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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】回転流発生装置及び半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
   F04F 5/10 20060101AFI20240828BHJP
【FI】
F04F5/10 H
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020557397
(86)(22)【出願日】2018-11-22
(86)【国際出願番号】 JP2018043255
(87)【国際公開番号】W WO2020105188
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-05-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】501138046
【氏名又は名称】株式会社コンタミネーション・コントロール・サービス
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】進藤 豊彦
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】西 秀隆
【審判官】長馬 望
(56)【参考文献】
【文献】実開平1-160200(JP,U)
【文献】特開2002-89499(JP,A)
【文献】特開2011-141024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04F5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体が内部を流れる管部材に着脱可能で、
前記管部材に装着されたときに、前記管部材の中心軸線と平行になる流体流通孔を複数備え、
前記流体流通孔のぞれぞれにチューブが挿入され、前記チューブの先端は前記管部材の内部に突出した突出部で、
前記突出部は、前記チューブごとに、
前記中心軸線と平行な平面上でみたときの、前記中心軸線と平行な直線に対する角度θ1及び/又は
下流側から見た平面図おいて、前記中心軸線から前記突出部の始点へと径方向に延びる直線に対する角度θ2が異なる、
回転流発生装置。
【請求項2】
請求項に記載の回転流発生装置を備える半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転流発生装置、配管システム、半導体製造装置及び熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、反応ガスを用いる処理を行う半導体製造装置のガス排出用の管部材は、反応副生成物等が排気ガスに含まれるため、詰まり易い。その詰まりを防止するため、管部材の外部に面状ヒータを巻きつけて加熱し、生成物を付着しにくくしているものがある(特許文献1参照)。
また、管部材の内部に高温希釈ガスを流し、生成物を分解して希釈ガスとともに流出す方法もある(特許文献2参照)。
さらに、軸部と、軸部に固定された案内羽根と、を備え、管内に回転流を発生させるものもある(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-250696号公報
【文献】特開2004-165584号公報
【文献】特開2011-141024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の従来技術によると、原理的には、高温にすれば管部材の内壁への付着はなくなる。しかし、実際には種々の部品があるために内壁への付着を防止できるほどの高温にはできず、詰まりが発生してしまう。
また、特許文献2に記載の従来技術によると、内壁での流速が非常に遅くなるため、内壁においては温度が下がり、詰まりが発生してしまう。
さらに、特許文献3に記載の従来技術によると内壁の付着物は低減されるが、長期間使用すると、内壁に沈着物が生じる場合がある。
【0005】
本発明の課題は、管部材の詰まりを、より良好に防止可能な回転流発生装置、配管システム、半導体製造装置及び熱交換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、第1流体が流れる管部材に着脱可能で、前記管部材の中心軸線に対して傾いた方向に第2流体を噴射する噴射口を備える回転流発生装置を提供する。
前記方向は、前記回転流発生装置の軸線に対して、ねじれの位置関係にある方向であることが好ましい。
前記方向は、前記回転流発生装置の前記軸線を中心とした円の接線に沿い、且つ前記軸線と平行な平面上における、前記軸線に対して傾いて設けられている方向であってもよい。
前記噴射口は、前記噴射口が設けられている部分の下流側に位置する管壁に沿って前記第2流体を噴射するように設けられていてもよい。
前記方向は、前記第1流体の流路の下流側へ向かうにつれて、前記噴射口が設けられている部分の下流側に位置する管の外径側に向かうように傾いていてもよい。
前記方向は、前記第1流体の流路の下流側へ向かうにつれて、前記噴射口が設けられている部分の下流側に位置する管の内径側に向かうように傾いていてもよい。
前記第1流体の流路の外周を囲むとともに、前記第2流体が流入する流入口が設けられた第2流体室を備え、前記噴射口は、前記第2流体室における、前記第2流体室と前記流路とを隔てる側壁部に設けられた貫通孔に設けられていてもよい。
前記貫通孔が前記第1流体の流れる方向に対して傾いて設けられていてもよい。
前記貫通孔は、前記第1流体の流れる方向と平行で、前記貫通孔にはチューブが挿入され、前記チューブの先端は、前記側壁部から前記流路側に突出し、且つ前記第1流体の流れる方向に対して傾いた突出部を有していてもよい。
【0007】
また、本発明は、上記の回転流発生装置を備える配管システムを提供する。
【0008】
さらに、本発明は、上記の回転流発生装置を備える半導体製造装置を提供する。
【0009】
また、本発明は、上記の回転流発生装置を備える熱交換器を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、管部材の詰まりを、より良好に防止可能な回転流発生装置、配管システム、半導体製造装置及び熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の回転流発生装置1の概略斜視図である。
図2】回転流発生装置1の断面斜視図である。
図3】軸線Aを中心とした円の接線であるB-B線を含み、軸線Aと平行で、且つ第2流体流通孔14を通る平面Sで切断した回転流発生装置1の断面図である。
図4】実施形態の回転流発生装置1を、半導体製造装置100に適用した例を示した図である。
図5図4の半導体製造装置100における回転流発生装置1が接続されている部分の拡大図である。
図6】第2実施形態の回転流発生装置1Aを示した図である。
図7】第2実施形態の回転流発生装置1Aを下流側から見た図である。
図8】本発明をベンチュリー管に適用した形態を説明する図である。
図9図8のS部分の拡大図である。
図10】マンションなどの下水処理配管に実施形態の回転流発生装置を適用した形態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、第1実施形態の回転流発生装置1の概略斜視図である。回転流発生装置1は、第1流体の流路Fの途中に配置される略円筒部材である。
【0013】
回転流発生装置1は、回転流発生部10と、回転流発生部10における、第1流体の流路Fの下流側に延びる下流側円筒部20と、上流側に延びる上流側円筒部30と、下流側円筒部20の下流側端部に取り付けられた下流側フランジ部21と、上流側円筒部30の上流側端部に取り付けられた上流側フランジ部31と、を備える。下流側フランジ部21及び上流側フランジ部31には、それぞれボルト孔21a,31aが設けられている。
【0014】
(回転流発生部10)
図2は回転流発生装置1の断面斜視図である。回転流発生装置1の回転流発生部10は、第1流体が流れる流路Fの外周を囲む円環状部材である。
【0015】
回転流発生部10は、外側円管10aと、外側円管10aと同じ長さで、外側円管10aと同軸に配置された内側円管10bと、外側円管10aの外径と同じ外径且つ内側円管10bの内径と同じ内径を有する前側円板10cと、外側円管10aの外径と同じ外径且つ内側円管10bの内径と同じ内径を有する後側円板10dと、を備える。
そして、同軸に配置された外側円管10aと内側円管10bとの前側を前側円板10c、後側を後側円板10dで覆うことにより、間に第2流体室11が形成されている。
【0016】
(流入管13)
外側円管10aには流入口12が開口形成され、流入口12から外径方向に流入管13が延びている。
【0017】
(第2流体流通孔14)
前側円板10cは、第2流体室11と第1流体の流路Fとを隔てる側壁部であり、厚さ方向に貫通し、第1流体側が噴射口14aである第2流体流通孔14が設けられている。第2流体流通孔14は、前側円板10cにおいて、回転流発生部10の軸線Aを中心とした円周上に互いに均等な間隔で6カ所設けられている。ただし、数は6以上でも以下でもよい。なお、軸線Aは、第1流体の流路Fと平行である。
【0018】
図3は、軸線Aを中心とした円の接線であるB-B線を含み、軸線Aと平行で、且つ第2流体流通孔14を通る平面Sで切断した回転流発生装置1の断面図である。
【0019】
図示するように、第2流体流通孔14は、回転流発生部10の軸線Aに対して傾いている。実施形態では、さらに、第2流体流通孔14と軸線Aとは、ねじれの関係にある。ねじれの関係とは、第2流体流通孔14と軸線Aとが平行でなく、かつ、交差していない時の、位置関係のことである。
第2流体流通孔14と軸線Aとの関係を別の言い方で表現すると、第2流体流通孔14は、第2流体流通孔14を含み、且つ軸線Aと平行な平面上において、軸線Aと平行な直線A’に対して角度θ1で傾いている。
さらに、別の言い方で表現すると、第2流体流通孔14は、軸線Aを中心とした円の接線であるB-B線に沿い、且つ軸線Aと平行な平面(接平面、接点において、円に「触れるだけ」の平面)S上において、軸線Aと平行な直線A’に対して角度θ1で傾いて設けられている。
また、角度θ1は20度から70度が好ましく、30から60度がさらに好ましい。20度未満では洗浄効果が劣り、70度を超えると製作が難しい。実施形態では30度である。
【0020】
(半導体装置への適用例)
図4は実施形態の回転流発生装置1を、半導体製造装置100に適用した例を示した図である。図5図4の半導体製造装置100における回転流発生装置1が接続されている部分の拡大図である。
【0021】
半導体製造装置100は、ガス供給管102とガス排出管(管部材)103とが接続された基板処理室101と、ガス排出管103に取り付けられた実施形態の回転流発生装置1と、排気トラップ106と、除害装置107と、真空ポンプ105と、回転流発生装置1に第2流体を供給する第2流体供給設備200とを備える。
【0022】
(基板処理室101)
基板処理室101は、石英等によって形成され、開口部を介して処理される基板104が出し入れされる。
【0023】
(ガス供給管102)
ガス供給管102は、基板処理室101の一方に接続されている。ガス供給管102は、基板処理室101に処理ガスを供給する。
【0024】
(ガス排出管103)
ガス排出管103は、基板処理室101の他方に接続されている。ガス排出管103は、流路Fの下流側において真空ポンプ105に接続されている。真空ポンプ105と基板処理室101との間には、実施形態に係る回転流発生装置1と、排気トラップ106と、除害装置107とが配置されている。図4において回転流発生装置1が2つ設けられているが、これに限定されず、1つでよく、3以上でもよい。
【0025】
(真空ポンプ105)
真空ポンプ105は、基板処理室101での処理ガスの反応によって生成された処理済みガス(第1流体)等を、ガス排出管103を介して排気する。
【0026】
(排気トラップ106)
排気トラップ106は、基板処理室101から排出されてガス排出管103を流れる処理済みガスから、反応副生成物等を除去する。排気トラップ106は交換可能で、捕集した反応副生成物等を回収できるようになっている。
【0027】
(除害装置107)
除害装置107は、後述する洗浄ガスを含む処理済みガスに含まれる有害成分を無害化する。
【0028】
(第2流体供給設備200)
第2流体供給設備200は、洗浄ガス源201と、蓄圧部202とを備え、洗浄ガス源201から蓄圧部202を通って流入管13へ接続される第1洗浄ガス流路R1と、洗浄ガス源201から蓄圧部202を通らずに流入管13へ接続される第2洗浄ガス流路R2とを備える。
第1洗浄ガス流路R1には第1バルブB1と第2バルブB2とが設けられ、第2洗浄ガス流路R2には第3バルブB3と逆止弁B4とが設けられている。
洗浄ガスとしては、用途に応じて、反応副生成物を除去可能な、例えばNガス,ホットNガス,NガスとFガスとの混合ガス等である。
【0029】
上記構成の半導体製造装置100において、基板処理室101内に基板104を載置して、ガス供給管102を介して基板処理室101に処理ガスを供給する。そして、基板処理室101に供給された処理ガスにより、例えば、基板104の表面に膜を生成する。
【0030】
基板処理室101で反応した後の処理済みガスは、真空ポンプ105の駆動によってガス排出管103を介して吸引されて排出される。その際、処理済みガスに含まれる反応副生成物等は、排気トラップ106によって捕集して回収される。
しかし、処理済みガスの流路Fは、ガス排出管103の中央部で最も流速が速く、内壁に近づくにつれて遅くなる。この場合、後述する実施形態の洗浄ガスの流れがない場合、内壁近傍では処理済みガスが停滞して反応副生成物が内壁に付着する可能性がある。
【0031】
実施形態では、このような内壁近傍での反応副生成物の付着を以下のように防止することができる。
【0032】
(定常状態)
まず、第2流体供給設備200において、バルブB1,B3が開いた状態且つバルブB2が閉じた状態(常流状態)にする。
この状態において、洗浄ガスは、所定圧力で第2洗浄ガス流路R2を通って流入管13より回転流発生装置1の第2流体室11に流入する。第2流体室11に流入した洗浄ガスは、第2流体流通孔14より噴射される。
このとき、噴射される洗浄ガスは、軸線Aに対して角度が付いているため、図5に示すように軸線Aを中心とした回転しながら下流方向に流れる回転流(旋回流、螺旋流)を形成する。ガス排出管103を回転流となって流れる洗浄ガスは、ガス排出管103の内壁面に衝突してその表面に形成される境界層を破壊する(または境界層の形成を防ぐ)。このため、境界層による流速および温度の低下に起因して生ずる、処理済みガスに含まれる反応副生成物の析出を抑制することができる。
【0033】
その結果、反応副生成物等の内壁面への付着に起因するガス排出管103の詰まりを抑制することができ、メンテナンスの頻度およびそのための休止時間を少なくでき、半導体製造装置100の稼働効率を向上させることが可能となる。
【0034】
(大流量状態)
上述の定常状態ではバルブB1が開いて、バルブB2が閉じているため、蓄圧部202において洗浄ガスが蓄圧される。そして、定期的にバルブB2を開くと、蓄圧部202に蓄圧された洗浄ガスがガス排出管13に一気に流入される。これにより、大流量の洗浄ガスが14より噴射されるので、定常状態において仮に反応副生成物が析出した場合であっても、析出した反応生成物を一気に洗い流すことができる。
【0035】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図6は第2実施形態の回転流発生装置1Aを示した図で、上半分が断面図、下半分が側面図である。図7は、第2実施形態の回転流発生装置1Aを下流側から見た図である。
第1実施形態と異なる点は、第2流体流通孔14Aが回転流発生部10Aの軸線Aに対して平行であり、第2流体流通孔14Aに、第2流体室11Aから流路Fまで延びるチューブ15Aが挿入されている点である。そして、チューブ15Aは前側に向って流路F側に突出し、その突出部15aは第1流体の流れる方向に対して傾いている。
【0036】
突出部15aは、突出部15aを含み、且つ軸線Aと平行な平面上において、軸線Aと平行な直線A’に対して角度θ1で傾いている。軸線Aに対する傾きの角度θ1は、15度から80度が好ましく、45度から80度がより好ましい。15度未満では、ガスの旋回流のピッチが大きすぎて洗浄効果がまだらになりやすく、80度を超えるとガスの旋回流のピッチが小さすぎ、長い距離の洗浄が難しい。
また、図7に示すように、回転流発生装置1Aを下流側から見た平面図おいて、中心点(軸線A)から突出部15aの始点へと径方向に延びる直線と、突出部15aとの角度θ2は、20度から170度が好ましく、40度から130度がさらに好ましく、50度から70度が特に好ましい。20度未満あるいは170度を超えると洗浄効果が低くなる。
【0037】
また、回転流発生部10は、下流側円筒部20及び上流側円筒部30と別体に製造されていない。上流側円筒部30の下流側を肉厚にし、肉厚部の外周側に凹部を形成し、下流側円筒部20の上流側でその凹部を覆うようにすることで第2流体室11を形成している。そして、第2流体流通孔14Aも上流側円筒部30の下流側端部に軸線Aと平行な溝を形成し、その外周を下流側円筒部20により覆うことで形成している。
【0038】
第2実施形態の場合も、回転流発生装置1Aは第1実施形態の回転流発生装置1と同様に機能するため、第1実施形態と同様の効果を有する。
さらに、第2実施形態によると、第2流体流通孔14Aを斜めに形成する必要がないため、第2流体流通孔14Aの製造が容易である。
そして、第2流体流通孔14Aに、例えば金属製のチューブ15Aを挿入して、突出部15aを流路Fに対して斜めに折り曲げることにより、ガス排出管103の内壁へ向かう方向に第2流体を噴射する噴射口を容易に製造することができる。
また、回転流発生部10を、下流側円筒部20及び上流側円筒部30と別体に製造していないので、製造が容易となる。
【0039】
さらに、チューブ15Aごとに軸線Aに対する傾きの角度θ1及び/又はθ2を変えることにより、容易に様々な方向(ピッチ)に流れる回転流(旋回流、螺旋流)を容易に形成することができる。このように様々な方向に流れる回転流を発生させることにより、より反応副生成物等の内壁面への付着防止、付着物の除去をより効果的に行なうことができる。
【0040】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
【0041】
上述したように第2流体流通孔14又はチューブ15Aの突出部15aと軸線Aとが、ねじれの関係であることが好ましい。しかし、第2流体流通孔14又は突出部15aは、回転流発生装置1,1Aの軸線Aに対して傾いていれば、流路Fを流れる流体を管壁に押し付ける効果が得られるので、第2流体流通孔14又は突出部15aと軸線Aとは、ねじれの関係でなくてもよい。
【0042】
また、第2流体流通孔14又は突出部15aは平面Sと平行でなくてもよく、平面Sに対して傾いていてもよい。傾く場合、第2流体流通孔14又は突出部15aは、第1流体の流路Fの下流側へ向かうにつれて外径側に傾いていてもよく、また、第1流体の流路Fの下流側へ向かうにつれて内径側に傾いていてもよい。
【0043】
上述の回転流発生装置は、回転流発生部の両端に、それぞれ、第1流体が流れる管部材との接続用のフランジを有する下流側円筒部と上流側円筒部を取り付けた形態であるが、これに限定されない。例えば、回転流発生部の前側円板10cと、後ろ側円板10dとの外径を外側円管10aの外径より大きくして、フランジを兼用し、下流側円筒部と上流側円筒部を設けない形状であっても良い。
【0044】
上述の回転流発生装置は、回転流発生部の両端に、それぞれ径が一定の下流側円筒部と上流側円筒部を取り付けた形態であるがこれに限定されない。図8は、本発明をベンチュリー管に適用した形態を説明する図である。図9図8のS部分の拡大図である。
【0045】
図8に示すように下流側円筒部20Bと上流側円筒部30Bとが、回転流発生部10Bに向って径が小さくなっている。すなわち、ベンチュリー管に回転流発生部10Bを取り付けた構造である。このように、ベンチュリー管に回転流発生部10Bを設けたことにより、ベンチュリー管においても、付着物を防止することができる。
なお、このように、回転流発生部10Bの下流側の管20Bの管壁が斜め(下流側に向って管径が拡大又は縮小している)の場合、第2流体流通孔14bは、軸線Aに対してねじれの関係であり且つ、図9に示すように回転流発生部10Bの下流側の管壁に沿って傾いていることが好ましい。
【0046】
本実施形態は、回転流発生装置1によって生成する回転流によって、ガス排出管103の内壁への、処理済みガスに含まれる反応副生成物等の付着を抑制するものである。しかし、本発明の回転流発生装置1は、熱交換器における熱媒体の管路に適用しても良い。熱交換器に適用することにより、回転流によって管路内壁面の境界層を破壊することが可能であるため、熱交換効率を向上させることができる。
【0047】
また、実施形態の回転流発生装置1は、例えば、温泉供給配管、下水処理配管などの分野においても配管のつまりを防止することができる。図10は、マンションなどの下水処理配管に実施形態の回転流発生装置1を適用した形態を示した図である。
【0048】
例えば、各戸から延びる下水管203の途中に回転流発生装置1を取り付け、また、下水管の本流204にも回転流発生装置1を取り付ける。それぞれの回転流発生装置1には、逆止弁及びバルブを介して加圧タンク205が取り付けられている。加圧タンク205には水とエアとの供給源が連結されている。
【0049】
水と加圧タンク205との間のバルブcと、加圧タンク205と回転流発生装置1との間のバル部aを開いて、定常的に少量の水を流し続けることにより、各戸からの下水管203内に回転流を発生させる。これにより、下水管203のつまりを防止することができる。
【0050】
また、少量の水を流していた場合において仮につまりが発生した場合などは、バルブbを開いてエアーを加圧タンク205に供給することで、水圧を上げた状態で水を回転流発生装置1に流入することで、下水管203,204に強力な回転流を発生させ、これによりつまりを解消させることができる。
【0051】
なお、上述した実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0052】
1 回転流発生装置
10 回転流発生部
10c 前側円板
11 第2流体室
12 流入口
13 流入管
14 第2流体流通孔
14a 噴射口
20 下流側円筒部
30 上流側円筒部
100 半導体製造装置
101 基板処理室
102 ガス供給管
103 ガス排出管
104 基板
105 真空ポンプ
106 排気トラップ
107 除害装置
200 第2流体供給設備
201 洗浄ガス源
202 蓄圧部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10