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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】プログラム、方法、情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20240828BHJP
【FI】
G16H10/60
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023089139
(22)【出願日】2023-05-30
【審査請求日】2023-08-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522248548
【氏名又は名称】ファストドクター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】水野 敬志
(72)【発明者】
【氏名】宮田 芳郎
(72)【発明者】
【氏名】小山 翔
【審査官】原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-130519(JP,A)
【文献】特開2016-076190(JP,A)
【文献】特開2003-333038(JP,A)
【文献】特開2005-293273(JP,A)
【文献】特開2013-088981(JP,A)
【文献】特開2007-115290(JP,A)
【文献】HOPE/EGMAIN-RX 診療所向け医療事務・電子カルテシステム 操作ガイド (診療編) ,日本,富士通株式会社,2013年04月,第3版,p. 67
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータに実行させ、医療機関のカルテデータベースに格納される患者の医療情報を処理するプログラムであって、前記記憶部には、医療機関の患者に対し、当該医療機関が診療を行う診療日時の情報を記憶させており、前記医療機関のカルテデータベースから、当該カルテデータベースに格納される患者の医療情報である第1の情報を取得するステップと、前記患者の前記診療日時に基づくタイミングで、前記患者の診療に対応する医師である第1のユーザに対し、前記第1の情報を提示するステップと、前記患者に対する診療終了後に、前記第1のユーザから、前記患者の診療内容に関するカルテ情報を受け付けるステップと、前記受け付けたカルテ情報の適否を判定するステップと、前記受け付けたカルテ情報が適格であると判定される場合に、前記受け付けたカルテ情報に基づき、前記医療機関のカルテデータベースから取得された前記第1の情報を更新するステップと、前記更新した前記第1の情報を、前記診療内容を反映した前記患者の医療情報である第2の情報として記憶するステップと、前記記憶した前記第2の情報を、前記医療機関に対し、承認することを依頼するステップと、前記医療機関から、承認する操作を受け付けるステップと、前記医療機関からの承認する操作に応じて、前記医療機関のカルテデータベースに格納される前記第1の情報を、前記医療機関によって承認された前記第2の情報に更新するステップと、を実行させるプログラム。
【請求項2】
前記第1のユーザから、前記第1の情報の提示を求める提示要求を受け付けるステップと、前記受け付けた提示要求に応じ、前記第1のユーザに対し、前記第1の情報を提示するステップと、を実行させる請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記適否を判定するステップにおいて、前記受け付けたカルテ情報が不適格と判定された場合に、前記第1のユーザに対し、前記カルテ情報の修正を促す通知を送信するステップと、を実行させる請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記第1のユーザが、診療対応可能な医師として、前記カルテデータベースから取得した前記第1の情報にアクセスできるユーザであることを認証するための認証情報とともに登録されている、請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項5】
前記第1のユーザから、前記認証情報を受け付けるステップと、前記受け付けた認証情報と登録された認証情報とを照合することにより、前記第1のユーザを認証するステップと認証後に、前記第1のユーザに対し、前記第1の情報を提示するステップと、を実行させる請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記第1のユーザから、前記認証情報を受け付けるステップと、前記受け付けた認証情報と登録された認証情報とを照合することにより、前記第1のユーザを認証するステップと認証後に、前記第1のユーザから、前記カルテ情報の送信を受け付けるステップと、を実行させる請求項4に記載のプログラム。
【請求項7】
前記第1のユーザが診療対応可能な医師として登録されていない場合において、前記第1のユーザに対し、前記第1の情報に一時的にアクセスできるユーザであることを認証するための一時認証情報を付与するステップと、前記付与した一時認証情報に基づき、前記第1のユーザに対し、前記第1の情報を提示するステップと、を実行させる請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項8】
前記第1のユーザが診療対応可能な医師として登録されていない場合において、前記第1のユーザに対し、前記第1の情報に一時的にアクセスできるユーザであることを認証するための一時認証情報を付与するステップと、前記付与した一時認証情報に基づき、前記第1のユーザから、前記カルテ情報を受け付けるステップと、を実行させる請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項9】
前記第1の情報を取得するステップにおいて、前記医療機関のカルテデータベースから、前記1の情報を定期的に取得する、請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項10】
前記第1のユーザが前記医療機関に所属していない医師であり、前記第1のユーザに対し、前記患者の前記診療日時に基づくタイミングで、前記患者に対する診療行為を行うための労働条件を示す第3の情報であって前記患者の前記医療機関に一時的に属することを含む前記第3の情報を提示するステップと、前記第1のユーザから、前記第3の情報に同意する操作を受け付けるステップと、前記同意する操作を受け付けることにより、前記第1のユーザに対し、前記第1の情報を提示するステップと、を実行させる請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項11】
プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータに実行させ、医療機関のカルテデータベースに格納される患者の医療情報を処理する方法であって、前記記憶部には、医療機関の患者に対し、当該医療機関が診療を行う診療日時の情報を記憶させており、前記プロセッサが、前記医療機関のカルテデータベースから、当該カルテデータベースに格納される患者の医療情報である第1の情報を取得するステップと、前記患者の前記診療日時に基づくタイミングで、前記患者の診療に対応する医師である第1のユーザに対し、前記第1の情報を提示するステップと、前記患者に対する診療終了後に、前記第1のユーザから、前記患者の診療内容に関するカルテ情報を受け付けるステップと、前記受け付けたカルテ情報の適否を判定するステップと、前記受け付けたカルテ情報が適格であると判定される場合に、前記受け付けたカルテ情報に基づき、前記医療機関のカルテデータベースから取得された前記第1の情報を更新するステップと、前記更新した前記第1の情報を、前記診療内容を反映した前記患者の医療情報である第2の情報として記憶するステップと、前記記憶した前記第2の情報を、前記医療機関に対し、承認することを依頼するステップと、前記医療機関から、承認する操作を受け付けるステップと、前記医療機関からの承認する操作に応じて、前記医療機関のカルテデータベースに格納される前記第1の情報を、前記医療機関によって承認された前記第2の情報に更新するステップと、を実行する方法。
【請求項12】
制御部と、記憶部とを備える情報処理装置であって、前記情報処理装置は、医療機関のカルテデータベースに格納される患者の医療情報を処理するためのものであり、前記記憶部には、医療機関の患者に対し、当該医療機関が診療を行う診療日時の情報を記憶させており、前記制御部が、前記医療機関のカルテデータベースから、当該カルテデータベースに格納される患者の医療情報である第1の情報を取得するステップと、前記患者の前記診療日時に基づくタイミングで、前記患者の診療に対応する医師である第1のユーザに対し、前記第1の情報を提示するステップと、前記患者に対する診療終了後に、前記第1のユーザから、前記患者の診療内容に関するカルテ情報を受け付けるステップと、前記受け付けたカルテ情報の適否を判定するステップと、前記受け付けたカルテ情報が適格であると判定される場合に、前記受け付けたカルテ情報に基づき、前記医療機関のカルテデータベースから取得された前記第1の情報を更新するステップと、前記更新した前記第1の情報を、前記診療内容を反映した前記患者の医療情報である第2の情報として記憶するステップと、前記記憶した前記第2の情報を、前記医療機関に対し、承認することを依頼するステップと、前記医療機関から、承認する操作を受け付けるステップと、前記医療機関からの承認する操作に応じて、前記医療機関のカルテデータベースに格納される前記第1の情報を、前記医療機関によって承認された前記第2の情報に更新するステップと、を実行する情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、方法、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の診療を在宅などで行う場合、医師は在宅診療に際して患者の医療情報を確認することが一般的である。このような医療情報を確認する手段として、医療機関の電子カルテデータベースに格納される患者の診療情報を参照する技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、在宅診療に対応する医師に患者の診療情報を共有する在宅医療適応患者の診察・指導支援システムに関する技術が記載されている。この診察・指導支援システムシステムでは、患者の診察予定日に基づくタイミングで、患者の格納した在宅医療情報を、ネットワークを介して、患者を担当する医師の医師端末に送信し、医師端末に送信された在宅医療情報を表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-116796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術では、在宅診療等に対応する医師に対し、事前に患者の診療情報を共有することができるが、診療終了後に、診療内容を診療前の診療情報に反映させる作業は医師等に委ねられているため、医師等が反映作業の実施を忘れてしまうと、次の診療を行う際に、前回の診療内容を踏まえた正しい診療ができなくなるおそれがある。また医師等が診療内容に基づき反映作業を行ったとしても、入力内容に誤り、情報不足などがあると、やはり次の診療の際に正しい診療ができなくなるおそれがある。
【0006】
そこで、本開示において、診療に対応する医師が適切なタイミングで患者の医療情報の共有を受けるとともに、最新の診療内容を患者の医療情報に確実に反映させることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によると、プロセッサと、記憶部とを備え、前記記憶部には、医療機関の患者に対し、当該医療機関が診療を行う診療日時の情報を記憶させているコンピュータに実行させるプログラムが提供される。このプログラムは、医療機関のカルテデータベースに格納される患者の医療情報を処理するためのものであって、前記記憶部には、医療機関の患者に対し、当該医療機関が診療を行う診療日時の情報を記憶させており、前記医療機関のカルテデータベースから、当該カルテデータベースに格納される患者の医療情報である第1の情報を取得するステップと、前記患者の前記診療日時に基づくタイミングで、前記患者の診療に対応する医師である第1のユーザに対し、前記第1の情報を提示するステップと、前記患者に対する診療終了後に、前記第1のユーザから、前記患者の診療内容に関するカルテ情報を受け付けるステップと、前記受け付けたカルテ情報に基づき、前記第1の情報を更新するステップと、前記更新した前記第1の情報を、前記診療内容を反映した前記患者の医療情報である第2の情報として記憶するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、患者の診療日時のタイミングで、診療に対応する医師に患者の医療情報を共有するとともに、診療終了後に、医師から診療内容に関するカルテ情報を受け付け、受け付けたカルテ情報に基づき患者の医療情報を更新することで、最新の診療内容を患者の医療情報に確実に反映させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の電子カルテシステム1の全体構成を示す図である。
図2】医師側端末装置10の機能的な構成を示すブロック図である。
図3】サーバ20の機能的な構成を示すブロック図である。
図4】予定診療情報管理データベース2021のデータ構造を示す図である。
図5】患者医療情報管理データベース2022のデータ構造を示す図である。
図6】医師情報管理データベース2023のデータ構造を示す図である。
図7】医療機関情報管理データベース2024のデータ構造を示す図である。
図8】承認履歴情報管理データベース2025のデータ構造を示す図である。
図9】同意情報管理データベース2027のデータ構造を示す図である。
図10】カルテデータベースに格納される患者の医療情報の処理の動作を示すフローチャートである。
図11】診療対応した医師から受け付けたカルテ情報の処理についての他の例を示すフローチャートである。
図12】患者の医療情報を医師へ提示する処理についての他の例を示すフローチャートである。
図13】医師が、診療対応する医師が電子カルテシステム1の情報にアクセスするための認証処理についての例を示すフローチャートである。
図14】医師が、診療対応を行った医師が診療内容に関するカルテ情報をサーバ20へ送信するための認証処理についての例を示すフローチャートである。
図15】医師側端末装置に提示される患者の医療情報の画面例を示す図である。
図16】医師側端末装置に表示される、サーバへ送信するカルテ情報の画面例を示す図である。
図17】医療機関側端末装置に表示される、患者の医療情報の承認を依頼する画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
<第1の実施の形態>
本実施形態では、患者の診療日時のタイミングで、医療機関のカルテデータベースから取得される患者の医療情報を診療に対応する医師であるユーザに提示し、診療終了後に、医師から診療内容に関するカルテ情報を受け付け、受け付けたカルテ情報に基づき、患者の医療情報を更新する。
【0012】
<1.1 電子カルテシステム全体の構成図>
図1は、実施形態の電子カルテシステム1の全体構成の例を示すブロック図である。図1に示すように、電子カルテシステム1は、医師側端末装置10と、サーバ20と、医療機関側端末装置30と、カルテデータベース40とを含み、これらの装置がネットワーク80によって互いに通信可能に接続されている。
【0013】
医師側端末装置10は、ユーザである医師が操作する装置である。医師側端末装置10は、例えばスマートフォン、タブレット等の携帯端末、PC(Personal Computer)等である。
【0014】
医師側端末装置10は、プログラムを実行することにより、プログラムに応じた電子カルテシステム1を操作する環境をユーザに対して提供する。医師側端末装置10は、プログラムを読み込んで実行することにより、医師側端末装置10とサーバ20とを通信接続する。また、医師側端末装置10は、サーバ20から患者の医療情報の提示を受け付け、診療終了後に、診療内容に関するカルテ情報をサーバ20に対し送信する。
【0015】
図1に示すように、医師側端末装置10は、通信IF(Interface)12と、入力装置13と、出力装置14と、メモリ17と、記憶部18と、プロセッサ19とを備える。
【0016】
通信IF12は、医師側端末装置10が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。
【0017】
入力装置13は、ユーザからの入力操作を受け付けるための装置(例えば、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等)である。
【0018】
出力装置14は、ユーザに対して情報を提示するための装置(ディスプレイ、スピーカー等)である。
【0019】
メモリ17は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0020】
記憶部18は、データを保存するためのものであり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。
【0021】
プロセッサ19は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0022】
サーバ20は、電子カルテシステム1に係る一連の処理を管理する装置である。サーバ20は、患者の診療日時に基づくタイミングで、医療機関のカルテデータベース40から取得した患者の医療情報を診療対応する医師に提示し、診療終了後に、医師から受け付けたカルテ情報に基づき、患者の医療情報を更新する処理を行う。サーバ20は、予定診療情報、患者の診療情報、診療対応する医師情報など各種データを管理する。
【0023】
サーバ20は、通信IF22と、入出力IF23と、メモリ25と、ストレージ26と、プロセッサ29とを備える。
【0024】
通信IF22は、サーバ20が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。
【0025】
入出力IF23は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置、および、ユーザに対し、情報を提示するための出力装置とのインタフェースとして機能する。
【0026】
メモリ25は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0027】
ストレージ26は、データを保存するためのものであり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。
【0028】
プロセッサ29は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0029】
医療機関側端末装置30は、医療機関が操作する装置である。医療機関側端末装置30は、例えばスマートフォン、タブレット等の携帯端末、PC(PersonalComputer)等である。
【0030】
医療機関側端末装置30は、通信IF(Interface)32と、入力装置33と、出力装置34と、メモリ35と、記憶部36と、プロセッサ39とを備える。
【0031】
通信IF32は、医療機関側端末装置30が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。
【0032】
入力装置33は、ユーザからの入力操作を受け付けるための装置(例えば、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等)である。
【0033】
出力装置34は、ユーザに対して情報を提示するための装置(ディスプレイ、スピーカー等)である。
【0034】
メモリ35は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0035】
記憶部36は、データを保存するためのものであり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。
【0036】
プロセッサ39は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0037】
カルテデータベース40は、例えば、医療機関が保有するデータベースであり、患者の医療情報を格納する。カルテデータベース40は、医療機関が保有する場合に限られず、クラウド型電子カルテシステムのような、クラウド上など医療機関以外の機関等によって保有されているカルテデータベースも適用できる。したがって、以下の説明ではカルテデータベース40として医療機関が保有するデータベースを例示するが、例えば、クラウド型電子カルテシステムのデータベースに格納される患者の医療情報に基づく各種処理を実行する態様にも適用できる。
【0038】
<1.2 医師側端末装置10の機能的な構成>
図2は、医師側端末装置10の機能的な構成を示す図である。医師側端末装置10は、複数のアンテナ(アンテナ111、アンテナ112)と、各アンテナに対応する無線通信部(第1無線通信部121、第2無線通信部122)と、操作受付部130と、音声処理部140と、マイク141と、スピーカ142と、位置情報センサ150と、カメラ160と、記憶部170と、制御部180とを含む。医師側端末装置10は、図2では特に図示していない機能及び構成(例えば、電力を保持するためのバッテリ、バッテリから各回路への電力の供給を制御する電力供給回路など)も有している。図2に示すように、医師側端末装置10に含まれる各ブロックは、バス等により電気的に接続される。
【0039】
アンテナ111は、医師側端末装置10が発する信号を電波として空間へ放射する。また、アンテナ111は、空間から電波を受信して受信信号を第1無線通信部121へ与える。
【0040】
アンテナ112は、医師側端末装置10が発する信号を電波として空間へ放射する。また、アンテナ112は、空間から電波を受信して受信信号を第2無線通信部122へ与える。
【0041】
第1無線通信部121は、医師側端末装置10が他の無線機器と通信するため、アンテナ111を介して信号を送受信するための変復調処理などを行う。第2無線通信部122は、医師側端末装置10が他の無線機器と通信するため、アンテナ112を介して信号を送受信するための変復調処理などを行う。第1無線通信部121と第2無線通信部122とは、チューナー、RSSI(Received Signal Strength Indicator)算出回路、CRC(Cyclic Redundancy Check)算出回路、高周波回路などを含む通信モジュールである。第1無線通信部121と第2無線通信部122とは、医師側端末装置10が送受信する無線信号の変復調、周波数変換を行い、受信信号を制御部180へ与える。
【0042】
操作受付部130は、ユーザの入力操作を受け付けるための機構を有する。具体的には、操作受付部130は、タッチスクリーンとして構成され、タッチ・センシティブ・デバイス131と、ディスプレイ132とを含む。タッチ・センシティブ・デバイス131は、医師側端末装置10のユーザの入力操作を受け付ける。タッチ・センシティブ・デバイス131は、例えば静電容量方式のタッチパネルを用いることによって、タッチパネルに対するユーザの接触位置を検出する。タッチ・センシティブ・デバイス131は、タッチパネルにより検出したユーザの接触位置を示す信号を入力操作として制御部180へ出力する。
【0043】
ディスプレイ132は、制御部180の制御に応じて、画像、動画、テキストなどのデータを表示する。ディスプレイ132は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどによって実現される。
【0044】
音声処理部140は、音声信号の変復調を行う。音声処理部140は、マイク141から与えられる信号を変調して、変調後の信号を制御部180へ与える。また、音声処理部140は、音声信号をスピーカ142へ与える。音声処理部140は、例えば音声処理用のプロセッサによって実現される。マイク141は、音声入力を受け付けて、当該音声入力に対応する音声信号を音声処理部140へ与える。スピーカ142は、音声処理部140から与えられる音声信号を音声に変換して当該音声を医師側端末装置10の外部へ出力する。
【0045】
位置情報センサ150は、医師側端末装置10の位置を検出するセンサであり、例えばGPS(Global Positioning System)モジュールである。GPSモジュールは、衛星測位システムで用いられる受信装置である。衛星測位システムでは、少なくとも3個または4個の衛星からの信号を受信し、受信した信号に基づいて、GPSモジュールが搭載される医師側端末装置10の現在位置を検出する。
【0046】
カメラ160は、受光素子により光を受光して、撮影画像として出力するためのデバイスである。カメラ160は、例えば、カメラ160から撮影対象までの距離を検出できる深度カメラである。
【0047】
記憶部170は、例えばフラッシュメモリ等により構成され、医師側端末装置10が使用するデータ及びプログラムを記憶する。ある局面において、記憶部170は、ユーザ情報171と認証情報172とカルテ情報173とを記憶する。
【0048】
ユーザ情報171は、患者の診療に対応する医師であるユーザの情報である。ユーザ情報としては、ユーザIDに関する情報、ユーザの名称に関する情報、ユーザの年齢に関する情報、ユーザの性別に関する情報、ユーザが通常所属している医療機関に関する情報、ユーザの業務スケジュールに関する情報等が含まれる。
【0049】
認証情報172は、ユーザが診療対応可能な医師として、電子カルテデータベースから取得された患者の医療情報にアクセスできるユーザであることを認証するための情報である。認証情報としては、認証IDに関する情報、パスワードに関する情報等が含まれる。
【0050】
カルテ情報173は、診療終了後に、医師が作成する診療内容に関する情報である。カルテ情報173としては、診断による患者の症状に関する情報、患者への問診の情報、処方する薬の情報等が含まれる。
【0051】
制御部180は、記憶部170に記憶されるプログラムを読み込んで、プログラムに含まれる命令を実行することにより、医師側端末装置10の動作を制御する。制御部180は、例えば予め医師側端末装置10にインストールされているアプリケーションである。制御部180は、プログラムに従って動作することにより、入力操作受付部181と、送受信部182と、通知制御部183と、データ処理部184としての機能を発揮する。
【0052】
入力操作受付部181は、タッチ・センシティブ・デバイス131等の入力装置に対するユーザの入力操作を受け付ける処理を行う。入力操作受付部181は、タッチ・センシティブ・デバイス131に対してユーザが指などを接触させた座標の情報に基づき、ユーザの操作がフリック操作であるか、タップ操作であるか、ドラッグ(スワイプ)操作であるか等の操作の種別を判定する。
【0053】
送受信部182は、医師側端末装置10が、サーバ20等の外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。
【0054】
通知制御部183は、ユーザである医師に対し情報を提示する処理を行う。通知制御部183は、表示画像をディスプレイ132に表示させる処理、音声をスピーカ142に出力させる処理等を行う。
【0055】
データ処理部184は、医師側端末装置10が入力を受け付けたデータに対し、プログラムに従って演算を行い、演算結果をメモリ等に出力する処理を行う。
【0056】
<1.3 サーバ20の機能的な構成>
図3は、サーバ20の機能的な構成を示す図である。図3に示すように、サーバ20は、通信部201と、記憶部202と、制御部203としての機能を発揮する。
【0057】
通信部201は、サーバ20が外部の装置と通信するための処理を行う。
【0058】
記憶部202は、予定診療情報管理データベース2021と、患者医療情報管理データベース2022と、医師情報管理データベース2023と、医療機関情報管理データベース3024と、承認履歴情報管理データベース2025と、労働条件通知書情報3026と、同意情報管理データベース3027等を記憶する。
【0059】
予定診療情報管理データベース2021は、予め登録された訪問診療等の予定診療に関する各種情報を管理するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0060】
患者医療情報管理データベース2022は、医療機関のカルテデータベース40から取得した患者の医療情報(第1の情報)を管理するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0061】
医師情報管理データベース2023は、患者の診療に対応する医師に関する各種情報を管理するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0062】
医療機関情報管理データベース2024は、患者の医療情報を保有する医療機関に関する各種情報を管理するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0063】
承認履歴情報管理データベース2025は、診療内容を反映した患者の医療情報について、医療機関から承認を受けた履歴を表す情報を管理するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0064】
労働条件通知書情報2026は、医療機関が当該医療機関以外の医師に診療を依頼する場合に、診療依頼を受けた医師が同意した労働条件通知書に関する情報を含むデータベースである。詳細は後述する。
【0065】
同意情報管理データベース2027は、医療機関からの依頼に対し、医師から受け付ける、労働条件通知書情報への同意に関する各種情報を管理するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0066】
制御部203は、プロセッサ29が記憶部202に記憶されるプログラムを読み込み、プログラムに含まれる命令を実行することにより実現される。制御部203は、プログラムに従って動作することにより、受信制御モジュール2031、送信制御モジュール2032、予定診療情報取得モジュール2033、患者医療情報取得モジュール2034、医師情報取得モジュール2035、医療機関情報取得モジュール2036、承認履歴情報取得モジュール2037、認証情報生成モジュール2038、労働条件通知書情報生成モジュール2039、同意情報取得モジュール2040として示す機能を発揮する。
【0067】
受信制御モジュール2031は、サーバ20が外部の装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
【0068】
送信制御モジュール2032は、サーバ20が外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。
【0069】
予定診療情報取得モジュール2033は、予め登録された訪問診療等の予定診療に関する情報を管理するための一連の処理を行うものである。予定診療に関する情報とは、患者の医療情報を保有する担当医療機関のIDに関する情報、患者のIDに関する情報、患者の氏名に関する情報、患者の年齢に関する情報、患者の性別に関する情報、患者の連絡先に関する情報、診療予定日時に関する情報、前回診療日時に関する情報を含む。予定診療情報取得モジュール2033は、取得した予定診療に関する情報を、予定診療情報管理データベース2021へ格納する。
【0070】
患者医療情報取得モジュール2034は、医療機関のカルテデータベース40から取得した患者の医療情報(第1の情報)を管理するための一連の処理を行うものである。患者の医療情報とは、患者の氏名に関する情報、患者の医療情報を保有する担当医療機関のIDに関する情報、前回診療内容に関する情報、今回診療後の患者の診療内容に関する情報を含む。患者医療情報取得モジュール2034は、取得した患者の医療情報を、患者医療情報管理データベース2022へ格納する。
【0071】
医師情報取得モジュール2035は、医師であるユーザに関する情報を管理するための一連の処理を行うものである。医師に関する情報とは、医師であるユーザの氏名に関する情報、ユーザが通常所属する所属医療機関のIDに関する情報、ユーザの連絡先に関する情報、登録IDに関する情報、認証IDに関する情報、パスワード情報を含む。医師情報取得モジュール2035は、取得した医師に関する情報を、医師情報管理データベース2023へ格納する。
【0072】
医療機関情報取得モジュール2036は、患者の医療情報を保有する医療機関に関する情報を管理するための一連の処理を行うものである。医師に関する情報とは、医療機関名称に関する情報、医療機関の連絡先に関する情報、第1指定医師IDに関する情報、第2指定医師IDに関する情報、第3指定医師IDに関する情報などを含む。医療機関情報取得モジュール3036は、取得した医療機関に関する情報を、医療機関情報管理データベース2024へ格納する。指定医師IDは、必ずしも第1~第3までの情報を含む必要はなく、一方4つ以上の指定医師IDを含んでいてもよい。
【0073】
承認履歴情報取得モジュール2037は、医療機関による、診療内容を反映した患者の医療情報の承認履歴に関する情報を管理するための一連の処理を行うものである。承認履歴に関する情報とは、診療IDに関する情報、医師であるユーザIDに関する情報、患者IDに関する情報、診療日時に関する情報、承認されたカルテ情報に関する情報、承認日時に関する情報を含む。承認履歴情報取得モジュール2037は、承認履歴情報を、承認履歴情報管理データベース2025へ格納する。
【0074】
認証情報生成モジュール2038は、電子カルテデータベースから取得された患者の医療情報にアクセスできるユーザであることを認証するための認証情報を生成するための一連の処理を行うものである。認証情報生成モジュール2038が生成する認証情報としては、診療対応可能な医師として予め登録されたユーザであることを認証するための認証情報、診療対応可能な医師として登録されていないユーザに対して一時的に付与する一時認証情報等を含む。
【0075】
労働条件通知書情報生成モジュール2039は、医療機関が当該医療機関以外の医師に診療を依頼する場合に、診療を依頼する医師に提示する労働条件通知書情報を生成するための一連の処理を行うものである。生成される労働条件通知書情報には、患者に対する診療行為を行うための労働条件を示す情報であって医療機関に一時的に属することを示す情報が含まれている。労働条件通知書情報生成モジュール2039は、診療対象である患者を担当する医療機関に関する情報と、診療依頼の対象である医師に関する情報とに基づき、労働条件通知書情報を生成する。労働条件通知書情報生成モジュール2039は、生成した労働条件通知書情報を記憶部202へ記憶させる。
【0076】
なお、一時的に属するとは、労働条件通知書情報に含まれる労働条件の1つである労働機関(契約期間)において、医師であるユーザが特定の医療機関に所属することをいう。例えば、医師は、特定の医療機関に所属している期間においては、医療機関が保有する患者の医療情報にアクセスし、当該情報を閲覧することができるが、所属している期間を過ぎると当該情報を閲覧することができない。
【0077】
同意情報取得モジュール2040は、医師からの、労働条件通知書情報への同意に関する情報を管理するための一連の処理を行うものである。労働条件通知書情報への同意に関する情報とは、医師であるユーザIDに関する情報、ユーザが通常所属する所属医療機関IDに関する情報、労働条件通知書情報への同意可否に関する情報、診療依頼への同意日時に関する情報、所属を切り替える切替先の所属機関IDに関する情報などを含む。同意情報取得モジュール2040は、医師であるユーザから、労働条件通知書情報に同意する操作を受け付けたとき、取得した診療依頼への同意に関する情報を、同意情報管理データベース2027へ格納する。
【0078】
<2 データ構造>
図4乃至図9は、サーバ20が記憶するデータベースのデータ構造を示す図である。なお、図4乃至図9は一例であり、記載されていないデータを除外するものではない。
【0079】
図4は、予定診療情報管理データベース2021のデータ構造を示す図である。予定診療情報管理データベース2021の各レコードは、項目「予定診療ID」と、項目「担当医療機関ID」と、項目「患者ID」と、項目「患者氏名」と、項目「患者年齢」と、項目「患者性別」と、項目「患者連絡先」と、項目「診療予定日時」と、項目「前回診療日時」とを含む。図示する例では、3つの診療IDを受け付けることが可能な例を示しているが、これに限られない。
【0080】
項目「予定診療ID」は、予定される診療対象を識別する情報である。
【0081】
項目「担当医療機関ID」は、診療対象の患者を担当する医療機関を識別する情報である。
【0082】
項目「患者ID」は、診療対象の患者を識別する情報である。
【0083】
項目「患者氏名」は、患者の氏名を示す情報である。
【0084】
項目「患者年齢」は、患者の年齢を示す情報である。
【0085】
項目「患者性別」は、患者の性別を示す情報である。
【0086】
項目「患者連絡先」は、患者の連絡先を示す情報である。患者の連絡先を示す情報としては、メールアドレス、電話番号等が含まれる。
【0087】
項目「診療予定日時」は、診療予定の日時を示す情報である。
【0088】
項目「前回診療日時」は、前回診療の日時を示す情報である。
【0089】
図5は、患者医療情報管理データベース2022のデータ構造を示す図である。患者医療情報管理データベース2022の各レコードは、項目「患者ID」と、項目「患者氏名」と、項目「担当医療機関ID」と、項目「診療日時」と、項目「診療時の診療内容に関する情報」とを含む。図示する例では、3つの診療履歴の例を示しているが、これに限られない。
【0090】
項目「患者ID」は、診療対象である患者のそれぞれを識別する情報である。
【0091】
項目「患者氏名」は、患者の氏名を示す情報である。
【0092】
項目「担当医療機関ID」は、患者の医療情報を保有する担当医療機関のそれぞれを識別する情報である。
【0093】
項目「診療日時」は、各診療が行われた診療日時を示す情報である。
【0094】
項目「診療時の診療内容に関する情報」は、各診療における診療内容を示す情報である。診療内容を示す情報としては、診断による患者の症状に関する情報、患者への問診の情報、処方された薬に関する情報等が含まれる。
【0095】
図6は、医師情報管理データベース2023のデータ構造を示す図である。医師情報管理データベース2023の各レコードは、項目「ユーザID」と、項目「ユーザ氏名」と、項目「所属医療機関ID」と、項目「ユーザ連絡先」と、項目「登録ID」と、項目「認証ID」と、項目「パスワード情報」とを含む。図示する例では、3名の医師の例を示しているが、これに限られない。
【0096】
項目「ユーザID」は、医師であるユーザのそれぞれを識別する情報である。
【0097】
項目「ユーザ氏名」は、ユーザの氏名を示す情報である。
【0098】
項目「所属医療機関ID」は、ユーザが、通常所属している医療機関を識別する情報である。所属医療機関は、患者の担当医療機関と同じであってもよい。
【0099】
項目「ユーザ連絡先」は、ユーザの連絡先を示す情報である。ユーザの連絡先を示す情報としては、メールアドレス、電話番号等が含まれる。
【0100】
項目「登録ID」は、ユーザが、電子カルテシステム1を利用できるユーザとして登録されていることを示す識別情報である。
【0101】
項目「認証ID」は、ユーザが、カルテデータベース40から取得された患者の医療情報にアクセスできるユーザであることを認証するための情報であり、ユーザを識別する情報である。
【0102】
項目「パスワード情報」は、ユーザが、電子カルテデータベースから取得された患者の医療情報にアクセスできるユーザであることを認証するための情報であり、認証処理の際に要求されるパスワード情報である。
【0103】
図7は、医療機関情報管理データベース2024のデータ構造を示す図である。医療機関情報管理データベース2024の各レコードは、項目「医療機関ID」と、項目「医療機関名称」と、項目「医療機関連絡先」と、項目「第1指定医師ID」と、項目「第2指定医師ID」と、項目「第3指定医師ID」とを含む。図示する例では、3つの医療機関の例を示しているが、これに限られない。
【0104】
項目「医療機関ID」は、患者の医療情報を保有する医療機関のそれぞれを識別する情報である。
【0105】
項目「医療機関名称」は、医療機関の名称を示す情報である。
【0106】
項目「医療機関連絡先」は、医療機関の連絡先を示す情報である。医療機関の連絡先を示す情報としては、メールアドレス、電話番号等が含まれる。
【0107】
項目「第1指定医師ID」は、医療情報が当該医療機関以外の医師に診療を依頼する場合において、診療対応可能な医師として登録されている対象の中から、特定の医療機関によって指定された第1の医師を識別するための情報を示す。第1指定医師IDに相当する医師は、当該特定の医療機関が依頼する最も優先度の高い医師とすることができる。一方、医療機関によっては、特定の医師を指定しない場合があり、その場合には「指定なし」として分類される。
【0108】
項目「第2指定医師ID」は、医療情報が当該医療機関以外の医師に診療を依頼する場合において、診療対応可能な医師として登録されている対象の中から、特定の医療機関によって指定された第2の医師を識別するための情報を示す。第2指定医師IDに相当する医師は、当該特定の医療機関が依頼する2番目に優先度の高い医師とすることができる。医療機関が第2指定医師として医師を指定しない場合には、「指定なし」として分類される。
【0109】
項目「第3指定医師ID」は、医療情報が当該医療機関以外の医師に診療を依頼する場合において、診療対応可能な医師として登録されている対象の中から、特定の医療機関によって指定された第3の医師を識別するための情報を示す。第2指定医師IDに相当する医師は、当該特定の医療機関が依頼する3番目に優先度の高い医師とすることができる。医療機関が第3指定医師として医師を指定しない場合には、「指定なし」として分類される。
【0110】
図8は、承認履歴情報管理データベース2025のデータ構造を示す図である。承認履歴情報管理データベース2025の各レコードは、項目「診療ID」と、項目「ユーザ(医師)ID」と、項目「ユーザ(患者)ID」と、項目「承認可否」と、項目「承認されたカルテ情報」と、項目「承認日時」とを含む。図示する例では、3つの管理例を示しているが、これに限られない。
【0111】
項目「診療ID」は、診療対象を識別する情報である。
【0112】
項目「ユーザID」は、医師であるユーザを識別する情報である。
【0113】
項目「患者ID」は、患者を識別する情報である。
【0114】
項目「承認可否」は、患者の担当医療機関による、診療内容が反映された患者の医療情報の承認可否を示す情報である。
【0115】
項目「承認された医療情報」は、診療内容が反映された患者の医療情報であり、患者の担当医療機関によって承認された情報である。
【0116】
項目「承認日時」は、患者の担当医療機関が、診療内容が反映された患者の医療情報を承認した日時を示す情報である。
【0117】
図9は、同意情報管理データベース2027のデータ構造を示す図である。同意情報管理データベース2027の各レコードは、項目「管理ID」と、項目「ユーザ氏名」と、項目「所属医療機関ID」と、項目「診療依頼への同意可否」と、項目「診療依頼への同意日時」と、項目「切替先所属医療機関ID」とを含む。図示する例では、3つの管理例を示しているが、これに限られない。
【0118】
項目「管理ID」は、診療依頼の同意情報の事案のそれぞれを識別する情報である。
【0119】
項目「ユーザ氏名」は、医師であるユーザの氏名を示す情報である。
【0120】
項目「所属医療機関ID」は、ユーザが、通常所属している医療機関を識別する情報である。
【0121】
項目「診療依頼への同意可否」は、医師が、医療機関からの診療依頼として提示される労働条件通知書情報に対して同意するか否かを示す情報である。具体的には、医師が労働条件通知書に記載される情報(診療依頼)に同意した場合には「可」と表示され、一方医師が労働条件通知書に記載される情報(診療依頼)に同意しなかった場合には「不可」と表示される。
【0122】
項目「切替先所属医療機関ID」は、医師が労働条件通知書に記載される情報(診療依頼)に同意した場合に、切替先の所属となる医療機関を識別する情報である。切替先所属医療機関IDは、医師が労働条件通知書に記載される情報(診療依頼)に同意しなかった場合には表示されない。
【0123】
<3 動作>
次に、電子カルテシステム1を構成する各装置の動作について説明する。
【0124】
<3.1 動作例>
図10は、サーバ20を介した、カルテデータベースに格納される患者の医療情報の処理の流れを示す図である。以下の例では、診療に対応する医師であるユーザに対し、患者の過去の医療情報を提示し、診療終了後に医師から診療内容に関するカルテ情報を受け付け、このカルテ情報に基づき患者の医療情報を更新する例を説明する。
【0125】
ステップS651において、サーバ20は、医療機関のカルテシステムから患者の医療情報(第1の情報)を取得する。患者の医療情報を取得するタイミングは、例えば、診療日時の一定期間前に設定すること、毎週月曜日の午前9時といった定期的な日時に設定することなど、任意に設定することができる。また患者の診療情報は、患者ごとに取得すること、電子カルテシステム1で管理するすべての患者について一括で取得(バッチで取得)することなど、任意のルールのもとで取得することができる。
【0126】
ステップS652において、サーバ20は、患者の診療日時に基づくタイミングで、ユーザに対して患者の医療情報を提示する。診療情報の提示を受けたユーザは、医師側端末装置10のディスプレイ132にて患者の医療情報を確認することができる。患者の医療情報を提示するタイミングとしては、任意の条件を設定することができる。例えば、サーバ20は、診療開始前の6時間以内になったとき医療情報の提示を行う。
【0127】
ステップS601において、医師側端末装置10は、患者の診療終了後に、ユーザから、ユーザによって作成された患者の診療内容に関するカルテ情報を受け付ける。ユーザは、医師側端末装置10を使用して、カルテ情報を入力し、サーバ20へ送信する。送信するカルテ情報には、診断による患者の症状に関する情報、患者への問診の情報、処方した薬の情報等が含まれる。
【0128】
ステップS653において、サーバ20は、受け付けたカルテ情報に基づき、患者の医療情報を更新する。具体的には、例えば、サーバ20は、受け付けたカルテ情報の中から、患者の医療情報として必要なテキスト情報等を抽出し、抽出された情報を前回診療までの患者の医療情報に追加することで更新する。
【0129】
ステップS654において、サーバ20は、更新された患者の医療情報を記憶する。この場合、サーバ20は、患者医療情報管理データベース2022を更新するとともに、患者の医療情報を記憶する。
【0130】
ステップS655において、サーバ20は、患者の医療情報を保有する担当医療機関に対し、更新された患者の医療情報についての承認を依頼する。この処理は、サーバ20に記憶された更新された患者の医療情報を、医療機関のカルテデータベース40に反映させるために実行される。承認の依頼に際して、サーバ20は、医療機関に対し、更新された患者の医療情報を提示する。
【0131】
ステップS701において、医療機関側端末装置30から、更新された患者の医療情報を承認する操作を受け付ける。具体的に、医療機関は、患者を担当する医療機関が更新された患者の医療情報に問題なしと判断した場合に、医療機関からの操作に応じて承認する操作を行う。一方、当該医療機関が更新された患者の医療情報に問題ありと判断した場合には、医療機関は、医療機関からの操作に応じて承認しない操作を行う。
【0132】
ステップS656において、サーバ20は、医療機関による、承認する操作に応じて、医療機関のカルテデータベース40に格納される患者の医療情報を更新する。
【0133】
<3.2 動作例2>
図11は、サーバ20を介した、診療に対応した医師であるユーザから受信したカルテ情報の処理についての他の例を示す図である。
【0134】
ステップS601において、医師側端末装置10は、患者の診療終了後に、医師であるユーザから、ユーザによって作成された患者の診療内容に関するカルテ情報を受け付ける。ユーザは、医師側端末装置10を使用して、カルテ情報を入力し、サーバ20へ送信する。送信するカルテ情報には、診断による患者の症状に関する情報、患者への問診の情報、処方した薬の情報等が含まれる。
【0135】
ステップS6531において、サーバ20は、受け付けたカルテ情報の適否を判定する。この処理では、受け付けたカルテ情報に含まれる情報が、患者の医療情報を更新するために必要な情報を含んでいるか否かを基準にしてその適否が判定される。例えば、サーバ20は、受け付けたカルテ情報に含まれる情報が、患者の医療情報を更新するために必要な情報として不明確である場合、当該必要な情報を含んでいない場合などには、受け付けたカルテ情報が不適格であると判定する。
【0136】
ステップS6532において、サーバ20は、受け付けたカルテ情報が不適格であると判定した場合に、医師側端末装置10に対し、カルテ情報の修正を促す通知を送信する。修正を促す通知には、例えば、カルテ情報が不適格である理由に関する情報、不適格に該当する部分の情報等が含まれる。
【0137】
当該通知を受信したユーザは、医師側端末装置10を使用して、修正したカルテ情報を入力し、サーバ20へ再度送信する。サーバ20は、再度受信したカルテ情報に含まれる情報が適格であると判定する場合には、図8におけるステップS654以降の処理を実行する。
【0138】
<3.3 動作例3>
図12は、サーバ20を介した、患者の医療情報を医師であるユーザへ提示する処理についての他の例を示す図である。
【0139】
ステップS6001において、医師側端末装置10は、医師であるユーザから、ユーザが診療を予定している患者の医療情報の提示要求を受け付ける。ユーザは、医師側端末装置10を使用して、提示要求に関する情報を入力し、サーバ20へ送信する。医療情報の提示要求は、患者の診療日時に基づくタイミングにおいて行われる。具体的には、例えば、診療の当日或いは診療開始時間の6時間前等、診療開始前の一定期間内に行われる。
【0140】
ステップS6520において、サーバ20は、医師からの提示要求に応じて、患者の医療情報を提示する。医療情報の提示を受けた医師は、医師側端末装置10のディスプレイ132にて患者の医療情報を確認することができる。患者の医療情報を提示に際しては、情報を提示するための条件を設定することができる。例えば、サーバ20は、診療開始前の6時間以内に提示要求があった場合に限り医療情報の提示を行い、当該時間よりも前に提示要求があった場合には要求を拒否し、医師側端末装置10に対し、対象期間内に再度提示要求を行うように促す通知をすることできる。
【0141】
<3.4 動作例4>
図13は、サーバ20を介した、診療に対応する医師であるユーザへ、患者の医療情報を提示するための認証処理についての例を示す図である。
【0142】
ステップS6002において、医師側端末装置10は、医師であるユーザから、認証情報の入力を受け付ける。ユーザは、医師側端末装置10を使用して、認証情報として、カルテデータベース40から取得された患者の医療情報にアクセスできるユーザであることを認証するための認証IDに関する情報とパスワード情報とを入力し、サーバ20へ送信する。このステップにおける認証情報は、認証IDに関する情報とパスワード情報に限られるものではなく、認証を行うためのその他の情報を適用することもできる。
【0143】
ステップS6501において、サーバ20は、受け付けた認証情報と登録された認証情報とを照合し、受け付けた認証情報を認証する。
【0144】
ステップS6502において、サーバ20は、認証後、ユーザに対し、患者の医療情報を提示する。
【0145】
<3.5動作例5>
図14は、サーバ20を介した、診療に対応する医師であるユーザから、ユーザが作成した診療内容に関するカルテ情報を受け付けるための認証処理についての例を示す図である。
【0146】
ステップS6002において、医師側端末装置10は、医師であるユーザから、認証情報の入力を受け付ける。ユーザは、医師側端末装置10を使用して、認証情報として、カルテデータベース40から取得された患者の医療情報にアクセスできるユーザであることを認証するための認証IDに関する情報とパスワード情報とを入力し、サーバ20へ送信する。
【0147】
ステップS6501において、サーバ20は、受け付けた認証情報と登録された認証情報とを照合し、受け付けた認証情報を認証する。
【0148】
ステップS6010において、医師側端末装置10は、認証後、診療対応を行ったユーザから患者の診療内容に関するカルテ情報を受け付ける。
【0149】
<4 画面例>
図15は、医師側端末装置宛てに提示される患者の医療情報の画面例を示す図である。
【0150】
図15の画面例は、サーバ20から、医師であるユーザの医師側端末装置10に表示する画面である。図8のステップS652、図10のステップS6520の処理に対応する。
【0151】
図15に示すように、医師側端末装置10において、提示された情報の閲覧有効期限に関する情報を表示するための領域801Aと、診療対象である患者に関する情報を表示するための領域801Bと、予定の診療に関する情報を表示するための領域801Cと、前回診療時の診療内容に関する情報を表示するための領域801Dとを表示させる。
【0152】
領域801Aには、提示された患者の医療情報を確認することができる期限を明示した閲覧有効期限に関する情報を表示させることができる。具体的には、患者の医療情報を確認することができる日時に関する情報が表示される。
【0153】
領域801Bには、診療対象である患者に関する情報であり、診療前に医師が確認する必要がある患者に関する情報を表示させることができる。具体的には、患者の氏名、患者の性別、患者の生年月日と年齢、患者の住所、患者を担当する医療機関の名称に関する情報が表示される。
【0154】
領域801Cには、医師が対応する予定の診療に関する情報であり、診療前に医師が確認する必要がある予定診療に関する情報を表示させることができる。具体的には、患者の氏名、診療予定日時、診療場所、診療住所、患者の電話番号など診療に際して患者と連絡をとるための連絡先に関する情報が表示される。
【0155】
領域801Dには、患者の、前回診療時の診療内容に関する情報であり、診療前に医師が確認する必要がある診療に関する情報を表示させることができる。具体的には、前回診療時の問診の情報、前回診療での診断後の病状に関する情報、前回診療時に処方された薬の情報などが表示される。
【0156】
ユーザは、領域801Bに表示される患者に関する情報、領域801Cに表示される予定診療に関する情報、領域801Dに表示される前回の診療内容に関する情報を確認した上で診療に臨む。
【0157】
図16は、診療後に、診療に対応した医師であるユーザによって作成される患者の診療内容に関するカルテ情報の画面例を示す図である。
【0158】
図16の画面例は、ユーザの操作により、医師側端末装置10に表示する画面である。図10図11のステップS601、図12のステップS6010の処理に対応する。
【0159】
図16に示すように、医師側端末装置10において、カルテ情報の作成者である医師に関する情報を表示するための領域901Aと、診療対象であった患者に関する情報を表示するための領域901Bと、実施した患者の日時・場所に関する情報を表示するための領域901Cと、患者の診療内容に関する情報を表示するための領域901Dと、カルテ情報の送信の可否を確認するための情報を表示するための領域901Eとを表示させる。
【0160】
領域901Aには、診療後に、診療内容に関するカルテ情報を作成した医師に関する情報を表示させることができる。具体的には、作成者の氏名(カルテ情報を作成した医師の氏名)、医師の所属医療機関の名称、医師の連絡先に関する情報が表示される。
【0161】
領域901Bには、診療対象であった患者に関する情報を表示させることができる。具体的には、患者の氏名、患者の性別、患者の生年月日と年齢、患者の住所、患者を担当する医療機関の名称に関する情報が表示される。
【0162】
領域901Cには、実施した患者の日時・場所に関する情報を表示させることができる。具体的には、実施した診療の診療日時(実績)、診療場所、診療住所に関する情報が表示される。
【0163】
領域901Dには、患者の診療内容に関する情報を表示させることができる。具体的には、今回の診療の内容、処方した薬、その他備考として記載すべき事項に関する情報が表示される。
【0164】
領域901Eには、サーバ20へ、カルテ情報の送信の可否を確認するための情報を表示させることができる。具体的には、カルテ情報を送信する処理を行うためのリンク情報(9011E)と、カルテ情報を送信しない処理を行うためのリンク情報(9012E)が表示される。
【0165】
ユーザは、領域901Aに表示されるカルテ情報の作成者(医師)に関する情報、領域901Bに表示される患者に関する情報、領域901Cに表示される実施した患者の日時・場所に関する情報、領域901Dに表示される患者の診療内容に関する情報を確認した上で、カルテ情報をサーバ20へ送信する場合には、「送信する」と表記されるリンク情報9011Eをクリックする操作を行う。一方、カルテ情報を送信しない場合には、「送信しない」と表記されるリンク情報9012Eをクリックする操作を行う。
【0166】
図17は、サーバ20において更新された患者の医療情報について、医療機関に対して承認を依頼するための画面例を示す図である。
【0167】
図17の画面例は、医療機関側端末装置30に表示する画面である。図8のステップS656、S701の処理に対応する。
【0168】
図17に示すように、医療機関側端末装置30において、診療に対応した医師に関する情報を表示するための領域1001Aと、患者の診療内容に関する情報を表示するための領域1001Bと、提示された医療情報の承認の可否を確認するための情報を表示するための領域1001Cとを表示させる。
【0169】
領域1001Aには、診療に対応した医師に関する情報を表示させることができる。具体的には、作成者の氏名(カルテ情報を作成した医師の氏名)、医師の所属医療機関の名称、医師の連絡先に関する情報が表示される。
【0170】
領域1001Bには、患者の診療内容に関する情報を表示させることができる。具体的には、患者の氏名、医療機関で管理する患者のID、実施された診療の診療日時(実績)、今回の診療における診療内容、その他備考として記載すべき事項に関する情報が表示される。
【0171】
領域1001Cには、提示された医療情報の承認の可否を確認するための情報を表示させることができる。具体的には、医療情報として表示される内容を承認する処理を行うためのリンク情報(10011C)と、医療情報として表示される内容を承認しない処理を行うためのリンク情報(10012C)が表示される。
【0172】
医療機関は、領域1001Aに表示される診療に対応した医師に関する情報、領域1001Bに表示される患者の診療内容に関する情報を確認した上で、医療情報として表示される内容を承認する場合には、「承認する」と表記されるリンク情報10011Cをクリックする操作を行う。一方、医療情報として表示される内容を承認しない場合には、「承認しない」と表記されるリンク情報10012Cをクリックする操作を行う。
【0173】
<5 変形例>
本実施形態の変形例について説明する。
【0174】
(1)ユーザが診療対応可能な医師として登録されていない場合の処理
医療機関等から患者の診療を依頼された医師が、診療対応可能な医師として登録されていない、すなわち電子カルテシステム1を利用できるユーザとして登録されていない場合、医師に対し、医療機関のカルテデータベース40から取得した患者の医療情報に一時的にアクセスできるユーザであることを認証するための一時認証情報を付与する処理を実行してもよい。この処理は、ユーザである医師に対して、一時的なアクセス権限を付与するものであるため、例えば、ユーザが診療依頼を受けた診療に係る患者の医療情報のみにアクセスできるといった制限を設けることができる。
【0175】
ユーザに対して上記一時認証情報が付与された場合において、ユーザが、付与された一時認証情報に基づき患者の医療情報の提示を要求し、提示要求に応じて、ユーザに対し、患者の医療情報を提示する処理を実行してもよい。
【0176】
またユーザに対して上記一時認証情報が付与された場合において、ユーザが、付与された一時認証情報に基づき、サーバ20へカルテ情報を送信する処理を実行してもよい。
【0177】
(2)医療機関に所属していない医師に対し、患者の医療情報を提示する場合の処理
サーバ20は、医療機関に所属していない医師であるユーザに対し、患者の診療日時に基づくタイミングで、患者に対する診療行為を行うための労働条件を示す第1の情報であって医療機関に一時的に属することを含む労働条件通知書情報を提示し、ユーザから、労働条件通知書情報に同意する操作を受け付けることにより、患者の医療情報を提示する処理を実行してもよい。
【0178】
この場合、サーバ20は、医療機関が予め指定する医師であるユーザに対し、患者の診療日時に基づくタイミングで、患者に対する診療行為を行うための労働条件を示す第1の情報であって医療機関に一時的に属することを含む労働条件通知書情報を提示する処理を実行してもよい。医療機関により指定される医師は、例えば、医療機関情報管理データベース2024に格納される医療機関情報に基づき決定される。
【0179】
以上説明したように、本開示の電子カルテシステム1によれば、患者の診療日時に基づくタイミングで、診療対応する医師であるユーザに対し、医療機関のカルテデータベースから取得した患者の医療情報を提示し、診療終了後に、ユーザから診療内容に関するカルテ情報を受け付け、受け付けたカルテ情報に基づき患者の医療情報を更新し、さらに更新した患者の医療情報を記憶する処理を行う。このため、患者の医療情報に最新の医療内容を確実に反映させることができる。
【0180】
また本開示の電子カルテシステム1によれば、医師であるユーザからの提示要求に応じて、ユーザに対し、患者の医療情報を提示する処理を行う。このため、医師は適切なタイミングで患者の医療情報について提示を受け、円滑な診療に対応することができる。
【0181】
また本開示の電子カルテシステム1によれば、医療機関に対し、サーバ20において更新された患者の医療情報の承認を依頼し、医療機関による承認する操作に応じて、医療機関のカルテデータベースに格納される患者の医療情報を更新する処理を行う。このため、医療機関のカルテデータベースに最新の医療内容を確実に反映させることができる。
【0182】
また本開示の電子カルテシステム1によれば、医師であるユーザから受け付けたカルテ情報の適否を判定し、受け付けたカルテ情報が不適格と判定された場合に、ユーザに対してカルテ情報の修正を促す通知を送信する処理を行う。このため、医師が作成したカルテ情報に不備があった場合でも是正する機会が与えられるので、患者の医療情報に最新の医療内容を確実に反映させることができる。
【0183】
また本開示の電子カルテシステム1によれば、ユーザが、診療対応可能な医師として、カルテデータベースから取得した患者の医療情報にアクセスできるユーザであることを認証するための認証情報とともに登録されている。このため、認証された医師であるユーザだけが電子カルテシステム1にアクセスできるので、医療情報のセキュリティを確保することができる。
【0184】
また本開示の電子カルテシステム1によれば、医師であるユーザから認証情報の入力を受け付け、受け付けた認証情報と登録された認証情報とを照合することで、ユーザに対し、患者の医療情報を提示する処理を行う。このため、認証された医師であるユーザだけが患者の医療情報の提示を受けるので、医療情報のセキュリティを確保することができる。
【0185】
また本開示の電子カルテシステム1によれば、医師であるユーザから認証情報の入力を受け付け、受け付けた認証情報と登録された認証情報とを照合することで、医師から、カルテ情報の送信を受け付ける処理を行う。このため、認証された認証された医師であるユーザだけが、患者の医療情報を更新するためのカルテ情報を送信することができるので、医療情報のセキュリティを確保することができる。
【0186】
また本開示の電子カルテシステム1によれば、ユーザが診療対応可能な医師として登録されていない場合において、ユーザに対し、患者の医療情報に一時的にアクセスできるユーザであることを認証するための一時認証情報を付与し、付与した一時認証情報に基づき、ユーザに対し、患者の医療情報を提示する処理を行う。このため、登録されていない医師であっても、正式な登録手続きに係る処理を経ることなく速やかに患者の医療情報の提示を受けることができるので、円滑な診療に対応することができる。
【0187】
また本開示の電子カルテシステム1によれば、ユーザが診療対応可能な医師として登録されていない場合において、ユーザに対し、患者の医療情報に一時的にアクセスできるユーザであることを認証するための一時認証情報を付与し、付与した一時認証情報に基づき、ユーザから、カルテ情報を受け付ける処理を行う。このため、登録されていない医師であっても、正式な登録手続きに係る処理を経ることなく速やかにカルテ情報を送信することができるので、患者の医療情報の更新を円滑に行うことができる。
【0188】
また本開示の電子カルテシステム1によれば、医療機関のカルテデータベースから、患者の医療情報を定期的に取得する処理を行う。このため、患者の医療情報を、診療日時が近づくタイミングごとに情報を取得するといった、取得タイミングを管理する手間を省くことができる。
【0189】
また本開示の電子カルテシステム1によれば、ユーザが医療機関に所属していない医師であり、ユーザに対し、患者の前記診療日時に基づくタイミングで、患者に対する診療行為を行うための労働条件を示す情報であって患者の前記医療機関に一時的に属することを含む労働条件通知書情報を提示し、ユーザから、労働条件通知書情報に同意する操作を受け付け、同意する操作を受け付けることにより、ユーザに対し、患者の医療情報を提示する処理を行う。このため、医療機関に所属しない医師であっても、提示される労働条件通知書情報への同意操作を行うことで患者の医療情報の提示を受けることができるので、円滑な診療に対応することができる。
【0190】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態およびその変形は、発明の範囲、要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0191】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
(付記1)
プロセッサ(29)と、メモリ(25)とを備えるコンピュータに実行させ、医療機関のカルテデータベースに格納される患者の医療情報を処理するプログラムであって、医療機関のカルテデータベース(40)から、カルテデータベースに格納される患者の医療情報である第1の情報を取得するステップ(S651)と、患者の診療日時に基づくタイミングで、診療対応する医師である第1のユーザに対し、第1の情報を提示するステップ(S652)と、患者に対する診療終了後に、第1のユーザから、患者の診療内容に関するカルテ情報を受信するステップ(S653)と、受信したカルテ情報に基づき、第1の情報を更新するステップ(S654)と、更新した第1の情報を、患者の診療内容を反映した医療情報である第2の情報として記憶するステップ(S655)と、を実行させるプログラム。
【0192】
(付記2)
第1のユーザの医療情報を提示するステップにおいて、第1のユーザからの提示要求に応じ、第1のユーザに対し、第1の情報を提示する(S6520)、付記1に記載のプログラム。
【0193】
(付記3)
記憶するステップにおいて記憶した第2の情報について、医療機関に対し、承認を依頼するステップ(S656)と、医療機関からの承認する操作を受け付けるステップ(S701)と、医療機関が承認する操作に応じて、医療機関のカルテデータベースに格納される第1の情報を、承認された第2の情報に更新するステップ(S657)とを実行させる、付記1又は2に記載のプログラム。
【0194】
(付記4)
受信したカルテ情報の適否を判定するステップ(S6531)と、適否を判定するステップにおいて、受信したカルテ情報が不適格と判定された場合に、第1のユーザに対し、カルテ情報の修正を促す通知を送信するステップ(S6532)と、を実行させる付記1から3のいずれか1つに記載のプログラム。
【0195】
(付記5)
第1のユーザが、診療対応可能な医師として、カルテデータベースから取得した第1の情報にアクセスできるユーザであることを認証するための認証情報とともに登録されている、付記1から4のいずれか1項に記載のプログラム。
【0196】
(付記6)
患者の医療情報を提示するステップにおいて、第1のユーザから認証情報の入力を受け付け、受け付けた認証情報と登録された認証情報とを照合することで、第1のユーザに対し、第1の情報を提示する、付記5に記載のプログラム。
【0197】
(付記7)
カルテ情報を受け付けるステップにおいて、第1のユーザから認証情報の入力を受け付け、受け付けた認証情報と登録された認証情報とを照合することで、第2のユーザから、カルテ情報の送信を受け付ける、付記5又は6に記載のプログラム。
【0198】
(付記8)
第2のユーザが診療対応可能な医師として登録されていない場合において、第1のユーザに対し、第1の情報に一時的にアクセスできるユーザであることを認証するための一時認証情報を付与し、付与した一時認証情報に基づき、第1のユーザに対し、第1の情報を提示する、付記1から4のいずれか1つに記載のプログラム。
【0199】
(付記9)
第1のユーザが診療対応可能な医師として登録されていない場合において、第2のユーザに対し、第1の情報に一時的にアクセスできるユーザであることを認証するための一時認証情報を付与し、付与した一時認証情報に基づき、第1のユーザから、カルテ情報の送信を受け付ける、付記1から4のいずれか1つに記載のプログラム。
【0200】
(付記10)
第1の情報を取得するステップにおいて、医療機関のカルテデータベースから、第1の情報を定期的に取得する、付記1から9のいずれか1つに記載のプログラム。
【0201】
(付記11)
第1のユーザが医療機関に所属していない医師であり、第1のユーザに対し、患者の診療日時に基づくタイミングで、患者に対する診療行為を行うための労働条件を示す第3の情報であって患者の医療機関に一時的に属することを含む第3の情報を提示するステップと、第1のユーザから、第3の情報に同意する操作を受け付けるステップと、同意する操作を受け付けることにより、第1のユーザに対し、第1の情報を提示するステップと、を実行させる付記1から10のいずれか1つに記載のプログラム。
【0202】
(付記12)
プロセッサ(29)と、メモリ(25)とを備えるコンピュータに実行させ、医療機関のカルテデータベースに格納される患者の医療情報を処理する方法であって、プロセッサ(29)が、医療機関のカルテデータベースから、カルテデータベースに格納される患者の医療情報である第1の情報を取得するステップ(S651)と、患者の診療日時に基づくタイミングで、診療対応する医師である第1のユーザに対し、第1の情報を提示するステップ(S652)と、患者に対する診療終了後に、第1のユーザから、患者の診療内容に関するカルテ情報を受信するステップ(S653)と、受信したカルテ情報に基づき、第1の情報を更新するステップ(S654)と、更新した第1の情報を、患者の診療内容を反映した医療情報である第2の情報として記憶するステップ(S655)と、を実行する方法。
【0203】
(付記13)
制御部(203)と、記憶部(202)とを備える情報処理装置であって、情報処理装置は、医療機関のカルテデータベースに格納される患者の医療情報を処理するためのものであり、制御部(203)が、医療機関のカルテデータベースから、カルテデータベースに格納される患者の医療情報である第1の情報を取得するステップ(S651)と、患者の診療日時に基づくタイミングで、診療対応する医師である第1のユーザに対し、第1の情報を提示するステップ(S652)と、患者に対する診療終了後に、第1のユーザから、患者の診療内容に関するカルテ情報を受信するステップ(S653)と、受信したカルテ情報に基づき、第1の情報を更新するステップ(S654)と、更新した第1の情報を、患者の診療内容を反映した医療情報である第2の情報として記憶するステップ(S655)と、を実行する情報処理装置。
【符号の説明】
【0204】
1:電子カルテシステム、10:医師側端末装置、12:通信IF、13:入力装置、14:出力装置、17:メモリ、18:記憶部、19:プロセッサ、20:サーバ、22:通信IF、23:入出力IF、25:メモリ、26:ストレージ、29:プロセッサ、30:医療機関側端末装置、32:通信IF、33:入力装置、34:出力装置、35:メモリ、36:記憶部、39:プロセッサ、40:カルテデータベース、80:ネットワーク、111:アンテナ、112:アンテナ、121:第1無線通信部、122:第2無線通信部、130:操作受付部、131:タッチ・センシティブ・デバイス、132:ディスプレイ、140:音声処理部、141:マイク、142:スピーカ、150:位置情報センサ、160:カメラ、170:記憶部、171:ユーザ情報、172:認証情報、173:カルテ情報、181:入力操作受付部、182:送受信部、183:通知制御部、184:データ処理部、201:通信部、202:記憶部、203:制御部、2021:予定診療情報管理データベース、2022:患者医療情報管理データベース、2023:医師情報管理データベース、2024:医療機関情報管理データベース、2025:承認履歴情報管理データベース、2026:労働条件通知書情報、2027:同意情報管理データベース、2031:受信制御モジュール、2032:送信制御モジュール、2033:予定診療情報取得モジュール、2034:患者医療情報取得モジュール、2035:医師情報取得モジュール、2036:医療機関情報取得モジュール、2037:承認履歴情報取得モジュール、2038:認証情報生成モジュール、2039:労働条件通知書情報生成モジュール、2040:同意情報取得モジュール
【要約】
【課題】医療機関のカルテデータベースから取得する患者の医療情報に、最新の診療内容を確実に反映させること。
【解決手段】プロセッサ(29)と記憶部(25)とを備えるコンピュータに実行させるプログラムが提供される。プログラムは、医療機関のカルテデータベースに格納される患者の医療情報である第1の情報を取得するステップ(S651)と、患者の診療日時に基づくタイミングで、患者の診療に対応する医師である第2のユーザに対し、第1の情報を提示するステップ(S652)と、診療終了後に、第1のユーザから、患者の診療内容に関するカルテ情報を受け付けるステップ(S653)と、カルテ情報に基づき第1の情報を更新するステップ(S654)と、更新した第1の情報を、患者の診療内容を反映した医療情報である第2の情報として記憶するステップ(S655)とを実行させる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16
図17