(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】空調室内機及び空調機
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20240828BHJP
F24F 1/0087 20190101ALI20240828BHJP
F24F 6/00 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
F24F1/0007 401E
F24F1/0007 401D
F24F1/0087
F24F6/00 331
F24F13/20 205
(21)【出願番号】P 2022181720
(22)【出願日】2022-11-14
(62)【分割の表示】P 2021130222の分割
【原出願日】2021-08-06
【審査請求日】2024-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】松本 幸子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-296486(JP,A)
【文献】特開2002-089897(JP,A)
【文献】特開2003-097819(JP,A)
【文献】特開2010-043848(JP,A)
【文献】特開2010-133684(JP,A)
【文献】特開2016-048128(JP,A)
【文献】特許第7181488(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0007
F24F 1/0087
F24F 6/00
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内空間(SI)から室内空気(AI)を取り込む吸込口(61)、調和済み空気を吹き出す吹出口(62)
、空気導入口(63)
、壁(W)に近接して配置される背面(20b)、及び、前記室内空間に面して配置される前面(20c)を有するハウジング(20a)であって、前記空気導入口は前記ハウジングの内部空間(XI)へ加湿空気(AH)を供給できるように構成されている、ハウジング(20a)と、
室内熱交換器(25)と、
前記調和済み空気を送り出す室内ファン(26)と、
第1電圧(V1)によって駆動される
プロセッサ(43)と、
前記第1電圧よりも大きい第2電圧(V2)によって駆動される
スイッチング素子(44)と、
を備え
、
前記空気導入口、前記プロセッサ、及び前記スイッチング素子はいずれも、前記前面と前記室内熱交換器の間に配置され、
前記空気導入口と前記プロセッサとの間の距離よりも、前記空気導入口と前記スイッチング素子の間の距離の方が大きい、
空調室内機(20)。
【請求項2】
前記第1電圧は50ボルト未満であり、
前記第2電圧は50ボルト以上である、
請求項1に記載の空調室内機。
【請求項3】
前記第1電圧は100ボルト未満であり、
前記第2電圧は100ボルト以上である、
請求項1に記載の空調室内機。
【請求項4】
前記プロセッサ(43)
を収容するとともに、前記空気導入口から第1距離(r1)だけ離間して配置される第1電装室(E1)と、
前記スイッチング素子(44)
を収容するとともに、前記空気導入口から前記第1距離よりも大きい第2距離(r2)だけ離間して配置される第2電装室(E2)と、
をさらに備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の空調室内機。
【請求項5】
前記
プロセッサを包囲することによって前記第1電装室を画定する第1電装ケース(41)と、
前記
スイッチング素子を包囲することによって前記第2電装室を画定する第2電装ケース(42)と、
をさらに含む、
請求項4に記載の空調室内機。
【請求項6】
前記プロセッサを前記
スイッチング素子から隔て
る仕切り(46)と、
をさらに備え
る、
請求項1から
5のいずれか1項に記載の空調室内機。
【請求項7】
前記空気導入口の開口方向は、水平方向と比較して下方寄りであり、
前記ハウジングは、上面(20e)及び下面(20d)をさらに有し、
前記吸込口(61)は、前記上面に配置され、
前記吹出口(62)は、前記下面に配置される、
請求項1から6のいずれか1項に記載の空調室内機。
【請求項8】
前記
プロセッサと前記
スイッチング素子との離間距離(G)は、10cm以上である、
請求項7に記載の空調室内機。
【請求項9】
前記空気導入口は、前記室内熱交換器に対向している、
請求項1から8のいずれか1項に記載の空調室内機。
【請求項10】
前記室内熱交換器は、高くなるにつれて前記背面に近づく傾斜部(25b)を有し、
前記空気導入口は、前記傾斜部の前方に配置され、
前記
プロセッサは、前記傾斜部よりも下方
に配置される、
請求項
1から9のいずれか1項に記載の空調室内機。
【請求項11】
前記空気導入口は、前記
プロセッサの上方に配置される、
請求項1から
10のいずれか1項に記載の空調室内機。
【請求項12】
前記第1距離は、前記空気導入口と前記第1電装室の間に配置される部品を迂回するように計測され、
前記第2距離は、前記空気導入口と前記第2電装室の間に配置される部品を迂回するように計測される、
請求項4に記載の空調室内機。
【請求項13】
前記ハウジングは、前記加湿空気を案内する加湿空気案内路(27)をさらに有し、
前記空気導入口は、前記加湿空気案内路から前記加湿空気を排出する排出口である、
請求項1から
12のいずれか1項に記載の空調室内機。
【請求項14】
前記加湿空気を取り込む加湿空気ファン(28)と、
前記室内ファン及び前記加湿空気ファンを制御する制御部(29)と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記室内ファンの運転中にのみ前記加湿空気ファンを運転させる、
請求項1から
13のいずれか1項に記載の空調室内機。
【請求項15】
請求項1から
14のいずれか1項に記載の空調室内機と、
室外空気を加湿する加湿部(17)を有する空調室外機(10)と、
前記加湿空気を前記加湿部から前記空気導入口へ送り出す加湿ファン(18)と、
前記室内ファン及び前記加湿ファン(18)を制御する空調機制御部(99)と、
を備え、
前記空調機制御部(99)は、前記室内ファン(26)の運転中にのみ前記加湿ファン(18)を運転させる、
空調機(100)。
【請求項16】
請求項1から
14のいずれか1項に記載の空調室内機と、
室外空気を加湿する加湿部(17)を有する空調室外機(10)と、
前記加湿空気を前記加湿部から前記空気導入口へ案内する加湿空気案内管(33)と、
を備える、空調機(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
室外から加湿空気を導入できる空調室内機及び空調機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2010-065897号公報)に開示される空調機の室内機は、加湿された室外の空気を取り込むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
室外機の筐体内に取り込まれた加湿空気が室内機の電装品の近傍を通過する場合、電装品が水分によって腐食するおそれがある。とりわけ、電装品に含まれるパワーエレクトロニクス素子が水分の近接を許す場合、水分によって回路の短絡が引き起こされ、ひいては回路から発火するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の空調室内機は、ハウジングと、室内熱交換器と、室内ファンと、第1電装室と、第2電装室と、を備える。ハウジングは、吸込口、吹出口、及び、空気導入口を有する。吸込口は、室内空気を取り込む。吹出口は、調和済み空気を吹き出す。空気導入口は、ハウジングの内部空間へ加湿空気を供給できるように構成されている。室内ファンは、調和済み空気を送り出す。第1電装室は、第1電気回路部品を収容する。第1電気回路部品は、第1電圧によって駆動される。第1電装室は、空気導入口から第1距離だけ離間して配置される。第2電装室は、第2電気回路部品を収容する。第2電気回路部品は、第2電圧によって駆動される。第2電圧は、第1電圧よりも大きい。第2電装室は、空気導入口から第2距離だけ離間して配置される。第2距離は、第1距離よりも大きい。
【0005】
この構成によれば、第2距離は第1距離よりも大きい。したがって、大きな電圧によって駆動される第2電気回路部品が空気導入口から離れて配置されるので、第2電気回路部品の加湿空気による腐食が抑制され、空調室内機の安全を保つことできる。
【0006】
第2観点の空調室内機は、第1観点の空調室内機であって、第1電圧が50ボルト未満であり、第2電圧が50ボルト以上である。
【0007】
この構成によれば、50ボルト以上の電圧によって駆動される第2電気回路部品が空気導入口から離れて配置される。したがって、50ボルト以上の電圧に触れる第2電気回路部品の加湿空気による腐食が抑制されるので、空調室内機の安全を保つことできる。
【0008】
第3観点の空調室内機は、第1観点の空調室内機であって、第1電圧が100ボルト未満であり、第2電圧が100ボルト以上である。
【0009】
この構成によれば、100ボルト以上の電圧によって駆動される第2電気回路部品が空気導入口から離れて配置される。したがって、100ボルト以上の電圧に触れる第2電気回路部品の加湿空気による腐食が抑制されるので、空調室内機の安全を保つことできる。
【0010】
第4観点の空調室内機は、第1観点から第3観点のいずれか1つの空調室内機であって、第1電気回路部品がプロセッサを含む。第2電気回路部品はスイッチング素子を含む。スイッチング素子は、室内ファンへ供給される電気エネルギーを断続する。
【0011】
この構成によれば、電気エネルギーを断続するスイッチング素子が空気導入口から離れて配置される。したがって、パワーエレクトロニクス素子の加湿空気による腐食が抑制されるので、空調室内機の安全を保つことできる。
【0012】
第5観点の空調室内機は、第1観点から第4観点のいずれか1つの空調室内機であって、第1電装ケースと、第2電装ケースと、をさらに含む。第1電装ケースは、第1電気回路部品を包囲することによって第1電装室を画定する。第2電装ケースは、第2電気回路部品を包囲することによって第2電装室を画定する。
【0013】
この構成によれば、第1電装室及び第2電装室は、それぞれ、第1電装ケース及び第2電装ケースによって保護される。したがって、加湿空気を始めとする外部要因による第1電気回路部品及び第2電気回路部品の損傷を抑制できる。
【0014】
第6観点の空調室内機は、第1観点から第4観点のいずれか1つの空調室内機であって、共通ケースと、電装室仕切りと、をさらに備える。共通ケースは、第1電気回路部品及び第2電気回路部品を包囲する。電装室仕切りは、第1電気回路部品を第2電気回路部品から隔てる。第1電装室及び第2電装室は、いずれも、共通ケース及び電装室仕切りによって画定される。
【0015】
この構成によれば、第1電装室及び第2電装室の両方が共通ケースによって保護されるとともに、第1電装室及び第2電装室のそれぞれが電装室仕切りによって互いに隔離される。したがって、外部要因の干渉による第1電気回路部品及び第2電気回路部品の損傷を抑制できる。
【0016】
第7観点の空調室内機は、第1観点から第6観点のいずれか1つの空調室内機であって、第1電装室が第2電装室から離間している。
【0017】
この構成によれば、第1電装室は第2電装室から離間している。したがって、第1電気回路部品及び第2電気回路部品の一方を損傷させる要因が、他方を損傷させることが抑制される。
【0018】
第8観点の空調室内機は、第7観点の空調室内機であって、第1電装室と第2電装室との離間距離が、10cm以上である。
【0019】
この構成によれば、第1電装室は第2電装室から10cm以上離間している。したがって、第1電気回路部品及び第2電気回路部品の一方を損傷させる要因が、他方を損傷させることが抑制される。
【0020】
第9観点の空調室内機は、第1観点から第8観点のいずれか1つの空調室内機であって、空気導入口が、室内熱交換器に対向している。
【0021】
この構成によれば、空気導入口は室内熱交換器に対向する。したがって、加湿空気は室内熱交換器に吹き付けられ、その後、調和済みの空気とともに室内のユーザへ供給されるので、ユーザがいる環境の快適性を向上させることができる。
【0022】
第10観点の空調室内機は、第1観点から第9観点のいずれか1つの空調室内機であって、ハウジングが、背面、及び、前面、を有する。背面は、壁に近接して配置される。前面は、室内空間に面して配置される。第1電装室及び第2電装室の両方は、前面に近接して配置される。
【0023】
この構成によれば、第1電装室及び第2電装室の両方が、ハウジングの前面に近接して配置される。したがって、ハウジングの前面が水平方向に長い形状を有する場合において、第1電装室及び第2電装室の間の距離を保ちやすい。
【0024】
第11観点の空調室内機は、第10観点の空調室内機であって、室内熱交換器が、高くなるにつれて背面に近づく傾斜部を有する。空気導入口は、傾斜部の前方に配置される。第1電装室は、傾斜部よりも下方、かつ、室内熱交換器の下端に近接して配置される。
【0025】
この構成によれば、空気導入口が室内熱交換器に向かって上方に配向する一方で、第1電装室が室内熱交換器の下端に近接して配置される。したがって、加湿空気が第1電装室へ到達することが抑制されるので、第1電気回路部品が損傷しにくい。
【0026】
第12観点の空調室内機は、第1観点から第11観点のいずれか1つの空調室内機であって、空気導入口が、第1電装室の上方に配置される。
【0027】
この構成によれば、空気導入口が第1電装室の上方に配置される。したがって、第1電装室の横に第2電装室を配置しやすくなるので、ハウジングの前面が水平方向に長い形状を有する場合において、第1電装室及び第2電装室の間の距離を保ちやすい。
【0028】
第13観点の空調室内機は、第1観点から第12観点のいずれか1つの空調室内機であって、第1距離が、空気導入口と第1電装室の間に配置される部品を迂回するように計測される。第2距離は、空気導入口と第2電装室の間に配置される部品を迂回するように計測される。
【0029】
この構成によれば、第1距離及び第2距離は、部品を迂回する経路に沿って計測される沿面距離である。ハウジング内の空気の流れはそれらの経路に沿うものである。したがって、加湿空気が到達しにくい場所に第2電装室が配置される。
【0030】
第14観点の空調室内機は、第1観点から第13観点のいずれか1つの空調室内機であって、ハウジングが、加湿空気案内路をさらに有する。加湿空気案内路は、加湿空気を案内する。空気導入口は、加湿空気案内路から加湿空気を排出する排出口である。
【0031】
この構成によれば、ハウジングは加湿空気案内路を有する。空調室内機の外部から供給される加湿空気は、加湿空気案内路を通過した後、空気導入口から送り出される。したがって、加湿空気案内路を用いることにより、加湿空気の流路を設計しやすい。
【0032】
第15観点の空調室内機は、第1観点から第14観点のいずれか1つの空調室内機であって、加湿空気ファンと、制御部と、をさらに備える。加湿空気ファンは、加湿空気を取り込む。制御部は、室内ファン及び加湿空気ファンを制御する。制御部は、室内ファンの運転中にのみ加湿空気ファンを運転させる。
【0033】
この構成によれば、室内ファンの運転中にのみ加湿空気ファンの運転が行われる。したがって、加湿空気が第2電装室へ到達しにくい。
【0034】
第16観点の空調機は、空調室内機と、空調室外機と、加湿ファンと、空調機制御部と、を備える。空調室内機は、第1観点から第15観点のいずれか1つに関するものである。空調室外機は、加湿部を有する。加湿部は、室外空気を加湿する。加湿ファンは、加湿空気を加湿部から空気導入口へ送り出す。空調機制御部は、室内ファン及び加湿ファンを制御する。空調機制御部は、室内ファンの運転中にのみ加湿ファンを運転させる。
【0035】
この構成によれば、室内ファンの運転中にのみ加湿ファンの運転が行われる。したがって、加湿空気が第2電装室へ到達しにくい。
【0036】
第17観点の空調機は、空調室内機と、空調室外機と、加湿空気案内管と、を備える。空調室内機は、第1観点から第15観点のいずれか1つに関するものである。空調室外機は、加湿部を有する。加湿部は、室外空気を加湿する。加湿空気案内管は、加湿空気を加湿部から空気導入口へ案内する。
【0037】
この構成によれば、空調機において、第2電気回路部品の加湿空気による腐食が抑制される。したがって、空調機の安全を保つことできる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、基本実施形態に係る空調機100の外観を示す模式図である。
【
図2】
図2は、基本実施形態に係る空調機100の内部構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、基本実施形態に係る室内機20の側面視における断面図である。
【
図4】
図4は、基本実施形態に係る室内機20の正面図である。
【
図5】
図5は、基本実施形態の変形例に係る室内機20の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
<基本実施形態>
(1)全体構成
図1に示す空調機100は、室外機10、室内機20、接続管30を有する。
【0040】
図2は、空調機100のより詳細な構成を示している。空調機100が設置される空間は、建物の壁Wによって隔てられる室外空間SO及び室内空間SIの両方にわたっている。室外機10は室外空間SOに設置される。室内機20は室内空間SIに設置される。壁Wは、室内機20が設置される部屋Rの一部を構成する。接続管30は、室外機10及び室内機20を接続している。
【0041】
空調機100は冷媒回路90を有する。冷媒回路90は、冷房運転のときに冷媒を図中の矢印Cの方向に循環させる。冷媒回路90は、暖房運転のときに冷媒を図中の矢印Hの方向に循環させる。
【0042】
(2)詳細構成
(2-1)室外機10
室外機10は、熱源として機能する。室外機10は、冷媒回路90を構成する部品として、圧縮機11、四路切換弁12、室外熱交換器13、室外ファン14、室外膨張弁15、液閉鎖弁16a、及び、ガス閉鎖弁16bを有する。さらに、室外機10は、室外ケーシング10a、加湿装置17、室外制御部19を有する。
【0043】
(2-1-1)室外ケーシング10a
室外ケーシング10aは、室外機10の構成部品を収容する。室外ケーシング10aは、室外吸込口51、及び室外吹出口52を有する。
図2は、室外機10の構成を模式的に示すものに過ぎず、どの構成部品が室外吸込口51の近くに配置されるとともに、別のどの構成部品が室外吹出口52の近くに配置されるかを示すものではない。
【0044】
(2-1-2)圧縮機11
圧縮機11は、低圧ガス冷媒を圧縮することによって、高圧ガス冷媒を作り出す。
【0045】
(2-1-3)四路切換弁12
四路切換弁12は、冷房運転のときに
図2の実線で示す接続を実現させる。四路切換弁12は、暖房運転のときに
図2の破線で示す接続を実現させる。
【0046】
(2-1-4)室外熱交換器13
室外熱交換器13は、冷媒と室外空気AOの間で熱交換を行う。室外熱交換器13は、冷房運転のときに凝縮器として機能する。室外熱交換器13は、暖房運転のときに蒸発器として機能する。
【0047】
(2-1-5)室外ファン14
室外ファン14は、室外熱交換器13の熱交換を促進する。室外ファン14は、室外空気AOを室外吸込口51から取り込み、室外熱交換器13へ供給する。室外ファン14は、室外熱交換器13が熱交換を終えた空気を室外吹出口52から排出する。
【0048】
(2-1-6)室外膨張弁15
室外膨張弁15は、冷媒を減圧させる。室外膨張弁15は、冷媒の循環量を調節する。
【0049】
(2-1-7)液閉鎖弁16a、ガス閉鎖弁16b
液閉鎖弁16a及びガス閉鎖弁16bは、冷媒回路90のうち室外機10の外部にある部分と、室外機10の内部にある部分とを、互いに接続又は切断するためのものである。液閉鎖弁16a及びガス閉鎖弁16bは、冷媒回路90を閉鎖することができる。
【0050】
(2-1-8)加湿装置17
加湿装置17は、室外空気AOに水分を与えることによって、加湿空気AHを発生させる。加湿装置17は、加湿ファン18を有する。加湿ファン18は、室外空気AOを引き込む。加湿ファン18は、さらに、加湿空気AHを室内機20へ送り出してもよい。
【0051】
(2-1-9)室外制御部19
室外制御部19は、センサの情報の取得、アクチュエータの制御、及び様々な演算を行うコンピュータである。
【0052】
(2-2)室内機20
室内機20は、室内空間SIに滞在するユーザに調和済みの室内空気AIを提供する。室内機20は、冷媒回路90を構成する部品として、室内熱交換器25、及び、室内ファン26を有する。さらに、室内機20は、室内ケーシング20a、加湿空気案内路27、室内制御部29を有する。
【0053】
(2-2-1)室内ケーシング20a
室内ケーシング20aは、室内機20の構成部品を収容する。室内ケーシング20aは、室内吸込口61、及び室内吹出口62を有する。室内ケーシング20aは、内部空間XIを包囲する。
図2は室内機20の構成を模式的に示すものに過ぎず、どの構成部品が室内吸込口61の近くに配置されるとともに、別のどの構成部品が室内吹出口62の近くに配置されるかを示すものではない。
【0054】
(2-2-2)室内熱交換器25
室内熱交換器25は、冷媒と室内空気AIの間で熱交換を行う。室内熱交換器25は、冷房運転のときに蒸発器として機能する。室内熱交換器25は、暖房運転のときに凝縮器として機能する。
【0055】
(2-2-3)室内ファン26
室内ファン26は、室内熱交換器25の熱交換を促進する。室内ファン26は、室内空気AIを室内吸込口61から取り込み、室内熱交換器25へ供給する。室内ファン26は、室内熱交換器25が熱交換を終えた空気を室内吹出口62から排出する。
【0056】
(2-2-4)加湿空気案内路27、及び、加湿空気ファン28
加湿空気案内路27は、室外機10から受け取った加湿空気AHを内部空間XIへ案内する。加湿空気案内路27は、室内ケーシング20aと一体であっても別体であってもよい。本実施形態においては、加湿空気案内路27は、室内ケーシング20aの構成要素であるとして扱う。加湿空気案内路27において加湿空気AHを内部空間XIへ排出するポートは、室内ケーシング20aの空気導入口63として機能する。空気導入口63は、室内ケーシング20aの内部空間XIへ加湿空気AHを供給できるように構成されている。
【0057】
加湿空気案内路27には、加湿空気AHを内部空間XIへ送り出す加湿空気ファン28が設けられていてもよいが、必須ではない。
【0058】
(2-2-5)室内制御部29
室内制御部29は、センサの情報の取得、アクチュエータの制御、及び様々な演算を行うコンピュータである。さらに、室内制御部29は、図示しない通信線を用いて室外制御部19と通信を行い、室外制御部19と情報を授受する。これによって、室内制御部29は、室外制御部19と協働して、空調機制御部99を構成する。
【0059】
空調機制御部99又は室内制御部29は、室内ファン26の運転中にのみ加湿空気ファン28の運転を許可する制御を行ってもよい。
【0060】
あるいは、空調機制御部99は、室内ファン26の運転中にのみ加湿ファン18の運転を許可する制御を行ってもよい。
【0061】
(2-3)接続管30
接続管30は、室外機10と室内機20を接続する。接続管30の中には、液冷媒配管31、ガス冷媒配管32、及び、加湿空気案内管33が設置されている。液冷媒配管31は、液閉鎖弁16aと室内熱交換器25を接続する。ガス冷媒配管32は、ガス閉鎖弁16bと室内熱交換器25を接続する。加湿空気案内管33は、加湿装置17と加湿空気案内路27とを接続する。加湿空気案内管33は、室外空間SOと室内空間SIを連通させる。
加湿空気案内管33は、加湿装置17が発生させる加湿空気AHを加湿空気案内路27へ案内することによって、加湿空気AHを内部空間XI経由で室内空間SIへ送る。
【0062】
(3)室内機20の詳細構造
(3-1)室内ケーシング20a
図3は、室内機20の側面視における断面図である。
【0063】
室内ケーシング20aは、背面20b、前面20c、下面20d、上面20eを有している。背面20bは、壁Wに近接して配置される。前面20cは、室内空間SIに面して配置される。
【0064】
(3-2)室内熱交換器25
室内熱交換器25は、第1部位25a、第2部位25b、第3部位25c、第4部位25dを有する。このうち第2部位25bは、高くなるにつれて背面20bに近づくように傾斜している。
【0065】
(3-3)第1電装室E1、及び、第2電装室E2
前面20cに近接して、第1電装室E1、及び、第2電装室E2が設けられている。第1電装室E1及び第2電装室E2は、室内制御部29を構成する電気回路部品を収容するための空間である。
【0066】
図4は、室内機20の正面図である。第1電装室E1及び第2電装室E2は、室内ケーシング20aの長手方向に整列している。第1電装室E1は、第1電装ケース41によって画定されている。第2電装室E2は、第2電装ケース42によって画定されている。
【0067】
第1電装室E1には、第1電圧V1によって駆動される第1電気回路部品D1が配置される。第2電装室E2には、第2電圧V2によって駆動される第2電気回路部品D2が配置される。第2電圧V2は、第1電圧V1よりも大きい。典型的には、第1電圧V1は50ボルト未満であり、第2電圧V2は50ボルト以上である。あるいは、第1電圧V1は100ボルト未満であり、第2電圧V2は100ボルト以上であってもよい。第1電気回路部品D1には、例えば、プロセッサ43が含まれる。第2電気回路部品D2には、例えば、スイッチング素子44が含まれる。スイッチング素子44は、例えば、室内ファン26へ供給される電気エネルギーを断続する。
【0068】
第1電装室E1は第2電装室E2から離間している。第1電装室E1と第2電装室E2との離間距離Gは、好ましくは10cm以上である。
【0069】
第1電装室E1は、第2部位25bよりも下方に配置される。第1電装室E1は、室内熱交換器25の下端に近接して配置される。
【0070】
第2電装室E2の配置も、第1電装室E1と同様であってよい。すなわち、第2電装室E2は、第2部位25bよりも下方に配置され、かつ、室内熱交換器25の下端に近接して配置されてよい。
【0071】
(3-4)空気導入口63
図3に示すように、空気導入口63は、第2部位25bの前方に配置されている。空気導入口63は、室内熱交換器25の第2部位25bに対向している。加湿空気AHは、矢印Bで示される方向に、空気導入口63から第2部位25bに向かって吹きつける。
【0072】
図4に示すように、空気導入口63は、第1電装室E1の上方に配置される。第1電装室E1は、空気導入口63から第1距離r1だけ離間して配置される。第2電装室E2は、空気導入口63から第2距離r2だけ離間して配置される。第2距離r2は、第1距離r1よりも大きい。ここで、第1距離r1は、空気導入口63と第1電装室E1の間に配置される部品、例えば機構部品、を迂回するように計測されてよい。第2距離r2もまた、空気導入口63と第2電装室E2の間に配置される部品を迂回するように計測されてよい。第1距離r1及び第2距離r2は、それぞれ、第1電装室E1及び第2電装室E2への加湿空気AHの到達しにくさを表す指標であり、直線距離である代わりに沿面距離であってよい。
【0073】
(4)特徴
(4-1)
第2電装室E2の空気導入口63からの離間距離である第2距離r2は、第1電装室E1の空気導入口63からの離間距離である第1距離r1よりも大きい。したがって、大きな電圧によって駆動される第2電気回路部品D2が空気導入口63から離れて配置されるので、第2電気回路部品D2の加湿空気AHによる腐食が抑制され、室内機20の安全を保つことできる。
【0074】
(4-2)
50ボルト又は100ボルトという所定の電圧値以上の電圧によって駆動される第2電気回路部品D2が、空気導入口63から離れて配置される。したがって、所定の電圧値以上の電圧に触れる第2電気回路部品D2の加湿空気AHによる腐食が抑制されるので、室内機20の安全を保つことできる。
【0075】
(4-3)
電気エネルギーを断続するスイッチング素子44が空気導入口63から離れて配置される。したがって、パワーエレクトロニクス素子の加湿空気AHによる腐食が抑制されるので、室内機20の安全を保つことできる。
【0076】
(4-4)
第1電装室E1及び第2電装室E2は、それぞれ、第1電装ケース41及び第2電装ケース42によって保護される。したがって、加湿空気AHを始めとする外部要因による第1電気回路部品D1及び第2電気回路部品D2の損傷を抑制できる。
【0077】
(4-5)
第1電装室E1は第2電装室E2から離間している。したがって、第1電気回路部品D1及び第2電気回路部品D2の一方を損傷させる要因が、他方を損傷させることが抑制される。
【0078】
(4-6)
第1電装室E1は第2電装室E2から10cm以上離間している。したがって、第1電気回路部品D1及び第2電気回路部品D2の一方を損傷させる要因が、他方を損傷させることが抑制される。
【0079】
(4-7)
空気導入口63は室内熱交換器25に対向する。したがって、加湿空気AHは室内熱交換器25に吹き付けられ、その後、調和済みの空気とともに室内のユーザへ供給されるので、ユーザがいる環境の快適性を向上させることができる。
【0080】
(4-8)
第1電装室E1及び第2電装室E2の両方が、室内ケーシング20aの前面20cに近接して配置される。したがって、室内ケーシング20aの前面20cが水平方向に長い形状を有する場合において、第1電装室E1及び第2電装室E2の間の距離を保ちやすい。
【0081】
(4-9)
空気導入口63が第2部位25bに対向する一方で、第1電装室E1が室内熱交換器25の下端に近接して配置される。したがって、加湿空気AHが第1電装室E1へ到達することが抑制されるので、第1電気回路部品D1が損傷しにくい。
【0082】
(4-10)
空気導入口63が第1電装室E1の上方に配置される。したがって、第1電装室E1の横に第2電装室E2を配置しやすくなるので、室内ケーシング20aの前面20cが水平方向に長い形状を有する場合において、第1電装室E1及び第2電装室E2の間の距離を保ちやすい。
【0083】
(4-11)
第1距離r1及び第2距離r2は、部品を迂回する経路に沿って計測される沿面距離である。室内ケーシング20aの内部の空気の流れはそれらの経路に沿うものである。したがって、加湿空気AHが到達しにくい場所に第2電装室E2が配置される。
【0084】
(4-12)
室内ケーシング20aは加湿空気案内路27を有する。室内機20の外部から供給される加湿空気AHは、加湿空気案内路27を通過した後、空気導入口63から送り出される。したがって、加湿空気案内路27を用いることにより、加湿空気AHの流路を設計しやすい。
【0085】
(4-13)
室内ファン26の運転中にのみ加湿空気ファン28又は加湿ファン18の運転が行われる。したがって、加湿空気が第2電装室E2へ到達しにくい。
【0086】
(4-14)
空調機100において、第2電気回路部品D2の加湿空気AHによる腐食が抑制される。したがって、空調機100の安全を保つことできる。
【0087】
<基本実施形態の変形例>
(5)変形例
(5-1)構成
図5は、基本実施形態の変形例に係る室内機20を示す。室内機20は、第1電装ケース41及び第2電装ケース42を有していない。その代わりに、室内機20は、共通ケース45及び電装室仕切り46を有している。共通ケース45は、第1電気回路部品D1及び第2電気回路部品D2を包囲する。電装室仕切り46は、第1電気回路部品D1を第2電気回路部品D2から隔てる。
【0088】
(5-2)特徴
この構成によれば、第1電装室E1及び第2電装室E2の両方が共通ケース45によって保護されるとともに、第1電装室E1及び第2電装室E2のそれぞれが電装室仕切り46によって互いに隔離される。したがって、外部要因の干渉による第1電気回路部品D1及び第2電気回路部品D2の損傷を抑制できる。
【0089】
<むすび>
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0090】
10 :室外機(空調室外機)
17 :加湿装置(加湿部)
18 :加湿ファン
19 :室外制御部
20 :室内機(空調室内機)
20a :室内ケーシング(ハウジング)
20b :背面
20c :前面
25 :室内熱交換器
25a :第1部位
25b :第2部位(傾斜部)
25c :第3部位
25d :第4部位
26 :室内ファン
27 :加湿空気案内路
28 :加湿空気ファン
29 :室内制御部(制御部)
30 :接続管
33 :加湿空気案内管
41 :第1電装ケース
42 :第2電装ケース
43 :プロセッサ
44 :スイッチング素子
45 :共通ケース
46 :電装室仕切り
51 :室外吸込口
52 :室外吹出口
61 :室内吸込口(吸込口)
62 :室内吹出口(吹出口)
63 :空気導入口
100 :空調機
AH :加湿空気
AI :室内空気
AO :室外空気
D1 :第1電気回路部品
D2 :第2電気回路部品
E1 :第1電装室
E2 :第2電装室
G :離間距離
R :部屋
SI :室内空間
SO :室外空間
V1 :第1電圧
V2 :第2電圧
W :壁
XI :内部空間
r1 :第1距離
r2 :第2距離
【先行技術文献】
【特許文献】
【0091】