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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240828BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240828BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q50/10
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020176539
(22)【出願日】2020-10-21
(65)【公開番号】P2022067766
(43)【公開日】2022-05-09
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】青木 功
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-233714(JP,A)
【文献】特開2003-203111(JP,A)
【文献】特開2018-147505(JP,A)
【文献】特開2010-043867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯装置と、
外部通信網を介して前記給湯装置と通信可能なサーバと、を備え、
前記給湯装置は、
異なる給湯先へ供給される湯が流れる複数の流路と、
前記給湯装置の前記流路により区分される機能ごとに、当該機能の使用状況を監視する使用状況監視部と、
前記機能の使用状況に関する使用状況情報を前記サーバに送信する使用状況送信部と、を備え、
前記サーバは、
前記使用状況送信部から受信した前記使用状況情報に基づいて前記給湯装置の使用料金に関する課金情報を生成する課金情報生成部と、
前記課金情報の送信先アドレスを前記給湯装置に対応付けて記憶する記憶部と、
前記外部通信網を介して前記課金情報を前記送信先アドレスに送信する課金情報送信部と、を備え、
前記課金情報生成部は、前記機能が使用された回数に基づいて前記課金情報を生成する、
ことを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
給湯装置と、
外部通信網を介して前記給湯装置と通信可能なサーバと、を備え、
前記給湯装置は、
異なる給湯先へ供給される湯が流れる複数の流路と、
前記給湯装置の前記流路により区分される機能ごとに、当該機能の使用状況を監視する使用状況監視部と、
前記機能の使用状況に関する使用状況情報を前記サーバに送信する使用状況送信部と、を備え、
前記サーバは、
前記使用状況送信部から受信した前記使用状況情報に基づいて前記給湯装置の使用料金に関する課金情報を生成する課金情報生成部と、
前記課金情報の送信先アドレスを前記給湯装置に対応付けて記憶する記憶部と、
前記外部通信網を介して前記課金情報を前記送信先アドレスに送信する課金情報送信部と、を備え、
前記課金情報生成部は、前記機能が使用された時間に基づいて前記課金情報を生成する、
ことを特徴とする給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置およびサーバを備える給湯システム、および外部通信網を介して給湯装置と通信可能なサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯器で生成された湯水を、台所の蛇口や、浴槽、カラン等に供給する給湯装置が知られている。また、近年、インターネット等の外部通信網を介して、給湯装置と通信可能なサーバを備える給湯システムが開発されている。
【0003】
たとえば、以下の特許文献1に記載の風呂システムでは、給湯器を備える風呂装置とサーバとがネットワークを介して通信可能に構成されている。このシステムでは、風呂装置で検出された入浴時間がサーバに送信され、さらに、サーバから、当該風呂装置に対応付けられている携帯端末に、入浴時間が送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-47182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、給湯装置のリース事業が展開されている。このリース事業では、月極の固定額の使用料金を事業主に支払う方式が採用されている。固定額は、給湯装置の価格をベースに算定される。よって、給湯機能のみの給湯装置に比べて、ふろの追い焚き機能および床、室内等の暖房機能の何れの機能が付加された複合機能の給湯装置では固定額は高くなり、双方の機能が付加された給湯装置では、さらに固定額が高くなる。このため、リース当初、追い焚きや暖房の機能の必要性が低いと考える使用者は、使用料金を抑えるため、複合機能の給湯装置を避けやすい。そして、後にこれら機能が必要となっても、使用者は、複合機能の給湯装置に切り替える対応を、直ちに取りづらい。
【0006】
よって、使用者にとって、給湯装置のリース使用の利便性に欠け、事業主にとっても、リース事業の展開を円滑に進めにくくなる。
【0007】
かかる課題に鑑み、本発明は、給湯装置のリース使用を使用者においてより好ましく行うことが可能な給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、給湯システムに関する。この態様に係る給湯システムは、給湯装置と、外部通信網を介して前記給湯装置と通信可能なサーバと、を備える。ここで、前記給湯装置は、異なる給湯先へ供給される湯が流れる複数の流路と、前記給湯装置の前記流路により区分される機能ごとに、当該機能の使用状況を監視する使用状況監視部と、前記機能の使用状況に関する使用状況情報を前記サーバに送信する使用状況送信部と、を備える。また、前記サーバは、前記使用状況送信部から受信した前記使用状況情報に基づいて前記給湯装置の使用料金に関する課金情報を生成する課金情報生成部と、前記課金情報の送信先アドレスを前記給湯装置に対応付けて記憶する記憶部と、前記外部通信網を介して前記課金情報を前記送信先アドレスに送信する課金情報送信部と、を備える。前記課金情報生成部は、前記機能が使用された回数に基づいて前記課金情報を生成する。
本発明の第2の態様は、給湯システムに関する。この態様に係る給湯システムは、給湯装置と、外部通信網を介して前記給湯装置と通信可能なサーバと、を備える。ここで、前記給湯装置は、異なる給湯先へ供給される湯が流れる複数の流路と、前記給湯装置の前記流路により区分される機能ごとに、当該機能の使用状況を監視する使用状況監視部と、前記機能の使用状況に関する使用状況情報を前記サーバに送信する使用状況送信部と、を備える。また、前記サーバは、前記使用状況送信部から受信した前記使用状況情報に基づいて前記給湯装置の使用料金に関する課金情報を生成する課金情報生成部と、前記課金情報の送信先アドレスを前記給湯装置に対応付けて記憶する記憶部と、前記外部通信網を介して前記課金情報を前記送信先アドレスに送信する課金情報送信部と、を備える。前記課金情報生成部は、前記機能が使用された時間に基づいて前記課金情報を生成する。
【0009】
第1および第2の態様に係る給湯システムによれば、給湯装置の流路により区分される機能ごとの使用状況に基づいて使用料金が設定される。これにより、使用者は、不要な機能を使用しなければ、使用料金を低く抑えることができ、また、当初は不要な機能であっても必要になったときはその機能を使用できる。よって、使用者にとって、リース使用の利便性が高くなる。また、課金情報が、サーバから送信先アドレスに送信されて、使用者に通知される。これにより、使用者は、予め、課金の状況を把握でき、給湯装置の使用を安心に行うことができる。よって、使用者は、給湯装置のリース使用をより好ましく継続できる。
【0011】
さらに、給湯装置が備える各流路の使用状況に見合った使用料金を設定できる。
【0015】
さらに、第1の態様に係る給湯システムによれば、サーバに送信されるデータ量を少なくできる。
【0017】
さらに、第2の態様に係る給湯システムによれば、より実際に近い使用状況に応じた使用料金の設定が行える。
【発明の効果】
【0025】
以上のとおり、本発明によれば、給湯装置のリース使用を使用者においてより好ましく行うことが可能な給湯システムを提供することができる。
【0026】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、実施形態1に係る、給湯システムの構成を示す図である。
図2図2(a)および(b)は、それぞれ、実施形態1に係る、浴室リモコンおよび台所リモコンの構成を示す図である。
図3図3は、実施形態1に係る、給湯システムを構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
図4図4は、実施形態1に係る、給湯器の燃焼系および配管の構成を模式的に示す図である。
図5図5(a)および(b)は、それぞれ、実施形態1に係る、使用状況データベースおよび課金データベースの構成を示す図である。
図6図6(a)は、実施形態1に係る、給湯器の制御部において行われる機能ごとの使用状況の監視および送信の処理を示すフローチャートである。図6(b)は、実施形態1に係る、サーバの制御部において行われる課金情報の生成および送信の処理を示すフローチャートである。
図7図7(a)および(b)は、それぞれ、実施形態2に係る、使用状況データベースおよび課金データベースの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る、給湯システム1の構成を示す図である。
【0030】
本実施形態では、給湯装置10が使用者にリースされる場合のビジネスモデルが、給湯システム1において構築されている。給湯装置10は、当該給湯装置10の使用状況に関する使用状況情報を、外部通信網40を介して、サーバ50に送信する。サーバ50は、受信した使用状況情報に基づいて、当該給湯装置10の使用料金を算出し、算出した使用料金を含む課金情報を、当該給湯装置10に対応付けられている携帯端末装置30に送信する。使用者は、携帯端末装置30を介して、給湯装置10の課金情報を確認できる。使用料金は、たとえば、月締めで算出される。
【0031】
図1に示すように、給湯システム1は、給湯装置10と、サーバ50とを備える。携帯端末装置30が宅内H10にある場合、サーバ50は、ルータ20および外部通信網40を介して、携帯端末装置30と通信可能である。また、サーバ50は、携帯端末装置30が宅外にある場合も、外部通信網40および宅外に配置された通信システム(基地局や民間のルータ)を介して、携帯端末装置30と通信可能である。
【0032】
給湯装置10は、給湯器11と、リモートコントローラ12、13とを備えている。給湯器11は、ガスを燃料として湯を供給するガス給湯器である。即ち、給湯装置10は、ガス燃料を燃焼させて生じる燃焼ガスで水を温める燃焼式給湯装置である。給湯装置10が、オイル燃料を燃焼させて生じる燃焼ガスで水を温める燃焼式給湯装置であってもよい。
【0033】
給湯器11により生成された湯は、台所の蛇口や、浴槽、カラン等に供給される。また、床暖房機能や、室内暖房機能、浴室暖房機能を実現するそれぞれの機器に対して、給湯器11から湯が供給される。
【0034】
リモートコントローラ12、13は、給湯器11に接続され、給湯装置10の各機能について種々の設定や実行指示を行うために用いられる。リモートコントローラ12は、液晶パネルからなる表示部121と、入力部122とを備え、リモートコントローラ13は、タッチパネルからなる表示入力部131と、運転ボタン132とを備える。操作者は、表示部121に表示された画面に従って入力部122を操作することにより、湯張りや給湯温度調節等について、任意の設定を行うことができる。また、操作者は、表示入力部131を操作することによっても、湯張り等の設定を行える。
【0035】
リモートコントローラ12は、浴室に設置され、リモートコントローラ13は、キッチン等に設置される。リモートコントローラ12、13には、音声を入出力するための音声窓12a、13aが設けられている。
【0036】
以下、浴室に設置されるリモートコントローラ12を、「浴室リモコン12」と称し、キッチン等に設置されるリモートコントローラ13を、「台所リモコン13」と称する。
【0037】
図2(a)および(b)は、それぞれ、浴室リモコン12および台所リモコン13の構成を示す図である。
【0038】
図2(a)に示すように、浴室リモコン12の入力部122には、運転ボタン122a、ふろ自動ボタン122b、追い焚きボタン122c、足し湯ボタン122d、足し水ボタン122eおよび通話ボタン122fが含まれる。
【0039】
運転ボタン122aは、給湯器11を運転オン状態と運転オフ状態とに切り替えるためのボタンである。運転オン状態であるとき、カラン等の給湯栓が開かれて基準流量以上の通水が発生すると、給湯器11が燃焼動作し、生成された湯がカラン等へ供給される。よって、運転ボタン122aは、給湯機能を実行するためのボタンであるとも言える。ふろ自動ボタン122bは、浴槽に湯を張った後、湯温を維持するふろ自動機能を実行するためのボタンである。追い焚きボタン122cは、浴槽の湯を追い焚きする追い焚き機能を実行するためのボタンである。足し湯ボタン122dは、浴槽に湯を足す足し湯機能を実行するためのボタンである。足し水ボタン122eは、浴槽に水を足す足し水機能を実行するためのボタンである。通話ボタン122fは、浴室リモコン12と台所リモコン13との間で通話を行う通話機能を実行するためのボタンである。
【0040】
図2(b)示すように、台所リモコン13の表示入力部131には、画面上に表示されるソフトボタンである、ふろ自動ボタン131a、追い焚きボタン131b、足し湯ボタン131c、足し水ボタン131d、通話ボタン131e、床暖房ボタン131f、室内暖房ボタン131gおよび浴室暖房ボタン131hが含まれる。運転ボタン132、ふろ自動ボタン131a、追い焚きボタン131b、足し湯ボタン131c、足し水ボタン131d、通話ボタン131eは、それぞれ、運転ボタン122a、ふろ自動ボタン122b、追い焚きボタン122c、足し湯ボタン122d、足し水ボタン122eおよび通話ボタン122fと同じ機能のボタンである。床暖房ボタン131fは、床暖房機へ湯を供給して床を暖める床暖房機能を実行するためのボタンである。室内暖房ボタン131gは、パネルヒータ等の室内暖房機へ湯を供給して室内を暖房する室内暖房機能を実行するためのボタンである。浴室暖房ボタン131hは、浴室換気乾燥暖房機へ湯を供給して浴室を暖房する浴室暖房機能を実行するためのボタンである。浴室暖房機能には、洗濯物等の乾燥のための暖房、即ち浴室乾燥が含まれる。
【0041】
浴室リモコン12および台所リモコン13が運転オフ状態にあるとき、表示部121および表示入力部131は消灯状態にあり、運転ボタン122a、132以外の操作ボタンの操作は受け付けられない。運転ボタン122a、132が操作され、運転オン状態になると、表示部121および表示入力部131が点灯して設定内容が表示され、各操作ボタンの操作が受け付け可能となる。
【0042】
さらに、入力部122および表示入力部131には、図示しない、給湯温度を変更するためのボタンが含まれている。操作者は、このボタンを操作することにより、給湯の設定温度を変更することができる。
【0043】
図1に戻り、ルータ20は、建物内(ここでは、宅内H10)に存在する各機器を、外部通信網40に接続するための通信中継器である。携帯端末装置30が宅内H10に存在する場合、携帯端末装置30は、無線通信によりルータ20に接続されて、サーバ50と通信可能である。携帯端末装置30は、たとえば、携帯電話機である。この他、携帯端末装置30が、携帯型のタブレット端末等の他の携帯可能な端末装置であってもよい。外部通信網40は、たとえば、インターネットである。
【0044】
外部通信網40には、給湯装置10を管理するためのサーバ50が接続されている。台所リモコン13は、ルータ20および外部通信網40を介して、サーバ50と通信を行う。
【0045】
台所リモコン13には、給湯システム1のアプリケーションプログラムが、サーバ50からダウンロードされ、インストールされている。このアプリケーションプログラムに、サーバ50にアクセスするためのアドレス情報(たとえば、IPアドレス)が含まれている。台所リモコン13は、このアドレス情報に基づいて、サーバ50にアクセスし、通信を行う。
【0046】
台所リモコン13のアドレス情報は、初期設定の際に、サーバ50に送信されて、サーバ50に登録される。さらに、台所リモコン13のID情報(識別情報)が、台所リモコン13からサーバ50に送信されて、サーバ50に登録される。
【0047】
また、台所リモコン13のID情報に対応付けて、携帯端末装置30のアドレス情報が、サーバ50に登録される。たとえば、携帯端末装置30が受信可能な電子メールのアドレス情報(Emailアドレス)が、携帯端末装置30のアドレス情報として登録される。後述のように、サーバ50は、このアドレス情報を送信先アドレスとして、当該携帯端末装置30に対応付けられている給湯装置10(台所リモコン13)の課金情報を送信する。
【0048】
図3は、給湯システム1を構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
【0049】
給湯器11は、制御部111と、記憶部112と、通信部113と、検出部114と、を備える。制御部111は、マイクロコンピュータを備え、記憶部112に記憶されたプログラムに従って、給湯器11内の各部の制御を行う。記憶部112は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。
【0050】
本実施形態では、記憶部112に記憶された制御プログラムによって、使用状況監視部111aの機能が制御部111に付与される。使用状況監視部111aは、後述のように、給湯装置10の予め定められた機能ごとに、当該機能の使用状況を監視する。
【0051】
通信部113は、制御部111からの制御に従って、浴室リモコン12および台所リモコン13と通信を行う。通信部113は、2芯通信線L1、L2を介して、浴室リモコン12の通信部125および台所リモコン13の通信部135と接続されている。また、2芯通信線L1、L2は、通信部113の内部において、互いに接続されている。したがって、浴室リモコン12の通信部125と台所リモコン13の通信部135は、2芯通信線L1、L2によって互いに接続されている。このため、通信部113、125、135の何れかから送信された信号は、他の通信部に同時に送信される。
【0052】
検出部114は、給湯器11に配置された各種センサを含んでいる。たとえば、検出部114は、湯水の温度を検出するための温度センサ、および、湯水の供給を検出するための流量センサ等を含んでいる。
【0053】
図4は、給湯器11の燃焼系および配管の構成を模式的に示す図である。
【0054】
給湯器11は、その外郭を形成する筐体200内に、第1供給部210と第2供給部220とを備える。第1供給部210は、給湯機能のために、給湯用の湯を生成して、カラン、浴槽等の給湯端末に供給する。第2供給部220は、床暖房、室内暖房および浴室暖房を含む暖房機能のために、暖房用の湯を生成して床暖房機等の暖房端末に供給する。さらに、第2供給部220は、追い焚き機能のために、追い焚き用の湯を生成して浴槽に供給する。
【0055】
さらに、筐体200には、燃焼室を構成する缶体250と、缶体250の内部に燃焼用の空気を供給するためのファン260とが収容されている。缶体250の排気口251は、筐体200の上面から外部に導かれている。
【0056】
第1供給部210は、1次熱交換器211と、2次熱交換器212と、燃焼器213とを備える。燃焼器213は、燃料ガスを燃焼させるガスバーナである。1次熱交換器211および2次熱交換器212は、燃焼器213で生じた燃焼ガスから熱を回収して、入水管214を流れる水を加熱昇温させる。入水管214には、水源からの水が供給される。1次熱交換器211および2次熱交換器212における熱交換により生成された湯が、出湯管215から出湯される。出湯された湯は、台所および浴室のカランや、浴槽に供給される。
【0057】
入水管214と出湯管215の間には、バイパス管216が設けられている。このバイパス管216に、制御部111によって制御される流量調節弁217が設置されている。流量調節弁217が開放されると、バイパス管216を介して、入水管214から出湯管215に水が流入する。こうして、出湯管215を流れる湯に水が混ざることで、湯の温度が調整される。
【0058】
入水管214、出湯管215およびバイパス管216により、出湯先をカラン、浴槽等の出湯端末とする、給湯機能のための給湯流路F1が構成される。
【0059】
燃焼器213には、ガス管271を介して、燃料ガスが供給される。ガス管271には、燃料ガスの供給および遮断を切り替えるための元ガス電磁弁272が設置されている。元ガス電磁弁272は、制御部111によって制御される。ガス管271は、元ガス電磁弁272の下流側において2つの流路271a、271bに分岐している。流路271a、271bには、それぞれ、燃料ガスの流通量を制御するための比例弁273、274が設置されている。比例弁273、274は、制御部111によって制御される。
【0060】
流路271a、271bは、それぞれ、燃焼器213、223に接続されている。元ガス電磁弁272が開放されると、比例弁273、274により規定される流通量の燃料ガスが、燃焼器213、223に供給される。これにより、所定の燃焼量で燃焼器213、223が燃焼を行う。
【0061】
第2供給部220は、1次熱交換器221と、2次熱交換器222と、燃焼器223とを備える。燃焼器223は、燃料ガスを燃焼させるガスバーナである。1次熱交換器221および2次熱交換器222は、それぞれ、燃焼器223で生じた燃焼ガスから熱を回収して、流通管234、233を流れる水を加熱昇温させる。
【0062】
流通管231~235により、床暖房機、室内暖房機、浴室換気乾燥暖房機等の暖房端末を給湯先とする、暖房機能のための暖房流路F2が構成され、流通管241~243により、浴槽を給湯先とする、追い焚き機能のための追い焚き流路F3が構成される。
【0063】
暖房機能について、流通管231から出湯された湯は、比較的高温(たとえば、80℃程度)の湯を必要とする暖房端末、即ち室内暖房機と浴室換気乾燥暖房機に供給される。流通管232から出湯された湯は、比較的低温(たとえば、60℃程度)の温水を必要とする暖房端末、即ち床暖房機に供給される。これらの暖房端末を循環した湯は、流通管233に戻される。即ち、流通管231、232、233と、これらの流通管と暖房端末とを接続する配管、および、流通管234、235とによって、暖房端末との間の循環経路が構成される。
【0064】
暖房用の流路と暖房端末との間で湯を循環させるために、膨張タンク236とポンプ237が設置されている。制御部111によりポンプ237が駆動されると、膨張タンク236内の湯が、流通管231、232を通って各暖房端末に導入され、さらに、各暖房端末を通った湯が、流通管233に戻される。流通管233に戻された湯は、2次熱交換器222で加熱昇温され、膨張タンク236に貯留される。
【0065】
膨張タンク236に貯留された低温の湯は、流通管232を通って、低温の暖房端末に供給される。また、膨張タンク236に貯留された低温の湯は、流通管234を通って1次熱交換器221に流通され、高温の湯に加熱昇温される。その後、高温の湯は、流通管231を通って、高温の暖房端末に供給される。このとき、流通管235に設置された流量調節弁238が、適宜、制御部111により開かれる。これにより、膨張タンク236内の低温の湯が、流通管231を流れる高温の湯に混ぜられて、流通管231から出湯される温水の温度が調整される。こうして、各暖房端末と、1次熱交換器221および2次熱交換器222との間で、低温または高温の湯が循環される。なお、流通管231、232には、図示しない開閉弁が設けられ、高温の暖房端末のみに湯を供給するときには、低温用の流通管232の開閉弁が閉鎖され、低温の暖房端末のみに湯を供給するときには、高温用の流通管231の開閉弁が閉鎖される。
【0066】
追い焚き機能について、流通管241から出湯された湯は、浴槽に供給された後、浴槽から流通管243に戻される。すなわち、流通管241、242と、これらの流通管と浴槽とを接続する配管とによって、浴槽との間の循環経路が構成される。流通管242には、浴槽との間で湯を循環させるためのポンプ244が設置されている。さらに、流通管242には、流通管243を流れる温水との間で熱交換を行うための液液熱交換器245が設置されている。
【0067】
追い焚き時には、制御部111によりポンプ237が駆動された状態で、制御部111により開閉弁246が開放される。これにより、1次熱交換器221で加熱昇温された湯が流通管243を流れ、液液熱交換器245により、流通管242を流れる湯が加熱昇温される。加熱昇温された湯は、ポンプ244の駆動により、浴槽に供給される。こうして、浴槽と流通管241、242との間で循環する湯が液液熱交換器245で加熱昇温されることにより、浴槽内の湯に対する追い焚きが行われる。
【0068】
また、筐体200内には、湯の供給動作を実行するための各種センサが設置されている。即ち、7つのサーミスタS1~S7(温度センサ)が、筐体200内に設置されている。
【0069】
サーミスタS1は、出湯管215から出湯される直前の湯水の温度を検知し、サーミスタS2は、缶体250の出口付近において出湯管215を流れる湯水の温度を検知する。サーミスタS3、S4は、それぞれ、流通管231、232から各暖房端末に出湯される直前の湯水の温度を検知し、サーミスタS5は、各暖房端末から流通管233に戻された湯水の温度を検知する。サーミスタS6は、流通管241から浴槽に出湯される直前の湯水の温度を検知し、サーミスタS7は、浴槽から流通管242に戻された湯水の温度を検知する。
【0070】
この他、出湯管215を流れる湯水の流量を検知するための流量センサS8が筐体200内に設置される。制御部111は、流量センサS8により所定量以上の流量が検知されると、第1供給部210を動作させる。サーミスタS1~S7および流量センサS8は、図3の検出部114に含まれる。
【0071】
本実施形態では、給湯流路F1、暖房流路F2および追い焚き流路F3により区分される給湯機能、暖房機能および追い焚き機能ごとの使用状況が、使用状況監視部111aにより監視される。使用状況監視部111aは、何れかの機能が使用されると、機能の使用状況を示す使用状況情報として、1回の使用を示す情報または使用時間を、使用された機能に対応付けて、随時、台所リモコン13に送信する。
【0072】
図3に戻り、浴室リモコン12は、上述の表示部121および入力部122の他、制御部123と、記憶部124と、通信部125と、マイクロホン126と、スピーカ127を備える。
【0073】
制御部123は、マイクロコンピュータを備え、記憶部124に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部124は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。通信部125は、制御部123からの制御に従って、給湯器11および台所リモコン13と通信を行う。
【0074】
マイクロホン126は、音声窓12aを介して、音声を集音し、音声信号を出力する。スピーカ127は、音声信号に基づく音声を、音声窓12aを介して出力する。通話機能において、マイクロホン126に入力された音声が台所リモコン13へ送信され、台所リモコン13から受信した音声がスピーカ127から出力される。
【0075】
台所リモコン13は、上述の表示入力部131および運転ボタン132の他、制御部133と、記憶部134と、通信部135と、マイクロホン136と、スピーカ137と、無線通信部138とを備える。
【0076】
制御部133は、マイクロコンピュータを備え、記憶部134に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部134は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。
【0077】
図5(a)に示すように、記憶部134には、給湯機能、暖房機能および追い焚き機能ごとに、その機能に係る使用状況情報の累積値が保持される使用状況データベースが設けられている。具体的に、使用状況データベースには、機能ごとに、累積された使用回数または累積された使用時間が保持される。
【0078】
本実施形態では、記憶部134に記憶された制御プログラムによって、使用状況送信部133aの機能が制御部133に付与される。
【0079】
使用状況送信部133aは、給湯器11の使用状況監視部111aから使用状況情報(1回の使用を示す情報、使用時間の何れか)を受信すると、記憶部134の使用状況データベースを更新する。即ち、使用状況データベース内において、該当する機能の使用状況情報を累積する。たとえば、1回の使用を示す情報が受信された場合、使用回数が1回増やされる。また、使用時間が受信された場合、現在の使用時間に受信された使用時間が加算される。
【0080】
使用状況送信部133aは、所定のタイミングで、使用状況データベース内の機能ごとの使用状況情報を、自身のID情報とともに、サーバ50に送信する。機能ごとの使用状況情報には、機能を識別するための識別情報が付加される。使用状況データベース内の使用状況情報は、当該情報の送信後にクリアされる。
【0081】
使用状況送信部133aは、給湯装置10の使用料金を算出するための単位設定期間(たとえば、1ヶ月)において、少なくとも1回、機能ごとの使用状況情報を、無線通信部138を介して、サーバ50に送信する。あるいは、使用状況送信部133aは、単位設定期間に複数回、使用状況情報を送信してもよい。単位設定期間に1回の送信が行われる場合、単位設定期間に累積された機能ごとの使用状況情報(使用回数、使用時間)がサーバ50に送信され、単位設定期間に複数回の送信が行われる場合、前回の送信から今回の送信までの間に累積された機能ごとの使用状況情報がサーバ50に送信される。
【0082】
通信部135は、制御部133からの制御に従って、給湯器11および浴室リモコン12と通信を行う。
【0083】
マイクロホン136は、音声窓13aを介して、音声を集音し、音声信号を出力する。スピーカ137は、音声信号に基づく音声を、音声窓13aを介して出力する。通話機能において、マイクロホン136に入力された音声が浴室リモコン12へ送信され、浴室リモコン12から受信した音声がスピーカ137から出力される。
【0084】
無線通信部138は、ルータ20との間で無線通信が可能な無線通信モジュールである。サーバ50には、台所リモコン13(給湯装置10)のアドレス情報およびID情報として、無線通信部138のアドレス情報およびID情報が登録される。
【0085】
サーバ50は、制御部501と、記憶部502と、通信部503を備える。制御部501は、CPUを備え、記憶部502に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部502は、メモリおよびハードディスクを備え、所定の制御プログラムおよびデータベースを記憶する。通信部503は、制御部501からの制御に従って、所定の制御を行う。
【0086】
本実施形態では、記憶部502に記憶された制御プログラムによって、課金情報生成部501aの機能と、課金情報送信部501bの機能が、制御部501に付与される。
【0087】
課金情報生成部501aは、台所リモコン13の使用状況送信部133aから受信した機能ごとの使用状況情報に基づいて、単位設定期間における給湯装置10の使用料金を算出し、算出した使用料金を含む課金情報を生成する。課金情報送信部501bは、課金情報生成部501aによって生成された課金情報を、当該台所リモコン13に対応付けられている携帯端末装置30に送信する。
【0088】
サーバ50の記憶部502には、課金データベースが保持されている。図5(b)に、課金データベースの構成が示されている。
【0089】
課金データベースには、それぞれの台所リモコンIDに対応付けられて、当該台所リモコンIDで特定される給湯装置10における、機能ごとの期間使用累積値、使用料金および送信先アドレスが保持される。
【0090】
「台所リモコンID」とは、台所リモコン13のID情報(無線通信部138のID情報)を意味する。「期間使用累積値」とは、現在進行中の単位設定期間における給湯装置10の各機能の使用累積値を意味する。「使用料金」とは、期間使用累積値に基づいて算出される使用料金を意味する。「送信先アドレス」とは、課金情報の送信先アドレスを意味する。本実施形態では、送信先アドレスとして、携帯端末装置30が受信可能な電子メールのアドレス情報(Emailアドレス)が設定される。
【0091】
「期間使用累積値」は、現在進行中の単位設定期間において、台所リモコン13から受信した使用状況情報を累積して求めた値である。たとえば、使用料金の算出に各機能の使用回数が用いられる場合、現在進行中の単位設定期間において、台所リモコン13から使用状況情報として受信した使用回数を累積することにより、期間使用累積値が算出される。また、使用料金の算出に各機能の使用時間が用いられる場合、現在進行中の単位設定期間において、台所リモコン13から使用状況情報として受信した使用時間を累積することにより、期間使用累積値が算出される。
【0092】
なお、単位設定期間において、台所リモコン13から使用状況情報が1回しか送信されない場合、すなわち、単位設定期間の終了時に、当該単位設定期間における使用状況情報の累積値が台所リモコン13からサーバ50に送信される場合、図5(b)の期間使用累積値には、この累積値がそのまま保持される。
【0093】
「使用料金」は、以下のようにして求められる。即ち、機能ごとの期間使用累積値に、その機能に定められた単位使用値当たりの料金(以下、「単位料金」という)を乗じることにより、機能ごとの個別の使用料金が求められる。そして、全ての個別の使用料金を合算することにより、使用料金が求められる。単位料金は、全ての機能にについて同じとすることができる。あるいは、単位料金は、機能ごとに異なっていてもよい。たとえば、単位料金の高い機能の順が、暖房機能、追い焚き機能、給湯機能の順とされてもよい。
【0094】
なお、機能ごとの期間使用累積値がゼロであっても一定額の個別の使用料金が発生するようにされてもよい。また、機能ごとの期間使用累積値が大きくなるに従い、段階的に単位料金が低くなるようにされてもよい。
【0095】
図6(a)は、給湯器11の制御部111において行われる機能ごとの使用状況の監視および送信の処理を示すフローチャートである。この処理は、図3の使用状況監視部111aの機能により実行される。
【0096】
制御部111は、給湯機能、追い焚き機能および暖房機能のうち、何れかの機能が使用されか否かを監視する(S101)。そして、何れかの機能が使用されると(S101:YES)、制御部111は、その機能の使用状況情報、即ち、1回の使用を示す情報または使用時間を、その機能に対応付けて、たとえば、その機能を識別する識別情報を付加して台所リモコン13に送信する(S102)。
【0097】
給湯機能が使用される場合、出湯管215に設けられた流量センサS8により所定量以上の流量が検知される。制御部111は、流量センサS8により所定量以上の流量が検知されなくなると、1回の使用を示す情報を、給湯機能の識別情報を付加して送信する。あるいは、制御部111は、流量センサS8により所定量以上の流量が検知された時間を計測し、使用時間として、給湯機能の識別情報を付加して送信する。
【0098】
追い焚き機能が使用される場合、制御部111は、流通管242に設けられたポンプ244を動作させる。制御部111は、ポンプ244を動作させる指示を行い、その後ポンプ244を停止させる指示を行うと、1回の使用を示す情報を、追い焚き機能の識別情報を付加して送信する。あるいは、制御部111は、ポンプ244が動作している時間を計測し、使用時間として、追い焚き機能の識別情報を付加して送信する。
【0099】
煖房機能が使用される場合、制御部111は、流通管234に設けられたポンプ237を動作させる。制御部111は、ポンプ237を動作させる指示を行い、その後ポンプ237を停止させる指示を行うと、1回の使用を示す情報を、暖房機能の識別情報を付加して送信する。あるいは、制御部111は、ポンプ237が動作している時間を計測し、使用時間として、追い焚き機能の識別情報を付加して送信する。
【0100】
なお、床暖房機能のために、流通管232から低温の湯が出湯される場合、ポンプ237は、デューティー制御され、間欠的に動作する。よって、この場合、デューティー制御においてポンプ237を一旦停止させたときではなく、追い焚きを終了させるためにポンプ237が停止されるときに、1回の使用を示す情報が送信される。また、デューティー制御がなされている間のポンプの動作期間が使用時間とされ、停止期間は使用時間に含まれない。デューティー制御によりポンプ237が間欠動作している期間が、使用時間とされてもよい。
【0101】
このようにして、機能ごとに使用状況情報、即ち1回の使用を示す情報または使用時間が台所リモコン13に送信されると、送信の都度、図5(a)の使用状況データベースにおいて、機能ごとに使用状況情報が累積されていく。そして、所定のタイミングが到来すると、累積された機能ごとの使用状況情報、即ち、機能ごとの使用回数または使用時間が、サーバ50に送信される。
【0102】
図6(b)は、サーバ50の制御部501において行われる課金情報の生成および送信の処理を示すフローチャートである。
【0103】
制御部501は、台所リモコン13から機能ごとの使用状況情報を受信すると(S201:YES)、使用状況情報とともに受信したID情報に基づいて、図5(b)の課金データベース上における台所リモコンIDを特定する。そして、制御部501は、特定した台所リモコンIDに対応付けられている機能ごとの期間使用累積値を、ステップS201で受信した機能ごとの使用状況情報に基づいて更新する(S202)。その後、制御部501は、課金のための単位設定期間(たとえば1ヶ月)が経過したか否か、即ち、単位設定期間が終了したか否かを判定する(S203)。
【0104】
単位設定期間が経過していない場合(S203:NO)、制御部501は、処理をステップS101に戻して同様の処理を繰り返す。これにより、制御部501は、台所リモコン13から機能ごとの使用状況情報を受信する度に(S201:YES)、課金データベース上において当該台所リモコン13のID情報に対応付けられている機能ごとの期間使用累積値を更新する。
【0105】
単位設定期間が経過すると(S203:YES)、制御部501は、図3の課金情報生成部501aの機能により、当該単位設定期間における課金情報を生成する(S204)。具体的には、制御部501は、課金データベース上の機能ごとの期間使用累積値に基づいて、当該単位設定期間に対する使用料金を設定する。使用料金は、給湯機能、追い焚き機能および暖房機能のそれぞれの使用状況(使用回数、使用時間)を反映したものとなる。よって、全く使用されていない機能については、使用料金はかからない。
【0106】
制御部501は、こうして取得した使用料金を、該当する台所リモコン13のID情報に対応付けて、課金データベースに登録する。
【0107】
その後、制御部501は、生成した課金情報を、図3の課金情報送信部501bの機能により、当該台所リモコン13に対応付けられている携帯端末装置30に送信する(S205)。具体的には、制御部501は、課金データベースにおいて、台所リモコン13のID情報に対応付けられている送信先アドレス(ここでは、Emailアドレス)に対し、課金情報を送信する。これにより、制御部501は、図6(b)における処理を終了する。
【0108】
給湯装置10の使用者は、図6(b)のステップS205において送信された課金情報を、自身の携帯端末装置30において参照できる。これにより、使用者は、当該単位設定期間における自身の給湯装置10の使用状況と、これによる使用料金を円滑に把握できる。
【0109】
<実施形態の効果>
実施形態1によれば、以下の効果が奏され得る。
【0110】
給湯装置10の予め定められた機能ごとの使用状況に基づいて使用料金が設定される。これにより、使用者は、不要な機能を使用しなければ、使用料金を低く抑えることができ、また、当初は不要な機能であっても必要になったときはその機能を使用できる。よって、使用者にとって、リース使用の利便性が高くなる。また、課金情報が、サーバ50から送信先アドレスに送信されて、使用者に通知される。これにより、使用者は、使用料金の支払い前に、予め、課金の状況を把握でき、給湯装置10の使用を安心に行うことができる。よって、使用者は、給湯装置10のリース使用をより好ましく継続できる。
【0111】
なお、追い焚き機能、床暖房機能および室内暖房機能は、冬場はよく使用されるが冬場以外はあまり使用されない。浴室暖房(乾燥)機能は、梅雨の時期によく使用される。このように、季節に応じて給湯装置10が有する機能の使用状況は変化し得るが、本実施形態では、季節に応じた各機能の使用状況に合った課金が行える。
【0112】
給湯装置10に、異なる給湯先へ供給される湯が流れる給湯流路F1、暖房流路F2および追い焚き流路F3の3つの流路が備えられ、予め定められた機能が、流路により区分される給湯機能、追い焚き機能および暖房機能とされている。これにより、給湯装置10が備える各流路F1~F3の使用状況に見合った使用料金を設定できる。
【0113】
課金情報生成部501aが、給湯機能、追い焚き機能および暖房機能の各機能の使用回数に基づいて課金情報を生成する場合、使用時間に比べてサーバ50に送信されるデータ量(ビット数)を少なくできる。データ量が少なくなることにより、LPWA(Low Power, Wide Area)方式の通信が可能となるため、ルータ20を用いないサーバ50への送信が可能となり、システムを安価に構成することが可能となる。また、使用時間と違って測定が不要となるため情報の取得が容易となる。
【0114】
課金情報生成部501aが、各機能の使用時間に基づいて課金情報を生成する場合、使用回数に比べて、より実際に近い使用状況に応じた使用料金の設定が行える。
【0115】
<実施形態2>
上記実施形態1では、給湯流路F1、暖房流路F2および追い焚き流路F3により区分される給湯機能、暖房機能および追い焚き機能ごとの使用状況が、使用状況監視部111aにより監視された。
【0116】
これに対し、実施形態2では、浴室リモコン12および台所リモコン13に備えられた、運転ボタン122a、132、ふろ自動ボタン122b、131a、追い焚きボタン122c、131b、足し湯ボタン122d、131c、足し水ボタン122e、131d、通話ボタン122f、131e、床暖房ボタン131f、室内暖房ボタン131gおよび浴室暖房ボタン131hの9種の操作ボタンにより区分される給湯機能、ふろ自動機能、追い焚き機能、足し湯機能、足し水機能、通話機能、床暖房機能、室内暖房機能および浴室暖房機能の9種の機能ごとの使用状況が、使用状況監視部111aにより監視される。
【0117】
そして、上記9種の機能ごとの使用状況情報が、使用状況送信部133aによりサーバ50に送信され、サーバ50において、課金情報生成部501aにより9種の機能ごとの期間使用累積値に基づいて、使用料金が設定される。
【0118】
本実施形態では、台所リモコン13の記憶部134に、図7(a)に示す使用状況データベースが保持されており、サーバ50の記憶部502に、図7(b)に示す課金データベースが保持されている。
【0119】
図7(a)に示すように、使用状況データベースには、9種の機能ごとに、その機能に係る使用状況情報の累積値が保持される。また、図7(b)に示すように、課金データベースには、9種の機能ごとに、その機能に係る期間使用累積値が保持される。
【0120】
上記実施形態1と同様、給湯器11の制御部111において、図6(a)の処理が実行され、9種の機能うち、何れかの機能が使用されたときに、その機能の使用状況情報、即ち、1回の使用を示す情報または使用時間が、その機能に対応付けられて台所リモコン13に送信される。
【0121】
使用状況情報が1回の使用を示す情報である場合、運転ボタン122a、132の操作により運転オン状態にあるときに、運転ボタン122a、132を除く8種の操作ボタンうち、何れかの操作ボタンが操作されると、制御部111は、操作された操作ボタンに対応する機能が終了したときに、1回の使用を示す情報を、その機能の識別情報を付加して送信する。また、運転オン状態にあるときに、ふろ自動ボタン122b、131a、足し湯ボタン122d、131cおよび足し水ボタン122e、131dが操作されることなく、流量センサS8により所定量以上の流量が検知されると、その後に検知されなくなったときに、制御部111は、1回の使用を示す情報を、給湯機能の識別情報を付加して送信する。
【0122】
使用状況情報が使用時間である場合、ふろ自動ボタン122b、131a、足し湯ボタン122d、131cおよび足し水ボタン122e、131dが操作されることなく、流量センサS8により所定量以上の流量が検知されると、制御部111は、検知が続いた時間を、使用時間として、給湯機能の識別情報を付加して送信する。また、追い焚きボタン122c、131bが操作されると、制御部111は、ポンプ244が動作した時間を、使用時間として、追い焚き機能の識別情報を付加して送信する。
【0123】
足し湯機能では、出湯管215を湯が流れ、足し水機能では、出湯管215を水が流れる。足し湯ボタン122d、131cまたは足し水ボタン122e、131dが操作されると、制御部111は、流量センサS8により所定量以上の流量が検知された時間を、使用時間として、足し湯機能または足し水機能の識別情報を付加して送信する。
【0124】
通話ボタン122f、131eが操作されて通話機能が開始されると、制御部111は、開始から再び通話ボタン122f、131eが押されるなどして通話機能が終了するまでの通話時間を計測し、使用時間として、通話機能の識別情報を付加して送信する。
【0125】
床暖房ボタン131f、室内暖房ボタン131gまたは浴室暖房ボタン131hが操作されると、制御部111は、ポンプ237が動作した時間を、使用時間として、床暖房機能、室内暖房機能または浴室暖房機能の識別情報を付加して送信する。なお、床暖房機能では、デューティー制御によりポンプ237が間欠的に動作する。このため、デューティー制御がなされている間のポンプ237の動作期間が使用時間とされ、停止期間は使用時間に含まれない。床暖房機能において、デューティー制御によりポンプ237が間欠動作している期間が、使用時間とされてもよい。
【0126】
ふろ自動機能は、給湯機能により浴槽に給湯された後、湯温が低下すると自動的に追い焚き機能により追い焚きが行われる機能である。よって、ふろ自動ボタン122b、131aが操作されると、制御部111は、流量センサS8により所定量以上の流量が検知された時間とポンプ244が動作した時間の合計時間を、使用時間として、ふろ自動機能の識別情報を付加して送信する。
【0127】
このようにして、9種の機能ごとに使用状況情報、即ち1回の使用を示す情報または使用時間が台所リモコン13に送信されると、送信の都度、図7(a)の使用状況データベースにおいて、機能ごとに使用状況情報が累積されていく。そして、所定のタイミングが到来すると、累積された機能ごとの使用状況情報、即ち、機能ごとの使用回数または使用時間が、サーバ50に送信される。
【0128】
上記実施形態1と同様、サーバ50の制御部501において、図6(b)の処理が実行される。制御部501が、課金情報生成部501aの機能により、課金データベース上の9種の機能ごとの期間使用累積値に基づいて、当該単位設定期間に対する使用料金を設定する。具体的には、9種の機能ごとの期間使用累積値に、その機能に定められた単位料金が乗じられ、機能ごとの個別の使用料金が求められる。そして、全ての個別の使用料金が合算され、使用料金が求められる。
【0129】
<実施形態の効果>
実施形態2によれば、予め定められた機能が、流路により区分される給湯機能、追い焚き機能および暖房機能とされる場合の効果を除き、上記実施形態1と同様の効果が奏され得る。
【0130】
さらに、予め定められた機能が、9種の操作ボタンにより区分される9種の機能とされている。これにより、使用者にとって、いかなる機能ごとに使用料金が変わるのかが分かりやすい。
【0131】
<変更例>
以上、本発明の実施形態1、2について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、また、本発明の適用例も、上記実施形態の他に、種々の変更が可能である。
【0132】
上記実施形態1、2では、台所リモコン13において、使用状況情報(1回の使用を示す情報、使用時間)が、記憶部134の使用状況データベースに累積され、所定のタイミングが到来する度に、使用状況送信部133aによりサーバ50へ送信された。しかしながら、使用状況データベースが設けられず、使用状況送信部133aが、給湯器11から使用状況情報が受信される度に、当該情報をサーバ50送信するようにしてもよい。
【0133】
また、上記実施形態1、2では、課金情報の送信先が携帯端末装置30であったが、課金情報の送信先はこれに限られるものではない。たとえば、宅内H10に配置された据え置き型パーソナルコンピュータ等の固定端末装置が、課金情報の送信先であってもよい。この場合、課金情報は、たとえば、当該固定端末装置で受信可能な電子メールのアドレスに設定されればよい。
【0134】
また、課金情報の送信は、必ずしも、電子メールにより行われなくてもよく、他の方法により行われてもよい。たとえば、携帯端末装置30に対するプッシュ通知によって、課金情報の通知が行われてもよい。この場合、課金データベースに登録される送信先アドレスは、携帯端末装置30に対してプッシュ通知を行うためのアドレス情報に変更される。
【0135】
また、課金情報が、サーバ50から台所リモコン13に送信されて、台所リモコン13において表示されてもよい。この場合、ルータ20がサーバ50と台所リモコン13の無線通信部138との間の通信を中継することにより、サーバ50から台所リモコン13に課金情報が送信される。
【0136】
また、課金情報に含まれる使用料金に加えて、機能ごとに算出された個別の使用料金が、課金データベースに保持され、単位設定期間における機能ごとの個別の使用料金が、全体の使用料金ともに携帯端末装置30に送信されてもよい。さらに、単位設定期間における機能ごとの使用状況情報が携帯端末装置30に送信されてもよい。
【0137】
また、図6(b)のフローチャートでは、単位設定期間の終了時点で課金情報が送信先アドレスに送信されたが、単位設定期間の中間地点等、単位設定期間内の所定の時点で、当該時点までの使用料金を含む課金情報が、送信先アドレスに送信されてもよい。これにより、使用者は、単位設定期間の途中において、給湯装置10の使用料金および使用状況を把握でき、当該単位設定期間における使用料金を予測できる。また、使用者は、単位設定期間の途中において、給湯装置10の使用料金および使用状況を把握することにより、適宜、その後の給湯装置10の機能ごとの使用頻度等を修正することができる。
【0138】
また、上記実施形態1、2では、課金のための単位設定期間として、たとえば1ヶ月が例示されたが、単位設定期間はこれに限られるものではない。たとえば、単位設定期間が、2ヶ月や3ヶ月等の他の期間に設定されてもよい。
【0139】
また、給湯装置10の機能ごとの使用状況を示す使用状況情報は、上記実施形態1、2で例示した機能ごとの使用回数および使用時間に限られるものではなく、給湯装置10の使用状況に基づき使用料金を設定可能な限りにおいて、他の情報であってもよい。
【0140】
また、上記実施形態1、2では、使用状況情報として例示された複数のパラメータ(上記では使用回数および使用時間)の何れか1つが、使用料金の設定に用いられたが、これらのパラメータを組み合わせることによって、使用料金を設定するための期間使用累積値が取得されてもよい。
【0141】
また、上記実施形態1、2では、使用状況監視部111aが給湯器11に設けられ、使用状況送信部133aが台所リモコン13に設けられたが、使用状況監視部111aおよび使用状況送信部133aの配置はこれに限られるものではない。たとえば、使用状況監視部111aが、浴室リモコン12または台所リモコン13に設けられてもよい。あるいは、給湯システム1に図3以外の制御装置が配置される場合、この制御装置に使用状況監視部111aが設けられてもよく、さらに、この制御装置がサーバ50と通信可能であれば、この制御装置に使用状況送信部133aが設けられてもよい。
【0142】
なお、このように使用状況監視部が給湯器11以外の装置に配置される場合、この装置に対し、使用状況を監視するための情報(たとえば、流量センサS8の検知結果やポンプ237、244の動作の有無の検出結果)が随時送信される。使用状況監視部は、受信した情報に基づいて、給湯装置10の機能ごとの使用状況を監視する。
【0143】
また、上記実施形態1、2では、給湯装置10を構成する台所リモコン13に無線通信部138が設けられたが、無線通信部が給湯器11に設けられて給湯器11がルータ20に接続されてもよい。あるいは、給湯器11、浴室リモコン12および台所リモコン13以外に無線通信部を備えた制御ユニットが給湯装置10に配置され、この制御ユニットがルータ20に接続されてもよい。この場合、上記実施形態1、2における台所リモコン13による制御は、制御ユニットによって行われる。
【0144】
また、給湯装置10の構成は、上記実施形態1、2に示した構成に限られるものではなく、他の構成であってもよい。たとえば、給湯装置10が、暖房流路F2を有さないために暖房機能を有さない構成であってもよく、追い焚き流路F3を有さないために追い焚き機能を有さない構成であってもよい。また、給湯装置10が、暖房機能に含まれる床暖房機能、室内暖房機能および浴室暖房機能のうち、1つまたは2つの機能を有さない構成であってもよい。給湯装置10が暖房機能を有さない場合、実施形態1の予め定められる機能は給湯機能と追い焚き機能となり、給湯装置10が追い焚き機能を有さない場合、実施形態1の予め定められる機能は給湯機能と暖房機能となる。また、給湯装置10は、ガス燃料を用いるものに限らず、オイルを燃料とする給湯装置であってもよい。
【0145】
また、上記実施形態2で挙げられた9種の機能の全でなく一部が使用状況の監視の対象とされてもよい。さらに、上記実施形態2で挙げられた9種以外の操作ボタンが浴室リモコン12の入力部122や台所リモコン13の表示入力部131に含まれ、その操作ボタンに対応する機能が、使用状況の監視の対象とされてもよい。
【0146】
また、上記実施形態1、2では、使用状況監視部、使用状況送信部、課金情報生成部および課金情報送信部が、制御プログラムによるソフトウエアの機能により実現されたが、これらがロジック回路を用いたハードウエアにより実現されてもよい。
【0147】
また、上記実施形態1、2では、給湯装置10が、燃料を燃焼させて生じる燃焼ガスで水を温める燃焼式給湯装置であったが、給湯装置10の構成はこれに限られるものではない。たとえば、給湯装置10が、発電機により電力を生成するとともに、発電機からの排熱を利用して温水を生成するコジェネレーション型給湯装置であってもよい。
【0148】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0149】
1 給湯システム
10 給湯装置
40 外部通信網
50 サーバ
111a 使用状況監視部
133a 使用状況送信部
501a 課金情報生成部
501b 課金情報送信部
F1 給湯流路(流路)
F2 暖房流路(流路)
F3 追い焚き流路(流路)
122 入力部
122a 運転ボタン(操作ボタン)
122b ふろ自動ボタン(操作ボタン)
122c 追い焚きボタン(操作ボタン)
122d 足し湯ボタン(操作ボタン)
122e 足し水ボタン(操作ボタン)
122f 通話ボタン(操作ボタン)
131 操作入力部(入力部)
131a ふろ自動ボタン(操作ボタン)
131b 追い焚きボタン(操作ボタン)
131c 足し湯ボタン(操作ボタン)
131d 足し水ボタン(操作ボタン)
131e 通話ボタン(操作ボタン)
131f 床暖房ボタン(操作ボタン)
131g 室内暖房ボタン(操作ボタン)
131h 浴室暖房ボタン(操作ボタン)
132 運転ボタン(操作ボタン)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7