(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】判断支援システム、判断支援方法、判断支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20240828BHJP
【FI】
G06Q50/26
(21)【出願番号】P 2024035019
(22)【出願日】2024-03-07
【審査請求日】2024-04-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第30条第2項適用、令和6年3月4日神奈川県庁において開催されたセミナーで発表
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518355630
【氏名又は名称】株式会社WiseVine
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉本 翔生
【審査官】塚田 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-088059(JP,A)
【文献】特開2023-074563(JP,A)
【文献】特開2015-225485(JP,A)
【文献】特開2008-139931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行政における判断を支援する判断支援システムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成
し、
前記判断ノウハウは、判断軸タグ又は判断の観点と、判断主題の値に対する修正率と、を含み、
前記対象政策体系情報の少なくとも付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断軸タグ又は前記判断の観点と、前記修正率と、を含む判断支援情報を生成し、
前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する複数の前記判断軸タグ又は前記判断の観点と、それに対応する複数の修正率を取得し、当該複数の修正率を平均した平均修正率を含む前記判断支援情報を生成する、判断支援システム。
【請求項2】
前記データベースは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記付随情報の組合せに対して、前記判断ノウハウを紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の前記政策体系タグ及び前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び付随情報の組合せに対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成する、請求項1に記載の判断支援システム。
【請求項3】
前記判断支援情報に含まれる前記判断軸タグ又は前記判断の観点と、それに対応する前記修正率を、前記対象政策体系情報の判断主題の値に適用し、修正値を得る、
請求項1に記載の判断支援システム。
【請求項4】
行政における判断を支援する判断支援システムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記判断ノウハウは、予算に対する査定の観点と、査定軸タグと、を有する査定ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記データベースは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目の組合せに対して、前記査定ノウハウを紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグと、予算科目体系項目と、を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記査定ノウハウを含む判断支援情報を生成する、判断支援システム。
【請求項5】
前記査定ノウハウは、査定率を更に有し、
前記対象政策体系情報の予算の要求額を更に含む判断支援要求に応じて、査定軸タグに係る査定率を含む判断支援情報を生成し、前記査定軸タグに係る査定率を前記要求額に適用することで前記対象政策体系情報の査定額を得る、
請求項4に記載の判断支援システム。
【請求項6】
前記対象政策体系情報の政策体系タグ及び予算科目体系項目に対して、査定額を含む査定ノウハウを紐づけてデータベースに格納する、
請求項4に記載の判断支援システム。
【請求項7】
行政における判断を支援する判断支援システムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記データベースは、予算科目体系項目と、政策体系の分類を示す政策体系タグと、予算額と、組織体系項目と、を紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグを含む判断支援要求に応じて、他の組織体系項目の前記政策体系タグに係る政策体系における予算科目体系項目別の予算額を比較表示する、判断支援システム。
【請求項8】
行政における判断を支援する判断支援システムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記判断ノウハウは、特定財源を示す財源タグを有する特財ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記データベースは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目の組合せに対して、前記特財ノウハウを紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグ及び予算科目体系項目を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記特財ノウハウを含む判断支援情報を生成する、判断支援システム。
【請求項9】
行政における判断を支援する判断支援システムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記判断ノウハウは、地方財政状況調査又は公会計に係る科目タグを有する分類ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記データベースは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目の組合せに対して、前記分類ノウハウを紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグ及び予算科目体系項目を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記分類ノウハウを含む判断支援情報を生成する、判断支援システム。
【請求項10】
行政における判断を支援する判断支援システムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記判断ノウハウは、行政目標体系項目に係る指標タグを有する提案ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記データベースは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目の組合せに対して、前記提案ノウハウを紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグ及び予算科目体系項目を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記提案ノウハウを含む判断支援情報を生成する、判断支援システム。
【請求項11】
行政における判断を支援する判断支援システムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記判断ノウハウは、前記政策体系の提携に係る提携タグを有する提案ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記データベースは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目の組合せに対して、前記提携タグを紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグ及び予算科目体系項目を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記提案ノウハウを含む判断支援情報を生成する、判断支援システム。
【請求項12】
行政における判断を支援する判断支援システムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記付随情報の入力に対して、前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを出力する判断モデルを有し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、当該付随情報を前記判断モデルに入力し、前記判断モデルより出力される前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成
し、
前記判断ノウハウは、判断軸タグ又は判断の観点と、判断主題の値に対する修正率と、を含み、
前記対象政策体系情報の少なくとも付随情報を含む判断支援要求に応じて、当該付随情報を前記判断モデルに入力し、前記判断モデルより出力される前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断軸タグ又は前記判断の観点と、前記修正率と、を含む判断支援情報を生成し、
前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する複数の前記判断軸タグ又は前記判断の観点と、それに対応する複数の修正率を取得し、当該複数の修正率を平均した平均修正率を含む前記判断支援情報を生成する、判断支援システム。
【請求項13】
行政における判断を支援する判断支援方法であって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成
し、
前記判断ノウハウは、判断軸タグ又は判断の観点と、判断主題の値に対する修正率と、を含み、
前記対象政策体系情報の少なくとも付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断軸タグ又は前記判断の観点と、前記修正率と、を含む判断支援情報を生成し、
前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する複数の前記判断軸タグ又は前記判断の観点と、それに対応する複数の修正率を取得し、当該複数の修正率を平均した平均修正率を含む前記判断支援情報を生成する、処理をコンピュータが実行する、判断支援方法。
【請求項14】
行政における判断を支援する判断支援プログラムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成
し、
前記判断ノウハウは、判断軸タグ又は判断の観点と、判断主題の値に対する修正率と、を含み、
前記対象政策体系情報の少なくとも付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断軸タグ又は前記判断の観点と、前記修正率と、を含む判断支援情報を生成し、
前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する複数の前記判断軸タグ又は前記判断の観点と、それに対応する複数の修正率を取得し、当該複数の修正率を平均した平均修正率を含む前記判断支援情報を生成する、処理を実行するようにコンピュータを機能させる判断支援プログラム。
【請求項15】
行政における判断を支援する判断支援システムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記付随情報の入力に対して、前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを出力する判断モデルを有し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、当該付随情報を前記判断モデルに入力し、前記判断モデルより出力される前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記判断ノウハウは、予算に対する査定の観点と、査定軸タグと、を有する査定ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記判断モデルは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目を含む入力データとし、前記査定ノウハウを含む出力データとするデータセットにより機械学習され、
前記対象政策体系情報の政策体系タグと、予算科目体系項目と、を含む判断支援要求に応じて、当該政策体系タグ及び予算科目体系項目を前記判断モデルに入力し、前記判断モデルより出力される前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記査定ノウハウを含む判断支援情報を生成する、判断支援システム。
【請求項16】
行政における判断を支援する判断支援方法であって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記判断ノウハウは、予算に対する査定の観点と、査定軸タグと、を有する査定ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記データベースは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目の組合せに対して、前記査定ノウハウを紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグと、予算科目体系項目と、を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記査定ノウハウを含む判断支援情報を生成する、処理をコンピュータが実行する、判断支援方法。
【請求項17】
行政における判断を支援する判断支援プログラムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記判断ノウハウは、予算に対する査定の観点と、査定軸タグと、を有する査定ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記データベースは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目の組合せに対して、前記査定ノウハウを紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグと、予算科目体系項目と、を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記査定ノウハウを含む判断支援情報を生成する、処理を実行するようにコンピュータを機能させる判断支援プログラム。
【請求項18】
行政における判断を支援する判断支援方法であって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記データベースは、予算科目体系項目と、政策体系の分類を示す政策体系タグと、予算額と、組織体系項目と、を紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグを含む判断支援要求に応じて、他の組織体系項目の前記政策体系タグに係る政策体系における予算科目体系項目別の予算額を比較表示する、処理をコンピュータが実行する、判断支援方法。
【請求項19】
行政における判断を支援する判断支援プログラムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記データベースは、予算科目体系項目と、政策体系の分類を示す政策体系タグと、予算額と、組織体系項目と、を紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグを含む判断支援要求に応じて、他の組織体系項目の前記政策体系タグに係る政策体系における予算科目体系項目別の予算額を比較表示する、処理を実行するようにコンピュータを機能させる判断支援プログラム。
【請求項20】
行政における判断を支援する判断支援システムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記付随情報の入力に対して、前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを出力する判断モデルを有し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、当該付随情報を前記判断モデルに入力し、前記判断モデルより出力される前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記判断ノウハウは、特定財源を示す財源タグを有する特財ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記判断モデルは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目を含む入力データとし、前記特財ノウハウを含む出力データとするデータセットにより機械学習され、
前記対象政策体系情報の政策体系タグ及び予算科目体系項目を含む判断支援要求に応じて、当該政策体系タグ及び予算科目体系項目を前記判断モデルに入力し、前記判断モデルより出力される前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記特財ノウハウを含む判断支援情報を生成する、判断支援システム。
【請求項21】
行政における判断を支援する判断支援方法であって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記判断ノウハウは、特定財源を示す財源タグを有する特財ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記データベースは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目の組合せに対して、前記特財ノウハウを紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグ及び予算科目体系項目を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記特財ノウハウを含む判断支援情報を生成する、処理をコンピュータが実行する、判断支援方法。
【請求項22】
行政における判断を支援する判断支援プログラムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記判断ノウハウは、特定財源を示す財源タグを有する特財ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記データベースは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目の組合せに対して、前記特財ノウハウを紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグ及び予算科目体系項目を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記特財ノウハウを含む判断支援情報を生成する、処理を実行するようにコンピュータを機能させる判断支援プログラム。
【請求項23】
行政における判断を支援する判断支援システムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記付随情報の入力に対して、前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを出力する判断モデルを有し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、当該付随情報を前記判断モデルに入力し、前記判断モデルより出力される前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記判断ノウハウは、地方財政状況調査又は公会計に係る科目タグを有する分類ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記判断モデルは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目を含む入力データとし、前記分類ノウハウを含む出力データとするデータセットにより機械学習され、
前記対象政策体系情報の政策体系タグ及び予算科目体系項目を含む判断支援要求に応じて、当該政策体系タグ及び予算科目体系項目を前記判断モデルに入力し、前記判断モデルより出力される前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記分類ノウハウを含む判断支援情報を生成する、判断支援システム。
【請求項24】
行政における判断を支援する判断支援方法であって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記判断ノウハウは、地方財政状況調査又は公会計に係る科目タグを有する分類ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記データベースは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目の組合せに対して、前記分類ノウハウを紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグ及び予算科目体系項目を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記分類ノウハウを含む判断支援情報を生成する、処理をコンピュータが実行する、判断支援方法。
【請求項25】
行政における判断を支援する判断支援プログラムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記判断ノウハウは、地方財政状況調査又は公会計に係る科目タグを有する分類ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記データベースは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目の組合せに対して、前記分類ノウハウを紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグ及び予算科目体系項目を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記分類ノウハウを含む判断支援情報を生成する、処理を実行するようにコンピュータを機能させる判断支援プログラム。
【請求項26】
行政における判断を支援する判断支援システムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記付随情報の入力に対して、前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを出力する判断モデルを有し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、当該付随情報を前記判断モデルに入力し、前記判断モデルより出力される前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記判断ノウハウは、行政目標体系項目に係る指標タグを有する提案ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記判断モデルは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目を含む入力データとし、前記提案ノウハウを含む出力データとするデータセットにより機械学習され、
前記対象政策体系情報の政策体系タグ及び予算科目体系項目を含む判断支援要求に応じて、当該政策体系タグ及び予算科目体系項目を前記判断モデルに入力し、前記判断モデルより出力される前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記提案ノウハウを含む判断支援情報を生成する、判断支援システム。
【請求項27】
行政における判断を支援する判断支援方法であって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記判断ノウハウは、行政目標体系項目に係る指標タグを有する提案ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記データベースは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目の組合せに対して、前記提案ノウハウを紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグ及び予算科目体系項目を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記提案ノウハウを含む判断支援情報を生成する、処理をコンピュータが実行する、判断支援方法。
【請求項28】
行政における判断を支援する判断支援プログラムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記判断ノウハウは、行政目標体系項目に係る指標タグを有する提案ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記データベースは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目の組合せに対して、前記提案ノウハウを紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグ及び予算科目体系項目を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記提案ノウハウを含む判断支援情報を生成する、処理を実行するようにコンピュータを機能させる判断支援プログラム。
【請求項29】
行政における判断を支援する判断支援システムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記付随情報の入力に対して、前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを出力する判断モデルを有し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、当該付随情報を前記判断モデルに入力し、前記判断モデルより出力される前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記判断ノウハウは、前記政策体系の提携に係る提携タグを有する提案ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記判断モデルは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目を含む入力データとし、前記提携タグを含む出力データとするデータセットにより機械学習され、
前記対象政策体系情報の政策体系タグ及び予算科目体系項目を含む判断支援要求に応じて、当該政策体系タグ及び予算科目体系項目を前記判断モデルに入力し、前記判断モデルより出力される前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記提案ノウハウを含む判断支援情報を生成する、判断支援システム。
【請求項30】
行政における判断を支援する判断支援方法であって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記判断ノウハウは、前記政策体系の提携に係る提携タグを有する提案ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記データベースは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目の組合せに対して、前記提携タグを紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグ及び予算科目体系項目を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記提案ノウハウを含む判断支援情報を生成する、処理をコンピュータが実行する、判断支援方法。
【請求項31】
行政における判断を支援する判断支援プログラムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成し、
前記判断ノウハウは、前記政策体系の提携に係る提携タグを有する提案ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記データベースは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目の組合せに対して、前記提携タグを紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグ及び予算科目体系項目を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記提案ノウハウを含む判断支援情報を生成する、処理を実行するようにコンピュータを機能させる判断支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行政における判断を支援する判断支援システム、判断支援方法、判断支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自治体等を含む行政組織では、財政課が主体となって政策、施策、事務事業などの政策体系における各種判断を行っている。このような判断は、政策体系に生じる様々な事情や要素を参酌しながら総合的になされるため、コストが掛かることが問題であった。
【0003】
特許文献1では、地方自治体の財政計画はマクロ的視点から、個別事務事業の予算査定はミクロ的視点から行われており、両者は連動していない問題の解決に向けて、個別事務事業における、歳入・歳出計画作成をルール化、綿密化、IT化して、地方自治体全体の財政計画と事務事業の管理・評価を関連付けることにより、個別計画と全体戦略の整合性を保持し、事業積上型の長期的な財政推計を可能にする技術を開示している。
【0004】
また、特許文献1では、予算査定や行革計画にかかわる財政担当課の処理の単純化、および事務事業の実態に即した予算査定や長期財政推計の実現を図ることを目的とした技術を開示している。特許文献1では、財政バランスを把握しながら予算査定を行うこと、予算査定に伴い財政バランスの適正を判断すること、予算の修正案を作成すること、修正案により予算査定後の財政バランスを更に把握すること、などを開示している。特許文献1では、事務事業シート133の各種データ(必要性、上位目的に対する寄与度、緊急性、規模の妥当性等を示す指標など)を参照しながら、一部事業の廃止・延期・予算減額の修正案を作成することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
財政課が個別の事務事業に対する判断を行う際には、個別の事務事業ごとの各種データを参照する必要がある。財政課では、これら各種データを個別具体的な事情や状況等を検討しながら、過去の経験やノウハウに基づいて最終的な判断を行うことになる。しかしながら、個別の事務事業ごとの事情や判断に必要なノウハウは、多種多様で複雑であり、更にこれらに明確な定義もされていなかった。そのため、判断にコストが掛かること、個々のスキルに依存した判断となること等が課題であった。
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑みて、行政における判断に必要なノウハウを提供することで判断を支援する技術を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]行政における判断を支援する判断支援システムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成する、判断支援システム。
[2]前記データベースは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記付随情報の組合せに対して、前記判断ノウハウを紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の前記政策体系タグ及び前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び付随情報の組合せに対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成する、[1]に記載の判断支援システム。
[3]前記判断ノウハウは、判断軸タグ又は判断の観点と、判断主題の値に対する修正率と、を含み、
前記対象政策体系情報の少なくとも付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断軸タグ又は前記判断の観点と、前記修正率と、を含む判断支援情報を生成する、[1]又は[2]に記載の判断支援システム。
[4]前記判断支援情報に含まれる前記判断軸タグ又は前記判断の観点と、それに対応する前記修正率を、前記対象政策体系情報の判断主題の値に適用し、修正値を得る、[3]に記載の判断支援システム。
[5]前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する複数の前記判断軸タグ又は前記判断の観点と、それに対応する複数の修正率を取得し、当該複数の修正率を平均した平均修正率を含む前記判断支援情報を生成する、[3]に記載の判断支援システム。
[6]前記判断ノウハウは、予算に対する査定の観点と、査定軸タグと、を有する査定ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記データベースは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目の組合せに対して、前記査定ノウハウを紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグと、予算科目体系項目と、を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記査定ノウハウを含む判断支援情報を生成する、[1]~[5]の何れかに記載の判断支援システム。
[7]前記査定ノウハウは、査定率を更に有し、
前記対象政策体系情報の予算の要求額を更に含む判断支援要求に応じて、査定軸タグに係る査定率を含む判断支援情報を生成し、前記査定軸タグに係る査定率を前記要求額に適用することで前記対象政策体系情報の査定額を得る、[6]に記載の判断支援システム。
[8]前記対象政策体系情報の政策体系タグ及び予算科目体系項目に対して、査定額を含む査定ノウハウを紐づけてデータベースに格納する、[6]又は[7]に記載の判断支援システム。
[9]前記データベースは、予算科目体系項目と、政策体系の分類を示す政策体系タグと、予算額と、組織体系項目と、を紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグを含む判断支援要求に応じて、他の組織体系項目の前記政策体系タグに係る政策体系における前記予算科目体系項目別の予算額を比較表示する、[1]~[8]の何れかに記載の判断支援システム。
[10]前記判断ノウハウは、特定財源を示す財源タグを有する特財ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記データベースは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目の組合せに対して、前記特財ノウハウを紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグ及び予算科目体系項目を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記特財ノウハウを含む判断支援情報を生成する、[1]~[9]の何れかに記載の判断支援システム。
[11]前記判断ノウハウは、地方財政状況調査又は公会計に係る科目タグを有する分類ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記データベースは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目の組合せに対して、前記分類ノウハウを紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグ及び予算科目体系項目を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記分類ノウハウを含む判断支援情報を生成する、[1]~[10]の何れかに記載の判断支援システム。
[12]前記判断ノウハウは、行政目標体系項目に係る指標タグを有する提案ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記データベースは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目の組合せに対して、前記提案ノウハウを紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグ及び予算科目体系項目を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記提案ノウハウを含む判断支援情報を生成する、[1]~[11]の何れかに記載の判断支援システム。
[13]前記判断ノウハウは、前記政策体系の提携に係る提携タグを有する提案ノウハウを含み、
前記付随情報は、予算科目の分類である予算科目体系項目を含み、
前記データベースは、前記政策体系に対する分類を示す政策体系タグ及び前記予算科目体系項目の組合せに対して、前記提携タグを紐づけて格納し、
前記対象政策体系情報の政策体系タグ及び予算科目体系項目を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対応する前記提案ノウハウを含む判断支援情報を生成する、[1]~[12]の何れかに記載の判断支援システム。
[14]行政における判断を支援する判断支援システムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記付随情報の入力に対して、前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを出力する判断モデルを有し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、当該付随情報を前記判断モデルに入力し、前記判断モデルより出力される前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成する、判断支援システム。
[15]行政における判断を支援する判断支援方法であって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成する、処理をコンピュータが実行する、判断支援方法。
[16]行政における判断を支援する判断支援プログラムであって、
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、
前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、
判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成する、処理を実行するようにコンピュータを機能させる判断支援プログラム。
【0009】
[1]に係る発明により、判断支援を要する政策体系に対する判断ノウハウを提供することができる。
【0010】
[2]に係る発明により、判断支援を要する政策体系に対してより精度の高い判断ノウハウを提供することができる。
【0011】
[3]に係る発明により、ある判断主題の値に対する修正率を判断ノウハウとして提供することができる。
[4]に係る発明により、判断主題の値に対する修正値を提供することができる。
[5]に係る発明により、判断主題となる値の修正率の平均を提供することができる。
【0012】
[6]に係る発明により、判断支援を要する政策体系の査定ノウハウを提供し、査定判断を支援することができる。。
【0013】
[7]に係る発明により、査定額を提供し、査定判断を支援することができる。
【0014】
[8]に係る発明により、査定ノウハウを更新して、他の政策体系の査定判断に活用することができる。
【0015】
[9]に係る発明により、他の自治体の予算水準と比較することで査定判断を支援することができる。
【0016】
[10]に係る発明により、判断支援を要する政策体系の特定財源のノウハウを提供し、財源に係る査定判断を支援することができる。
【0017】
[11]に係る発明により、判断支援を要する政策体系の分類ノウハウを提供し、会計科目の分類判断を支援することができる。
【0018】
[12]に係る発明により、判断支援を要する政策体系の行政目標の指標に係る提案ノウハウを提供し、指標に関する提案支援をすることができる。
【0019】
[13]に係る発明により、判断支援を要する政策体系の提携に係る提案ノウハウを提供し、当該政策体系と提携可能な事業体や事業に関する提案支援をすることができる。
【0020】
[14]に係る発明により、判断モデルを用いて判断支援を要する政策体系に対する判断ノウハウを提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、行政における判断に必要なノウハウを提供することで判断を支援する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図4】本実勢形態の判断軸タグの分類の概要説明図。
【
図6】事務事業情報及び細事業情報のデータ構成例。
【
図7】本実施形態の判断ノウハウデータのデータ構成例。
【
図10】本実施形態の判断ノウハウデータの異なるデータ構成例。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に関する判断支援システムおよび判断支援方法、判断支援プログラムについて説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することもできる。
【0024】
本実施形態では、判断支援システム、判断支援装置の構成、動作等について説明するが、同様の構成の判断支援方法、コンピュータのプログラムおよび当該プログラムを記録したプログラム記録媒体等も、同様の作用効果を奏する。プログラム記録媒体を用いれば、例えば、コンピュータに当該プログラムをインストールすることができる。以下で説明する本実施形態にかかる一連の処理は、コンピュータで実行可能なプログラムとして提供され、CD-ROMやフレキシブルディスクなどの非一過性コンピュータ可読記録媒体、更には通信回線を経て提供可能である。
【0025】
判断支援システムは、コンピュータ装置により構成される。コンピュータ装置は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置および記憶装置を有する。当該コンピュータ装置は、記憶装置に格納される判断支援プログラムを、演算装置により実行することで、当該コンピュータ装置を判断支援装置として機能させることができる。判断支援方法は、判断支援装置を含むコンピュータ装置の処理により実現される。
【0026】
判断支援システムは、行政組織で利用され、行政活動の管理に利用される。行政組織は、国や地方自治体などの官公庁、省庁、公共団体等を含む行政を運営する組織であり、本実施形態では地方自治体を例とする。判断支援システムは、特に、行政組織の財政課で利用され、行政活動における各種行政判断の支援に利用される。
【0027】
<1.1.用語等の定義1>
本明細書で使用される用語及び語句の定義は次のとおりである。
行政組織とは、国や地方自治体などの官公庁、省庁、公共団体等を含む行政を運営する組織であり、実施形態1では地方自治体を例とする。本発明に係る判断支援システムは行政組織で利用され、行政活動の運用・管理に利用される。
政策体系とは、政策-施策-事務事業の3階層で区分された課題体系である。例えば、施策及び事務事業の間に細施策等の階層が設けられる等、4階層以上で区分がされ、事務事業の管理が行われてもよい。
政策とは、特定の行政課題に対応するための基本的な方針実現を目的とする行政活動の大きなまとまりであり、制定された行政区分(市区町村等)におけるまちづくりの方向性や目的を示すものである。
施策とは、政策における基本的な方針に基づく、具体的な方針の実現を目的とした行政活動のまとまりであり、政策を実現するための方策や対策を示すものである。
事務事業とは、施策における具体的な方針を具体化する為の個々の行政手段としての事務及び事業である。事務事業は、行政区分に所属する各局における予算を元に、各局により実施される。本実施形態では、個々の事務事業を更に1又は複数の細事業に分解した4階層で課題体系を区分することとする。細事業は、事務事業に係る行政手段としての事務及び事業を、具体的に分解した区分である。
【0028】
行政オブジェクトとは、行政活動の中で扱う目的物を指す。本実施形態では、行政オブジェクトとして、個別の事務事業を管理することとするが、例えば、議員の質問に対して行政機関等の執行機関が作成を行う本会議答弁や委員会答弁、事務事業の計画・執行・評価段階や、議会・委員会等で収集され、次期以降の行政課題立案の元となる課題等についても行政オブジェクトとして扱ってもよい。また、行政組織が国の場合、直轄事業や外郭団体事業等を含む事業、その他、行政活動全般の目的物を行政オブジェクトとすることができる。行政オブジェクトは、データベース4において行政データとして管理される。
【0029】
行政判断とは、政策体系に係る行政活動上の判断である。行政判断は、査定判断と、分類判断と、提案判断と、等を含む。査定判断は、予算編成の要求段階において見積もられた要求額に対する査定額を決定する判断や、予算として充当する財源やその金額を決定する判断を含む。分類判断は、政策体系に関連する各種情報や項目等を適切な分類とする判断を含む。提案判断は、政策体系に係る行政活動の改善に向けた目標等を提案する判断を含む。なお、査定判断は、予算編成の査定段階において査定された査定額に対する内示額を決定する内示判断を包括するものとする。
【0030】
<1.2.行政活動の概略>
地方自治体における行政活動の流れについて、一例を説明する。
まず、計画段階として、次期執行年度(例えば、翌年度)に実施する事務事業の計画書の作成等を実施する。次いで、予算編成段階では、次期執行年度に実施する事務事業の予算要求書の作成や、予算要求書に対する査定、予算案の作成、議会提出等を実施する。そして、執行年度になると、執行段階として、議会承認された事務事業に対して予算執行を行う。評価段階では、執行した事務事業に対する行政評価書の作成などを実施する。
【0031】
<1.3.用語等の定義2>
トピックとは、行政オブジェクトを目的物として実行される行政活動の段階的な区分を示す。トピックは行政オブジェクトの種類毎に1又は複数定義され得る。本実施形態では、例えば、事務事業を目的物とする場合は「予算編成>要求」、「予算編成>査定」、「予算編成>内示」、「予算編成>議決」、「予算執行」、「決算」、「行政評価」等の経時的に並んだ複数の区分をトピックと定義する。上記は一例であり、これらとは異なる区分、抽象化された区分、細分化された区分等が定義されてもよい。
また、トピックの細分化は、トピックを複数のレイヤーで階層化することで行われてもよい。例えば、「予算編成>○○」トピックに代えて「当初予算編成(以降“当初”と呼称する)>○○」及び「補正予算編成(以降“補正”と呼称する)>○○」等の区分が定義されてもよいし、「予算編成」の配下のレイヤーにおいて「当初>○○」及び「補正>○○」の下位トピックが定義されてもよい。また、配下のレイヤーにも経時的に並んだ複数の区分がトピックとして定義されてもよい。例えば、「予算編成」の配下のレイヤーに、「要求」、「査定」、「内示」、「議決」等の区分が定義されてもよい。
【0032】
イシューとは、各行政オブジェクトに関して発生する行政活動を進行する上での主題を意味する。イシューは、個別の、或いは一群の行政オブジェクトに対応付けられ、特定の担当者に対して割り当てがされる。本実施形態では、イシューは、特定トピックの行政オブジェクト、或いは、特定トピックに属した一群の行政オブジェクトについて提起されるものとする。
【0033】
ワークフローとは、反復可能に定義された行政活動の流れを意味する。本実施形態では、ワークフローは、ある目的を達成する為に実行される複数の段階WSを含み、それぞれの段階WSnにおいて担当者に割り振られたイシューを消化していくことで進行する。あるトピックにおいて実行されるワークフローの段階は、当該トピックに係る行政活動の更に細かい段階と把握される。
【0034】
データ項目とは、行政オブジェクトに関して登録・管理される種々のデータである。
必須データ項目とは、データ項目のうち、登録が必須となるデータ項目の区分である。
任意データ項目とは、データ項目のうち、属性名が事前に定義され、有効化・無効化によってデータ値の入力や入力されたデータ項目の表示が可能となるデータ項目の区分である。
追加データ項目とは、データ項目のうち、独自の属性名を登録してデータ値の入力や入力されたデータ項目の表示が可能となるデータ項目の区分である。
【0035】
判断ノウハウとは、行政オブジェクトのある判断主題に対する行政判断に示唆又は結果を与えるものである。本実施形態に係る判断主題とは、予算と、財源と、科目と、指標と、等を含むが、これらに限定されず、行政業務に必要な各種判断主題を含むことができる。判断ノウハウは、行政判断に示唆を与えるものとして、判断の観点を含む。判断の観点とは、行政オブジェクトのある判断主題に対する行政判断(意思決定)を行う上で、検討する観点を指す。判断ノウハウは、行政判断に結果を与えるものとして、判断軸を含む。判断軸とは、判断の観点に基づく検討から導かれるより具体的な判断の軸や根拠を指す。判断軸は、明示的な結論を導出できる判断主題であれば、その結論であってもよい。また、判断軸は、判断の観点を介さずに判断主題から直接に導かれる場合もある。行政判断では、判断の観点による検討を経て、判断軸や判断結果が導かれるという流れとなる。したがって、判断軸は、判断の観点によりグループ化できると換言される。
【0036】
査定判断では、判断の観点として査定の観点を含み、当該査定の観点に応じて判断主題である予算、財源等を査定する。分類判断では、判断の観点として分類の観点を含み、当該分類の観点に応じて判断主題である科目や項目を分類する。提案判断では、判断の観点として提案の観点を含み、当該提案の観点に応じて判断主題である目標等の指標を提案する。なお、判断の観点を含まず、判断軸を導出することも可能である。
具体例として、「予算」を判断主題とする場合、「判断の観点」である「予算要求額が適正であるか」について検討を行う。そして、その検討結果として要求額が前年度並みであれば「前年度並み」という判断軸が導かれ、その判断軸に対応する査定を行うことになる。ここでは、判断軸が前年度並みであれば、要求額に対する修正をする必要がないと判断され、その方針にしたがって査定がされることになる。
具体例として、「科目」を判断主題とする場合、地方財政におけるある会計科目(款項目節細節)を、決算統計(地方財政状況調査項目)、公会計などの会計種別に応じた科目や項目にどのように仕訳けするべきかが判断軸として導かれる。
具体例として、「指標」を判断主題とする場合、事務事業の内容と予算の科目等からどのような事務事業に対してどのような予算が執行されたかについて検討を行う。そして、その検討結果として予算執行に伴い改善される目標指標がどのようなものかが判断軸として導かれる。目標指標は、KPI等のような定量的に評価される項目を示す。例えば、「少子化対策事業」に科目が「給付金」の予算が執行される場合、「給付金申請数」や「出生数」等の指標が得られる。
【0037】
<2.1.システム構成>
図1は、判断支援システム1のシステム構成図を示す。判断支援システム1は、
図1に示すように、判断支援装置2と、利用者端末3と、データベース4と、を備え、各構成部はそれぞれ通信ネットワークNWに接続される。例えば、通信ネットワークNWは、総合行政ネットワーク(LGWAN:Local Government Wide Area Network)を含み、総合行政ネットワークを経由して、判断支援装置2とデータベース4、判断支援装置2と利用者端末3が接続される。
【0038】
判断支援システム1(判断支援装置2)は、少なくとも事務事業を含む行政オブジェクトに係る行政活動を運用・管理するためのプラットフォームを提供する。判断支援装置2は、当該プラットフォームにて事務事業を含む行政活動に対する行政判断を支援する情報を提供する。判断支援装置2は、機能構成要素として、行政データ管理部21と、タグ処理部23と、生成部24と、出力部27と、設定管理部28と、を備える。
【0039】
利用者端末3は、行政組織に属する利用者等が利用する端末装置である。利用者端末3は、少なくとも行政組織内に複数設置される。
【0040】
本実施形態において、利用者は、行政組織内の特別職(首長等)や、財政課等、官房部門の利用者、課長、部長、土木部(局・課)や農林水産部(局・課)等、原局・原課の利用者・統括(課長、部長等)などを含む。例えば、原課利用者は、事務事業の計画書等の事業帳票の作成や、予算要求書作成、予算執行、行政評価書作成などの業務を実施する。財政課利用者は、原課利用者により作成された予算要求書の査定や、地方財政状況調査用の会計に係る仕訳や、事務事業等の指標(目標)及びその実績に対する指標の改善提案などの判断などの業務を実施する。官房利用者は、原課利用者への予算要求書作成依頼、予算要求書の評価などの業務を実施する。課長・部長、特別職は、利用者による成果物の確認、計画書に基づく重点事業選定、優先順位付け、財政課利用者により承認された予算要求書の査定などの業務を実施する。判断支援システム1は、各利用者に対して所定の操作権限を設けており、操作権限に応じた所定の機能の許可や制限を制御している。
【0041】
<2.2.ハードウェア構成>
図2(a)は、判断支援装置2のハードウェア構成図を示す。判断支援装置2は、ハードウェア構成として、制御部201と、記憶部202と、通信部203と、を備える。本実施形態において、判断支援装置2は、サーバやパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いることができる。なお、判断支援装置2は、複数のコンピュータ装置により構成されてもよく、全体として上述の機能構成要素(21-26)を実現できれば、
図2(a)に示す構成に限定されるものではない。
【0042】
制御部201は、CPUなどの1又は複数のプロセッサにより構成され、判断支援プログラムやOS(Operating System)、その他のアプリケーションを実行することで、判断支援装置2における全体処理を制御する。記憶部202は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などの1又は複数のメモリによって構成され、判断支援プログラムおよび各種データを記憶する。通信部203は、通信ネットワークNWとの通信制御を行い、利用者端末3、及びデータベース4とのデータ通信を実現する。制御部201は、判断支援プログラムを実行することで、コンピュータを判断支援装置2として機能させ、判断支援方法を実行させる。
【0043】
データベース4は、図示例ではLGWAN等を含む通信ネットワークNW経由でアクセス可能なデータベースサーバであるが、例えば、判断支援装置2を構成する制御部201及び記憶部202を用いて実現されてもよいし、判断支援装置2とLAN等を介して接続されてもよい。
【0044】
本実施形態において、データベース4は、判断ノウハウデータを格納する判断ノウハウDB40を有する。判断ノウハウDB40は、判断主題に応じた、査定ノウハウDB41と、特財ノウハウDB42と、分類ノウハウDB43と、提案ノウハウDB44と、を有する。また、データベース4は、財源情報を格納する特定財源DB45を有する。
【0045】
図2(b)は、利用者端末3等の端末装置9のハードウェア構成図を示す。端末装置9は、ハードウェア構成として、制御部901と、記憶部902と、通信部903と、入力部904と、表示部905と、を備える。本実施形態において、端末装置9は、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット端末などを用いることができる。
【0046】
制御部901は、CPUなどの1つ以上のプロセッサにより構成され、OS、その他のアプリケーションを実行することで、端末装置9における全体処理を制御する。記憶部902は、HDD、SSD、フラッシュメモリ、RAMなどであって、ブラウザアプリケーション、および各種データを記憶する。通信部903は、通信ネットワークNWとの通信制御を行い、判断支援装置2とのデータ通信を実現する。入力部904は、操作者による操作要求を受け付ける入力インターフェイスであって、タッチパネル、マウス、キーボードなどの少なくとも何れか1つ以上により構成される。表示部905は、制御部901による処理結果を表示するディスプレイなどにより構成される。
【0047】
<2.3.出力部>
出力部27は、行政データの管理プラットフォームを利用者端末3に表示させる。行政データの管理プラットフォームは、利用者端末3からの要求に基づいて、種々のデータの登録、編集、削除(以降、登録等とする)やワークフロー管理、データ表示、データ出力等に利用される。本実施形態では、管理プラットフォームは、ウェブブラウザアプリケーションの態様で利用される。利用者は、自身のアカウントを利用して管理プラットフォームを利用し、後述する情報処理は、該管理プラットフォームを介して実行される。
【0048】
<3.1.データ構造>
まず、本実施形態に係る判断支援システムにおけるデータ構造について説明する。
【0049】
データベース4には、組織マスタ、利用者マスタ、政策・施策マスタ、科目マスタ、行政目標マスタ、権限マスタが格納されると共に、過年度の事務事業情報(行政データ)が格納される。
【0050】
組織マスタには、行政組織内又は行政組織内外の組織に関するデータ項目のマスタデータとして、データ項目間の紐付けによってツリー構造の組織体系を表す組織体系項目が格納される。本実施形態では、組織マスタには、組織体系項目として、組織情報、及び部門情報が格納される。組織情報は、組織の識別情報(組織ID)、及び組織名が格納される。部門情報は、組織における部門(部局課室等)の識別情報(部門ID)、部門が属する組織の識別情報(組織ID)、部門が属する上位部門の識別情報(部門ID)、及び部門名が格納される。後述する利用者の所属部門や、政策・施策・事務事業の担当部門等は、組織体系項目に基づいて、各種情報に識別可能に登録される。
利用者マスタには、組織内の利用者情報が格納される。利用者情報は、利用者の識別情報(利用者ID)、氏名、所属部門(組織体系項目)、等を有する。なお、1又は複数の利用者の集合である利用者グループが定義可能であってもよい。利用者グループ情報は、例えば、利用者グループの識別情報(利用者グループID)と、利用者グループに属する利用者の識別情報等によって事前定義されてもよいし、組織体系項目等の共通の属性を有した利用者を利用者グループとして扱ってもよい。事前定義される利用者グループに含める利用者は任意に選択可能であってもよいし、共通の属性を有する利用者グループの中から選択可能であってもよい。利用者グループは、任意に設定されたグループ名やグループの特徴を表す属性名によって指定される。
【0051】
政策・施策マスタには、政策・施策に関するデータ項目のマスタデータとして、データ項目間の紐付けによってツリー構造の政策・施策体系を表す政策・施策体系項目が格納される。本実施形態では、政策・施策マスタには、政策・施策体系項目として、政策情報及び施策情報が格納される。政策情報/施策情報は、政策/施策の識別情報(政策ID/施策ID)、政策番号/施策番号、政策名/施策名、担当部門(部局課室等)、政策の目的/施策の目的、政策概要/施策概要、を含む。また更に、施策情報は、対応する主要政策の識別情報(政策ID)を含む。
【0052】
科目マスタには、科目体系項目を示すデータ項目のマスタデータが格納される。本実施形態では、予算科目体系・地方財政状況調査項目体系を示すデータ項目のマスタデータとして、データ項目間の紐付けによってツリー構造の予算科目体系を表す予算科目体系項目、及びツリー構造の地方財政状況調査項目体系を表す地方財政状況調査項目が格納される。
本実施形態では、予算科目マスタには、予算科目体系項目として、予算科目情報が格納される。予算科目情報は、予算科目の識別情報(予算科目ID)、予算科目が属する上位予算科目の識別情報(予算科目ID)、予算科目種別(本実施形態では、款項目節細節の何れか)、及び予算科目名を含む。予算科目種別は、決算時における目的に相当する上位の科目である款項目(上位予算科目)と、性質に相当する下位の科目である節細節(下位予算科目)を含むものとする。行政組織が国の場合、項-目等が上位予算科目、目配下の科目を下位予算科目とすることができる。
地方財政状況調査項目マスタには、地方財政状況調査項目として、歳出内訳目的情報、及び、予算性質情報が格納される。歳出内訳目的は、事務事業に紐付けされる歳出の目的を示し、決算トピックにおける地方財政状況調査等に利用される。歳出内訳目的情報は、歳出内訳目的の識別情報(歳出内訳目的ID)、歳出内訳目的が属する上位歳出内訳目的の識別情報(歳出内訳目的ID)、対応する予算科目(款項目の何れか)の識別情報(予算科目ID)、歳出内訳目的の種別(本実施形態では、大分類・中分類・小分類の三種類)、及び歳出内訳目的名を含む。予算性質は、節細節配下に設定される予算の性質を示し、予算性質情報は、予算性質の識別情報(予算性質ID)、上位予算性質の識別情報(予算性質ID)、予算性質が属する(対応する)予算科目(節又は細節)の識別情報(予算科目ID)、予算性質の種別(本実施形態では、大分類・中分類・小分類・細分類の四種類)、及び予算性質名を含む。
【0053】
行政目標マスタには、行政目標体系を示すデータ項目のマスタデータとして、データ項目間の紐付けによってツリー構造の行政目標体系を表す行政目標体系項目が格納される。行政目標は、各事務事業の達成のためのKPIを、即ち、事務事業の執行期間中に達成すべきタスクを定義するものであり、政策、施策、及び事務事業毎に1又は複数設定されると共に、上位の政策・施策体系と対応した階層構造を採る。本実施形態では、行政目標マスタには、行政目標体系項目として、行政目標情報が格納される。行政目標情報は、行政目標の識別情報(行政目標ID)と、行政目標体系項目が紐づく政策、施策、又は事務事業の識別情報、行政目標の内容、行政目標を達成する期限、並びに、行政目標に対する実績等を有する。
【0054】
<3.2.マスタデータの登録>
設定管理部28は、組織情報、部門情報、利用者情報、政策情報、施策情報、予算科目情報、歳出内訳目的情報、予算性質情報、及び行政目標情報に係る入力を利用者端末3より受け付けて、データベース4への登録等を行う。
【0055】
<3.3.事務事業情報の登録等>
次いで、本実施形態に係る判断支援システムにおける事務事業情報の登録等について説明する。
【0056】
事務事業には、予算額と、執行時に利用され、歳出額が対応付けられる款項目節細節(予算科目体系項目)と、決算時に利用され、地方財政状況調査作成の為の歳出内訳目的及び予算性質(地方財政状況調査項目)とが、予算要求段階から対応付けされる。
また、事務事業には、事務事業に係る行政活動や、予算の用途に係る出費項目、予算の財源等、各事務事業に内包された分解可能性を有する要素である内訳項目が設定される。
内訳項目として、款項目(予算科目体系項目)が対応付けられた事務事業には、1又は複数の細事業が紐付けられる。細事業には、節細節(予算科目体系項目)が対応付けられた予算の出費目的や出費先を示す個別出費項目が紐づけられる。個別出費項目は、予算額等を示す積算項目、並びに、その財源を示す財源内訳を含む。
また、個別の事務事業、細事業又は個別出費項目には、組織体系項目、政策・施策体系項目、科目体系項目、及び行政目標体系項目が紐づけられる。本実施形態では、事務事業に対して1又は複数の組織体系項目、1又は複数の政策・施策体系項目、1又は複数の行政目標体系項目、並びに、款項目に係る予算科目体系項目(上位予算科目)が紐付けられると共に、その内訳項目である個別出費項目に対して、節細節に係る予算科目体系項目(下位予算科目)が紐付けられるデータ構造を採る。また、任意のトピックにおいて、個別の事務事業、細事業又は個別出費項目に、その内容を表すラベルが設定されてもよい。本実施形態では、事務事業に対して、重点事業であることを示すラベルが、個別出費項目には義務的経費であることを示すラベルや、継続事業等の予算額の増減を示すラベル等が設定される。
【0057】
事務事業情報は、個々の事務事業に関する行政データであり、執行年度毎に登録される。本実施形態では、事務事業情報は、事務事業に係る基本情報(事務事業基本情報)と、当該事務事業に関する行政目標情報、予算情報、財源情報、及び支出・収入情報を含む。
事務事業情報の基本情報(事務事業基本情報)は、事務事業の内容に関する情報であり、基本情報の(即ち事務事業情報の)識別情報(事務事業ID)、関連行政データ、事務事業名、当該事務事業が属する主要政策・施策(政策・施策体系項目)、事業開始年度、執行(予定)年度、予算区分(当初予算、補正予算号数)、トピック、事務事業の予算額、事務事業の歳入額、予算名、所属部局庁(組織体系項目)、担当部門(組織体系項目)、会計区分、事務事業ステータス(例えば、「新規」、「拡充」、「縮小」、「休止」、「廃止」)、款項目(上位予算科目:予算科目体系項目)、歳出内訳目的の大分類・中分類・小分類(地方財政状況調査項目)、経費分類、事務事業の予算額等を含むと共に、任意項目として、事務事業目的、事務事業概要、根拠法令、関連する計画・通知等、現状・課題、事業終了(予定)年度、備考欄、重点課題(行政目標体系項目)、0、1又は複数の追加データ項目等、事業に係る種々の情報を含む。
【0058】
予算情報は、例えば、トピック毎(例えば、「予算編成>要求」、「予算編成>査定」、「予算編成>内示・議決」)の予算額、個別の出費項目名、及び出費項目の節細節(予算科目体系項目)、予算性質の大分類・中分類・小分類・細分類(地方財政状況調査項目)を含む。予算額は、予算編成の「要求」段階において見積もられた予算額である要求額、「査定」段階において要求額から必要に応じて調整された予算額である査定額、「内示」された予算額である内示額等であり、本実施形態では、各事務事業情報は、有する個別出費項目毎に、各段階の予算額のそれぞれを保持可能に構成される。
財源情報は、個々の予算額に対する1又は複数の財源を示し、例えば、財源名、予算情報に対して充当される歳入額、及び節細節(予算科目体系項目)を含む。例えば、歳入額も予算額と同様に各トピックと紐づき、例えば、予算編成の「要求」段階において見積もられた歳入額である歳入要求額、「査定」段階において歳入要求額から必要に応じて調整された歳入額である歳入査定額、「内示」された歳入額である歳入内示額をそれぞれ保持可能に構成される。
【0059】
本実施形態では、事務事業は、内訳項目によって4階層のツリー構造に細分化(事務事業>細事業>個別出費項目>積算項目)される。事務事業は1又は複数の細事業を、細事業は1又は複数の個別出費項目を含む構造を採り、事務事業情報は、事務事業の内容を表す事務事業レイヤーのデータ項目である事務事業基本情報、細事業の内容を表す細事業レイヤーのデータ項目である細事業情報、及び個別出費項目の内容を表す個別出費項目レイヤーのデータ項目を含む。積算項目は個別出費項目に1又は複数含まれ、積算されることで事務事業又は上位の内訳項目の予算額を示す積算項目情報により登録される。財源内訳は個別出費項目に0又は1含まれ、事務事業又は上位の内訳項目の歳入額を示す財源内訳情報によって登録される。
【0060】
細事業情報は、細事業の識別情報(細事業ID)、関連する事務情報の識別情報(事務事業ID)、細事業名、細事業概要、細事業ステータス(例えば、「新規」、「拡充」、「縮小」、「休止」、「廃止」)、細事業の予算額等、細事業に係る種々の情報を含む。
【0061】
個別出費項目は、対応する細事業に係る行政活動に必要となる出費項目を示し、個別出費項目情報は、個別出費項目の識別情報(個別出費項目ID)、関連する細事業の識別情報(細事業ID)、個別出費項目名、個別出費項目の予算額、個別出費項目グループラベル、個別出費項目概要、節細節(下位予算科目:予算科目体系項目)、性質(予算性質:予算科目体系項目)を含む。
積算項目は、個別出費項目に含まれた個別具体的な出費項目であり、積算項目情報は、積算項目の識別情報(積算項目ID)、関連する個別出費項目の識別情報(個別出費項目ID)、積算項目名称、各トピックにおける予算額、執行予定四半期、積算項目概要、積算根拠(数式等)を含む。
財源内訳は、個別出費項目の財源を示し、財源情報は、財源の識別情報(財源ID)、関連する個別出費項目の識別情報(個別出費項目ID)、財源名称、各トピックにおける歳入額、財源充当率、財源区分、款項目節細節(予算科目:予算科目体系項目)、担当部門(組織体系項目)、充当根拠、充当理由を含む。
本実施形態では、財源情報として、特定財源に係る財源内訳を登録することとし、1つの個別出費項目情報に対して、全ての予算額が一般財源から賄われる場合には財源情報が登録されず、特定財源、若しくは、特定財源及び一般財源から賄われる場合に、1つの財源情報が登録される。一般財源に係る財源内訳は、予算額と歳入額の差分、又は予算額と財源充当率から得られる。
【0062】
個別出費項目、若しくは個別出費項目及び積算項目に基づいて、事務事業に対する節細節を、予算編成段階から設定することができる。後述の執行処理では、この事務事業その予算科目体系項目及び/又は地方財政状況調査項目を指定して、予算執行を行うことができ、決算段階での予算と支出の突合が不要となる。歳出内訳目的及び予算性質は、それぞれ上位予算科目及び下位予算科目に対応する項目であるが、行政組織が国の場合にも、上位予算科目及び下位予算科目に対応する財政関連項目がマスタデータとして設定され、事業や個別出費項目に対応付けられてよい。
【0063】
本実施形態では、事務事業は4階層のツリー構造に細分化されており、事務事業の予算額は事務事業配下の細事業の予算額の総額、細事業の予算額は細事業配下の個別出費項目の予算額の総額、個別出費項目の予算額は個別出費項目配下の積算項目の予算額の総額によって与えられる。即ち、事務事業情報の登録に際して、行政データ管理部21は、積算項目の予算額について登録することで、個別出費項目、細事業、及び事務事業の予算額についても登録がされる。歳入額についても同様である。
【0064】
<3.4.タグ情報のデータ構成>
データベース4には、タグ情報が格納される。本実施形態において、タグ情報は、政策体系タグと、判断軸タグと、を含む。
【0065】
政策体系タグは、少なくとも政策-施策-事務事業-細事業を含む政策体系の分類を示すタグである。政策体系タグは、各行政組織における政策体系の分類を定義する目的で使用される。例えば、子育て支援に係る事務事業は、子育て支援アプリ事業、出産支援交付金、遊具保守点検など多様な名称で管理されており、どのような性質の事務事業であるかを一見して区別することが困難である。このような事務事業に対して統一された定義による政策体系タグを付与することで、管理・運用を効率化することができる。
【0066】
政策体系タグは、データ項目として、タグIDと、タグ名と、粒度レベルと、関係タグIDと、を含む。政策体系タグは、粒度レベル(政策体系種別)によるツリー構造を有する。
【0067】
粒度レベルは、政策、施策、事務事業などの何れの政策体系種別のタグであるかを示す。粒度レベルは、更に、細事業を含む4つ以上の階層であってもよい。粒度レベルは、任意の階層数として定義可能である。粒度レベルは、政策タグ、施策タグ、事務事業タグにそれぞれ対応する。なお、本実施形態の階層分けは一例であって、粒度レベルは、任意の階層数として定義可能であり、更に多くの階層数または、更に少ない階層数として定義されてもよい。また、粒度レベルは、政策、施策、事務事業、細事業の分類に限定されない。
【0068】
関係タグIDは、当該タグと、ツリー構造において関係する他のタグと、の関係性を特定するタグIDを示す。関係性は、親子関係、兄弟関係、孫関係などの任意の関係であってよいが、少なくとも隣接する階層の親子関係を特定可能な態様であることが好ましい。ツリー構造は、政策タグ、施策タグ、事務事業タグの順に上位から下位の階層として定義されており、例えば、施策タグは、1の政策タグのタグIDを関係タグIDとして関連付けて定義され、事務事業タグは、1の施策タグのタグIDを関係タグIDとして関連付けて定義される。なお、施策タグは、1または複数の事務事業タグのタグIDを関係タグIDとして関連付けて定義され、政策タグは、1または複数の施策タグのタグIDを関係タグIDとして関連付けて定義される構成であってもよい。
【0069】
政策体系タグは、
図3に例示するように、政策タグA(タグTA1)を第1の階層とし、政策タグAの子関係にあたる施策タグA(タグTA2)、施策タグB(タグTA3)を第2の階層とし、施策タグAの子関係にあたる事務事業タグA(タグTA4)、事務事業B(タグTA5)などを第3の階層とし、事務事業タグAの子関係にあたる細事業タグA(タグTA8)、細事業タグB(タグTA9)などを第4の階層とするツリー構造を有する。なお、ツリー構造を形成するタグの数量は一例であり、
図3より多くても少なくてもよい。
【0070】
判断軸タグは、政策体系に係るある判断主題に対する判断結果や判断基準を与える判断軸を分類したタグである。本実施形態において、判断軸タグは、判断主題に対応し、査定軸タグ、財源タグ、科目タグ(決算統計仕訳タグ、公会計仕訳タグ)、指標タグ等の種別を有する。判断軸タグは、判断の観点により分類(グループ化)されてもよい。なお、科目タグは、予算科目体系項目に対応する款項目節細節タグを含んでもよい。
【0071】
判断軸タグは、政策体系に対して行った判断結果を、他の政策体系に対する行政判断で参照する目的で分類され定義される。例えば、予算に対する査定判断は、要求額が適正であるかという観点の中で、要求額が前年度並みか、増加傾向であるか、減少傾向であるか、などを財政課の担当者が個々の経験やスキル、独自の判断基準等に応じて判断していた。判断軸タグは、これらの判断基準の分類を「前年度並み」、「増加傾向」、「減少傾向」などの判断軸でタグとして定義し、政策体系に付与することができる。判断軸タグは、当該査定に至った検討の経緯や結果を判断軸として集約して可視化したものであり、個々のスキル等に依存しない統一的な判断を行う際に参照される。
【0072】
本実施形態では、判断軸タグは、査定判断と、分類判断と、提案判断と、を含む行政判断に用いられる。査定判断の判断軸タグは、歳出予算の査定判断に係る査定軸タグと、歳入予算(財源)の査定判断に係る財源タグと、を含む。分類判断の判断軸タグは、決算統計科目の分類判断に係る決算統計タグと、公会計科目の分類判断に係る公会計タグと、を含む。提案判断の判断軸タグは、行政目標の提案判断に係る指標タグを含む。判断軸タグは、判断主題ごとにそれぞれ複数の判断軸をタグとして構成される。
【0073】
判断軸タグは、それぞれの判断主題に応じた構成を採用できる。
図4は、判断軸タグの構成の概要図である。
【0074】
図4(a)に示すように、判断軸タグは、判断の観点によって分類される。判断の観点は、判断の観点C11、C12のように1又は複数存在し、判断の観点C11の中で導かれる個別的な判断の軸が1又は複数の判断軸タグTB1、TB2として存在する。また、判断軸タグTB3、TB4は、判断の観点C12の中での判断の軸として存在する。判断の観点は、どのような科目について判断したかを示す特定科目を含み、判断軸タグは、特定科目によって分類されてもよい。判断の観点及び、判断の観点に属する判断軸タグの数量は、制限されない。
【0075】
また、判断軸タグは、修正率に関するタグTC1~TC3を含んでもよい。修正率C13は、判断主題の値に対する修正率を示す。修正率は、判断主題が予算であれば要求額に対する査定率、財源であれば要求額に対する特定財源の充当率、指標であれば目標値として設定されたKPIに対する修正率などをそれぞれ指す。
【0076】
判断軸タグTB1~TB4及び修正率のタグTC1~TC3は、それぞれ独立して紐づけ可能である。これらのタグが組み合わせられることで、ある判断の結果(判断軸)に対して判断主題の値をどの程度修正するべきか(修正率)、という関連性を持つ情報として定義することができる。なお、修正率は、判断軸タグと一体とする構成を採用してもよい。
【0077】
図4(b)に示すように、判断軸タグTB1~TB6は、複数のグループに分類される。分類判断では、例えば、科目や指標等を分類する。科目は、大分類C21、中分類C31、C32、小分類C41~C43のような階層で分類される。分類の種別及び階層数は、対象に応じて適切に設定可能であり限定されない。また、大分類、中分類、小分類等のそれぞれのグループの数量も、限定されない。これら小分類等は、判断の観点とも言い換えられる。例えば、小分類という判断の観点の中でどのような分類が適切かを検討し、その判断結果として最終的な分類である判断軸タグが決定される。なお、判断軸タグは、最下層の分類のタグに限定されず、小分類や大分類も判断軸タグとなり得る。また、判断軸タグは、グループ化されない構成も採用し得る。
【0078】
<3.5.判断ノウハウDB40の構築>
判断ノウハウDB40は、政策体系(行政オブジェクト)の特定の判断主題に関する判断ノウハウを提供するために構築される。本実施形態では、判断主題は、予算、財源、科目及び、指標から選択される少なくとも1つ以上を含む。判断ノウハウとは、判断の観点、示唆、結果、数値などの少なくとも1つ以上であって、判断主題に対する利用者の判断を支援するものを指す。具体的には、判断ノウハウは、判断の観点又は分類と、当該判断の観点又は分類内の判断軸タグと、を少なくとも含む。判断ノウハウは、更に修正率を含むことが好ましい。
【0079】
図5を参酌しながら、本実施形態に係る判断支援の概要を説明する。
判断ノウハウDB40は、
図5(a)に示すように、政策体系タグと、付随情報と、判断ノウハウと、を関連付けて記憶する。判断ノウハウDB40は、政策体系タグと付随情報を関連付けて記憶し、付随情報と判断ノウハウを関連付けて記憶することでそれぞれのデータの関連性を定義する構成であってもよい。
本実施形態において、付随情報は、個別出費項目、予算科目体系項目、行政目標体系項目、組織体系項目等から選択される少なくとも1つ以上を含む。個別出費項目には、事務事業又は細事業の予算科目体系項目として節細節が含まれ、当該節細節を付随情報として参照可能である。
【0080】
これにより、
図5(b)に示すように、付随情報である節細節に対する予算の査定判断ができる。具体的には、予算要求に含まれる歳出予算の節細節に関連付けられた政策体系タグと、判断ノウハウである査定軸タグ及び査定率と、を参照することができる。
【0081】
図5(c)は、事務事業情報又は細事業情報の各データと、判断ノウハウDB40の各データの関係性の一例を示す。事務事業情報又は細事業情報は、個別出費項目を紐づけられ、当該個別出費項目には、節細節が紐づけられる。事務事業情報又は細事業情報には、政策体系タグが付与される。なお、個別出費項目にも政策体系タグが付与されてもよい。個別出費項目は、判断ノウハウDB40で政策体系タグ及び節細節に関連付けられた査定の観点が付与される。これによって、事務事業又は細事業の予算判断において、政策体系タグ(政策体系項目)及び付随情報(個別出費項目又は節細節)から判断ノウハウ(査定の観点)が得られ、査定の効率化や個々のスキルに依存しない予算査定を実現できる。
【0082】
変形例として、判断ノウハウDB40は、特財ノウハウDB42を更に有する。特財ノウハウDB42は、財源の個別出費項目又は予算科目体系項目(節細節等)を含む付随情報と、特定財源に係る判断ノウハウと、を関連付けて記憶する。特定財源の判断ノウハウは、財源の科目に基づき充当可能と判断される特定財源を示す財源タグを少なくとも含む。特定財源の判断ノウハウは、更に、当該特定財源の充当根拠、充当可能経費及び、充当率を含むものであってもよい。充当根拠や充当可能経費は、判断の観点として用いられ、財源タグは、当該判断の観点により分類されてもよい。
【0083】
判断ノウハウDB40は、
図5(d)に示すように、政策体系タグと、特定財源DB45のデータを関連付けて記憶する。これにより、付随情報である節細節に対する財源の査定判断が可能となる。具体的には、財源の査定判断は、政策体系タグ及び付随情報(節細節等)を含む判断支援要求により、関連付けられた判断ノウハウである財源タグ、判断の観点、充当率等を参照することができる。また、判断支援要求は、判断主題の値(要求額、歳入要求額、目標値等)を含んでもよい。
【0084】
変形例として、判断ノウハウDB40は、
図5(e)に示すように、事務事業情報又は細事業情報に付与された政策体系タグと、それに紐づくの節細節と、節細節に対する査定を経た最終的な予算額と、を関連付けて記憶する。これにより、ある事務事業の予算要求額や予算査定額を検討する際に、当該事務事業の政策体系タグを含む判断支援要求により、同様の政策体系タグの他の事務事業のそれぞれの節細節別の予算額若しくは平均予算額を参照することができる。ここで、他の事務事業は、他の自治体等(組織体系項目)の事務事業であってもよい。
【0085】
行政判断に係る判断ノウハウDB40の具体的な構築を例示する。
判断ノウハウDB40は、判断ノウハウデータを格納する。判断ノウハウデータは、判断ノウハウIDと、付随情報と、判断ノウハウと、を少なくとも含む。判断ノウハウデータは、更に政策体系タグを含むことができる。判断ノウハウDB40は、少なくとも付随情報がどのような項目(付随項目)であるか、という1つの要素に対して、判断ノウハウを提供する。判断ノウハウDB40は、政策体系がどのような分類(政策体系タグ)であり、かつ、付随情報がどのような項目(付随項目)であるか、という2つの要素に対して、より実態に近い判断ノウハウを提供することができる。判断ノウハウデータの判断ノウハウは、判断軸タグ及び判断の観点の少なくとも何れかを含む。ここで、判断の観点は、判断軸タグの分類(大分類、中分類、小分類等)であってもよい。また、判断ノウハウは、更に修正率を含んでもよい。
判断ノウハウDB40は、ある判断の観点又は判断軸タグが、ある政策体系タグにおけるある付随項目の判断に必要であるか否かに応じて紐づけ処理することで構築される。また、判断ノウハウDB40は、ある判断の観点がある付随項目の判断に必要である場合、それらの修正率を更に紐づけ処理することで構築される。修正率は、自治体等における実際の事例を参酌しながら紐づけされるものとする。
【0086】
図6(a)は、事務事業情報のデータ構成の一例を示す。本実施形態において、事務事業情報は、1又は複数の財源情報を有する。また、事務事業情報は、1又は複数の細事業情報を有する。
事務事業情報は、データ項目として、事務事業IDと、事務事業名と、事務事業目的と、開始年度・継続年・終了年度と、款項目と、歳出内訳目的(大分類・中分類・小分類)と、要求額・査定額・内示額と、財源情報と、細事業情報と、を有する。
財源情報は、データ項目として、財源区分と、款項目節細節と、財源名称と、充当理由と、充当根拠と、充当率と、歳入要求額・歳入査定額・歳入内示額と、を有する。歳入要求額・歳入査定額・歳入内示額は、特に歳入である特定財源の要求額等を示すものであり、一般財源を含む要求額・査定額・内示額と区別して記載される。充当率は、財源情報により特定される特定財源が要求額等に対して占める割合を示す。即ち、要求額・査定額・内示額に対して充当率を適用することで、当該特定財源に基づく歳入要求額・歳入査定額・歳入内示額が導出される。財源情報は、充当可能な金額の上限(充当可能額)を更に含んでもよい。
図6(b)は、細事業情報のデータ構成の一例を示す。細事業情報は、1又は複数の個別出費項目を有する。個別出費項目は、1又は複数の財源情報を有する。なお、事務事業情報が、1又は複数の個別出費項目を有する構成を採用し得る。
【0087】
個別出費項目は、データ項目として、個別出費項目IDと、個別出費項目名と、節細節と、歳出内訳目的(大分類・中分類・小分類)と、要求額・査定額・内示額と、財源情報と、を有する。
細事業の財源情報は、事務事業情報と同様のデータ項目を有する。
【0088】
判断ノウハウDB40では、付随項目として、事務事業の款項目及び、個別出費項目名、歳出内訳項目、個別出費項目の節細節、個別出費項目名、予算性質及び、行政目標体系項目から選択される少なくとも1つ以上を採用することができる。また、付随項目は、体系化されたデータ(予算科目体系項目、地方財政状況調査項目、行政目標体系項目)に限らず、非体系化されたデータ(事務事業名、細事業名、個別出費項目名、概要等)を自然言語処理して利用することができる。
【0089】
以下、判断主題に応じた判断ノウハウDB40の具体的なデータ構成について説明する。判断ノウハウDB40は、判断ノウハウデータとして、査定ノウハウデータ、特財ノウハウデータ、分類ノウハウデータ及び、提案ノウハウデータをそれぞれ査定ノウハウDB41、特財ノウハウDB42、分類ノウハウDB43及び、提案ノウハウDB44に格納する。
【0090】
<3.6.査定ノウハウDB41の構築>
事務事業の予算要求に対する査定判断をする際の査定の観点について、具体例を挙げて説明する。予算に対する査定判断の査定の観点は、計上すべき理由はあるか、組織内の合意形成はどうか、実施する主体はどうか、類似事業はないか、代わりにやめるものはないか、いつやるべき事業か、どんな方法でやるべきか、財源は確保できないか、要求額は適正か、現場のやる気はどうか、最終判断などを含む。
本実施形態では、「査定の観点」は10に分類され、「査定軸タグ」は104に分類される。これらの「査定軸タグ」は、「査定の観点」の10分類の何れかに属する。財政課は、10の査定の観点にしたがって要求額について査定を行い、査定の判断に採用した「査定軸タグ」を政策体系又はその付随情報に付与する。予算の査定では、要求額に含まれる個別出費項目ごとに査定の判断がなされるため、査定軸タグの付与は、要求額に含まれる個別出費項目又は、それに対応する節細節に対して行われる。なお、査定軸タグの付与は、「査定の観点」又は「査定軸タグ」の種類に応じて、政策体系情報に対して行われてもよい。なお、査定の観点及び査定軸タグの種類と数量は、これらに限定されない。
【0091】
査定軸タグは、特定科目を示すタグを含む。「特定科目」は、どの科目を査定したかを分類したものである。「特定科目」は、具体的に「記念品」、「補助金」、「印刷物」、「修繕」、「備品」、「消耗品」、「人件費」などの科目を分類として含む。なお、特定科目は、査定の観点の1つの観点として分類されてもよい。
【0092】
査定軸タグは、「査定率」を示すタグを含む。査定率は、要求額に対して適用され、査定額を算出する為に用いられる。査定は、一般的には、要求額を減額する減額査定であるが、これに限定されず、要求額を増額する増額査定を含んでもよい。査定率は、例えば、減額査定であれば0から1の範囲で設定される。査定率が0であれば、要求額×0により削減額は0となり、査定額は要求額通りとなる。査定率が0.2であれば、要求額×0.2により削減額は要求額の2割となり、査定額は要求額の8割となる。査定率が1であれば、要求額×1により削減額は要求額と同等となり、査定額は0となる。なお、本実施形態では、査定率は、削減率を示しているが、これに限定されない。例えば、査定率は、0.2の場合、要求額の2割を査定額とし、査定率が1.0の場合、要求額通りの査定額とすることもできる。この場合、査定率を1.0より大きい値とすることで増額査定とすることができる。
【0093】
査定軸タグは、査定の観点に係るタグと査定率に係るタグを組み合わせて付与される。例えば、異なる事業のそれぞれに共通の査定の観点に係るタグが付与される場合であっても、それぞれ異なる査定率に係るタグを付与することができる。これによって、ある査定の観点に対してそれぞれ異なる査定率が得られるようになる。
【0094】
査定軸タグの変形例では、査定の観点に係るタグと査定率に係るタグが一体として付与される。例えば、異なる事業のそれぞれに共通の査定の観点に係るタグが付与される場合、同じ査定率を得ることができる。これによって、ある査定の観点に係るタグに対する査定率が固定的に得られるようになる。
【0095】
査定ノウハウDB41の具体的な構築を例示する。
図7(a)は、査定ノウハウDB41が格納する査定ノウハウデータのデータ例を示す。
査定判断における判断主題は、政策体系の予算科目体系項目(款項目節細節)に係る予算要求額が適正なものであるかの判断である。すなわち、少なくとも予算科目体系項目がどのような項目(款項目節細節)であるか、という1つの要素に対して、ある査定判断に係る判断ノウハウ(査定の観点、査定軸タグ)に基づく判断をすることが可能である。より実態に近い判断では、政策体系がどのような分類(政策体系タグ)であり、かつ、予算科目体系項目がどのような項目(款項目節細節)であるか、という2つの要素に対して、判断ノウハウ(査定の観点、査定軸タグ)に基づく判断がされる。なお、予算の査定判断では、対象とする行政オブジェクトは、事務事業又は細事業であるため、予算科目体系項目は節細節となる。査定ノウハウデータでは、節細節に対応する個別出費項目が付随項目として採用されてもよい。
査定ノウハウDB41は、少なくとも節細節に対して1又は複数の査定の観点、又は、1又は複数の判断軸タグを紐づけて格納する。好ましくは、査定ノウハウDB41は、政策体系タグ及び節細節の組合せに対して、1又は複数の査定の観点、又は、1又は複数の判断軸タグを紐づけて格納する。査定ノウハウデータは、更に査定率を含むものであってもよい。
査定ノウハウDB41は、ある査定の観点又は査定軸タグが、ある政策体系タグにおけるある節細節の予算要求や予算査定に必要であるか否かに応じて紐づけ処理することで構築される。また、査定ノウハウDB41は、ある査定の観点が予算要求や予算査定に必要である場合、より具体的な判断結果である査定軸タグ及びその査定率(要求額に対する査定額の比率)を更に紐づけて格納する。査定率は、自治体等における実際の事例を参酌しながら紐づけされるものとする。
【0096】
<3.7.特財ノウハウDB42の構築>
特財ノウハウDB42は、政策体系(行政オブジェクト)の予算の財源とする特定財源に関する判断ノウハウを提供するために構築される。特財ノウハウDB42は、特定財源DB45に格納される財源情報を用いて構築される。
特定財源DB45は、
図7(b)に示すように、財源情報を格納する。財源情報は、財源の識別情報(財源ID)、関連する個別出費項目の識別情報(個別出費項目ID)、財源名称、各トピックにおける歳入額、財源充当率、財源区分、款項目節細節(予算科目:予算科目体系項目)、担当部門(組織体系項目)、充当根拠、充当理由を含む。財源情報の予算科目体系項目(款項目節細節)は、例えば、国庫支出金>国庫補助金>総務費国庫補助金>地方創生交付金等であり、その使途が特定されている。歳入(財源)の予算科目体系項目は、歳出の予算科目体系項目とは異なるものである。また、財源情報は、充当可能額を含んでもよい。
充当根拠は、交付金等の制度要綱を含む。また、当該要綱において該当する条文、規定、要件等を含んでもよい。充当可能経費は、道路整備経費、公共施設経費、公務員給与等の充当可能な具体的な経費種別を示す。財源タグは、「地方創生推進交付金」等の財源名称に対応するタグである。財源タグは、国庫支出金、、都道府県支出金、地方債、分担金、負担金、使用料、手数料、寄附金等の特定財源に対応する財源名称に対応するタグとして定義される。
【0097】
特財ノウハウDB42は、
図7(c)に示すように、特財ノウハウデータを格納する。特財ノウハウDB42は、政策体系情報(事務事業タグ、細事業タグ)に対して、財源情報の付随情報(個別出費項目、節細節)及び判断ノウハウ(財源タグ等)を紐づけた特財ノウハウデータを格納する。本実施形態では、付随情報は、財源情報に含まれる個別出費項目又は節細節である。また、特定財源の判断ノウハウ(特財ノウハウ)は、財源情報に含まれる財源の査定判断に活用可能な任意のデータを1以上含み構成される。本実施形態では、特定財源の判断ノウハウは、財源情報に含まれる特定財源の財源名称を示す財源タグ(判断軸タグ)を含む。また、判断ノウハウは、財源情報の充当根拠や充当可能経費等の充当の観点を含んでもよい。財源タグは、充当の観点の分類に属する構成とすることができる。また、特定財源に関する判断ノウハウは、要求額に対して適用される充当率を更に含んでもよい。なお、特財ノウハウは、充当可能額が設定される場合、充当率に加えて、又は、充当率に替えて、充当可能額を含むものとしてもよい。特財ノウハウDB42は、
図7(c)に示すデータ構成に限定されず、政策体系情報に対して財源IDを紐づけて、特財ノウハウデータとして格納する構成としてもよい。
特定財源の査定判断における判断主題は、政策体系の予算科目体系項目(款項目節細節)に係る予算要求に含まれる歳入(財源)が適正なものであるかの判断である。すなわち、少なくとも予算科目体系項目がどのような項目であるか、という1つの要素に対して、ある特定財源に係る判断ノウハウ(充当の観点、財源タグ)に基づく判断をすることが可能である。より実態に近い判断では、政策体系がどのような分類(政策体系タグ)であり、かつ、予算科目体系項目がどのような項目(款項目節細節)であるか、という2つの要素に対して、判断ノウハウ(充当の観点、財源タグ)に基づく判断が可能である。なお、財源の査定判断では、対象とする行政オブジェクトは、事務事業又は細事業であるため、予算科目体系項目は節細節となる。特定財源データでは、節細節に対応する個別出費項目が付随項目として採用されてもよい。
特財ノウハウDB42は、少なくとも個別出費項目又は節細節に対して1又は複数の財源タグ、又は、1又は複数の充当の観点を紐づけて格納する。好ましくは、特財ノウハウDB42は、政策体系タグ及び節細節の組合せに対して、1又は複数の充当の観点、又は、1又は複数の財源タグを紐づけて格納する。特財ノウハウデータは、更に、充当率を含むものであってもよい。
【0098】
<3.8.分類ノウハウDB43の構築>
分類ノウハウDB43は、行政体系(行政オブジェクト)の科目等の項目を判断主題とする分類ノウハウを提供するために構築される。本実施形態では、分類判断では、予算科目体系項目を、決算統計(地方財政状況調査)に係る科目である決算統計タグ、地方公会計用に係る科目である公会計タグにどのように分類(仕訳)するか判断する。
【0099】
決算統計タグは、予算性質や歳出内訳目的の項目に対応する判断軸タグを有する。決算統計とは、地方公共団体の毎年度の決算状況について、統一ルールに基づいてまとめたものであり、各地方自治体等の財政の比較や分析等に用いられる。決算統計タグは、具体的には、歳出内訳目的である労働費(大分類)、職業訓練費(中分類)などのタグや、予算性質である物件費(大分類)、その他(中分類)などのタグを有する。
公会計タグは、地方公会計における財務書類である一般会計等貸借対照表、一般会計等行政コスト及び純資産変動計画書、一般会計等資金収支計算書等の科目に対応する判断軸タグを有する。地方公会計とは、地方公共団体において統一的な基準として設定され、行政の財政の透明性を高め、住民への説明責任を果たす目的で運用される官庁会計制度を指す。公会計に係る科目は、予算科目体系項目や地方財政状況調査項目の科目と同様に階層により分類される。公会計タグは、具体的には、資産に関する科目として、固定資産、有形固定資産、事業用資産、土地の順で上位から下位の階層による科目のタグを有する。
【0100】
分類判断に係る分類ノウハウDB43の具体的な構築を例示する。
図7(d)、(e)は、分類ノウハウDB43が格納する分類ノウハウデータのデータ構成例を示す。
図7(d)は、決算統計タグを含む分類ノウハウデータを示す。
図7(e)は、公会計タグを含む分類ノウハウデータを示す。分類ノウハウデータは、決算統計タグ及び公会計タグを一体として含むデータ構成であってもよい。
分類判断では、判断主題である政策体系の予算科目体系項目(款項目節細節)、地方財政状況調査項目(予算性質、歳出内訳目的)又は、公会計科目項目が適正なものであるかを判断する。すなわち、少なくとも予算科目体系項目がどのような項目(款項目節細節)であるか、という1つの要素に対して、適切な決算統計タグ(歳出内訳目的、予算性質)及び公会計タグ(公会計科目)の少なくとも一方を分類判断することができる。より実態に近い判断では、政策体系がどのような分類(政策体系タグ)であり、かつ、予算科目体系項目がどのような項目であるか、という2つの要素に対して、決算統計タグ及び公会計タグの少なくとも一方を分類判断することができる。分類判断では、対象とする行政オブジェクトは、事務事業又は細事業であるため、予算科目体系項目は款項目又は節細節となる。事務事業では、
図6(a)に示すように、款項目に対応する歳出内訳目的の科目の分類判断がされる。細事業では、
図6(b)に示すように、節細節に対応する予算性質の科目の分類判断がされる。なお、公会計タグも同様に予算科目体系項目の粒度に対応して分類判断される。
分類ノウハウデータは、政策体系タグと個別出費項目の組合せに対して、款項目節細節タグを紐づけた構成を採用できる。ここで、個別出費項目は、個別出費項目名等の非体系データが採用され、それに対応する節細節に係る科目タグが紐づけされる。
【0101】
<3.9.提案ノウハウDB44の構築>
提案ノウハウDB44は、政策体系(行政オブジェクト)の指標を判断主題とする提案ノウハウを提供するために構築される。
【0102】
本実施形態において、指標は、行政目標体系項目(KPI)を採用する。提案判断では、例えば、新規又は既存の事務事業に設定されるべき適正な指標を提案することを含む。また、設定された指標に対して設定されるべき適正な目標値を提案することを含む。KPIの実績値は、理想的には予算額に連動して増減する。例えば、雇用増進事業では、労働費の予算額を増加させれば、そのKPIである雇用者数の増加が見込める。これを踏まえると、ある政策体系に係る予算科目体系項目(款項目節細節)を特定できれば、当該予算科目体系項目に連動する適正な行政目標体系項目(指標)がどのようなものであるかを提案することができると把握される。また、予算科目体系項目やそれに紐づく予算額を特定することで、指標及びその目標値の修正に関する提案をすることができる。
【0103】
提案判断に係る提案ノウハウDB44の具体的な構築を例示する。
図7(f)は、提案ノウハウDB44が格納する提案ノウハウデータのデータ例を示す。
提案判断では、判断主題である政策体系の予算科目体系項目(款項目節細節)に係る指標又は、その指標値(目標値)について適正なものを提案するための判断がなされる。すなわち、少なくとも予算科目体系項目がどのような項目(款項目節細節)であるか、という1つの要素に対して、ある提案判断に係る判断ノウハウ(指標タグ)に基づく提案をすることが可能である。より実態に近い判断では、政策体系がどのような分類(政策体系タグ)であり、かつ、予算科目体系項目がどのような項目(款項目節細節)であるか、という2つの要素に対して、判断ノウハウ(指標タグ)に基づく提案がなされる。なお、指標の提案判断では、対象とする行政オブジェクトは、事務事業又は細事業であるため、予算科目体系項目は節細節となる。提案ノウハウデータでは、節細節に対応する個別出費項目が付随項目として採用されてもよい。
提案ノウハウDB44は、少なくとも節細節に対して1又は複数の指標タグを紐づけて格納する。好ましくは、提案ノウハウDB44は、政策体系タグ及び節細節の組合せに対して、1又は複数の指標タグを紐づけて格納する。提案ノウハウデータは、更に修正率を含むものであってもよい。
本実施形態において、指標タグは、階層構造による行政目標体系項目に対応するタグとして構成される。提案ノウハウデータは、下位の階層の指標タグについて、当該指標タグより上位の階層の指標タグを判断ノウハウとして含む構成とすることができる。
【0104】
提案ノウハウDB44の変形例を説明する。
提案ノウハウDB44は、政策体系タグと、予算科目体系項目又は指標タグを含む付随情報と、指標値の修正提案に係る判断軸タグ(提案軸タグ)を含む提案ノウハウと、を含む提案ノウハウデータを格納する。ここで、付随情報は、予算科目体系項目を更に含んでもよい。提案ノウハウデータは、査定ノウハウデータと同様に、1又は複数の提案の観点と、当該提案の観点に属する複数の提案軸タグと、を有する。また、提案ノウハウデータは、指標値の修正率を更に有してもよい。
提案の観点は、指標値の修正提案において検討すべき観点を分類したものである。提案軸タグは、提案の観点にしたがって指標値について検討を行い、その判断に採用した提案軸タグを政策体系又はその付随情報に付与する。
具体例を挙げると、提案ノウハウデータは、事務事業タグ又は細事業タグと、指標タグと、の組合せに対して提案軸タグ、提案の観点及び、修正率を含む提案ノウハウを関連付けている。提案ノウハウデータは、事務事業タグ又は細事業タグと、指標タグと、節細節と、の組合せに対して提案ノウハウを関連付ける構成であってもよい。これによって、ある事業にある指標が設定されるときに、目標値が適正であるか判断し、適正でない場合に目標値を修正する提案をすることができる。また、当該目標値を提案するうえで、予算に係る情報を考慮することができる。
【0105】
<3.10.行政データ管理部21>
行政データ管理部21は、種々の行政データに係る入力を利用者端末3より受け付けて、データベース4への行政データの登録等を行う。以下では、事務事業に関する行政データである事務事業情報の登録等について説明する。
【0106】
<3.11.タグ処理部23>
タグ処理部23は、政策体系情報に政策体系タグを付与する。政策体系情報に政策体系タグが付与されることで、政策体系情報(事務事業、細事業等)に含まれる付随情報(予算情報、財源情報、行政目標情報)の付随項目(予算科目体系項目(節細節等)、個別出費項目、行政目標体系項目等)に対しても、政策体系タグ(事務事業タグ/細事業タグ)が紐づけされる。ここで、判断支援を要する対象である政策体系情報(対象政策体系情報)の付随項目に事務事業タグ又は細事業タグが紐づけされることで、判断ノウハウDB40を用いた判断支援情報の生成を実現する。
【0107】
タグ処理部23は、政策体系の指定と、当該政策体系に紐付けする政策体系タグの指定と、を受け付けることで、指定された政策体系情報に政策体系タグを関連付けてデータベース4に格納する。
【0108】
タグ処理部23は、事務事業/細事業に含まれる事業名/細事業名、事業概要/細事業概要、事業計画、所属名、節細節などの概要を分類モデルに入力し、政策体系タグを分類結果として出力することができる。タグ処理部23は、分類結果として出力された政策体系タグを事務事業/細事業に関連付けてデータベース4に格納する構成とすることができる。分類モデルは、データセットにより機械学習されたモデルである。本実施例において、モデルは、ニューラルネットワーク、回帰モデル、決定木、k近傍法モデルなどを採用することができる。
【0109】
分類モデルの機械学習に用いられるデータセットは、以下の態様を含む。
一態様として、データセットは、政策、施策または、事務事業の概要に関するテキストデータと、政策タグ、施策タグ、事務事業タグまたは、細事業タグなどの少なくとも基本タグを含む分類結果と、を含む。
一態様として、データセットは、政策、施策または、事務事業の概要に関するテキストデータと、基本タグに対応する1または複数のキーワードを含む分類結果と、を含む。このとき、基本タグおよび対応するキーワードは、対応テーブルとして記憶部DBに格納されており、分類結果として出力されたキーワードに対応する基本タグを更に出力する構成とすることができる。
【0110】
本実施例において、分類モデルは、複数の分類器を有する。分類器は、入力に対する分類結果を出力し、タグ情報のそれぞれの階層に少なくとも1つ以上設けられ、分類結果の出力を次の階層に設けられる分類器に受け渡す。
【0111】
図8は、本実施例における分類モデルMの構成例を示す。分類モデルMは、
図8によると、政策、施策または、事務事業の概要に関するテキストデータの入力を受け付け、政策タグの分類結果を出力する第1の分類器MA1と、第1の分類器MAの分類結果の入力を受け付け、施策タグの分類結果を出力する第2の分類器MB1、MB2と、第2の分類器MBの分類結果の入力を受け付け、事務事業タグの分類結果を出力する第3の分類器MC1、MC2と、を含む。なお、分類モデルMは、更に、第3の分類器MCの分類結果の入力を受け付け、細事業タグの分類結果を出力する第4の分類器を含んでもよく、階層数に応じた分類器の構成とすることができる。
【0112】
本実施例において、分類器は、それぞれ上述のデータセットを用いて機械学習されてもよい。
【0113】
それぞれの分類器は、分類結果として複数のタグ情報と、それらの尤度と、を出力する。尤度とは、分類結果として出力されるタグ情報であることの蓋然性がどの程度であるかを示す指標や推定値である。
【0114】
本実施例にかかる分類器は、尤度分布に閾値が設定されている。尤度分布とは、複数のタグ情報のそれぞれの尤度の分布であって、例えば、以下のパターンに分類される。
パターン1:特定のタグの尤度が、他のタグの尤度と比較して高い。
パターン2:それぞれのタグの尤度が、比較的均等である。
【0115】
パターン1は、特定のタグの尤度と、他のタグの尤度の差分に対して閾値を設けることで特定される。なお、特定のタグは、複数であってもよい。
パターン2は、複数のタグの尤度の差分に対して閾値を設けることで特定される。なお、パターン2では、所定のタグ数が設定され、当該タグ数のタグの尤度の差分に対して閾値を設ける態様であってもよい。
【0116】
分類器は、尤度分布に設定された閾値に基づき、少なくとも上述したパターンの何れであるかを特定し、分類結果を下位の分類器へと入力するか否かを決定する。例えば、分類器は、パターン1であれば、分類結果を下位の分類器へと入力し、パターン2であれば、分類結果を下位の分類器へと入力しない。分類モデルMは、パターン2の場合、最後に分類結果が入力された分類器に対応するタグ情報を含む分類結果を出力する。これによって、例えば、政策タグや施策タグなど上位の階層のタグ情報である蓋然性が高いタグを分類結果として出力することができる。
【0117】
図8を参照しながら、事務事業タグの分類結果を出力する流れを説明する。
第1の分類器MA1は、事務事業情報の事業概要のテキストデータの入力を受け付け、政策タグB1と尤度0.95を含む分類結果を分類器MB1に、政策タグB2と尤度0.05を含む分類結果を分類器MB2に出力する。
分類器MB1は、分類結果の入力を受け付け、施策タグC1と尤度0.75を含む分類結果を分類器MC1に、施策タグC2と尤度0.25を含む分類結果を分類器MC2に出力する。
分類器MC1は、分類結果の入力を受け付け、事務事業タグAと尤度0.88を含む分類結果と、事務事業タグBと尤度0.12を含む分類結果と、を出力する。
分類器MC2は、分類結果の入力を受け付け、事務事業タグCと尤度0.58を含む分類結果と、事務事業タグDと尤度0.42を含む分類結果と、を出力する。
ここで、分類器MC1、MC2は、例えば、尤度分布の閾値0.5が設定されており、分類器MC1は、尤度分布がパターン1であると特定し、事務事業タグAと事務事業タグBを分類結果として出力する。分類器MC2は、尤度分布がパターン2であると特定し、施策タグC2を分類結果として出力する。
分類モデルMは、分類結果として、事務事業タグA、事務事業タグB、施策タグC2および、それぞれの尤度を出力する。尤度は、通過した第1~第3の分類器のそれぞれより出力された尤度を演算することで導出される。尤度の演算は、例えば、乗算であり、事務事業タグAの尤度は、0.95*0.75*0.88=0.627、事務事業タグBの尤度は、0.95*0.75*0.12≒0.086、施策タグC2の尤度は、0.95*0.25≒0.238となる。
これら分類結果は、利用者端末3の表示部905において、タグ名やスコアとしてタグ画面として表示される(図示せず)。
【0118】
タグ画面は、分類モデルMによる分類結果である尤度に基づき、尤度の高い順にタグ名を表示する。
一態様として、表示されるタグ名は、分類器MA1、分類器MB1、分類器MC1を経由して最終出力される事務事業タグAを含む場合、更に経由した分類器MA1に対応する政策タグB1、分類器MB1に対応する施策タグC1を含むことができる。
一態様として、表示されるタグ名は、分類器MA1、分類器MB1、分類器MC1を経由して最終出力される事務事業タグAを含む場合、最終出力である事務事業タグAのみとすることができる。事務事業タグAの尤度は、政策タグB1の尤度や施策タグC1の尤度より小さくなる場合であっても、上述の尤度分布がパターン1であれば、より下位の分類器により出力されるタグ名とする蓋然性が高いものとなる。これによって、タグ名の選定・決定をより効率化することができる。
【0119】
タグ処理部23は、判断軸タグを少なくとも付随情報に関連付けて付与する。タグ処理部23は、判断軸タグを政策体系情報及び付随情報の組み合わせに関連付けて付与する。判断ノウハウDB40は、タグ処理部判断軸タグが付与された判断ノウハウデータを格納する。
【0120】
<3.12.生成部24>
生成部24は、判断支援を要する対象政策体系情報に係る判断支援要求に応じて判断支援情報を生成する。判断支援要求は、少なくとも対象とする付随情報(予算科目体系項目、個別出費項目等)の指定と、を含む。判断支援要求は、対象政策体系情報として対象とする事務事業又は細事業(事務事業タグ/細事業タグ)の指定を更に含むことが好ましい。また、判断支援要求は、判断主題の指定を含んでもよい。判断主題の指定は、例えば、予算、財源、科目、指標等を設定する画面等において自動的に設定される。
【0121】
生成部24は、判断支援要求に応じて判断ノウハウDB40を参照する。生成部24は、少なくとも判断支援要求に含まれる付随情報に基づき、判断ノウハウDB40に格納される付随情報(予算科目体系項目:節細節)を参照し、当該付随情報に紐づけられている判断ノウハウIDに係る判断ノウハウデータを取得する。また、生成部24は、判断支援要求に含まれる付随情報及び政策体系タグ(事務事業タグ/細事業タグ)に基づき、判断ノウハウDB40に格納される付随情報及び政策体系タグの組合せを参照し、当該組合せに紐づけられている判断ノウハウIDに係る情報を取得する構成であってもよい。ここで取得される情報は、判断の観点、判断軸タグ(軸/特定科目)及び、修正率の少なくとも何れか1つ以上を含む。なお、生成部24は、付随情報又は、付随情報及び政策体系タグの組合せに紐づけられる判断ノウハウIDが複数ある場合、それら複数の判断ノウハウIDに係る情報を取得する。生成部24は、指定された判断主題に応じて、査定ノウハウDB41、特財ノウハウDB42、分類ノウハウDB43及び、提案ノウハウDB44から選択される少なくとも1つのデータベースを参照し、判断ノウハウデータを取得することができる。
【0122】
生成部24は、取得した情報に基づいて判断支援情報を生成する。判断支援情報は、判断支援要求に含まれる少なくとも付随情報に対応する判断の観点、判断軸タグ及び、修正率を含む。
【0123】
生成部24は、複数の判断ノウハウを一覧として判断支援情報を生成する。また、生成部24は、複数の判断ノウハウの集計結果に基づき判断支援情報を生成してもよい。集計結果は、例えば、共通する判断の観点又は判断軸タグを集計し、集計数が多いものを優先的に判断支援情報として生成する。判断支援情報は、共通する判断の観点又は判断軸タグの集計数や、全体数に対する割合を含んでもよい。また、集計結果は、共通する判断の観点又は判断軸タグに係る平均修正率を含んでもよい。なお、生成部24は、判断の観点が共通するものの判断軸タグが異なるものを区別可能とした判断支援情報を生成できる。
【0124】
これらの判断支援情報は、出力部27により利用者端末3に出力される。これによって、利用者は、判断支援を要する事務事業や細事業に関連する事務事業や細事業の分類であり、また、判断主題とする付随項目(個別出費項目に関連する節細節等)に対応した判断の観点を得られ、当該判断の観点にしたがって査定等の判断をすることができる。
【0125】
取得した修正率は、判断主題の値(要求額、歳入要求額、目標値等)に対して適用され、修正値(査定額、歳入査定額、修正目標値等)の算出に用いられる。修正値の算出は、平均修正率(平均査定率等)又は合計修正率(合計査定率等)を採用することができる。平均修正率又は合成修正率は、判断主題の値に対して適用され、修正値を算出する処理に用いられる。
平均修正率は、複数の修正率を取得し、それらの平均をとることで得られる。ここで、平均修正率は、共通する判断の観点や判断軸タグにおける複数の修正率の平均とすることができる。
合計修正率は、複数の修正率を取得し、それらの合計をとることで得られる。ここで、合計修正率は、異なる判断の観点における複数の修正率の合計とすることができる。合計修正率は、共通する判断の観点における平均修正率を算出し、異なる判断の観点における複数の平均修正率の合計とすることがより好ましい。
【0126】
平均修正率又は合計修正率は、何れを採用するか任意に選択可能とする。平均修正率は、総合的に修正値を算出するうえで優位である。合計修正率は、減点方式で修正値を算出するうえで優位である。また、平均修正率又は合計修正率の算出に用いる個別の判断の観点及びそれらの修正率は、任意に選択可能な構成であってもよい。
【0127】
図9は、査定判断における利用者端末3の査定画面W10の表示例を示す。査定画面W10は、対象政策体系情報を指定され、査定判断に係る判断支援要求されることで表示される。
図9では、「子供医療費扶助」に係る事務事業が指定され、当該事務事業の要求額に対する査定額を判断する例を示す。査定画面W10は、事務事業情報領域W11と、査定ノウハウに関する判断支援情報を表示する査定情報領域W12と、特財ノウハウに関する判断支援情報を表示する特財情報領域W13と、を備える。
【0128】
事務事業情報領域W11は、事務事業の組織情報(自治体名:A市)、年度、事務事業名(子供医療費扶助)、部門情報(局名、部名:A部、課名:A課)、政策体系タグ(タグID:T001、タグ名:児童扶養手当支給)、要求額、査定額、査定差額、AI査定額、特財金額、AI特財金額、査定情報領域W12から適用される1又は複数の査定の観点又は査定軸タグ(観点/軸1:実績)、特財情報領域W13から適用される1又は複数の財源タグ(特財名1:児童扶養手当給付費国庫負担金)を表示する。
【0129】
査定情報領域W12は、査定ノウハウに関する判断支援情報を表示する。
図9では、査定情報領域W12は、査定軸タグ及びその査定率の一覧を表示している。査定情報領域W12は、査定の観点の一覧を示すものであってもよい。また、査定率は、査定率平均であってもよい。査定情報領域W12は、1又は複数の査定の観点又は査定軸タグの指定を受け付け、事務事業情報領域W11の事務事業に適用することができる。適用された査定の観点又は査定軸タグは、事務事業情報領域W11の査定の観点又は査定軸タグ(観点/軸1、観点/軸2、・・・)に反映される。査定情報領域W12では、例えば、「減少傾向」の査定軸タグの平均査定率が0.1であり、「執行率」の査定軸タグの平均査定率が0.2であることを示す。
【0130】
特財情報領域W13は、特財ノウハウに関する判断支援情報を表示する。
図9では、特財情報領域W13は、財源タグ及びその充当率又は充当可能額の一覧を表示している。特財情報領域W13は、充当根拠や充当可能経費の一覧を更に示すものであってもよい。特財情報領域W13は、1又は複数の財源タグの指定を受け付け、事務事業情報領域W11の事務事業に適用することができる。適用された財源タグは、事務事業情報領域W11の財源タグ(特財名1、特財名2、・・・)に反映される。特財情報領域W13では、例えば、「○○推進事業」の充当可能額が10,000千円であり、「児童扶養手当給付費国庫負担金」の平均充当率が0.3であることを示す。
【0131】
査定画面W10の表示に係る処理を説明する。
生成部24は、対象政策体系情報の指定を受け付けることで、当該対象政策体系情報に紐づけられる政策体系タグ(事務事業タグ又は細事業タグ)と、予算科目体系項目(節細節又は個別出費項目)と、を取得する。生成部24は、取得した政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せについて、判断ノウハウDB40を参照し、組合せに紐づけられる査定ノウハウ及び特財ノウハウを取得する。生成部24は、取得した査定ノウハウに関する判断支援情報及び、特財ノウハウに関する判断支援情報を生成する。出力部27は、判断支援情報を利用者端末3に出力することで、査定画面W10の査定情報領域W12及び特財情報領域W13がそれぞれ表示される。
事務事業情報領域W11は、査定情報領域W12から適用された査定の観点等に基づき査定額の入力を受け付ける。査定差額は、要求額から査定額を差し引いた査定に伴う差額を示す。AI査定額は、適用された査定の観点又は査定軸タグに係る査定率を要求額に適用した査定額を示す。
図9では、「実績」の査定軸タグに係る査定率0.2を要求額に適用することで、要求額500,000円×(1.0-査定率0.2)=AI査定額400,000円として算出している。査定の観点又は査定軸タグが事務事業情報領域W11において追加又は削除されると、AI査定額はその査定率に応じて変動する。事務事業情報領域W11に複数の査定率が適用されると、それらの平均による平均査定率又はそれらの合計による合計査定率が要求額に適用され、AI査定額が算出される。なお、最終的な査定額や査定軸タグは、AI査定額や査定ノウハウの判断支援情報を参照しながら、登録されるものとする。
事務事業情報領域W11は、特財情報領域W13から適用された財源タグに基づき特財金額(歳入要求額)の入力を受け付ける。AI特財金額は、適用された財源タグに係る充当率を要求額に適用した特財金額(充当金額)を示す。また、AI特財金額は、適用された財源タグに係る充当可能額を充当した特財金額を示す。
図9では、「児童扶養手当給付費国庫負担金」の財源タグに係る充当率0.3を要求額に適用することで、要求額500,000円×充当率0.3=AI特財金額120,000円として算出している。財源タグが事務事業情報領域W11において追加又は削除されると、AI特財金額はその充当率又は充当可能額に応じて変動する。事務事業情報領域W11に複数の充当率が適用されると、それらの平均による平均充当率又はそれらの合計による合計充当率が要求額に適用され、AI特財金額が算出される。財源タグに充当可能額が紐づけられる場合、充当可能額の合計額がAI特財金額として算出される。なお、充当率と充当可能額は、併存し得る。最終的な特財金額や財源タグは、AI特財金額や特財ノウハウの判断支援情報を参照しながら、登録されるものとする。
【0132】
本実施形態において、出力部27は、判断の観点又は判断軸タグを一覧として画面表示することができる。出力部27は、指定された判断の観点又は判断軸タグを紐づけされる政策体系タグを一覧として画面表示することができる。当該画面は、特に事務事業タグ又は細事業タグを一覧表示するものであってもよい。また、他の組織等の判断の観点又は判断軸タグに紐づけされた事務事業タグ又は細事業タグを表示することができる。出力部27は、指定された政策体系タグを紐づけされる政策体系(政策、施策、事務事業、細事業等)を一覧として画面表示することができる。当該画面は、他の組織等の政策体系を含み表示することができてもよい。出力部27は、当該画面において政策体系の指定を受けることで、
図9の査定画面を表示することができる。このとき、他の組織の政策体系に係る査定画面は、表示又は編集の権限が制限されてもよい。
【0133】
以上のように査定判断の実施形態を示したが、分類判断及び提案判断でも同様の実施形態を採用できる。生成部24は、対象政策体系に係る政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せを含む判断支援要求を取得し、判断ノウハウDB40を参照することで、当該組合せに紐づけられる分類ノウハウ及び提案ノウハウに基づく判断支援情報を生成する。出力部27は、判断支援情報を利用者端末3に出力することで、対象政策体系に適用し得る決算統計タグ、公会計タグ及び、指標タグ等をそれぞれ表示できる。分類判断では、分類画面(図示せず)を介して、事務事業又は細事業に適用する決算統計タグや公会計タグを指定することで個別出費項目又は予算科目体系項目に紐づけて登録する。提案判断では、事務事業又は細事業の指標及びその目標値を含む事務事業情報領域を画面表示し、指標タグを適用することで指標タグに係る修正率が目標値に反映され、AI目標値が算出される。最終的な目標値や指標タグは、提案画面(図示せず)を介して、AI目標値や提案ノウハウの判断支援情報を参照しながら、登録されるものとする。分類画面及び提案画面は、それぞれ独立した画面として構成されるか、査定画面W10に分類情報領域や提案情報領域として設けられてもよい。
【0134】
<3.13.判断ノウハウDB40の更新>
行政データ管理部21は、対象政策体系に係る査定額、特財金額(歳入査定額)、目標値等を受け付けた場合、対象政策体系情報に紐づけて登録する。このとき、タグ処理部23は、各判断軸タグを付随情報(個別出費項目や予算科目体系項目、財源情報)に紐付けてもよい。タグ処理部23は、判断支援情報に含まれる判断軸タグの指定により、又は、判断支援情報に含まれる判断軸タグを自動により、対応する付随情報に紐づけすることができる。なお、タグ処理部23は、判断支援情報に含まれない判断軸タグの指定により、判断軸タグを対応する付随情報に紐づけすることも可能である。判断ノウハウDB40は、対象政策体系に係る判断に伴う判断ノウハウに基づき更新可能に構成される。
【0135】
判断ノウハウDB40は、各行政組織による新たな判断に伴い更新される。判断ノウハウDB40は、各行政組織より判断ノウハウの登録指示を受け、判断ノウハウデータを格納する。判断ノウハウDB40は、更新前後の判断ノウハウデータを格納してもよいし、更新前後の判断ノウハウデータを区別して格納してもよい。
【0136】
以下、査定判断に伴い更新される査定ノウハウDB41の例を説明する。行政データ管理部21は、対象である政策体系(事務事業、細事業)に係る査定判断の結果(判断ノウハウデータ)を含む登録指示を受け付ける。また、行政データ管理部21は、対象である政策体系の個別出費項目又は節細節に係る査定判断の結果を含む登録指示を受け付けてもよい。査定判断の結果は、査定額と、査定の観点又は判断軸タグと、を含む。査定判断の結果は、例えば、
図9の査定画面W10を介して入力されるが、この限りではない。
【0137】
判断ノウハウDB40は、登録指示に含まれる政策体系タグ(事務事業タグ、細事業タグ)と、政策体系に紐づけられている節細節又は個別出費項目と、の組合せと、査定判断の結果である査定額と、査定ノウハウ(査定の観点、査定軸タグ、査定率)と、を判断ノウハウデータとして格納する。ここで、査定額は、対象政策体系に係る最終的な予算額であると換言される。なお、査定率は、要求額に対する査定額から算出されるものであってもよい。また、登録指示に含まれる政策体系を管理する自治体等である組織体系項目が更に判断ノウハウデータに含まれてもよい。
【0138】
図10は、更新後の判断ノウハウデータのデータ構成例を示す。
図10(a)~(e)では、査定ノウハウデータ、特財ノウハウデータ、分類ノウハウデータ(決算統計)、分類ノウハウデータ(公会計)及び、提案ノウハウデータについて更新箇所のデータのみを示している。これら判断ノウハウデータは、政策体系タグ及び付随情報(節細節又は個別出費項目)の組合せと紐づいている。更新後の判断ノウハウデータは、
図10に示すように、対象政策体系を管理する組織ID(組織体系項目)を有し、各行政組織における査定額、歳入査定額、目標値等を有する。ここで行政組織とは、自治体や政府機関等を含み、また、自治体等の内部における部門などを含みうる。なお、組織IDは、対象政策体系情報や個別出費項目、財源情報の何れかに紐づけられる構成でもよい。
【0139】
これによって、組織体系項目別の判断軸タグや査定額などを反映させた判断ノウハウDB40が構築される。生成部24は、1又は複数の組織体系項目別の判断ノウハウDB40を選択し、判断支援情報を生成することができる。
【0140】
<3.14.更新後の生成部24による処理>
更新後の判断ノウハウDB40を用いた生成部24の処理を説明する。なお、更新前の判断ノウハウDB40を用いた生成部24と同様の処理については説明を省略する。
【0141】
生成部24は、判断支援を要する対象政策体系情報に係る判断支援要求に応じて判断支援情報を生成する。ここで、判断支援要求は、少なくとも対象とする事務事業又は細事業(事務事業タグ/細事業タグ)の指定を含む。また、判断支援要求は、判断主題として対象とする付随情報(予算体系項目、個別出費項目等)の指定と、更には、組織体系項目の指定と、を含んでもよい。
【0142】
生成部24は、判断支援要求に応じて判断ノウハウDB40を参照する。生成部24は、少なくとも判断支援要求に含まれる事務事業タグ又は細事業タグに基づき、判断ノウハウDB40に格納される事務事業タグ又は細事業タグを参照し、当該タグに紐づけられている判断ノウハウIDに係る判断ノウハウデータを1又は複数取得する。また、生成部24は、判断支援要求に含まれる付随情報及び/又は組織体系項目と、事務事業タグ又は細事業タグとの組み合わせを参照し、当該組合せに紐づけられている判断ノウハウデータを1又は複数取得する構成であってもよい。例えば、ここで取得される査定ノウハウデータは、査定の観点、判断軸タグ(軸/特定科目)、査定率及び、査定額(予算額)から選択される少なくとも何れか1つ以上を含む。
【0143】
生成部24は、取得した1又は複数の判断ノウハウデータに基づいて判断支援情報を生成する。ここで、判断支援情報は、少なくとも1つ以上の予算額又は、複数の予算額を平均化した平均予算額を含む。また、判断支援情報は、少なくとも1つ以上の入査定額(充当額)又は、複数の充当額を平均化した平均充当額を含む。予算額、平均予算額、充当額又は、平均充当額は、付随項目(節細節、個別出費項目)の分類別に区別されてもよい。また、判断支援情報は、少なくとも1つ以上の目標値又は、複数の目標値を平均化した平均目標値を含む。目標値は、当該目標値に係る指標別に区別されてもよい。
【0144】
図11は、利用者端末3における予算参照画面W20の表示例を示す。予算参照画面W20は、対象政策体系情報を指定されることで、その政策体系に係る予算額と比較対象となる予算額が比較表示される。予算参照画面W20では、○○市(組織体系項目)の××事業(事務事業タグ)に係る事務事業が対象政策体系(対象事務事業)として指定され、当該対象事務事業に紐づけられる節別に集計された予算額が対象予算領域W21に表示される。また、予算参照画面W20では、対象事務事業の事務事業タグが共通し、他の組織体系項目を有する判断ノウハウデータの節別に集計された平均予算額が比較予算領域W22に表示される。対象予算領域W21及び比較予算領域W22は、予算額(又は平均予算額)を横軸とし、各節を縦軸とするグラフにより比較表示する。なお、比較表示は、グラフ形式、表形式、数値形式など種々の形式を採用でき、図示例の表示に限定されない。
【0145】
これと同様に、特定財源の充当額の比較を行うことができる。
【0146】
生成部24は、指定された対象事務事業情報に紐づけられる指標別に集計された目標値と、当該対象事務事業の事務事業タグと共通する他の組織体系項目を有する判断ノウハウデータの指標別に集計された平均目標値と、による比較表示を含む判断支援情報を生成する。目標値の比較表示では、目標値又は平均目標値を横軸とし、各指標を縦軸とするグラフにより比較表示される。
【0147】
<3.15.提携タグ>
ある行政組織が管轄する政策体系(事務事業や細事業等)は、他の組織や他の事業との提携により実施される場合がある。提携先となる他の組織は、官公庁か民間の組織であるかを問わず、本説明では、これらを提携事業体と定義づける。また、提携先となる他の事業は、自身の組織か他の組織であるかを問わず、本説明では、これらを提携事業と定義づける。政策体系に関して提携を行うことで、当該政策体系の効率化や予算削減等に寄与する。本実施形態において、判断支援システム1は、ある政策体系の提携先として適切な提携事業体又は提携事業に関する提案判断機能を提供する。
【0148】
本実施形態において、判断ノウハウDB40は、提携事業体及び/又は提携事業を提案するための提案ノウハウデータを格納する。提案ノウハウデータは、少なくとも付随情報及び提携に係る提案ノウハウを含む。提案ノウハウデータは、更に政策体系情報を含んでもよい。具体的には、提案ノウハウデータは、政策体系タグ及び予算科目体系項目の組合せに対して、提携に係る提案ノウハウを紐づける構成となる。
【0149】
本実施形態において、提案ノウハウは、提携事業体及び提携事業の少なくとも何れかを示す提携タグを有する。提携事業体とは、官公庁又は民間の組織を示す。提携事業体は、官公庁組織である場合、組織体系項目により特定することができる。提携事業体は、民間組織である場合、企業名や企業コードにより特定することができる。なお、提携事業体は、民間組織が提供する製品・サービス・ソリューションや、当該事業体の業種等により特定されるものであってもよい。提携事業体を示す提携タグは、ある政策体系に対して提携の実績を持つ民間企業や自治体等の官公庁組織がタグ化されたものである。
【0150】
提携事業は、利用者の所属する組織又は他の組織における政策体系情報により特定することができる。提携事業は、政策体系情報に対応する政策体系タグにより特定されるものであってもよい。提携事業は、例えば、利用者の所属する組織の政策体系であれば、対象の政策体系と提携先の政策体系の予算や人員等の各種リソースを相互補完することや、1つの事業として統合することで効率的な運用とすることができる。提携事業は、他の自治体等の政策体系も各種リソースを相互補完することや業務分担すること等により効率的な運用を図ることができる。なお、提携事業は、当該事業を管理する組織体系項目を紐づけられるものとする。
【0151】
提携タグは、提携事業体又は提携事業の地理情報と紐づけられてもよい。地理情報は、提携事業体の地域又は提携事業を管理する組織の地域を指定して提携先を決定する処理に用いられる。なお、提携タグは、提携先の提案において参酌される他の情報と更に紐づけられてもよい。
【0152】
生成部24は、提携に係る判断支援要求に応じて、提携タグによる提案ノウハウを含む判断支援情報を生成する。判断支援要求は、対象政策体系の政策体系タグ及び予算科目体系項目を含む。例えば、判断支援要求が土木工事に関する事務事業及び工事費用に関する予算科目を含む場合、土木工事を請け負う民間企業等が提携タグとして利用者に提案される。
【0153】
図12は、提案ノウハウを含む判断支援情報を提供する提案画面W30の画面表示例を示す。提案画面W30は、利用者端末3を介して政策体系の指定を受けることで表示される。図示例では、提案画面W30は、事務事業である空港需要回復促進事業が指定されており、当該事務事業に紐づけられる細事業(インバウンド需要回復促進事業)を表示する細事業領域W31と、当該細事業に紐づけられる個別出費項目(○○協議会負担金)を表示する個別出費項目領域W32と、をそれぞれ表示している。
【0154】
提案画面W30は、更に、細事業領域W31に対応する細事業情報(細事業タグ)及び、個別出費項目領域W32に対応する個別出費項目又はそれに含まれる予算科目体系項目に基づき、判断支援情報を示す提案領域W33、W34をそれぞれ表示している。図示例では、提案領域W33は、財源タグに基づく判断支援情報を表示し、提案領域W34は、提携タグに基づく判断支援情報を表示している。なお、提案領域では、その他の判断軸タグに基づく判断支援情報を表示してもよい。
【0155】
提案領域W34は、個別出費項目(○○協議会負担金)を紐づけられた細事業(インバウンド需要回復促進事業)に関して、タクシープロモーション施策をソリューションとして提供している提携事業体(AAA株式会社)を提携先として提案している。これによって、利用者は、対象となる政策体系に関して適した提携先の情報を得ることができる。
【0156】
なお、提案領域W34では、他の政策体系を提携タグとして含む判断支援情報を表示することもできる。例えば、対象政策体系と同様の細事業タグや予算科目体系項目(節細節)を有する自他の自治体のインバウンド関連事業が、提携事業として提案されてもよい。なお、提携事業は、提携を目的とすることに限定されず、当該提携事業の情報を参考にする目的で提案・表示されるものであってもよい。
【0157】
<3.16.判断モデル>
本実施形態において、判断ノウハウDB40は、判断モデルを格納する構成を採用できる。判断モデルは、少なくとも付随情報の入力に対して、判断ノウハウを出力することができる。また、判断モデルは、政策体系情報及び付随情報の組合せの入力に対して、判断ノウハウを出力することができる。判断ノウハウは、
図7又は
図10に示す査定ノウハウ、特財ノウハウ、分類ノウハウ及び、提案ノウハウの少なくとも何れか1つ以上を含む。判断モデルは、判断ノウハウデータに代替可能であり、判断ノウハウデータと併用可能である。
【0158】
生成部24は、判断支援を要する対象政策体系情報の指定による判断支援要求を取得する。ここで、判断支援要求は、少なくとも指定された対象政策体系情報に係る少なくとも付随情報を含む。判断支援要求は、好ましくは指定された対象政策体系情報の政策体系タグを更に含む。生成部24は、判断支援要求に含まれる情報を判断モデルに入力し、判断モデルより出力される判断ノウハウに基づき判断支援情報を生成する。
【0159】
タグ処理部23は、判断支援情報に含まれる判断軸タグの指定により、又は、判断支援情報に含まれる判断軸タグを自動により、対象政策体系情報の付随情報に紐づけることができる。
【0160】
判断モデルは、付随情報を入力データとし、判断ノウハウを出力データとするデータセットにより機械学習された機械学習モデルを採用できる。また、入力データは、政策体系タグを更に含んでもよい。判断モデルは、ニューラルネットワーク、回帰モデル、決定木、k近傍法モデルなどを採用することができる。
【0161】
一例としてデータセットの第1の入力データは、付随情報として、予算科目体系項目(款項目節細節)、個別出費項目、地方財政状況調査項目、行政目標体系項目から選択される少なくとも1つ以上の付随項目を採用することができる。また、付随項目は、体系化されたデータに限らず、非体系化されたデータ(事務事業名、細事業名、個別出費項目名、概要等)を自然言語処理したテキストデータを利用することができる。また、データセットの第2の入力データは、政策体系タグとして、政策タグ、施策タグ、細施策タグ、事務事業タグ及び、細事業タグを採用することができる。
一例としてデータセットの第1の出力データは、判断の観点、判断軸タグ(査定軸タグ、財源タグ、決算統計タグ、公会計タグ、指標タグ)、修正率(査定率、充当率、目標値の修正率)を採用することができる。また、データセットの第2の出力データは、査定額(予算額)、歳入査定額(充当額)、指標の目標値を更に採用することができる。
データセットは、第1の入力データ及び第1の出力データを含む、又は、第1の入力データ、第1の出力データ及び第2の出力データを含む、又は、第1の入力データ、第2の入力データ、第1の出力データを含む、又は、第1の入力データ、第2の入力データ、第1の出力データ及び、第2の出力データを含む。
【0162】
判断モデルは、コンピュータ装置により上述したデータセットにより機械学習され、生成される。生成された判断モデルは、判断ノウハウDB40に格納される。データセットは、異なる判断ノウハウについて、査定ノウハウ、特財ノウハウ、分類ノウハウ及び、提案ノウハウのそれぞれに適合した出力データを採用することができる。また、判断モデルは、異なる判断ノウハウに適合したデータセットによりそれぞれ機械学習を行い、査定モデル、特財モデル、分類モデル及び、提案モデルを生成してもよい。生成部24は、判断支援要求に応じて査定モデル、特財モデル、分類モデル及び、提案モデルの何れか又は複数を選択し、判断支援情報を生成する。
【0163】
データセットは、例えば、生成部24により生成された判断支援情報に含まれる判断軸タグが利用者端末3からの指示により政策体系情報に紐付けされたデータ及び、紐づけされなかったデータを含み、これらのデータセットにより判断モデルの追加学習を行ってもよい。
【0164】
判断モデルは、判断支援要求に含まれる情報の入力に対して、1又は複数の判断軸タグを出力する。ここで、出力される判断軸タグは、判断モデルにより算出された尤度に応じて出力される。生成部24は、例えば、尤度が一定以上の判断軸タグを判断支援情報として生成する。
【0165】
判断モデルは、データセットに含まれる複数の修正率を機械学習することで、修正率の推定値を出力できる。生成部24は、判断支援要求に含まれる情報を判断モデルに入力し、判断モデルから出力される修正率の推定値を含む判断支援情報を生成することができる。
【0166】
判断モデルは、データセットに含まれる複数の査定額(予算額)、歳入査定額(充当額)、指標の目標値を機械学習することで、予算額の推定値(予算水準)、充当額の推定値(充当水準)、目標値の推定値(目標値水準)を出力できる。生成部24は、判断支援要求に含まれる情報を判断モデルに入力し、判断モデルから出力される予算水準、充当水準、目標値水準を含む判断支援情報を生成することができる。
【符号の説明】
【0167】
1 判断支援システム
2 判断支援装置
21 行政データ管理部
23 タグ処理部
24 生成部
27 出力部
28 設定管理部
3 利用者端末
4 データベース
40 判断ノウハウDB
【要約】
【課題】
行政における判断に必要なノウハウを提供することで判断を支援する。
【解決手段】
政策、施策、及び事務事業を含む政策体系に関する政策体系情報と、前記政策体系情報に関連付けられる付随情報と、を登録し、前記政策体系に対する判断の示唆又は結果を示す判断ノウハウを、少なくとも前記付随情報に紐付けしてデータベースに格納し、判断支援を要する対象政策体系情報の少なくとも前記付随情報を含む判断支援要求に応じて、前記データベースを参照し、前記判断支援要求に含まれる付随情報に対応する前記判断ノウハウを含む判断支援情報を生成する。
【選択図】
図1