(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/69 20140101AFI20240828BHJP
A63F 13/79 20140101ALI20240828BHJP
A63F 13/58 20140101ALI20240828BHJP
【FI】
A63F13/69 510
A63F13/79
A63F13/58
(21)【出願番号】P 2023045515
(22)【出願日】2023-03-22
(62)【分割の表示】P 2018227371の分割
【原出願日】2018-12-04
【審査請求日】2023-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】500033117
【氏名又は名称】株式会社MIXI
(72)【発明者】
【氏名】竹田 広平
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-334385(JP,A)
【文献】特開2018-047101(JP,A)
【文献】特開2018-110896(JP,A)
【文献】特開2012-210398(JP,A)
【文献】ウイニングショット伝授,プロ野球スピリッツ2011 公式パーフェクトガイド,株式会社エンターブレイン,2011年05月26日,第146頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98、9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
ユーザ固有に設定される時を示す第1情報を取得し、
ユーザに、複数のオブジェクトの中から抽選によりいずれかのオブジェクトを付与し、
前記抽選により、前記ユーザに、各オブジェクトを付与する確率は、前
記第1情
報と、
記憶部に記憶された前記
各オブジェクトの
時を示す第2情
報との間の時の隔たりに基づい
て異ならせる、情報処理装置。
【請求項2】
前記ユーザに対し、前記ユーザに設定される第1情報が示す時との隔たりが所定値以上である第1情報が設定される他ユーザの情報を、オブジェクトの交換を行う相手又はマルチプレイのメンバーの候補として選択できるように提示する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
プロセッサが、ユーザ固有に設定される時を示す第1情報を取得し、
プロセッサが、
ユーザに、複数のオブジェクトの中から抽選によりいずれかのオブジェクトを付与し、
プロセッサが、
前記抽選により、前記ユーザに、各オブジェクトを付与する確率は、前
記第1情
報と、
記憶部に記憶された前記
各オブジェクトの
時を示す第2情
報との間の時の隔たりに基づい
て異ならせる、情報処理方法。
【請求項4】
プロセッサに、ユーザ固有に設定される時を示す第1情報を取得させ、
プロセッサに、
ユーザに、複数のオブジェクトの中から抽選によりいずれかのオブジェクトを付与させ、
プロセッサに、
前記抽選により、前記ユーザに、各オブジェクトを付与する確率は、前
記第1情
報と、
記憶部に記憶された前記
各オブジェクトの
時を示す第2情
報との間の時の隔たりに基づい
て異ならせる、処理を実行させるプログラム。
【請求項5】
サーバと端末とを備え、
前記サーバは、
ユーザ固有に設定される時を示す第1情報を取得し、
ユーザに、複数のオブジェクトの中から抽選によりいずれかのオブジェクトを付与し、
前記抽選により、前記ユーザに、各オブジェクトを付与する確率は、前記第1情報と、記憶部に記憶された前記各オブジェクトの時を示す第2情報との間の時の隔たりに基づいて異ならせる、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
抽選により、オンラインゲームなどで使用するキャラクターやアイテムなどのオブジェクトを取得するゲーム(ガチャ)が知られている。ガチャでは、オブジェクトによって当選確率が異なり、希少オブジェクトの入手はどのプレイヤーにとっても困難である。一方、所定の条件を満たすことにより、希少オブジェクトの当選確率を高くするような工夫も行われている。例えば、特許文献1には、プレイヤーの端末が特定のエリアに位置している場合には、特定のアイテム(オブジェクト)の当選確率を変更することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたオンラインゲームでは、どのプレイヤーも所定のエリアに移動すれば特定のアイテムの当選確率を変えることができる。したがって、アイテム毎の当選確率にプレイヤー自身のプロフィールなどの属性に応じた偏りを持たせることはできなかった。
【0005】
そこで、本発明は、オブジェクト毎の当選確率にユーザ固有の属性に応じた偏りを持たせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る情報処理装置は、抽選によって複数のオブジェクトの中から当選オブジェクトを決定する情報処理装置であって、抽選を行うユーザの属性の情報を取得するユーザ属性取得部と、各々のオブジェクトに割り当てられた属性の情報を記憶するオブジェクト属性記憶部と、各々の属性間の距離を設定する属性間距離設定部と、前記ユーザの属性と、各々のオブジェクトの属性との間の距離に基づいて、当選オブジェクトを決定する抽選処理部と、を備えたものである。
【0007】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、抽選を行うユーザの属性の情報を取得するユーザ属性取得部と、各々のオブジェクトに割り当てられた属性の情報を記憶するオブジェクト属性記憶部と、各々の属性間の距離を設定する属性間距離設定部と、前記ユーザの属性と、各々のオブジェクトの属性との間の距離に基づいて、各々のオブジェクトの当選確率を設定する当選確率設定部と、設定された当選確率に基づいて抽選処理を行い、当選オブジェクトを決定する抽選処理部と、して機能させるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、オブジェクト毎の当選確率にユーザ固有の属性に応じた偏りを持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態による、ゲームシステム1の構成を示すブロック図。
【
図2】本発明の実施の形態による、ゲームサーバ10の機能構成を示すブロック図 。
【
図3】本発明の実施の形態による、ユーザ端末20の構成を示すブロック図。
【
図4】本発明の実施の形態による、ゲームシステム1によるゲームの流れを示すフ ローチャート。
【
図5】本発明の実施の形態による、属性間の距離の設定方法を説明する図。
【
図6】本発明の実施の形態による、当選確率の分布を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。実施の形態
図1は、本発明の実施の形態によるゲームサーバ(情報処理装置)10を含むゲームシステム1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、ゲームシステム1は、ゲームサーバ10と、ユーザ端末20を含んでいる。ゲームサーバ10とユーザ端末20は、通信ネットワークにより接続されている。
【0011】
通信ネットワークは、例えば、インターネット、LAN、専用線、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(Wireless Fidelity)、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0012】
ゲームサーバ10は、汎用的なコンピュータによって構成され、そのコンピュータにおいて所定のサーバ用プログラムが動作することにより、サーバ機能を実現する。ゲームサーバ10は、制御装置11と外部記憶装置12を備えている。制御装置11は、CPU、ROMやRAM等のメモリ、入力インタフェース、出力インタフェース、通信インタフェース及びこれらを結ぶバス等を備えている。制御装置11は、CPUがROM等に格納されたプログラムを実行することにより各種機能を実現する。外部記憶装置12は、ハードディスクドライブ等である。
【0013】
図2は、ゲームサーバ10の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、制御装置11のCPUによって実行される機能モジュールには、ユーザ属性取得部101、当選確率設定部102、抽選処理部103、属性間距離設定部104が含まれる。
【0014】
また、外部記憶装置12は、オブジェクト属性記憶部105を実装している。オブジェクト属性記憶部105には、各オブジェクトの属性の情報が登録されている。オブジェクトは、例えば抽選によって当たるアイテムやキャラクターなどであり、本実施形態では、オブジェクトは抽選によって当たるゲームキャラクターである。各キャラクターには属性として星座が設定されている。
【0015】
ユーザ端末20は、ユーザがゲームサーバ10と連携してゲームを行うための端末である。ユーザ端末20は、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ノートPC(パーソナルコンピュータ)、携帯情報端末(PDA)、ウェアラブルデバイスなど、通信ネットワークを介してゲームサーバ10と通信が可能な端末である。
【0016】
図3は、ユーザ端末20の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、ユーザ端末20は、プロセッサ21、キーボードやマウス、各種操作ボタンやタッチパネルなどの入力装置22、液晶ディスプレイなどの表示装置23、通信ネットワークに接続するための通信インタフェース24、ディスクドライブまたは半導体メモリ(ROM、RAMなど)などの記憶資源25を備えている。記憶資源25には、プロセッサ21が実行するコンピュータプログラムが記憶されている。
【0017】
次に、ゲームシステム1による、ゲームの流れについて説明する。
図4は、ゲームシステム1によるゲームの流れを示すフローチャートである。本実施形態では、ユーザがゲーム画面上で抽選を行うことによりオブジェクトを入手するゲーム(ガチャ)を例に説明する。オブジェクトはここではゲームキャラクターであり、各ゲームキャラクターには、属性として星座が設定されている。
【0018】
ユーザがユーザ端末20を操作して、ゲームシステム1のアプリを起動、またはオンラインのゲームサイトにアクセスすることにより、ゲームが開始する。ゲームサーバ10のユーザ属性取得部101は、当該ユーザの属性の情報を取得する(ステップS101)。属性はここでは星座である。ユーザの星座は、例えば、ユーザのユーザアカウントに関連付けて登録されている生年月日から特定するようにしてもよい。また、ユーザがユーザ端末20を操作して選択するようにしてもよい。
【0019】
次にゲームサーバ10の当選確率設定部102は、ユーザの属性(星座)と、各々のオブジェクトの属性(星座)との距離に基づいて、各々のオブジェクトの当選確率を設定する(ステップS102)。ここでの「距離」とは、数学的・物理的な意味での距離に限られず、属性間の類似度の高低や、属性間の関係の遠近であってもよい。
【0020】
属性と属性の距離は、属性間距離設定部104によって設定される。
図5は、ゲームサーバ10の属性間距離設定部104による属性間の距離の設定方法を説明する図である。
図5に示すように、属性間距離設定部104は、各属性(十二星座)を順番に円環状に配置した際の各星座間の円周に沿った距離を属性間の距離とする。なお、属性間の距離は、円周に沿った距離に限られず、直線距離(例えば、各星座に対応する円弧の中心点同士を結ぶ距離)や、2つの属性間に配置された他の属性の数(例えば、
図5の例で魚座と乙女座であれば5つ)などであってもよい。また、距離の設定方法は、
図5に示すように各属性を円環状に配置して行うものに限られない。例えば、各属性を単方向循環リストやリングバッファなどのデータ構造で保持することにより、円環状の配置と同様の考え方で距離を設定することができる。
【0021】
当選確率設定部102は、属性間距離設定部104によって設定された属性間の距離に基づいて、各々のオブジェクトの当選確率を設定する。例えば、魚座のユーザの場合、同じ属性(距離がゼロ)の魚座のオブジェクトの当選確率が最も高く、次に当選確率が高いのは、
図5に示すように、円環上で隣に位置する水瓶座と牡羊座である。また、円の中心を挟んで反対側に位置する乙女座は最も遠いため、乙女座のキャラクターは最も当選確率が低い、といった設定を行うことができる。
図6は、当選確率の分布を例示する図である。
図6は、(A)双子座、(B)天秤座、(C)水瓶座の各ユーザの、各オブジェクトの当選確率の分布を示している。図に示すように、各星座のユーザについて、自身と距離が近い星座ほど当選確率が高く、遠い星座ほど低くなっている。このように、ユーザの星座によって、当選確率の分布が異なっているため、全体としては当選するオブジェクトが分散し、ユーザ毎に当選するオブジェクトには偏りが生じる。
【0022】
ゲームサーバ10の抽選処理部103は、設定された当選確率に基づいて抽選処理を行い、当選オブジェクトを決定する(ステップS103)。
【0023】
以上のように、本実施形態によれば、抽選によって当たるオブジェクト(ゲームキャラクター)に属性(星座)を設定し、設定された星座とユーザの星座との距離が近いキャラクターほど当選確率を高く、遠いオブジェクトほど当選確率を低く設定するようにしたので、ユーザによって、各オブジェクトの当選確率に自身の星座に応じた偏りを持たせることができる。これにより、ユーザ間でのオブジェクト交換やゲーム上での協力を促進することができる。また、星座の距離が近いオブジェクトほど当選確率が高くなるように調整することにより、全体としては当選するオブジェクトを適切に分散させつつ、ユーザ毎に当選するオブジェクトには偏りを生じさせることができる。
【0024】
また、星座間の距離は、十二星座を順番に円環状に配置した時の各星座間の円周に沿った距離とするようにしたので、ユーザにとっては、自分と近い星座のキャラクター(誕生日が近いキャラクター)ほど当たる確率が高く、キャラクターに対して親近感を持つことが出来る。
【0025】
本実施形態では、属性として星座を例にあげているが、属性はこれに限られず、ユーザ固有の特性やプロフィールに基づき、属性間の距離が設定できるものであればよい。特に、一般的に全ての要素を円環状に並べて表示することが多いもの(色相、干支等)を属性とすることにより、本実施形態と同様に属性間の距離を設定することができる。例えば、ユーザの好きな色を属性として用いてもよい。この場合、各キャラクターについては、キャラクターのテーマカラーや好きな色を設定する。好きな色を属性とする場合には、
図5と同様の円環(この場合は色相環)を利用して、好きな色が近い(色相環で位置が近い)オブジェクトは当たりやすく、遠いオブジェクトは当たり難いといった設定を行うことができる。例えば、ユーザの好きな色が「赤」であれば、オレンジや赤紫などの赤に近い色のオブジェクトは当たりやすく、緑のオブジェクトは当たり難いといった設定を行うことができる。
【0026】
また、本実施形態では、属性間の距離を、各属性を円環状に配置した時の属性間の円周に沿った距離としているが、属性間の距離の定義はこれに限らない。例えば、属性を地図上の場所のように、属性間に実際に物理的な距離があるものとし、実際の距離を用いて当選確率を設定するようにしてもよい。例えば、属性を出身地とし、ユーザの出身地とキャラクターに設定された出身地の実際の距離に基づいて当選確率を設定するようにしてもよい。
【0027】
なお、本実施形態では、本発明をガチャのゲームシステムで当選するオブジェクトを決定する場合に適用したが、本発明の実施例はこれに限られず、抽選によって、複数の選択肢の中からユーザに割り当てるものを決定する場合に適用することができる。例えば、ゲームやスポーツのチーム分けにおいて、各チームに属性(チームカラー等)を設定し、ユーザの好きな色に応じて所属するチームを決定するようにしてもよい。また、本実施形態では、本発明の情報処理装置をゲームサーバ10としているが、情報処理装置はサーバに限られない。例えば、パーソナルコンピュータや携帯情報端末などの端末装置や、ゲーム専用機であってもよい。
【0028】
また、本実施形態によれば、ユーザ間で獲得しやすいオブジェクトに偏りが発生するため、自分と属性が離れている他ユーザ(属性間の距離が所定値以上の他ユーザ)は、自分の持っていないオブジェクトを獲得している可能性が高い。このため、自分と属性が離れている他ユーザの情報を、オブジェクトの交換を行う相手やマルチプレイ(協力プレイ)のメンバー候補として選択できるように、ユーザ端末20に表示するようにしてもよい。
【0029】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、または並列に実行することができる。また、各処理ステップ間に他のステップを追加してもよい。また、1ステップとして記載されているステップを、複数ステップに分けて実行してもよいし、複数ステップに分けて記載されているものを、1ステップとして把握することもできる。
【符号の説明】
【0030】
1…ゲームシステム
10…ゲームサーバ
12…制御装置
12…外部記憶装置
20…ユーザ端末
21…プロセッサ
22…入力装置
23…表示装置
24…通信インタフェース
25…記憶資源
101…ユーザ属性取得部
102…当選確率設定部
103…抽選処理部
104…属性間距離設定部
105…オブジェクト属性記憶部