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特許7545163超音波画像処理装置、超音波画像処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】超音波画像処理装置、超音波画像処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/06 20060101AFI20240828BHJP
【FI】
A61B8/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021558471
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(86)【国際出願番号】 JP2020043400
(87)【国際公開番号】W WO2021100856
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-10-06
(31)【優先権主張番号】P 2019211735
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔1〕 開催日 平成31年2月16日 集会名、開催場所 「心筋会」 国立研究開発法人国立国際医療研究センター内セミナー <資 料> 口頭発表資料(スライド) 〔2〕 発行日(公開日) 令和1年6月19日 刊行物 「第154回 東邦医学会例会」抄録 <資 料> 「第154回 東邦医学会例会」抄録 〔3〕 開催日(公開日) 令和1年6月19日 集会名 、開催場所 「第154回 東邦医学会例会」 <資 料> 「第154回 東邦医学会例会」プログラム 〔4〕 配布日(公開日) 令和1年7月13日 集会名、配布場所 「第25回 心筋会」 <資 料> 配布資料(「第154回 東邦医学会例会」抄録) 〔5〕 開催日 令和1年7月13日 集会名、開催場所 「第25回 心筋会」 第一部 <資 料>「第25回心筋会」開催案内ウェブページ プリントアウト 〔6〕 ウェブサイト掲載日 令和1年9月1日 ウェブサイトアドレス http://hervac.org/ http://hervac.org/wp/wp-content/uploads/2019/09/hervac5.pdf <資 料> 研究会開催案内、抄録発表 ウェブページ プリントアウト 〔7〕開催日 令和1年9月7日 集会名、開催場所 「第5回 右心系と成人先天性心疾患の血行動態に関する研究会 HERVAC 5th」 演題2 <資 料>研究会プログラム、及び抄録
(73)【特許権者】
【識別番号】510192802
【氏名又は名称】国立研究開発法人国立国際医療研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】葉山 裕真
(72)【発明者】
【氏名】廣井 透雄
【審査官】井海田 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-135468(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0099153(US,A1)
【文献】特開2002-224063(JP,A)
【文献】J.Feng,A.W.Khir,Journal of Biomechanics,Determination of wave speed and wave separation in the arteries using diameter and velocity,2010年,43,455-462
【文献】葉山裕真ほか,肺高血圧における後負荷の新しい評価法について,第5回右心系と成人先天性心疾患の血行動態に関する研究会抄録,日本,2019年09月07日,第11頁,http://hervac.org/wp/wp-content/uploads/2019/09/hervac5.pdf
【文献】LOPEZ-CANDALES, A et al.,Differences in the Duration of Total Ejection between Right and Left Ventricles in Chronic Pulmonary,Echocardiography,米国,2011年05月05日,vol.28, no.5,pp.509-515
【文献】JOHNSON, L et al.,Clinical Characteristics of 53 Dogs with Doppler-Derived Evidence of Pulmonary Hypertension: 1992-19,J. Vet. Intern. Med.,米国,1999年09月28日,vol.13, no.5,pp.440-447
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 ー 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三尖弁における血流に基づく画像である第1の超音波ドプラ画像を取得する第1の画像取得部と、
右室流出路における血流に基づく画像である第2の超音波ドプラ画像を取得する第2の画像取得部と、
前記第1の超音波ドプラ画像および前記第2の超音波ドプラ画像に基づいて、脈圧波の反射波成分を導出する演算部と、を備え、
前記第1の超音波ドプラ画像に基づいて圧力値を算出し、
前記第2の超音波ドプラ画像に基づいて流速値および脈波速度値を算出し、
算出した圧力値、算出した流速値、算出した脈波速度値、および血液密度に少なくとも基づいて、脈圧波の前進波成分および反射波成分を算出する、
超音波画像処理装置。
【請求項2】
前記演算部は、
前記第1の超音波ドプラ画像に基づく圧力値(P)、前記第2の超音波ドプラ画像に基づく流速値(U)および脈波速度値(c)、血液密度(ρ)を用いて、下記の式1、式2、式3、および式4により表される演算を行うことで、脈圧波の前進波成分(P+)および反射波成分(P-)を算出する、
dU+=(dP+ρcdU)/2ρc (式1)
dU-=-(dP-ρcdU)/2ρc (式2)
P±=ΣdP± (式3)
dP±=ρ・c・dU± (式4)
請求項1に記載の超音波画像処理装置。
【請求項3】
前記演算部は、心機能指標に前記脈圧波の反射波成分を加算した値を処理結果として出力する、請求項1または2に記載の超音波画像処理装置。
【請求項4】
前記演算部は、前記脈圧波の反射波成分の時間軸における推移に基づく情報を処理結果として出力する、請求項1または2に記載の超音波画像処理装置。
【請求項5】
前記演算部は、前記脈圧波の反射波成分が時間軸におけるピーク値になった時刻と前記脈圧波の反射波成分が前記ピーク値から半分の値になった時刻との期間を処理結果として出力する、請求項に記載の超音波画像処理装置。
【請求項6】
三尖弁における血流に基づく画像である第1の超音波ドプラ画像を取得するステップと、
右室流出路における血流に基づく画像である第2の超音波ドプラ画像を取得するステップと、
前記第1の超音波ドプラ画像および前記第2の超音波ドプラ画像に基づいて、脈圧波の反射波成分を導出するステップと、含
前記第1の超音波ドプラ画像に基づいて圧力値を算出し、
前記第2の超音波ドプラ画像に基づいて流速値および脈波速度値を算出し 、
算出した圧力値、算出した流速値、算出した脈波速度値、および血液密度に少なくとも基づいて、脈圧波の前進波成分および反射波成分を算出する、超音波画像処理方法。
【請求項7】
診断装置のコンピュータに、
三尖弁における血流に基づく画像である第1の超音波ドプラ画像を取得させ、
右室流出路における血流に基づく画像である第2の超音波ドプラ画像を取得させ、
前記第1の超音波ドプラ画像および前記第2の超音波ドプラ画像に基づいて、脈圧波の反射波成分を導出させ、
前記第1の超音波ドプラ画像に基づいて圧力値を算出し、
前記第2の超音波ドプラ画像に基づいて流速値および脈波速度値を算出し 、
算出した圧力値、算出した流速値、算出した脈波速度値、および血液密度に少なくとも基づいて、脈圧波の前進波成分および反射波成分を算出する
処理を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波画像処理装置、超音波画像処理方法、およびプログラムに関する。
本願は、2019年11月22日に日本に出願された特願2019-211735号について優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来より、血行動態指標の前進波成分及び反射波成分を非侵襲的に計測する技術としては、下記の特許文献1に記載された超音波診断装置が知られている。この超音波診断装置は、超音波の受信信号に基づいて計測部位の血流速度を計測し、超音波の受信信号及び血圧計の出力に基づいて計測部位の局所血圧を計測し、血流速度の時間微分及び局所血圧の時間微分に基づいて脈波速度を演算し、その脈波速度を利用して、ウエーブインテンシティ(WI)などの血行動態指標について、その前進成分と反射成分とを分離演算する。
【0003】
また、この種の技術としては、下記の特許文献2に記載された超音波撮像装置が知られている。この超音波撮像装置は、超音波撮像において、生体組織近傍の血流速度として、物理的に整合性のある値を測定し、超音波を照射した検査対象から反射するエコー信号を用いて、生体組織の形状データを認識し、エコー信号から組織近傍の血流速度を検出し、検者が所望する速度情報(目的の速度情報)を抽出し、目的とする血流のモデルを設定し、そのモデルから推定される速度分布と整合する速度分布実測値の速度を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-135468号公報
【文献】国際公開第2013/057999号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
動脈を伝わる脈波には、心臓側から末梢側に伝わる波としての前進波成分と、末梢側から心臓側に伝わる波としての反射波成分とが含まれる。例えば肺高血圧症の診断においては、肺動脈における反射波成分の圧力値(以下「反射波圧力」という。)が重要な指標となる。肺動脈の反射波圧力を求めるためには圧力および流速を同時に測定可能なカテーテル(Combo-wire)を用い、肺高血圧症の診断、分類、重症度や治療効果の判定を行っている。しかし、カテーテルを用いて肺動脈の反射波圧力を求める手法は、侵襲性が高いために患者負担が大きく、さらには、簡便に繰り返して測定を行なうことができない。
【0006】
上述した特許文献1、2に記載された超音波診断装置は、超音波を用いて肺動脈の血流速度を測定することができる。しかし、特許文献1に記載された超音波診断装置は、肺動脈の血圧値を高い精度で求めることが困難であるため、結果として肺動脈における反射波圧力を高い精度で求めることが困難である。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、血液の反射波圧力を非侵襲的且つ高い精度で求めることができる超音波画像処理装置、超音波画像処理方法、およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、第1の超音波ドプラ画像を取得する第1の画像取得部と、第2の超音波ドプラ画像を取得する第2の画像取得部と、前記第1の超音波ドプラ画像および前記第2の超音波ドプラ画像に基づいて、脈圧波の反射波成分を導出する演算部と、を備える、超音波画像処理装置である。
【0009】
本発明の一態様は、上記の超音波画像処理装置であって、前記第1の超音波ドプラ画像は三尖弁における血流に基づく画像であり、前記第2の超音波ドプラ画像は右室流出路における血流に基づく画像であってよい。
【0010】
本発明の一態様は、上記の超音波画像処理装置であって、前記演算部は、前記第1の超音波ドプラ画像に基づいて圧力値を算出し、前記第2の超音波ドプラ画像に基づいて流速値および脈波速度値を算出し、算出した圧力値、算出した流速値、算出した脈波速度値、および血液密度に少なくとも基づいて、脈圧波の前進波成分および反射波成分を算出してよい。
【0011】
本発明の一態様は、上記の超音波画像処理装置であって、前記演算部は、前記第1の超音波ドプラ画像に基づく圧力値(P)、前記第2の超音波ドプラ画像に基づく流速値(U)および脈波速度値(c)、前記血液密度(ρ)を用いて、下記の式1、式2、および式3により表される演算を行うことで、脈圧波の前進波成分(P+)および反射波成分(P-)を算出してよい。
dU+=(dP+ρcdU)/2ρc (式1)
dU-=-(dP-ρcdU)/2ρc (式2)
P±=ΣdP± (式3)
【0012】
本発明の一態様は、上記の超音波画像処理装置であって、前記演算部は、心機能指標に前記脈圧波の反射波成分を加算した値を処理結果として出力してよい。
【0013】
本発明の一態様は、上記の超音波画像処理装置であって、前記演算部は、前記脈圧波の反射波成分の時間軸における推移に基づく情報を処理結果として出力してよい。
【0014】
本発明の一態様は、上記の超音波画像処理装置であって、前記演算部は、前記脈圧波の反射波成分が出現した時刻、時間軸におけるピーク値になった時刻と前記脈圧波の反射波成分が前記ピーク値から半分の値になった時刻との期間を処理結果として出力してよい。
【0015】
本発明の一態様は、第1の超音波ドプラ画像を取得するステップと、第2の超音波ドプラ画像を取得するステップと、前記第1の超音波ドプラ画像および前記第2の超音波ドプラ画像に基づいて、脈圧波の反射波成分を導出するステップと、含む、超音波画像処理方法である。
【0016】
本発明の一態様は、診断装置のコンピュータに、第1の超音波ドプラ画像を取得させ、第2の超音波ドプラ画像を取得させ、前記第1の超音波ドプラ画像および前記第2の超音波ドプラ画像に基づいて、脈圧波の反射波成分を導出させる、処理を実行させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、血液の反射波圧力を非侵襲的且つ高い精度で求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明を適用した実施形態に係る超音波画像処理装置の一例を示すブロック図である。
図2】本発明を適用した実施形態に係る超音波画像処理装置における反射波圧力の導出処理を説明する図である。
図3】本発明を適用した実施形態に係る超音波画像処理装置により導出した推定肺動脈反射波圧と、平均脈動脈圧との相関を示す図である。
図4】本発明を適用した実施形態に係る超音波画像処理装置により導出した推定肺動脈反射波圧と、肺血管抵抗との相関を示す図である。
図5】本発明を適用した実施形態に係る超音波画像処理装置により導出した推定肺動脈反射波圧と、心拍出量変化(Δcardiac output、CO)との相関を示す図である。
図6】本発明を適用した実施形態に係る超音波画像処理装置により導出した推定肺動脈反射波圧と、右室駆出率変化(ΔRight Ventricular Ejection Fraction、RVEF)との相関を示す図である。
図7】心拍出量変化(ΔCO)と、肺血管抵抗変化(Δpulmonary vascular resistance、PVR)との相関を示す図である。
図8】肺血管抵抗変化(ΔPVR)と、ΔRVEFとの相関を示す図である。
図9】肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension、PAH)の患者における右室流出路における流速および三尖弁圧力と、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension、CTEPH)の患者における右室流出路における流速および三尖弁圧力と、肺動脈全体波圧、前進波圧力および反射波圧力との関係を示す図である。
図10】肺動脈全体波圧、前進波圧力および反射波圧力の時間変化を示す図である。
図11】肺動脈性肺高血圧症(PAH)の患者における期間、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の患者における期間、およびP値を示す図である。
図12】再入院していない患者における右室流出路における流速および三尖弁圧力と、再入院した患者における右室流出路における流速および三尖弁圧力と、肺動脈全体波圧、前進波圧力および反射波圧力との関係を示す図である。
図13】反射波圧力が所定値を超えた患者の無イベント生存率(event-free survival、EFS)と、反射波圧力が所定値を超えない患者の無イベント生存率を示す図である。
図14】既存の心機能指標と、既存の心機能指標に推定収縮期肺動脈圧(Pulmonary arterial systolic pressure、PASP)を加算した値と、既存の心機能指標に推定肺動脈反射波圧(Pb)を加算した値とを比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を適用した超音波画像処理装置、超音波画像処理方法、およびプログラムを、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明を適用した実施形態に係る超音波画像処理装置1の一例を示すブロック図である。超音波画像処理装置1は、例えば、プローブ10と、ドプラ画像生成部20と、演算部30と、出力部40とを備える。
【0021】
プローブ10は、超音波を出力する出力部と反射した超音波を入力する入力部を備える。プローブ10は、入力した超音波を示す超音波信号をドプラ画像生成部20に出力する。なお、超音波画像処理装置1は、連続波ドプラで三尖弁逆流波形を取得してよく、パルスドプラで右室流出路波形を取得してよい。
【0022】
ドプラ画像生成部20は、プローブ10から入力した超音波信号に基づいて超音波ドプラ画像を生成する。ドプラ画像生成部20は、例えば、第1の超音波ドプラ画像として、三尖弁における血流に基づく画像(以下、三尖弁血流ドプラ画像と記載する。)を取得する。ドプラ画像生成部20は、例えば、第2の超音波ドプラ画像として、右室流出路における血流に基づく画像(以下、右室流出路血流ドプラ画像と記載する。)を取得する。ドプラ画像生成部20は、第1の超音波ドプラ画像を取得する第1の画像取得部、および第2の超音波ドプラ画像を取得する第2の画像取得部の一例である。
【0023】
演算部30は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムメモリに格納されたプログラムを実行することにより実現される。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアが協働することで実現されてもよい。
【0024】
演算部30は、ドプラ画像生成部20により生成された三尖弁血流ドプラ画像および右室流出路血流ドプラ画像に基づいて、脈圧波の反射波成分を導出する。出力部40は、演算部30により導出された脈圧波の反射波成分に基づく情報を出力する。出力部40は、例えば、反射波成分に基づく文字情報や、反射波成分を用いた演算結果を表示する液晶ディスプレイである。
【0025】
図2は、本発明を適用した実施形態に係る超音波画像処理装置における反射波圧力の導出処理を説明する図である。
【0026】
演算部30は、三尖弁において逆流する血液の流速を表す三尖弁血流ドプラ画像を用いて、図2(a)に示すような三尖弁圧力ドプラ画像を取得する。演算部30は、三尖弁血流の流速(VTR)を簡易ベルヌーイ式に代入することで、三尖弁における右室右房間圧較差(P)を算出する。演算部30は、算出した三尖弁圧力における変化(エンベロープ)に基づいて、反射波圧力を導出するために用いる右室右房間圧較差P(mmHg)を取得する。
【0027】
演算部30は、図2(b)に示すような右室流出路血流ドプラ画像から、反射波圧力を導出するために用いる右室流出路流速U(m/s)を取得する。さらに、演算部30は、右室流出路血流ドプラ画像のエンベロープから得た値Uから、PUループ(圧力と流速とのグラフ)を作成し、PUループにおける傾き(slope)を定め、脈波速度(c)を推定する。
【0028】
演算部30は、右室右房間圧較差P(mmHg)、右室流出路流速U(m/s)および、脈波速度(c)、血液密度(ρ)を用いて、下記の式1、式2、および式3により表される演算を行うことで、脈圧波の前進波成分(P+)および反射波成分(P-)を算出する。なお、演算部30は、血液密度(ρ)を1.040に設定する。
dU+=(dP+ρcdU)/2ρc (式1)
dU-=-(dP-ρcdU)/2ρc (式2)
P±=ΣdP± (式3)
【0029】
上記の式1、式2、および式3は、Wave intensityの概念と、water hammer方程式とから成り立つ式である。water hammer方程式は、下記のように表される。
dP±=ρ・c・dU± (式4)
【0030】
式4より、三尖弁血流ドプラ画像から取得した右室右房間圧較差Pを、式1および式2の「ρcdU」に代入し、右室流出路流速U、脈波速度(c)、および血液密度(ρ)を式1、式2に代入し、式3により前進波圧力(P+)および反射波圧力(P-)を算出する。演算部30は、単位時間ごとに式1、式2、および式3の算出を行うことで、図2(c)に示すように、計測器間(ms)における肺動脈における全体圧力波形、前進波圧力波形、および反射波圧力波形を取得する。
【0031】
図3は、本発明を適用した実施形態に係る超音波画像処理装置により導出した推定肺動脈反射波圧と、平均肺動脈圧との相関を示す図である。平均肺動脈圧は、肺高血圧症の診断に用いる既存の値である。なお、平均肺動脈圧は、カテーテル検査により得られる測定値である。図3から分かるように、推定肺動脈反射波圧と、平均肺動脈圧との間には統計学的に有意な相関がある。つまり、実施形態の超音波画像処理装置1により導出した推定肺動脈反射波圧は、肺動脈反射波圧を示す値であることがわかり、さらには、臨床の診断に用いることが可能な指標であるといえる。
【0032】
図4は、本発明を適用した実施形態に係る超音波画像処理装置により導出した推定肺動脈反射波圧と、肺血管抵抗との相関を示す図である。図4から分かるように、実施形態に係る超音波画像処理装置により導出した推定肺動脈反射波圧と、肺血管抵抗との間に相関がある。後負荷とは、心臓が血液を拍出する際にかかる肺血管抵抗(PVR)である。肺血管抵抗は、肺高血圧症の診断だけでなく、肺高血圧症の疾患の治療効果判定にも使われている。したがって、実施形態に係る超音波画像処理装置により導出した推定肺動脈反射波圧は、肺高血圧症の診断のみならず、肺高血圧症の治療効果判定にも使用することができる。
【0033】
以上より、実施形態に係る超音波画像処理装置によれば、平均肺動脈圧および肺血管抵抗と高い相関を有する、高精度の推定肺動脈反射波圧を導出することができることが分かる。
【0034】
図5は、本発明を適用した実施形態に係る超音波画像処理装置により導出した推定肺動脈反射波圧と、心拍出量変化(ΔCO)との相関を示す図である。図6は、本発明を適用した実施形態に係る超音波画像処理装置により導出した推定肺動脈反射波圧と、右室駆出率変化(ΔRVEF)との相関を示す図である。図7は、心拍出量変化(ΔCO)と、肺血管抵抗変化(ΔPVR)との相関を示す図である。図8は、肺血管抵抗変化(ΔPVR)と、右室駆出率変化(ΔRVEF)との相関を示す図である。図5図8に示した心拍出量変化(ΔCO)、右室駆出率変化(ΔRVEF)、推定肺動脈反射波圧変化(ΔPb)、および肺血管抵抗変化(ΔPVR)は、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH、血栓が肺動脈に詰まった症例)の患者に対して、経カテーテル的にバルーンで拡張する治療をする前の計測値と、治療をした後の計測値との差である。
【0035】
図5から分かるように、実施形態に係る超音波画像処理装置により導出した推定肺動脈反射波圧変化(ΔPb)と心拍出量変化(ΔCO)との間には相関がある。図6から分かるように、実施形態に係る超音波画像処理装置により導出した推定肺動脈反射波圧変化(ΔPb)と右室駆出率変化(ΔRVEF)との間には相関がある。図7から分かるように、肺血管抵抗変化(ΔPVR)と心拍出量変化(ΔCO)との間には相関がある。図6から分かるように、肺血管抵抗変化(ΔPVR)と右室駆出率変化(ΔRVEF)との間には相関がある。
【0036】
心拍出量(CO)および右室駆出率(RVEF)は、心臓の動きを反映する指標である。心拍出量(CO)および右室駆出率(RVEF)が低い場合、予後が悪い場合が多い。心拍出量(CO)および右室駆出率(RVEF)の値が大きいほど症状が改善している場合が多い。推定肺動脈反射波圧(Pb)および肺血管抵抗(PVR)は、絶対値が大きいほど治療により症状が改善されたことを示す。
【0037】
図5から図8の結果より、推定肺動脈反射波圧変化(ΔPb)および肺血管抵抗変化(ΔPVR)は、共に、心拍出量変化(ΔCO)および右室駆出率変化(ΔRVEF)と相関があるが、推定肺動脈反射波圧の方が肺血管抵抗よりも心拍出量変化(ΔCO)および右室駆出率変化(ΔRVEF)と高い相関があることが分かる。すなわち、治療後の効果判定において、推定肺動脈反射波圧が肺血管抵抗よりも優れた指標である可能性を示している。したがって、超音波画像処理装置1によれば、推定肺動脈反射波圧を導出することにより、治療後の効果判定に有効な指標を出力することができる。
【0038】
図9は、肺動脈性肺高血圧症(PAH)の患者における右室流出路における流速および三尖弁圧力と、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の患者における右室流出路における流速および三尖弁圧力と、肺動脈全体波圧、前進波圧力および反射波圧力との関係を示す図である。図10は、肺動脈全体波圧、前進波圧力および反射波圧力の時間変化を示す図である。図11は、肺動脈性肺高血圧症(PAH)の患者における期間、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の患者における期間、およびP値を示す図である。
【0039】
超音波画像処理装置1は、図9に示すように、肺動脈性肺高血圧症(PAH)の患者についての右室流出路血流ドプラ画像(RVOT)および三尖弁血流ドプラ画像(TR)を取得し、全体波圧力(TP)、前進波圧力(Pf)、および反射波圧力(Pb)を導出する。超音波画像処理装置1は、図9に示すように、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の患者についての右室流出路血流ドプラ画像(RVOT)および三尖弁血流ドプラ画像(TR)を取得し、全体波圧力(TP)、前進波圧力(Pf)、および反射波圧力(Pb)を導出する。
【0040】
超音波画像処理装置1は、図10に示すように、肺動脈性肺高血圧症(PAH)、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の患者のそれぞれについて、反射波圧力がピーク値を示す時刻(t)と反射波圧力がピーク値の1/2の値を示す時刻(t1/2)との期間を算出する。図11に示すように、肺動脈性肺高血圧の患者についての期間よりも、慢性肺血栓塞栓症の患者についての期間が、有意に小さいことが分かる。これは、慢性肺血栓塞栓症の方が肺動脈性肺高血圧よりも病変の主座が中枢部(太い血管)に存在するため、右室から駆出された血液が短時間で反射するため、反射波圧力がピークに達するまでの時間が短いことを示している。図11の結果より、超音波画像処理装置1により導出した推定肺動脈反射波圧は、肺高血圧症の診断だけでなく、非侵襲的に肺動脈性肺高血圧と慢性肺血栓塞栓症を鑑別することが可能であることが分かる。
【0041】
例えば、実施形態の超音波画像処理装置1によれば、反射波圧力がピーク値に達した時刻と反射波圧力がピーク値の1/2の値であった時刻との期間と、所定の閾値とを比較し、算出した期間が所定の閾値よりも長い場合には肺動脈性肺高血圧である可能性が高いという結果を出力することができる。さらに、実施形態の超音波画像処理装置1によれば、反射波圧力がピーク値に達した時刻と反射波圧力がピーク値の1/2の値であった時刻との期間と、所定の閾値とを比較し、算出した期間が所定の閾値よりも短い場合には慢性肺血栓塞栓症である可能性が高いという結果を出力することができる。所定の閾値は、超音波画像処理装置1が導出した推定肺動脈反射波圧により、肺動脈性肺高血圧と慢性肺血栓塞栓症とを鑑別することが可能な値に設定される。
【0042】
図12は、再入院していない患者における右室流出路における流速および三尖弁圧力と、再入院した患者における右室流出路における流速および三尖弁圧力と、肺動脈全体波圧、前進波圧力および反射波圧力との関係を示す図である。
超音波画像処理装置1は、図12の左図に示すように、病状安定期の肺高血圧を合併した心不全患者について、右室流出路血流ドプラ画像(RVOT)および三尖弁血流ドプラ画像(TR)を取得し、全体波圧力(TP)、前進波圧力(Pf)、および反射波圧力(Pb)を導出した。心不全再入院(worthening heart failure、WHF)していない群と再入院した群で比較すると、再入院した患者についての推定肺動脈反射波圧は、再入院していない患者についての推定肺動脈反射波圧よりもピークが増大していることが分かる。
したがって、実施形態の超音波画像処理装置1により導出された推定肺動脈反射波圧は、再入院した患者と再入院していない患者のように、患者の予後を予測するための指標であることが分かる。
【0043】
図13は、反射波圧力が所定値を超えた患者の無イベント生存率(EFS)と、反射波圧力が所定値を超えない患者の無イベント生存率を示す図である。心不全患者の推定肺動脈反射波圧が中央値以下の心不全患者の無イベント生存率は、心不全患者の推定肺動脈反射波圧が中央値より高い心不全患者の無イベント生存率に有意な差があることが分かる。すなわち、心不全患者の推定肺動脈反射波圧が中央値以下の心不全患者の無イベント生存率は、心不全患者の推定肺動脈反射波圧が中央値より高い心不全患者の無イベント生存率よりも、高いことが分かる。心不全患者の推定肺動脈反射波圧が中央値は例えば5.9mmHgである。
したがって、実施形態の超音波画像処理装置1により導出された推定肺動脈反射波圧は、無イベント生存率を表す指標であることが分かる。
【0044】
図14は、既存の心機能指標と、既存の心機能指標に推定収縮期肺動脈圧(PASP)を加算した値と、既存の心機能指標に推定肺動脈反射波圧(Pb)を加算した値とを比較して示す図である。推定収縮期肺動脈圧(PASP)は、エコーを用いた肺高血圧の診断で主に用いられる指標である。なお、図14中におけるModelχは、統計量であり、HRは、Hazard Ratio、相対的危険度であり、pは統計のP値である。
【0045】
既存の心機能指標は、左室駆出率(ejection fraction、EF)と、左室拡張末期容積(end-diastolic volume、EDV)と、左室拡張能(E/e’)とを加算した値である。心機能指標に推定収縮期肺動脈圧(PASP)を加算した値と、当該心機能指標に推定肺動脈反射波圧(Pb)を加算した値とを比較すると、推定肺動脈反射波圧(Pb)を加算した値の方が、心機能指標に推定収縮期肺動脈圧(PASP)を加算した値よりも心不全再入院の予後との関連が強いことが分かる。したがって、実施形態の超音波画像処理装置1によれば、肺高血圧症を合併した心不全患者の予後を、反射波圧力により予測することができる。
【0046】
例えば、実施形態の超音波画像処理装置1によれば、導出した反射波圧力を、既存の心機能指標に加算して出力することにより、肺高血圧症を合併した心不全患者の予後を予測する情報を提供することができる。なお、実施形態の超音波画像処理装置1は、既存の心機能指標に推定肺動脈反射波圧を加算したが、これに限定されず、既存の心機能指標を推定肺動脈反射波圧によって演算することで診断などの指標にしてもよい。
【0047】
(実施形態の効果)
以上説明した実施形態によれば、第1の超音波ドプラ画像を取得する第1の画像取得部と、第2の超音波ドプラ画像を取得する第2の画像取得部と、前記第1の超音波ドプラ画像および前記第2の超音波ドプラ画像に基づいて、脈圧波の反射波成分を導出する演算部と、を備える超音波画像処理装置を実現することができる。実施形態の超音波画像処理装置1によれば、2つの超音波ドプラ画像に基づいて反射波圧力を非侵襲的且つ高い精度で導出することができる。
【0048】
上述したように、超音波画像処理装置1により導出された推定肺動脈反射波圧は、カテーテルによる検査の値(図3図4)と有意な相関がある。この結果、超音波画像処理装置1により導出された推定肺動脈反射波圧は、高い精度で反射波圧力を示していることが分かる。
さらに、実施形態の超音波画像処理装置1により導出された推定肺動脈反射波圧を用いて、上述した診断シミュレーション(図5図8)を行ったところ、実施形態の超音波画像処理装置1により導出された推定肺動脈反射波圧は、既存の確立した指標(肺血管抵抗(PVR))よりも精度の高い指標となりうることが示唆された。この結果、超音波画像処理装置1により導出された推定肺動脈反射波圧は、高い精度で反射波圧力を示していることが分かる。
【0049】
さらに、実施形態の超音波画像処理装置1によれば、侵襲性が低いので、繰り返し施行することが可能である。さらに、実施形態の超音波画像処理装置1によれば、第1の超音波ドプラ画像および第2の超音波ドプラ画像のいずれも一回の超音波ドプラ検査で取得できるため、医師および患者の双方に余計な労力を要することなく高精度の反射波圧を求めることができる。
【0050】
実施形態の超音波画像処理装置1によれば、三尖弁における血流に基づく超音波ドプラ画像と、右室流出路における血流に基づく超音波ドプラ画像に基づいて、肺動脈における反射波圧力を高い精度で導出することができる。
【0051】
実施形態の超音波画像処理装置1によれば、三尖弁における血流に基づく超音波ドプラ画像に基づいて圧力値を算出し、右室流出路における血流に基づく超音波ドプラ画像に基づいて流速値および脈波速度値を算出し、算出した圧力値、算出した流速値、算出した脈波速度値、および血液密度に少なくとも基づいて、脈圧波の前進波成分および反射波成分を算出する。この結果、実施形態の超音波画像処理装置1によれば、肺動脈における反射波圧力を高い精度で導出することができる。
【0052】
実施形態の超音波画像処理装置1によれば、三尖弁における血流に基づく超音波ドプラ画像に基づく圧力値(P)、右室流出路における血流に基づく超音波ドプラ画像に基づく流速値(U)および脈波速度値(c)、前記血液密度(ρ)を用いて、下記の式1、式2、および式3により表される演算を行うことで、高い精度で、脈圧波の前進波成分(P+)および反射波成分(P-)を算出することができる。
dU+=(dP+ρcdU)/2ρc (式1)
dU-=-(dP-ρcdU)/2ρc (式2)
P±=ΣdP± (式3)
【0053】
実施形態の超音波画像処理装置1によれば、心機能指標に脈圧波の反射波成分を加算した値を処理結果として出力するので、既存の心機能指標に反射波圧力を考慮した肺高血圧症を合併した心不全患者の予後診断などを実現することができる。
【0054】
実施形態の超音波画像処理装置1によれば、脈圧波の反射波成分の時間軸における推移に基づく情報を処理結果として出力するので、脈圧波の反射波成分の時間推移を考慮した診断などを実現することができる。例えば、実施形態の超音波画像処理装置1は、脈圧波の反射波成分が時間軸におけるピーク値になった時刻と前記脈圧波の反射波成分が前記ピーク値から半分の値になった時刻との期間を処理結果として出力することで、上述したように、非侵襲的に肺動脈性肺高血圧症(PAH)と慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)を鑑別することができる。
【0055】
さらに、実施形態によれば、上述した超音波画像処理装置1により、第1の超音波ドプラ画像を取得するステップと、第2の超音波ドプラ画像を取得するステップと、前記第1の超音波ドプラ画像および前記第2の超音波ドプラ画像に基づいて、脈圧波の反射波成分を導出するステップと、含む、超音波画像処理方法を実現することができる。この超音波画像処理方法によれば、上述したように、2つの超音波ドプラ画像に基づいて反射波圧力を非侵襲的且つ高い精度で導出することができる。
【0056】
さらに、実施形態によれば、超音波画像処理装置1(診断装置)のコンピュータに、第1の超音波ドプラ画像を取得させ、第2の超音波ドプラ画像を取得させ、前記第1の超音波ドプラ画像および前記第2の超音波ドプラ画像に基づいて、脈圧波の反射波成分を導出させる処理を実行させる、プログラムを実現することができる。このプログラムによれば、上述したように、2つの超音波ドプラ画像に基づいて反射波圧力を非侵襲的且つ高い精度で導出することができる。
【0057】
なお、各実施形態および変形例について説明したが、一例であってこれらに限られず、例えば、各実施形態や各変形例のうちのいずれかや、各実施形態の一部や各変形例の一部を、他の1または複数の実施形態や他の1または複数の変形例と組み合わせて本発明の一態様を実現させてもよい。
【0058】
なお、本実施形態における超音波画像処理装置1の各処理を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムを、コンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、超音波画像処理装置1に係る上述した種々の処理を行ってもよい。
【0059】
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器などのハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリなどの書き込み可能な不揮発性メモリ、CD-ROMなどの可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクなどの記憶装置のことをいう。
【0060】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネットなどのネットワークや電話回線などの通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic
Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置などに格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
【0061】
ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネットなどのネットワーク(通信網)や電話回線などの通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0062】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計なども含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本実施形態の超音波画像処理装置によれば、血液の反射波圧力を非侵襲的且つ高い精度で求めることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14