(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】欠陥検査装置及び欠陥検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20240828BHJP
G01N 21/952 20060101ALI20240828BHJP
G01N 21/896 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
G01N21/892 C
G01N21/952
G01N21/896
(21)【出願番号】P 2023164204
(22)【出願日】2023-09-27
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】592180823
【氏名又は名称】株式会社メック
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【氏名又は名称】柏野 由布子
(72)【発明者】
【氏名】原 知之
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-55921(JP,A)
【文献】特開2009-8659(JP,A)
【文献】特開2005-37203(JP,A)
【文献】特開平6-331553(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0103079(US,A1)
【文献】中国実用新案第219348680(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第113218862(CN,A)
【文献】特開2007-291544(JP,A)
【文献】特表2008-537591(JP,A)
【文献】特開昭60-205337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁部に透明部及び不透明部がある筒状体の欠陥を検査する欠陥検査装置であって、
前記筒状体を当該筒状体の軸方向に通し、前記軸方向における前記筒状体の所定部位において前記周壁部の周方向全体に向けて光を照射する第一リング状照明部及び第二リング状照明部と、
前記第一リング状照明部から出射されて前記所定部位に位置する前記透明部を透過した透過光、及び、少なくとも前記第二リング状照明部から出射されて前記所定部位において反射した反射光を受光することで、前記所定部位を撮像するラインセンサと、
前記ラインセンサから得られる画像データに基づいて前記筒状体の欠陥を検出する欠陥検出部と、
を備える欠陥検査装置。
【請求項2】
前記第一リング状照明部から出射される光量と、前記第二リング状照明部から出射される光量とが独立して調整可能である請求項1に記載の欠陥検査装置。
【請求項3】
前記第一リング状照明部と前記ラインセンサとの相対的な位置を変化させることで、前記ラインセンサが前記第一リング状照明部からの光を受光する光量が変化する請求項1に記載の欠陥検査装置。
【請求項4】
前記第一リング状照明部及び前記第二リング状照明部は、前記軸方向において前記筒状体の前記所定部位に対して互いに逆側に位置する請求項1に記載の欠陥検査装置。
【請求項5】
前記第一リング状照明部及び前記第二リング状照明部は、前記軸方向において前記筒状体の前記所定部位に対して互いに同じ側に位置する請求項1に記載の欠陥検査装置。
【請求項6】
周壁部に透明部及び不透明部がある筒状体における欠陥を検査する欠陥検査方法であって、
第一リング状照明部及び第二リング状照明部に対して前記筒状体を当該筒状体の軸方向に通した状態で、前記第一リング状照明部及び前記第二リング状照明部から前記軸方向における前記筒状体の所定部位において前記周壁部の周方向全体に向けて光を照射し、
ラインセンサが、前記第一リング状照明部から出射されて前記所定部位に位置する前記透明部を透過した透過光、及び、少なくとも前記第二リング状照明部から出射されて前記所定部位において反射した反射光を受光して前記所定部位を撮像し、
前記ラインセンサから得られる画像データに基づいて前記筒状体における欠陥を検出する欠陥検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠陥検査装置及び欠陥検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、不透明な筒状体の外壁面の欠陥を検査する欠陥検査装置が開示されている。特許文献1の欠陥検査装置は、筒状体の外壁面を照明するリング状照明部と、筒状体の中心軸に対して同心円状に配置されて筒状体の外壁面からの反射光を撮像するラインセンサ(ラインCCDカメラ)と、ラインセンサから得られる画像データに基づいて欠陥を検出するための画像処理部と、を有する。この欠陥検査装置では、被検体である筒状体をその軸方向に連続走行させながら、ラインセンサで反射光を撮像することで、筒状体の外壁面の欠陥検査を筒状体の軸方向に連続的に行うことができる。得られた画像における明暗(コントラスト)によって欠陥を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の欠陥検査装置では、周壁部に透明部と不透明部とが混在した筒状体(混在筒状体)の欠陥を検査することはできない。この点について説明すると、特許文献1の欠陥検査装置を上記の混在筒状体の欠陥検査に用いる場合、リング状照明部から筒状体に照射された光は、不透明部において反射するが、透明部において概ね透過してしまう。このため、反射光を撮像するラインセンサによって得られる画像では、筒状体の不透明部が明るく、透明部が暗くなってしまう。すなわち、得られた画像では、筒状体の不透明部及び透明部による明暗(コントラスト)が表れてしまう。このため、得られた画像から欠陥を検出することが難しい。
【0005】
なお、特許文献1の欠陥検査装置において、例えば、筒状体の不透明部において反射した光を撮像するラインセンサのほかに、筒状体の透明部を透過した光を撮像する別のラインセンサを用意し、これら2種類(2系列)のラインセンサで得られた画像を基に欠陥を検出することも考えられる。しかしながら、ラインセンサを2系列とすることは欠陥検査装置のコストアップの要因となるため、好ましくない。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ラインセンサが1系列であっても、透明部及び不透明部が混在した筒状体の欠陥を検査することが可能な欠陥検査装置、及び、欠陥検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る欠陥検査装置は、周壁部に透明部及び不透明部がある筒状体の欠陥を検査する欠陥検査装置であって、前記筒状体を当該筒状体の軸方向に通し、前記軸方向における前記筒状体の所定部位において前記周壁部の周方向全体に向けて光を照射する第一リング状照明部及び第二リング状照明部と、前記第一リング状照明部から出射されて前記所定部位に位置する前記透明部を透過した透過光、及び、少なくとも前記第二リング状照明部から出射されて前記所定部位において反射した反射光を受光することで、前記所定部位を撮像するラインセンサと、前記ラインセンサから得られる画像データに基づいて前記筒状体の欠陥を検出する欠陥検出部と、を備える。
【0008】
また、本発明に係る欠陥検査方法は、周壁部に透明部及び不透明部がある筒状体における欠陥を検査する欠陥検査方法であって、第一リング状照明部及び第二リング状照明部に対して前記筒状体を当該筒状体の軸方向に通した状態で、前記第一リング状照明部及び前記第二リング状照明部から前記軸方向における前記筒状体の所定部位において前記周壁部の周方向全体に向けて光を照射し、ラインセンサが、前記第一リング状照明部から出射されて前記所定部位に位置する前記透明部を透過した透過光、及び、少なくとも前記第二リング状照明部から出射されて前記所定部位において反射した反射光を受光して前記所定部位を撮像し、前記ラインセンサから得られる画像データに基づいて前記筒状体における欠陥を検出する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ラインセンサが1系列であっても、透明部及び不透明部が混在した筒状体の欠陥を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態による欠陥検査装置を示す概略構成図である。
【
図2】検査対象である筒状体であって、当該筒状体の軸方向に直交する断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による欠陥検査装置において、筒状体の軸方向から見た第一リング状照明部、第二リング状照明部及びラインセンサの配置を示す正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による欠陥検査装置において、側方から見た第一リング状照明部、第二リング状照明部及びラインセンサの配置を示す側面図である。
【
図5】
図1、
図3の欠陥検査装置において第一リング状照明部の出射面とラインセンサとの位置関係を示す図である。
【
図6】
図5において第一リング状照明部の出射面における光量分布を説明した図である。
【
図7】
図4に示す構成において、基準位置に配されたラインセンサによって筒状体の透明部のうち透明欠陥がある部位を撮像したラインセンサ波形である。
【
図8】
図4に示す構成において、基準位置から移動した所定位置に配されたラインセンサによって筒状体の透明部のうち透明欠陥がある部位を撮像したラインセンサ波形である。
【
図9】
図4に示す構成において、所定位置に配されたラインセンサによって筒状体の透明部のうち欠陥がない部位を撮像したラインセンサ波形である。
【
図10】ラインセンサの光軸を第一リング状照明部の「100%位置」に合わせた場合に透明欠陥を検出できない理由を説明するための模式図であり、ラインセンサの光軸が屈折していない状態を示している。
【
図11】ラインセンサの光軸を第一リング状照明部の「100%位置」に合わせた場合に透明欠陥を検出できない理由を説明するための模式図であり、ラインセンサの光軸が屈折している状態を示している。
【
図12】ラインセンサの光軸を第一リング状照明部の「50%位置」に合わせた場合に透明欠陥を検出できる理由を説明するための模式図であり、ラインセンサの光軸が屈折していない状態を示している。
【
図13】ラインセンサの光軸を第一リング状照明部の「50%位置」に合わせた場合に透明欠陥を検出できる理由を説明するための模式図であり、ラインセンサの光軸が屈折している状態を示している。
【
図14】
図4に示す構成において、所定位置に配されたラインセンサによって筒状体の不透明部のうち有色欠陥がある部位を撮像したラインセンサ波形である。
【
図15】
図4に示す構成において、所定位置に配されたラインセンサによって筒状体の透明部のうち有色欠陥がある部位を撮像したラインセンサ波形である。
【
図16】比較例の欠陥検査装置において、側方から見た第一リング状照明部及びラインセンサの配置を示す側面図である。
【
図17】
図16に示す構成において、ラインセンサによって筒状体の透明部のうち透明欠陥がある部位を撮像したラインセンサ波形である。
【
図18】本発明の他の実施形態による欠陥検査装置において、側方から見た第一リング状照明部、第二リング状照明部及びラインセンサの配置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態による欠陥検査装置について図面を参照して説明する。
図1に示すように、欠陥検査装置1は、撮像部11及び欠陥検出部12を有し、筒状体100(被検査物)の欠陥を検査する。
【0012】
筒状体100は、その軸方向に連続する筒状の物体である。筒状体100は、変形しない剛体であってもよいし、可撓性を有していてもよい。筒状体100の具体例には、例えばチューブやホースなどの製品が挙げられる。
【0013】
図2に示すように、筒状体100は、その周壁部110に光を透過する透明部111及び光を透過しない不透明部112がある。透明部111と不透明部112とは周壁部110の周方向に並んでいる。周壁部110の周方向における透明部111及び不透明部112の数、当該周方向における透明部111及び不透明部112の寸法などは任意であってよい。ただし、透明部111の欠陥を検出するために、透明部111及び不透明部112の数は同じである。また、
図2に例示するように、2つの透明部111が筒状体100の径方向に対向するように、複数の透明部111を配置する必要がある。
【0014】
透明部111には、表面の凹凸やフィッシュアイなどからなる透明欠陥、異物や汚れなどからなる有色欠陥が存在することがある。透明欠陥は、正透過の光学系では検出できない欠陥であることが多い。
不透明部112には、異物や汚れなどからなる有色欠陥が存在することがある。
【0015】
図1に示す欠陥検査装置1においては、軸方向に連続する筒状体100がその軸方向に搬送される。
図1においては、筒状体100の搬送方向(走行方向とも呼ぶ)を矢印D1で示している。
【0016】
図3、
図4に示すように、欠陥検査装置1の撮像部11は、第一リング状照明部21、第二リング状照明部22、及び、ラインセンサ23を含んで構成される。
第一リング状照明部21及び第二リング状照明部22は、これらの内側に筒状体100を当該筒状体100の軸方向に通し、筒状体100の軸方向における筒状体100の所定部位120において周壁部110(
図2参照)の周方向全体に向けて光を照射する。
【0017】
第一、第二リング状照明部21,22から出射された照射光31,32,33は、それぞれ第一、第二リング状照明部21,22の径方向内側に向かうにしたがって筒状体100の軸方向に向かうように進む。すなわち、第一、第二リング状照明部21,22から出射された照射光31,32,33は、それぞれ第一、第二リング状照明部21,22の径方向内側に対して傾斜した方向に進む。
図4において、第一リング状照明部21から出射された照射光31,32の進行方向の傾斜角度と、第二リング状照明部22から出射された照射光33の進行方向の傾斜角度とは、異なっているが、例えば同じであってもよい。
第一、第二リング状照明部21,22には、例えばLED照明、光ファイバ照明などを使用することができる。
【0018】
第一リング状照明部21から出射される照射光31,32の光量(第一リング状照明部21の出力)と、第二リング状照明部22から出射される照射光33の光量(第二リング状照明部22の出力)とは、独立して調整可能である。
【0019】
本実施形態において、第一リング状照明部21と第二リング状照明部22とは、筒状体100の軸方向において筒状体100の所定部位120に対して互いに逆側に位置する。このため、第一リング状照明部21から出射される光と、第二リング状照明部22から出射される光とは、筒状体100の軸方向において互いに逆向きに傾斜する。
【0020】
図3、
図4において、第二リング状照明部22の径寸法は、第一リング状照明部21の径寸法よりも小さい。これにより、ラインセンサ23の光軸23Aが第二リング状照明部22に干渉することを抑制できる。なお、第一、第二リング状照明部21,22の径寸法の大小は、任意であってよい。
【0021】
ラインセンサ23は、その撮像範囲の長手方向が筒状体100の軸方向(走行方向D1)に対して直交する方向となるように配置される。また、ラインセンサ23は、その撮像範囲に筒状体100の所定部位120が含まれるように配置される。
ラインセンサ23は、第一リング状照明部21から出射された照射光31が筒状体100の所定部位120に位置する筒状体100の透明部111(
図2参照)を透過した透過光を受光する。また、ラインセンサ23は、第二リング状照明部22から出射された照射光33が筒状体100の所定部位120において反射した反射光を受光する。さらに、ラインセンサ23は、第一リング状照明部21から出射された照射光32が筒状体100の所定部位120において反射した反射光も受光する。すなわち、ラインセンサ23は、これら透過光及び反射光を合わせた合成光35を受光する。なお、ラインセンサ23が受光する「反射光」には、筒状体100の不透明部112において反射した反射光だけではなく、筒状体100の透明部111において反射した反射光も含まれる。
【0022】
本実施形態において、ラインセンサ23は、その光軸23Aが筒状体100の径方向に対して第二リング状照明部22側に傾くように配置されている。このため、ラインセンサ23は、第二リング状照明部22から出射されて筒状体100の所定部位120において正反射した反射光を受光しない。
ラインセンサ23は、これら透過光及び反射光の両方を受光することで、筒状体100の所定部位120を撮像する。
【0023】
ラインセンサ23は、例えば素子数2048~8192素子のものが用いられる。筒状体100の幅、走行速度、分解能、設置スペースなどに応じて、適切な素子数、速度(例えば、データレート、スキャンレート等)を有するラインセンサ23が使用される。また、筒状体100の周方向全体を撮像できるように、複数台(
図3の例では6台)のラインセンサ23が使用される。
図3に示すように、複数台のラインセンサ23は、筒状体100の周方向に間隔をあけて配置される。
【0024】
ラインセンサ23による反射光及び透過光の受光は、筒状体100が走行方向D1に搬送された状態において行なわれる。ラインセンサ23は、筒状体100の明暗の濃淡に応じた電気信号(欠陥データ)を欠陥検出部12に出力する。言い換えると、ラインセンサ23は、筒状体100の走行方向D1に対して直交する方向におけるライン(以下、検査ライン)単位で、筒状体100の表面の光強度分布に応じた電気信号を出力する。ラインセンサ23としては、例えば、CMOS(相補型MOS)カメラ、CCD(Charge-Coupled Device)カメラなどが挙げられる。
【0025】
図1に示す欠陥検出部12は、撮像部11のラインセンサ23に接続される画像処理用コンピュータ及び画像ボードから構成され、ラインセンサ23から得られる画像データに基づいて筒状体100の欠陥を検出する。欠陥検出部12は、例えば、2値化部、ランレングス符号化部、及び連結性処理部を含んで構成されている。欠陥検出部12は、撮像部11のラインセンサ23から入力された欠陥データを予め決められた閾値に基づいて2値化を行い、欠陥データの圧縮後、連結性処理を行い、欠陥の特徴量(欠陥の形状の特徴を表す情報。例えば欠陥の周囲長、面積、幅、長さ、縦横比、面積率)を測定する。この欠陥検出部12として、株式会社メック製の画像処理装置LSC-6000を使用することができる。
【0026】
次に、
図5、
図6を参照して、第一リング状照明部21についてさらに説明する。
図5に示すように、第一リング状照明部21は、主にラインセンサ23に向けて光を出射する出射面21aを有する。
図5において、出射面21aは、筒状体100の走行方向D1に対して直線的に傾斜しているが、これに限ることはない。
第一リング状照明部21の出射面21aは、筒状体100の走行方向D1において光量が変化する分布(光量分布)を有する。第一リング状照明部21の出射面21aにおける光量分布を
図6に示す。
図6の縦軸はラインセンサのカメラ出力(256階調)である。
図6の横軸はラインセンサのカメラ画素であり、筒状体100の走行方向D1に対して傾斜した出射面21aに沿う方向に対応する。なお、出射面21aの光量分布を調べるためのラインセンサカメラは、その撮像範囲の長手方向が走行方向D1に対して傾斜した出射面21aに沿う方向に対応するように配置される。
【0027】
図6に示すように、第一リング状照明部21の出射面21aは、最も明るい部分から離れるにしたがって光量が低下する光量分布を有する。出射面21aのうち最も明るい部分を「100%位置」とする。「100%位置」は
図5に例示するように出射面21aの中心位置であることが多いが、照明の種類により位置は変わる。
図5、
図6には、「100%位置」から筒状体100の走行方向D1に対応する方向にずれて位置する「50%位置」も表記している。「50%位置」は、光量(明るさ)が「100%位置」の半分である位置を示している。
【0028】
さらに、本実施形態の欠陥検査装置1では、第一リング状照明部21とラインセンサ23との相対的な位置を変化させることで、ラインセンサ23が第一リング状照明部21からの光を受光する光量が変化する。具体的には、
図5に示すように、ラインセンサ23の光軸23Aが第一リング状照明部21の出射面21aと交差する範囲で、ラインセンサ23を第一リング状照明部21に対して筒状体100の走行方向D1に沿って移動(シフト)させる。これにより、ラインセンサ23の光軸23Aの位置が出射面21a上で移動する。
図5においては、ラインセンサ23を筒状体100の走行方向D1に沿って移動させることで、ラインセンサ23の光軸23Aが出射面21aの「100%位置」から「50%位置」に移動することが示されている。
【0029】
なお、第一リング状照明部21をラインセンサ23に対して筒状体100の走行方向D1に沿って移動させても、ラインセンサ23が第一リング状照明部21からの光を受光する光量は変化する。
【0030】
次に示す表1は、上述した欠陥検査装置1に使用する機器や筒状体100の実施例を説明する表である。
【0031】
【0032】
図7は、
図4の撮像部11で透明部111及び不透明部112がある筒状体100を撮像したラインセンサ波形である。
図7の縦軸はラインセンサ23のカメラ出力(256階調)、横軸はラインセンサ23のカメラ画素であり、筒状体100の軸方向(走行方向D1)に対して直交する方向に対応する。
図7のラインセンサ波形は、ラインセンサ23の光軸23Aを第一リング状照明部21の「100%位置」に合わせた状態(
図5参照)で撮像されている。ラインセンサ23の光軸23Aが第一リング状照明部21の「100%位置」に合ったラインセンサ23の位置を、基準の位置(基準位置)とする。
【0033】
図7のラインセンサ波形は、第一リング状照明部21と第二リング状照明部22が同時点灯している状態で取得している。当該ラインセンサ波形を取得する際には、ラインセンサ23の光軸23Aを第一リング状照明部21の「100%位置」に合わせた後に、筒状体100の両側の空間99に対応するエリアでのラインセンサ23の受光量が128Lv付近となる様に第一リング状照明部21の出力を調整する。また、筒状体100の不透明部112のエリアでのラインセンサ23の受光量が128Lv付近となる様に第二リング状照明部22の出力を調整する。
これにより、
図7のラインセンサ波形では、筒状体100の透明部111及び不透明部112並びに空間99におけるカメラ出力(受光量)が概ね等しくなっている。このことから、筒状体100に欠陥がある場合には、欠陥(主に汚れや異物などからなる有色欠陥)を検出しやすくなる。
【0034】
ところで、
図7のラインセンサ波形は、筒状体100の透明部111に透明欠陥131が存在する筒状体100の所定部位120を撮像した波形である。しかしながら、
図7のラインセンサ波形では、透明欠陥131のピークLvが透明部111の地合いLvと近い(数Lvの差しかない)ため、透明欠陥131を欠陥検出部12において検出することができない。
【0035】
そこで、ラインセンサ23の位置を第一リング状照明部21の「100%位置」から10%刻みで「0%位置」まで変えながら、透明欠陥の検出の有無について調べた。ラインセンサ23の各位置においてラインセンサ波形を取得する際には、ラインセンサ23の光軸23Aを各位置に配した後に、第一リング状照明部21の出力を、筒状体100の両側の空間99に対応するエリアでのラインセンサ23の受光量が128Lv付近となる様に調整する。また、第二リング状照明部22の出力を、筒状体100の不透明部112のエリアでのラインセンサ23の受光量が128Lv付近となる様に調整する。その結果を、次の表2に示す。
【0036】
【0037】
表2における「カメラ位置」は、第一リング状照明部21の出射面21aにおけるラインセンサ23の光軸23Aの位置であり、「カメラ位置」が示す数値(%)は、
図5に示した「100%位置」、「50%位置」などに対応する。表2における「欠陥ピークLv」は透明欠陥131のピークLvであり、「検出の有無」は、欠陥検出部12による透明欠陥の検出の可否を示している。「検出の有無」において、「○」は透明欠陥を検出できたことを示し、「×」は透明欠陥を検出できなかったことを示している。
【0038】
表2に示すように、ラインセンサ23の光軸23Aが第一リング状照明部21の「100%位置」、「90%位置」に位置する場合、透明欠陥のピークLvと透明部111の地合いLvとの差分が数Lv程度である。すなわち、透明欠陥のコントラストが低い。このため、欠陥検出部12において透明欠陥を検出できなかった。
【0039】
また、ラインセンサ23の光軸23Aが「0%位置」に位置する場合には、第一リング状照明部21からの透過光がラインセンサ23に届かないため、透明部111の地合いLvが非常に小さくなってしまう。その結果として、透明欠陥のピークLvと透明部111の地合いLvとの差分が数Lv程度となり、透明欠陥のコントラストが低いため、欠陥検出部12において透明欠陥を検出できなかった。また、第一リング状照明部21からの透過光がラインセンサ23に届かないことで、筒状体100の両側の空間99に対応するエリアでのラインセンサ23の受光量が非常に小さくなってしまうことでも、欠陥検出部12において透明欠陥を検出できなかった。
【0040】
一方、ラインセンサ23の光軸23Aが第一リング状照明部21の「80%位置」から「10%位置」までの間に位置する場合、透明欠陥のピークLvと透明部111の地合いLvとの差分が17Lv以上である。すなわち、透明欠陥のコントラストが高い。これにより、欠陥検出部12において透明欠陥を検出できた。
【0041】
例えば、
図8のラインセンサ波形は、ラインセンサ23の光軸23Aを第一リング状照明部21の「50%位置」に合わせたことを除き、
図7のラインセンサ波形と同じ条件で撮像された波形である。すなわち、
図8のラインセンサ波形は、「100%位置」に対応する基準位置から移動して「50%位置」に対応する所定位置に配されたラインセンサ23によって撮像した波形である。
図8のラインセンサ波形では、筒状体100の透明部111及び不透明部112並びに空間99におけるカメラ出力(受光量)が概ね等しくなっている上で、透明欠陥131の出力だけが顕著に表れている。このことから、安定して検査を行うことができ、かつ、透明欠陥131を検出することができる。
【0042】
図9のラインセンサ波形は、ラインセンサ23の光軸23Aを第一リング状照明部21の「50%位置」に合わせた状態で、透明欠陥がない筒状体100を撮像した波形である。
図9のラインセンサ波形では、筒状体100の透明部111及び不透明部112並びに空間99におけるカメラ出力(受光量)が概ね等しくなっており、
図8のラインセンサ波形において表れていた透明欠陥131と同程度の出力値は表れていない。
図8、
図9のラインセンサ波形の比較からも、透明欠陥を検出できることが明らかとなった。
【0043】
以下、
図10、
図11等を参照して、ラインセンサ23の光軸23Aを第一リング状照明部21の「100%位置」、「90%位置」に合わせた場合に透明欠陥を検出できない理由について説明する。
図10、
図11は、ラインセンサ23の光軸23Aを第一リング状照明部21の「100%位置」に合わせた場合に、筒状体100の透明部111に存在する凹凸形状の透明欠陥131が、ラインセンサ23と第一リング状照明部21との間を通過するときの状態を示している。
図10、
図11において、符号23A1は、ラインセンサ23から透明部111に至るセンサ側光軸を示している。また、符号23A2は、透明部111から第一リング状照明部21に至る照明側光軸を示している。
【0044】
図10においては、ラインセンサ23の光軸23Aが、透明欠陥131の中央部分を通る。透明欠陥131の中央部分の表面は光軸23Aに直交するため、光軸23Aは透明欠陥131の表面において屈折しない。すなわち、光軸23Aの照明側光軸23A2はセンサ側光軸23A1に対して傾斜せずに延びる。このため、ラインセンサ23には、第一リング状照明部21の「100%位置」からの光が入射する。
一方、
図11においては、ラインセンサ23の光軸23Aが、透明欠陥131の周縁部分を通る。透明欠陥131の周縁部分の表面は光軸23Aに対して傾斜するため、光軸23Aは透明欠陥131の表面において屈折する。すなわち、光軸23Aの照明側光軸23A2がセンサ側光軸23A1に対して傾斜して延びる。このため、ラインセンサ23には、第一リング状照明部21の「100%位置」から少しだけずれた位置の光が入射する。
【0045】
しかしながら、
図6に示した第一リング状照明部21の光量分布を参照しても分かるように、「100%位置」から少しだけずれた位置における光量は、「100%位置」における光量とほぼ変わらない。このため、ラインセンサ23の光軸23Aを第一リング状照明部21の「100%位置」に合わせた場合には、ラインセンサ23で撮像したラインセンサ波形において透明欠陥131を強調することができない。これにより、透明欠陥131を検出することができない。
ラインセンサ23の光軸23Aを第一リング状照明部21の「90%位置」に合わせた場合も、「100%位置」の場合と同様の理由により、透明欠陥131を強調できないため、透明欠陥131を検出することができない。
【0046】
次に、
図12、
図13等を参照して、ラインセンサ23の光軸23Aを第一リング状照明部21の「80%位置」から「10%位置」までの位置に合わせた場合に透明欠陥を検出できる理由について説明する。
図12、
図13は、ラインセンサ23の光軸23Aを第一リング状照明部21の「50%位置」に合わせた場合に、筒状体100の透明部111に存在する凹凸形状の透明欠陥131が、ラインセンサ23と第一リング状照明部21との間を通過するときの状態を示している。
【0047】
図12においては、ラインセンサ23の光軸23Aが、透明欠陥131の中央部分を通る。透明欠陥131の中央部分の表面は光軸23Aに直交するため、光軸23Aは透明欠陥131の表面において屈折しない。すなわち、光軸23Aの照明側光軸23A2はセンサ側光軸23A1に対して傾斜せずに延びる。このため、ラインセンサ23には、第一リング状照明部21の「50%位置」からの光が入射する。
一方、
図13においては、ラインセンサ23の光軸23Aが、透明欠陥131の周縁部分を通る。透明欠陥131の周縁部分の表面は光軸23Aに対して傾斜するため、光軸23Aは透明欠陥131の表面において屈折する。すなわち、光軸23Aの照明側光軸23A2がセンサ側光軸23A1に対して傾斜して延びる。このため、ラインセンサ23には、第一リング状照明部21の「50%位置」から少しだけずれた位置の光が入射する。
【0048】
ここで、
図6に示した第一リング状照明部21の光量分布を参照しても分かるように、「50%位置」から少しだけずれた位置における光量は、「50%位置」における光量に対して大きく変化する。このため、ラインセンサ23の光軸23Aを第一リング状照明部21の「50%位置」に合わせた場合には、ラインセンサ23で撮像したラインセンサ波形において透明欠陥131を強調することができる。これにより、透明欠陥131を検出することができる。
ラインセンサ23の光軸23Aを第一リング状照明部21の「50%位置」に限らず「80%位置」から「10%位置」までの位置に合わせた場合には、同様の理由により透明欠陥131を強調できるため、透明欠陥131を検出することができる。
【0049】
次に、筒状体100の不透明部112のエリアでのラインセンサ23の受光量を変動させたときの透明欠陥の検出の有無について調べた。ここでは、ラインセンサ23の光軸23Aを「50%位置」に配した後に、第一リング状照明部21の出力を、筒状体100の両側の空間99に対応するエリアでのラインセンサ23の受光量が128Lv付近となる様に調整する。そして、第一リング状照明部21が点灯した状態で、第二リング状照明部22の出力を調整することで筒状体100の不透明部112のエリアでのラインセンサ23の受光量が35Lvから245Lvまで変動したときの透明欠陥の検出の有無を調べた。その結果を、次の表3に示す。
【0050】
【0051】
表3における「不透明部の地合いLv」は、筒状体100の不透明部112のエリアでのラインセンサ23の受光量を示す。なお、「不透明部の地合いLv」が35Lvのとき、第二リング状照明部22は点灯しておらず、第一リング状照明部21の照射光32のみが不透明部112において反射し、当該反射光をラインセンサ23が受光している。
表3における「欠陥ピークLv」は透明欠陥のピークLvであり、「検出の有無」は、欠陥検出部12による透明欠陥の検出の可否を示している。「検出の有無」において、「○」は透明欠陥を検出できたことを示し、「×」は透明欠陥を検出できなかったことを示している。また、「検出の有無」において、「△」は透明欠陥を検出できるものの、「〇」よりも検出しにくい結果を示している。
【0052】
表3に示すように、「不透明部の地合いLv」が35Lv,45Lvと比較的低い場合には、透明欠陥のピークLvが不透明部の地合いLvよりも高いため、欠陥検出部12において透明欠陥を検出できなかった。
また、「不透明部の地合いLv」が65Lvである場合には、透明欠陥のピークLvが不透明部の地合いLvよりも低いものの、これらの差分が数Lv程度と小さいため、透明欠陥を検出できるものの、検出しにくい、という結果となった。
【0053】
一方、「不透明部の地合いLv」が85Lvから245LVまでの場合には、透明欠陥のピークLvが不透明部の地合いLvよりも低く、かつ、これらの差分が20Lv以上と十分に大きい。すなわち、透明欠陥のコントラストが十分に高い。これにより、欠陥検出部12において透明欠陥を検出できた。
【0054】
以上のことから、第一リング状照明部21のラインセンサ受光量Lv(空間99)を1とした場合、筒状体100の不透明部112での反射光Lvが0.35以上となるように第二リング状照明部22の出力を調整することが、透明欠陥の検出に有効であることが分かった。
【0055】
次に、第一リング状照明部21の出力を変動させたときの透明欠陥の検出の有無について調べた。ここでは、ラインセンサ23の光軸23Aを「50%位置」に配した後に、筒状体100の不透明部112のエリアでのラインセンサ23の受光量が128Lv付近となる様に第二リング状照明部22の出力を調整する。そして、第二リング状照明部22が点灯した状態で、第一リング状照明部21の出力を調整することで筒状体100の両側の空間99に対応するエリアでのラインセンサ23の受光量が0Lvから245Lvまで変動したときの透明欠陥の検出の有無を調べた。その結果を、次の表4に示す。
【0056】
【0057】
表4における「空間Lv」は、筒状体100の両側の空間99に対応するエリアでのラインセンサ23の受光量を示す。なお、「空間Lv」が0Lvのとき、第一リング状照明部21は点灯していない。
表4における「欠陥ピークLv」は透明欠陥のピークLvであり、「検出の有無」は、欠陥検出部12による透明欠陥の検出の可否を示している。「検出の有無」において、「○」は透明欠陥を検出できたことを示し、「×」は透明欠陥を検出できなかったことを示している。
【0058】
表4に示すように、「空間Lv」が0Lv,25Lvと低い場合には、透明欠陥のピークLvが空間Lvよりも高い。このため、欠陥検出部12において透明欠陥を検出できなかった。
また、「空間Lv」が45Lvである場合には、透明欠陥のピークLvが空間Lvよりも低いものの、これらの差分が1Lv程度と非常に小さい。このため、欠陥検出部12において透明欠陥を検出できなかった。
【0059】
一方、「空間Lv」が65Lvから245LVまでの場合には、透明欠陥のピークLvが空間Lvよりも低く、また、これらの差分が15Lv以上と十分に大きい。すなわち、透明欠陥のコントラストが十分に高い。これにより、欠陥検出部12において透明欠陥を検出できた。
【0060】
以上のことから、第二リング状照明部22のラインセンサ受光量Lv(不透明部112)を1とした場合、空間Lvが0.66以上となるように第一リング状照明部21の出力を調整することが、透明欠陥の検出に有効であることが分かった。
【0061】
本実施形態の欠陥検査装置1では、筒状体100の不透明部112や透明部111にある有色欠陥も検出可能である。
図14は、「50%位置」に対応する所定位置に配されたラインセンサ23によって筒状体100のうち不透明部112に有色欠陥132が存在する所定部位120を撮像したラインセンサ波形である。
図14のラインセンサ波形は、ラインセンサ23を「50%位置」に対応する位置に配した状態で、筒状体100の両側の空間99に対応するエリアでのラインセンサ23の受光量が128Lv付近となる様に第一リング状照明部21の出力を調整し、かつ、筒状体100の不透明部112のエリアでのラインセンサ23の受光量が128Lv付近となる様に第二リング状照明部22の出力を調整したときの波形である。
図14のラインセンサ波形では、筒状体100の透明部111及び不透明部112並びに空間99におけるカメラ出力(受光量)が概ね等しくなっている上で、不透明部112にある有色欠陥132の出力だけが顕著に表れている。このことから、安定して検査を行うことができ、かつ、有色欠陥132を検出することができる。すなわち、本実施形態の欠陥検査装置1では、透明部111における透明欠陥だけではなく、不透明部112における有色欠陥132も検出することができる。
【0062】
図15は、「50%位置」に対応する所定位置に配されたラインセンサ23によって筒状体100のうち透明部111に有色欠陥132が存在する所定部位120を撮像したラインセンサ波形である。
図15のラインセンサ波形は、
図14のラインセンサ波形と同じ条件で取得した波形である。
図15のラインセンサ波形では、筒状体100の透明部111及び不透明部112並びに空間99におけるカメラ出力(受光量)が概ね等しくなっている上で、透明部111にある有色欠陥132の出力だけが顕著に表れている。このことから、安定して検査を行うことができ、かつ、有色欠陥132を検出することができる。すなわち、本実施形態の欠陥検査装置1では、透明部111における透明欠陥だけではなく、透明部111における有色欠陥132も検出することができる。
なお、透明部111にある有色欠陥132は、例えばラインセンサ23が「100%位置」に対応する所定位置に配されていても、検出することができる。
【0063】
本実施形態の欠陥検査装置1において、ラインセンサ23は、第二リング状照明部22からの照射光のうち筒状体100において反射した反射光のみを受光する。また、ラインセンサ23は、第一リング状照明部21からの照射光が筒状体100を透過した透過光、及び、筒状体100において反射した反射光の両方を受光する。このため、ラインセンサ23の受光量を調整する際には、はじめに第一リング状照明部21の照射光31,32の光量を調整し、その後に第二リング状照明部22の照射光33の光量調整する必要がある。
具体的には、はじめに、筒状体100が無い空間99に対応するエリアでのラインセンサ23受光量が128Lvになる様に第一リング状照明部21を調光する。そして、第一リング状照明部21の調光後に、第一リング状照明部21を点灯させた状態で、第二リング状照明部22を点灯させ、筒状体100(透明部111、不透明部112)でのラインセンサ23受光量が128Lvとなる様に第二リング状照明部22を調光する。
【0064】
以上説明したように、本実施形態の欠陥検査装置1において、ラインセンサ23が受光する透過光は、第一リング状照明部21から出射されて筒状体100の透明部111を透過した光である。また、ラインセンサ23が受光する反射光は、主に第二リング状照明部22から出射されて、筒状体100の不透明部112及び透明部111において反射した光である。このため、第一リング状照明部21から出射される光量と、第二リング状照明部22から出射される光量とを独立して調整することで、ラインセンサ23が受光する透過光の光量と、反射光の光量と、をそれぞれ独立して調整することができる。
【0065】
これにより、ラインセンサ23によって撮像された筒状体100の所定部位120において、透明部111におけるラインセンサ23の出力値(透明部111からラインセンサ23に到達する光量)と、不透明部112におけるラインセンサ23の出力値(不透明部112からラインセンサ23に到達する光量)とを、揃えることが可能となる。その結果として、ラインセンサ23によって撮像された筒状体100の所定部位120において、欠陥(特に有色欠陥)のコントラストを目立たせて、欠陥を検出することできる。
以上のことから、ラインセンサ23が1系列であっても、透明部111及び不透明部112が混在した筒状体100の欠陥を検査することができる。
【0066】
また、本実施形態の欠陥検査装置1では、第一リング状照明部21とラインセンサ23との相対的な位置を変化させることで、ラインセンサ23が第一リング状照明部21からの光を受光する光量が変化する。これにより、透明部111にある透明欠陥(凹凸やフィッシュアイなど)のコントラストを目立たせて、当該透明欠陥を検出することが可能となる。
【0067】
また、本実施形態の欠陥検査装置1では、第一リング状照明部21及び第二リング状照明部22が、筒状体100の軸方向において筒状体100の所定部位120に対して互いに逆側に位置する。第一、第二リング状照明部21,22のサイズ(大きさ)などを考慮しなくても、第一、第二リング状照明部21,22のそれぞれから筒状体100の所定部位120に向かう光(照射光)が、互いのリング状照明部22,21によって遮られることを簡単に防止できる。すなわち、第一リング状照明部21から筒状体100の所定部位120に向かう照射光31,32が第二リング状照明部22によって遮られることを簡単に防止できる。また、第二リング状照明部22から筒状体100の所定部位120に向かう照射光33が、第一リング状照明部21によって遮られることを簡単に防止できる。
【0068】
なお、欠陥検査装置1の撮像部11が、第一リング状照明部21及びラインセンサ23のみを備え、第二リング状照明部22を備えない場合には、透明部111及び不透明部112が混在した筒状体100の欠陥を検査することはできない。以下、この点について
図16、
図17を参照して説明する。
【0069】
図16に示すように、撮像部11が第一リング状照明部21及びラインセンサ23のみを有する場合、ラインセンサ23は、第一リング状照明部21の照射光31が筒状体100を透過した透過光と、第一リング状照明部21の照射光32が筒状体100において反射した反射光と、を合わせた合成光35を受光する。
【0070】
次に示す表5は、
図16の撮像部11を含む欠陥検査装置に使用する機器や筒状体100の例を説明する表である。
【0071】
【0072】
図17は、
図16の撮像部11で筒状体100を撮像したラインセンサ波形である。
図17のラインセンサ波形は、筒状体100の両側の空間99に対応するエリアでのラインセンサ23の受光量が128Lv付近となる様に第一リング状照明部21の出力を調整した状態で取得した。
図17のラインセンサ波形において、筒状体100の透明部111のエリアでのラインセンサ23の受光量には、筒状体100の透明部111を透過した透過光の光量、及び、透明部111において反射した反射光の光量が含まれる。一方、筒状体100の不透明部112のエリアでのラインセンサ23の受光量には、不透明部112において反射した反射光の光量しか含まれない。このため、筒状体100の透明部111のエリアでのラインセンサ23の受光量が、筒状体100の不透明部112のエリアでのラインセンサ23の受光量よりも大きくなってしまう。また、これら2つの受光量を揃えることはできない。このことから、筒状体100に欠陥があったとしても、この欠陥を欠陥検出部12において検出することができない。すなわち、透明部111及び不透明部112が混在した筒状体100の欠陥を検査することはできない。
【0073】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0074】
本発明の欠陥検査装置1においては、例えば
図18に示すように、第一リング状照明部21及び第二リング状照明部22が、筒状体100の軸方向において筒状体100の所定部位120に対して同じ側に位置してもよい。この場合、第一リング状照明部21及び第二リング状照明部22から筒状体100の所定部位120に向かう照射光31,32,33の向きは、筒状体100の軸方向において互いに同じとなる。この場合、第一、第二リング状照明部21,22の一方は、筒状体100の所定部位120に向かう他方のリング状照明部の照明光を遮らない位置に配置されるとよい。これにより、第一、第二リング状照明部21,22の一方が、他方のリング状照明部から筒状体100の所定部位120に向かう照射光を遮ることを防止できる。
【0075】
図18の例においては、第二リング状照明部22の径寸法が、第一リング状照明部21の径寸法よりも小さい。また、第二リング状照明部22は、筒状体100の軸方向において第一リング状照明部21よりも筒状体100の所定部位120から離れて位置する。これにより、第一リング状照明部21が、第二リング状照明部22から筒状体100の所定部位120に向かう照射光33を遮ることを防止できる。
【0076】
第一リング状照明部21及び第二リング状照明部22が、筒状体100の所定部位120に対して同じ側に位置する場合には、ラインセンサ23の光軸23Aの角度を任意に設定しても、第一リング状照明部21から出射されて筒状体100を透過した透過光が、第二リング状照明部22によって妨げられることを防止できる。すなわち、筒状体100に対するラインセンサ23の光軸23Aの向きを自由に設定することが可能となる。
【0077】
本発明は、上記で説明したような欠陥検査装置に限らず、当該欠陥検査装置に対応する欠陥検査方法であってもよい。
本発明の欠陥検査方法は、第一リング状照明部21及び第二リング状照明部22に対して筒状体100を当該筒状体100の軸方向に通した状態で、第一リング状照明部21及び第二リング状照明部22から軸方向における筒状体100の所定部位120において周壁部110の周方向全体に向けて光を照射し、ラインセンサ23が、第一リング状照明部21から出射されて筒状体100の所定部位120に位置する透明部111を透過した透過光、及び、少なくとも第二リング状照明部22から出射されて筒状体100の所定部位120において反射した反射光を受光して筒状体100の所定部位120を撮像し、ラインセンサ23から得られる画像データに基づいて筒状体100における欠陥を検出する方法である。
本発明の欠陥検査方法では、前述した欠陥検査装置と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0078】
1 欠陥検査装置
11 撮像部
12 欠陥検出部
21 第一リング状照明部
22 第二リング状照明部
23 ラインセンサ
100 筒状体
110 周壁部
111 透明部
112 不透明部
120 所定部位
D1 走行方向(軸方向)
【要約】
【課題】ラインセンサが1系列であっても、透明部及び不透明部が混在した筒状体の欠陥を検査することができるようにする。
【解決手段】欠陥検査装置は、周壁部に透明部及び不透明部がある筒状体100の欠陥を検査する欠陥検査装置であって、筒状体100を当該筒状体100の軸方向に通し、軸方向における筒状体100の所定部位において周壁部の周方向全体に向けて光を照射する第一リング状照明部21及び第二リング状照明部22と、第一リング状照明部21から出射されて所定部位を透過した透過光、及び、少なくとも第二リング状照明部22から出射されて所定部位において反射した反射光を受光することで、所定部位を撮像するラインセンサ23と、ラインセンサ23から得られる画像データに基づいて筒状体100の欠陥を検出する欠陥検出部と、を備える。
【選択図】
図4