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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 51/26 20060101AFI20240828BHJP
   B29C 51/10 20060101ALI20240828BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20240828BHJP
   B29C 49/42 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
B29C51/26
B29C51/10
B29C49/04
B29C49/42
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020199703
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2022087647
(43)【公開日】2022-06-13
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】相原 康佑
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-080916(JP,A)
【文献】特開2004-175406(JP,A)
【文献】特開2016-187937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 51/26
B29C 51/10
B29C 49/04
B29C 49/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に開閉可能な第1及び第2金型を用いて成形体を製造する方法であって、
押出工程、型閉じ工程と、取り出し工程を備え、
前記押出工程では、開状態の第1及び第2金型の間に溶融樹脂を押し出し、
前記型閉じ工程では、前記第1及び第2金型を閉じることで、前記溶融樹脂から成形体を形成し、
前記取り出し工程は、
開状態の前記第1および第2金型間に、取り出し用アームを前記第1及び第2金型の前後方向において挿入するアーム挿入工程と、
前記成形体を、前記取り出し用アームに付着させ、前記成形体を前記第1及び第2金型の鉛直方向において折り畳む折り畳み工程と、
前記成形体が付着した前記取り出し用アームを前記前後方向において引き戻す引き戻し工程を備える、方法。
【請求項2】
水平方向に開閉可能な第1及び第2金型を用いて成形体を製造する方法であって、
押出工程、型閉じ工程と、取り出し工程を備え、
前記押出工程では、開状態の第1及び第2金型の間に溶融樹脂を押し出し、
前記型閉じ工程では、前記第1及び第2金型を閉じることで、前記溶融樹脂から成形体を形成し、
前記取り出し工程は、
開状態の前記第1および第2金型間に、取り出し用アームを挿入するアーム挿入工程と、
前記成形体を、前記取り出し用アームに付着させ、前記成形体を折り畳む折り畳み工程と、
前記成形体が付着した前記取り出し用アームを引き戻す引き戻し工程を備え、
前記折り畳み工程では、前記取り出し用アームを前記成形体の上半分の側面に吸着させることで付着させ、
前記取り出し用アームを、前記成形体の中央部が前記取り出し用アームの上側に位置するように回転させることにより、前記成形体を折り畳む、方法。
【請求項3】
水平方向に開閉可能な第1及び第2金型を用いて成形体を製造する方法であって、
押出工程、型閉じ工程と、取り出し工程を備え、
前記押出工程では、開状態の第1及び第2金型の間に溶融樹脂を押し出し、
前記型閉じ工程では、前記第1及び第2金型を閉じることで、前記溶融樹脂から成形体を形成し、
前記取り出し工程は、
開状態の前記第1および第2金型間に、取り出し用アームを挿入するアーム挿入工程と、
前記成形体を、前記取り出し用アームに付着させ、前記成形体を折り畳む折り畳み工程と、
前記成形体が付着した前記取り出し用アームを引き戻す引き戻し工程を備え、
前記金型は、鉛直方向の中央部に前記溶融樹脂に向かって突出した突出部を備え、
前記型閉じ工程では、前記成形体の鉛直方向中央部に薄手部を設ける、方法。
【請求項4】
請求項1又は請求項3に記載の方法であって、
前記折り畳み工程では、前記成形体を前記取り出し用アームに吸着させることで付着させる、方法。
【請求項5】
請求項に記載の方法であって、
前記折り畳み工程では、前記取り出し用アームを前記成形体の上半分の側面に吸着させ、
前記取り出し用アームを、前記成形体の中央部が前記取り出し用アームの上側に位置するように回転させることにより、前記成形体を折り畳む、方法。
【請求項6】
請求項1又は請求項に記載の方法であって、
前記金型は、鉛直方向の中央部に前記溶融樹脂に向かって突出した突出部を備え、
前記型閉じ工程では、前記成形体の鉛直方向中央部に薄手部を設ける、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形品を成形する成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂成形品を成形する方法として、押出装置から押し出された溶融状態の樹脂シートを金型の間に垂下し、その樹脂シートを金型で型閉めしてブローあるいは真空成形する方法がある(例えば、特許文献1参照)。この方法では、押出装置から押し出された溶融状態の樹脂シートを金型の間に配置して型閉めしているため、樹脂を再加熱することに起因する加熱の不均一性などの問題点を引き起こすことなく、樹脂成形品を容易に成形することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-168231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一対の樹脂シートを一対の金型を用いて成形する際に、一対の樹脂シートの間にインサート部材を挿入する場合がある。このような場合にインサート部材の挿入に必要な装置が金型の前後に配置されていることがあり、成形体を取り出すのが難しいという困難があった。
【0005】
本発明の目的は、金型の前後に障害物が配置されている場合において、金型間から成形体を容易に取り出すことができる成形方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、開閉可能な第1及び第2金型を用いて成形体を製造する方法であって、押出工程、型閉じ工程と、取り出し工程を備え、前記押出工程では、開状態の第1及び第2金型の間に溶融樹脂を押し出し、前記型閉じ工程では、前記第1及び第2金型を閉じることで、前記溶融樹脂から成形体を形成し、前記取り出し工程は、開状態の前記第1および第2金型間に、取り出し用アームを挿入するアーム挿入工程と、前記成形体を、前記取り出し用アームに付着させ、前記成形体を折り畳む折り畳み工程と、前記成形体が付着した取り出し用アームを引き戻す引き戻し工程を備える、方法が提供される。
【0007】
このような構成とすることにより、金型間で成形体を折り畳んで取り出すことができるため、金型の前後に配置された障害物を干渉することなく、成形体を金型間から容易に取り出すことが可能となる。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記折り畳み工程では、前記成形体を前記取り出し用アームに吸着させることで付着させる。
好ましくは、前記折り畳み工程では、前記取り出し用アームを前記成形体の上半分の側面に吸着させ、前記取り出し用アームを、前記成形体の中央部が前記取り出し用アームの上側に位置するように回転させることにより、前記成形体を折り畳む。
好ましくは、前記金型は、鉛直方向の中央部に前記溶融樹脂に向かって突出した突出部を備え、前記型閉め工程では、前記成形体の鉛直方向中央部に薄手部を設ける。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る成形装置1を模式的に示す正面図である。
図2】型閉め機構30を模式的に示す平面図である。
図3】取り出し用アーム50の構成を示す斜視図である。
図4】金型31,32を型閉めした状態を示す正面図である。
図5図4における領域D1の拡大図である。
図6】金型31,32を型閉めした状態を示す平面図である。
図7】ピストン34aを延伸させた状態を示す図である。
図8】下バリB2を落下させた状態を示す図である。
図9】金型31,32を型開きした状態を示す図である。
図10】上バリB1の一方を落下させた状態を示す図である。
図11】上バリB1全体を落下させた状態を示す図である。
図12】取り出し用アーム50の吸着部53を成形体Mに吸着させた図である。
図13】成形体Mを金型32から引き離した図である。
図14】成形体Mを折り畳んだ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0011】
(1.成形装置1)
図1図3を参照し、本実施形態の成形装置1の構成例について説明する。図1は、本実施形態の成形装置1の構成例を示す図である。なお、本実施形態では、押出機構2が溶融樹脂としての樹脂シートを押し出す態様で説明する。
【0012】
成形装置1は、一対の押出機構2と、型閉め機構30を備える。押出機構2は、ホッパー12と、押出機13と、アキュームレータ17と、Tダイ18と、延伸ローラ28を備える。押出機13とアキュームレータ17は、連結管25を介して連結される。アキュームレータ17とTダイ18は、連結管27を介して連結される。以下、各構成について詳細に説明する。
【0013】
<ホッパー12,押出機13>
ホッパー12は、原料樹脂11を押出機13のシリンダ13a内に投入するために用いられる。原料樹脂11の形態は、特に限定されないが、通常は、ペレット状である。原料樹脂は、例えばポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂であり、ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体及びその混合物などが挙げられる。原料樹脂11は、ホッパー12からシリンダ13a内に投入された後、シリンダ13a内で加熱されることによって溶融されて溶融樹脂になる。また、シリンダ13a内に配置されたスクリューの回転によってシリンダ13aの先端に向けて搬送される。スクリューは、シリンダ13a内に配置され、その回転によって溶融樹脂を混練しながら搬送する。スクリューの基端にはギア装置が設けられており、ギア装置によってスクリューが回転駆動される。シリンダ13a内に配置されるスクリューの数は、1本でもよく、2本以上であってもよい。
【0014】
<アキュームレータ17、Tダイ18>
溶融樹脂は、シリンダ13aの樹脂押出口から押し出され、連結管25を通じてアキュームレータ17内に注入される。アキュームレータ17は、シリンダ17aとその内部で摺動可能なピストン17bを備えており、シリンダ17a内に溶融樹脂が貯留可能になっている。そして、シリンダ17a内に溶融樹脂が所定量貯留された後にピストン17bを移動させることによって、連結管27を通じて溶融樹脂をTダイ18の最下端に設けられた押出スリット18aから押し出して垂下させて溶融状態の樹脂シート22,23を形成する。
【0015】
<延伸ローラ28>
押出機構2は、押出スリット18aから押し出された溶融状態の樹脂シート22,23を延伸するために、延伸ローラ28を有している。図2に示すように、延伸ローラ28は、一対の調整ローラ28a,28bと、補助ローラ28cで構成されている。一対の調整ローラ28a,28bは、Tダイ18の下方の所定位置に配置されている。補助ローラ28cは、一対の調整ローラ28a,28bの下方の所定位置に配置されている。
【0016】
押出機構2は、押出スリット18aから押し出された樹脂シート22,23を一対の調整ローラ28a,28bの間に挟み込み、調整ローラ28a,28bの回転により樹脂シート22,23を下方に送り出すことで、樹脂シート22,23を延伸薄肉化している。ここで、押出スリット18aから押し出される樹脂シート22,23の押出速度と、調整ローラ28a,28bによる樹脂シート22,23の送り出し速度との関係を調整することで、ドローダウンあるいはネックインの発生を防止することができる。その結果、樹脂の種類、特に、MFR値およびメルトテンション値、あるいは単位時間当たりの押出量に対する制約を小さくすることができる。
【0017】
<型閉め機構30>
型閉め機構30は、樹脂シート22,23を成形するための開閉可能な1対の金型31,32と、送風機38と、インサート部材を挿入するためのインサート装置63と、成型品を取り出すための取り出し用アーム50(図2参照)を備える。金型32の上面および下面には、樹脂シートの幅方向にスライド可能に構成されたスライド部材33が設けられている。
【0018】
金型31,32は、キャビティ31a,32aを有し、キャビティ31a,32aを取り囲むようにピンチオフ部31b,32bが設けられている。金型31,32の鉛直方向における中央部には、樹脂シートに向かって突出した突出部31c,32cが設けられている。キャビティ31a,32a内には、減圧吸引孔(図示せず)が設けられており、減圧吸引孔を通じて樹脂シート22,23を減圧吸引して金型31,32のキャビティ31a,32aの内面に沿った形状に賦形することが可能になっている。減圧吸引孔は、極小の孔であり、一端が金型31,32内部を通ってキャビティ31a,32aの内面にまで連通されてり、他端が減圧装置に接続されている。金型31,32の外側には、外枠61,62が取り付けられている。
【0019】
スライド部材33は、平面視において、樹脂シート22,23の幅方向に対して垂直方向に延伸可能な延伸部としてのエアーシリンダー34と、樹脂シート22,23を切断するための切断部としてのブラケット35を備える。
【0020】
図2に示すように、外枠61,62を連結するように、金型31,32の前方には前バネ64、金型31,32の後方には後バネ65が取り付けられている。前バネ64の中央には、インサート装置63が配置されている。後バネ65のさらに後方には、取り出し用アーム50が配置されている。取り出し用アーム50は、金型31,32の前後方向に移動可能に構成されている。
【0021】
<取り出し用アーム50>
図3に示すように、取り出し用アーム50は、ロボットアーム(図示せず)と連結されたアーム本体51と、折り畳み板52とを備える。折り畳み板52は平板状に形成されており、その片面に1つまたは複数(図3に示す例では4つ)の吸着部53が設けられている。なお、折り畳み板52の形状および吸着部53の個数はこの例に限定されることはなく、成形体Mの大きさおよび形状に応じて適宜設定すればよい。アーム本体51は、その長手方向を回転軸として回転可能に構成されている。
【0022】
(2.樹脂シートの製造方法)
図4図14を参照しながら、成形装置1を用いた樹脂成形品Pの製造方法について説明する。
【0023】
まず、溶融混練した熱可塑性樹脂をアキュームレータ17内に所定量貯留し、Tダイ18に設けられた所定間隔の押出スリット18aから、アキュームレータ17内に貯留された熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出す。これにより、押出スリット18aから溶融状態の樹脂シート22,23が所定の押出速度で押し出される。
【0024】
押出機構2は、押出スリット18aの下方に配置された調整ローラ28a,28bの間隔を樹脂シート22,23の厚みより広げる。これにより、押出スリット18aから下方に押し出された溶融状態の樹脂シート22,23の最下部が一対の調整ローラ28a,28bの間に円滑に供給されるようにすることができる。なお、一対の調整ローラ28a,28bの間隔を樹脂シート22,23の厚みより広げるタイミングは、押し出し開始後でなく、ワンショットごとに二次成形が終了時点で行ってもよい。
【0025】
次に、押出機構2は、一対の調整ローラ28a,28bの間隔を狭めて樹脂シート22,23を挟み込み、一対の調整ローラ28a,28bの回転により樹脂シート22,23を下方に送り出す。このとき、時間経過とともに一対の調整ローラ28a,28bの回転速度を低下させて、送り出し速度を樹脂シート22,23の押出速度に近づけるように調整する。
【0026】
このように、時間経過とともに、一対の調整ローラ28a,28bの回転による樹脂シート22,23の下方への送り出し速度と、樹脂シート22,23の押出速度との相対速度差を縮めることにより、樹脂シート22,23の上部ほど一対の調整ローラ28a,28bによる下方への引っ張り力が低下し、相対的にこのような引っ張り力に伴う延伸薄肉化が低減され、ドローダウンあるいはネックインに伴う薄肉化を相殺し、ドローダウンあるいはネックインを有効に防止し、以て押出方向に一様な厚みを形成することが可能となる。
【0027】
次に、一対の押出機構2から送り出された一対の樹脂シート22,23を、開いた状態の金型31,32の間に配置する。樹脂シート22,23の位置決めが完了すると、押出機構2の一対の調整ローラ28a,28bおよび補助ローラ28cの回転を一旦停止し、一対の調整ローラ28a,28bで樹脂シート22,23を挟持した状態にする。
【0028】
次に、樹脂シート22,23をそれぞれ金型31,32のキャビティ31a,32aに沿って賦形する。この工程は、金型31,32によって樹脂シート22,23の減圧吸引を行うことによって実行することができる。
【0029】
次に、図4図6に示すように、金型31,32を型閉めする。この際、インサート装置63のインサート治具66に取り付けられたインサート品67を、成形体Mの端面にインサートする。これにより、ピンチオフ部31b,32bに沿って樹脂シート22,23が互いに溶着されて、一対の金型31,32によって形成されるキャビティの内面に沿った形状の成形体Mが得られる。ここで、金型31,32に突出部31c,32cが設けられているため、成形体Mの鉛直方向中央部には、薄手部M1が形成されている。具体的には、図5に示すように、薄手部M1の厚さT1は、成形体Mの薄手部以外の厚さTに対して、T1<2Tの関係が成り立つ。このように金型31,32を型閉めすると、金型31,32の上下に樹脂シート22,23によってバリが形成される。以下、金型31,32の上方に形成されるバリを上バリB1とし、金型31,32の下方に形成されるバリを下バリB2とする。
【0030】
次に、図7に示すように、金型32の上側および下側に設けられたエアーシリンダー34のピストン34aが上バリB1および下バリB2方向に延伸される。
【0031】
次に、スライド部材33を樹脂シート22,23の幅方向に沿ってスライドさせる。これにより、ピストン34aの先端に設けられたブラケット35の水平面35bが、上バリB1および下バリB2を切断する。これにより、図8に示すように、金型31,32の下側に形成されていた下バリB2がベルトコンベア40上に落下して搬送される。
【0032】
次に、図9に示すように、エアーシリンダー34のピストン34aおよびスライド部材33を元の位置に戻し、金型31,32を型開きする。本実施形態では、送風機38側に設けられた金型32の内部の減圧吸引孔からの吸引により、成形体Mは金型32に吸着した状態で型開きされる。
【0033】
次に、図10に示すように、送風機38からエアFの送風を行いつつ、送風機38側の一対の調整ローラ28a、28bおよび補助ローラ28cを回転し、延伸ローラ28で挟持していた上バリB1の一方を解放する。
【0034】
次に、図11に示すように、送風機38と反対側の一対の調整ローラ28a、28bおよび補助ローラ28cを回転し、一方の延伸ローラ28で挟持していた上バリB1の他方を開放する。これにより、上バリB1がベルトコンベア40上に落下して搬送されることになる。
【0035】
次に、図12に示すように、ロボットアームを操作することにより、取り出し用アーム50を金型31,32の後方から後バネ65の上方を通過するように金型31,32間に挿入し、吸着部53を成形体Mに吸着させることで付着させる。
【0036】
次に、図13に示すように、ロボットアームを操作することにより、成形体Mを金型32から引き離す。次にアーム本体51を、長手方向を回転軸として回転させる。具体的には、成形体Mの中央部が折り畳み板52の上側に位置するように(図13における矢印A方向に)回転させる。これにより、図14に示すように、成形体Mが折り畳み板52に巻き付くように折り畳まれる。
【0037】
次に、ロボットアームを金型31,32の後方に引き戻し、後バネ65の上方を通過するように、金型31,32間から成形体Mを取り出す。このあと、成形体Mの周部に形成されている周部バリを切除することにより、樹脂成形品Pが製造される。なお、取り出し用アーム50の先端に取り付けられた折り畳み板52は、ロボット(図示せず)により取り外され、インサート品67をインサート装置63に取り付けるためのインサート治具66が取り出し用アーム50に取り付けられる。
【0038】
このように、本実施形態の製造工程では、開いた金型31,32間に取り出し用アーム50を挿入するアーム挿入工程と、成形体Mを取り出し用アーム50に付着させ、成形体Mを折り畳む折り畳み工程と、前記成形体が付着した取り出し用アームを引き戻す工程とを備える。そのため、金型31,32の前後にインサート装置63、前バネ64、後バネ65などの装置が配置されている場合であっても、金型間に成形された成形体を容易に取り出すことが可能となる。
【0039】
また、取り出し用アーム50のアーム本体の先端には、折り畳み板52とインサート治具とを交換して取り付け可能となっているため、型閉め機構30の前後のスペースを効率的に使用することができる。
【0040】
(3.他の実施形態)
なお、上述した実施形態は本発明の好適な実施形態であり、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々変形して実施することが可能である。
【0041】
例えば、上記実施形態では、吸着部53を用いて成形体Mを取り出し用アーム50に付着させているが、この態様に限定されることはない。例えば、取り出し用アーム50の先端に設けられた把持部によって、成形体Mを把持してもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、取り出し用アーム50を成形体Mの上半分の側面に吸着させ、取り出し用アーム50を、成形体Mの中央部が取り出し用アーム50の上側に位置するように回転させることにより、成形体Mを折り畳んでいるが、この態様に限定されることはない。例えば、取り出し用アーム50の折り畳み板52を成形体Mの下半分の側面に吸着させ、折り畳み板52を金型31,32間で並行移動させることにより、成形体Mを折り畳んでもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、金型31,32の中央部に樹脂シート22,23に向かって突出した突出部を設けることにより、成形体Mの鉛直方向中央部に薄手部M1が形成されている。これにより、折り畳み工程において成形体Mを容易に折り曲げることが可能となっているが、この態様に限定されることはない。たとえば、樹脂シート22,23として柔らかい材質のものを採用することにより、成形体Mを容易に折り曲げることができる構成としてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、押出機構2によって溶融状態の樹脂シート22,23を押し出して、開閉可能な金型31,32で型閉めおよび吸引して樹脂成形体が成形されているが、この態様に限定されることはない。例えば、押出機構2によってパリソンを筒状に押し出し、パリソン内にエアを吹き込むブロー成形であってもよい。または、樹脂シートに対して、金型による型閉めとエアの吹き込みとを併用する態様であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 :成形装置
2 :押出機構
11 :原料樹脂
12 :ホッパー
13 :押出機
13a :シリンダ
17 :アキュームレータ
17a :シリンダ
17b :ピストン
18 :Tダイ
18a :押出スリット
22 :樹脂シート
23 :樹脂シート
25 :連結管
27 :連結管
28 :延伸ローラ
28a :調整ローラ
28b :調整ローラ
28c :補助ローラ
30 :型閉め機構
31 :金型
31a :キャビティ
31b :ピンチオフ部
31c :突出部
32 :金型
32a :キャビティ
32b :ピンチオフ部
32c :突出部
33 :スライド部材
34 :エアーシリンダー
34a :ピストン
35 :ブラケット
35b :水平面
38 :送風機
40 :ベルトコンベア
50 :取り出し用アーム
51 :アーム本体
52 :折り畳み板
53 :吸着部
61 :外枠
62 :外枠
63 :インサート装置
64 :前バネ
65 :後バネ
66 :インサート治具
67 :インサート品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14