(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】パレット管理システム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20240828BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20240828BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
G06K7/10 172
G06K19/077 236
G06K7/10 244
B65G1/137 A
(21)【出願番号】P 2020181125
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】502369573
【氏名又は名称】ユーピーアール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【氏名又は名称】本山 泰
(72)【発明者】
【氏名】大力 和士
(72)【発明者】
【氏名】清水 雅史
(72)【発明者】
【氏名】酒田 健治
(72)【発明者】
【氏名】田中 愛子
【審査官】松平 英
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-201473(JP,A)
【文献】特開2019-209998(JP,A)
【文献】特開2019-104537(JP,A)
【文献】特開2017-073692(JP,A)
【文献】特開2018-026030(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0057231(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D19/00-19/44
B65G 1/137
G06K 7/00-7/14
17/00-19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットに設置された無線タグと、前記無線タグが送信するビーコン信号を受信する無線タグリーダと、パレット管理装置とを備えたパレット管理システムであって、
前記無線タグは、前記無線タグに固有の識別情報を含むビーコン信号を送信する無線送信手段と、段積みされた他の無線タグが送信したビーコン信号を検知するビーコン検知手段とを備え、
第1の無線タグは、前記ビーコン検知手段により、第2の無線タグが送信したビーコン信号を検知した検知情報を含む前記ビーコン信号を前記無線タグリーダに送信するように構成され、
前記無線タグリーダは、前記第1の無線タグの識別情報と前記検知情報とを関連付けて前記パレット管理装置に送信し、
前記パレット管理装置は、前記第1の無線タグの識別情報と前記検知情報とに基づいて、前記第1の無線タグが設置された前記パレットの状態を管理
し、前記第1の無線タグの識別情報に関連付けられた前記検知情報が、前記第2の無線タグが送信したビーコン信号を検知したことを示している場合に、前記第1の無線タグが設置された前記パレットが、荷物が載置されていない空パレットであるかを判定する
パレット管理システム。
【請求項2】
前記ビーコン検知手段は、電源から供給される電力を必要としないパッシブ無線素子である
請求項
1記載のパレット管理システム。
【請求項3】
前記パレットは、金属の架構材を組み合わせることによって構成され、
前記無線タグは、前記金属の架構材に囲まれ、前記パレットの上下方向に前記金属の架構材の無い空間内に配置されている
請求項1
または2記載のパレット管理システム。
【請求項4】
前記無線タグは、平面視において前記パレットの中央部に配置されている
請求項
3記載のパレット管理システム。
【請求項5】
前記パレットは、平面視において前記パレットの縁部の所定の位置に、少なくとも4つの支柱部を備え、少なくとも2つの前記支柱部は、前記パレットを段積みする際に、上側のパレットと下側のパレットを位置合わせする位置合わせ手段を備える
請求項
3または
4記載のパレット管理システム。
【請求項6】
前記少なくとも2つの前記支柱部は、その上部及び下部に突起部または穴部からなる前記位置合わせ手段を備え、前記パレットを段積みする際に、前記突起部と前記穴部が嵌合することにより、上側のパレットと下側のパレットが位置合わせされる
請求項
5記載のパレット管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレットに設置された無線タグを用いてパレットの状態を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、荷物の運搬や保管に用いるパレットは、荷物が載置された状態、あるいは、荷物が載置されてない状態の何れかの状態で、倉庫内に収容される。倉庫内のパレットを効率よく使用するためには、倉庫内に収容されているパレットの状態を管理しておく必要がある。特に、即座に使用することが可能な荷物が載置されていない空パレットの数を把握しておくことは重要である。
【0003】
荷物が載置されていない空パレットは、倉庫内のスペースを有効利用するために、倉庫のフロアーに段積みされた状態で収容される。特許文献1では、このような段積みされたパレットを管理する技術として、段積みされているパレットを、フォークリフトのカメラから撮影し、撮影された画像に含まれるパレット前面に設けられたスタートバーやストップバーの縦方向の長さに基づいて、パレットの段積み状態を把握する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、画像によるパレットの状態把握では、段積みされているパレットの画像を撮影するためのカメラ等の設備や、得られた画像からの縦方向の長さを抽出するための画像処理等のソフトウェアの追加が必要になる。
【0006】
また、倉庫内のパレットの前面にスタートバーやストップバーが設けられていないパレットが含まれている場合、パレットの状態を正確に把握できない場合もあるので、使用している既存のパレットの構成の変更が必要になる場合もある。
【0007】
このように、従来の技術では、パレットの状態を管理するための設備等を追加したり、パレットの構成を変更する必要があるという問題があった。
【0008】
本発明は、以上のような問題を解消するためになされたものであり、設備等の追加やパレットの構成の変更をすることなく、パレットの状態を管理できるパレット管理技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述したような課題を解決するために、本発明に係るパレット管理システムは、パレットに設置された無線タグと、前記無線タグが送信するビーコン信号を受信する無線タグリーダと、パレット管理装置とを備えたパレット管理システムであって、前記無線タグは、前記無線タグに固有の識別情報を含むビーコン信号を送信する無線送信手段と、段積みされた他の無線タグが送信したビーコン信号を検知するビーコン検知手段とを備え、第1の無線タグは、前記ビーコン検知手段により、第2の無線タグが送信したビーコン信号を検知した検知情報を含む前記ビーコン信号を前記無線タグリーダに送信するように構成され、前記無線タグリーダは、前記第1の無線タグの識別情報と前記検知情報とを関連付けて前記パレット管理装置に送信し、前記パレット管理装置は、前記第1の無線タグの識別情報と前記検知情報とに基づいて、前記第1の無線タグが設置された前記パレットの状態を管理し、前記第1の無線タグの識別情報に関連付けられた前記検知情報が、前記第2の無線タグが送信したビーコン信号を検知したことを示している場合に、前記第1の無線タグが設置された前記パレットが荷物が載置されていない空パレットであるかを判定する。
【0011】
また、前記ビーコン検知手段は、電源から供給される電力を必要としないパッシブ無線素子であってもよい。
【0012】
また、前記パレットは、金属の架構材を組み合わせることによって構成され、無線タグは、前記金属の架構材に囲まれ、前記パレットの上下方向に前記金属の架構材の無い空間内に配置されていてもよく、さらに、前記無線タグは、平面視において前記パレットの中央部に配置されていてもよい。
【0013】
また、前記パレットは、平面視において前記パレットの縁部の所定の位置に4つの支柱部を備え、少なくとも2つの前記支柱部は、前記パレットを段積みする際に、上側のパレットと下側のパレットを位置合わせする位置合わせ手段を備えてもよい。
【0014】
また、前記パレットは、前記少なくとも2つの前記支柱部は、その上部及び下部に突起部または穴部からなる前記位置合わせ手段を備え、前記パレットを段積みする際に、前記突起部と前記穴部が嵌合することにより、上側のパレットと下側のパレットが位置合わせされてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、設備等の追加やパレットの構成の変更をすることなく、パレットの状態を管理できるパレット管理技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態におけるパレット管理システムの構成例である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態における無線タグと無線タグリーダの機能ブロック図の一例である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態における無線タグの動作モードの一例である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態における無線タグのビーコン信号の検知の一例である。
【
図5】
図5は、第1の実施の形態におけるパレットの状態管理データの一例である。
【
図6】
図6は、第1の実施の形態におけるパレット管理方法を説明するためのシーケンスの一例である。
【
図7】
図7は、第1の実施の形態におけるパレット管理方法の制御フローチャートの一例である。
【
図8A】
図8Aは、第2の実施の形態におけるパレットの構成例(上面図)である。
【
図8B】
図8Bは、第2の実施の形態におけるパレットの構成例(A側面図)である。
【
図8C】
図8Cは、第2の実施の形態におけるパレットの構成例(B側面図)である。
【
図9A】
図9Aは、第2の実施の形態におけるパレットの構成例(A側面図)である。
【
図9B】
図9Bは、第2の実施の形態における段積みされたパレットの構成例(A側面図)である。
【
図9C】
図9Cは、第2の実施の形態における段積みされたパレットの構成例(B側面図)である。
【
図10】
図10は、第2の実施の形態における段積みされたパレットの構成例である。
【
図11】
図11は、第2の実施の形態におけるビーコン信号の検知の検証結果である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明は、以下に説明する実施の形態に限定されるものではない。
【0018】
<第1の実施の形態>
<システム構成>
図1は、第1の実施の形態におけるパレット管理システムの構成例である。パレット管理システムは、フォークリフト5によって運搬されて倉庫1内に収容され、荷物の運搬や保管に用いるパレット2に設置された無線タグ10、無線タグが送信する固有の識別情報を含むビーコン信号を受信する無線タグリーダ30と、無線タグリーダ30とネットワーク50を経由して接続され倉庫1内におけるパレット2の状態を管理するパレット管理装置40から構成されている。無線タグリーダ30がパレット管理装置40を備えるように構成してもよい。
【0019】
第1の実施形態におけるパレット2は、樹脂製のパレットであり、パレット2の中央部の空間内に無線タグが収容されている。例えば、無線タグ10を、樹脂によって成形した収容箱の中心部に収容し、パレット2の中央部の空間内に配置するように構成すればよい。本発明は、樹脂製に限らず、他の素材のパレット、例えば、金属製等のパレットにも適用可能である。
【0020】
パレット2に設置された無線タグ10は、他の無線タグ10が送信するビーコン信号を検知する機能を備えており、無線タグ10が設置されたパレット2が段積みされた際に、上下のパレットの無線タグ10が送信したビーコン信号の存在を検知し、上側または下側にパレットが存在していることを検知し、パレットが段積みされていることを把握することができる。
【0021】
ここで、段積みされた他の無線タグが送信するビーコン信号を検知するので、段積みした際の無線タグの上下方向の位置は整列していることが望ましいが、パレットを段積みする際のパレット間の前後方向あるいは左右方向の設置誤差はある程度の範囲で許容される。例えば、150mm程度の厚さの樹脂製のパレットであれば、無線タグ間の距離は近接しているので、無線タグ10が使用する電波の波長の範囲での設置誤差は許容される。例えば、無線タグ10が使用する電波の周波数が920MHz帯(波長:325mm)の場合には、300mm程度の設置誤差があっても、他の無線タグが送信するビーコン信号を検知することは可能である。
【0022】
また、各パレットにおける無線タグの収容位置については、平面視においてパレットの中央部に設置するのが望ましいが、段積みした際に他のビーコン信号を受信できればいいので、各パレットにおける中央部に限定されるものではない。
【0023】
この無線タグにおける他の無線タグのビーコン信号の検知は、パッシブ無線素子により行われる。パッシブ無線素子は、無線タグ等の外部装置が送信する電波によって動作する素子であり、その動作に電池等の電源から供給される電力を必要としない素子である。このパッシブ素子は、無線タグを外部から起動するためにアクティブ無線タグに搭載されている。
【0024】
パッシブ無線素子の受信利得は小さいので離れて設置されている他の無線タグが送信するビーコン信号を検知することはできないが、無線タグが他の無線タグと段積みされて無線タグ同士が近接した状態になると、無線タグが内蔵するパッシブ無線素子が他の無線タグが送信したビーコン信号の電波を用いて動作し、段積みした他の無線タグの存在を検知することができる。
【0025】
各無線タグは、上側と下側の両方に他の無線タグが存在しているのかを判定することはできないが、他のパレットのビーコン信号を検知することで、少なくとも上側と下側の何れか一方に無線タグが存在しているのかを把握することができる。
【0026】
無線タグ10は、無線タグリーダ30に送信するビーコン信号に、他の無線タグのビーコン信号を検知したことを示す検知情報を含ませることで、無線タグが設置されたパレットが段積み状態、すなわち空き状態であることを通知することができる。
【0027】
無線タグリーダ30は、無線タグが送信したビーコン信号を受信して識別情報(タグID)を読み取ることにより、複数の無線タグの情報を収集する機能を有する。無線タグリーダ30は、受信している無線タグの識別情報と他の無線タグのビーコン信号を検知したことを示す検知情報をネットワーク50を経由してパレット管理装置40に送信する。
【0028】
パレット管理装置40は、受信した無線タグの識別情報と他の無線タグのビーコン信号を検知したことを示す検知情報に基づき、倉庫1内のパレットの状態を管理することができる。ビーコン信号に、他の無線タグのビーコン信号の検知情報が含まれていれば、そのパレットは、段積み状態であり、荷物が載置されていない空パレットであると判定することができる。
【0029】
このように、本実施の形態によれば、パッシブ素子を備えた無線タグと無線タグリーダとを備えたパレット管理システムにおいて、設備等の追加やパレットの構成の変更をすることなく、パレットの空き状態を管理できるパレット管理技術を提供することが可能となる。
【0030】
<無線タグと無線タグリーダの構成>
図2は、第1の実施の形態における無線タグと無線タグリーダの機能ブロック図の一例である。無線タグ#A、#Bは、段積みされているパレットの無線タグ10であり、無線タグ#Cは、段積みされていないパレットに設置された無線タグ10である。
【0031】
<無線タグ>
無線タグ#A、#B、#Cは、内蔵した電池15により動作するアクティブタグであり、識別情報を含むビーコン信号を送信するためのアンテナ11と無線部12、無線タグの振動を検出するための振動センサ13、他の無線タグが送信するビーコン信号を検知するためのパッシブ無線素子14、各部の制御を行うための中央処理部16およびメモリ17を含んで構成されている。
【0032】
パッシブ無線素子14は、その動作に電池15から供給される電力を必要としない素子であり、段積みされた他の無線タグが送信するビーコン信号を検知するためのビーコン検知手段として用いられる。
【0033】
中央処理部16は、振動センサ13の状態等に応じて、無線タグ10の動作モードを制御し、ビーコン信号の送信間隔を制御し、ビーコン信号を用いて無線タグ10の状態を無線タグリーダ30に通知する。また、中央処理部16は、パッシブ無線素子14が他のビーコン信号を検知した場合には、他の無線タグのビーコン信号の検知情報を含むようにビーコン信号に送信される情報を制御する。
【0034】
例えば、ビーコン信号のペイロード部に、他の無線タグのビーコン信号の検知情報通知するためのフラグを設けて、このフラグをON/OFFすることにより、他の無線タグのビーコン信号の検知の有無を無線タグリーダ30に通知するようにしてもよい。
【0035】
<無線タグリーダ>
無線タグリーダ30は、無線タグ10が送信するビーコン信号を受信し、無線タグ10の状態を管理する装置である。無線タグリーダ30は、無線タグ10からのビーコン信号を受信するためのアンテナ31と無線部32、パレット管理装置40とネットワーク50を経由して信号の送受信をするためのI/F部33、ビーコン信号等の送受信制御を行うための中央処理部34およびメモリ35を含んで構成されている。
【0036】
本発明の実施の形態においては、無線タグ10におけるビーコン信号の送信周波数および送信間隔は予め定めた動作モード毎に設定されており、無線タグ10に備えられた各センサ等からの情報に基づき動作モードを変更し、動作モード毎に設定された送信周波数および送信間隔でビーコン信号を送信する。無線タグ10では、動作モード毎にビーコン信号の送信間隔を設定することにより、無線タグの低消費電力化と管理の信頼性維持の両立を図っている。
【0037】
<無線タグの動作モード>
図3は、本発明の実施の形態における無線タグの動作モードの一例である。
図3において、無線タグは、パレット2が倉庫内等で静止しているモード(「アソシエーションモード」)、パレット2が上下動しているモード(「振動モード」)、パレット2の上下動が長時間継続し、移動しているモード(「移動モード」)を有しており、それぞれモードにおいてビーコン信号の送信周波数および送信間隔が設定されている。
【0038】
例えば、アソシエーションモードでは、倉庫1内において静止しているので所定の間隔でビーコン信号が送信される(T1)。アソシエーションモードにおけるビーコンの送信周期は、消費電力を削減するために、振動モードよりも長い周期になるように設定されている。
【0039】
また、パレットの上下動を検出した場合には、パレット2がフォークリフト5等により別の場所に移動する可能性が高いので、より短い周期でビーコン信号を送信する振動モードに遷移し(T2)、パレットの位置の管理の信頼性を高めている。さらに、パレットの振動が長時間継続する場合には、振動モードよりも送信間隔の長い移動モードに遷移する(T3)。
【0040】
このように、本実施の形態では、無線タグ10の状態に応じて、ビーコン信号の送信間隔を変更し、パレットの管理の信頼性を高めつつ、低消費電力化を図っている。また、各モードにおけるビーコン信号の送信周波数(F1-F3)も予め定められており、各無線タグ10は、動作モード毎に設定された送信周波数および送信間隔でビーコン信号を送信するように構成されている。
【0041】
<無線タグにおけるビーコン信号の検知>
次に、本発明の実施の形態における無線タグにおけるビーコン信号の検知について説明する。
図4は、第1の実施の形態における無線タグのビーコン信号の検知の一例である。
【0042】
無線タグ#A、#B、#Cは、パレット2に設置された無線タグ10である。
図3で説明したように、無線タグは、動作モード毎に定められた送信周波数、および送信間隔で識別情報を含むビーコン信号を送信する。
図4において、無線タグ#A、#Bは、段積みされているパレット2の無線タグ10であり、無線タグ#Cは、段積みされていないパレット2に設置された無線タグ10である。
【0043】
尚、
図4は、無線タグ#A、#B、#Cが静止し、アソシエーションモードで動作している場合を例示しているが、他のモードで動作する場合も同様である。
【0044】
例えば、段積みされたパレット2をまとめて移動させている場合にも、各無線タグは、段積みされた他のパレットに設置された無線タグからのビーコン信号を検知することができる。この場合は、振動センサの情報と併せてパレットの状態を管理することで、段積みされた複数のパレットを一群のパレットとしてまとめて管理することもできる。
【0045】
無線タグリーダ30は、無線タグ#A、#B、#Cが送信したビーコン信号を受信することにより、ビーコン信号を用いて無線タグの状態の情報を収集して、無線タグの状態を管理することができる。
【0046】
本実施の形態では、ビーコン信号のペイロード部に、他の無線タグのビーコン信号の検知情報を通知するためのフラグを設けて、このフラグをON/OFFすることにより、他の無線タグのビーコン信号の検知の有無を無線タグリーダ30に通知する。例えば、無線タグ#Aから送信される他の無線タグが送信したビーコン信号の検知しているビーコン信号を、ビーコン信号(A/ON)と記載し、検知していないビーコン信号を、ビーコン信号(A/OFF)と記載する。
【0047】
無線タグ#Aは、ビーコン信号(A/OFF)を送信し、同様にして、無線タグ#B、#Cは、ビーコン信号(B/OFF、C/OFF)を送信する。この時点では、無線タグ#Aは、他の無線タグのビーコン信号を検知していないので、送信するビーコン信号では、他の無線タグが送信したビーコン信号の検知情報は、「OFF」である。
【0048】
無線タグ#Bが設置されたパレットが、無線タグ#Aが設置されたパレットに段積みされると、パッシブ無線素子により、無線タグ#Aは、無線タグ#Aの上部または下部に他の無線タグが段積みされたことを検知することができる。
【0049】
無線タグ#Aは、段積みされた他の無線タグが、無線タグ#Bであることは特定できないが、ビーコン信号を検知することで、少なくとも他の無線タグが段積みされたことを検知することができる。一方、無線タグ#Cが設置されたパレットは段積みされていないので、無線タグ#Aは、無線タグ#Cのビーコン信号を検知することはできない。
【0050】
無線タグ#Aは、他の無線タグが送信したビーコン信号の存在を検知すると、無線タグの識別情報と、他の無線タグが送信したビーコン信号の検知情報を含むビーコン信号(A/ON)を無線タグリーダ30に送信する。ここで、無線タグ#Aは、検知情報を含むビーコン信号(A/ON)を送信後、他のビーコンの検知情報をリセットして「OFF」状態となる。
【0051】
無線タグリーダ30は、無線タグ#Aから、他の無線タグが送信したビーコン信号の検知情報を含むビーコン信号(A/ON)を受信すると、その検知情報をパレット管理装置に送信する。
【0052】
無線タグ#Bが設置されたパレットが、無線タグ#Aが設置されたパレットに段積みされると、パッシブ無線素子により、無線タグ#Bは、無線タグ#Bの上部または下部に他の無線タグが段積みされたことを検知することができる。
【0053】
無線タグ#Bは、他の無線タグが送信したビーコン信号の存在を検知すると、無線タグの識別情報と、他の無線タグが送信したビーコン信号の検知情報を含むビーコン信号(B/ON)を無線タグリーダ30に送信する。ここで、無線タグ#Bは、検知情報を含むビーコン信号(B/ON)を送信後、他のビーコンの検知情報をリセットして「OFF」状態なる。
【0054】
無線タグリーダ30は、無線タグ#Aから、他の無線タグが送信したビーコン信号の検知情報を含むビーコン信号(A/ON)を受信すると、その検知情報をパレット管理装置に送信する。無線タグ#A、#Bが段積み状態でなくなった場合には、検知情報を「OFF」とするビーコン信号が送信されることになる。無線タグリーダ30は、検知情報を「OFF」とするビーコン信号を複数回受信した場合に、当該無線タグの検知情報を「OFF」とするように構成してもよい。
【0055】
無線タグ#Cが設置されたパレットは、段積みされていないので、無線タグ#Cは、ビーコン信号(C/OFF)を所定の間隔で送信し続けることになる。
【0056】
無線タグリーダ30は、無線タグの識別情報と他の無線タグのビーコンの検知情報をパレット管理装置40に送信する。パレット管理装置40は、識別情報と他の無線タグのビーコンの検知情報を関連付けて管理することにより、無線タグを搭載したパレットの状態を把握することができる。他の無線タグのビーコン信号の検知情報が含まれていれば、そのパレットは、段積み状態であり、荷物が載置されていない空パレットであると判定することができる。
【0057】
<パレットの状態管理データ>
図5は、本発明の実施の形態におけるパレットの状態管理データの一例である。この状態管理データは、パレット管理装置40に記録されている。パレット管理装置40は、無線タグの識別情報と他の無線タグのビーコン信号の検知情報に基づいて、パレットの状態を管理する。
【0058】
パレットの状態管理データは、パレットのパレットID、そのパレットに設置された無線タグの無線タグID、ビーコンの検知情報、及びパレットの情報から構成されている。パレットIDと無線タグIDは、予め対応付けられており、無線タグの他の無線タグのビーコン信号の検知情報を用いて、パレット毎に段積み状態を判定することで、パレットの空き状態を把握することができる。
図5の例は、
図4の例におけるパレットの状態を表したものであり、無線タグ#A、#Bが設置されたパレットは荷物が載置されていない空き状態であると判定されている。
【0059】
<シーケンス>
図6は、本発明の第1の実施の形態におけるパレット管理方法を説明するためのシーケンスの一例である。尚、以下の説明では、ビーコン信号に他の無線タグのビーコン信号の検知信号を含む場合を「ON」、他の無線タグのビーコン信号の検知信号を含まない場合を「OFF」と記載する。
【0060】
パレット管理装置には、管理対象となるパレットと、そのパレットに設置された無線タグの識別情報が予め登録されている。
図6では、無線タグが設置されたパレットが倉庫に収容され、さらに無線タグが静止しているアソシエーションモードで動作する場合を例示している。
【0061】
無線タグ#Aが設置されたパレットが移動している場合には、無線タグ#Aは移動モードで動作し、移動モードにおける送信間隔で識別情報(A)を含むビーコン信号を送信する。無線タグ#Aが設置されたパレットが倉庫内に収容されると、無線タグ#Aの動作モードが変更され(移動からアソシエーション)、無線タグ#Aは、識別情報(A)を含むビーコン信号をアソシエーションモードで定められた所定の送信間隔で送信する。
【0062】
無線タグリーダは、無線タグ#Aが送信したビーコン信号を受信する。この時点では、無線タグ#Aは他のパレットのビーコン信号を検知していないので、無線タグ#Aが送信するビーコン信号では、他の無線タグのビーコン信号の検知情報は、「OFF」である。
【0063】
無線タグリーダは、受信した無線タグ#Aの識別情報と検知情報(A/OFF)をパレット管理装置に送信する。パレット管理装置は、無線タグ#Aが設置されたパレットが倉庫内に収容されたことを確認することができる。
【0064】
無線タグ#Bが設置されたパレットが移動している場合には、無線タグ#Bは移動モードで動作し、移動モードにおける送信間隔で識別情報(A)を含むビーコン信号を送信する。無線タグ#Bが設置されたパレットが倉庫内に収容されると、無線タグ#Bの動作モードが変更され(移動からアソシエーション)、無線タグ#Bは、識別情報(B)を含むビーコン信号をアソシエーションモードで定められた所定の送信間隔で送信する。
【0065】
無線タグリーダは、無線タグ#Bが送信したビーコン信号を受信する。この時点では、無線タグ#Bは他のパレットのビーコン信号を検知していないので、無線タグ#Bが送信するビーコン信号では、他の無線タグのビーコン信号の検知情報は、「OFF」である。
【0066】
無線タグリーダは、受信した無線タグ#Bの識別情報と検知情報(B/OFF)をパレット管理装置に送信する。パレット管理装置は、無線タグ#Bが設置されたパレットが倉庫内に収容されたことを確認することができる。
【0067】
無線タグ#Aは、内蔵したパッシブ無線素子によりされた他の無線タグ#Bが送信するビーコン信号を検知し、他の無線タグ#Bの存在を検知すると、無線タグ#Aの識別情報と他の無線タグBのビーコン信号の検知情報を含むビーコン信号(A/ON)を無線タグリーダに送信する。無線タグ#Aは他のパレットのビーコン信号を検知したので、無線タグ#Aが送信するビーコン信号では、他の無線タグのビーコン信号の検知情報は、「ON」になる。
【0068】
無線タグリーダ30は、無線タグ#Aから、他の無線タグが送信したビーコン信号を検知した検知情報を含むビーコン信号(A/ON)を受信すると、受信した無線タグ#Aの識別情報と他の無線タグのビーコン信号の検知情報を関連付けてパレット管理装置に送信する。
【0069】
無線タグ#Aの識別情報と他の無線タグのビーコンの検知情報を受信したパレット管理装置は、
図5の無線タグの状態管理データを更新し、無線タグ#Aが設置されたパレットの状態を「空」に変更する。
【0070】
同様にして、無線タグ#Bは、内蔵したパッシブ無線素子によりされた他の無線タグ#Aが送信するビーコン信号を検知し、他の無線タグの存在を検知すると、無線タグ#Bの識別情報と他の無線タグBのビーコン信号の検知情報を「ON」にしたビーコン信号(B/ON)を無線タグリーダに送信する。
【0071】
無線タグ#Bの識別情報と他の無線タグのビーコンの検知情報を受信したパレット管理装置は、
図5の無線タグの状態管理データを更新し、無線タグ#Bの荷物状態を「空」に変更する。
【0072】
無線タグの識別情報と他の無線タグのビーコンの検知情報を関連付けて管理することにより、無線タグを搭載したパレットの状態を把握することができる。他の無線タグのビーコン信号を受信したことを示す検知情報が含まれていれば、そのパレットは、段積み状態であり、荷物が載置されていない空パレットであると判定することができる。
【0073】
<フローチャート>
図7は、本発明の第1の実施の形態におけるパレットに設置された無線タグにおける制御フローチャートの一例である。
【0074】
無線タグが設置されたパレットが移動し(S1-1)、無線タグが移動モードで定められた所定の間隔でビーコン信号を送信する(S1-2)。
【0075】
無線タグが設置されたパレットが倉庫に収容されると(S1-3)、動作モードが移動モードからアソシエーションモードに変更される(S1-4)。無線タグがアソシエーションモードで定められた所定の間隔でビーコン信号を送信する(S1-5)。
【0076】
無線タグが他の無線タグのビーコン信号を検知すると(S1-6)、他の無線タグのビーコン信号の検知フラグが「ON」となり(S1-7)、検知フラグを「ON」とするビーコン信号が送信される(S1-8)。
【0077】
以後、無線タグが設置されたパレットが倉庫内に収容されている間は、無線タグリーダとの間で、ビーコン信号の送受信が繰り返される。また、無線タグが他の無線タグのビーコン信号を検知しなくなった場合には、他の無線タグのビーコン信号の検知フラグを「OFF」とするビーコン信号が送信される。ここで、無線タグリーダは、検知フラグを「OFF」とするビーコン信号を複数回受信した場合に、当該無線タグの検知情報を「OFF」とするように構成してもよい。
【0078】
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、樹脂製のパレットを用いたシステムに本発明を適用した場合を説明したが、第2の実施の形態では、金属の架構材を組み合わせた金属製のパレットを用いたシステムに本発明を適用した場合を説明する。
【0079】
<パレットの構成>
図8A-8Cは、第2の実施の形態におけるパレットの構成例である。第2の実施の形態におけるパレットは、金属の架構材を組み合わせることによって構成されている。
図8Aは、パレット20の上面図、
図8Bは、パレット20の
図8AにおけるA側面図、
図8Cは、パレット20の
図8AにおけるB側面図である。
図8A-8Cの構成例では、無線タグ10は、平面視においてパレット20の中央部であって、金属の架構材から構成される矩形枠26に囲まれ、パレット20の上下方向に金属の架構材の無い空間内に配置されている。
【0080】
無線タグ10は、無線タグ10の周りの金属の架構材が、無線タグが送信する電波を阻害しないように配置すればよい。例えば、無線タグ10を、樹脂によって成形した収容箱の中心部に収容した後、パレット20に形成した金属の架構材に囲まれ、上下方向に金属の架構材の無い空間内に配置するように構成してもよい。
【0081】
本実施の形態では、矩形枠26と無線タグ10の間は、無線タグ10が使用する電波の波長の1/3以上の距離が確保されるように構成されている。それにより、無線タグ10のアンテナ利得が確保され、無線タグ10が送信したビーコンを無線タグリーダ30で確実に受信することができる。
【0082】
例えば、無線タグ10が使用する電波の周波数が920MHz帯(波長:325mm)の場合には、矩形枠26と無線タグ10間の距離を150mmとすればよい。なお、無線タグ10と周囲の金属の架構材の間の距離が確保できればよく、無線タグ10の周囲の金属の架構材の形状は矩形に限定されるものではない。
【0083】
パレット20の長辺となる縁部には、支柱部21が立設されている。支柱部21は、パレット20に固定された基台部材23と、基台部材の上部に設置された支柱部材22から構成されている。支柱部21は、パレットを段積みする場合に、上側のパレットと下側のパレットを位置合わせする位置合わせ手段を備える。
図8A-8Cの構成例では、位置合わせ手段として、基台部材23の下部に、穴部24が設けられている。この穴部24は、支柱部材22の上端部を嵌合することが可能となるように構成されている。
【0084】
下方に配置したパレット20の支柱部材22の上端部を、上方に配置したパレット20の基台部材23の穴部24に嵌合させることで、パレット20に荷物を搭載した状態で、複数のパレット20を上下に段積みすることができる。
【0085】
<段積みされた空パレットの構成>
図9A-9Cは、第2の実施の形態におけるパレットの構成例である。
図9Aは、
図8Bにおいて支柱部材22を屈曲した状態を示す図である。支柱部材22を屈曲させた場合には、パレット20からの突出高さが、基台部材23と同様の高さとなるように構成されている。
【0086】
支柱部材22を屈曲させた場合においても、支柱部21は、パレットを段積みする場合に、上側のパレットと下側のパレットを位置合わせする位置合わせ手段を備える。
図9Aの構成例では、基台部材23の上端部には、突起部25が備えられている。突起部25は、支柱部材22を屈曲させた際に、基台部材23の上端部に現れるように構成されており、基台部材23の下部に設けられた穴部24と嵌合することが可能となるように構成されている。
【0087】
図9B、9Cは、荷物が搭載されていない空の複数のパレット20を段積みした状態を示す図である。支柱部材22を屈曲させた場合には、下方に配置したパレット20の突起部25を、上方に配置したパレット20の穴部24に嵌合させることで、荷物が搭載されていない空の複数のパレット20を相互に近接させた状態で上下に段積みすることができる。パレットを段積みする際に、支柱部21の突起部25と穴部24を嵌合するように構成したので、第1の実施の形態の樹脂製のパレットを段積みした場合と比較して、段積みされた上下のパレット20の位置ずれの無い段積み構成を実現することができる。
【0088】
ここで、無線タグ10は、平面視においてパレット20の中央部であって、金属の架構材から構成される矩形枠26に囲まれ、パレット20の上下方向に金属の架構材の無い空間内に配置されているので、上下のパレット20の位置ずれの無い段積み構成を実現することで、パレット20に搭載された無線タグ10の上下方向における位置合わせを正確に行うことができる。
【0089】
ここで、各パレットにおける無線タグ10が配置される矩形枠26の位置については、第1の実施の形態と同様に、段積みした際に他のビーコン信号を受信できればいいので、各パレットにおける中央部に限定されるものではないが、平面視においてパレットの中央部に設置するのが望ましい。平面視においてパレット同士が複数隣接して配置された場合を想定すると、無線タグ10が配置される矩形枠26をパレットの中央部に配置することで、隣接する無線タグが、最も遠い位置に配置されることとなり、左右に隣接する無線タグ10のビーコンの誤検出等を防止することができる。
【0090】
さらに、段積みされたパレット20の中央部には、無線タグ10の周囲の金属の架構材から構成される矩形枠26による上下方向の空間が形成される。この矩形枠26と無線タグ10の間は、無線タグ10が使用する電波の周波数の波長の1/3以上の距離が確保されるように構成されているので、この空間による導波管効果により、無線タグ10間の距離が比較的大きい場合においても、他のパレット20に設置された無線タグが送信するビーコン信号を確実に検知することができる。
【0091】
なお、矩形枠26内における無線タグ10の設置位置については、上述した導波管効果により、ビーコン信号を検出できる範囲での設置誤差は許容される。例えば、無線タグ10が使用する電波の周波数が920MHz帯の場合には、無線タグ10が使用する電波の波長の範囲、例えば、300mm程度の設置誤差があっても、他の無線タグが送信するビーコン信号を検知することは可能である。
【0092】
図10、11を用いて、金属製パレットを段積みした場合のビーコン検出の検証結果を説明する。
図10は、ビーコン検出の検証に用いた段積みされたパレットの構成例である。
図10では、無線タグ10が設置された11段の金属製のパレット20(NO.1~NO.11)から構成されており、パレット20の上下方向の間隔は、およそ22cm程度である。
図9A-9Cの金属製のパレットの場合、屈曲させた支柱部材22があるためにパレット間の距離が樹脂製のパレットに比べて大きい。
【0093】
図11は、
図10の構成におけるビーコン検出の検証結果の一例である。
図11は、アソシエーションモードにおいて各パレット20に設置された無線タグ10からのビーコン信号を複数回受信し、他の無線タグのビーコン信号の検知情報を含む(タグ検知ON)割合を測定したものである。例えば、NO.1の無線タグでは、12回のビーコン信号の受信において、12回のビーコンが他の無線タグのビーコン信号の検知情報を含んでいる。
【0094】
図11の検証結果によれば、11段積まれたパレット20の段積み構成において、100%の確率で他のビーコン信号の検知ができたことを示しており、金属製パレットを段積みした場合において、パレット間の距離が樹脂製のパレットに比べて大きい場合でも、高い確率で他のビーコン信号を検知できることが確認でき、それによりパレットの状態を判定することができることが確認できた。
<他の実施の形態>
【0095】
上記の構成例では、パレット20が4つの支柱部21を備える構成を例示して説明したが、支柱部21の数は、4つに限定されるものではない。パレットの大きさや形状に応じて、4つより大きい数の支柱部を設けてもよい。
【0096】
上記の構成例では、パレット20が4つの支柱部21の上部に突起部、下部に穴部を設ける構成を例示して説明したが、上下のパレットが位置合わせできる構成であれば、他の構成を採用してもよい。例えば、支柱部21の上部に穴部、下部に突起部を設ける構成としてもよいし、穴部に換えて、支柱部21が、平面視においてスライドしないように構成された係止部材を設けてもよい。
【0097】
また、パレット20が4つの支柱部21の全てに、突起部と穴部を設ける必要はないく、例えば、4つの支柱部21のうち、2つあるいは3つの支柱部21に突起部及び穴部を設けるように構成してもよい。
【0098】
このように、本発明の実施の形態によれば、無線タグの識別情報と他の無線タグのビーコンの検知情報を関連付けて管理することにより、無線タグを搭載したパレットの状態を把握することができる。無線タグが送信するビーコン信号に、他の無線タグのビーコン信号を受信したことを示す検知情報が含まれていれば、そのパレットは、段積み状態であり、荷物が載置されていない空パレットであると判定することができる。
【0099】
本実施形態によれば、パレットの画像を取得するための設備等の追加や、パレットの高さを測定するためにパレットの構成を変更することなく、パレットの状態を管理できるパレット管理技術を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0100】
1…倉庫、2……パレット、5…フォークリフト、10…無線タグ、11…アンテナ、12…無線部、13…振動センサ、14…パッシブ無線素子、15…電池、16…中央処理部、17…メモリ、20…パレット(金属製)、21…支柱部、22…支柱部材、23…基台部材、24…穴部、25…突起部、26…矩形枠、30…無線タグリーダ、31…アンテナ、32…無線部、33…I/F部、34…中央処理部、35…メモリ、40…パレット管理装置、50…ネットワーク。