(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
H01J 65/00 20060101AFI20240828BHJP
B01J 19/12 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
H01J65/00 D
B01J19/12 C
(21)【出願番号】P 2021084305
(22)【出願日】2021-05-19
【審査請求日】2024-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】前田 晶子
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-199091(JP,A)
【文献】特開2011-045807(JP,A)
【文献】特開2002-343306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 65/00
B01J 19/12
H01J 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状を呈し、内部空間に希ガスが封入された発光管と;
前記内部空間に設けられたコイルを有する内部電極と;
前記発光管の外側に設けられた外部電極と;
第1の配線を介して前記内部電極と電気的に接続され、第2の配線を介して前記外部電極と電気的に接続された点灯回路と;
前記第1の配線と、前記第2の配線とが互いに並行して延びている部分を挟む保持部と;
を具備した紫外線照射装置。
【請求項2】
前記保持部は、一対設けられ、
前記一対の保持部のそれぞれは、絶縁性を有するフィルムと、前記フィルムの一方の面に設けられた粘着層と、を有し、
前記第1の配線と、前記第2の配線とが互いに並行して延びている部分は、前記一対の保持部の間に挟まれ、前記一対の保持部の粘着層同士が貼り合わされている請求項1記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記保持部は、絶縁性を有するフィルムと、前記フィルムの一方の面に設けられた粘着層と、を有し、
前記保持部は、前記粘着層側を内側として、折り返された形状を有し、
前記第1の配線と、前記第2の配線とが互いに並行して延びている部分は、前記折り返された形状を有する保持部により挟まれ、前記粘着層同士が貼り合わされている請求項1記載の紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ピーク波長が200nm以下の紫外線を照射するバリア放電ランプがある。バリア放電ランプは、例えば、対象物の表面に付着した有機物の除去(光洗浄処理)、表面改質、酸化膜の形成などの表面処理に用いられている。バリア放電ランプは、例えば、誘電体から形成された発光管と、発光管の内側に設けられた内部電極と、発光管の外側に設けられた外部電極と、を有している。内部電極は、配線を介して、点灯回路の高圧側と電気的に接続されている。外部電極は、配線を介して、点灯回路の低圧側と電気的に接続されている。
【0003】
ここで、バリア放電ランプと、点灯回路とを電気的に接続する一対の配線間には寄生容量がある。この寄生容量は、一対の配線の引き回し状態によって変化する場合がある。また、複数のバリア放電ランプが設けられる場合には、バリア放電ランプ毎に一対の配線の引き回し状態が変わり、バリア放電ランプ毎に寄生容量が異なる値となる場合がある。
【0004】
一対の配線間における寄生容量が変化したり、ばらついたりすると、ランプ特性が変化したり、ばらついたりする。例えば、複数のバリア放電ランプが設けられる場合には、バリア放電ランプ毎にランプ特性が異なるものとなり、所望の均斉度が得られなくなるおそれがある。
【0005】
そのため、バリア放電ランプと、点灯回路とを電気的に接続する一対の配線間における寄生容量が変化するのを抑制することができる紫外線照射装置の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、バリア放電ランプと、点灯回路とを電気的に接続する一対の配線間における寄生容量が変化するのを抑制することができる紫外線照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る紫外線照射装置は、筒状を呈し、内部空間に希ガスが封入された発光管と;前記内部空間に設けられたコイルを有する内部電極と;前記発光管の外側に設けられた外部電極と;第1の配線を介して前記内部電極と電気的に接続され、第2の配線を介して前記外部電極と電気的に接続された点灯回路と;前記第1の配線と、前記第2の配線とが互いに並行して延びている部分を挟む保持部と;を具備している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、バリア放電ランプと、点灯回路とを電気的に接続する一対の配線間における寄生容量が変化するのを抑制することができる紫外線照射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係る紫外線照射装置を例示するための模式側面図である。
【
図2】
図1における紫外線照射装置のA-A線方向の模式側面図である。
【
図3】バリア放電ランプを例示するための模式図である。
【
図4】(a)、(b)は、保持部を例示するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る紫外線照射装置1を例示するための模式側面図である。
図2は、
図1における紫外線照射装置1のA-A線方向の模式側面図である。
図1および
図2に示すように、紫外線照射装置1は、例えば、バリア放電ランプ2、位置決め部3、位置決め部4、フレーム5、ガス供給部6、冷却部7、点灯回路8、コントローラ9、および配線部10を備えている。
なお、一例として、3つのバリア放電ランプ2が設けられる場合を例示したが、バリア放電ランプ2の数は、紫外線を照射する対象物の大きさや数などに応じて適宜変更することができる。すなわち、バリア放電ランプ2は、少なくとも1つ設けられていればよい。
【0013】
図3は、バリア放電ランプ2を例示するための模式図である。
図3に示すように、バリア放電ランプ2は、例えば、発光管21、内部電極22、反射膜23、端子カバー24、リード線25、および外部電極26を有する。
【0014】
発光管21は、筒状を呈し、管径に比べて全長(管軸21dに沿った長さ)が長い形態を有する。発光管21は、例えば、円筒管とすることができる。発光管21の、管軸21dに沿った方向における両側の端部のそれぞれには、封止部21aが設けられている。
【0015】
また、封止部21aの内部には、例えば、導電部21bとアウターリード21cが設けられる。例えば、導電部21bは、1つの封止部21aに対して1つ設けられる。例えば、導電部21bは、モリブデン箔から形成される。
【0016】
アウターリード21cは、線状を呈し、少なくともリード線25が設けられる側の封止部21aの内部に設けることができる。アウターリード21cの一方の端部は、例えば、導電部21bと電気的に接続されている。アウターリード21cの他方の端部は、例えば、封止部21aから露出している。アウターリード21cは、例えば、モリブデンなどを含んでいる。
【0017】
発光管21の内部空間には、希ガスが封入されている。バリア放電ランプ2においては、内部電極22と外部電極26との間でバリア放電を行って、封入されている希ガスに高いエネルギー電子を与えてエキシマ励起分子を生成する。エキシマ励起分子が元に戻る際に、希ガスの種類に応じて特定のピーク波長を有する光が発生する。そのため、発光管21の内部空間に封入する希ガスは、バリア放電ランプ2の用途に応じて適宜変更することができる。発光管21の内部空間に封入する希ガスは、例えば、クリプトン、キセノン、アルゴン、ネオンなどとすることができる。あるいは、発光管21の内部空間に、複数種類の希ガスを混合した混合ガスを封入することもできる。また、必要に応じて、ハロゲンガスなどをさらに封入することもできる。
【0018】
発光管21の内部空間の25℃における希ガスの圧力(封入圧力)は、例えば、80kPa~200kPa程度である。発光管21の内部空間の25℃における希ガスの圧力(封入圧力)は、気体の標準状態(SATP(Standard Ambient Temperature and Pressure):温度25℃、1bar)により求めることができる。
【0019】
ここで、バリア放電を生じさせると(バリア放電ランプ2を点灯させると)、発光管21の内部空間において紫外線が発生する。発生した紫外線は、発光管21を介して外部に照射される。そのため、発光管21は、例えば、ピーク波長が200nm以下の紫外線の透過率が高い材料から形成される。発光管21は、例えば、SiO2を含む材料から形成される。発光管21は、例えば、合成石英ガラスから形成することができる。
【0020】
内部電極22は、例えば、コイル22a、およびレグ22bを有する。コイル22a、およびレグ22bは、線材を塑性加工することで一体に形成することができる。線材の線径(直径)は、例えば、0.2mm~1.0mm程度である。線材は、例えば、タングステンやドープタングステンなどを含んでいる。
【0021】
コイル22aは、螺旋状を呈し、発光管21の内部空間に設けられている。コイル22aは、発光管21の内部空間の中央領域を発光管21の管軸21dに沿って延びている。コイル22aのピッチ寸法P1は、例えば、10mm~120mm程度である。
【0022】
コイル22aと発光管21の内壁との間には隙間を設けることができる。隙間は、例えば、10mm以下である。なお、隙間が設けられず、例えば、コイル22aと反射膜23が接触する様にしてもよい。また、反射膜23が設けられない場合には、コイル22aと発光管21の内壁が接触する様にしてもよい。隙間が所定の寸法以下であれば、低い電圧で安定したバリア放電を生じさせることができる。
【0023】
レグ22bは、コイル22aの両側の端部のそれぞれに設けられている。レグ22bは、線状を呈し、コイル22aの端部から発光管21の管軸21dに沿って延びている。
レグ22bの端部は、封止部21aの内部において導電部21bと電気的に接続されている。
【0024】
反射膜23は、膜状を呈し、発光管21の内壁に設けられている。反射膜23は、外部電極26と内部電極22(コイル22a)との間に設けられる。反射膜23は、発光管21の内部空間で発生し、照射方向に向かわない紫外線を照射方向に向けて反射させる。反射膜23が設けられていれば、紫外線の取り出し効率を向上させることができる。また、反射膜23が設けられていれば、発光管21の、紫外線が直接入射する領域を小さくすることができるので、紫外線による発光管21の化学的な構造変化を抑制することができる。
【0025】
反射膜23の厚みは、例えば、100μm~300μm程度である。反射膜23は、例えば、SiO2(二酸化珪素)を含んでいる。また、反射膜23は、紫外線を散乱させる粒子(例えば、酸化アルミニウムの粒子)を含むこともできる。なお、反射膜23は、必ずしも必要ではなく省くこともできる。
【0026】
端子カバー24は、発光管21の、管軸21dに沿った方向における両側の端部のそれぞれに設けられている。端子カバー24は、例えば、封止部21aを覆っている。端子カバー24は、例えば、樹脂やセラミックスなどの絶縁性材料から形成される。端子カバー24は、外部電極26と接触させてもよいし、外部電極26から離間させてもよい。
【0027】
リード線25は、封止部21aから露出するアウターリード21cの端部に電気的に接続される。リード線25は、アウターリード21cおよび導電部21bを介して、内部電極22と電気的に接続されている。なお、リード線25は、発光管21の一方の端部側のみに設けることもできるし、発光管21の両側の端部のそれぞれに設けることもできる。
【0028】
外部電極26は、発光管21の外側に設けられる。外部電極26は、発光管21の管軸21dに沿って延びている。反射膜23が設けられる場合には、外部電極26は、反射膜23と対峙する位置に設けることができる。
【0029】
また、発光管21の、管軸21dに沿った方向の長さが長い場合には、1つの発光管21に対して複数の外部電極26を設けることができる。1つの発光管21に対して複数の外部電極26が設けられていれば、発光管21の変形状態に応じて、複数の外部電極26のそれぞれが、個別に追従することができる。そのため、発光管21と外部電極26との位置関係、ひいては、内部電極22のコイル22aと外部電極26との位置関係が変化するのを抑制することができる。その結果、バリア放電を安定させることができるので、照度の均一性を向上させることができる。
【0030】
外部電極26の、発光管21側の面の少なくとも一部は、発光管21の外面に接触させることができる。外部電極26は、例えば、金属の薄板を発光管21の外形形状に合わせて塑性加工したものである。外部電極26は、例えば、ステンレス、アルミニウムなどを用いて形成することができる。
【0031】
位置決め部3は、バリア放電ランプ2の管軸21d周りの位置がずれるのを抑制する。位置決め部3は、1つのバリア放電ランプ2に対して、少なくとも1つ設けることができる。位置決め部3は、例えば、ネジなどの締結部材を用いてフレーム5に取り付けることができる。
【0032】
位置決め部4は、バリア放電ランプ2が管軸21dに沿った方向に動くのを抑制する。
図1および
図2に示すように、位置決め部4は、1つのバリア放電ランプ2に対して、あるいは、並べて設けられた複数のバリア放電ランプ2に対して、一対設けることができる。位置決め部4と位置決め部4との間の空間には、バリア放電ランプ2を設けることができる。この様にすれば、バリア放電ランプ2が管軸21dに沿った方向に動くのを抑制することができる。
【0033】
位置決め部4は、例えば、ネジなどの締結部材を用いて、フレーム5の、位置決め部3が取り付けられる面に取り付けられる。位置決め部4は、フレーム5と一体に形成することもできる。
【0034】
フレーム5は、例えば、紫外線を照射する対象物に対向する位置に設けられる。また、フレーム5は、対象物に紫外線を照射する際には対象物に対向する位置に設けられ、メンテナンスなどの際には対象物に対向する位置から移動するようにしてもよい。フレーム5の構造には特に限定がなく、
図2に例示をした様な骨組構造とすることもできるし、板状体などとすることもできる。
【0035】
また、フレーム5には、端子5aを設けることができる。
端子5aは、例えば、絶縁部5a1と導電部5a2を有する。絶縁部5a1は、例えば、フッ素樹脂やセラミックスなどの絶縁性材料から形成される。絶縁部5a1は、例えば、ネジなどの締結部材を用いて、フレーム5に取り付けられる。導電部5a2は、例えば、ステンレスやニッケルなどの導電性材料から形成される。導電部5a2の一方の端部は、絶縁部5a1の一方の端部から露出し、リード線25が電気的に接続される。導電部5a2の他方の端部は、絶縁部5a1の他方の端部から露出し、後述する配線10aが電気的に接続される。なお、リード線25が、配線10aに電気的に接続される場合には、端子5aを省くことができる。
【0036】
ガス供給部6は、冷却部7に設けられた複数の排出孔7a2を介して、冷却部7と外部電極26との間の隙間にガスを供給する。ガス供給部6は、例えば、ガス供給源61、およびガス制御部62を有する。ガス供給源61とガス制御部62は、配管を介して冷却部7と接続されている。
【0037】
ガス供給源61は、例えば、乾燥空気、窒素ガス、希ガスなどのガスを冷却部7に供給する。
ガス制御部62は、例えば、冷却部7に供給するガスの流量を制御する。ガス制御部62は、冷却部7に供給するガスの圧力を制御することで、ガスの流量を間接的に制御するものとしてもよい。また、ガス制御部62は、ガスの供給の開始と、ガスの供給の停止とを切り替える機能をさらに有することもできる。
【0038】
図2に示すように、冷却部7は、ネジなどの締結部材を用いて、フレーム5に取り付けることができる。冷却部7は、位置決め部3と位置決め部3の間に設けることができる。冷却部7の外部電極26側の面は、例えば、発光管21と同芯の円柱の側面の一部とすることができる。この様にすれば、冷却部7と外部電極26との間の隙間の寸法を略一定とすることができる。
【0039】
冷却部7は、ブロック状を呈し、発光管21の管軸21dに沿った方向に延びた形状を有している。冷却部7は、例えば、アルミニウムやステンレスなどの金属から形成される。冷却部7の内部には、ガスを流すための孔7aが設けられている。孔7aは、発光管21の管軸21dに沿って延びている。
【0040】
図2に示すように、孔7aには、供給孔7a1が設けられている。供給孔7a1には配管を介してガス供給部6が接続される。孔7aには、複数の排出孔7a2が設けられている。複数の排出孔7a2は、発光管21の管軸21dに沿った方向に並べて設けられている。排出孔7a2の一端は孔7aに開口し、他端は、冷却部7と外部電極26との間の隙間に開口している。
ガスによる空冷構造以外にも、水による水冷構造を用いて、間接的にランプを冷却しても良い。
【0041】
点灯回路8は、例えば、インバータを有する。インバータは、交流電源からの電力を、高電圧かつ高周波(例えば、周波数が37kHzの正弦波)の電力に変換する。例えば、点灯回路8は、2.4kW程度のランプ電力で、バリア放電ランプ2を点灯させる。後述するように、点灯回路8は、配線10a(第1の配線の一例に相当する)を介して内部電極22と電気的に接続され、配線10b(第2の配線の一例に相当する)を介して外部電極26と電気的に接続される。
【0042】
コントローラ9は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算素子と、半導体メモリなどの記憶素子を有する。コントローラ9は、例えば、コンピュータである。記憶素子には、点灯回路8とガス供給部6を制御する制御プログラムを格納することができる。演算素子は、記憶素子に格納されている制御プログラムに基づいて、バリア放電ランプ2への電力の印加と印加の停止の切り替え、冷却部7へのガスの供給と供給の停止の切り替え、供給するガスの流量制御などを行うことができる。また、コントローラ9には、操作者がデータを入力する入力部、紫外線照射装置1の稼働状況や異常表示などを表示するモニタ、電源スイッチなどを設けることもできる。
【0043】
配線部10は、例えば、配線10a、配線10b、および保持部10cを有する。
配線10aは、例えば、内部電極22と、点灯回路8の高圧側とを電気的に接続する。配線10aの一方の端部は、例えば、導電部5a2およびリード線25を介して、内部電極22と電気的に接続される。配線10aの他方の端部は、例えば、点灯回路8の高圧側の出力端子と電気的に接続される。
【0044】
配線10bは、例えば、外部電極26と、点灯回路8の低圧側とを電気的に接続する。配線10bの一方の端部は、例えば、外部電極26と電気的に接続される。配線10bの他方の端部は、例えば、点灯回路8の低圧側の出力端子と電気的に接続される。
【0045】
配線10a、および配線10bは、例えば、導体を絶縁体で被覆した絶縁電線とすることができる。導体は、例えば、ニッケルメッキ軟銅線とすることができる。導体を被覆する絶縁体は、例えば、フッ素樹脂(FEP)とすることができる。例えば、配線10a、および配線10bは、いわゆるFEP絶縁電線とすることができる。
【0046】
ここで、配線10aと配線10bは、共に、バリア放電ランプ2と点灯回路8に接続されるため、配線10aと配線10bは、並べて設けられる場合が多い。そのため、配線10aと配線10bとの間の距離が短くなり、配線10aと配線10bとの間に寄生容量が発生する。配線10aと配線10bとの間に寄生容量があると、意図しない電流が発生する。
【0047】
配線10aと配線10bとに流れる電流が低周波であれば、寄生容量に起因する電流は無視できるが、前述したように、点灯回路8は、高電圧かつ高周波の電力をバリア放電ランプ2供給するため、寄生容量に起因する電流がランプ特性に与える影響が大きくなる。この場合、寄生容量が略一定であれば、寄生容量に起因するが電流が発生したとしても、ランプ特性が変動するのを抑制することができる。
【0048】
しかしながら、寄生容量は、配線10aと配線10bとの間の距離Lにより変動するので、配線10aと配線10bの引き回し状態が変わると、ランプ特性が変動する場合がある。また、複数のバリア放電ランプ2が設けられる場合には、バリア放電ランプ2毎に、配線10aと配線10bの引き回し状態が変わり、複数のバリア放電ランプ2毎に寄生容量が異なる値、ひいてはランプ特性が異なる値となる場合がある。複数のバリア放電ランプ2毎にランプ特性が異なるものとなると、所望の均斉度が得られなくなるおそれがある。
【0049】
そこで、配線部10には、保持部10cが設けられている。保持部10cは、配線10aと配線10bとの間の距離が略一定となるように、配線10aと配線10bとを保持する。例えば、保持部10cは、配線10aと配線10bとが互いに並行して延びている部分を挟むことができる。例えば、保持部10cは、絶縁性を有するフィルムと、フィルムの一方の面に設けられた粘着層と、を有する。フィルムは、例えば、ポリイミドフィルムやフッ素樹脂フィルムなどとすることができる。
【0050】
図4(a)、(b)は、保持部10cを例示するための模式断面図である。
図4(a)に示すように、配線10aと配線10bとが互いに並行して延びている部分を、2枚の保持部10cにより挟み、保持部10cの粘着層同士を貼り合わせることができる。すなわち、保持部10cは、一対設けることができる。一対の保持部10cのそれぞれは、絶縁性を有するフィルムと、フィルムの一方の面に設けられた粘着層と、を有している。配線10aと配線10bとが互いに並行して延びている部分は、一対の保持部10cの間に挟まれ、保持部10cの粘着層同士が貼り合わされる。
【0051】
図4(b)に示すように、配線10aと配線10bとが互いに並行して延びている部分を、保持部10cの一方の周縁近傍に載置し、保持部10cの他方の周縁近傍を折り返して、保持部10cの粘着層同士を貼り合わせることができる。すなわち、保持部10cは、絶縁性を有するフィルムと、フィルムの一方の面に設けられた粘着層と、を有している。保持部10cは、粘着層側を内側として、折り返された形状を有している。配線10aと配線10bとが互いに並行して延びている部分は、折り返された形状を有する保持部10cにより挟まれ、粘着層同士が貼り合わされている。
【0052】
保持部10cが設けられていれば、配線10aと配線10bの引き回し状態が変わったとしても、配線10aと配線10bとの間の距離Lが略一定となる、そのため、配線10aと配線10bとの間に発生する寄生容量が略一定となるので、寄生容量に起因する電流が発生したとしても、ランプ特性が変動するのを抑制することができる。
【0053】
また、距離Lを長くすれば、寄生容量の値を小さくすることができるので、ランプ特性が変動するのをさらに抑制することができる。しかしながら、距離Lを長くし過ぎると、余分なスペースが必要となったり、剛性が小さくなって配線10aと配線10bが変形し易くなったりする。そのため、距離Lは、実験やシミュレーションを行うことで決定することが好ましい。
この場合、保持部10cは、距離Lが任意の値となったとしても、配線10aと配線10bとが互いに並行して延びている部分を挟むことができる。そのため、寄生容量の値を最適化するのが容易となる。
【0054】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 紫外線照射装置、2 バリア放電ランプ、8 点灯回路、10 配線部、10a 配線、10b 配線、21 発光管、22 内部電極、22a コイル、25 リード線、26 外部電極