(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】紙幣処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/14 20190101AFI20240828BHJP
G07D 11/17 20190101ALI20240828BHJP
B65H 1/06 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
G07D11/14
G07D11/17
B65H1/06 Z
(21)【出願番号】P 2021092779
(22)【出願日】2021-06-02
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】林 繁憲
(72)【発明者】
【氏名】品川 幹憲
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-252073(JP,A)
【文献】特開2016-012170(JP,A)
【文献】特開2018-077668(JP,A)
【文献】特開2020-042583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00-13/00
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小束紙幣の出し入れが可能な小束紙幣集積空間、及び、前記小束紙幣集積空間を一方向に開口する開口部を有する小束入出金部と、
前記小束紙幣集積空間の下端部に位置し、前記小束紙幣集積空間に収納された小束紙幣を上下方向に積層した状態で載置可能な載置部と、を備え、
前記小束入出金部は、
前記小束紙幣集積空間に収納された小束紙幣の短手方向の奥側の端面を支持する第一面ガイドと、
前記小束紙幣集積空間に収納された小束紙幣の長手方向の両端面を支持する一対の側面ガイドと、
小束紙幣の長手方向における前記開口部の両端部に設けられ、当該開口部の両端部の領域を覆うように位置して前記小束紙幣集積空間に収納された小束紙幣の短手方向の手前側の端面を支持する支持位置と、当該開口部の両端部の領域を覆わないように位置して前記小束紙幣集積空間に収納された小束紙幣の短手方向の手前側の端面から離間した位置に退避する退避位置と、の間で移動可能な一対の第二面ガイドと、
を備え、
入金時に小束紙幣が前記小束紙幣集積空間に装填される際に、前記一対の第二面ガイドは、前記退避位置から前記支持位置に移動する動作によって、前記小束紙幣集積空間に装填された小束紙幣の積層状態を整えることを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項2】
前記小束紙幣集積空間の下方に設けられて小束紙幣を入出金する入出金機構を備え、
前記載置部は、小束紙幣を下方から支持し、前記小束紙幣集積空間と前記入出金機構との間で上下方向に移動可能なステージを有することを特徴とする請求項1に記載の紙幣処理装置。
【請求項3】
前記ステージは、小束紙幣の出金時に、前記入出金機構によって出金された小束紙幣を支持して上方に移動することで当該小束紙幣を前記小束紙幣集積空間に搬送し、且つ、小束紙幣の入金時に、前記小束紙幣集積空間に収納された小束紙幣を支持して下方に移動することで当該小束紙幣を前記入出金機構に搬送することを特徴とする請求項2に記載の紙幣処理装置。
【請求項4】
前記入出金機構は、前記ステージ上に載置された小束紙幣を受け取って収納し、収納している小束紙幣を前記ステージ上に向けて送り出すことができる1つ以上の小束紙幣の小束収納部を備え、
前記ステージの上方には、前記ステージと独立して上下方向に移動可能とされ、前記ステージとの間に前記小束紙幣を挟持可能なビルプレスが設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の紙幣処理装置。
【請求項5】
前記上下方向から見て、前記小束収納部は、前記小束紙幣集積空間に対して前記上下方向に直交する第一直線方向の一方側にずれて位置し、
前記ビルプレスは、前記ステージ上に載置された前記小束紙幣のうち前記第一直線方向の一方側の部位を前記ステージとの間に挟持することを特徴とする請求項4に記載の紙幣処理装置。
【請求項6】
前記入出金機構は、
前記ステージから前記小束収納部側に向けて前記小束紙幣を押し出す押出機構と、
前記小束収納部側から前記ステージに前記小束紙幣を送り出す送出機構と、
を備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の紙幣処理装置。
【請求項7】
前記載置部は、前記小束紙幣集積空間の下端部に位置し、前記小束紙幣集積空間に収納された前記小束紙幣を下方から支持可能な一対のフラッパを有し、
前記一対のフラッパは、水平に延びるように配置されて前記小束紙幣を支持可能な閉位置と、下方に延びるように配置されて前記小束紙幣を支持しない開位置との間で移動可能であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の紙幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、帯封部により帯封が行われた帯封紙幣を筐体の外部に投出するための帯封紙幣出金口に、複数束の帯封紙幣が集積されるよう構成された紙幣処理装置が開示されている。この装置では、帯封紙幣出金口から複数束の帯封紙幣を一括して筐体の外部に投出することができる。
具体的に、上記の装置は、帯封紙幣が載置される昇降自在の出金口ステージと、略水平方向に延びる状態から上方にのみ回動することができる爪部材とを備えている。この装置では、爪部材上に元々あった帯封紙幣と、搬送アームにより新たに帯封紙幣出金口に送られた帯封紙幣とが出金口ステージ上で重ね合わせられ、さらに出金口ステージが爪部材よりも上昇し、その後、出金口ステージが下降することで爪部材に帯封紙幣が受け渡される。その後、シャッタ機構が開くことにより、装置のユーザは帯封紙幣出金口の爪部材上にある複数束の帯封紙幣を一括して取り出すことができる。
【0003】
特許文献2には、複数束の小束(帯封)紙幣を一括して装置から取り出したり、外部から複数束の小束(帯封)紙幣を積層状態にセットすることで装置に取り込んだりする小束入出金口を備えた紙幣処理装置が開示されている。この装置では、小束補充処理を行う際、外部から小束入出金口に直接投入されることでステージに戴置された積層状態の小束紙幣を、ステージ上昇により上方へ移動させた後、1束ずつ、水平搬送部で後方へ移動し、対応する小束収納庫へ収納させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5465417号公報
【文献】特許第5957356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような装置で小束紙幣の入金処理を行う際には、装置のユーザは、複数束の小束紙幣を一度に入出金口にセットしてステージ上に載置した後、制御部は、ステージを上昇(または下降)させることで、複数束の小束紙幣を上下方向に移送させる。その後、制御部は、ステージから水平搬送部に1束ずつ受け渡すことで、対応する小束収納庫に搬送する。
ところで、従来の装置では、ユーザが入出金口に複数束の小束紙幣をセットするときには、複数束の小束紙幣がきちんと整列された状態で積み重なるように、複数束の小束紙幣をステージ上に戴置させる必要がある。しかしながら、入出金口にセットされた複数束の小束紙幣の中に、整列されていない斜行姿勢の小束紙幣が混ざっている場合には、当該斜行姿勢の小束紙幣が、水平搬送部へ受け渡される時に、取り込み不良を起こす虞がある。このため、ユーザにとっては入金処理時の使い勝手が良くないという課題が生じる。
【0006】
本発明は、小束紙幣の取り込み不良を抑制して使い勝手の良い紙幣処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一態様の紙幣処理装置は、小束紙幣の出し入れが可能な小束紙幣集積空間、及び、前記小束紙幣集積空間を一方向に開口する開口部を有する小束入出金部と、前記小束紙幣集積空間の下端部に位置し、前記小束紙幣集積空間に収納された前記小束紙幣を上下方向に積層した状態で載置可能な載置部と、を備え、前記小束入出金部は、前記小束紙幣集積空間に収納された小束紙幣の短手方向の奥側の端面を支持する第一面ガイドと、前記小束紙幣集積空間に収納された小束紙幣の長手方向の両端面を支持する一対の側面ガイドと、小束紙幣の長手方向における前記開口部の両端部に設けられ、当該開口部の両端部の領域を覆うように位置して前記小束紙幣集積空間に収納された小束紙幣の短手方向の手前側の端面を支持する支持位置と、当該開口部の両端部の領域を覆わないように位置して前記小束紙幣集積空間に収納された小束紙幣の短手方向の手前側の端面から離間した位置に退避する退避位置と、の間で移動可能な一対の第二面ガイドと、を備え、入金時に小束紙幣が前記小束紙幣集積空間に装填される際に、前記一対の第二面ガイドは、前記退避位置から前記支持位置に移動する該動作によって、前記小束紙幣集積空間に装填された小束紙幣の積層状態を整えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小束紙幣の取り込み不良を抑制して使い勝手の良い紙幣処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る一実施形態の紙幣処理装置を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る一実施形態の紙幣処理装置の第二ユニットを概略的に示す側断面図である。
【
図3】
図2の第二ユニットの要部を示す側断面図である。
【
図4】
図2の第二ユニットの小束入出金部を小束紙幣集積空間の開口部側から見た斜視図である。
【
図5】
図2の第二ユニットの小束入出金部を上側から見た平断面図である。
【
図6】
図2~
図5の載置部の一対のフラッパを動かすための機構を、一対のフラッパが閉位置に配置された状態で示す斜視図である。
【
図7】
図2~
図5の載置部の一対のフラッパを動かすための機構を、一対のフラッパが第二開位置に配置された状態で示す斜視図である。
【
図8】
図2、
図3の送出機構の動作を説明するための側面図である。
【
図9】
図8に続く工程を説明するための側面図である。
【
図10】
図9に続く工程を説明するための側面図である。
【
図18】本発明に係る一実施形態の紙幣処理装置の第二ユニットを概略的に示す側断面図であって、収納小束出金処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
【
図19】本発明に係る一実施形態の紙幣処理装置の第二ユニットを概略的に示す側断面図であって、結束小束出金処理の第2ユニットにおける紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
【
図20】本発明に係る一実施形態の紙幣処理装置の第二ユニットを概略的に示す側断面図であって、結束小束補充処理の第2ユニットにおける紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
【
図21】本発明に係る一実施形態の紙幣処理装置の第二ユニットの出金処理時における動作を説明するための側断面図である。
【
図25】本発明に係る一実施形態の紙幣処理装置の第二ユニットを概略的に示す側断面図であって、小束紙幣装填処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
【
図26】本発明に係る一実施形態の紙幣処理装置の第二ユニットを概略的に示す側断面図であって、収納小束回収処理の紙幣搬送ルートを太線で示すものである。
【
図27】本発明に係る一実施形態の紙幣処理装置の第二ユニットの入金処理時における動作を説明するための平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る一実施形態の紙幣処理装置について図面を参照して以下に説明する。
図1に示す本実施形態の紙幣処理装置11は、紙幣についての入出金処理等を行うものである。以下の説明において、紙幣処理装置11の主たる操作時に操作者が立つ側を「前」、その反対側を「後」、このとき操作者から見て左を「左」、右を「右」とする。また、操作者から見て上を「上」、下を「下」とする。
【0011】
図1に示すように、紙幣処理装置11は、第一ユニット1と第二ユニット2とが左右に並設されて構成されている。右側の第一ユニット1は、バラ紙幣(結束されていない紙幣)についての入出金処理を行うユニットである。左側の第二ユニット2は、単一金種のバラ紙幣を所定の結束単位枚数(例えば100枚)集積させて結束テープで結束した小束紙幣W(
図3参照)の入出金処理と、新券のバラ紙幣の出金とを行うユニットである。また、第一ユニット1では、バラ紙幣から小束紙幣Wを作成可能である。紙幣処理装置11は、第一ユニット1で作成した小束紙幣Wを第二ユニット2に受け渡すように構成されている。
【0012】
[第一ユニット1]
図1に示すように、第一ユニット1は、その機体10の前面側の上部にバラ入金部20、バラ出金返却部21及びバラ出金リジェクト庫22を設けて構成されている。バラ出金返却部21はバラ入金部20の上側に、バラ出金リジェクト庫22はバラ出金返却部21の上側に、それぞれ設けられている。
【0013】
バラ入金部20は、開閉可能なシャッタ23を有している。バラ入金部20は、シャッタ23が開状態とされて機外からバラ紙幣が投入され、その後、シャッタ23が閉じられてバラ紙幣を機内に繰り出す。
【0014】
バラ出金返却部21は、開閉可能なシャッタ25を有している。バラ出金返却部21は、シャッタ25が閉状態とされて機内から出金用のバラ紙幣が繰り出され、その後、シャッタ25が開かれることでバラ紙幣が機外に取り出される。バラ出金返却部21には、バラ紙幣入金処理時にリジェクトされるバラ紙幣も繰り出される。
【0015】
バラ出金リジェクト庫22は、第一ユニット1の機体10から着脱可能となっている。バラ出金リジェクト庫22は、その内部に、機内から繰り出されたバラ紙幣が下から上に集積されて収納される。バラ出金リジェクト庫22は、内部にバラ紙幣を収納した状態のまま、機体10から取り外され、その後、内部からバラ紙幣が取り出される。
【0016】
図示はしないが、第一ユニット1の機体10の内部には、結束部及び小束送出部が設けられている。結束部は、所定の結束単位枚数のバラ紙幣を結束テープにより結束して小束紙幣W(
図3参照)とする。小束送出部は、結束部で作成された小束紙幣Wを第二ユニット2側に送り出す。
【0017】
第一ユニット1には、第一ユニット1及び第二ユニット2すなわち紙幣処理装置11の全体を制御する制御部65と、操作者によって操作入力がなされるとともに操作者に対して表示を行うタッチパネル式の操作表示部66とが設けられている。制御部65及び操作表示部66は、例えば第二ユニット2に設けられていても良い。
制御部65は、第一ユニット1については、前述したバラ入金部20や、結束部、小束送出部、操作表示部66などの第一ユニット1の各部を制御する。
【0018】
[第二ユニット2]
図1に示すように、第二ユニット2は、その機体70の前面側の上部に小束入出金部71を有している。また、第二ユニット2は、機体70の前面側の小束入出金部71よりも上側に新券出金部72を有している。また、第二ユニット2は、
図2に示すように、小束入出金部71の下方(機体70の下部)に設けられて小束紙幣Wを入出金する入出金機構73を有している。
【0019】
図1に示すように、第二ユニット2のうち、機体70の上部の新券出金部72から後側の部分は、バラ紙幣の新券を収納し、収納しているバラ紙幣の新券を新券出金部72から出金する新券収納出金部75となっている。新券出金部72は、開閉可能なシャッタ76を有している。新券出金部72は、シャッタ76が閉状態とされて機内から出金用のバラ紙幣の新券が繰り出され、その後、シャッタ76が開かれることでバラ紙幣の新券が機外に取り出される。
【0020】
小束入出金部71は、開閉可能なシャッタ81を有している。また、小束入出金部71は、
図2~
図4に示すように、小束紙幣Wを出し入れ可能な小束紙幣集積空間85と、小束紙幣集積空間を前方(一方向)に開口する開口部85Aと、を有する。シャッタ81は、小束紙幣集積空間85の開口部85Aを開閉する。
【0021】
小束紙幣集積空間85の下端部には、小束紙幣集積空間85に収納された小束紙幣Wを載置可能な載置部91が設けられている。載置部91には、複数の小束紙幣Wを上下方向に積層した状態で載置することができる。載置部91は、一対のフラッパ82及びステージ92を含む。
【0022】
一対のフラッパ82は、小束紙幣集積空間85の下端部に位置する。一対のフラッパ82は、
図3~
図6等に例示するように水平に延びるように配置された閉位置P11と、
図22に例示するように上方に延びるように配置された第一開位置P12、及び、
図7、
図29等に例示するように下方に延びるように配置された第二開位置P13との間で移動可能となっている。一対のフラッパ82が閉位置P11に配置された状態では、小束紙幣集積空間85に収納された小束紙幣Wを支持することができる、すなわち一対のフラッパ82が載置部91として機能する。一対のフラッパ82が第一、第二開位置P12、P13に配置された状態では、小束紙幣集積空間85に収納された小束紙幣Wを支持することはできない。
【0023】
一対のフラッパ82は、前後方向における小束紙幣集積空間85の両端に配置されている。
図6,7に示すように、各フラッパ82は、左右方向に延びる回転軸821に対してその軸線を中心に回転可能に取り付けられている。また、回転軸821には、ストッパ822が固定されている。フラッパ82と回転軸821との間には、フラッパ82を回転軸821に対して第一開位置P12から閉位置P11に向かう方向(
図6において矢印D1で示す方向)に付勢する図示略のスプリングが設けられている。ストッパ822は、フラッパ82がスプリングの付勢力によって閉位置P11から第二開位置P13に向かうことを規制する。これにより、一対のフラッパ82は、スプリングの付勢力及びストッパ822によって閉位置P11に配置される。また、スプリングの付勢力に抗うことで一対のフラッパ82を第一開位置P12に配置することができる。
【0024】
また、一対の回転軸821のうち一方の回転軸821には、駆動ベルト823を介してフラッパモータ824に接続されている。また、他方の回転軸821は、三つで一組のリンクバー825を介して一方の回転軸821に連結されている。フラッパモータ824は、一方の回転軸821に取り付けられたフラッパ82が
図6に示す閉位置P11
図7に示す第二開位置P13との間で移動するように、一方の回転軸821を回転させる。他方の回転軸821は、リンクバー825により一方の回転軸821の回転に伴って一方の回転軸821と逆向きに回転する。これにより、フラッパモータ824の駆動力によって、一対のフラッパ82を閉位置P11と第二開位置P13との間で移動させることができる。
上記した一対のフラッパ82は、例えば左右方向における小束紙幣集積空間85の両端に配置されてもよい。
【0025】
図2~
図5に示すステージ92は、小束紙幣Wを下方から支持するように形成されている。ステージ92は、小束紙幣集積空間85と入出金機構73との間で上下方向に移動可能となっている。すなわち、ステージ92は、小束紙幣Wを小束紙幣集積空間85と入出金機構73との間で搬送する。例えば、小束紙幣Wの入金時には、
図28、
図29に示すように、ステージ92が、小束紙幣集積空間85に収納された小束紙幣Wを支持して下方に移動(下降)することで小束紙幣Wを入出金機構73に搬送する。一方、小束紙幣Wの出金時には、
図21、
図22に示すように、入出金機構73によって出金された小束紙幣Wを支持して上方に移動(上昇)することで小束紙幣Wを小束紙幣集積空間85に搬送する。
【0026】
また、ステージ92は、上下方向において一対のフラッパ82を通過するように移動可能となっている。ステージ92は、小束紙幣集積空間85の下端部に位置した状態において、小束紙幣集積空間85に収納された小束紙幣Wを載置する載置部91として機能する。
以下の説明では、
図3に示すように、ステージ92が載置部91として機能する位置を第一の位置P21と呼び、ステージ92が入出金機構73に配置された位置を第二の位置P22と呼ぶことがある。ステージ92の第二の位置P22は、後述する入出金機構73の小束水平搬送部131との間で小束紙幣Wを受け渡す位置である。
【0027】
図5に示すように、ステージ92は、上下方向から見て閉位置P11に配置された一対のフラッパ82と重ならないように配置されている。具体的に、ステージ92の前後方向の両端部には、前後方向に並ぶ一対のフラッパ82の位置に対応する切欠911が形成されている。これにより、一対のフラッパ82が閉位置P11に配されていても、一対のフラッパ82に干渉することなく、ステージ92を一対のフラッパ82の上下に移動させることができる。
【0028】
本実施形態において、小束入出金部71の小束紙幣集積空間85には、小束紙幣Wの長手方向が左右方向に沿うように、かつ、小束紙幣Wの短手方向が前後方向に沿うように、小束紙幣Wが収納される。
図4、
図5に示すように、小束入出金部71は、小束紙幣集積空間85に収納された小束紙幣Wをその長手方向の両側から支持する一対の側面ガイド861と、小束紙幣Wをその短手方向の両側から支持する第一面ガイド862及び一対の第二面ガイド863と、を有する。
【0029】
一対の側面ガイド861は、それぞれ平坦面を有し、小束紙幣集積空間85に収納された小束紙幣Wの長手方向の両端面を支持する。本実施形態において、一対の側面ガイド861は、小束紙幣集積空間85の左右方向の両端に位置する。
図5に例示する各側面ガイド861では、小束紙幣Wの長手方向の端面を支持する平坦面が前後方向に間隔をあけて二つ並んでいるが、当該平坦面は例えば一つであってもよい。
【0030】
第一面ガイド862は、平坦面を有し、小束紙幣集積空間85に収納された小束紙幣Wの短手方向の奥側の端面を支持する。本実施形態において、第一面ガイド862は、小束紙幣集積空間85の後端に位置する。
【0031】
一対の第二面ガイド863は、小束紙幣Wの長手方向における小束紙幣集積空間85の開口部85Aの両端部に設けられている。本実施形態において、一対の第二面ガイド863は、小束紙幣集積空間85の左右方向の両端部に位置する。一対の第二面ガイド863は、支持位置P31と退避位置P32との間で移動可能となっている。一対の第二面ガイド863は、支持位置P31と退避位置P32との間で移動しても、小束入出金部71のシャッタと干渉することが無いように設けられている。
【0032】
支持位置P31は、
図4、
図5に示すように、一対の第二面ガイド863が、小束紙幣集積空間85の開口部85Aの両端部の領域を覆って、小束紙幣集積空間85に収納された小束紙幣Wの短手方向の手前側の端面を支持する位置である。一対の第二面ガイド863は、支持位置P31に配置された状態において、小束紙幣集積空間85に収納された小束紙幣Wの短手方向(前後方向)において、第一面ガイド862との間に当該小束紙幣Wを挟む。
【0033】
一方、退避位置P32は、
図5に二点鎖線で示すように、一対の第二面ガイド863が、小束紙幣集積空間85に収納された小束紙幣Wの手前側の端面から離間して退避する位置である。すなわち、一対の第二面ガイド863は、退避位置P32に配置された状態において、小束紙幣集積空間85に収納された小束紙幣Wを第一面ガイド862との間に挟まない。また、本実施形態における第二面ガイド863の退避位置P32は、小束紙幣集積空間85の開口部85Aを覆わない位置でもある。このため、一対の第二面ガイド863が退避位置P32に配置された状態では、第二面ガイド863に阻害されることなく、開口部85Aを通して小束紙幣集積空間85に対して小束紙幣Wを容易に出し入れすることができる。
【0034】
図4、
図5に示すように、本実施形態の各第二面ガイド863は、上下方向を長手方向とする帯板状に形成され、上下方向に延びる回転軸8631を中心に支持位置P31と退避位置P32との間で回転可能に設けられている。各第二面ガイド863は、図示略のガイドモータの駆動により回転することができる。各第二面ガイド863は、支持位置P31に配置された状態で、第二面ガイド863の板厚方向が前後方向に向くように配置される。そして、一対の第二面ガイド863は、支持位置P31から左右方向における開口部85Aの外側に向かうように互い逆向きに回転することで、退避位置P32まで移動することができる。一対の第二面ガイド863が互いに逆方向に回転する機構は、例えば
図6、
図7に例示した一対のフラッパ82の回転機構と同様であってよい。
一対の第二面ガイド863を支持位置P31と退避位置P32との間で移動させる機構は、上記した回転機構に限らず、第二面ガイド863を直線方向に移動させるスライド機構であってもよい。
【0035】
本実施形態の小束入出金部71は、
図4に示すように、小束紙幣集積空間85に挿入された小束紙幣Wの姿勢を検出する姿勢検出センサ87をさらに備える。姿勢検出センサ87は、小束紙幣集積空間85に挿入された小束紙幣Wが斜行姿勢で配置されているか否かを検出する。
小束紙幣Wの斜行姿勢は、上下方向から見て、小束紙幣Wの長手方向が小束紙幣集積空間85の一対の側面ガイド861の配列方向(左右方向)に対して大きく傾斜したり、小束紙幣Wの短手方向が小束紙幣集積空間85の第一面ガイド862及び第二面ガイド863の配列方向(前後方向)に対して大きく傾斜したりする小束紙幣Wの姿勢である。小束紙幣Wが斜行姿勢で配置された状態では、例えば小束紙幣Wの一部が小束紙幣集積空間85の開口部85Aの前側に突出する。
【0036】
姿勢検出センサ87は、例えば
図4に示すように、小束紙幣集積空間85の開口部85Aの前側に配置され、開口部85Aを閉じた状態のシャッタに対して後側に配置されてよい。姿勢検出センサ87は、外部から小束紙幣集積空間85に挿入された小束紙幣Wが、開口部85Aから小束紙幣集積空間85の外側(前側)にはみ出しているか否かを検出することで、小束紙幣Wが斜行姿勢で配置されているかを検出する。姿勢検出センサ87の具体的な構成は、光学的なセンサ(例えば発光素子及び受光素子を備えたセンサ)など任意であってよい。
【0037】
本実施形態の小束入出金部71は、
図3、
図4に示すように、ステージ92の上方に配置されたビルプレス88をさらに備える。ビルプレス88は、ステージ92と独立して上下方向に移動可能とされている。また、ビルプレス88は、ステージ92との間に小束紙幣Wを挟持可能とされている。ビルプレス88は、小束紙幣集積空間85に収納された小束紙幣Wの上面に面接触する平坦な下面を有する。具体的に、ビルプレス88は、上下方向を板厚方向とする板状に形成されている。
【0038】
本実施形態のビルプレス88は、
図4に示すように、ステージ92上に載置された小束紙幣Wのうち、前方側(第一直線方向の一方側)の部位をステージ92との間に挟持するように形成されている。また、本実施形態のビルプレス88は、ステージ92上に載置された小束紙幣Wのうち、左右方向(第二直線方向)の両端部をステージ92との間に挟持するように形成されている。具体的に、ビルプレス88は、小束紙幣集積空間85の前方側の部位において左右方向に延びるように形成され、かつ、左右方向の両端部において後方に向けて延びるコ字状に形成されている。ビルプレス88は、上記のように形成さることに限らず、例えばステージ92上に載置された小束紙幣全体をステージ92との間に挟持するように形成されてもよい。
【0039】
図2、
図3に示すように、第二ユニットの入出金機構73は、小束収納部111(A)~111(D)、小束回収カセット部121、小束水平搬送部131、送出機構141及び押出機構151を備える。
【0040】
小束収納部111は、第二ユニット2の機体70の下部に配置されている。また、小束収納部111は、前述した小束紙幣集積空間85に対して後方(第一直線方向の一方側)にずれて位置している。小束収納部111は、例えば1つであってもよいが、本実施形態では複数(具体的には4つ)上下左右の位置を合わせて前後に並べられている。小束収納部111は、載置部91を構成するステージ92上に載置された小束紙幣Wを受け取って収納可能であり、また、小束収納部111に収納された小束紙幣Wを載置部91のステージ92上に向けて送り出し可能である。載置部91のステージ92と小束収納部111との間における小束紙幣Wの搬送は、後述する小束水平搬送部131、送出機構141及び押出機構151によって行われる。
【0041】
複数の小束収納部111のうち、最も後側に配置された小束収納部111(A)、後から2番目に配置された小束収納部111(B)、後から3番目に配置された小束収納部111(C)及び最も前側に配置された小束収納部111(D)は、いずれも、小束紙幣Wを下から上に集積させた積層状態に収納するものである。
【0042】
小束収納部111(A)は、小束紙幣Wを金種混合で繰り出し可能に収納する。これに対して、小束収納部111(B)は、所定の単一金種の小束紙幣W(具体的には千円券小束)を、小束収納部111(C)は、所定の単一金種の小束紙幣W(具体的には万円券小束)を、小束収納部111(D)は、所定の単一金種の小束紙幣W(具体的には万円券小束)を、それぞれ繰り出し可能に収納する。
【0043】
すなわち、第二ユニット2は、単一金種用(万円券小束及び千円券小束)の小束収納部111を複数個、金種別に有している。なお、小束収納部111の収納パターンは、上記に限らず任意に設定可能である。
【0044】
各小束収納部111は、小束紙幣Wを収容する内部空間を形成する角筒状の収容体115と、収容体115の上部に設けられて収容体115の上部の開口を開閉する一対のフラッパ116と、集積状態の小束紙幣Wを支持するとともに収容体115の内部空間内を昇降するステージ117とを有している。一対のフラッパ116は、水平に配置される閉状態から図示略のフラッパモータの駆動で下方に回動して開状態となる。小束収納部111の一対のフラッパ116を駆動する構造は、例えば
図6、
図7に例示した小束入出金部71の一対のフラッパ82を駆動する構造と同じであってよい。小束収納部111のステージ117上には、小束紙幣Wを構成する複数のバラ紙幣の集積方向を上下とし左右方向にバラ紙幣の長手方向を沿わせた姿勢で下から上に積み重ねた状態で、小束紙幣Wが載置される。
【0045】
小束回収カセット部121は、第二ユニット2の機体70の下部において、小束収納部111(D)の前側に配置されている。小束回収カセット部121は、機体70から取り外し可能である。小束回収カセット部121は、小束紙幣Wを回収する際に小束収納部111から搬送されてきた小束紙幣Wを収納すると共に、小束紙幣Wを補充する際に補充用の小束紙幣Wが機外で装填される。
【0046】
小束回収カセット部121は、小束紙幣Wを収容する内部空間を形成する角筒状の収容体125と、収容体125の上部に設けられて収容体125の上部の開口を開閉する一対の一対のフラッパ126と、集積状態の小束紙幣Wを支持するとともに収容体125の内部空間内を昇降するステージ127とを有している。一対のフラッパ126は、水平に配置される閉状態から図示略のフラッパモータの駆動で下方に回動して開状態となる。小束回収カセット部121のステージ127上には、小束紙幣Wを構成する複数のバラ紙幣の集積方向を上下とし左右方向にバラ紙幣の長手方向を沿わせた姿勢で下から上に積み重ねた状態で、小束紙幣Wが載置される。
【0047】
小束水平搬送部131は、小束回収カセット部121及び小束収納部111(A)~111(D)の上側に設けられている。小束水平搬送部131は、載置部91のステージ92から送り出された小束紙幣Wを受け取って小束回収カセット部121及び小束収納部111(A)~111(D)に搬送すると共に、小束回収カセット部121及び小束収納部111(A)~111(D)から小束紙幣Wを受け取って載置部91のステージ92に搬送する。小束水平搬送部131により載置部91のステージ92に対して小束紙幣Wを移動させる際、載置部91のステージ92は第二の位置P22(
図3等参照)に位置する。また、小束水平搬送部131は、小束回収カセット部121と小束収納部111(A)~111(D)との間で小束紙幣Wを搬送する。
【0048】
小束水平搬送部131は、前後方向に延びる無端ベルト132と、無端ベルト132の外周部に所定の等間隔で設けられた複数の桟部133とを有している。小束水平搬送部131は、無端ベルト132の回転方向において隣り合う桟部133と桟部133との間に一束の小束紙幣Wを受け入れて前後方向に搬送する。
【0049】
小束収納部111は、一対のフラッパ116が図示略のフラッパモータの駆動で下方に回動して開状態となり、ステージ117が上昇してステージ117上にある小束紙幣Wのうちの最も上側の一束の小束紙幣Wを収容体115よりも上方に突出させる。この状態で、小束水平搬送部131が、無端ベルト132から下方に突出する桟部133を前方に移動させることで、この一束の小束紙幣Wを桟部133で押して第二の位置P22に配置されたステージ92に向けて搬送する。このとき、小束紙幣Wを繰り出した小束収納部111よりも前方にある別の小束収納部111は、一対のフラッパ116を閉状態としており、よって、この一束の小束紙幣Wが別の小束収納部111の一対のフラッパ116上を前方に移動する。また、このとき、小束回収カセット部121は、一対のフラッパ126が閉状態にあれば、この一束の小束紙幣Wが一対のフラッパ126上を前方に移動する。
【0050】
小束回収カセット部121は、一対のフラッパ126が図示略のフラッパモータの駆動で下方に回動して開状態となり、ステージ127が上昇してステージ127上にある小束紙幣Wのうちの最も上側の一束の小束紙幣Wを収容体125よりも上方に突出させる。この状態で、小束水平搬送部131が、無端ベルト132から下方に突出する桟部133を前方に移動させることで、この一束の小束紙幣Wを桟部133で押して第二の位置P22に配置されたステージ92に向けて搬送する。また、この状態で、小束水平搬送部131が、無端ベルト132から下方に突出する桟部133を後方に移動させることで、この一束の小束紙幣Wを桟部133で押して小束収納部111に向けて搬送する。
【0051】
小束回収カセット部121は、一対のフラッパ126が下方に回動した開状態でステージ127が上昇して、ステージ127上に小束紙幣Wがある場合はそのうちの最も上側の小束紙幣Wを、小束紙幣Wがない場合はステージ127を、収容体125の上端よりも若干低い所定の受け取り位置に位置させる。この状態で、小束水平搬送部131によって、小束収納部111から桟部133で押されて前方に搬送されてきた小束紙幣Wが、小束回収カセット部121の最も上側の小束紙幣Wあるいはステージ127の上に載置される。あるいは、この状態で、小束水平搬送部131によって、ステージ92側から桟部133で押されて後方に搬送されてきた小束紙幣Wが、小束回収カセット部121の最も上側の小束紙幣Wあるいはステージ127の上に載置される。これらの状態から、ステージ127が下降することで、小束回収カセット部121が、上記のように小束収納部111あるいはステージ92側から搬送されてきた小束紙幣Wを収納する。
【0052】
第二ユニット2の下部には、前後方向における小束収納部111(D)と小束回収カセット部121との間に、小束水平搬送部131で搬送される小束紙幣Wの画像データから金種等を識別する小束識別部135が設けられている。小束識別部135は、小束水平搬送部131で小束回収カセット部121側から小束収納部111(D)側に搬送される小束紙幣Wを識別すると共に、小束水平搬送部131で小束収納部111(D)側から小束回収カセット部121側に搬送される小束紙幣Wを識別する。
【0053】
送出機構141は、小束収納部111側(小束回収カセット部121あるいは小束収納部111(A)~111(D))から第二の位置P22に配置されたステージ92上に小束紙幣Wを送り出す。具体的に、送出機構141は、小束水平搬送部131が小束回収カセット部121あるいは小束収納部111(A)~111(D)から受け取って搬送してきた小束紙幣Wを第二の位置P22に配置されたステージ92上に向けて前方(第一直線方向の他方側)に押し出す。送出機構141は、小束水平搬送部131による小束紙幣Wの搬送経路に対して、下降して進入し上昇して退避する。送出機構141は、小束水平搬送部131が前方に搬送してきた小束紙幣Wを、その後方で下降して前方に移動することにより、第二の位置P22に配置されたステージ92上に押し出す。
【0054】
本実施形態の送出機構141は、
図3、
図8に示すように、ベース部142と、スライド部材143と、送出アーム144と、を備える。ベース部142は、小束水平搬送部131による小束紙幣Wの搬送経路の上側に配置されている。スライド部材143は、ベース部142に対して前後方向に移動可能に取り付けられている。
送出アーム144は、小束紙幣Wを後方からステージ92上に押し出すための部材である。送出アーム144は、前後方向の中央部分から前後両側に向かうにしたがって下方に延びるL字状(あるいはへの字状)に形成されている。送出アーム144は、その後端部が回転中心1441となるようにスライド部材143に対して回転可能に取り付けられている。送出アーム144は、図示略のねじりばねによって、送出アーム144の前端部が下方に向かうように、一方の回転方向(
図3、
図8において反時計回り)に付勢されている。
【0055】
ベース部142には、送出アーム144のうちその回転中心1441よりも前側の部位を下方から支持するアームガイド軸145が固定されている。アームガイド軸145は、回転中心1441よりも前側に位置する送出アーム144の部位を支持することで、ねじりばねの付勢力による送出アーム144の回転を規制する。
図8、
図9に示すように、アームガイド軸145が送出アーム144の回転中心1441よりも前方に位置して送出アーム144の前端部を支持している状態では、送出アーム144(特に前端部)は、ベース部142の下端から下方に大きく突出しない。特に、
図8に示すように、アームガイド軸145が送出アーム144の前端部の先端部分を支持している状態では、送出アーム144(特に前端部)がベース部142の下端から下方に突出しない。
一方、
図10、
図11に示すように、送出アーム144の回転中心1441がアームガイド軸145よりも前方に位置した状態では、アームガイド軸145は送出アーム144を支持しない。このため、送出アーム144の前端部がベース部142の下端から下方に突出する。
【0056】
図8~
図11に示すように、スライド部材143には、送出アーム144のうちその回転中心1441よりも後側の部位を上方から支持する回転規制部146が設けられている。回転規制部146は、
図10、
図11に示すようにアームガイド軸145が送出アーム144を支持しない状態で、回転中心1441よりも後側に位置する送出アーム144の部位を支持することで、ねじりばねの付勢力による送出アーム144の回転を規制する。すなわち、回転規制部146は、送出アーム144の前端部がベース部142の下端から下方に突出した状態で、送出アーム144の回転を規制する。
【0057】
スライド部材143は、二つ一組のリンクアーム147と、回転軸148と、図示略のギヤ及びトルクリミッタと、を介して図示略の送出モータに連結されている。これにより、送出モータの回転をリンクアーム147によってスライド部材143の前後方向への移動に変換してスライド部材143を駆動することができる。送出モータの回転方向を切り替えることで、スライド部材143の移動方向(前方向及び後方向)を切り替えることができる。
【0058】
以上のように構成される送出機構141では、
図3、
図8に示すように、アームガイド軸145が送出アーム144の前端部の先端部分を支持して、送出アーム144の前端部がベース部142の下端から下方に突出しない状態が、待機状態である。
【0059】
送出機構141により、小束紙幣Wを第二の位置P22に配置されたステージ92上に押し出す際には、待機状態から送出モータの駆動力によってスライド部材143を前進させる。これにより、
図9に示すように、送出アーム144の回転中心1441が前進し、送出アーム144の前端部がねじりばねの付勢力によってベース部142の下端よりも下方に移動する。次いで、
図10に示すように、スライド部材143をさらに前進させると、ねじりばねによる送出アーム144の回転が回転規制部146によって規制され、送出アーム144の前端部がベース部142の下端から下方に突出した状態が維持される。さらに、
図11に示すように、スライド部材143を前進させることで、送出アーム144の前端部が、ベース部142の下端から下方に突出した状態で前進し、小束紙幣Wを第二の位置P22に配置されたステージ92上に押し出すことができる。
送出機構141による小束紙幣Wの押し出し後には、送出モータの駆動力によってスライド部材143を後退させることで、送出アーム144の前端部が後退し、かつ、ベース部142の下端よりも上方に移動する。
【0060】
図2、
図3に示すように、押出機構151は、第二の位置P22に配置されたステージ92上から小束収納部111側(小束回収カセット部121あるいは小束収納部111(A)~111(D))に向けて小束紙幣Wを押し出す。押出機構151は、第二の位置P22に配置されたステージ92の前側に位置する状態からステージ92の後方に移動することでステージ92上の小束紙幣Wを小束水平搬送部131に向けて後方(第一直線方向の一方側)押し出す。
【0061】
図12~
図17に示すように、本実施形態の押出機構151は、上下方向から見て直線状に延びる棒状に形成され、小束紙幣Wを押し出す一対の押出バー152を備える。各押出バー152は、その長手方向の第一端部が回転中心1521となるように、上下方向に延びる軸線を中心に回転可能に設けられている。一対の押出バー152は、第二の位置P22にあるステージ92上に配置された小束紙幣Wの長手方向(左右方向)に間隔をあけて位置する。
図12、
図13に示すように、一対の押出バー152がステージ92の前側に配置された状態では、各押出バー152はその長手方向が左右方向に沿うように配置され、一対の押出バー152の長手方向の第一端部から第二端部に向かう方向は、左右方向において互いの押出バー152に向かう方向となっている。
【0062】
一対の押出バー152は、図示略の押出モータの駆動力によって
図12、
図13に示すようにステージ92の前側と
図16、
図17に示すようにステージ92の後側との間で前後方向に移動可能となっている。
また、
図12、
図14、
図16に示すように、一対の押出バー152は、その前後方向への移動に伴ってそれぞれ回転する。一対の押出バー152は、その後方への移動の途中で、押出バー152の第一端部から第二端部に向かう方向が後方に向くように回転する。これにより、一対の押出バー152は、その後方への移動だけではなく、その回転によっても小束紙幣Wを後方に押し出す。押出バー152の回転は、図示略のカムによって動作する。すなわち、押出バー152を回転駆動する専用のモータはなく、押出バー152は押出モータの駆動力を利用して回転する。
一対の押出バー152をステージの前側まで後方に移動させる際には、各押出バー152が上記とは逆方向に回転し、ステージの前側に到達した状態では
図12に示すように各押出バー152の長手方向が左右方向に向く位置に戻る。
【0063】
押出機構151によりステージ92上の小束紙幣Wを小束水平搬送部131に向けて押し出す際には、
図13に示すように予め小束紙幣Wを上下方向においてステージ92とビルプレス88との間に挟持しておく。これにより、押出機構151により小束紙幣Wをステージ92から小束水平搬送部131に向けて整然と送り出すことができる。具体的には、押出機構151によりステージ92上の小束紙幣Wを上下方向における無端ベルト132と小束回収カセット部121(あるいは小束収納部111)との隙間に正しく送り出すことができる。
【0064】
図2に示すように、小束収納部111は、一対のフラッパ116が図示略のフラッパモータの駆動で下方に回動した開状態となり、この状態で、ステージ117が上昇して、ステージ117上に小束紙幣Wがある場合はそのうちの最も上側の小束紙幣Wを、小束紙幣Wがない場合はステージ117を、収容体115の上端より若干下方の所定の受け取り位置に位置させる。この状態で、押出機構151で押し出された小束紙幣Wが、小束水平搬送部131の桟部133で後方に搬送されてくると、この小束紙幣Wが、この小束収納部111の最も上側の小束紙幣Wあるいはステージ117の上に載置される。この状態で、ステージ117が下降することで、この小束収納部111が、ステージ92から小束水平搬送部131で搬送されてきた小束紙幣Wを収納する。このとき、小束回収カセット部121は一対のフラッパ126を閉状態としており、この小束紙幣Wが一対のフラッパ126上を後方に移動する。また、この小束収納部111よりも前にある小束収納部111も、一対のフラッパ116を閉状態としており、この小束紙幣Wが一対のフラッパ116上を後方に移動する。小束収納部111は、小束回収カセット部121から小束水平搬送部131の桟部133で後方に搬送されてくる小束紙幣Wを収納する場合も同様に作動する。押出機構151は、ステージ92から小束回収カセット部121及び小束収納部111(A)~111(D)へ向けて小束紙幣Wを押し出す。
【0065】
図2に示すように、第二ユニット2は、小束受取部101をさらに有する。小束受取部101は、小束入出金部71の下方においてステージ92が昇降する領域の後方に設けられている。小束受取部101は、第一ユニット1の結束部で結束されて小束送出部から送り出されてきた小束紙幣Wを所定の上部受取位置で受け取り上下から挟持して下方に搬送する。小束受取部101は、第一ユニット1から一束の小束紙幣Wを受け取り、受け取った一束のみの小束紙幣Wを挟持して所定の下限位置まで搬送し、さらに前方に搬送してステージ92上に受け渡す。このときのステージ92の高さ位置は、上下方向において前述した第一の位置P21と第二の位置P22との間の位置であり、第三の位置とする。よって、小束受取部101は、小束紙幣Wを第三の位置にあるステージ92に受け渡す。
【0066】
小束受取部101は、第一ユニット1の小束送出部39から、小束紙幣Wを構成するバラ紙幣の集積方向を上下とし左右方向にバラ紙幣の長手方向を沿わせた姿勢で、長手方向に沿って送り出されてきた一束の小束紙幣Wを、その姿勢のまま受け取って下方に搬送すると共に、その姿勢のまま前方に搬送してステージ92上に受け渡す。よって、小束受取部101からステージ92上に受け渡された小束紙幣Wも、そのバラ紙幣の集積方向を上下とし左右方向に長手方向を沿わせた姿勢となる。
【0067】
図1に示す制御部65は、第二ユニット2については、小束入出金部71と、新券出金部72と、新券収納出金部75と、載置部91と、小束受取部101と、小束収納部111(A)~111(D)と、小束回収カセット部121と、小束水平搬送部131と、小束識別部135と、送出機構141と、押出機構151と等を制御する。
【0068】
次に、本実施形態の紙幣処理装置11のうち第二ユニット2における処理について説明する。
【0069】
紙幣処理装置11が待機状態にあるとき、第二ユニット2では、小束入出金部71のシャッタ81が閉状態にあり、一対のフラッパ82も閉状態にある。また、この待機状態にあるとき、ステージ92は、一対のフラッパ82よりも上側の出金位置にある。また、この待機状態にあるとき、小束受取部101は所定の上部受取位置にある。また、この待機状態にあるとき、小束収納部111(A)~111(D)は、適宜の小束紙幣Wを収納しており、すべてが一対のフラッパ116を閉状態としている。また、この待機状態にあるとき、小束回収カセット部121は、空の状態であり、一対のフラッパ126を閉状態としている。
【0070】
[小束紙幣出金処理]
図18の太線は、操作表示部66へ入力された小束紙幣出金操作に基づいて、千円券小束を収納している小束収納部111(B)、万円券小束を収納している小束収納部111(C),111(D)のうちの指定された金種のものから小束紙幣Wを小束入出金部71に出金する小束紙幣出金処理における収納小束出金処理の紙幣搬送ルートを示している。また、
図19の太線は、操作表示部66へ入力された小束紙幣出金操作に基づいて、第一ユニット1の結束部で作成されて小束送出部から第二ユニット2の小束受取部101に送出された小束紙幣Wを、小束入出金部71に出金する小束紙幣出金処理における結束小束出金処理の紙幣搬送ルートを示している。また、
図20の太線は、操作表示部66へ入力された小束紙幣出金操作に基づいて、第一ユニット1の結束部で作成されて小束送出部から第二ユニット2の小束受取部101に送出された小束紙幣Wを、小束収納部111(A)~111(D)の対応するものに補充する小束紙幣出金処理における結束小束補充処理の紙幣搬送ルートを示している。
【0071】
ここで、小束紙幣Wのうち、小束収納部111(B)~111(D)に収納されていて小束紙幣出金処理等の一取引において小束入出金部71に出金される小束紙幣Wを収納小束Wとする。よって、小束収納部111(B)~111(D)は、小束紙幣Wを収納小束Wとして収納しつつ繰り出し可能である。また、小束紙幣Wのうち、小束紙幣出金処理等の一取引において第一ユニット1の結束部で作成されて小束入出金部71に出金等する小束紙幣Wを結束小束Wとする。
【0072】
小束紙幣出金処理の一取引において、出金を要求する金種別の出金束数が操作表示部66に入力されて、操作表示部66に出金開始操作が入力されると、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を開始することになるが、この一取引を開始するに当たり、まず、入力された金種別の出金束数に基づき、小束収納部111(B)~111(D)に既に収納している収納小束Wの在り高と、当該一取引で出金要求された小束紙幣Wの要求数とを比較するとともに、この比較結果に基づいて、小束紙幣出金処理パターンを決定し、決定した小束紙幣出金処理パターンに従って、小束紙幣出金処理の一取引を行う。
【0073】
この小束紙幣出金処理パターンは、
図18に太線で示すように小束収納部111(B)~111(D)からの収納小束Wを小束入出金部71に出金する収納小束出金処理のみを行う第1パターンと、
図18に太線で示すように小束収納部111(B)~111(D)からの収納小束Wを小束入出金部71に出金する収納小束出金処理と、
図19に太線で示すように第一ユニット1の結束部で作成されて小束送出部から第二ユニット2の小束受取部101に送出された小束紙幣Wを、小束入出金部71に出金する結束小束出金処理との両方を行う第2パターンとである。制御部65は、これら第1パターン及び第2パターンのうちのいずれか一方を選択して実行することになり、第1パターン及び第2パターンのうち第1パターンを優先して実行する。
【0074】
すなわち、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を行う際に、小束収納部111(B)の千円券の収納小束W及び小束収納部111(C),111(D)の万円券の収納小束Wの両方において、既に収納している収納小束Wの束数が、当該一取引で出金要求された小束紙幣Wの出金要求数以上である場合は、小束収納部111(B)~111(D)が収納している収納小束Wを小束入出金部71に出金させる収納小束出金処理のみを行う。
【0075】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を行う際に、小束収納部111(B)の千円券の収納小束W及び小束収納部111(C),111(D)の万円券の収納小束Wのうちの少なくともいずれか一方の金種の収納小束Wにおいて、既に収納している収納小束Wの束数が、当該一取引で出金要求された小束紙幣Wの出金要求数未満である場合は、当該出金要求数未満ではない金種については収納小束出金処理のみを行い、当該出金要求数未満である金種については、収納小束出金処理を行うと共に、第一ユニット1において当該金種のバラ紙幣から結束部で結束小束Wを作成して、小束入出金部71に出金させる結束小束出金処理を行う。このように、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引において、小束収納部111(B)~111(D)が収納している収納小束Wと、第一ユニット1においてバラ紙幣から結束部で結束して作成する結束小束Wと、の両方を合流させて小束入出金部71に出金させる。
【0076】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引において、小束収納部111(B)~111(D)に既に収納している収納小束Wの在り高と、当該一取引で出金要求された小束紙幣Wの要求数との比較結果に基づいて、小束紙幣出金処理パターンに加えて、第一ユニット1においてバラ紙幣から結束部で結束小束Wを作成し、この結束小束Wを小束収納部111(B)~111(D)の対応するものに収納する結束小束補充処理を追加的に実行する。
【0077】
すなわち、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を行う際に、当該一取引において、小束収納部111(B)~111(D)が収納している収納小束Wを小束入出金部71に出金させると、千円券の収納小束Wを収納している小束収納部111(B)及び万円券の収納小束Wを収納している小束収納部111(C),111(D)のうちの少なくとも一方の金種において収納小束Wがゼロになる束数不足金種が存在すると予測される場合には、当該一取引に含めて、第一ユニット1において当該束数不足金種のバラ紙幣から結束部で結束小束Wを作成して、小束収納部111(B)及び小束収納部111(C),111(D)のうちの当該束数不足金種の小束収納部111に収納させる結束小束補充処理を追加的に実行して、小束収納部111(B)の収納束数及び小束収納部111(C),111(D)の収納束数を、全て所定の下限束数以上にする。なお、小束収納部111(C),111(D)は同一金種を収納しているため合計の収納束数を所定の下限束数以上にする。
【0078】
このように、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引において、小束収納部111(B)~111(D)が収納している収納小束Wと、第一ユニット1においてバラ紙幣から結束部で結束して作成する結束小束Wと、の両方を合流させて小束入出金部71に出金させると共に、第一ユニット1においてバラ紙幣から結束部で結束して作成する結束小束Wを小束収納部111(B)~111(D)に向けて送り出して収納させる。なお、収納小束Wがゼロよりも大きい所定の束数以下になった金種を束数不足金種とし、この所定の束数よりも所定値大きい束数を下限束数としても良い。
【0079】
しかも、制御部65は、金種ごとの小束紙幣Wの出金要求数と、機内在り高として小束収納部111(B)に収納している千円券の収納小束Wの束数及び小束収納部111(C),111(D)に収納している万円券の収納小束Wの束数との比較に加えて、機内在り高として第一ユニット1に収納しているバラ紙幣の枚数を比較する。そして、予め、千円券用の小束収納部111(B)に設定されている収納小束Wを残留させる所定の下限束数と、第一ユニット1にある千円券用のバラ紙幣収納部に設定されているバラ紙幣を残留させる所定の収納量である下限バラ数とを考慮すると共に、万円券用の小束収納部111(C),111(D)に設定されている収納小束Wを残留させる所定の下限束数と、第一ユニット1にある万円券用のバラ紙幣収納部に設定されているバラ紙幣を残留させる所定の下限バラ数とを考慮して、当該一取引の動作パターンを決定する。
【0080】
すなわち、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を開始するに当たり、当該一取引後に、千円券の収納小束Wを出金させる小束収納部111(B)が所定の収納量である下限束数を維持し、万円券の収納小束Wを出金させる小束収納部111(C),111(D)が合わせて所定の収納量である下限束数を維持すると予想される場合、小束収納部111(B)~111(D)の収納小束Wのみを出金させる。
【0081】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を開始するに当たり、当該一取引後に、千円券の収納小束Wを出金させる小束収納部111(B)と、万円券の収納小束Wを出金させる小束収納部111(C),111(D)と、のうちの少なくともいずれか一方が、所定の収納量である下限束数を維持できないと予想される場合、下限束数を維持できない小束収納部111に補充する結束小束Wを作成する分のバラ紙幣が、第一ユニット1にあるバラ紙幣収納部の対応するものに確保されていると予想される場合、当該一取引において、収納小束W及び結束小束Wのうちの少なくとも収納小束Wを出金させた後、当該下限束数を維持できない小束収納部111に結束小束Wを補充して所定の下限束数に戻す。
【0082】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を開始するに当たり、当該一取引後に、千円券の収納小束Wを出金させる小束収納部111(B)と、万円券の収納小束Wを出金させる小束収納部111(C),111(D)と、のうちの少なくともいずれか一方が、所定の収納量である下限束数を維持できないと予想される場合であって、下限束数を維持できない小束収納部111に補充する結束小束Wを作成する分のバラ紙幣が、第一ユニット1にあるバラ紙幣収納部の対応するものに確保されていないと予想される場合、当該一取引において、収納小束W及び結束小束Wのうちの少なくとも収納小束Wを出金させた後、下限束数を維持できない小束収納部111に結束小束Wを補充しない。
【0083】
しかも、制御部65は、下限束数を維持できない小束収納部111に補充する結束小束Wを作成する分と下限バラ数とを合わせた枚数のバラ紙幣が、第一ユニット1にあるバラ紙幣収納部の対応するものに確保されていないと予想される場合、下限束数を維持できない小束収納部111に結束小束Wを補充しない。
【0084】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を開始するに当たり、出金を要求された金種の収納小束Wが小束収納部111(B)~111(D)の対応するものに一束も収納されていない場合、第一ユニット1にあるバラ紙幣収納部の対応するもののバラ紙幣を結束部で結束した結束小束Wのみを小束入出金部71に出金させる。
【0085】
また、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引において、一度に複数金種の小束紙幣Wを小束入出金部71に出金させる場合で、且つ、収納小束W及び結束小束Wの両方を出金させる場合、収納小束W及び結束小束Wの合流に際しては、複数金種の小束紙幣Wを金種毎に纏めるように合流させる。その際に、小束入出金部71において高額金種の小束紙幣Wほど下側で纏めるように合流させる。
【0086】
ここでは、具体例として、小束紙幣出金処理の一取引である第1の取引を開始するに当たり、出金を要求された金種の収納小束Wの内訳が、万円券の小束紙幣Wが5束と、千円券の小束紙幣Wが5束とである場合を例にとり説明する。しかも、この第1の取引を開始するに当たり、万円券の収納小束Wが小束収納部111(C)に7束、小束収納部111(D)に8束、千円券の収納小束Wが小束収納部111(B)に4束であり、千円券のバラ紙幣が第一ユニット1のバラ紙幣収納部に800枚ある場合を例にとり説明する。また、小束収納部111(C),111(D)を合わせた万円券の収納小束Wの下限束数が3束に設定され、小束収納部111(B)の千円券の収納小束Wの下限束数が3束に設定され、第一ユニット1のバラ紙幣収納部の下限バラ数が300枚に設定されている場合を例にとり説明する。なお、これらの設定は一例であり、これに限らない。また、小束紙幣集積空間85に一度に保留可能な小束紙幣Wの数は10束となっている。
【0087】
まず、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引である第1の取引を開始するに当たり、出金を要求された金種の収納小束Wの内訳が、万円券の小束紙幣Wが5束と、千円券の小束紙幣Wが5束とであり、万円券の小束紙幣Wは、結束処理が不要な収納小束Wで全て出金可能であり、千円券の小束紙幣Wは、結束処理が不要な収納小束Wで4束が出金可能であって、残り1束は結束処理が必要な結束小束Wで出金可能である旨を操作表示部66に表示させる。加えて、制御部65は、万円券の5束の小束紙幣Wと千円券の5束の小束紙幣Wとを全て出金するか、結束処理が不要な範囲で最大限の万円券の5束の小束紙幣Wと千円券の4束の小束紙幣Wとを出金するか、出金をキャンセルするかの3つのパターンを操作表示部66に表示させて、いずれのパターンで出金させるかの入力を待機する。ここでは、万円券の5束の小束紙幣Wと千円券の5束の小束紙幣Wとを全て出金するパターンが選択された場合について説明する。なお、これに対して、結束処理が不要な範囲で最大限の万円券の5束の小束紙幣Wと千円券の4束の小束紙幣Wとを出金するパターンが選択された場合は、結束処理が必要な千円券の1束の結束小束Wの結束小束出金処理を行わない点のみが処理として相違することになる。
【0088】
制御部65は、小束紙幣出金処理の第1の取引で、小束収納部111(B)から4束の千円券の収納小束Wを小束入出金部71に出金させる収納小束出金処理と、第一ユニット1のバラ紙幣収納部から千円券のバラ紙幣を繰り出し結束部で結束して1束の結束小束Wを小束入出金部71に出金させる結束小束出金処理と、小束収納部111(C),111(D)のうちの例えば小束収納部111(D)から5束の万円券の収納小束Wを小束入出金部71に出金させる収納小束出金処理と、第一ユニット1のバラ紙幣収納部から千円券のバラ紙幣を繰り出し結束部で結束して3束の千円券の結束小束Wを小束収納部111(B)に補充する結束小束補充処理とを実行するパターンで制御を行うことになる。
【0089】
操作表示部66において、小束紙幣出金処理の第1の取引として、5束の万円券の小束紙幣Wと5束の千円券の小束紙幣Wとが出金要求数として入力されて、すべての小束紙幣Wを出金する旨の操作が入力されて、スタート操作が入力されると、制御部65は、上記パターンを割り出して、まず、
図18に太線で示すように、4束の千円券の収納小束Wを小束入出金部71へ保留させる収納小束出金処理を行うべく、小束収納部111(B)において、一対のフラッパ116を下方に開作動させた後、ステージ117を上昇させて、ステージ117上に載置されている千円券の収納小束Wの最上の1束目を小束水平搬送部131内に突出させる。これと並行して、制御部65は、
図10に太線で示すように、1束の千円券の結束小束Wを小束入出金部71へ保留させる結束小束出金処理及び3束の千円券の結束小束Wを小束収納部111(B)に後に補充する結束小束補充処理を行うべく、第一ユニット1にあるバラ紙幣収納部から千円券のバラ紙幣の繰り出しを開始させて千円券の結束小束Wの作成動作を開始させる。すなわち、制御部65は、小束収納部111(B)が収納している千円券の収納小束Wを小束入出金部71へ出金させる収納小束出金処理と、第一ユニット1にあるバラ紙幣収納部が収納している千円券のバラ紙幣から結束部で結束小束Wを作成する結束小束作成処理とを、並行処理する。結束小束作成処理は、結束小束出金処理の一部であって結束小束補充処理の一部である。
【0090】
収納小束出金処理においては、上記したように、小束収納部111(B)のステージ117上に載置されている千円券の収納小束Wの最上位置の1束目を小束水平搬送部131内に突出させるのと並行して、制御部65は、載置部91のステージ92を第二の位置P22まで下降させる。そして、小束収納部111(B)の収納小束Wの最上位置の1束目を小束水平搬送部131内に突出させると、制御部65は、無端ベルト132を下方に突出する桟部133が前方に移動するように回転させる。すると、この千円券の1束目の収納小束Wが小束水平搬送部131の桟部133で押圧されて前方に搬送されることになり、その最中に、小束識別部135で金種及び結束状態等が確認される。その結果、異常がなければ、制御部65は、小束水平搬送部131によって、この千円券の1束目の収納小束Wを前端所定位置まで搬送させ、その後、送出機構141でこの千円券の1束目の収納小束Wを前方に押し出させる。すると、この千円券の1束目の収納小束Wが、第二の位置P22にあるステージ92上に載置される。なお、制御部65は、この千円券の1束目の収納小束Wを前方に搬送する桟部133が小束収納部111(B)上を通過したタイミングで、小束収納部111(B)のステージ117上に載置されている千円券の収納小束Wのこのとき最上位置にある2束目を小束水平搬送部131内に突出させる。すると、この千円券の2束目の収納小束Wが1束目と同様に次の桟部133で前方に搬送されて前端所定位置に至る。
【0091】
ここで、制御部65は、小束識別部135で金種相違の異常が検出された万円券の収納小束Wがあると、小束回収カセット部121の一対のフラッパ126を下方に回動させて開状態として、ステージ127を上昇させて、
図18に太破線で示すように、この万円券の収納小束Wを小束水平搬送部131でステージ127上に載置させてから、ステージ127を下げて、一対のフラッパ126を上方に回動させて閉状態とする。そして、制御部65は、第1の取引において、その分の小束紙幣Wを追加で出金させることになる。この具体例では、小束収納部111(B)には、追加可能な千円券の収納小束Wがないことから、制御部65は、第1の取引において、結束小束Wを追加で出金させる。なお、このように小束回収カセット部121に一時貯留された金種相違の収納小束Wは、第1の取引の最後にまとめて、小束回収カセット部121から小束水平搬送部131によって、小束収納部111(B)~111(D)の適正な金種のものに収納させる。金種相違は、作業者による小束収納部111(B)~111(D)への小束紙幣Wの装填ミスによる生じる。小束識別部135で小束紙幣Wの異常が検出されると、その時点で小束水平搬送部131を停止させて操作表示部66に、異常の小束紙幣Wの場所を含むエラー報知を行わせても良い。特に異常が結束不良の場合は、このように制御する。
【0092】
送出機構141で千円券の1束目の収納小束Wを小束水平搬送部131の前方に押し出させ、
図21に示すように、第二の位置P22にあるステージ92上に載置させると、制御部65は、ステージ92を一対のフラッパ82の上側まで上昇させる。すると、
図22に示すように、上昇の途中で、ステージ92上の千円券の1束目の収納小束Wが一対のフラッパ82を上側に開作動させて通過する。1束目の収納小束Wの通過後には、一対のフラッパ82がスプリングにより閉作動して閉位置P11に戻ることになる。制御部65は、ステージ92を所定の上方位置まで上昇させた後に、
図23に示すように、第二の位置P22まで下降させる。この下降の途中で、ステージ92は、閉位置P11に配された一対のフラッパ82上に千円券の1束目の収納小束Wを載置させてから、第二の位置P22に到達する。
【0093】
次に、制御部65は、
図18に示す小束水平搬送部131によって1束目に続けて前端所定位置に搬送される千円券の2束目の収納小束Wを、送出機構141で前方に押し出させる。すると、この千円券の2束目の収納小束Wが第二の位置P22にあるステージ92上に載置される。なお、制御部65は、この千円券の2束目の収納小束Wを前方に搬送する桟部133が小束収納部111(B)上を通過したタイミングで、小束収納部111(B)のステージ117上に載置されている千円券の収納小束Wのうち最上位置にある3束目を小束水平搬送部131内に突出させる。すると、この千円券の3束目の収納小束Wが次の桟部133で1束目及び2束目と同様に前方に搬送されて前端所定位置に至る。なお、制御部65は、前端所定位置での複数の収納小束Wの干渉が生じないように無端ベルト132の回転及び停止を制御する。
【0094】
送出機構141で千円券の2束目の収納小束Wを前方に押し出させて第二の位置P22にあるステージ92上に載置させると、制御部65は、1束目の収納小束Wの場合と同様に、ステージ92を一対のフラッパ82の上側まで上昇させる。すると、その途中で、ステージ92上の千円券の2束目の収納小束Wが一対のフラッパ82を上側に開作動させながら千円券の1束目の収納小束Wを載置させて一対のフラッパ82を通過する。2束目の収納小束Wの通過後には、一対のフラッパ82が閉作動して閉位置P11に戻ることになる。制御部65は、ステージ92を所定の上方位置まで上昇させ後、そのまま第二の位置P22まで下降させる。その途中で、ステージ92は、一対のフラッパ82上に千円券の2束目の収納小束Wを、その上に千円券の1束目の収納小束Wを載置させてから、第二の位置P22に位置する。
【0095】
次に、制御部65は、小束水平搬送部131によって2束目に続けて前端所定位置に搬送される千円券の3束目の小束紙幣Wを、送出機構141で前方に押し出させて、ステージ92上に載置させる。
【0096】
以上を適宜繰り返すことで、小束収納部111(B)に収納されていた4束の千円券の収納小束Wを一対のフラッパ82上に下から4束目、3束目、2束目、1束目の順に集積状態で載置させると、制御部65は、4束の千円券の収納小束Wについての収納小束出金処理を終了し、続いて、1束の千円券の結束小束Wについての結束小束出金処理の一部の処理として、ステージ92を第三の位置に位置させる。なお、この結束小束出金処理の後に、5束の万円券の収納小束Wについての収納小束出金処理を行うことになるため、制御部65は、4束目の千円券の収納小束Wを前方に搬送する桟部133が小束収納部111(B)上を通過したタイミングで、小束収納部111(B)のステージ117を下げて、小束収納部111(B)の一対のフラッパ116を閉じると共に、4束目の千円券の収納小束Wを前方に搬送する桟部133が小束収納部111(D)上を通過したタイミングで、小束収納部111(D)の一対のフラッパ116を下方に開き、小束収納部111(D)のステージ117上に載置されている万円券の収納小束Wのうち最上位置にある1束目を小束水平搬送部131内に突出させる。すると、この万円券の1束目の収納小束Wが同様に次の桟部133で前方に搬送されて前端所定位置に至る。この場合も、制御部65は、前端所定位置での複数の収納小束Wの干渉が生じないように無端ベルト132の回転及び停止を制御する。万円券の1束目の収納小束Wに続けて、次の桟部133で、万円券の2束目以降の収納小束Wも、順に前端所定位置に搬送される。
【0097】
第1の取引において、上記したように収納小束出金処理の開始時点で開始されていた結束小束出金処理の結束小束作成処理では、第一ユニット1において1束目の結束小束Wが作成され、第二ユニット2の小束受取部101に送り出される。このとき、制御部65は、この1束目の結束小束Wを受け取った小束受取部101を下限位置まで下降させる。なお、第1の取引において、結束小束Wは、出金のために1束、補充のために3束必要となるため、1束目の結束小束Wと干渉しない範囲で、第一ユニット1において2束目、3束目、4束目の結束小束Wが順次作成され、第二ユニット2の小束受取部101に送り出される。
【0098】
1束目の結束小束Wを受け取った小束受取部101を下限位置まで下降させると、制御部65は、ステージ92が第三の位置に位置していなければ、ステージ92が第三の位置に位置する状態となるまで待機する一方、ステージ92が第三の位置に位置する状態となっている場合及び待機していてステージ92が第三の位置に位置する状態となると、小束受取部101を前方に移動させてステージ92上に、1束目の結束小束Wを送り出させる。そして、制御部65は、逆のルートで小束受取部101を上部受取位置まで戻すと共に、ステージ92を一対のフラッパ82の上側まで上昇させる。すると、その途中で、ステージ92上の千円券の1束目の結束紙幣Wすなわち出金する千円券の5束目の小束紙幣Wが一対のフラッパ82を上側に開作動させながら1束目~4束目の収納小束Wを載置させた後、一対のフラッパ82を通過することになり、これにより、一対のフラッパ82が閉作動して閉位置P11に戻る。制御部65は、ステージ92を一対のフラッパ82の上側まで上昇させると、そのまま、万円券の収納小束Wについての収納小束出金処理の一部の処理として、第二の位置P22まで下降させる。その途中で、ステージ92は、一対のフラッパ82上に1束目の結束小束W及び4束目~1束目の収納小束Wをこの順に載置させてから、第二の位置P22に位置する。このようにして、5束の千円券の小束紙幣Wを小束入出金部71に一纏めにする。
【0099】
次に、制御部65は、小束水平搬送部131によって千円券の4束目の収納小束Wに続けて前端所定位置に搬送される万円券の1束目の収納小束Wを、送出機構141で前方に押し出させて第二の位置P22にあるステージ92上に載置させた後、ステージ92を一対のフラッパ82の上側まで上昇させる。すると、その途中、ステージ92上の万円券の1束目の収納小束Wが一対のフラッパ82を上側に開作動させながら5束の千円券の小束紙幣Wを載置させた後、一対のフラッパ82を通過する。これにより、一対のフラッパ82が閉作動して閉位置P11に戻ることになる。制御部65は、ステージ92を一対のフラッパ82の上側まで上昇させると、そのまま第二の位置P22まで下降させる。その途中で、ステージ92は、一対のフラッパ82上に万円券の1束目の収納小束W及び5束の千円券の小束紙幣Wを載置させてから、第二の位置P22に位置する。すると、制御部65は、小束水平搬送部131によって万円券の1束目の収納小束Wに続けて前端所定位置に搬送される万円券の2束目の小束紙幣Wを、送出機構141で前方に押し出させてステージ92上に載置させる。
【0100】
以上を適宜繰り返すことで、
図24に示すように、小束収納部111(D)に収納されていた5束の万円券の収納小束Wが一纏めにしてステージ92上に集積状態で載置され、その上に、5束の千円券の小束紙幣Wが一纏めにして載置される。その後、制御部65は、ステージ92を一対のフラッパ82より上の所定の出金位置で停止させると共に、シャッタ81を開き、一対の第二面ガイド863を退避位置P32(
図5参照)に移動させる。これにより、小束入出金部71にあるこれら10束の小束紙幣Wが機外に取り出される。
【0101】
制御部65は、小束入出金部71の全ての小束紙幣Wが機外に取り出されたことを図示略のセンサにより検知すると、シャッタ81を閉じると共に、続きとして、上記第1の取引に含まれる3束の千円券の結束小束Wについての結束小束補充処理の一部として、ステージ92を第三の位置に位置させる。すると、制御部65は、結束小束補充処理として、補充する千円券の1束目の結束小束Wを受け取って下限位置に位置する小束受取部101を前方に移動させてステージ92上に、補充する千円券の1束目の結束小束Wを送り出させる。そして、制御部65は、小束受取部101を上部受取位置まで戻すと共に、ステージ92を第二の位置P22まで下降させる。
【0102】
次に、制御部65は、小束水平搬送部131の無端ベルト132を下方に突出する桟部133が後方に移動するように回転させると共に、小束収納部111(B)について、一対のフラッパ116を下方に開作動させて、ステージ117を小束水平搬送部131から結束小束Wを受け入れる位置まで上昇させ、ステージ92上の補充する千円券の1束目の結束小束Wを押出機構151で小束水平搬送部131に向けて押し出させる。すると、無端ベルト132の桟部133がこの補充する千円券の1束目の結束小束Wを後方に搬送し、小束収納部111(B)のステージ117上に載置させる。すると、制御部65は、ステージ117を、補充する千円券の1束目の結束小束W上に小束水平搬送部131から結束小束Wを受け入れる位置まで下降させる。
【0103】
ステージ92上の補充する千円券の1束目の結束小束Wを押出機構151で小束水平搬送部131に向けて押し出すと、制御部65は、ステージ92を第三の位置に上昇させる。そして、制御部65は、補充する千円券の2束目の結束小束Wを受け取って下限位置に位置する小束受取部101を前方に移動させてステージ92上に、補充する千円券の2束目の結束小束Wを送り出させる。そして、制御部65は、小束受取部101を上部受取位置まで戻すと共に、ステージ92を第二の位置P22まで下降させて、ステージ92上の補充する千円券の2束目の結束小束Wを押出機構151で小束水平搬送部131に向けて押し出させる。
【0104】
以上を適宜繰り返して、小束収納部111(B)において、補充する千円券の3束目の結束小束Wをステージ117上の補充する千円券の2束目の結束小束W上に載置させると、制御部65は、小束収納部111(B)のステージ117を下降させ、小束収納部111(B)の一対のフラッパ116を閉作動させて閉位置P11に戻す。
【0105】
なお、小束収納部111(C),111(D)にも万円券の結束小束Wの補充が必要な場合、上記した小束収納部111(B)への補充に続けて、小束収納部111(C),111(D)への結束小束Wの補充を行うことになる。結束小束補充処理においては、小束収納部111(B)~111(D)に補充する結束紙幣Wの金種の順番は千円券小束及び万円券小束のいずれを先にしても良い。
【0106】
結束小束補充処理が終わると、制御部65は、小束回収カセット部121に一時貯留された金種相違の収納小束Wがある場合、第1の取引の最後にまとめて、小束回収カセット部121から小束水平搬送部131によって、小束収納部111(A)~111(D)の適正な金種のものに収納させる。具体的に、制御部65は、小束回収カセット部121の一対のフラッパ126を下方に開作動させた後、ステージ117を上昇させて、ステージ117上の最上位置の収納小束Wを小束水平搬送部131内に突出させた後、小束水平搬送部131の無端ベルト132を下方に突出する桟部133が後方に移動するように回転させる。これにより、桟部133が、小束回収カセット部121の最上位置の収納小束Wを後方に搬送する。その途中、小束識別部135が識別を行い、その結果に基づいて、小束収納部111(A)~111(D)のうちの収納先のものが、一対のフラッパ116を下方に開作動させて、ステージ117を小束水平搬送部131から結束小束Wを受け入れる位置まで上昇させ、ステージ117上に載置させる。制御部65は、このような作動を適宜行わせることで、小束回収カセット部121に一時貯留された金種相違の収納小束Wを小束収納部111(A)~111(D)の適正な金種のものに収納させる。
【0107】
そして、各部が待機状態に戻ると、制御部65は、小束紙幣出金処理の第1の取引を終了する。この小束紙幣出金処理の第1の取引においては、操作表示部66にスタート操作が入力されると、この第1の取引が終了するまで正常に処理が進行すれば、その間に、操作表示部66への操作入力なしで処理が進行することになる。
【0108】
以上のように、第二ユニット2のステージ92は、小束入出金部71に向けて収納小束W及び結束小束Wを搬送するものである。このステージ92に対して、小束受取部101によって第三の位置から結束小束Wを送り出し、この第三の位置とは異なる第二の位置P22から、小束水平搬送部131及び送出機構141によって収納小束Wを送り出すことにより、複数金種の小束紙幣Wを金種毎に纏めるように合流させる。その際に、制御部65は、ステージ92上に1束の小束紙幣Wが載置されるたびに、ステージ92を上方位置に移動させることで、小束入出金部71において複数束の小束紙幣Wを合流させる。また、制御部65は、第三の位置において、小束受取部101によって結束小束Wをステージ92に受け渡した後、第二の位置P22において、押出機構151によってステージ92から小束収納部111(A)~111(D)に向けて結束小束Wを送り出す。
【0109】
なお、以上の具体例では、小束入出金部71に一度に保留可能な範囲で小束紙幣Wを出金させる場合を例にとり説明したが、小束入出金部71に一度に保留可能な範囲を超えて小束紙幣Wを出金する場合、制御部65は、小束紙幣出金処理の一取引を開始する際に、当該一取引における小束紙幣Wの出金が複数金種に亘って指示されているときは、小束紙幣Wを一金種毎に、小束入出金部71によって機外へ取り出し可能に出金させる。すなわち、例えば、小束紙幣出金処理の一取引を開始する際に、当該一取引における小束紙幣Wの出金が、千円券の小束紙幣Wが8束と万円券の小束紙幣Wが15束とである場合、シャッタ81を閉じた状態で例えば先に千円券の8束の小束紙幣Wを小束入出金部71に保留させてからシャッタ81を開いて、千円券の8束の小束紙幣Wを機外に取り出し可能とし、千円券の8束の小束紙幣Wが機外に取り出されると、シャッタ81を閉じて万円券の10束の小束紙幣Wを小束入出金部71に保留させてからシャッタ81を開いて、万円券の10束の小束紙幣Wを機外に取り出し可能とし、万円券の10束の小束紙幣Wが機外に取り出されると、シャッタ81を閉じて万円券の5束の小束紙幣Wを小束入出金部71に保留させてからシャッタ81を開いて、万円券の5束の小束紙幣Wを機外に取り出し可能とする。
【0110】
また、同一金種の小束紙幣Wについて、収納小束出金処理と結束小束出金処理とを行う場合、1束目の小束紙幣Wが小束入出金部71に至るまでに要する時間が、収納小束出金処理の方が結束小束出金処理よりも速いため、上記のように収納小束出金処理による収納小束Wの小束入出金部71への搬送を先行して行い、結束小束出金処理による結束小束Wの小束入出金部71への搬送を後で行うようにする。
【0111】
なお、同一金種の収納小束W及び結束小束Wを小束入出金部71において纏めるようにしたが、纏めずに、処理時間が最短になるように制御して、収納小束W及び結束小束Wを小束入出金部71に保留させるようにしても良い。
【0112】
以上では、小束紙幣出金処理の一部としての結束小束補充処理について説明したが、操作表示部66へ結束小束補充処理の選択操作が入力されると、制御部65は、結束小束補充処理を単独で行う。この場合、小束収納部111(B)~111(D)に収納しきれない結束小束Wを小束収納部111(A)に収納する。
【0113】
以上の小束紙幣出金処理において、制御部65は、以下の動作パターンのいずれか一つを選択して決定する。制御部65は、決定した動作パターンに基づいて、処理を行う。
【0114】
[収納小束Wのみ出金させて、小束紙幣出金処理を終了するパターン]
このパターンを制御部65が選択する条件は、小束収納部111(B)と、小束収納部111(C),111(D)とが、収納小束Wを出金させた後も所定の収納量を維持していることである。
【0115】
[収納小束Wのみを出金させた後、または、収納小束Wと結束小束Wとを出金させた後、小束収納部111へ結束小束Wを補充させるパターン]
このパターンを制御部65が選択する条件は、補充させる結束小束Wを作成する分のバラ紙幣が、小束紙幣出金処理が終了した後でも、第一ユニット1のバラ紙幣収納部のうちの対応するものに確保されていること(但し、バラ紙幣収納部のうちの対応するものに残留させる必要がある所定枚数分は除く)である。
【0116】
[収納小束Wのみを出金させた後、または、収納小束Wと結束小束Wとを出金させた後、小束収納部111へ結束小束Wを補充させないパターン]
このパターンを制御部65が選択する条件は、補充させる結束小束Wを作成する分のバラ紙幣が、小束紙幣出金処理が終了した後、第一ユニット1のバラ紙幣収納部のうちの対応するものに確保されていない場合である。この場合、当該小束収納部111の残量は0になってしまうので、当該小束収納部111のエンプティを報知する。
【0117】
[結束小束Wのみ出金させるパターン]
このパターンを制御部65が選択する条件は、要求された金種の小束紙幣Wが小束収納部111に収納されていない場合(小束収納部111が空状態)である。小束紙幣出金処理が終了した時点において、第一ユニット1のバラ紙幣収納部のうちの対応するものに残留させるバラ紙幣が所定枚数分以外で、結束小束Wを作成するだけの枚数(100枚単位)が確保されている場合には、結束小束Wを作成して、当該小束収納部111へ補充させる動作を行っても良い。また、小束紙幣出金処理が終了した時点において、当該バラ紙幣収納部が、所定枚数未満となる場合には、予め、結束小束出金処理を行う前に操作表示部66によって、ユーザへその旨を伝え、承認を行っても良い。更に、小束紙幣出金処理の終了後、当該バラ紙幣収納部のニアエンプティ(またはエンプティ)を操作表示部66によって報知しても良い。
【0118】
制御部65は、小束紙幣出金処理時に金種毎に纏めて小束紙幣Wを出金する金種纏めについて、その有無を操作表示部66への選択操作によって決定するようにしても良い。
【0119】
[小束紙幣装填処理]
図25の太線は、操作表示部66へ入力された小束紙幣装填操作に基づいて、小束収納部111(B)~111(D)に機外から小束紙幣Wを収納する(入金する)小束紙幣装填処理における紙幣搬送ルートを示している。
【0120】
操作表示部66へ小束紙幣収納操作が入力されると、制御部65は、待機状態にあるステージ92を下降させて、一対のフラッパ82と高さを合わせる第一の位置P21に位置させることになり、その後、シャッタ81を開く。また、制御部65は、
図27に示すように、一対の第二面ガイド863を退避位置P32に移動させる。そして、開口部85Aを通して小束紙幣集積空間85に小束紙幣Wが装填されて、操作表示部66へスタート操作が入力されると、制御部65は、シャッタ81を閉じると共に、一対の第二面ガイド863を退避位置P32から支持位置P31(
図5参照)に移動させる。一対の第二面ガイド863は、支持位置P31に移動する動作によって、小束紙幣集積空間85に装填された小束紙幣Wの積層状態を整える。以下、この点につい説明する。
【0121】
一対の第二面ガイド863を退避位置P32から支持位置P31に移動させると、小束紙幣Wは、その短手方向(前後方向)において第一面ガイド862と一対の第二面ガイド863との間に挟まれ、小束紙幣Wの長手方向(左右方向)において一対の側面ガイド861の間に挟まれる。これにより、小束紙幣Wが小束紙幣集積空間85に斜行姿勢で装填されていても、小束紙幣集積空間85の左右方向に対する小束紙幣Wの長手方向の傾斜が小さくなるあるいは無くなるように、また、小束紙幣集積空間85の前後方向に対する小束紙幣Wの短手方向の傾斜が小さくなるようにあるいは無くなるように、小束紙幣Wの斜行姿勢が修正される。したがって、小束紙幣集積空間85に装填された小束紙幣Wの積層状態を整えることができる。すなわち、小束紙幣Wを小束紙幣集積空間85において整列した状態にすることができる。
【0122】
なお、上記した第二面ガイド863の動作を実施しても、小束紙幣Wが整列した状態とならない場合には、例えば姿勢検出センサ87(
図4参照)による小束紙幣Wの姿勢の検出結果に基づいて、第二面ガイド863の動作を複数回実施してもよい。また、小束紙幣Wが整列した状態とならない場合、制御部65は、例えば姿勢検出センサ87の検出結果に基づいて、入金処理を中断すると共に、操作表示部66等によって小束紙幣Wの不整列状態(斜行姿勢の状態)を報知し、ユーザに小束紙幣Wの装填状態を確認させてもよい。
【0123】
図28に示すように一対の第二面ガイド863を支持位置P31に移動させた後、制御部65は、
図29に示すように、一対のフラッパ82をフラッパモータ824(
図6、
図7参照)で下方に回動させて第二開位置P13に位置させ、その後、ステージ92を下降させて第二の位置P22で停止させる。そして、制御部65は、小束水平搬送部131の無端ベルト132を下方に突出する桟部133が後方に移動するように回転させて、押出機構151でステージ92上の小束紙幣Wを小束水平搬送部131に向けて押し出す。
【0124】
ここで、ステージ92上に積層された複数束の小束紙幣Wを押出機構151で小束水平搬送部131に向けて押し出す手順について説明する。
はじめに、
図29に示すように、ビルプレス88を下降させて第二の位置P22にあるステージ92との間に複数束の小束紙幣Wを挟む。次いで、
図30に示すように、押出機構151により最も下に位置(最下位値)する小束紙幣Wを小束水平搬送部131に向けて押し出す。この際、最下位値の小束紙幣Wは、上側に重なる小束紙幣Wやビルプレス88によって下方に押し付けられているため、最下位値の小束紙幣Wをステージ92から小束水平搬送部131に向けて整然と送り出すことができる。
【0125】
最下位値の小束紙幣Wが小束水平搬送部131に送り出された後には、
図31に示すように、ステージ92上にある残りの小束紙幣Wが自重で落下する。この際、ビルプレス88は、最下位値の小束紙幣Wを押し出す前の位置に維持されるため、ステージ92上に残っている小束紙幣Wの上方に間隔をあけて位置する。また、この状態では、押出機構151の押出バー152がステージ92の後側に位置する。
【0126】
その後、
図32に示すように、ステージ92を上昇させることで、ステージ92上に積層された残りの小束紙幣Wを押出機構151の押出バー152よりも上方に移動させて、ステージ92上の小束紙幣Wが、ステージ92の後側から前側に至る押出機構151の押出バー152の移動経路に干渉しないようにする。この際、ビルプレス88も上昇させる。
図32においては、ビルプレス88がステージ92上の小束紙幣Wの上端に接触しているが、例えば小束紙幣Wの上端に対して上方に間隔をあけて位置してもよい。
【0127】
その後、押出機構151の押出バー152をステージ92の前側の位置(
図29に示す位置)に戻すと共に、ステージ92を第二の位置P22まで下降させる。また、ビルプレス88を下降させて第二の位置P22にあるステージ92との間に小束紙幣Wを挟む。
上記した動作を繰り返すことにより、ステージ92から複数束の小束紙幣Wを一つずつ小束水平搬送部131に向けて押し出すことができる。
【0128】
上記のように押出機構151で小束水平搬送部131に押し出された小束紙幣Wは、小束水平搬送部131の桟部133で後方に搬送される。この搬送中に、小束識別部135が金種等を判別し、その結果に基づいて、小束収納部111(A)~111(D)の対応するものに収納させる。
【0129】
ここで、小束識別部135で異常が検出された小束紙幣Wについては、無端ベルト132を逆回転させて、
図25に太破線で示すように、小束回収カセット部121に一時貯留させる。小束識別部135で小束紙幣Wの異常が検出されると、その時点で小束水平搬送部131を停止させて操作表示部66に、異常の小束紙幣Wの場所を含むエラー報知を行わせても良い。
【0130】
上記を適宜繰り返して小束紙幣Wの装填を行った後、操作表示部66に小束紙幣装填処理終了の操作が入力されると、制御部65は、小束紙幣装填処理の最後に、
図25に太一点鎖線で示すように、小束回収カセット部121からの小束紙幣Wを、小束水平搬送部131で前方に搬送させ、送出機構141で第二の位置P22にあるステージ92上に繰り出させて、ステージ92を出金位置まで上昇させることで小束入出金部71に保留し、小束入出金部71にすべて保留させると、制御部65は、シャッタ81を開いて機外に取り出し可能として返却する。
【0131】
[収納小束回収処理]
図26の太線は、操作表示部66へ入力された小束紙幣回収操作に基づいて、小束収納部111(B)~111(D)の小束紙幣Wを小束回収カセット部121に収納させて回収する収納小束回収処理における紙幣搬送ルートを示している。
【0132】
操作表示部66へ小束紙幣回収操作が入力されると、制御部65は、
図26に太実線で示すように小束収納部111(A)~111(D)を所定の順番で、それぞれの小束紙幣Wを最上位置のものから小束水平搬送部131で前方に移動させ、小束識別部135で識別しつつ、正常なものは小束回収カセット部121に収納させ、異常なものは、
図26に太実線から太破線で示すように、小束水平搬送部131、送出機構141及びステージ92で小束入出金部71に搬送して保留させる。そして、小束収納部111(A)~111(D)の全ての小束紙幣Wが小束回収カセット部121あるいは小束入出金部71に搬送されると、小束入出金部71に保留されていた異常のある小束紙幣Wを、
図26に太一点鎖線で示すように、ステージ92、押出機構151及び小束水平搬送部131で小束回収カセット部121に収納させる。これにより、小束回収カセット部121には正常な小束紙幣Wが下方に纏められ、異常な小束紙幣Wが上方に纏められて収納される。そして、小束回収カセット部121ごと小束紙幣Wが機外に取り出される。
【0133】
なお、正常な小束紙幣Wを小束回収カセット部121に収納させ、小束回収カセット部121ごと正常な小束紙幣Wを機外に取り出させた後、別の空の小束回収カセット部121をセットさせ、この小束回収カセット部121に小束入出金部71から異常のある小束紙幣Wを収納させて、この小束回収カセット部121ごと異常のある小束紙幣Wを機外に取り出させるようにしても良い。また、小束識別部135で識別せずに、小束収納部111(A)~111(D)の全ての小束紙幣Wを小束回収カセット部121に収納させて機外に取り出させるようにしても良い。
【0134】
[小束全回収処理]
制御部65は、操作表示部66への操作により小束全回収操作が選択入力されると、小束全回収処理モードを実行することになり、この小束全回収処理モードにおいては、小束収納部111(B)~111(D)のうちの一金種用の小束収納部111から収納小束Wを全て、小束水平搬送部131、送出機構141及びステージ92によって小束入出金部71へ搬送した後に、第一ユニット1のバラ紙幣収納部のうち、当該一金種用のバラ紙幣収納部が収納しているバラ紙幣から結束部で可能な限りの結束小束Wを作成して小束入出金部71へ搬送する回収動作を、金種別に全金種行う。これにより、例えば、千円券の収納小束W及び結束小束Wを纏めて小束入出金部71へ1回または複数回保留させて機外に取り出させ、その後、万円券の収納小束W及び結束小束Wを纏めて小束入出金部71へ1回または複数回保留させて機外に取り出させることになる。
【0135】
[小束紙幣精査処理]
第二ユニット2では、操作表示部66へ入力された小束紙幣精査操作に基づいて、小束収納部111(B)~111(D)の精査対象のものの小束紙幣Wを小束回収カセット部121に一旦収納させる小束紙幣精査処理の精査往路処理を実施する。また、小束回収カセット部121に一旦収納させた小束紙幣Wを、小束識別部135で識別しつつ小束収納部111(B)~111(D)の対応するものに戻す小束紙幣精査処理の精査復路処理を実施する。
【0136】
操作表示部66へ小束紙幣精査操作が入力されると、制御部65は、小束収納部111(A)~111(D)のうちの所定の一つの小束収納部111について、精査往路処理として、小束紙幣Wを最上位置のものから小束水平搬送部131で前方に移動させ、小束回収カセット部121に収納させる。このようにして、この小束収納部111の小束紙幣Wを全て小束回収カセット部121に収納させる。その後、精査復路処理として、制御部65は、小束回収カセット部121の小束紙幣Wを最上位置のものから小束水平搬送部131で後方に移動させ、小束識別部135で識別しつつ、識別結果に基づく小束収納部111に収納させる。以降、他の小束収納部111についても順番に精査往路処理及び精査復路処理を行うことで、小束収納部111(A)~111(D)のそれぞれに収納されている小束紙幣Wの内訳を把握する。
【0137】
その結果、今回の精査結果と管理している機内在り高とが一致している場合に、制御部65は、精査結果を表示に表示して、小束紙幣精査処理を終了する。
【0138】
他方、制御部65は、今回の精査結果と管理している在り高とが相違している場合には、操作表示部66を介して、在り高の不一致を表示する。そして今回の精査結果を新たな機内在り高とする、在り高更新の承認について、ユーザへ入力を促す。ユーザより在り高更新の承認が操作表示部66に入力されると、機内在り高を今回の精査結果に更新して、自己精査処理を終了する。
【0139】
なお、上記説明では、精査復路処理持に小束識別部135による小束紙幣Wの識別を行わせたが、これに代えて、例えば、精査往路処理時に、小束識別部135による小束紙幣Wの識別を行わせて良い。このとき、小束識別部135は、小束紙幣Wの金種判別のみならず、結束帯の有無についても判定を行ってもよい。こうすることで、小束収納部111(A)~111(D)から繰り出された小束紙幣Wについて、結束帯の破損や結束不良に伴う結束帯の脱落などの異常状態を早期に検出することが可能となる。異常状態の小束紙幣Wを搬送させることは、搬送ジャムの原因となるおそれがあるため、制御部65は、当該異常状態の小束紙幣Wを検出後、小束水平搬送部131の搬送駆動を直ちに停止させ、ユーザに当該異常状態の小束紙幣Wを機内から回収させる異常復旧処理作業を行うように操作表示部66に報知させる。
【0140】
以上に述べた本実施形態の紙幣処理装置11では、小束入出金部71が、小束紙幣集積空間85に収納された小束紙幣Wの短手方向の奥側の端面を支持する第一面ガイド862と、小束紙幣集積空間85に収納された小束紙幣Wの短手方向の手前側の端面を支持する支持位置P31と、小束紙幣集積空間85に収納された小束紙幣Wの手前側の端面を支持しない退避位置P32との間で移動可能とされた第二面ガイド863と、を有する。
【0141】
このため、ユーザが小束紙幣集積空間85に小束紙幣Wを挿入してセットするときに、小束紙幣Wが斜行姿勢で配置されていても、第二面ガイド863が退避位置P32から支持位置P31に移動することで、小束紙幣Wは、その短手方向において第一面ガイド862と第二面ガイド863との間に挟まれる。これにより、小束紙幣Wの斜行姿勢が修正され、小束紙幣Wを小束紙幣集積空間85において整列した状態にすることができる。したがって、小束紙幣Wが小束紙幣集積空間85から搬送されて入出金機構73(特に小束水平搬送部131)に受け渡す際に、小束紙幣Wの斜行姿勢に基づいて取り込み不良が発生することを抑制することができる。その結果として、ユーザにとって使い勝手の良い紙幣処理装置11を提供することができる。
【0142】
また、本実施形態の紙幣処理装置11では、第二面ガイド863が退避位置P32に配置された状態で、小束紙幣集積空間85の開口部85Aを覆わないように位置する。これにより、第二面ガイド863を退避位置P32に配置することで、第二面ガイド863によって阻害されることなく、開口部85Aを通して小束紙幣集積空間85に小束紙幣Wを容易に出し入れすることができる。
【0143】
また、本実施形態の紙幣処理装置11では、小束紙幣集積空間85に収納された小束紙幣Wを載置する載置部91が、小束紙幣集積空間85とその下方に設けられた入出金機構73との間で上下方向に移動可能なステージ92を有する。また、ステージ92は、小束紙幣Wの出金時に、入出金機構73によって出金された小束紙幣Wを支持して上方に移動することで当該小束紙幣Wを小束紙幣集積空間85に搬送し、かつ、小束紙幣Wの入金時に、小束紙幣集積空間85に収納された小束紙幣Wを支持して下方に移動することで当該小束紙幣Wを入出金機構73に搬送する。
このため、ステージ92上に小束紙幣Wを載置した状態でステージ92を上下方向に移動させることで、ステージ92によって小束紙幣Wを入出金機構73と小束入出金部71との間で搬送することができる。これにより、紙幣処理装置11に対する小束紙幣Wの入出金を確実に行うことができる。
【0144】
また、本実施形態の紙幣処理装置11では、ステージ92と独立して上下方向に移動可能とされ、ステージ92との間に小束紙幣Wを挟持可能なビルプレス88が設けられている。ステージ92上に載置された小束紙幣Wをビルプレス88との間に挟むことで、押出機構151等によって小束紙幣Wをステージ92上から小束収納部111に向けて整然と送り出すことができる。特に、ステージ92上に載置された最後1つの小束紙幣Wを整然と送り出すことができる。
【0145】
また、本実施形態の紙幣処理装置11では、小束収納部111が、小束紙幣集積空間85に対して後方(第一直交方向の一方側)にずれて位置し、ビルプレス88が、ステージ92上に載置された小束紙幣Wのうち後方(第一直交方向の一方側)の部位をステージ92との間に挟持する。このため、ステージ92上に載置された最後1つの小束紙幣Wをステージ92から小束収納部111に向けて後方に整然と送り出すことができる。以下、この点について説明する。
【0146】
ビルプレス88をステージ92上に載置された最後1つの小束紙幣Wの一部領域だけに押し付けた場合には、当該小束紙幣Wのうちビルプレス88に押し付けられていない部分が上方に膨らみやすい。これに対し、上記の構成では、ビルプレス88を小束紙幣Wのうち後方(第一直交方向の一方側)の部位、すなわち、小束紙幣Wのうちこれを小束収納部111に向けて送り出す方向の先端側部位に押し付ける。これにより、小束紙幣Wをステージ92から小束収納部111側に送り出す際に、小束紙幣Wの先端側の部位が上方に膨らむことを抑制又は防止できる。したがって、小束紙幣Wの上方への膨らみに基づいて当該小束紙幣Wのステージ92から小束収納部111への送り出しに支障が出ることを抑制又は防止することができる。
【0147】
また、本実施形態の紙幣処理装置11では、ビルプレス88は、ステージ92上に載置された小束紙幣Wのうち左右方向(上下方向から見て第一直線方向に直交する第二直線方向)の両端部をステージ92との間に挟持する。このため、押出機構151によって最後1つの小束紙幣Wをステージ92から小束収納部111へ向けて送り出す際に、押出機構151の一対の押出バー152が小束紙幣Wの左右方向の両端部に押し付けられても、小束紙幣Wの左右方向の両端部が上方に膨らむことを防ぐことができる。これにより、小束紙幣Wを押出機構151によって支障なくステージ92から小束収納部111に向けて送り出すことができる。
【0148】
また、本実施形態の紙幣処理装置11では、入出金機構73が、ステージ92から小束収納部111側に向けて小束紙幣Wを押し出す押出機構151と、小束収納部111側からステージ92に小束紙幣Wを送り出す送出機構141と、を備える。これら押出機構151と送出機構141とにより、ステージ92と小束収納部111との間で小束紙幣Wの受け渡しを確実に行うことができる。
【0149】
また、本実施形態の紙幣処理装置11では、載置部91が、小束紙幣集積空間85の下端部に位置する一対のフラッパ82を有する。一対のフラッパ82は、水平に配置されて小束紙幣集積空間85に周のされた小束紙幣Wを支持可能な閉位置P11と、垂直に配置されて小束紙幣Wを支持しない第二開位置P13(開位置)との間で移動可能となっている。
一対のフラッパ82を閉位置P11に配置することで、小束紙幣集積空間85に収納された小束紙幣Wを支持して小束紙幣集積空間85に保持することができる。一方、一対のフラッパ82を第二開位置P13に配置した状態では、小束紙幣Wやビルプレス88が一対のフラッパ82と干渉することなく、一対のフラッパ82の上下に移動することができる。また、一対のフラッパ82を閉位置P11に配置した状態では、載置部91をなすステージ92を小束紙幣集積空間85の下方に移動させても、小束紙幣Wを支持して小束紙幣集積空間85に保持することができる。すなわち、ステージ92を他の用途(例えば小束紙幣Wを上下方向に搬送する用途)に使用することができる。
【0150】
また、本実施形態の紙幣処理装置11では、載置部91を構成するステージ92と一対のフラッパ82とが、上下方向から見て互いに重ならないように配置されている。このため、一対のフラッパ82を閉位置P11に配置した状態であっても、ステージ92を一対のフラッパ82に対して上下方向に通過させることができる。これにより、小束紙幣Wをステージ92上から閉位置P11に配置された一対のフラッパ82上に簡単に受け渡すことができる
【符号の説明】
【0151】
11 紙幣処理装置
71 小束入出金部
73 入出金機構
82 フラッパ
85 小束紙幣集積空間
88 ビルプレス
91 載置部
92 ステージ
111 小束収納部
141 送出機構
151 押出機構
861 側面ガイド
862 第一面ガイド
863 第二面ガイド
P11 閉位置
P13 第二開位置(開位置)
P31 支持位置
P32 退避位置
W 小束紙幣