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特許7545164バットの鍔部および/またはエンドキャップのための液体ダンパー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】バットの鍔部および/またはエンドキャップのための液体ダンパー
(51)【国際特許分類】
   A63B 59/51 20150101AFI20240828BHJP
   A63B 60/54 20150101ALI20240828BHJP
【FI】
A63B59/51
A63B60/54
【請求項の数】 25
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022044286
(22)【出願日】2022-03-18
(65)【公開番号】P2022151761
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】17/212,151
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522111149
【氏名又は名称】ヴァン グエン,トゥー
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン グエン,トゥー
【審査官】三田村 陽平
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-243173(JP,A)
【文献】実開平06-034666(JP,U)
【文献】特開2004-073842(JP,A)
【文献】米国特許第05452889(US,A)
【文献】実開昭56-001668(JP,U)
【文献】英国特許出願公開第02247932(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 49/00-51/16
A63B 55/00-60/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
野球またはソフトボールのバットであって、
把持部と、
前記把持部の端に取り付けられた鍔部と、
前記把持部から延在する円筒部と、
前記把持部の端部および/または一般的に前記把持部の反対の前記円筒部の端部に形成されるチャンバーと、
前記バットが物体に当たるときに発生する振動を少なくとも部分的に放散させるために、前記チャンバーの20%~95%を満たす1,800~300,000センチポアズの粘度を有する液体またはゲルと、を含む、野球またはソフトボールのバット。
【請求項2】
前記チャンバーは、前記円筒部に取り付けられたエンドキャップ内に形成される、請求項1に記載のバット。
【請求項3】
前記液体またはゲルは、シリコーンベースのゲル材料またはポリマーゲル材料を含む、請求項1に記載のバット。
【請求項4】
前記液体またはゲルは、30,000~300,000センチポアズの粘度を有する、請求項1に記載のバット。
【請求項5】
前記ゲルは、0~2のショアA硬度を有する、請求項3に記載のバット。
【請求項6】
前記液体またはゲルは、前記チャンバーの50%~80%を満たす、請求項1に記載のバット。
【請求項7】
前記液体またはゲルは、前記チャンバー内に配置される可撓性を有する筐体内に入れられている、請求項1に記載のバット。
【請求項8】
前記チャンバーは、アパーチャーを含み、前記アパーチャーを介して前記液体またはゲルが前記チャンバーに注がれるか、または注入される、請求項1に記載のバット。
【請求項9】
前記チャンバー内に前記液体またはゲルを保持するチャンバーのアパーチャー上に配置されるカバーを含む、請求項8に記載のバット。
【請求項10】
野球またはソフトボールのバットであって、
把持部と、
前記把持部から延在する円筒部と、
前記円筒部に取り付けられたエンドキャップと、
前記エンドキャップ内に形成されたチャンバーと、
前記バットが物体に当たるときに発生する振動を少なくとも部分的に放散させるために、前記チャンバーを少なくとも部分的に満たす液体またはゲルと、を含み、
ここで、前記液体またはゲルは、前記チャンバーの25%~90%を満たし、
および、ここで、前記液体またはゲルは、1,800~300,000センチポアズの粘度を有する、野球またはソフトボールのバット。
【請求項11】
前記液体またはゲルは、シリコーンベースのゲル材料またはポリマーゲル材料を含む、請求項10に記載のバット。
【請求項12】
前記シリコーンベースのゲル材料またはポリマーゲル材料を含む、前記液体またはゲルは、0~2のショアA硬度のレベルを有する、請求項11に記載のバット。
【請求項13】
前記液体またはゲルは、前記チャンバーの50%~80%を満たす、請求項10に記載のバット。
【請求項14】
前記液体またはゲルは、前記チャンバー内に配置される可撓性を有する筐体内に入れられている、請求項10に記載のバット。
【請求項15】
前記チャンバーは、アパーチャーを含み、前記アパーチャーを介して前記液体またはゲルが前記チャンバーに注がれるか、または注入される、請求項10に記載のバット。
【請求項16】
前記チャンバー内に、前記液体またはゲルを保持するチャンバーのアパーチャー上に配置されるカバーを含む、請求項15に記載のバット。
【請求項17】
野球またはソフトボールのバットであって、
把持部と、
前記把持部から延在する円筒部と、
前記把持部の端部に取り付けられた鍔部と、
前記鍔部内に形成されたチャンバーと、
前記バットが物体に当たるときに発生する振動を少なくとも部分的に放散させるために、前記チャンバーの25%~90%を満たす1,800~300,000センチポアズの粘度を有する液体またはゲルと、を含む、野球またはソフトボールのバット。
【請求項18】
前記液体またはゲルは、30,000~300,000センチポアズの粘度を有する、請求項17に記載のバット。
【請求項19】
記液体またはゲルは、シリコーンベースのゲル材料またはポリマーゲル材料を含む、請求項17に記載のバット。
【請求項20】
前記液体またはゲルは、前記チャンバーの50%~80%を満たす、請求項17に記載のバット。
【請求項21】
前記液体またはゲルは、前記チャンバー内に配置される可撓性を有する筐体内に入れられている、請求項17に記載のバット。
【請求項22】
前記チャンバーは、アパーチャーを含み、前記アパーチャーを介して前記液体またはゲルが前記チャンバーに注がれるか、または注入される、請求項17に記載のバット。
【請求項23】
前記チャンバー内に前記液体またはゲルを保持するチャンバーのアパーチャー上に配置されるカバーを含む、請求項22に記載のバット。
【請求項24】
前記液体またはゲルの材料は、30,000~300,000センチポアズの粘度を有する、請求項10に記載のバット。
【請求項25】
前記ゲルの材料は、0~2のショアA硬度を有する、請求項19に記載のバット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に野球およびソフトボールのバットに関する。より具体的には、本発明は、バットがボールなどの物体に当たったときに発生する振動を減衰させるために、バットの鍔部(knob)および/またはエンドキャップに配置される野球またはソフトボールバット用の液体ダンパーに関する。
【背景技術】
【0002】
野球およびソフトボールは、米国、メキシコ、日本などを含む多くの国で非常に人気のあるスポーツである。これらのスポーツの競争的な性質のために、選手は常にパフォーマンスを向上させる方法を模索している。野球およびソフトボールの重要な一面は、有効にボールを打つ能力である。
【0003】
典型的には、木製のバットはプロレベルで使用される一方、アルミニウムや他の金属合金などの金属、および複合材料のバットは、他のリーグやレベル、特にリトルリーグから大学レベルまでの野球のアマチュアプレイ、およびスローピッチとファストピッチのソフトボールで広く使用されている。金属製および複合製のバットは、木製のバットのように壊れたり割れたりしないという点で木製のバットよりも有利であり、したがって繰り返し使用され得、結果としてコストを節約することができる。金属製および複合製のバットは、木製のバットよりも大きな最適な、スイートスポットと呼ばれることが多い、打撃エリア、またはパワーゾーンを有する。
【0004】
しかしながら、これらのバットにはさらに一定の欠点がある。金属、または複合材料、またはそれらの組み合わせで構成されるバットは、特にボールがバットのスイートスポット内で打たれない場合、衝撃時に振動する。バットがボールを打つことによって引き起こされる衝撃は、バッターの手および腕に痛みを伴う振動を送る可能性がある。
【0005】
振動を放散または吸収する特性を有するバットを製造する試みは、組み立ておよび形成において本質的に複雑であることが多い。しばしば、振動を放散または吸収することを目的としたバットの様々なコンポーネント間の相互接続ポイントは、バットが繰り返し使用されるため、故障しがちである。さらに、多くの設計では、バットが野球ボールまたはソフトボールなどの物体に当たったときに発生する振動を有効に低減していない。
【0006】
したがって、野球ボールやソフトボールなどの物体に当たったときの振動や衝撃を有効に放散するバットが引き続き必要とされる。このようなバットは、設計が複雑であってはならず、製造や組み立てに費用がかかってはならず、構造的な破損が発生しやすいものであってはならない。このようなバットは、把持部(handle)とバットの円筒部(barrel)の間の堅固で耐久性のある接続も維持する必要がある。本発明はこうした必要性を満たし、および他の関連する利点を提供する。本発明はこれらのニーズを満たし、および他の関連する利点も提供している。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、野球またはソフトボールのバットに存在する。より具体的には、本発明は、バットが野球ボールまたはソフトボールなどの物体に当たったときに生じる振動および衝撃を放散する、バットの鍔部および/またはエンドキャップに液体ダンパーを有するバットに存在する。
【0008】
バットは、一般的に把持部および、把持部から延在する円筒部を含む。チャンバーは、把持部の端部および/または一般的に把持部の反対の円筒部の端部に形成される。液体またはゲルは、バットが物体に当たるときに発生する振動を少なくとも部分的に放散させるために、チャンバーを少なくとも部分的に満たす。
【0009】
チャンバーは、把持部の端部に取り付けられた鍔部中に形成されてもよい。代替的に、または追加的に、チャンバーは、円筒部に取り付けられたエンドキャップ中に形成されてもよい。
【0010】
液体またはゲルは、チャンバーの10%~100%、およびより好ましくはチャンバーの50%~80%を満たす。液体またはゲルは、少なくとも1800センチポアズの粘度を有する。チャンバーは、液体またはゲルがチャンバーに注がれ、または注入されるアパーチャーを含んでもよい。代替的に、液体またはゲルは、チャンバー内に配置される可撓性を有する筐体内に入れられている。カバーまたはプラグは、チャンバー内の液体またはゲルを保持するようにチャンバーのアパーチャー上に配置される。
【0011】
本発明の他の特徴と利点は、例として、本発明の原則を例証する添付の図面と共に、以下の詳細な記載から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付の図面は本発明を例証する。そのような図面では:
図1図1は、本発明の液体ダンパーをその鍔部およびエンドキャップに組み込んだソフトボールまたは野球のバットの断面図である。
図2図2は、本発明に係る、バットの鍔部のチャンバー内に配置された振動放散または減衰する液体またはゲルを示す、図1の領域「2」の拡大断面図である。
図3図3は、本発明に係る、バットの円筒部の端部に取り付けられ、そのチャンバー内に配置された振動減衰または放散する液体またはゲルを有するエンドキャップを示す、図1の領域「3」の拡大断面図である。
図4図4は、本発明に係る、エンドキャップのチャンバーに注がれる液体を示す分解斜視図である。
図5図5は、本発明に係る、エンドキャップのチャンバー内の液体を示す、図4の構成要素の部分断面図である。
図6図6は、本発明に係る、液体またはゲルを含む可撓性を有する筐体を受け入れるためのチャンバーと、鍔部内に筐体を保持するためのカバーとを有する鍔部の分解斜視図である。
図7図7は、バットの把持部の端部に鍔部が取り付けられた、図6の組み立てられた構成要素の断面図である。
図8図8は、液体またはゲルをその中に有する可撓性を有する筐体を受け入れるチャンバーを有するエンドキャップと、筐体をエンドキャップ内に保持するためのカバーとを示す分解斜視図である。
図9図9は、バットの円筒部の端部に組み立てられた状態の図8の構成要素の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
説明の目的のために、添付の図面に示されているように、本発明は、野球またはソフトボールのバットなどのバットの鍔部および/またはエンドキャップ用の液体ダンパーに関する。ボールとバットとの間の猛烈な衝突は、バットの振動と曲げモードの形状を引き起こし、ヒッターの片手または両手に刺すような痛みを引き起こす。これは、典型的にバットの円筒部の端部から約4~7インチの「スイートスポット」から離れてバットがボールに衝突したときに発生し、バッターが把持部を保持している把持部分の小さなセクションで最も頻繁に感じられる。刺痛振動は、把持部の端部にある鍔部から最も離れた上部の親指と人差し指の間にしばしば感じられる。本発明の液体ダンパーは、強度、変形、およびエネルギー吸収の組み合わせを通じて動的な力に抵抗するように設計されている。液体ダンパーは、ボールとバットとの間の衝撃によって引き起こされる振動を放散するが、そうでなければ振動は伝達され、バッターの手や腕に刺痛または怪我を生じさせることになる。
【0014】
ここで、図1を参照すると、バット(100)の断面図が示されている。バット(100)は、典型的に野球およびソフトボールにおいて使用されるタイプである。バット(100)は、バッターが握る把持部分(102)と、典型的に、把持部(102)に対して直径が拡大され、ボールまたは他の物体を打つために使用される円筒部セクション(104)とからなる。把持部(102)および円筒部(104)は、互いに取り付けられた別個のセクションとして、互いに一体的に形成され得、または把持部(102)および/または円筒部(104)のセクションは、複数のセクションから形成され得る。バット(100)は、典型的に金属または複合材料、あるいはその組み合わせで構成される。例えば、バット(100)は、アルミニウム合金材、他の金属合金、複合材料、またはその組み合わせで構成されてもよい。本発明の液体ダンパーは、様々な異なるタイプの材料から構成され、多くの異なる配置を有する多種多様なタイプのバットに組み込むことができる。
【0015】
本発明によれば、液体またはゲル減衰材料は、バット(100)内のチャンバー内に配置され、含まれる。典型的には、本明細書にさらに十分に説明されるように、液体またはゲル減衰材料は、把持部(102)の端部に取り付けられた鍔部(106)、または円筒部(104)の開放端部に取り付けられたエンドキャップ(108)のチャンバー内に配置される。液体ダンパーは、1800センチポアズ(cps)の最小粘度を有する任意の液体またはゲルであり得る。典型的には、液体またはゲル材料は、1800センチポアズ(cps)の最小粘度を有するシリコーンベースのゲルまたはポリマーゲル、または濃厚なオイルである。液体またはゲルの粘度は、動的粘度が30,000~300,000cpsであるなど、1800cpsを超える可能性がある。液体またはゲルの減衰材料は、典型的に、0~2(単位:A)のショアA硬度を有する。コーン貫入試験による液体またはゲル減衰材料の流動性は、本発明に合わせて使用され得るゲル材料などの材料の流動性または動的粘度の指標として、100~300(単位:1/10mm)であり得る。
【0016】
ここで、図3~5図を参照すると、バット(100)のエンドキャップ(108)内に配置されている液体またはゲルの減衰材料が示されている。より具体的に、図4に図示されるように、エンドキャップ(108)は、液体またはゲル(112)がエンドキャップ(108)によって画定されるチャンバー(114)に挿入されるアパーチャーまたは開口部(110)を含み得る。液体またはゲル(112)は、図4に図示されるように、チャンバー(114)に注入されるアパーチャー(110)を通して、または液体もしくはゲル材料(112)をチャンバー(114)に配置するのに適した他の任意の手段によって、チャンバー(114)に注がれ得る。
【0017】
チャンバー(114)は、チャンバー(114)の10%~100%の体積比を有するように、部分的にまたは完全に満たされてもよい。しかしながら、液体またはゲル(112)がチャンバー(114)の20%未満しか満たさないとき、振動減衰効果があるが、この減衰は、望まれるほど大きくないことが分かっている。したがって、好ましくは、液体またはゲル(112)は、25%の体積比を有するか、またはチャンバー(114)の少なくとも25%を満たし、より好ましくは、チャンバー(114)の少なくとも50%を満たす。チャンバー(114)が100%満たされている場合、振動減衰効果がわずかに低下することも分かっている。したがって、最大の振動減衰効果では、チャンバー(114)は、25%~95%、より好ましくは50%~80%満たされる。これらの体積比内では、バットがボールまたは他の物体に当たったときに生じる振動は、液体またはゲルの減衰材料(112)によって顕著に放散される。
【0018】
カバーまたはプラグ(116)は、チャンバー(114)内に液体またはゲル減衰材料(112)を保持するように、チャンバーのアパーチャー(110)上に配置される。プラグや蓋などの形態であり得るカバー(116)は、ねじ山が刻設されるかされない場合がある外面に塗布される薄い接着剤層を有し、液体またはゲル(112)が挿通されるアパーチャー(110)を完全に覆うように、次いで完全にエンドキャップ(108)に取り付けられ得る。図2~5に図示される実施形態では、アパーチャー(110)は、プラグ(116)のカバーのように比較的小さい。さらに、カバーまたはプラグ(116)にはねじ山が刻設されない。しかし、アパーチャー(110)は、さらに大きくなる可能性があり、カバー(116)は、エンドキャップ(108)または鍔部(106)への螺合取り付け部を有することが理解されよう。
【0019】
再び図3~5を参照すると、エンドキャップ(108)のチャンバー(114)に液体またはゲル材料(112)が追加され、カバー(116)がエンドキャップ(108)にしっかりと配置されて取り付けられると、エンドキャップ(108)がバットの円筒部(104)にしっかりと取り付けられるように、エンドキャップは、中空開放端など、バットの円筒部(104)に取り付けられる。これは、当技術分野で知られているように、螺合取り付け、スナップフィット取り付け、および追加的または代替的に、接着剤での取り付けを含む、様々な配置およびプロセスにより行うことができる。
【0020】
図2を参照すると、全体的にバット(100)の円筒部(104)の反対側にある把持部(102)の端部に取り付けられた鍔部(106)を有する、図1の領域「2」の拡大断面図が図示されている。液体またはゲルの受け入れチャンバー(120)は鍔部(106)に形成される。鍔部(106)は、典型的に、アルミニウムなどの金属、またはポリマー材料で構成される。鍔部(106)は、鍔部(106)の真隣にある把持部(102)の部分よりも大きい直径を有する拡大された端部(122)を有し得る。鍔部(106)は、図2に図示されるように、把持部(102)の開放端部に挿入可能となるように直径がさらに狭い部分(124)をさらに含み得る。チャンバー(120)は、これら鍔部(106)の部分(122)および/もしくは(124)のいずれか、または両方に形成され得る。図2に図示されるように、チャンバー(120)は、より狭い部分(124)と拡大された部分(122)の両方に形成される。
【0021】
上で議論されるように、図3~5では、液体またはゲル減衰材料(112)は、チャンバー(120)内に配置される。この配置は、注ぎや注入などによって行われてもよい。チャンバー(120)は、液体またはゲル材料(112)で、少なくとも10%など少なくとも部分的に満たされ、チャンバー(120)を100%満たすなど完全に満たされてもよく、より好ましくは、上記のように、チャンバー(120)は、25%~95%、より好ましくは50%~80%満たされる。ゲルまたは液体材料(112)は、アパーチャーまたは開口部(126)を通過し、その後、上記ようにカバー(128)で密封される。その後、鍔部(106)は、把持部(102)の開放端部に取り付けられる。この取り付けは、例えば、鍔部(106)のより小さな部分(124)を把持部(102)に挿入することにより行われてもよく、これにより、それらの間に摩擦嵌合および/または接着剤嵌合が形成され、鍔部(106)を把持部(102)の端部に保持することができる。
【0022】
バット(100)は、その中に液体またはゲル減衰材料を有する鍔部(106)、および/あるいは液体またはゲル減衰材料を有するエンドキャップ(108)を備えてもよい。液体またはゲル(112)は、比較的高い粘度を有するので、バット(100)がボールなどの物体に当たったときに、顕著な振動減衰効果を有する。ゲルまたは液体の周波数は、かかる振動減衰または放散効果をもたらすようにバットの周波数と一致すると考えられている。バットの振動からのエネルギーは、バッターの手や腕ではなく、液体またはゲルに伝達される。
【0023】
ここで、図6~9を参照すると、液体またはゲルを鍔部(106)またはエンドキャップ(108)のチャンバーに直接注ぐ、注入する、またはその他の方法で挿入する代わりに、液体またはゲルを、可撓性を有する筐体(130)内に収容してもよい。そのような可撓性を有する筐体(130)は、例えば、可撓性であるとともに、中に液体またはゲル材料(112)を保持するプラスチックやエラストマー材料などを含み得る。
【0024】
ここで、図6および図7を参照すると、鍔部(106)のアパーチャーまたは開口部(126)は、中に液体またはゲル(112)を含む可撓性を有する筐体(130)を鍔部(106)のチャンバー(120)へと受け入れるのに十分な大きさである。可撓性を有する筐体(130)は、10%~100%の間など、チャンバー(120)を部分的に満たすか、または完全に満たしてもよいが、チャンバー(120)の25%~95%、さらにより好ましくは50%~80%を満たすことで、減衰効果および放散効果が最大になる。
【0025】
その後、アパーチャー(126)を覆い、液体またはゲルで満たした筐体(130)をチャンバー(120)内に保持するように、より大きなカバー(132)が鍔部(106)に取り付けられる。カバーは、鍔部(106)に接着剤で取り付けてもよい。代替的または追加的に、カバー(132)は、図示されるように、鍔部の内ねじ(136)へと受け入れられる外ねじ(134)を有するなどにより、ねじ山が刻設された取り付け部を有してもよい。接着剤の薄層をカバー(132)の外ねじ(134)に塗布して、カバー(132)を鍔部(106)にしっかりと取り付け、ゲルまたは液体で満たした可撓性を有する筐体(130)を鍔部(106)内に保持することができる。カバー(132)は、カバー(132)および鍔部(106)を互いにしっかりと取り付けて結合するように、鍔部(106)に対してカバー(132)を機械的および物理的に回転させるための窪み(138)を含み得る。その後、組み立てられた鍔部(106)は、図7に図示されるように、上記のように、および当技術分野でよく知られているように、把持部(102)に取り付けられる。
【0026】
ここで、図8および図9を参照すると、同様の方法で、液体またはゲル減衰材料(112)を含む可撓性を有する筐体(130)を、エンドキャップ(108)のチャンバー(114)に挿入することができる。エンドキャップ(108)のアパーチャーまたは開口部(110)は、可撓性を有する筐体(130)がそれを通ってチャンバー(114)に挿入され得るほどの大きさである。その後、上記で図示かつ記載された鍔部と同様に、カバー(140)を開口部(110)の上に配置し、ゲルまたは液体材料の可撓性を有する筐体(130)をチャンバー(114)内およびエンドキャップ(108)内に保持する。上記と同様に、カバー(140)は、エンドキャップ(108)の内ねじ(144)に螺合取り付けされた外ねじ(142)を有し得る。追加的に、または代替的に、接着剤の層を、カバー(140)の外面および/またはエンドキャップ(108)の内面上に配置し、カバー(140)をエンドキャップ(108)に接着し、しっかりと取り付けることができる。上記のように、可撓性を有する筐体(130)は、10%~100%など、チャンバー(114)を少なくとも部分的、または完全に満たしてもよく、より好ましくは25%~95%の体積比で満たし、より好ましくは50%~80%で満たして、本発明の振動減衰および放散効果を最大にする。その後、組み立てられたエンドキャップ(108)は、図9に図示されるように、および上に記載されるように、バットの円筒部(104)の端部(118)に取り付けられる。
【0027】
バット(100)がボールなどの物体に衝突し、振動が発生すると、振動のエネルギーは、可撓性を有する筐体を通って液体またはゲルの減衰材料に伝達され、このようにして、エネルギーがバッターの手および腕に振動を生じさせ、痛みを引き起こすのを回避される。本発明の振動放散または減衰効果を最大にするには、最小量のゲルまたは液体が必要であると考えられている。しかし、液体またはゲル材料の重量は、好ましくは、バットの総重量の0.5~2.5%の間でなければならない。減衰材料(112)は、鍔部および/またはエンドキャップに形成されたチャンバー内に配置されるものとして上記で図示され記載されてきたが、本発明はさらに、円筒部、把持部、または間にあるテーパーセクションを含む他のバット領域にチャンバーが形成され得ることを企図する。
【0028】
様々な実施形態が例示目的のために詳細に記載されているが、本発明の趣旨と範囲を逸脱することなく様々な変更を行ってもよい。これに応じて、本発明は、添付の特許請求の範囲による限定を除き、限定されないものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9