IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-照明装置 図1
  • 特許-照明装置 図2
  • 特許-照明装置 図3
  • 特許-照明装置 図4
  • 特許-照明装置 図5
  • 特許-照明装置 図6
  • 特許-照明装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240828BHJP
   H05B 45/00 20220101ALI20240828BHJP
   H05B 47/00 20200101ALI20240828BHJP
   F21V 23/04 20060101ALI20240828BHJP
   F21V 15/04 20060101ALI20240828BHJP
   F21V 31/00 20060101ALI20240828BHJP
   F21V 25/04 20060101ALI20240828BHJP
   F21W 111/06 20060101ALN20240828BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240828BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20240828BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20240828BHJP
【FI】
F21S2/00 664
H05B45/00
H05B47/00
F21V23/04
F21V15/04
F21V31/00 200
F21V25/04
F21W111:06
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y101:00 100
F21Y101:00 300
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020182269
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022072688
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】田部井 智嗣
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 淳
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-131690(JP,U)
【文献】特表2012-516000(JP,A)
【文献】特許第6642792(JP,B2)
【文献】特開2007-128668(JP,A)
【文献】特開平08-115601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
H05B 45/00
H05B 47/00
F21V 23/04
F21V 15/04
F21V 31/00
F21V 25/04
F21W 111/06
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21Y 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の出射口を備える筐体と;
前記出射口に向かって光を照射するように前記筐体内に配置される光源である半導体発光素子と;
前記筐体内に配置され、前記半導体発光素子への電気接続を切り換える機械式のスイッチと;
前記筐体に設けられ、前記スイッチを取付可能とするスイッチ取付面部と;
前記スイッチと前記スイッチ取付面部との間に介在され、前記スイッチを前記スイッチ取付面部に取り付ける面ファスナーである緩衝材と;
前記筐体内の空間を仕切るように配置され、前記前記半導体発光素子が実装された基板と、前記スイッチ取付面部と、が取り付けられる取付ベースと;
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記スイッチ取付面部は、互いに対向する2箇所に設けられ、
前記緩衝材は、前記スイッチの互いに対向する2面と2箇所の前記スイッチ取付面部との間のそれぞれに介在される
ことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記スイッチ取付面部と、前記半導体発光素子が実装された前記基板を取り付ける光源取付部と、を備える取付部材を備え、前記取付部材が前記取付ベースに取り付けられる
ことを特徴とする請求項1または2記載の照明装置。
【請求項4】
前記筐体は、標識灯の密閉された灯体であり、
前記スイッチは、前記灯体の内部に設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、機械式のスイッチを備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明装置においては、外部電源の接続を切り換える機械式のスイッチを備えたものがある。このような機械式のスイッチを備えた照明装置では、輸送時の外部からの振動や衝撃、または設置状態での外部からの振動や衝撃により、スイッチが意図せずに切り換わってしまう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6642792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、スイッチの意図しない切り換えを抑制できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の照明装置は、筐体と、光源である半導体発光素子と、機械式のスイッチと、スイッチ取付面部と、緩衝材と、取付ベースと、を備える。筐体は、光の出射口を備える。半導体発光素子は、出射口に向かって光を照射するように筐体内に配置される。スイッチは、筐体内に配置され、半導体発光素子への電気接続を切り換える。スイッチ取付面部は、筐体内に設けられ、スイッチを取付可能とする。緩衝材は、スイッチとスイッチ取付面部との間に介在され、スイッチをスイッチ取付面部に取り付ける面ファスナーである。取付ベースは、筐体内の空間を仕切るように配置され、半導体発光素子が実装された基板と、スイッチ取付面部と、が取り付けられる。
【発明の効果】
【0006】
実施形態の照明装置によれば、スイッチの意図しない切り換えを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態を示す照明装置の断面図である。
図2】同上照明装置のスイッチの取付構造の分解斜視図である。
図3】同上照明装置のスイッチの取付状態の正面図である。
図4】同上照明装置の上部灯体を外した平面図である。
図5】同上照明装置の上部灯体を外した斜視図である。
図6】同上照明装置の斜視図である。
図7】同上照明装置を用いた標識灯システムの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0009】
図7に標識灯システム10を示す。標識灯システム10は、空港の滑走路や誘導路などの路面に設置された照明装置である標識灯11を点灯制御する標識灯システムである。
【0010】
標識灯システム10は、交流定電流電源(CCR)12、可飽和装置としてのゴム被覆絶縁トランス13、および標識灯11を備えている。
【0011】
交流定電流電源12は、調光レベルに応じて、出力電流の位相制御により、例えば、6.6A、5.2A、4.1A、3.4A、2.8Aのいずれかの定電流を出力する。また、交流定電流電源12は、出力電流波形を検出して変化を監視し、出力電流波形の変化から標識灯11の異常を判断可能とする。
【0012】
また、ゴム被覆絶縁トランス13は、複数個が交流定電流電源12の出力端間に直列に接続されている。図7には1つのゴム被覆絶縁トランス13の接続を示しているが、複数のゴム被覆絶縁トランス13が接続されている。ゴム被覆絶縁トランス13は、1対1の変流比であり、その一次側と二次側を切り離している。
【0013】
また、標識灯11は、ゴム被覆絶縁トランス13の二次側に接続され、ゴム被覆絶縁トランス13を介して交流定電流電源12に接続されている。図1には1つの標識灯11を示しているが、ゴム被覆絶縁トランス13と同様に、複数の標識灯11がそれぞれゴム被覆絶縁トランス13に接続されている。
【0014】
標識灯11は、航空標識灯であり、筐体である灯体15と、この灯体15内に配置される光源である半導体発光素子16、スイッチ17および点灯回路18とを備えている。なお、標識灯11は、照明装置としての一例であり、照明装置は標識灯11に限定されるものではなく、スイッチ17を備える照明装置であれば、いかなる照明装置も本実施形態の発明を適用可能である。
【0015】
半導体発光素子16は、標識灯11の光源部であり、LEDが用いられている。なお、光源部としての半導体発光素子16は、LEDに限らず、有機ELなどの他の半導体発光素子や、白熱電球や放電灯などのランプを用いてもよい。
【0016】
スイッチ17は、電気接続を切り換える機械式スイッチであって、ゴム被覆絶縁トランス13の二次側と点灯回路18の入力側との間との間の接続を開閉する開閉器である。スイッチ17は、ゴム被覆絶縁トランス13の二次側と点灯回路18の入力側との間を開閉可能とする接点部20、および点灯回路18からの異常信号の入力により閉成状態にある接点部20を開成させる開成動作部であるコイル部21を備えている。接点部20は、機械式に開閉可能で、開成状態と閉成状態とのいずれか一方にばね力または磁力あるいはそれらの両方により保持され、開閉操作により切換可能とするとともに、コイル部21への異常信号の入力により閉成状態から開成状態に強制的に切り換わるように構成されている。
【0017】
点灯回路18は、スイッチ17の接点部20を介してゴム被覆絶縁トランス13の二次側に一次側が直列に接続されるカレントトランスCT1,CT2、カレントトランスCT1の二次側に接続される点灯回路部23、およびカレントトランスCT2の二次側に接続される制御回路部24を備えている。
【0018】
点灯回路部23は、カレントトランスCT1から交流定電流電源12の出力電流を入力し、当該出力電流に応じた所定の点灯電流に変換して半導体発光素子16に供給し、半導体発光素子16を点灯させる。
【0019】
制御回路部24は、マイコンを備えており、カレントトランスCT2から交流定電流電源12の出力電流を入力し、当該出力電流に応じた電流が半導体発光素子16に供給されるように点灯回路部23を制御する。すなわち、制御回路部24は、交流定電流電源12の出力電流6.6A、5.2A、4.1A、3.4A、2.8Aに応じて、半導体発光素子16が100%、25%、5%、1%、0.2%の調光レベルで点灯するように点灯回路部23を制御する。
【0020】
制御回路部24は、点灯状態検出回路25を備えている。点灯状態検出回路25は、半導体発光素子16の点灯状態を常時監視しており、半導体発光素子16の不点灯に応じて、スイッチ17のコイル部21に異常信号の電流を供給し、スイッチ17の接点部20を開成させる。点灯状態検出回路25とスイッチ17のコイル部21とは、電線26によって接続されている。接点部20は、コイル部21への通電によって閉成状態から開成されると、以降、コイル部21に通電されなくなっても、開成状態が維持される。
【0021】
そして、標識灯11のスイッチ17が開成されると、交流定電流電源12の出力電流波形に変化が発生し、この出力電流波形の変化を交流定電流電源12が検出することにより、標識灯11の不点灯などの異常を判断することが可能となる。
【0022】
次に、図6に標識灯11を示す。標識灯11は、空港の滑走路や誘導路などの路面に埋め込まれる埋込形である。標識灯11は、路面に埋め込み設置される設置体(図6への図示は省略)、およびこの設置体上に取り付けられる灯体15を備えている。
【0023】
設置体は、有底で円筒状の基台、およびこの基台上に取り付けられた円環状の調整リングを備えている。設置体は、調整リングの上面周辺部が路面と略同一高さとなるように埋め込み設置される。埋め込み設置される設置体には、交流定電流電源12からの出力電流をゴム被覆絶縁トランス13の二次側から供給する電源ケーブルが引き込まれる。また、調整リングには、灯体15が取り付けられる。調整リングは、基台に対して所定の角度の範囲内で回転可能に取り付けられ、調整リングに取り付けられる灯体15の向きを調整可能としている。
【0024】
また、図1および図6に示すように、灯体15は、上部灯体30と、この上部灯体30の下部側に取り付けられる灯体カバー31とを備えている。これら上部灯体30と灯体カバー31とはガスケットを介して取り付けられ、灯体15の内部が密閉されている。
【0025】
上部灯体30は、例えば金属製で、円盤状に形成されている。上部灯体30の上面中央には略平面状の上面部32が形成され、上部灯体30の上面周辺部には上面部32の外周部から上部灯体30の外周部に亘って下降傾斜する傾斜面33が形成されている。
【0026】
上部灯体30の周辺部には、上部灯体30の上面側および外周側に向けて開口する複数の取付凹部34が形成され、これら取付凹部34の底部に上下方向に貫通する挿通孔35が設けられている。上部灯体30は、挿通孔35および灯体カバー31を貫通して調整リングに螺着されるボルトなどの締結部品によって設置体に取り付けられる。
【0027】
上部灯体30の周辺部の少なくとも1箇所には、路面に対して斜め上方に光を出射する出射口36が設けられている。本実施形態では、出射口36は、上部灯体30の円周上の対称位置となる2箇所に、互いに反対方向に向けて開口するように設けられている。上部灯体30の下面側は、出射口36の下側位置が下方に突出され、出射口36の下側位置以外の位置が凹状に設けられている。
【0028】
上部灯体30の出射口36には、半導体発光素子16から入射した光を所定の方向に屈曲させて出射するプリズム37が配置されている。プリズム37は、光透過性を有する例えばガラスや樹脂にて形成されている。プリズム37は、周囲に筒状のガスケット38を介在して出射口36の内側から挿入配置され、出射口36を密閉している。出射口36に配置されたプリズム37は、プリズム37の背面側周辺部を押える押え部材39によって保持されている。押え部材39は、上部灯体30にねじ止め固定されている。
【0029】
図1図4ないし図6に示すように、灯体カバー31は、例えば金属製で、有底の円筒状に設けられ、上端に上部灯体30の下面側に取り付けられるフランジ部40を有している。フランジ部40には、上部灯体30の各挿通孔35を挿通するボルトなどの締結部品が挿通する複数の挿通孔41が設けられている。さらに、フランジ部40には、上部灯体30にねじ止めするための複数の取付孔42が設けられている。
【0030】
灯体カバー31の底部には、配線孔43が設けられている。配線孔43には、灯体15の内部に配置されるスイッチ17に接続された接続ケーブルが挿通され、この接続ケーブルの挿通状態でパッキングなどにより密閉される。接続ケーブルは、設置体に引き込まれるゴム被覆絶縁トランス13の二次側からの電源ケーブルとコネクタなどにより電気的に接続される。
【0031】
灯体カバー31の内周部には、複数のボス44が設けられている。複数のボス44には取付ベース45がねじ46で取り付けられる。取付ベース45は、上部灯体30の下面側の突出部位との干渉を避けるために略S字形の形状に形成されている。取付ベース45により、灯体15の内部が上部空間と下部空間とに仕切られる。
【0032】
また、灯体15の内部には、光源ユニット50、スイッチ17および点灯回路18が配置されている。なお、点灯回路18は、図示していないが、取付ベース45の下側となる灯体15の下部空間に配置される。
【0033】
光源ユニット50は、灯体15の出射口36の数に対応して2組用いられている。光源ユニット50は、取付ベース45の上面に取り付けられ、灯体15の出射口36に配置されたプリズム37の背面側に対向して配置されている。
【0034】
図1ないし図5に示すように、光源ユニット50は、半導体発光素子16を有する光源基板51、レンズ52、これら光源基板51およびレンズ52を一体的に取り付ける光源取付部材53を備えている。
【0035】
光源基板51の前面側には、半導体発光素子16が実装されている。光源基板51は、水平方向に長い長方形状に形成され、長手方向に複数の半導体発光素子16が配置されている。光源基板51には、半導体発光素子16と電気的に接続される電極パッドが配設されており、この電極パッドは点灯回路18と電線などを介して電気的に接続されている。なお、ここでの半導体発光素子16はベアチップであってもよいし、SMDやCSPといったパッケージであってもよい。
【0036】
レンズ52は、光透光性を有するガラスや樹脂にて形成されている。レンズ52は、1つの半導体発光素子16に対して1つのレンズ部55を有している。光源基板51に複数の半導体発光素子16が配置されている場合には、複数のレンズ部55が一体に連結して設けられている。レンズ52は、半導体発光素子16とプリズム37との間に配置され、半導体発光素子16の光を集光してプリズム37に入射する。
【0037】
光源取付部材53は、例えば金属板により、略L字状に形成されている。光源取付部材53は、固定部57と、この固定部57から屈曲されて斜めに立ち上げられた光源取付部58とを備えている。固定部57は、取付ベース45の上面に配置されて複数のねじ59で固定されている。光源取付部58には、光源基板51およびレンズ52が配置されて複数のねじ60で一体的に取り付けられている。そして、光源取付部材53により、半導体発光素子16およびレンズ52がプリズム37の背面側に対向するように配置されている。また、光源取付部材53の固定部57の上面は、スイッチ17を取付可能とする下側のスイッチ取付面部61として構成されている。
【0038】
また、スイッチ17は、四角形箱状のスイッチケース63、このスイッチケース63の一面に設けられた操作部64、この操作部64が設けられた面と対向するスイッチケース63の他面に設けられた端子部65、スイッチケース63内に配置される接点部20およびコイル部21を備えている。
【0039】
スイッチケース63は、操作部64および端子部65が設けられる面とは異なる4面の外面のうち、一方の対向する2面の外面63aの面積が他方の対向する2面の外面63bの面積よりも広く、さらに、一方の対向する2面の外面63aは平坦面を有している。言い換えると、スイッチケース63は略直方体形状である。
【0040】
操作部64は、スイッチケース63内の接点部20の開成と閉成との切り換えを手動で操作可能とする。
【0041】
端子部65は、上述した接続ケーブルが接続される入力端子、点灯回路18との電線が接続される出力端子、および点灯状態検出回路25との電線26が接続される信号入力端子を備えている。
【0042】
そして、スイッチ17は、スイッチ取付部材70および緩衝材71を用いて光源取付部材53に取り付けられ、灯体15の内部に配置されている。
【0043】
スイッチ取付部材70は、例えば金属板により形成されている。スイッチ取付部材70は、光源取付部材53の固定部57の上面にねじ59で取り付けられる取付部74、この取付部74から立ち上げられた立上部75、およびこの立上部75から固定部57の上面に対向するように折曲された支持部76を有している。支持部76の下面は、スイッチ17を取付可能とする上側のスイッチ取付面部77として構成されている。スイッチ取付部材70のスイッチ取付面部77と光源取付部材53のスイッチ取付面部61とは互いに平行状に対向されている。
【0044】
緩衝材71は、面状緩衝材であり、スイッチ17の外面63aとスイッチ取付面部61,77との間に介在され、スイッチ17をスイッチ取付面部61,77に緩衝可能に取り付けている。スイッチ取付面部61は、スイッチ17より下方に存在するスイッチ取付面部であり、スイッチ取付面部77は、スイッチ17より上方に存在するスイッチ取付面部である。具体的には、スイッチ17の一方の対向する外面63aが上下方向に向けられ、スイッチ17の下面側の外面63aと光源取付部材53の下側のスイッチ取付面部61との間に緩衝材71が介在されているとともに、スイッチ17の上面側の外面63aとスイッチ取付部材70の上側のスイッチ取付面部77との間に緩衝材71が介在されている。なお、スイッチ17の他方の対向する外面63bが上下方向に向けられ、スイッチ17の下面側の外面63bと光源取付部材53の下側のスイッチ取付面部61との間に緩衝材71が介在されているとともに、スイッチ17の上面側の外面63bとスイッチ取付部材70の上側のスイッチ取付面部77との間に緩衝材71が介在される構成であってもよい。また、スイッチ取付面部は、略垂直方向に設けられていてもよい。
【0045】
緩衝材71には、面ファスナー80が用いられる。面ファスナー80は、先端が鉤状の複数のフックが設けられたフック面81aを有するフック面ファスナー81と、複数のループが設けられたループ面82aを有するループ面ファスナー82と、を組として構成されている。
【0046】
フック面ファスナー81のフック面81aとは反対側の面、およびループ面ファスナー82のループ面82aとは反対側の面は、接着可能とする接着面に設けられている。フック面ファスナー81の接着面がスイッチ取付面部61,77またはスイッチ17の外面63aに貼り付けられ、ループ面ファスナー82の接着面がスイッチ17の外面63aまたはスイッチ取付面部61,77に貼り付けられている。そして、フック面ファスナー81のフック面81aとループ面ファスナー82のループ面82aとが互いに重ね合わされて複数のフックと複数のループとが引っ掛かることにより、フック面ファスナー81のフック面81aとループ面ファスナー82のループ面82aとが互いに係合され、スイッチ17をスイッチ取付面部61,77に緩衝可能に取り付ける。
【0047】
なお、フック面ファスナー81のフック面81aとループ面ファスナー82のループ面82aとが押し潰された状態で係合された場合、スイッチ17の緩衝作用が損なわれるため、フック面ファスナー81のフック面81aとループ面ファスナー82のループ面82aとが押し潰されることなく係合されて、スイッチ17の緩衝作用が十分に得られるように、スイッチ取付面部61とスイッチ取付面部77との間隔が設定されている。
【0048】
このようにスイッチ17を取り付けることにより、緩衝作用によってスイッチ17が意図せず切り換わることを抑制するとともに、スイッチ17がスイッチ取付面部61,77から外れてしまうことを抑制することが可能となる。スイッチ17がスイッチ取付面部61,77から外れてしまうことを抑制することについて説明すると、横方向(面ファスナー80と平行方向)の力に対しては、面ファスナー80が横方向の力に強いため、フック面ファスナー81とループ面ファスナー82との係合は外れない。また、縦方向(面ファスナ―80と垂直方向)の力に対しては、フック面ファスナー81とループ面ファスナー82との係合が外れてしまう虞があるが、本実施形態ではスイッチ取付部材70により縦方向の動きが制限されるため、スイッチ17がスイッチ取付面部61,77から外れるほど動くことはない。
【0049】
なお、緩衝材71は、面ファスナー80に限らず、例えばゲル状緩衝材、両面スポンジテープなどを用いてもよい。この場合は、横方向の力に対してスイッチ17が移動してしまう虞があるため、スイッチ17の側方に壁もしくは抑えとなる部材を配設することが好ましい。
【0050】
また、点灯回路18は、取付ベース45によって仕切られた灯体15の下部空間に配置されている。点灯回路18は、取付ベース45に取り付けられていてもよいし、灯体カバー31の内部に取り付けられていてもよい。
【0051】
そして、このように構成された標識灯11は、灯体15の内部のスイッチ17の接点部20が閉成状態で、路面に設置されている。
【0052】
交流定電流電源12からの出力電流がゴム被覆絶縁トランス13およびスイッチ17を通じて点灯回路18に供給されると、点灯回路18は交流定電流電源12からの出力電流に応じた調光レベルで半導体発光素子16を点灯させる。点灯する半導体発光素子16からの光は、灯体15の出射口36からプリズム37を通じて出射される。
【0053】
半導体発光素子16の点灯状態は、点灯状態検出回路25により常時監視している。そして、点灯状態検出回路25は、半導体発光素子16の不点灯などの異常を検出すると、スイッチ17のコイル部21に異常信号を送る。
【0054】
スイッチ17は、点灯状態検出回路25からの異常信号をコイル部21に入力すると、例えばコイル部21が発生する磁力により、接点部20を閉成状態から開成状態に機械的に切り換える。
【0055】
スイッチ17の接点部20が開成すると、ゴム被覆絶縁トランス13の二次側が開放されるため、交流定電流電源12の出力電流波形に歪みが発生する。交流定電流電源12は、出力電流波形の歪みを検出することにより、標識灯11に半導体発光素子16の不点灯などの異常が生じたことを検出し、報知する。この報知に基づき、灯体15の交換などの対処を行うことが可能となる。
【0056】
スイッチ17の接点部20が開成すると、点灯回路18への出力電流の供給が遮断され、点灯状態検出回路25からスイッチ17のコイル部21への異常信号の出力もなくなる。スイッチ17の接点部20は、閉成状態から開成状態になると、開成状態を保持するため、点灯状態検出回路25からのスイッチ17のコイル部21への異常信号の入力がなくなっても、スイッチ17の開成状態が維持される。
【0057】
また、標識灯11は、工場出荷時において、灯体15が密閉状態に組み立てられ、この灯体15の内部に配置されるスイッチ17は閉成状態にある。標識灯11は、工場出荷以降は異常がない限り灯体15の内部を開けることはないため、半導体発光素子16を点灯可能とするためにはスイッチ17を閉成状態としている必要がある。
【0058】
ところで、灯体15の輸送時などに振動や衝撃が加わり、その振動や衝撃によりスイッチ17が閉成状態から開成状態に切り換わる虞がある。
【0059】
あるいは、灯体15の設置後、灯体15上を航空機のタイヤが通過する際などに振動や衝撃が加わり、その振動や衝撃によりスイッチ17が閉成状態から開成状態に切り換わる虞がある。
【0060】
このように、輸送時や設置後に、振動や衝撃によりスイッチ17が閉成状態から開成状態に切り換わってしまうと、交流定電流電源12からの出力電流を点灯回路18に供給できず、半導体発光素子16が点灯しなくなってしまう。特に標識灯11においては、灯体15が密閉状態になっているため、スイッチ17を正常な状態に切り換えるには密閉状態を解除する必要があり、意図せずスイッチ17が切り換わってしまうことが大きな問題となっていた。
【0061】
本実施形態では、スイッチ17の外面63aと灯体15側のスイッチ取付面部61,77との間に緩衝材71が介在されているため、灯体15からスイッチ17に加わる振動や衝撃を緩衝し、スイッチ17が閉成状態から開成状態に切り換わるのを防止できる。
【0062】
緩衝材71が面ファスナー80である場合、フック面ファスナー81の複数のフックとループ面ファスナー82の複数のループとが互いに係合した状態にあるため、水平方向および上下方向を含めた全方向に対する柔軟性が高く、高い緩衝効果が得られる。
【0063】
なお、緩衝材71は、スイッチ17の下面とスイッチ取付面部61との間と、スイッチ17の上面とスイッチ取付面部77との間とのいずれか一方のみに介在するだけでも、緩衝可能に取り付けることができる。緩衝材71をスイッチ17の下面とスイッチ取付面部61との間のみに介在させる場合にはスイッチ取付部材70は不要である。
【0064】
ただし、緩衝材71が面ファスナー80の場合、面に平行な方向の力に対して結合強度が強く、面に垂直な方向に対してつまり剥がす方向に対して結合強度が弱い性質があるため、スイッチ17の上下の対向する2面の外面63aと上下の対向する2箇所のスイッチ取付面部61,77との間にそれぞれ面ファスナー80を介在させることが好ましく、これにより、スイッチ17の移動で面ファスナー80が面に垂直な方向に剥がれるのを防止でき、スイッチ17を確実に保持できる。
【0065】
さらに、緩衝材71として面ファスナー80を用いることにより、灯体15へのスイッチ17の組立性を良好にできる。しかも、面ファスナー80は、剥がす行為を何度も行うことによって劣化するが、一度、スイッチ17を保持したら剥がすことはないため、劣化しにくく、継続的にスイッチ17を緩衝可能に保持できる。
【0066】
さらに、スイッチ17は光源取付部材53に取り付けられるとともに光源取付部材53に固定されたスイッチ取付部材70に取り付けられるため、半導体発光素子16が点灯時に発生する熱が光源取付部材53やスイッチ取付部材70を通じてスイッチ17に伝わる虞がある。これらスイッチ17と光源取付部材53やスイッチ取付部材70との間には緩衝材71である面ファスナー80が介在していることにより、半導体発光素子16の熱がスイッチ17に伝わるのを低減することができる。
【0067】
また、灯体15の内部に取付ベース45が取り付けられ、この取付ベース45上にスイッチ17が配置されるため、灯体15に加わる振動や衝撃がスイッチ17に直接伝わるのを防止できる。なお、灯体15の内面にスイッチ取付面部を設け、灯体15に緩衝材71を介してスイッチ17を取り付けてもよい。
【0068】
なお、緩衝材71を用いたスイッチ17の取付構造は、埋込形の標識灯11以外に、地上に設置される地上形標識灯にも適用できる。
【0069】
また、緩衝材71を用いたスイッチ17の取付構造は、標識灯11以外の照明装置にも適用できる。例えば、電源をオンオフするためのスイッチ、機能を切り換えるスイッチなどを備えた照明装置などにも適用できる。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
11 照明装置である標識灯
15 筐体である灯体
16 半導体発光素子
17 スイッチ
36 出射口
45 取付ベース
51 光源基板
53 光源取付部材
58 光源取付部
61 スイッチ取付面部
71 緩衝材
77 スイッチ取付面部
80 面ファスナー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7