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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 51/26 20060101AFI20240828BHJP
   B29C 51/10 20060101ALI20240828BHJP
   B29C 51/32 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
B29C51/26
B29C51/10
B29C51/32
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021030774
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022131701
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】原澤 友紀
(72)【発明者】
【氏名】中島 祥
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-19190(JP,A)
【文献】特開2016-83859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 51/26
B29C 51/10
B29C 51/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体の製造方法であって、
成形工程と、係合工程と、切断工程とを備え、
前記成形工程では、金型を用いて成形体を成形し、
前記金型は、対をなす第1及び第2分割金型と、可動部とを有し、
第1及び第2分割金型のそれぞれは、キャビティ部と、内側ピンチオフ部と、外側ピンチオフ部とを有し、
前記内側ピンチオフ部は、前記キャビティ部に接続され、
前記外側ピンチオフ部は、前記キャビティ部に対して前記内側ピンチオフ部よりも離れた位置に設けられ、
前記可動部は、第1及び第2分割金型に対して相対移動可能に付設され、且つ、前記可動部は、係合部を有し、
前記成形体は、成形体本体と、外側ライン部と、外側バリ部とを有し、
前記成形体本体は、内側ライン部と、内側バリ部とを有し、
前記成形体本体は、前記成形工程において前記キャビティ部内で成形され、
前記内側ライン部は、前記成形工程において前記内側ピンチオフ部に押し潰され、
前記内側バリ部は、前記内側ライン部と前記外側ライン部との間に形成され、
前記外側ライン部は、前記成形工程において前記外側ピンチオフ部に押し潰され、
前記外側バリ部は、前記外側ライン部に連結され、
前記係合工程では、前記外側バリ部を前記可動部の前記係合部に係合させ、
前記切断工程では、前記外側バリ部を前記係合部に係合させた状態で前記可動部を第1及び第2分割金型に対して相対移動させることによって、前記外側ライン部に沿うように前記外側バリ部を前記内側バリ部から切断する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
第1分割金型及び前記可動部を平面視したときにおいて、前記外側ピンチオフ部が、前記係合部に沿うように形成されている、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記外側ピンチオフ部の頂部の面が、前記係合部の頂部の面に一致している、方法。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載の方法であって、
前記可動部は、吸引部を更に有し、
前記係合工程では、前記吸引部を介して前記外側バリ部を前記係合部に吸引し、前記外側バリ部を前記係合部に賦形させることで、前記外側バリ部を前記係合部に係合させている、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
第1分割金型は、端面部を有し、
前記可動部は、突き当て面部を有し、
前記係合工程では、前記突き当て面部が前記端面部に突き当てられた状態で、前記吸引部を介して前記外側バリ部を前記係合部に吸引する、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記金型は、シール部材を更に有し、
前記シール部材は、前記端面部又は前記突き当て面部に取り付けられている、方法。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の方法であって、
第1分割金型は、第1外側部を有し、
第1外側部には、第1分割金型の前記内側ピンチオフ部及び前記外側ピンチオフ部が形成され、且つ、第1外側部には、前記端面部が形成され、
第2分割金型は、第2外側部を有し、
第2外側部には、第2分割金型の前記内側ピンチオフ部及び前記外側ピンチオフ部が形成され、且つ、第2外側部は、第1及び第2分割金型の開閉方向において、第1外側部に対向するように配置されている、方法。
【請求項8】
請求項1~請求項7の何れか1つに記載の方法であって、
前記成形体は、樹脂シートと、表皮材と有し、
前記表皮材は、前記樹脂シートの外側に配置されている、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
第1及び第2分割金型のそれぞれには、減圧吸引穴が形成され、
前記減圧吸引穴は、前記キャビティ部に形成されており、且つ、前記減圧吸引穴は、前記樹脂シートを第1及び第2分割金型に賦形するように形成され、
前記樹脂シートが第1及び第2分割金型に賦形された状態において、前記キャビティ部に配置された前記表皮材は、第1分割金型に沿うように設けられ、
前記減圧吸引穴は、第1分割金型の第1外側部には形成されていない、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
第1外側部と第2外側部との間には、表皮材逃し空間が形成されており、
前記成形工程において、前記表皮材逃し空間には、前記表皮材の端部が配置されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キャビティを取り囲むピンチオフ部を有する金型を用いた樹脂製パネルの成形方法が開示されている。特許文献1における成形方法では、例えば発泡体で構成されるコア材、コア材を被覆する樹脂シート、及び、例えば不織布で構成される表皮材がキャビティに配置され、これらがキャビティ内において一体的に成形される。このように成形される成形体は、キャビティ内に成形される成形体本体と、キャビティ外に配置されるバリ部とを有する。
【0003】
特許文献1には、金型に付設された可動部を用いて、バリ部を切断する方法が開示されている。特許文献1の可動部は、金型に対して離間するように駆動することで、バリ部を、成形体本体を構成する樹脂シートから切断するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2020/0269228号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、金型の端にピンチオフ部が形成されており、また、可動部が初期位置に位置しているときにおいて可動部は、ピンチオフ部に突き当てられている。したがって、特許文献1において、バリ部の切断ラインは、ピンチオフ部に対応する位置となる。ここで、成形体の形状に応じてピンチオフ部の形状は、定められることになるが、可動部が、ピンチオフ部に突き当てられる部分に滑らかに繋がっていない場合には、切断ラインがいびつになり、バリ部が切断されにくくなる場合がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、バリ部が切断されにくくなることを抑制することができる、構造体の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、構造体の製造方法であって、成形工程と、係合工程と、切断工程とを備え、前記成形工程では、金型を用いて成形体を成形し、前記金型は、対をなす第1及び第2分割金型と、可動部とを有し、第1及び第2分割金型のそれぞれは、キャビティ部と、内側ピンチオフ部と、外側ピンチオフ部とを有し、前記内側ピンチオフ部は、前記キャビティ部に接続され、前記外側ピンチオフ部は、前記キャビティ部に対して前記内側ピンチオフ部よりも離れた位置に設けられ、前記可動部は、第1及び第2分割金型に対して相対移動可能に付設され、且つ、前記可動部は、係合部を有し、前記成形体は、成形体本体と、内側ライン部と、内側バリ部と、外側ライン部と、外側バリ部とを有し、前記成形体本体は、前記成形工程において前記キャビティ部内で成形され、前記内側ライン部は、前記成形工程において前記内側ピンチオフ部に押し潰され、前記内側バリ部は、前記内側ライン部と前記外側ライン部との間に形成され、前記外側ライン部は、前記成形工程において前記外側ピンチオフ部に押し潰され、前記外側バリ部は、前記外側ライン部に連結され、前記係合工程では、前記外側バリ部を前記可動部の前記係合部に係合させ、前記切断工程では、前記外側バリ部を前記係合部に係合させた状態で前記可動部を第1及び第2分割金型に対して相対移動させることによって、前記外側ライン部に沿うように前記外側バリ部を前記内側バリ部から切断する、方法。
【0008】
本発明では、第1及び第2分割金型のそれぞれが、キャビティに接続されている内側ピンチオフ部と、前記キャビティ部に対して内側ピンチオフよりも離れた位置に設けられた外側ピンチオフ部とを有する。ここで、外側ピンチオフ部は、キャビティ部に接続されていない部分であって、不要な内側バリ部及び外側バリ部を区画する部分である。このため、外側ピンチオフ部は、内側ピンチオフ部のように成形体本体の周縁部形状に合わせるといったような制約が抑制されている。このように、本発明では、当該制約が抑制される分、ピンチオフ部を可動部との繋がりを加味した形状に容易に設定することができ、その結果、バリ部が切断されにくくなることを抑制することができる。
【0009】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。
好ましくは、第1分割金型及び前記可動部を平面視したときにおいて、前記外側ピンチオフ部が、前記係合部に沿うように形成されている、方法が提供される。
好ましくは、前記外側ピンチオフ部の頂部の面が、前記係合部の頂部の面に一致している、方法が提供される。
好ましくは、前記可動部は、吸引部を更に有し、前記係合工程では、前記吸引部を介して前記外側バリ部を前記係合部に吸引し、前記外側バリ部を前記係合部に賦形させることで、前記外側バリ部を前記係合部に係合させている、方法が提供される。
好ましくは、第1分割金型は、端面部を有し、前記可動部は、突き当て面部を有し、前記係合工程では、前記突き当て面部が前記端面部に突き当てられた状態で、前記吸引部を介して前記外側バリ部を前記係合部に吸引する、方法が提供される。
好ましくは、前記金型は、シール部材を更に有し、前記シール部材は、前記端面部又は前記突き当て面部に取り付けられている、方法が提供される。
好ましくは、第1分割金型は、第1外側部を有し、第1外側部には、第1分割金型の前記内側ピンチオフ部及び前記外側ピンチオフ部が形成され、且つ、第1外側部には、前記端面部が形成され、第2分割金型は、第2外側部を有し、第2外側部には、第2分割金型の前記内側ピンチオフ部及び前記外側ピンチオフ部が形成され、且つ、第2外側部は、第1及び第2分割金型の開閉方向において、第1外側部に対向するように配置されている、方法が提供される。
好ましくは、前記成形体は、樹脂シートと、表皮材と有し、前記表皮材は、前記樹脂シートの外側に配置されている、方法が提供される。
好ましくは、第1及び第2分割金型のそれぞれには、減圧吸引穴が形成され、前記減圧吸引穴は、前記キャビティ部に形成されており、且つ、前記減圧吸引穴は、前記樹脂シートを第1及び第2分割金型に賦形するように形成され、前記樹脂シートが第1及び第2分割金型に賦形された状態において、前記キャビティ部に配置された前記表皮材は、第1分割金型に沿うように設けられ、前記減圧吸引穴は、第1分割金型の第1外側部には形成されていない、方法が提供される。
好ましくは、第1外側部と第2外側部との間には、表皮材逃し空間が形成されており、前記成形工程において、前記表皮材逃し空間には、前記表皮材の端部が配置されている、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1Aは、樹脂製パネル1の斜視図である。図1Bは、コア材3の斜視図である。
図2図2Aは、コア材3の分解斜視図である。図2Bは、図2A中の領域Bの拡大図である。図2Cは、補強部材3cの端面図である。
図3】成形機10の構成を示す正面図(第1及び第2分割金型21、22及びその近傍の部材は断面図)である。図3では、図5に示す駆動機構24の図示を省略している。
図4図4Aは、挿入装置19の斜視図であり、図4Bは、挿入装置19にコア材3が取り付けられている状態を示している。
図5図5は、第1及び第2分割金型21,22が型開きしている状態の斜視図である。
図6図6は、図5に示す領域Aの拡大図である。
図7図7は、図5とは異なる方向から見た第1及び第2分割金型21,22の斜視図である。
図8図8は、図7に示す領域Aの拡大図である。
図9図9Aは、一対の可動部23の斜視図である。図9Bは、図9Aに示す領域Bの拡大図である。
図10図10A及び図10Bは、第1切断工程を実施する際の可動部23の動作を示す正面図である。
図11図11は、成形工程を説明するための、図3に対応する説明図である。
図12図12は、第1及び第2分割金型21,22が閉じており、且つ、可動部23が初期位置に位置している状態を示す端面図である。図12は、図3に示すA-A端に対応している。
図13図13は、係合工程(バリ部賦形工程)後であって第1切断工程の開始時における状態を示している。図13は、図12に示す領域Aに対応する端面図である。
図14図14は、第1切断工程の動作説明図である。図14では、可動部23が第1分割金型21から離れるように移動し、外側バリ部5bc2が内側バリ部5bc1から切断される様子を示している。
図15図15は、成形体5の正面図を示している。
図16図16は、図13に示す成形体5の外側バリ部5bc2が、内側バリ部5bc1から切断された状態を模式的に示す正面図である。図16では、外側バリ部5bc2が可動部23に引っ張られて、右ライン5cr及び左ライン5clに沿って引き裂かれた状態を示している。
図17図17は、変形例に係る第1及び第2分割金型21,22の端面図である。図17は、第1切断工程の開始時における状態を示している。
図18図18は、変形例における第1切断工程の動作説明図である。
図19図19は、ヒンジ部を有する樹脂製パネルを製造するときに用いる第1及び第2分割金型21,22の断面図である。図19は、樹脂製パネルのヒンジ部を通り、且つ、ヒンジ部の延びる方向に平行な面における断面図である。
図20図20Aは、変形例2に係る第1分割金型21及び可動部23の分解斜視図である。図20Bは、図20Aとは異なる方向から見た分解斜視図である。図20Cは、支持部21fによって可動部23が支持されている状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0012】
1 樹脂製パネル1について
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る樹脂製パネル1(「構造体」の一例)は、平面視において略矩形状の樹脂成形体2に覆われたパネルである。
【0013】
図1図2に示すように、樹脂製パネル1は、中空の樹脂成形体2と、コア材3を備え、コア材3は樹脂成形体2内に配置される。樹脂成形体2の片面には、パーティングラインPLにまで延びるように表皮材4が貼り付けられている。表皮材4は、例えば不織布であり、成形時に樹脂成形体2に一体成形される。
コア材3の両面は、樹脂成形体2に密着している。コア材3は、基体3a,3bとこれを連結する補強部材3cで構成される。補強部材3cは、断面形状の一定の細長い部材である。基体3a,3bは、例えば発泡体で構成される。
補強部材3cは、略H形状であり、上壁3c1と、下壁3c2と、これらを連結する柱部3c3で構成される。上壁3c1の幅方向の両端部には、下壁3c2に向かって突出する突起3c11が設けられている。下壁3c2の幅方向の両端部には、上壁3c1に向かって突出する突起3c21が設けられている。突起3c11,3c21が基体3a,3bに係合することによって、基体3a,3bと補強部材3cが一体化される。基体3a,3bの端部には、一段下がった凹部3a1,3b1が設けられており、上壁3c1と下壁3c2が凹部3a1,3b1に収容されることによって、基体3a,3bと補強部材3cの上面及び下面が略面一になっている。
【0014】
2 樹脂製パネル1の製造方法
2-1 製造装置の説明
図3に示すように、実施形態に係る製造方法では、成形機10及び挿入装置19を用いて、図15に示す成形体5を形成する。図3図9に示すように、成形機10は、一対のシート形成装置14と、第1及び第2分割金型21,22と、可動部23と、駆動機構24とを備える。
【0015】
2-1-1 シート形成装置14の構成
図3に示すように、シート形成装置14は、ホッパー12と、押出機13と、アキュームレータ17と、Tダイ18を備える。押出機13とアキュームレータ17は、連結管15を介して連結される。アキュームレータ17とTダイ18は、連結管16を介して連結される。以下、各構成について詳細に説明する。
【0016】
<ホッパー12,押出機13>
ホッパー12は、原料樹脂11を押出機13のシリンダ13a内に投入するために用いられる。原料樹脂11の形態は、特に限定されないが、通常は、ペレット状である。原料樹脂は、例えばポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂であり、ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体及びその混合物などが挙げられる。原料樹脂11は、粉砕機でバリ部が粉砕されて製造された再生原料を含んでもよい。原料樹脂11は、ホッパー12からシリンダ13a内に投入された後、シリンダ13a内で加熱されることによって溶融されて溶融樹脂になる。また、シリンダ13a内に配置されたスクリューの回転によってシリンダ13aの先端に向けて搬送される。スクリューは、シリンダ13a内に配置され、その回転によって溶融樹脂を混練しながら搬送する。スクリューの基端にはギア装置が設けられており、ギア装置によってスクリューが回転駆動される。
【0017】
<アキュームレータ17、Tダイ18>
原料樹脂は、シリンダ13aの樹脂押出口から押し出され、連結管15を通じてアキュームレータ17内に注入される。アキュームレータ17は、シリンダ17aとその内部で摺動可能なピストン17bを備えており、シリンダ17a内に溶融樹脂11aが貯留可能になっている。そして、シリンダ17a内に溶融樹脂11aが所定量貯留された後にピストン17bを移動させることによって、連結管16を通じて溶融樹脂11aをTダイ18内に設けられたスリットから押し出して垂下させて溶融状態の樹脂シートp1,p2を形成する。
【0018】
2-1-2 第1及び第2分割金型21、22
図11に示すように、樹脂シートp1,p2は、第1及び第2分割金型21、22間に導かれる。第1及び第2分割金型21、22は、型閉じの際に当接するパーティング面で分割可能になっており、第1及び第2分割金型21、22によって成形体5が形成される。つまり、成形工程では、分割可能な一対の第1及び第2分割金型21、22を用いて成形体5が形成される。また、実施形態では、第1及び第2分割金型21、22間には、表皮逃し空間sp(図13参照)が形成される。表皮逃し空間spは、成形時において、表皮材4の端部が配置される。
【0019】
<第1分割金型21>
第1分割金型21は、図7図8図13及び図14に示すように、本体部21a1と、一対の第1外側部21a2と、端面部21a3とを備えている。本体部21a1には、キャビティ部cvt(図12参照)が形成されている。第1及び第2分割金型21,22が閉じている状態において、キャビティ部cvtは、第1分割金型21と第2分割金型22との間に形成される閉空間であり、成形体が成形される空間である。第1外側部21a2は、本体部21a1の幅横方向の端部(左右の端部)に接続されている。なお、横幅方向とは、第1及び第2分割金型21,22の開閉方向に直交し、且つ、上下方向に直交する方向である。端面部21a3には、可動部23が突き当てられる面が形成されている。実施形態では、端面部21a3は、第1外側部21a2の側面に形成されている。
【0020】
第1分割金型21には、多数の減圧吸引穴hl(図13参照)が設けられており、樹脂シートp1を減圧吸引して第1分割金型21の内面21bに沿った形状に賦形することが可能になっている。なお、内面21bは、キャビティ部cvtに面している。
【0021】
第1分割金型21は、ピンチオフ部21dを有し、ピンチオフ部21dは、キャビティ部cvtを取り囲むように設けられている。ピンチオフ部21dは、第1分割金型21側から第2分割金型22側へ突き出るように形成された突部である。ピンチオフ部21dは、内側ピンチオフ部21d1と、外側ピンチオフ部21d2とを有する。図13に示すように、内側ピンチオフ部21d1及び外側ピンチオフ部21d2は、第1外側部21a2に形成されている。
【0022】
内側ピンチオフ部21d1は、キャビティ部cvtに面するように設けられている。内側ピンチオフ部21d1は、樹脂製パネル1の形状に対応する形状に形成されている。具体的には、実施形態において、内側ピンチオフ部21d1は、頂部の面が平坦面となっている。また、実施形態では、内側ピンチオフ部21d1は、折れ曲がった直線状に延びている。
【0023】
外側ピンチオフ部21d2は、キャビティ部cvtに対して、内側ピンチオフ部21d1よりも離れた位置に設けられている。外側ピンチオフ部21d2は、可動部23の形状に合わせた形状に形成されている。具体的には、外側ピンチオフ部21d2は、後述する可動部23の係合部23d(図8参照)のうち、最も第1分割金型21に近い係合部23d(以下、最近接の係合部23dと称する)の形状に合わせた形状に形成されている。具体的には、外側ピンチオフ部21d2は、第1分割金型21及び可動部23を平面視したとき(図11の矢印C2方向から第1分割金型21及び可動部23を見たとき)、最近接の係合部23dに沿うように形成されている。換言すると、外側ピンチオフ部21d2は、第1分割金型21及び可動部23を平面視したとき、最近接の係合部23dに平行に形成されている。これにより、バリ部の切断ラインがいびつになることが回避され、バリ部が切断されにくくなることを抑制することが可能である。
【0024】
なお、実施形態では、最近接の係合部23dが、後述する可動部23の対向面部23aの端に配置されているものとして説明しているが、これに限定されるものではない。最近接の係合部23dは、可動部23の駆動方向において、対向面部23aの端の位置よりも内側の位置に配置されていてもよい。
【0025】
また、外側ピンチオフ部21d2の頂部の面は、この最近接の係合部23dの頂部の面に一致している。つまり、外側ピンチオフ部21d2の頂部の面を延長したとき、最近接の係合部23dの頂部の面に重なる。このため、外側ピンチオフ部21d2の頂部の面は、最近接の係合部23dの頂部の面に滑らかに繋がる。したがって、実施形態では、バリ部の切断ラインがいびつになることが更に効果的に回避され、バリ部が切断されにくくなることを効果的に抑制することができる。
【0026】
なお、実施形態では、内側ピンチオフ部21d1の形状が、最近接の係合部23dに対応する形状となっているため、外側ピンチオフ部21d2が、内側ピンチオフ部21d1に対して平行に形成されているが、このように、外側ピンチオフ部21d2の形状が、内側ピンチオフ部21d1の形状に制限されていなくてもよい。つまり、外側ピンチオフ部21d2の形状は、可動部23の形状に合わせて定められていればよい。つまり、内側ピンチオフ部21d1の形状は、樹脂製パネル1の形状によって制限されるのに対し、外側ピンチオフ部21d2は、樹脂製パネル1の形状に制限されず、可動部23の形状に合わせた形状を採用することができる。
【0027】
第1分割金型21は、オス型突起21eを有している。オス型突起21eは、挿入装置19の後述するメス型突起19cに対向する位置に設けられている。オス型突起21eは、第1分割金型21に対してスライド移動して第1分割金型21内に収容可能になっている。
【0028】
<第2分割金型22>
第2分割金型22は、図13に示すように、本体部22a1と、一対の第2外側部22a2と、一対の対向部22a3とを備えている。本体部22a1には、キャビティ部cvt(図12参照)が形成されている。第2外側部22a2は、本体部22a1の幅横方向の端部(左右の端部)に接続されている。また、各対向部22a3は、各第2外側部22a2の横幅方向の端部に接続されている。対向部22a3は、可動部23に対向するように配置されている。
【0029】
第2分割金型22には、多数の減圧吸引穴hl(図13参照)が設けられており、樹脂シートp2を減圧吸引して第2分割金型22の内面22bに沿った形状に賦形することが可能になっている。なお、内面22bは、キャビティ部cvtに面している。
【0030】
第2分割金型22は、ピンチオフ部22dを有し、ピンチオフ部22dは、キャビティ部cvtを取り囲むように設けられている。ピンチオフ部22dは、第2分割金型22側から第1分割金型21側へ突き出るように形成された突部である。ピンチオフ部22dは、内側ピンチオフ部22d1と、外側ピンチオフ部22d2とを有する。図13に示すように、内側ピンチオフ部22d1及び外側ピンチオフ部22d2は、第2外側部22a2に形成されている。
【0031】
内側ピンチオフ部22d1及び外側ピンチオフ部22d2は、内側ピンチオフ部21d1及び外側ピンチオフ部21d2と同様の構成である。内側ピンチオフ部22d1は、キャビティ部cvtに面するように設けられている。内側ピンチオフ部22d1は、樹脂製パネル1の形状に対応する形状に形成されている。具体的には、内側ピンチオフ部22d1は、頂部の面が平坦面となっている。また、内側ピンチオフ部22d1は、折れ曲がった直線状に延びている。
【0032】
外側ピンチオフ部22d2は、キャビティ部cvtに対して、内側ピンチオフ部22d1よりも離れた位置に設けられている。外側ピンチオフ部22d2は、外側ピンチオフ部21d2と同様に、可動部23の形状に合わせた形状に形成されている。外側ピンチオフ部22d2の頂部の面は、最近接の係合部23dの頂部の面に一致している。このため、外側ピンチオフ部22d2の頂部の面は、最近接の係合部23dの頂部の面に滑らかに繋がっている。
【0033】
<表皮材逃し空間sp>
表皮材逃し空間spは、余分な表皮材4が配置される空間である。また、表皮逃し空間spには、表皮材4の端部が配置される。表皮材逃し空間spは、第1及び第2分割金型21,22の間に形成されている。具体的には、表皮材逃し空間spは、第1外側部21a2と第2外側部22a2との間の空間であり、且つ、内側ピンチオフ部21d1及び内側ピンチオフ部22d1と、外側ピンチオフ部21d2及び外側ピンチオフ部22d2との間の空間である。
成形時に使用する表皮材4は、キャビティ部cvtのサイズよりも大きくなっている。このため、成形時には、余分な表皮材4が発生する。なお、余分な表皮材4は、後工程において、オペレーターによって切除される。また、バリ部を構成する原料樹脂11は、再利用可能であるが、余分な表皮材4が、原料樹脂11に対応する樹脂シートp1に付着してしまうと、強固に接着してしまい、表皮材4を樹脂シートp1から剥がすことが困難になる場合がある。剥がすことができない場合、バリ部は破棄されることのなるため、樹脂の再利用ができなくなる。そこで、実施形態では、第1及び第2分割金型21,22に表皮材逃し空間spが形成されている。
【0034】
ここで、樹脂シートp1の肉厚及び樹脂シートp2の肉厚が、それぞれ、0.6(mm)~1.7(mm)である場合において、図13に示す表皮材逃し空間spの横幅寸法w1及び表皮材逃し空間spの深さ寸法w2について説明する。
横幅寸法w1は、例えば、15.0,15.5,16.0,16.5,17.0,17.5,18.0,18.5,19.0,19.5,20.0,20.5,21.0,21.5,22.0,22.5,23.0,23.5,24.0,24.5,25.0(mm)に設定することが好ましく、また、横幅寸法w1は、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
また、表皮材逃し空間spの深さ寸法w2は、例えば、4.0,4.2,4.4,4.6,4.8,5.0,5.2,5.4,5.6,5.8,6.0,6.2,6.4,6.6,6.8,7.0,7.2,7.4,7.6,7.8,8.0(mm)に設定することが好ましく、また、深さ寸法w2は、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
このように、表皮材逃し空間spの横幅寸法w1及び表皮材逃し空間spの深さ寸法w2が設定されていることで、表皮材4と樹脂シートp1とが接着することを抑制することができる。
【0035】
また、第1外側部21a2には、減圧吸引穴hlが設けられていない。つまり、第1及び第2分割金型21,22のキャビティ部cvtには、減圧吸引穴hlが形成されているが、第1外側部21a2には、減圧吸引穴hlが設けられていない。これにより、表皮材4と樹脂シートp1とが接着することを効果的に抑制することができる。なお、実施形態では、第2外側部22a2には、減圧吸引穴hlが設けられているものとして説明するが、それに限定されるものではなく、設けられていなくてもよい。
【0036】
2-1-3 可動部23の構成
可動部23は、バリ部と係合し、バリ部を切断する機能を有する。可動部23は、第1及び第2分割金型21,22に対して相対移動可能に設けられている。図9A図10B、及び図13に示すように、可動部23は、第1分割金型21の第1外側部21a2の側方に付設されている。可動部23は、対向面部23aと、突き当て面部23bと、吸引部23cと、係合部23dと、シール部材23eとを備えている。
【0037】
図13に示すように、対向面部23aは、第2分割金型22の対向部22a3に対向するように設けられている。対向面部23aには、複数の係合部23dが形成されている。
【0038】
図14に示すように、突き当て面部23bは、第1分割金型21の端面部21a3に突き当て可能に形成されている。突き当て面部23bは、端面部21a3に沿うように形成されている。このため、突き当て面部23bが端面部21a3に突き当てられた状態で減圧吸引穴hlを介してエアーを減圧吸引したときにおいて、エアーが、突き当て面部23bと端面部21a3との間から、樹脂が賦形される部分に流入してしまうことを抑制することが可能となっている。なお、樹脂が賦形される部分とは、例えば、キャビティ部cvt内や、バリ部と係合部23dの表面との間の隙間等である。
【0039】
図13に示すように、吸引部23cは、対向面部23aに形成された穴であり、且つ、係合部23dの形成領域に開口している。エアーが吸引部23cを介して減圧吸引されることで、バリ部(外側バリ部5bc2)が係合部23dに賦形される。これにより、バリ部(外側バリ部5bc2)が、より確実に可動部23に引っ掛かり、可動部23が駆動したときに、バリ部が、可動部23に対して滑ってしまうことが抑制される。その結果、実施形態では、可動部23が駆動したときに、バリ部が可動部23に適切に追従し、バリ部をより確実に切断することが可能となっている。
【0040】
例えば、キャビティ部cvtに樹脂シートp1を賦形しているときに、吸引部23cが減圧吸引されていると、樹脂シートp1にシワ等が発生し、成形性が損なわれる可能性がある。そこで、吸引部23cにおける減圧吸引系統は、第1分割金型21の減圧吸引穴hlの減圧吸引系統とは独立している。これにより、吸引部23cの減圧吸引のタイミングと、減圧吸引穴hlの減圧吸引のタイミングとを別々に制御することが可能となり、成形性が損なわれることを回避することができる。
【0041】
係合部23dは、バリ部と係合する機能を有する。係合部23dは、第2分割金型22へ向かって突出するように形成された突部である。対向面部23aには係合部23dが複数形成されているため、対向面部23aは、係合部23dの形成領域が凹凸状に形成されている。なお、実施形態では、吸引部23cが、対向面部23aのうち、2つ隣接する係合部23d間の領域に開口しているものとして説明しているが、これに限定されるものではない。吸引部23cは、係合部23dの表面に開口していてもよい。
【0042】
図9Bに示すように、シール部材23eは、突き当て面部23bに取り付けられている。具体的には、突き当て面部23bには、溝部が形成されており、シール部材23eは、溝部内に取り付けられている。これにより、エアーが、突き当て面部23bと端面部21a3との間から、上述の樹脂が賦形される部分に流入してしまうことを効果的に抑制することが可能となっている。なお、実施形態では、シール部材23eが、突き当て面部23bに取り付けられているものとして説明しているが、これに限定されるものではなく、シール部材23eは、第1分割金型21の端面部21a3に取り付けられていてもよい。
【0043】
2-1-4 駆動機構24の構成
図5に示すように、駆動機構24は、第1分割金型21の背面部に配置されている。駆動機構24は、可動部23を駆動するように構成されている。駆動機構24は、図5に示すように、一対の上駆動機構24aと、一対の下駆動機構24bとを備えている。各上駆動機構24a及び各下駆動機構24bは、例えば、シリンダ等で構成することができる。各上駆動機構24a及び各下駆動機構24bは、第1分割金型21及び可動部23に跨って設けられ、各上駆動機構24a及び各下駆動機構24bは、第1分割金型21及び可動部23に固定されている。各上駆動機構24aのシリンダ及び各下駆動機構24bのシリンダが伸長することで、可動部23が移動する。
各上駆動機構24a及び各下駆動機構24bは、独立して制御可能となっている。このため、駆動機構24は、図10A及び図10Bに示すように、可動部23の上部を移動させてから、可動部23の下部を移動させることが可能となっている。これにより、バリ部を引き裂く力が局所的になり、可動部23は、円滑にバリ部を引き裂くことができる。
【0044】
2-1-5 挿入装置19
挿入装置19は、図示しない駆動機構によって移動可能に構成されている。図4Aに示すように、挿入装置19は、ベース19aと、吸着パッド19bと、メス型突起19cを備える。各部材は、ベース9aによって保持される。吸着パッド9bは、コア材3を吸着保持するために用いられる。メス型突起19cは、表皮材4を保持可能になっており、表皮材4を第1分割金型21に装着するために用いられる。
【0045】
2-2 成形体5
樹脂製パネル1は、以下に説明する成形体5(図15参照)のバリ部を除去することで得られる。つまり、成形体5は、金型で成形した後であって、バリ部を除去する前の状態の成形体である。
【0046】
図15に示すように、成形体5は、成形体本体5aを取り囲むように設けられた切断ライン5cを介して成形体本体5aと大バリ部5bが連結されて構成されている。切断ライン5cは、ピンチオフ部21d,22dによって押し潰された部分に対応している。成形体本体5aの全周に渡って切断ライン5cに沿って成形体5を切断することによって、成形体5を成形体本体5aと大バリ部5bとに分離することができる。
【0047】
図15及び図16に示すように、成形体本体5aは、先述した樹脂製パネル1に対応する部分(成形品5d)と、当該部分に連結している小バリ部5e及び内側バリ部5bc1とから構成されている。つまり、成形体本体5aから小バリ部5e及び内側バリ部5bc1を除去することで、樹脂製パネル1を得ることができる。
また、大バリ部5bは、成形体本体5aの上部に位置する上バリ部5buと、成形体本体5aの下部に位置する下バリ部5bbと、上バリ部5buと下バリ部5bbとの間に位置する外側バリ部5bc2とから構成されている。外側バリ部5bc2は、可動部23に切断される前において、内側バリ部5bc1に連結されている。
【0048】
図13に示すように、内側バリ部5bc1は、樹脂シートp1,p2及び表皮材4から構成されている。一方、外側バリ部5bc2は、樹脂シートp1,p2から構成されている。つまり、外側バリ部5bc2は、表皮材4を含まない。換言すると、表皮材4は、表皮材4の端部が、内側ピンチオフ部21d1,22d1と外側ピンチオフ部21d2,22d2との間に位置するように、配置される。
【0049】
切断ライン5cは、左ライン5cl(外側ライン部の一例)と、右ライン5cr(外側ライン部の一例)と、上ライン5cuと、下ライン5cbを備える。左ライン5cl、右ライン5cr、上ライン5cu、及び下ライン5cbは、それぞれ、図11に示す第2分割金型22の型閉じ方向(図11の矢印C2方向)から成形体5を見たときに成形体本体5aの左側、右側、上側、及び下側に配置される。
【0050】
本実施形態では、第1及び第2分割金型21、22と可動部23によって右ライン5cr及び左ライン5clに沿って成形体5を切断する第1切断工程を行う。そして、第1及び第2分割金型21、22から成形体5を取り出した後に切断ライン5cの残り(つまり、上ライン5cu及び下ライン5cb)に沿って成形体5を切断する第2切断工程を行う。
【0051】
成形体本体5aは、成形品5d(樹脂製パネル1に相当)と、小バリ部5e及び内側バリ部5bc1とがパーティングライン5fを介して連結されて構成されている。換言すると、成形体本体5aは、成形品5dと、小バリ部5e及び内側バリ部5bc1と、パーティングライン5fの一部(左ライン5fl及び右ライン5fr)とを有する。したがって、成形品5dの全周に渡ってパーティングライン5fに沿って成形体本体5aを切断することによって、成形品5dから、小バリ部5e及び内側バリ部5bc1を分断することができる。
【0052】
パーティングライン5fは、左ライン5fl(内側ライン部の一例)と、右ライン5fr(内側ライン部の一例)と、上ライン5fuと、下ライン5fbとを備える。左ライン5fl、右ライン5fr、上ライン5fu、及び下ライン5fbは、それぞれ、図11に示す第2分割金型22の型閉じ方向(矢印C2)から成形体5を見たときに成形体本体5aの左側、右側、上側、及び下側に配置される。
【0053】
なお、実施形態では、切断ライン5cの下ライン5cbは、パーティングライン5fの下ライン5fbと重なっている。
また、切断ライン5cの上ライン5cuは、パーティングライン5fの上ライン5fuの上側に隣接した位置に設けられている。このため、成形品5dと小バリ部5eは、上ライン5fuを介して連結されている。
更に、切断ライン5cの左ライン5cl及び右ライン5crは、それぞれ、パーティングライン5fの左ライン5fl及び右ライン5frの側方に隣接した位置に設けられている。このため、成形品5dと内側バリ部5bc1とは、左ライン5cl及び右ライン5crを介して連結されている。
【0054】
パーティングライン5fの上ライン5fuは、非直線状である。このため、例えば、オペレーターが、カッターを用いて、上ライン5fuに沿って成形体5を切断する必要が生じる。そこで、本実施形態では、上ライン5fuの上側に隣接した位置に、直線状の上ライン5cuを設けている。また、実施形態では、パーティングライン5fの下ライン5fbも、直線状である。このような直線上のラインは、バリ部の切断装置のカッターを使用することで、切断することができる。このように、左ライン5cl及び右ライン5crが切断された後に、上ライン5cu及び下ライン5cbが切断され、成形体本体5aが大バリ部5bから分離される。
【0055】
2-3 製造方法の各工程の説明
本実施形態の樹脂製パネル1の製造方法は、表皮材装着工程と、垂下工程と、樹脂シート賦形工程と、コア材溶着工程と、成形工程と、係合工程と、第1切断工程と、成形体取り出し工程と、第2切断工程と、後工程とを備える。
【0056】
2-3-1 表皮材装着工程
表皮材装着工程では、表皮材4を第1分割金型21に装着する。具体的には、メス型突起19cを、表皮材4に形成しておいた貫通穴に予め挿入しておき、図3に示すように、表皮材4を挿入装置19に保持させておく。表皮材装着工程では、メス型突起19cとオス型突起21eを対向させた後に、両者を係合させ、その状態で、表皮材4をオス型突起21e側へ押すことによって表皮材4をオス型突起21eに移動させる。これにより、図11に示すように、表皮材4が第1分割金型21に装着される。
【0057】
2-3-2 垂下工程
垂下工程では、図11に示すように、第1及び第2分割金型21、22間に、Tダイ18から押し出された樹脂シートp1,p2を垂下する。樹脂シートp1は、コア材3と表皮材4の間に垂下される。樹脂シートp2は、挿入装置19と第2分割金型22の間に垂下される。本実施形態では、Tダイ18から押し出された樹脂シートp1,p2をそのまま使用するダイレクト真空成形が行われるので、樹脂シートp1,p2は、成形前に室温にまで冷却されて固化されることがなく、固化された樹脂シートp1,p2が成形前に加熱されることもない。
【0058】
2-3-3 樹脂シート賦形工程
樹脂シート賦形工程の実施にあたっては、樹脂シートp1と第1分割金型21の突出部(例えば、ピンチオフ部)とを予め密着させておき、樹脂シートp1と第1分割金型21との間に密閉空間を形成しておく。樹脂シートp2及び第2分割金型22についても同様である。なお、密閉空間の形成にあたっては、第1及び第2分割金型21,22とは別体の外枠(図示省略)を用いてもよい。各外枠は、第1及び第2分割金型21,22の周面部に配置される。そして、各外枠は、第1及び第2分割金型21,22の開閉方向に移動自在であり、減圧吸引穴が形成されている。第1分割金型21の外枠は、樹脂シートp1を吸引することで密着し、密閉空間が、第1分割金型21と樹脂シートp1と外枠との間に形成される。第2分割金型22の外枠についても同様である。
そして、樹脂シート賦形工程では、第1及び第2分割金型21、22の減圧吸引穴hlを介して、当該密閉空間内の空気を減圧吸引し、樹脂シートp1,p2を第1及び第2分割金型21、22に賦形する。第1分割金型21では、樹脂シートp1は、キャビティ部の内面21bの外形に沿った形状に賦形される。樹脂シートp2は、キャビティ部の内面22bに沿った形状に賦形される。樹脂シートp1,p2を賦形するタイミングは、ずれていてもよく、例えば、コア材溶着工程の後に樹脂シートp2を賦形したり、型締め工程において樹脂シートp2を賦形したりしてもよい。
【0059】
なお、第1外側部21a2には、減圧吸引穴hlが形成されていない。このため、樹脂シート賦形工程で実施したとしても、表皮材4と樹脂シートp1とが接着することが抑制されている。このため、内側バリ部5bc1を成形体本体5aから除去したときにおいて、内側バリ部5bc1を構成する樹脂を再利用することが可能である。
【0060】
2-3-4 コア材溶着工程
コア材溶着工程では、コア材3を樹脂シートp1に溶着させる。図11に示すように、挿入装置19は、表皮材4を第1分割金型21に装着させているため、挿入装置19には、コア材3が残されている。この状態で、挿入装置19を樹脂シートp1に向かって移動させることによって、コア材3を樹脂シートp1に溶着させることができる。コア材3を樹脂シートp1に溶着させた後、挿入装置19を第1及び第2分割金型21、22の移動軌跡外の位置に移動させる
【0061】
コア材3を樹脂シートp1,p2の間に配置するタイミングは限定されず、垂下工程又は賦形工程において樹脂シートp1,p2の間に配置してもよい。また、コア材3を樹脂シートp2に先に溶着させてもよい。
【0062】
2-3-5 成形工程
成形工程では、第1及び第2分割金型21、22を図11中の矢印C1,C2の方向に移動させることによって、第1及び第2分割金型21、22を閉じる。これにより、ピンチオフ部21d及びピンチオフ部22dに対応する部位において樹脂シートp1,p2が押し潰されるとともに溶着され、図15に示す成形体5が形成される。
【0063】
2-3-6 係合工程(バリ部賦形工程)
係合工程では、成形体5の外側バリ部5bc2を可動部23に賦形し、外側バリ部5bc2を可動部23に係合させる工程(バリ部賦形工程)である。つまり、係合工程では、図13に示すように、吸引部23cを介して外側バリ部5bc2を係合部23dに吸引することで、外側バリ部5bc2の樹脂シートp1を係合部23dに沿うように賦形させる。
【0064】
なお、成形工程において第1及び第2分割金型21、22を閉じた状態で、外側バリ部5bc2を構成する樹脂(樹脂シートp1,p2)同士が溶着している(図13参照)。この状態で、係合工程(バリ部賦形工程)が実施されることで、樹脂シートp1,p2のうち溶着していない部分が離間しやくなり、その結果、外側バリ部5bc2が中空となる。これにより、樹脂シートp1,p2が薄かったとしても、外側バリ部5bc2(樹脂シートp1)には、係合部23dに沿った凹凸がはっきりと形成されることになり、係合部23dが外側バリ部5bc2(樹脂シートp1)に引っ掛かりやすくなる。その結果、可動部23が、内側バリ部5bc1から外側バリ部5bc2を効果的に引き裂くことが可能となる。
【0065】
また、上述したように、外側バリ部5bc2を構成する樹脂シートp1,p2が互いに溶着している。これにより、外側バリ部5bc2の剛性が上がり、その結果、係合部23dが外側バリ部5bc2を引っ張る力が外側バリ部5bc2に伝達されやすくなり、外側バリ部5bc2を内側バリ部5bc1から引き裂きやすくなる。
【0066】
2-3-7 第1切断工程
係合工程後において、成形体本体5aは第1及び第2分割金型21,22内に収納されており、大バリ部5bが第1分割金型21の可動部23に設けられた係合部23dに係合されている。この状態で、図10Aに示すように、可動部23の上側が本体部22a1から離れるように傾斜させると、切断ライン5cの左ライン5cl及び右ライン5crに沿って成形体5が上側から裂けるように切断され始める。次に、図10Bに示すように、可動部23の下側が第1分割金型21から離れるように、可動部23を移動させると、成形体5の裂けが下方に向かって進行し、第1切断工程が完了する(図15参照)。
【0067】
2-3-8 成形体取り出し工程
成形体取り出し工程では、図示省略の挟持装置で、例えば上バリ部5bu等のバリ部を挟持した状態で、第1及び第2分割金型21、22を開く。その後、成形体5が、挟持装置によって次工程を実施するための所望の場所へ搬送される。図16に示すように、成形体5は、切断ライン5cの左ライン5cl及び右ライン5crに沿って切断されている。一方、成形体5は、切断ライン5cの上ライン5cu及び下ライン5cbに沿って切断されていない。上ライン5cu及び下ライン5cbの何れかに沿って成形体5が切断されていると、成形体本体5aが大バリ部5bに対して揺れやすくなって、扱いにくくなるが、本実施形態では、この時点では、左ライン5cl及び右ライン5crのみに沿って成形体5が切断されているので、成形体5の扱いが容易である。
【0068】
2-3-9 第2切断工程
第2切断工程では、上ライン5cu及び下ライン5cbに沿って成形体5を切断して、成形体5を成形体本体5aと大バリ部5bに分離する。第2切断工程には、例えば、上ライン5cu及び下ライン5cbの位置を認識して自動的に切断ラインを切断することができる切断装置を用いることができる。
【0069】
2-3-10 後工程
後工程では、小バリ部5e及び内側バリ部5bc1を除去して、樹脂製パネル1を得る。この工程は、オペレーターが実施することができる。
【0070】
3 実施形態の効果
3-1 可動部23の減圧吸引機能について
実施形態における係合工程(バリ部賦形工程)では、吸引部23cを介して外側バリ部5bc2を可動部23の係合部23dに吸引する。これにより、外側バリ部5bc2が可動部23に賦形され、外側バリ部5bc2が可動部23により確実に係合する。したがって、可動部23を第1及び第2分割金型21,22に対して相対移動させたときにおいて、外側バリ部5bc2が可動部23に対して滑ることが抑制されて、外側バリ部5bc2が可動部23に追従するように移動し、その結果、外側バリ部5bc2がより確実に成形体本体5aから切断される。
【0071】
3-2 二重のピンチオフ部について
実施形態において、第1及び第2分割金型21,22は、二重のピンチオフ構造を有する。つまり、第1及び第2分割金型21,22のそれぞれが、キャビティ部cvtに接続されている内側ピンチオフ部21d1,22d1と、キャビティ部cvtに対して内側ピンチオフ部21d1,22d1よりも離れた位置に設けられた外側ピンチオフ部21d2,22d2とを有する。ここで、内側ピンチオフ部21d1,22d1は、成形体本体5aの形状に対応するような形状である必要がある。その一方で、外側ピンチオフ部21d2,22d2は、内側バリ部5bc1と外側バリ部5bc2とを区画する位置に配置される。そして、内側バリ部5bc1及び外側バリ部5bc2は、共に切断されるものであり、製品上は不要な部分である。つまり、外側ピンチオフ部21d2,22d2は、キャビティ部cvtに接続されていない部分であり、且つ、製品上は不要な内側バリ部5bc1及び外側バリ部5bc2を区画するものであるため、外側ピンチオフ部21d2,22d2は、内側ピンチオフ部21d1,22d1のように成形体本体5aに合わせた形状にするという制約が抑制されている。このため、実施形態では、外側ピンチオフ部21d2,22d2の形状を、可動部23との繋がりを加味した形状に容易に設定することができる。つまり、バリ部の切断ラインがいびつになることが回避され、バリ部が切断されにくくなることを抑制することができる。
【0072】
実施形態では、内側ピンチオフ部21d1,22d1は、頂部の面が平坦面となっているものとして説明したが、これに限定されるものではない。内側ピンチオフ部21d1,22d1は、頂部の面が凹凸状(波状)をなすように延びていてもよい。このような内側ピンチオフ部21d1,22d1の形状を説明するにあたって、実施形態で説明した樹脂製パネルとは異なる形状の樹脂製パネルを例に挙げて説明する。すなわち、樹脂製パネルは、例えば、樹脂シートで覆われた2つの基体3a,3bの間に、樹脂シートが金型で潰されて構成されたヒンジ部が配置されているものであってもよい。ここで、ヒンジ部は、第1及び第2分割金型21,22のピンチオフ部21dd,22dd(図19参照)によって樹脂シートp1,p2が押し潰されることで構成される薄肉部分であり、樹脂製パネルは、このヒンジ部を介して折り曲げることが可能である。また、このヒンジ部は、樹脂製パネルの厚み方向の一方側に寄るように形成されている。このような形態の樹脂製パネルにおいて、基体3a,3bにおけるパーティングラインは、樹脂製パネルの厚み方向の中央であるのに対し、ヒンジ部におけるパーティングラインは、ヒンジ部自体であるため、樹脂製パネルの厚み方向の一方側に寄っている。つまり、樹脂製パネルのパーティングラインは、基体3a,3bとヒンジ部とを接続する部分が入り組んだ構成となる。換言すると、このような樹脂製パネルを製造するには、第1及び第2分割金型21,22のピンチオフ部21d,22dの形状が入り組んだ構成となる。具体的には、図19に示すように、ヒンジ部の位置における第1及び第2分割金型21,22の断面において、内側ピンチオフ部22d1が、凸状に形成された部分を有し、内側ピンチオフ部21d1が凹状に形成された部分を有する。
【0073】
本実施形態は、このようなヒンジ部を有する樹脂製パネルに対して、好適である。
従来の金型のように、外側ピンチオフ部21d2,22d2を備えていない金型で上述のようなヒンジ部を有する樹脂製パネルを製造すると、ヒンジ部におけるバリ部の切断ラインがいびつになる上、金型設計が複雑になる。それに対し、実施形態では、外側ピンチオフ部21d2,22d2の形状を、内側ピンチオフ部21d1,22d1の形状に制約を受けずに、決定することができる。このため、実施形態では、バリ部の切断ラインがいびつになることが回避され、バリ部が切断されにくくなることを抑制することができる。また、第1及び第2分割金型21,22の構成が入り組んだ複雑な構成となることを回避することができるため、金型設計を行いやすい。
【0074】
従来の製造方法は、可動部が、実施形態における、成形体本体5aと内側バリ部5bc1との連結部分に対応する部分を切断する構成である。このような製造方法では、当該部分を切断しきれなかった場合に、成形体本体を金型から取り出すときに当該部分を起点に樹脂シートの剥離やめくれが発生し、成形体本体が不良品になってしまう可能性がある。実施形態は、内側バリ部5bc1と外側バリ部5bc2との連結部分を切断する構成であるため、仮に外側バリ部5bc2を内側バリ部5bc1から切断しきれなかったとしても、剥離やめくれが発生する部分は、不要な内側バリ部5bc1である。このため、実施形態は、成形体本体が不良品となることを回避することができ、歩留まりを向上させることができる。また、上述したように、実施形態は、二重のピンチオフ構造を採用しているため、バリ部自体が切断されにくくなっており、歩留まりを向上の効果が更に高くなっている。
【0075】
従来の製造方法は、可動部が、表皮材も切断する構成である。ここで、樹脂シートを切断することができても、表皮材を切断することができない場合がある。このような場合、成形体本体を金型から取り出すときに、切断できなかった表皮材を起点に表皮材のめくれが発生し、成形体本体が不良品になってしまう可能性がある。
実施形態では、表皮材4の端部が、外側ピンチオフ部21d2,22d2よりも内側であるため、可動部23が表皮材4自体を切断する構成ではない。このため、実施形態は、成形体本体5aが不良品となることを回避することができ、歩留まりを向上させることができる。
なお、表皮材4が仮に外側バリ部5bcにまで及んでいる場合において、表皮材4が可動部23によって切断されなかったとしても、めくれが発生する部分は、不要な内側バリ部5bc1である。つまり、実施形態は、二重のピンチオフ構造を採用しているため、表皮材4が仮に外側バリ部5bcにまで及んでいる場合であっても、成形体本体が不良品となることを回避することができ、歩留まりを向上させることができる。
【0076】
4 変形例
4-1 変形例1
図17に示すように、実施形態で説明した外側ピンチオフ部21d2,22d2が、第1及び第2分割金型21,22に設けられていなくても、実施形態で説明した可動部23の減圧吸引機能の効果を得ることができる。つまり、図17に示す形態であっても、外側バリ部5bc2が可動部23により確実に係合し、外側バリ部5bc2がより確実に成形体本体5aから切断される。
なお、本変形例1では、第1及び第2分割金型21,22には、外側ピンチオフ部21d2,22d2が設けられていないため、図18に示すように、切断工程では、内側バリ部5bc1と外側バリ部5bc2とが切断されることがなく、内側バリ部5bc1が成形体本体5aから切断されることになる。このとき、第1外側部21a2には、減圧吸引穴hlが形成されていないので、樹脂シートp1と表皮材4とが接着されることが抑制されており、可動部23が駆動しても、表皮材4がバリ部と一緒に切断されてしまうことが回避されている。このため、樹脂を再利用するときに、切断した内側バリ部5bc1及び外側バリ部5bc2の連結体から、表皮材4を剥がす手間を省くことが可能である。
【0077】
4-2 変形例2
第1分割金型21と可動部23は、駆動機構24を介して連結している。ここで、駆動機構24のストロークが大きい場合や、第1分割金型21及び可動部23の構造によっては、可動部23が第1分割金型21から脱落して可動部23が初期位置に戻りにくくなってしまう可能性がある。例えば、駆動機構24のストロークが大きい場合、可動部23は第1分割金型21と接触しなくなり、可動部23が第1分割金型21から脱落する。このとき、可動部23は駆動機構24を介して第1分割金型21に連結しているため、可動部23が床面に落下することはない。しかし、可動部23を元の初期位置に戻そうとして、駆動機構24を駆動させたとき、可動部23が第1分割金型21の側面に干渉して、可動部23を初期位置に復帰させることができなくなる場合がある。このような場合には、例えばオペレーターが脱落の都度、可動部23を初期位置へ移動させる必要が生じる。
【0078】
本変形例2では、図20A及び図20Bに示すように、第1分割金型21が、支持部21fを備え、可動部23が被支持部23fを備えている。なお、図20A及び図20Bでは、駆動機構24の図示を省略している。
【0079】
支持部21fは、可動部23が第1分割金型21から脱落することを防止するように構成されており、支持部21fは、第1分割金型21から可動部23へ向かう方向へ突出するように形成されている。支持部21fは、第1分割金型21の横側面に接続されている。具体的には、本変形例では、支持部21fは、第1外側部21a2に接続されている。また、第1分割金型21及び可動部23を正面側から見たとき(図20Aの矢印Ar方向から見たとき)、支持部21fは、第1分割金型21の端面部21a3よりも可動部23側に突き出るように設けられている。換言すると、図20Aの矢印Ar方向から見たとき、支持部21fは、幅方向の最も外側のピンチオフ部(外側ピンチオフ部21d2)よりも可動部23側に突き出るように設けられている。また、支持部21fは、第1分割金型21の厚み方向Drにおいて、第1分割金型21の正面部よりも、奥側に配置されている。ここで、第1分割金型21の正面部とは、例えば、内側ピンチオフ部21d1、外側ピンチオフ部21d2及び内面21b等が形成されている部分である。
【0080】
被支持部23fは、支持部21fに支持されるように構成されている。被支持部23fは、支持部21fが挿入されている凹状部である。図20Cに示すように、被支持部23fには支持部21fが挿入されているので、可動部23が駆動しているときにおいて、被支持部23fが支持部21fの上面に支持される。これにより、可動部23が第1分割金型21から脱落することを防止することができる。
【0081】
なお、可動部23は、図10A及び図10Bに示すように、揺動するように移動するため、被支持部23fのサイズは、支持部21fのサイズよりも、大きくなっている。これにより、可動部23が揺動するように移動したときに、支持部21fと被支持部23fとが干渉することを回避することができ、可動部23が円滑に動作する。
【0082】
本変形例2は、変形例1の形態に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 :樹脂製パネル
2 :樹脂成形体
3 :コア材
3a :基体
3a1 :凹部
3b :基体
3b1 :凹部
3c :補強部材
3c1 :上壁
3c11 :突起
3c2 :下壁
3c21 :突起
3c3 :柱部
4 :表皮材
5 :成形体
5a :成形体本体
5b :大バリ部
5bb :下バリ部
5bc :外側バリ部
5bc1 :内側バリ部
5bc2 :外側バリ部
5bu :上バリ部
5c :切断ライン
5cb :下ライン
5cl :左ライン
5cr :右ライン
5cu :上ライン
5d :成形品
5e :小バリ部
5f :パーティングライン
5fb :下ライン
5fl :左ライン
5fr :右ライン
5fu :上ライン
9a :ベース
9b :吸着パッド
10 :成形機
11 :原料樹脂
11a :溶融樹脂
12 :ホッパー
13 :押出機
13a :シリンダ
14 :シート形成装置
15 :連結管
16 :連結管
17 :アキュームレータ
17a :シリンダ
17b :ピストン
18 :Tダイ
19 :挿入装置
19a :ベース
19b :吸着パッド
19c :メス型突起
21 :第1分割金型
21a1 :本体部
21a2 :第1外側部
21a3 :端面部
21b :内面
21d :ピンチオフ部
21d1 :内側ピンチオフ部
21d2 :外側ピンチオフ部
21dd :ピンチオフ部
21e :オス型突起
21f :支持部
22 :第2分割金型
22a1 :本体部
22a2 :第2外側部
22a3 :対向部
22b :内面
22d :ピンチオフ部
22d1 :内側ピンチオフ部
22d2 :外側ピンチオフ部
22dd :ピンチオフ部
23 :可動部
23a :対向面部
23b :突き当て面部
23c :吸引部
23d :係合部
23e :シール部材
23f :被支持部
24 :駆動機構
24a :上駆動機構
24b :下駆動機構
A :領域
Ar :矢印
B :領域
C1 :矢印
C2 :矢印
Dr :厚み方向
PL :パーティングライン
cvt :キャビティ部
hl :減圧吸引穴
p1 :樹脂シート
p2 :樹脂シート
sp :空間
w1 :横幅寸法
w2 :深さ寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
図17
図18
図19
図20