(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】タイヤ用ゴム組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 9/00 20060101AFI20240828BHJP
C08K 13/04 20060101ALI20240828BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20240828BHJP
C08K 7/26 20060101ALN20240828BHJP
C08K 3/013 20180101ALN20240828BHJP
【FI】
C08L9/00
C08K13/04
B60C1/00 A
C08K7/26
C08K3/013
(21)【出願番号】P 2020090587
(22)【出願日】2020-05-25
【審査請求日】2023-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】中川 隆太郎
(72)【発明者】
【氏名】進藤 涼平
(72)【発明者】
【氏名】片山 正人
【審査官】松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/174628(WO,A1)
【文献】特開2007-182520(JP,A)
【文献】特開2013-072004(JP,A)
【文献】国際公開第2008/078822(WO,A1)
【文献】特開2012-201879(JP,A)
【文献】特開2013-018837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00 - 101/14
C08K 3/00 - 13/08
B60C 1/00
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン‐ブタジエン共重合体
55質量%~95質量%とブタジエンゴム5質量%~45質量%とを含むジエン系ゴム100質量部に対して、中空環状構造を有するチューブ状無機鉱物としてハロイサイトが0.5質量部~20質量部、白色充填剤が前記チューブ状無機鉱物と合計で20質量部~200質量部配合されたことを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
【請求項2】
前記チューブ状無機鉱物のアスペクト比が7~50であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項3】
タイヤのトレッド部に用いられることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてタイヤのトレッド部に使用することを意図したタイヤ用ゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、タイヤのトレッド部を構成するタイヤ用ゴム組成物においては、安全性を高めるためにウェットグリップ性(以下、単に「ウェット性能」という場合がある)に優れることと、燃費性能を高くするために低発熱性に優れる(発熱が小さい)ことが求められる。例えば、特許文献1のタイヤ用ゴム組成物では、シリカおよび吸水性樹脂を配合することで、発熱性を小さくすると共に、ゴム組成物の動的粘弾性の挙動を改質してタイヤにしたときに良好なウェット性能が得られるようにすることを提案している。しかしながら、近年、タイヤに対する要求性能が高まり、ウェット性能および低発熱性を従来以上に高度に両立することが求められており、更なる検討が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ウェットグリップ性と低発熱性とを高度に両立することを可能にしたタイヤ用ゴム組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明のタイヤ用ゴム組成物は、スチレン‐ブタジエン共重合体55質量%~95質量%とブタジエンゴム5質量%~45質量%とを含むジエン系ゴム100質量部に対して、中空環状構造を有するチューブ状無機鉱物としてハロイサイトが0.5質量部~20質量部、白色充填剤が前記チューブ状無機鉱物と合計で20質量部~200質量部配合されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の発明者は、タイヤ用ゴム組成物にウェット性能を付与するための配合剤について鋭意研究した結果、中空環状構造を有するチューブ状無機鉱物がその構造によって毛細管現象のように吸水性を発揮する可能性に着目し、このチューブ状無機鉱物をタイヤ用ゴム組成物に配合することで優れたウェット性能が得られることを知見した。本発明は、この知見に基づいて、タイヤ用ゴム組成物を上述の配合で構成し、特にチューブ状無機鉱物を上述の配合量で配合しているので、優れたウェット性能を発揮することができる。また、このチューブ状無機鉱物を配合するにあたって、チューブ状無機鉱物および白色充填剤の配合量を上記の適度な範囲に収めているので、それによってもウェット性能を向上することができ、また、低発熱性を良好に維持することができる。
【0007】
本発明においては、チューブ状無機鉱物のアスペクト比が7~50であることが好ましい。このように適切な形状を有するチューブ状無機鉱物を用いることで、そこ構造に起因する優れたウェット性能を得るには有利になる。尚、チューブ状無機鉱物のアスペクト比は、電子顕微鏡の観察画像を解析することで測定することができる。
【0008】
本発明においては、チューブ状無機鉱物がケイ酸アルミニウムからなることが好ましい。ケイ酸アルミニウムは、自然界における生成条件によって様々な構造の鉱物として産出されるものであり、中空環状構造を有する鉱物(ハロイサイト)として産出される場合があるので、本発明のチューブ状無機鉱物を天然鉱物として確保することが可能になる。また、ケイ酸アルミニウムからなるチューブ状無機鉱物(ハロイサイト)は、中空環状構造の内部表面(中心部)がAl2O3に似た特性を持つ一方で、外表面がSiO2に似た特性を持つという性質があるため、その外表面の特性によってゴム組成物中の白色充填剤(シリカ)の分散が良好になり、低発熱性を改良するには有利になる。
【0009】
上述の本発明のタイヤ用ゴム組成物は、タイヤのトレッド部に好適に用いることができる。本発明のタイヤ用ゴム組成物をトレッド部に用いたタイヤは、上述の優れた物性によって、低発熱性とウェット性能とを高度に両立することができる。尚、本発明のタイヤ用ゴム組成物を適用するタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましいが、非空気式タイヤであってもよい。空気入りタイヤの場合は、その内部に空気、窒素等の不活性ガスまたはその他の気体を充填することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のタイヤ用ゴム組成物において、ゴム成分はジエン系ゴムであり、スチレン‐ブタジエン共重合体(スチレンブタジエンゴム)を必ず含み、かつ主成分とする。スチレンブタジエンゴムは末端変性されたものであってもよい。末端変性基としては、例えばアミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等が挙げられる。スチレン‐ブタジエン共重合体を主成分にするとは、ゴム成分100質量%中、スチレン‐ブタジエン共重合体を50質量%以上含むことを意味する。スチレンブタジエンゴムを含有することにより、操縦安定性およびグリップ性能を確保することができる。スチレンブタジエンゴムの含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは55質量%~95質量%、より好ましくは60質量%~90質量%である。
【0011】
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、スチレン‐ブタジエン共重合体以外の他のゴム成分を含有することができる。他のゴム成分としては、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、クロロプレンゴム等を例示することができる。なかでも天然ゴム、ブタジエンゴムが好ましい。他のゴム成分の含有量は、ゴム成分100質量%中50質量%以下、好ましくは5質量%~45質量%、より好ましくは10質量%~40質量%であるとよい。
【0012】
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、中空環状構造を有するチューブ状無機鉱物が必ず配合される。本発明の発明者の知見によれば、中空環状構造を有するチューブ状無機鉱物はその構造によって毛細管現象のように吸水性を発揮すると想定される。そのため、本発明のタイヤ用ゴム組成物は、中空環状構造を有するチューブ状無機鉱物が配合されることで、優れたウェット性能を発揮することができる。上述のゴム成分100質量部に対するチューブ状無機鉱物の配合量は0.5質量部~20質量部、好ましくは1質量部~18質量部である。チューブ状無機鉱物の配合量が0.5質量部未満であると、チューブ状無機鉱物が実質的に配合されないのと同等であるため、ウェット性能を向上する効果が得られない。チューブ状無機鉱物の配合量が20質量部を超えると、ゴム組成物中に占める無機鉱物の割合が多くなりすぎて、無機鉱物がゴム組成物中において実質的に異物となりゴム物性を悪化させるため、却ってウェット性能が低下する虞がある。また、他のタイヤ性能(例えば耐摩耗性)にも影響を及ぼす虞がある。
【0013】
チューブ状無機鉱物としては、上記のように中空環状構造を有するものであれば、いずれのものも使用することができる。特に、ケイ酸アルミニウムからなるチューブ状無機鉱物を好適に用いることができる。ケイ酸アルミニウムは、自然界における生成条件によって様々な構造の鉱物(板状構造を有するカオリナイトまたはカオリン、中空環状構造を有するハロイサイトなど)として産出されるものであるので、前述のハロイサイトを選択すれば、本発明のチューブ状無機鉱物を天然鉱物として確保することが可能になる。即ち、ケイ酸アルミニウムからなるチューブ状無機鉱物(ハロイサイト)は、天然で中空環状構造を有するものであるので、ウェット性能を向上するためにゴム組成物に配合するにあたって特段の加工は必要なく、コスト面で有用である。更に、ハロイサイトは、中空環状構造の内部表面(中心部)がAl2O3に似た特性を持つ一方で、外表面がSiO2に似た特性を持つという性質があるため、その外表面の特性によってシリカとの親和性が高い傾向がある。そのため、ゴム組成物に白色充填剤(シリカ)を配合するにあたって、上記のようにケイ酸アルミニウムからなるチューブ状無機鉱物(ハロイサイト)を併用することで、ゴム組成物中における白色充填剤(シリカ)の分散が良好になり、低発熱性を改良するには有利になる。尚、ケイ酸アルミニウムからなり板状構造を有する鉱物(本来は上記のようにカオリナイトまたはカオリンと呼ばれるもの)を指して「ハロイサイト」と呼称する場合もあるが、本発明におけるハロイサイトとは上記のように中空環状構造を有するものを指している。
【0014】
チューブ状無機鉱物は、中空環状構造(略円筒形状)を有するものであるが、そのアスペクト比は好ましくは7~50、より好ましくは10~20である。このように適切な形状を有するチューブ状無機鉱物を用いることで、その構造に起因する優れたウェット性能を得るには有利になる。アスペクト比が7未満であると、実質的にチューブ状(略円筒形状)にならないため、所望の効果が十分に得られない。アスペクト比が50を超えると
耐摩耗性が悪化する虞がある。チューブ状無機鉱物は上述のアスペクト比を有すればよいが、そのチューブ形状(略円筒形状)における平均外径が例えば0.1nm~100nm、平均内径が例えば0.05nm~100nm、平均長さが例えば0.5nm~1μmであるとよい。アスペクト比、平均外径、平均内径、平均長さは、それぞれ電子顕微鏡の観察画像を解析することで測定することができる。
【0015】
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、白色充填剤が必ず配合される。このように白色充填剤を配合することで(特に、カーボンブラックの代わりに適度な量を配合することで)、発熱性を小さくすることができる。またゴム組成物の動的粘弾性の挙動を改質しタイヤにしたときウェット性能を改良することもできる。白色充填剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対し、上述のチューブ状無機鉱物との合計で20質量部~200質量部、好ましくは30質量部~180質量部である。白色充填剤単独では、ゴム成分100質量部に対し、好ましくは10質量部~190質量部、より好ましくは15質量部~180質量部にするとよい。白色充填剤の配合量を前記の範囲にすることにより、シリカの分散性を良好にし、ゴム組成物の発熱性を小さくし、ウェットグリップ性能を改良することができる。
【0016】
白色充填剤としては、例えばシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸カルシウムを挙げることができる。これらを単独または2種以上を組合わせて使用してもよい。なかでもシリカが好ましく、ウェット性能および低発熱性をより優れたものにすることができる。
【0017】
シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらを単独または2種以上を組合わせて使用してもよい。シリカのCTAB吸着比表面積は、特に制限されるものではないが、好ましくは100m2 /g~300m2 /g、より好ましくは120m2 /g~230m2 /gであるとよい。シリカのCTAB吸着比表面積を100m2 /g以上にすることにより、ゴム組成物の耐摩耗性を確保することができる。またシリカのCTAB吸着比表面積を300m2 /g以下にすることにより、低発熱性を良好にすることができる。本明細書において、シリカのCTAB比表面積は、ISO 5794により測定された値とする
【0018】
本発明においては、シリカと共にシランカップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤を配合することにより、ジエン系ゴムに対するシリカの分散性を向上し、耐摩耗性および氷上性能のバランスをより高くすることができる。シランカップリング剤の種類は、シリカ配合のゴム組成物に使用可能なものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジサルファイド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラサルファイド、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン等の硫黄含有シランカップリング剤を例示することができる。シランカップリング剤の配合量は、シリカの重量に対し、好ましくは3質量%~20質量%にするとよく、より好ましくは5質量%~15質量%にするとよい。シランカップリング剤の配合量がシリカ配合量の3質量%未満であるとシリカの分散を十分に改良することができない虞がある。シランカップリング剤の配合量がシリカ配合量の20質量%を超えるとシランカップリング剤同士が縮合し、ゴム組成物における所望の硬度や強度を得ることができない。
【0019】
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上述の白色充填剤の他に、充填剤としてカーボンブラックを含んでいてもよい。カーボンブラックを配合する場合、その配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、好ましくは10質量部~170質量部、より好ましくは15質量部~150質量部に収めるとよい。カーボンブラックを含む場合であっても、このようにカーボンブラックの配合量を少なく収めることで、上述の低発熱性を改良する効果を妨げることなく、ゴム組成物の機械的特性(硬度や耐摩耗性等の基本的なタイヤ性能)を良好にすることができる。カーボンブラックとしては、窒素吸着比表面積N2 SAが例えば60m2 /g~200m2 /gのものを用いることができる。本明細書において、カーボンブラックの窒素吸着比表面積N2 SAは、JIS K6217‐2に準拠して測定するものとする。
【0020】
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、加硫または架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、液状ポリマー、テルペン系樹脂、熱硬化性樹脂などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲内で配合することができる。またこれら添加剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫または架橋するのに使用することができる。これら添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。タイヤ用ゴム組成物は、通常のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。
【0021】
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上述のように優れたウェット性能と低発熱性を高度に両立することができる。そのため、空気入りタイヤに用いる場合は、例えばトレッド部に好適に用いることができる。
【0022】
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0023】
表1に記載の組成からなる8種類のタイヤ用ゴム組成物(標準例1、比較例1~4、実施例1~3)を調製するにあたり、硫黄および加硫促進剤を除く成分を1.7Lのバンバリーミキサーで5分間混練し、145℃に達したとき放出しマスターバッチとした。得られたマスターバッチに、硫黄および加硫促進剤を加えて70℃のオープンロールで混練することにより、8種類のタイヤ用ゴム組成物を得た。
【0024】
得られたタイヤ用ゴム組成物について、下記に示す方法により、ウェットグリップ性能と低発熱性の評価を行った。
【0025】
低発熱性
得られたタイヤ用ゴム組成物を、所定形状の金型(内寸:長さ150mm、幅150mm、厚さ2mm)を用いて170℃、10分間加硫し、加硫ゴム試験片を作成した。その加硫ゴム試験片を使用し、JIS K6394に準拠して、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所社製)を用いて、伸張変形歪率10%±2%、振動数20Hz、温度60℃の条件でtanδを測定した。得られた結果はそれぞれの値の逆数を算出し、標準例1の値を100する指数で表わし、表1の「低発熱性」の欄に示した。この指数が大きいほど60℃におけるtanδが小さく、低発熱性に優れる(発熱性が小さい)ことを意味する。
【0026】
ウェット性能
得られたタイヤ用ゴム組成物を、所定形状の金型(内寸:長さ150mm、幅150mm、厚さ2mm)を用いて170℃、10分間加硫し、加硫ゴム試験片を作成した。その加硫ゴム試験片を使用し、JIS K6394に準拠して、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所社製)を用いて、伸張変形歪率10%±2%、振動数20Hz、温度0℃の条件でtanδを測定した。得られた結果は、標準例1の値を100する指数で表わし、表1の「ウェット性能」の欄に示した。この指数が大きいほど0℃におけるtanδが大きく、ウェット性能(ウェットグリップ性能)に優れることを意味する。
【0027】
【0028】
表1において使用した原材料の種類を下記に示す。
・SBR:スチレンブタジエンゴム、日本ゼオン社製NIPOL 1502
・BR:ブタジエンゴム、日本ゼオン社製NIPOL BR1220
・CB:カーボンブラックキャボットジャパン社製ショウブラックN339(窒素吸着比表面積N2 SA:94m2 /g)
・白色充填剤:シリカ、ローディア社製Zeosil 1165MP(CTAB比表面積:159m2 /g)
・無機鉱物1:チューブ状無機鉱物(ハロイサイト)、APPLIED MINERALS社製DragoniteHP‐A(アスペクト比:10~20、pH=7)
・無機鉱物2:球状無機鉱物を想定した上記無機鉱物1の粉砕物(アスペクト比:1~5)
・無機鉱物3:板状無機鉱物(カオリン)、竹原化学工業社製カオリンクレーRC‐1
・シランカップリング剤:Evonik Degussa社製Si69
・オイル:昭和シェル石油社製エキストラクト4号S
・老化防止剤:Solutia Europe社製SANTOFLEX 6PPD
・ワックス:大内新興化学工業(株)社製パラフィンワックス
・硫黄:鶴見化学工業社製金華印油入微粉硫黄
・加硫促進剤:大内新興化学工業社製ノクセラーCZ‐G
【0029】
表1から明らかなように、実施例1~3のタイヤ用ゴム組成物は、標準例1に対して、優れたウェット性能および低発熱性を高度に両立した。一方、比較例1は、チューブ状無機鉱物の配合量が少なすぎるため、ウェット性能および低発熱性を改善する効果が得られなかった。比較例2は、チューブ状無機鉱物の配合量が多すぎるため、却ってウェット性能が悪化した。比較例3は、チューブ状無機鉱物ではなく、球状無機鉱物が配合されたため、ウェット性能が悪化した。比較例4は、チューブ状無機鉱物ではなく、板状無機鉱物が配合されたため、ウェット性能が悪化した。