりと固定されている。針セット100cがIO空間中にいったん挿入されるとともにスタイレット120cがカニューレ110cから抜き出されると、ひだ付き切断先端部180は、カニューレの第1の端部にくっつけられたままであり、その結果、ひだ付き切断先端部は、IO空間内に固定状態のままである。
【0122】
切断ひだは、ひだ付き端部180の頭部分182と本体部分184の両方に沿って設けられたそれぞれのチャネルを構成し、これらチャネルは、血液及び/又は骨髄サンプルをIO空間から吸引することができ又は薬物をIO空間に送り出すことができるようにする(すなわち、物質は、ひだ付き頭部分及びひだ付き本体部分ならびにカニューレの内面によって形成されたチャネルに沿って移動することができる)。さらに、カニューレ110c のレーザ切断スリット115を覆っている可撓性スリーブ150は、挿入手技中の損傷からスリーブを保護するためにひだ付き切断先端部180の頭部分の外径の寸法以下の外径を有するのが良い。
【0123】
図25Aは、別の具体化例としてのペネトレータ組立体、例えばIO針セット100dを示している。ペネトレータ組立体100dは、外側ペネトレータ又はカニューレ110d及び剛性内側ペネトレータ又はスタイレット120dを含む。カニューレ110dの第1の端部111d及びスタイレット120dの第1の端部121dは、骨及び関連骨髄に貫入するよう操作可能であるのが良い。特に、カニューレ及びスタイレットの第1の端部111d,121dは、それぞれの切断先端部を構成し、スタイレット120dは、IO針セット100,100a,100b,100cに関して同様に上述したように、カニューレ110dの長手方向ボア又はルーメン内に摺動可能にかつ解除可能に収納されるよう構成されている。
【0124】
ペネトレータ組立体100dは、上述したハブ130及びコネクタ140のそれぞれの特徴を含むのが良いハブ130d及びコネクタ140dをさらに含む。可撓性スリーブ又は管150dの一部分は、カニューレとハブ130dとの流体連通を可能にするためにカニューレ110dの一部分の外面にくっつけられ又は結合されるのが良い。可撓性スリーブ150dは、曲がるようになっており、この可撓性スリーブは、患者の体に設けられた挿入部位の内側及び/又は外側に位置したままであるのが良い。スリーブ又は管150は、これを通る物質、例えば骨髄又は薬物の視覚化を可能にするよう透明なポリマーで作られるのが良い。
【0125】
カニューレ110dの第2の端部112dがカニューレの第1の端部111dから見て反対側に配置され、この第2の端部は、雌型ロック部分を構成している。スタイレット120dは、キー区分125dを有し、このキー区分125dは、
図25Bに示されているように、カニューレ110dの第2の端部112dのところで雌型ロック部分と嵌合するようになった雄型キー部分を構成する第1の端部126dを有する。したがって、雄型キー部分126dは、スタイレット120dがカニューレ110d中に完全に挿入されると、雌型ロック部分112dと嵌合するよう構成され、かくして、骨及び関連骨髄に貫入することができる切断先端部を形成するためにスタイレットの第1の端部121dに対するカニューレの第1の端部111dの正確な向きが保証される。さらに、剛性スタイレット120dは、挿入手技中、可撓性管150dを支持するよう構成され、この剛性スタイレットは、かかる変形が所望されるまで、すなわち、変形が開始される前にスタイレットをカニューレから抜去することによって可撓性管の変形を阻止する。
【0126】
例えば、挿入手技中、ハブ130dをコネクタ140dに係合させ、その結果、剛性スタイレット120dは、管が手動又は動力ドライバによって管に加えられた力又はトルクに耐えるためにカニューレの中間部分113に十分な剛性を提供するようカニューレ110d及び可撓性管150d内に受け入れられるようになっている。手動ドライバ200の一実施例が
図25CのIO針セット100dに連結された状態で示されている。したがって、スタイレット120dは、挿入手技中、剛性を可撓性管150dに加えるよう構成され、その結果、この可撓性管は、ドライバにより加えられた力及び/又はトルクに起因して偶発的に曲がって形が崩れることがないようになっている。換言すると、剛性スタイレットは、ペネトレータがドライバによって押されるとともに/あるいは回されて高密度の骨中に貫入しているときに可撓性管に加えられた力及び/又はトルクに対抗するための安定性及び剛性を与える。
【0127】
図26は、別の具体化例としてのペネトレータ組立体、例えばIO針セット100eを示している。特に、IO針セット100eは、剛性内側ペネトレータ又はスタイレット120eを受け入れるよう構成された可撓性外側ペネトレータ又はカニューレ110eを含む。カニューレ110eは、これが上述した可撓性カニューレの他の具体化例と同様に撓み又は曲がることができるようにするハイポチューブを有する。可撓性スリーブ150e、例えば螺旋中空ストランドチューブがハイポチューブを通る物質の漏れを阻止し又は減少させるためにはんだ付けによりハイポチューブ110eの中間区分に取り付けられている。
図27に示されているように、剛性スタイレットをカニューレから抜去するとき、ハイポチューブ110e及び対応の可撓性スリーブ150eを撓ませて曲げ形体にすることができる。
【0128】
可撓性外側ペネトレータ及び剛性内側ペネトレータを含むペネトレータ組立体を特定の観点であるとみなすことができる構成の面で説明したが、本発明は、開示した観点には限定されない。さらに、本発明の多くの特徴及び利点が詳細な説明から明らかであり、かくして、本発明の精神及び範囲に属する本発明のかかる全ての特徴及び利点を含むことが添付の特許請求の範囲によって意図されている。さらに、本発明を図示するとともに説明した構成及び作用そのものに限定することは、望まれておらず、したがって、本発明の範囲に含まれる全ての適当な改造例及び均等例を用いることができる。したがって、本発明は、例示とみなされるべきであって、本発明を限定するものとみなされるべきではない。したがって、本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲に含まれる種々の改造例及び同様な構成例を含むことを意図しており、かかる本発明の精神及び範囲には、全てのかかる改造例及び同様な構造を含むよう最も広い解釈が与えられるべきである。