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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】分電盤
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/40 20060101AFI20240828BHJP
【FI】
H02B1/40 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021036329
(22)【出願日】2021-03-08
(65)【公開番号】P2022136625
(43)【公開日】2022-09-21
【審査請求日】2023-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000109598
【氏名又は名称】テンパール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 悠磨
(72)【発明者】
【氏名】細川 智史
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-189643(JP,A)
【文献】特開2009-290945(JP,A)
【文献】特開平11-205921(JP,A)
【文献】特開2006-271173(JP,A)
【文献】特開2018-148628(JP,A)
【文献】特開2015-012660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向で離間する第一電気機器及び第二電気機器と、
前記第一電気機器及び前記第二電気機器よりも上側に配置され、前記第一電気機器と前記第二電気機器を電気的に接続する接続導体と、
前記第一電気機器と前記第二電気機器と前記接続導体を収容するケースと、を備え、
前記接続導体は、左右方向に配置される天側部と、該天側部から前後方向に設けられる前後側部と、を備え、
前記天側部と前記前後側部は、前記ケース内で上向きに流れる気流を左右両側に分流する分流部を構成することを特徴とする分電盤。
【請求項2】
前記第一電気機器は主幹ブレーカとして構成され、
前記第二電気機器は分岐ブレーカとして構成され、
前記前後側部は、前記主幹ブレーカの上側に対向するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の分電盤。
【請求項3】
左右方向で離間する前記第一電気機器と前記第二電気機器の間に形成される離間領域を備え、
前記前後側部は、前記離間領域の上側に対向するように配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分電盤。
【請求項4】
前記前後側部は、前記第一電気機器の上側と前記第二電気機器の上側に対向するように配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の分電盤として、例えば、特許文献1記載のものが存在する。この分電盤は、基台に取り付けられることでケーシングに収容された主幹ブレーカ及び複数の分岐ブレーカと、前記複数の分岐ブレーカが配列する方向が長手方向となり、前記複数の分岐ブレーカに電気的に接続する母線バーと、前記主幹ブレーカからの電源接続線となる渡りバーと、前記母線バーの長手方向両端に配置され、前記母線バーを支持する一対の母線バー支持部材と、前記一対の母線バー支持部材に接当するように配置された母線バーカバーとを備え、前記一対の母線バー支持部材には開口が形成され、一方の母線バー支持部材には前記渡りバーを前記母線バーと電気的に接続する導体接続用端子台が形成され、前記渡りバーの端部が前記導体接続用端子台に固定されることで、前記主幹ブレーカと前記母線バーが電気的に接続し、前記基台と前記母線バーカバーと前記分岐ブレーカの一端面とによって、通風用のダクトが形成されている。
【0003】
この分電盤では、空気が一方の母線バー支持部材に形成された開口からダクトに流れ込み、他方の母線バー支持部材に形成された開口から流出することで、母線バーが効率的に放熱できる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-12660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ケーシング内では、主幹ブレーカは分岐ブレーカよりも高温となる。そのため、特許文献1記載の分電盤では、主幹ブレーカで発生した熱を帯びた空気が、前記主幹ブレーカの近傍に位置する一方の母線バー支持部材の開口から通風用のダクト内に流れることで、前記主幹ブレーカで発生した熱は前記複数の分岐ブレーカに伝わり、前記複数の分岐ブレーカの誤動作や故障を生じさせるおそれがある。なお、このような問題は、主幹ブレーカと分岐ブレーカである場合に限らず、熱源となりうる電気機器全般において考えられる。
【0006】
そこで、本発明は、電気機器の誤作動が生じることを抑制できる分電盤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、左右方向で離間する第一電気機器及び第二電気機器と、前記第一電気機器及び前記第二電気機器よりも上側に配置され、前記第一電気機器と前記第二電気機器を電気的に接続する接続導体と、前記第一電気機器と前記第二電気機器と前記接続導体を収容するケースと、を備え、前記接続導体は、左右方向に配置される天側部と、該天側部から前後方向に設けられる前後側部と、を備え、前記天側部と前記前後側部は、前記ケース内で上向きに流れる気流を左右両側に分流する分流部を構成することを特徴とする分電盤である。
【0008】
前記構成によれば、前記接続導体は、左右方向に配置される前記天側部と、該天側部から前後方向に設けられる前記前後側部と、を備え、前記天側部と前記前後側部は、前記ケース内で上側に流れる気流を左右両側に分流する前記分流部を構成するため、該分流部が、前記ケース内で上側に流れる気流を左右両側に分流することで、例えば、前記第一電気機器及び前記第二電気機器の一方で発生した熱の少なくとも一部が、他方に伝わることを抑制できる。
【0009】
また、前記第一電気機器は主幹ブレーカとして構成され、前記第二電気機器は分岐ブレーカとして構成され、前記前後側部は、前記主幹ブレーカの上側に対向するように配置されていてもよい。
【0010】
前記構成によれば、前記前後側部は、前記主幹ブレーカの上側に配置されているため、前記分流部が前記ケース内で上側に流れる気流を、前記主幹ブレーカの上側で左右両側に分流することで、前記主幹ブレーカの周りで空気を対流させることができ、前記主幹ブレーカが発する熱の一部を、前記分岐ブレーカに伝わりにくくすることで、前記主幹ブレーカを集中的に放熱できる。
【0011】
また、左右方向で離間する前記第一電気機器と前記第二電気機器の間に形成される離間領域を備え、前記前後側部は、前記離間領域の上側に対向するように配置されていてもよい。
【0012】
前記構成によれば、前記前後側部は、前記離間領域の上側に対向するように配置されるため、前記分流部は、前記離間領域を通って前記ケース内で上側に流れる気流を左右両側に分流でき、前記第一電気機器及び前記第二電気機器の一方で発生した熱を、他方に伝わりにくくできる。
【0013】
また、前記前後側部は、前記第一電気機器の上側と前記第二電気機器の上側に対向するように配置されていてもよい。
【0014】
前記構成によれば、前記前後側部は、前記第一電気機器の上側と前記第二電気機器の上側とに対向するように配置されるため、前記分流部は前記ケース内で上側に流れる気流を、第一電気機器の周りを対流して集中放熱する気流と、第二電気機器の周りを対流して集中放熱する気流とに分流できる。
【発明の効果】
【0015】
以上、本発明の分電盤によれば、前記分流部が、前記ケース内で上側に流れる気流を左右両側に分流することにより、前記第一電気機器及び前記第二電気機器の一方で発生した熱の少なくとも一部が他方に伝わることを抑止でき、また、一方の気流で一方の電気機器を、他方の気流で他方の電気機器を各々放熱できるため、前記第一電気機器及び前記第二電気機器が誤作動を起こすことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る実施形態の分電盤の正面図であって、蓋ケースを省略した図である。
図2】同実施形態の分電盤の底面図であって、底ケースの一部を破断面とし、蓋ケースを二点鎖線で図示した図である。
図3】同実施形態の分電盤の断面図であって、離間領域を左右方向に切断した図である。
図4】同実施形態の分電盤の斜視図であって、ケースを二点鎖線で示した図である。
図5】同実施形態における接続導体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る分電盤の実施形態について説明する。なお、以下の説明に際しては、図1に示す分電盤の上下方向を「上下方向」と、分電盤の左右方向を「左右方向」と、前記上下方向と前記左右方向に直交する方向(図1の紙面表裏方向)を「前後方向」として特定する。
【0018】
分電盤1は、例えば住宅に設置されるもので、送配電線から電力量計などの外部機器を介して住宅内に引き込まれてきた電気を住宅内の電化製品などの負荷に分電して供給するために利用される。この分電盤1は、ケース2と、内部機器とを備える。
【0019】
ケース2は、内部機器(具体的には、第一電気機器40と第二電気機器41と接続導体6)を収容する。このケース2は、前後上下左右が囲われた箱状に形成されている。また、図1に示すように、ケース2は、長手を左右方向に合わせ、短手を上下方向に合わせるようにして、壁などに設置される。図2~4に示すように、本実施形態のケース2は、内部機器が取り付けられる底ケース10と、底ケース10を覆う蓋ケース11とを備える。
【0020】
底ケース10は、例えば壁などに取り付ける。これにより、ケース2が設置される。図1~3に示すように、この底ケース10は、壁などに取り付けられる多角形状の取付部100と、取付部100の全周縁から突設する縁部101、102とを備える。そのため、本実施形態の底ケース10は、取付部100と面直する方向(図1の紙面表側)に開口する箱状である。また、本実施形態の取付部100は、長辺と短辺とを備え、長方形状に形成されている。そして、取付部100の長辺においては、縁部102を上下方向に貫通する通窓102a、102bが複数形成されている。
【0021】
図2、3に示すように、蓋ケース11は、取付部100と対向する覆部110と、この覆部110の全周縁に設けられる縁部111、112を備える。よって、蓋ケース11は、覆部110と面直する方向が開口する箱状である。蓋ケース11が底ケース10を覆う際に、覆部110は、取付部100と対向する。そのため、覆部110は取付部100と同じ長方形状である。また、本実施形態の覆部110には、後述する電気機器4をケース2外から操作するべく、貫通孔110aが形成されている。そして、本実施形態では、覆部110と取付部100を対向させた状態で、底ケース10と蓋ケース11それぞれの縁部101、102、111、112を係合することで、ケース2が構成される。
【0022】
図1に示すように、本実施形態のケース2内には、内部機器のうち、後述する電気機器群3Aが配置される中央領域Bと、中央領域Bの直上にある上側領域Aと、中央領域Bの真下にある下側領域Eと、中央領域Bの右側にある右側領域Dと、左側にある左側領域Cと、がある。なお、本実施形態では、取付部100に内部機器が取付けられることで、ケース2は、内部機器を収容している。本実施形態の上側領域Aと下側領域Eは、蓋ケース11の覆部110と底ケース10の取付部100により前後方向の端が規定され、蓋ケース11及び底ケース10の縁部112、102と電気機器群3Aの上下方向の面(具体的に、上側領域Aでは電気機器群3Aの上側の面、下側領域Eでは電気機器群3Aの下側の面)により上下方向の端が規定される。そのため、本実施形態の上側領域Aと下側領域Eは、左右方向に開通した領域として構成されている。また、本実施形態の右側領域Dと左側領域Cは、蓋ケース11の覆部110と底ケース10の取付部100により前後方向の端が規定され、蓋ケース11及び底ケース10の縁部111、101と電気機器群3Aの左右方向の面(具体的には、左側領域Cでは電気機器群3Aの左側面、右側領域Dでは電気機器群3Aの右側面)により左右方向の端が規定される。そのため、右側領域Dと左側領域Cは上下方向に開通した領域として構成される。さらに、右側領域Dと左側領域Cは、上側領域Aと下側領域Eに連通している。よって、本実施形態のケース2内では、中央領域Bの四隅を囲むようにして、上側領域A、右側領域D、下側領域E、左側領域Cが連通している。
【0023】
内部機器は、ケース2内に収容されている。この内部機器は、電気機器群3Aと母線群3Bを備える。電気機器群3Aは、平板状の基台5と、電気機器4とを備える。図1、3、4に示すように、本実施形態では、取付部100に取り付けられた基台5に電気機器4を設置することで、電気機器群3Aがケース2内に収容されている。また、本実施形態では、ケース2内の中央領域Bにおいて、基台5が取付部100に取り付けられている。
【0024】
電気機器4は、基台5に設置されることでケース2内に収容されている。図1~4に示すように、本実施形態の分電盤1では、電気機器4として、第一電気機器40と第二電気機器41とを備える。そのため、本実施形態では、第一電気機器40と第二電気機器41とが基台5に設置されている。なお、本実施形態では、ケース2内に収容された第一電気機器40と第二電気機器41は、少なくとも前側の面が覆部110に形成された貫通孔110aを介して、ケース2外に出ている。そのため、本実施形態において、第一電気機器40及び第二電気機器41と蓋ケース11の間には、前後方向の隙間が形成されていない。
【0025】
基台5において、第一電気機器40と第二電気機器41とは、ケース2の長手方向に間隔をあけるように離間している。よって、図1、2、4に示すように、ケース2内において、第一電気機器40及び第二電気機器41は、左右方向で離間する。さらに、本実施形態では、中央領域Bにおいて、第一電気機器40が左側、第二電気機器41が右側に配置されている。なお、以下では、中央領域Bのうち、第一電気機器40と第二電気機器41とが離間することで形成される空間のことを「離間領域X」と称する。
【0026】
第一電気機器40は、分電盤1外から分電盤1内に引き込まれた電気を、接続導体6を介して、第二電気機器41に送る。図1~4に示すように、本実施形態の第一電気機器40は、主幹ブレーカとして構成されている。一方で、第二電気機器41は、第一電気機器40から送られてきた電気を、住宅内の電化製品などの負荷に分電する。本実施形態の第二電気機器41は、分岐ブレーカとして構成されている。よって、第一電気機器40及び第二電気機器41は通電することにより発熱する。なお、本実施形態では、第一電気機器40の下側に分電盤1内に電気を引き込む電線が接続され、第二電気機器41の下側には負荷に分電する電線がそれぞれ接続される構成になっている。
【0027】
図1、2に示すように、本実施形態では、第二電気機器41として複数の分岐ブレーカが左右方向に並んで配置されている。また、本実施形態では、後述する接続導体6を介して、第一電気機器40からの電気が分電されて、複数の第二電気機器41に供給される。よって、本実施形態では、第一電気機器40に流れる電流の大きさは第二電気機器41に流れる電流の大きさよりも大きくなり、第一電気機器40は第二電気機器41よりも温度が高くなる。
【0028】
離間領域Xは、左右方向で離間する第一電気機器40と第二電気機器41との間に形成される。図1~3に示すように、本実施形態の離間領域Xは、第一電気機器40の右側面と第二電気機器41の左側面によって左右方向の端が規定され、基台5と蓋ケース11の覆部110によって前後方向の端が規定されている。そのため、離間領域Xは、上下方向に開通した領域である。また、本実施形態の離間領域Xは、上側領域Aと下側領域Eに連通している。ここで、本実施形態の離間領域Xは、下側領域Eの空気を上側領域Aに向けて流すことができるように、前後及び左右方向の幅が設定されている。よって、離間領域Xは、ケース2の下側領域Eの空気を上側領域Aに向けて流すことができる。
【0029】
母線群3Bは、接続導体6と、導体固定部7とを備える。図1、3に示すように、この母線群3Bは、上側領域Aに配置される。そのため、本実施形態の母線群3Bは、ケース2内において、電気機器群3Aよりも上側に配置されている。
【0030】
導体固定部7は、後述する接続導体6を固定する。本実施形態の導体固定部7は、複数の接続導体6を前後方向に離間させながら固定している。また、図1、4に示すように、導体固定部7は、第二電気機器41の上側に対向するように配置されている。この導体固定部7は、底ケース10に取り付けられている。そして、導体固定部7は、前側固定部70と、後側固定部71と、固定接続部72とを備える。
【0031】
図1、4に示すように、前側固定部70は、左右方向を長辺とし、上下方向を短辺とするように構成されている。この前側固定部70の前面には、後述するN極接続導体6aが当接している。
【0032】
図3、4に示すように、後側固定部71は、前側固定部70よりも後ろ側に配置される。この後側固定部71は、左右方向を長辺とし、上下方向を短辺とするように構成されている。また、本実施形態の後側固定部71は、前後方向で、前側固定部70と対向している。さらに、この後側固定部71は、左右方向で前側固定部70と同じ長さに形成されている。なお、本実施形態では、後側固定部71が取付部100に固定されることにより、導体固定部7が底ケース10に取り付けられている。
【0033】
図3に示すように、固定接続部72は、前後方向で、前側固定部70と後側固定部71を接続している。本実施形態の固定接続部72は、前側固定部70と後側固定部71の下側端部に連結している。よって、導体固定部7は、左右方向の端が開口するように形成される。また、本実施形態の固定接続部72は、前側固定部70と後側固定部71の長手の一端から他端までと同じ長さに形成されている。さらに、固定接続部72は、上下方向で第二電気機器41の上面と対向するように配置されている。なお、本実施形態の固定接続部72には、後述する第二接続部62bを挿通する挿通孔が前後方向に形成されている。
【0034】
接続導体6は、第一電気機器40と第二電気機器41を電気的に接続する。また、図1、3、4に示すように、この接続導体6は、第一電気機器40及び第二電気機器41よりも上側に配置される。本実施形態の接続導体6は、板状に形成される。また、本実施形態の接続導体6は、複数(具体的には、3本)配置されている。図3に示すように、これらの接続導体6は、N極接続導体6a、L2極接続導体6c、L1極接続導体6bの順に前から後ろに配置されている。具体的には、N極接続導体6aは、前側固定部70の前側に配置され、L2極接続導体6cとL1極接続導体6bは、前側固定部70と後側固定部71の間に配置されている。
【0035】
図5に示すように、接続導体6は、天側部60と、前後側部61とを備える。ここで、本実施形態の接続導体6は、銅板により構成される。そして、本実施形態では、銅板により構成された接続導体6を曲げ加工することにより、天側部60と前後側部61とが形成している。なお、本実施形態では、N極接続導体6aは天側部60のみを備えている。
【0036】
天側部60は、左右方向に配置される。図4に示すように、この天側部60は、第一電気機器40及び第二電気機器41よりも上側に配置される。本実施形態の天側部60は、第一電気機器40と第二電気機器41に亘って配置される。また、図5に示すように、天側部60は、上下方向を短辺とし、左右方向を長辺とする長尺状板に構成される。そして、この天側部60は、左右方向に連続している。さらに、図3に示すように、天側部60の短辺が上下方向に沿って設けられている。本実施形態では、三本の接続導体6の天側部60同士は前後方向で対向している。
【0037】
図3~5に示すように、前後側部61は、天側部60から前後方向に設けられている。本実施形態において、L2極接続導体6cでは、前後側部61は、天側部60から前側に設けられている。一方で、L1極接続導体6bでは、前後側部61は、天側部60から後ろ側に設けられている。具体的には、前後側部61は、前後方向に沿って設けられている。また、図4、5に示すように、本実施形態の前後側部61は、長手方向において、一端が天側部60の長手方向の一端から設けられ、他端が天側部60の長手方向の他端から設けられている。そのため、本実施形態の前後側部61は、天側部60の長辺と略同一の長さとして形成されている。よって、前後側部61と天側部60は、左右方向の長さが同一である。さらに、前後側部61は、天側部60の下側端部よりも上側に配置される。本実施形態の前後側部61は、天側部60の上側端部から前後方向に設けられている。
【0038】
図5に示すように、本実施形態の前後側部61は、前後方向を短辺とし、左右方向を長辺とする長尺状板として構成されている。また、本実施形態の前後側部61は、左右方向に連続している。そして、図3、4に示すように、前後側部61は、第一電気機器40及び第二電気機器41よりも上側に配置される。本実施形態の前後側部61は、第一電気機器40の上側と第二電気機器41の上側に亘って配置される。さらに、本実施形態の前後側部61は、長辺が左右方向に沿って設けられている。そのため、前後側部61は、上下方向で、第一電気機器40、第二電気機器41及び離間領域Xと対向している。
【0039】
天側部60と前後側部61は、ケース2内で上向きに流れる気流を左右両側に分流する分流部Yを構成する。分流部Yは、図1において矢印で示すように、ケース2内で上向きに流れてきた空気を天側部60の短辺に沿わせ、前後側部61に当てることで左右に分けた後、左右方向に連続している前後側部61と天側部60に沿わせて、左右方向に流す。そのため、分流部Yは、中央領域Bと連通している。ここで、本実施形態の分流部Yは、第一電気機器40の直上に配置される第一分流部Y1と、第二電気機器41の直上に配置される第二分流部Y2と、離間領域Xの直上に配置される離間分流部Y3とを備える。なお、図3に示すように、本実施形態の分流部Yは、前後方向に複数設けられている。
【0040】
第一分流部Y1は、第一電気機器40の直上にて、空気を左右方向に流す。本実施形態の第一分流部Y1は、図1において矢印で示すように、後述する離間分流部Y3から流れてきた空気を左側に流す。また、第一分流部Y1は、天側部60と前後側部61以外に、第一電気機器40から構成される。具体的に、図4に示すように、本実施形態の前後側部61は、第一電気機器40の上側の面と対向している。そのため、第一分流部Y1では、前後側部61と天側部60以外に、第一電気機器40の上側の面に沿って空気を左側に流す。よって、第一分流部Y1は、第一電気機器40の上側の面を含む。
【0041】
ここで、本実施形態では、前後方向に配置される二つの第一分流部Y1のうち、前側の第一分流部Y1では、図4に示すように、L2極接続導体6cの前側にN極接続導体6aが配置されている。そして、N極接続導体6aとL2極接続導体6cの天側部60が前後方向で対向している。よって、前側の第一分流部Y1は、前後側部61と第一電気機器40の上側の端面により上下方向が、N極接続導体6aの天側部60とL2極接続導体6cの天側部60により前後方向が囲われた空間として形成されている。
【0042】
本実施形態の第一分流部Y1は、右側の端が離間分流部Y3に連通している。そのため、後述する離間分流部Y3から第一分流部Y1に空気を流すことができる。また、第一分流部Y1は、左側の端が開口しており、ケース2内の左側領域Cに連通している。よって、第一分流部Y1では、ケース2内における第一電気機器40の上側の領域において、空気を左右方向に流すことができる。
【0043】
図1に示すように、離間分流部Y3は、離間領域Xの直上に配置されている。この離間分流部Y3は、離間領域Xと連通している。また、本実施形態の離間分流部Y3は、左右方向の長さが左右方向における第一電気機器40と第二電気機器41との間の距離に等しい。そのため、離間分流部Y3は、離間領域Xからの空気を分流する。本実施形態では、離間分流部Y3は、離間領域Xから上に向かって流れる空気を左右両方に分流する。具体的には、L2極接続導体6cの離間分流部Y3は、L1極接続導体6bよりも前側で空気を左右両側に分流し、L1極接続導体6bの離間分流部Y3は、L2極接続導体6cよりも後ろ側で空気を左右両側に分流している。また、図3に示すように、本実施形態の離間分流部Y3は、離間領域Xから上に向かって流れる空気を前後方向に分流するようにしている。具体的に、離間分流部Y3では、離間領域Xから流れてきた空気を天側部60の短辺に沿わせて前後側部61に当てた後、前後側部61の長辺に沿わせて左右方向に流し、前後側部61の短辺に沿わせて前後方向に流す。本実施形態では、L2極接続導体6cの離間分流部Y3は、L1極接続導体6bよりも前側で、空気を覆部110側に流す。また、L1極接続導体6bの離間分流部Y3は、L2極接続導体6cよりも後ろ側で、空気を取付部100側に流す。よって、図3に示すように、離間領域Xにおいて、上向きと下向きの空気の流れを形成できる。
【0044】
図1に示すように、離間分流部Y3は、第一分流部Y1と第二分流部Y2の間に配置されている。本実施形態の離間分流部Y3は、第一分流部Y1及び第二分流部Y2と左右方向で連通している。
【0045】
第二分流部Y2は、第二電気機器41の直上にて、空気を左右方向に流す。図1に示すように、本実施形態の第二分流部Y2は、離間領域Xから流れてきた空気を右側に流す。そのため、この第二分流部Y2は、第二電気機器41の直上に配置される。また、第二分流部Y2は、離間分流部Y3の右側に連通している。
【0046】
本実施形態の第二分流部Y2は、天側部60と前後側部61以外に、導体固定部7から構成される。ここで、図3に示すように、本実施形態では、L2極接続導体6cにおいて、天側部60が前後方向で前側固定部70に対向している。一方で、L1極接続導体において、天側部60が前後方向で後側固定部71に対向している。また、L1極及びL2極の前後側部61が上下方向で固定接続部72に対向している。よって、本実施形態の第二分流部Y2は、天側部60と前側固定部70又は後側固定部71により上下方向が、前後側部61と固定接続部72により前後方向が囲われた空間として形成されている。この第二分流部Y2は、右側領域Dに連通している。したがって、本実施形態の第二分流部Y2は、ケース2内における第二電気機器41の直上の領域において、離間分流部Y3から流れてきた空気を右側に流すことができる。
【0047】
接続部62は、接続導体6を電気機器4に接続する。そのため、電気機器4により生じた熱が接続導体6に伝導する。図5に示すように、この接続部62は、天側部60の下側端部から下側に配置されている。本実施形態の接続部62は、第一電気機器40と接続導体6を接続するための第一接続部62aと、第二電気機器41と接続導体6を接続するための第二接続部62bとを備える。
【0048】
第一接続部62aは、接続導体6の左側に配置され、第二接続部62bは、接続導体6の右側に配置される。本実施形態では、第一接続部62aが第一電気機器40に挿し込まれ、第二接続部62bが第二電気機器41に挿し込まれる。これにより、本実施形態の接続導体6は、第一電気機器40と第二電気機器41を電気的に接続している。
【0049】
続いて、本実施形態に係る分電盤1の作用について説明する。本実施形態の分電盤1では、通電した第一電気機器40と第二電気機器41が熱を持つことにより、ケース2内における第一電気機器40と第二電気機器41の周りの空気が暖められる。そして、暖められた空気がケース2内の上側に流れる(上昇する)ことで、ケース2内の下側が負圧となる。そのため、(1)負圧となるケース2の下側の通窓102aからケース2内に空気を取り込む。その後、(2)取り込んだ空気をケース2内で流して、熱対流を生じさせる。そして、(3)ケース2内の空気をケース外に排出する。なお、本実施形態の分電盤1の作用を説明するに際しては、あらかじめ、底ケース10の取付部100が壁面などに取り付けられており、ケース2内の内部機器が動作している状態にあることを前提とする。
【0050】
(1)では、図1図3に示すように、空気が底ケース10に設けられる通窓102aを介して、ケース2内に流れる。これにより、空気をケース2内に取り込む。ここで、本実施形態では、底ケース10のうち、下側に配置される縁部102に複数の通窓102aが配置されている。そのため、本実施形態の分電盤1では、通窓102aを介して、空気をケース2内に取り込む。具体的には、ケース2内に取り込まれた空気は、下側領域Eに流れこむ。
【0051】
(2)では、ケース2内で空気を流す。即ち、ケース2内に取り込まれた空気は、上向きに流れる。ここで、図3に示すように、本実施形態では、蓋ケース11の覆部110に設けられた貫通孔110aを介して、電気機器4の前側の面がケース2外に出ている。そのため、前後方向において、電気機器4と蓋ケース11との間は埋まっている。よって、本実施形態において、空気は電気機器4よりも前側を通って上側には流れない。一方で、図1~3に示すように、本実施形態では、第一電気機器40と第二電気機器41との間には、離間領域Xが設けられている。そのため、ケース2外から下側領域Eに流れた空気は、離間領域Xに流れ込む。
【0052】
図1~3に示すように、離間領域Xの空気は、上に向かって流れる。離間領域Xの空気は、第一電気機器40の右側面と第二電気機器41の左側面に沿って上側に進み、上側領域Aに流れる。
【0053】
図1に示すように、上側領域Aには、分流部Yが配置されている。本実施形態では、離間分流部Y3は、上側領域Aにおいて、離間領域Xの直上に配置されている。そして、この離間分流部Y3は離間領域Xに連通している。そのため、離間領域Xの空気が離間分流部Y3に流れる。また、本実施形態では、前後方向に、二つの分流部(離間分流部Y3)が配置されている。よって、上側領域Aのうち、離間領域Xの直上では、空気が二つの離間分流部Y3に流れる。
【0054】
離間分流部Y3では、上側領域Aに流れた空気を分流する。図1と3に示すように、本実施形態の離間分流部Y3は、空気を前後方向と左右方向に分流する。具体的には、離間分流部Y3に流れた空気は、天側部60の短手に沿って上側に流れ、前後側部61に当たり、前後及び左右方向に分流される。L2極接続導体6cでは、前後側部61は天側部60の前側に設けられている。そのため、空気は前後側部61の短手に沿って前側に流れる。一方で、L1極接続導体6bでは、前後側部61が天側部60の後ろ側に設けられている。そのため、空気は前後側部61の短手に沿って後ろ側に流れる。このように、前後側部61に沿って前後方向に流れる空気は、その後、離間領域Xを通って下向きに流れる。具体的に、前側に流れた空気は、覆部110に沿って下側に流れ、後ろ側に流れた空気は基台5に沿って下側に流れる。このようにして、前後方向に分流された空気は、下側領域Eに流れる。その後、下側領域Eに流れた空気は、再び上向きに流れる。なお、離間分流部Y3によって分流される空気には、天側部60と前後側部61から熱が伝わる。したがって、離間分流部Y3では、熱を帯びた空気を左右方向及び前後方向に流す。
【0055】
図1に示すように、離間分流部Y3により左右方向に分流された空気は、第一分流部Y1と第二分流部Y2に流れる。第一分流部Y1では、空気が天側部60と前後側部61の長辺に沿って左側に流れる。ここで、本実施形態では、前後側部61は、上下方向で第一電気機器40の上端と対向している。そのため、第一分流部Y1を流れる空気は、第一電気機器40の上端にも沿って左側に流れる。また、前側の第一分流部Y1では、L2極接続導体6cよりも前側にN極接続導体6aが配置されている。よって、第一分流部Y1に流れる空気は、N極接続導体6aにも沿って左側に流れる。なお、このとき、第一分流部Y1を流れる空気には、第一電気機器40の上端と接続導体6から熱が伝達される。したがって、第一分流部Y1では、熱を帯びた空気を左側に流すことができる。
【0056】
第二分流部Y2では、空気が天側部60と前後側部61の長辺に沿って右側に流れる。ここで、図3に示すように、本実施形態では、前後側部61が固定接続部72に対向し、天側部60が前側固定部70と後側固定部71に対向するように、接続導体6が導体固定部7に固定されている。そのため、第二分流部Y2に流れる空気は、前後側部61と天側部60以外に、前側固定部70又は後側固定部71と固定接続部72に沿って右側に流れる。このとき、第二分流部Y2に流れる空気には、接続導体6から熱が伝わる。したがって、第二分流部Y2では、熱を帯びた空気を右側に流すことができる。
【0057】
第一分流部Y1と第二分流部Y2を通過した空気は、右側領域Dと左側領域Cに流れる。右側領域Dと左側領域Cに流れた空気は、上下方向に流れる。ここで、本実施形態では、図1、4に示すように、底ケース10の上側の縁部102には空気を通すための通窓102bが形成されている。そのため、左側領域Cと右側領域Dに流れた空気の一部は、通窓102bからケース2外に流れる。また、左側領域Cと右側領域Dに流れた空気は、下に向かって流れる。下向きに流れた空気は、下側領域Eに流れる。具体的に、図1に示すように、左側領域Cにおいて、空気は、第一電気機器40の左側の側面と底ケース10及び蓋ケース11の縁部101、111と、底ケース10の取付部100と蓋ケース11の覆部110に沿って下側領域Eに流れる。一方で、右側領域Dでは、空気は、第二電気機器41の右側の側面と底ケース10及び蓋ケース11の縁部101、111と、底ケース10の取付部100と蓋ケース11の覆部110に沿って下側領域Eに流れる。その後、下側領域Eに流れた空気は、図2に示すように、通窓102aを介してケース2内に流れる空気と共に、離間領域Xに向かうように左右方向に流れる。このように、空気が、第一電気機器40と第二電気機器41の周りをまわるようにケース2内を流れる。
【0058】
(3)では、空気が底ケース10の上側の通窓102bからケース2外に排出される。具体的には、図3に示すように、離間領域Xを通って上側領域Aに流れた空気は、分流部Y同士の前後方向の隙間から上側に流れる。その後、空気が通窓102bからケース2外に流れる。本実施形態では、第一電気機器40又は第二電気機器41の周りをまわるようにケース2内を流れた空気が、分流部Y同士の前後方向の隙間から上側に流れた後、通窓102bを介してケース2外に排出される。
【0059】
以上、本実施形態の分電盤1では、前後側部61は、左右方向で離間する第一電気機器40と第二電気機器41の上側に亘って配置されている。そのため、本実施形態の分流部Yは、第一電気機器40の上側と第二電気機器41の上側に亘って形成されている。よって、本実施形態の分流部Yは、上側に、第一電気機器40側の気流と、第二電気機器41側の気流とに分流できる。具体的には、図1に示すように、第一電気機器40の周りを反時計回りに流れる気流と、第二電気機器41の周りを時計回りに流れる気流とに分流できる。
【0060】
また、本実施形態の分電盤1では、天側部60と前後側部61が分流部Yを構成する。また、天側部60は上下方向を短辺とし、左右方向を長辺とする長尺状板として構成される。そして、前後側部61は前後方向を短辺とし、左右方向を長辺とする長尺状板として構成される。さらに、前後側部61は、天側部60の下側端部よりも上側に配置されている。よって、本実施形態の分流部Yは、空気を天側部60の短辺に沿って上側に流した後、前後側部61と天側部60の長辺に沿って空気を左右方向に分流できる。さらに、本実施形態の分流部Yでは、前後側部61の短辺に沿って、空気を前後方向にも分流できる。
【0061】
また、本実施形態の分電盤1では、離間分流部Y3が離間領域Xの直上に配置されている。そのため、離間領域Xから上向きに流れる空気を左右方向に分流できる。よって、第一電気機器40と第二電気機器41それぞれに向かう気流を形成することで、第一電気機器40と第二電気機器41のそれぞれを放熱できる。また、本実施形態の離間分流部Y3は、左右方向の長さが第一電気機器40と第二電気機器41との間の距離に等しい。よって、本実施形態の離間分流部Y3は、離間領域Xから流れる空気を確実に左右方向に分流できる。
【0062】
また、本実施形態の前後側部61と天側部60は、左右方向の長さが同一である。そのため、本実施形態の分流部Yでは、前後側部61と天側部60の左右方向に沿って空気を流すことができる。本実施形態では、前後側部61が第一電気機器40の上側の面と対向している。そのため、第一分流部Y1は、天側部60と前後側部61以外に、第一電気機器40から構成される。よって、第一分流部Y1においては、空気を前後側部61、天側部60及び第一電気機器40の上側の面に沿って流すことができるため、確実に左右方向に流すことができる。特に、前側の第一分流部Y1において、前後側部61と第一電気機器40の上側の端面により上下方向が、N極接続導体6aの天側部60とL2極接続導体6cの天側部60により前後方向が囲われた空間として形成されている。したがって、前側の第一分流部Y1では、前後方向と上下方向に沿って左右方向に流れることができる。
【0063】
一方で、第二分流部Y2においては、前後側部61が固定接続部72に対向し、天側部60が前側固定部70と後側固定部71に対向するように、接続導体6が導体固定部7に固定されている。具体的には、本実施形態の第二分流部Y2は、天側部60と前側固定部70又は後側固定部71により上下方向が、前後側部61と固定接続部72により前後方向が囲われた空間として形成されている。よって、本実施形態の第二分流部Y2では、空気を前側固定部70又は後側固定部71と天側部60、固定接続部72と前後側部61に沿って流すことができ、確実に左右方向流すことができる。
【0064】
また、本実施形態の分電盤1において、第一電気機器40と第二電気機器41は、通電することによって発熱している。また、第一接続部62aが第一電気機器40に挿し込まれ、第二接続部62bが第二電気機器41に挿し込まれることで、銅板により構成された接続導体6は、第一電気機器40と第二電気機器41に電気的に接続している。よって、第一電気機器40及び第二電気機器41で生じた熱が接続導体6に伝導することにより、第一電気機器40及び第二電気機器41を放熱できる。さらに、本実施形態では、接続導体6が、天側部60と前後側部61とを備える。そのため、本実施形態の接続導体6は、第一電気機器40と第二電気機器41からの熱を多く保持できる。よって、第一電気機器40及び第二電気機器41からより多くの熱を接続導体6(具体的には、接続部62、天側部60と前後側部61)に伝達できるため、第一電気機器40及び第二電気機器41の放熱を促進できる。
【0065】
また、本実施形態の接続導体6は天側部60と前後側部61を備える。また、天側部60と前後側部61が分流部Yを構成する。そのため、本実施形態の分流部Yは、接続導体6により構成されている。さらに、本実施形態の接続導体6には、第一電気機器40と第二電気機器41から熱が伝導している。よって、分流部Yは、天側部60と前後側部61に沿わせて空気を流すことで、第一電気機器40と第二電気機器41から伝導した熱を空気に伝達している。したがって、分流部Yは、第一電気機器40と第二電気機器41から生じた熱を空気に伝えることにより、効率的に放熱することができる。
【0066】
また、本実施形態の分電盤1では、天側部60は上下方向に、前後側部61は天側部60から前後方向に配置されるように、接続導体6がケース2内に配置されている。そのため、ケース2内において、接続導体6は、上下方向と前後方向を活用して配置されることで、分電盤1の小型化に寄与している。
【0067】
また、本実施形態の分電盤1では、前後方向で対向する二枚の接続導体6のうち、天側部60は、前後方向で離間して配置されている。そのため、接続導体6同士の絶縁距離を確保できる。さらに、本実施形態では、L2極接続導体6cにおいて、前後側部61は、天側部60から前側に設けられている。そして、L1極接続導体6bにおいて、前後側部61は、天側部60から後ろ側に設けられている。そのため、L1極及びL2極において、前後側部61が設けられている方向が異なるため、前後側部61同士が前後方向で離間している。よって、本実施形態では、前後側部61が設けられている方向を工夫することで、接続導体6同士の絶縁距離を確保できる。
【0068】
また、本実施形態では、複数の接続導体6が前後方向に並んで配置されている。そのため、ケース2内において、分流部Yは複数配置できるため、より多くの空気を分流でき、放熱効率を高めることができる。
【0069】
本発明の分電盤1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0070】
上記実施形態では、第一電気機器40が主幹ブレーカで、第二電気機器41が分岐ブレーカである場合について説明したが、これに限らず、第一電気機器40又は第二電気機器41としては、例えば、リレーやタイマー、基盤を備える電子部品であってもよい。
【0071】
上記実施形態では、極性の異なる複数の接続導体6を備え、L1極とL2極の接続導体6b、6cが天側部60と前後側部61を備えることで、前後方向に複数の分流部が構成されていたが、これに限らず、例えば、接続導体6の数を一つとし、前後方向に分流部を一つ構成するようにしてもよい。また、L1極とL2極の接続導体のうち、いずれか一方は、天側部60だけを備えるようにしてもよい。
【0072】
上記実施形態では、前後側部61が前後方向に沿って設けられている場合について説明したが、これに限らず、例えば、上側や下側に傾斜するように設けられていてもよい。
【0073】
上記実施形態では、天側部60の短辺が上下方向となるように構成されている場合について説明したが、これに限らず、例えば、天側部60の短辺の両端部のうち、少なくとも一方の端部が他方の端部よりも前後方向に配置されていてもよい。
【0074】
上記実施形態では、前後側部61は、天側部60の前側又は後ろ側にだけ設けられていたが、これに限らず、前後側部61は、天側部60から前後両側に設けられていてもよい。また、上記実施形態では、前後側部61が、天側部60の上側の端部から前後方向に設けられている場合について説明したが、これに限らず、前後側部61が、天側部60の下側の端部よりも上側から前後方向に設けられていればよく、例えば、左右方向視で接続導体6がT型に構成されていてもよい。
【0075】
上記実施形態では、天側部60の短辺が上下方向に沿って設けられている場合について説明した。しかし、これに限らず、左右方向視で、天側部60は上下方向に配置され、前後側部61は前後方向に配置されておればよく、例えば、左右方向視で接続導体6がC型に構成されていてもよい。
【0076】
上記実施形態では、図4、5に示すように、天側部60と前後側部61の左右方向の長さは同じである場合について説明したが、これに限らず、例えば、左右方向において、前後側部61が天側部60よりも長くてもよいし、天側部60が前後側部61よりも長くてもよい。
【0077】
上記実施形態では、ケース2外から主幹ブレーカと分岐ブレーカを操作可能とするべく、図4に示すように、蓋ケース11の覆部110に貫通孔が形成され、図2、3に示すように、電気機器4の少なくとも前側の面が覆部110に形成された貫通孔を介して、ケース2外に出ているように構成されていた。しかし、これに限らず、例えば、蓋ケース11の覆部110に貫通孔を設けず、蓋ケース11の覆部110と第一電気機器40及び第二電気機器41の前側の面との間に隙間を形成するようにしてもよい。これにより、ケース2内を流れる空気が、蓋ケース11の前面と第一電気機器40及び第二電気機器41の前側の面との間の隙間を利用して上側に流れるようになり、分流部Yが、第一電気機器40及び第二電気機器41の上側で空気を分流することができる。この場合、分流部Yに分流された空気は、離間領域Xを通ってケース2内を下側に流れてもよい。なお、具体的には、第一分流部Y1及び第二分流部Y2が空気を左右両側に流すものと考えられる。そして、第一分流部Y1により右側に流れた空気と、第二分流部Y2により左側に流れた空気とが離間領域Xに流れる。
【0078】
上記実施形態では、前後側部61が、第一電気機器40の上側と第二電気機器41の上側に亘って対向するように配置されていた。しかし、これに限らず、例えば、前後側部61は、第一電気機器40又は第二電気機器41の上側にのみ対向するように配置されている場合や、前後側部61は、離間領域Xの上側のみに対向するように配置されていてもよい。また、前後側部61は、第一電気機器40又は第二電気機器41の上側に対向するように配置され、且つ、離間領域Xの上側に対向するように配置されていてもよい。或いは、前後側部61は、第一電気機器40及び第二電気機器41の上側にのみ対向するように配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1:分電盤、10:底ケース、100:取付部、101:縁部、102:縁部、102a:通窓、102b:通窓、11:蓋ケース、110:覆部、110a:貫通孔、111:縁部、112:縁部、2:ケース、3A:電気機器群、4:電気機器、40:第一電気機器、41:第二電気機器、5:基台、3B:母線群、6:接続導体、6a:N極接続導体、6b:L1極接続導体、6c:L2極接続導体、60:天側部、61:前後側部、62:接続部、62a:第一接続部、62b:第二接続部、Y:分流部、Y1:第一分流部、Y2:第二分流部、Y3:離間分流部、7:導体固定部、70:前側固定部、71:後側固定部、72:固定接続部
図1
図2
図3
図4
図5