(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/40 20120101AFI20240828BHJP
【FI】
G06Q20/40 340
(21)【出願番号】P 2023148868
(22)【出願日】2023-09-14
【審査請求日】2023-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 健人
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-156861(JP,A)
【文献】特表2007-509391(JP,A)
【文献】特開2003-108904(JP,A)
【文献】特開2009-026115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金額の支払いに用いられる第1決済手段と、前記第1決済手段とは異なる第2決済手段とを用いて、当初金額の決済処理を実行する決済実行部と、
前記決済処理の少なくとも一部を取り消すための決済取消における、取消額を取得する取得部と、
前記取消額が前記第1金額以下であるとき、前記取消額を前記第1決済手段によりユーザに返還する返還処理を実行する返還部と、
前記取消額が前記第1金額を超えるとき、前記決済処理の取消処理と、前記決済取消に伴う再決済処理と、を実行する再決済実行部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記再決済処理は、前記当初金額から前記取消額を引いた金額の決済処理である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
決済手段の設定情報を設定可能な設定部をさらに備え、
前記再決済実行部は、前記再決済処理を実行する時点で前記設定情報に設定された決済手段である再決済手段を用いて前記再決済処理を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記再決済実行部は、前記再決済手段において即時に再決済処理を実行できないとき、当該決済手段において決済が可能となった後に再決済処理を実行する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記再決済実行部は、前記再決済手段において再決済処理を実行できないとき、他の決済手段を用いて再決済処理を実行する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1決済手段は、期限の定めのない無期限決済手段と、期限の定めのある有期限決済手段とを含み、
前記返還部は、前記第1決済手段のうち、前記無期限決済手段を前記有期限決済手段よりも優先して前記返還処理を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1決済手段は、期限の定めのある有期限決済手段を含み、
前記決済実行部において前記有期限決済手段を用いて前記決済処理を実行したときであって、前記返還部が前記有期限決済手段により前記取消額の少なくとも一部を返還するとき、前記決済処理に用いられた有期限決済手段の期限が過ぎている場合には、返還する有期限決済手段を失効させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記決済処理に関する情報と、当該決済処理に対応する決済取消に関する情報と、当該決済取消に対応する返還処理又は再決済処理に関する情報とを、決済履歴としてユーザ端末に出力させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1決済手段は、ポイントと電子マネーとを含み、前記決済処理は、前記ポイントと前記電子マネーとを併用した決済処理を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータが、
第1金額の支払いに用いられる第1決済手段と、前記第1決済手段とは異なる第2決済手段とを用いて、当初金額の決済処理を実行することと、
前記決済処理の少なくとも一部を取り消すための決済取消における、取消額を取得することと、
前記取消額が前記第1金額以下であるとき、前記取消額を前記第1決済手段によりユーザに返還する返還処理を実行することと、
前記取消額が前記第1金額を超えるとき、前記決済処理の取消処理と、前記決済取消に伴う再決済処理と、を実行することと、
を含む情報処理方法。
【請求項11】
第1金額の支払いに用いられる第1決済手段と、前記第1決済手段とは異なる第2決済手段とを用いて、当初金額の決済処理を実行することと、
前記決済処理の少なくとも一部を取り消すための決済取消における、取消額を取得することと、
前記取消額が前記第1金額以下であるとき、前記取消額を前記第1決済手段によりユーザに返還する返還処理を実行することと、
前記取消額が前記第1金額を超えるとき、前記決済処理の取消処理と、前記決済取消に伴う再決済処理と、を実行することと、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品購入の際に、クレジットカードやポイントなどの複数の決済手段を併用して決済する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、複数の決済手段の各々の決済額を個々の購入対象商品ごとに記憶することにより、複数の決済手段がどのように利用されたのかを個々の購入商品ごとに把握できるようにし、商品の購入処理が実行された後に一部の商品がキャンセル又は返品された場合に、当該商品の購入に利用された決済手段に応じた返金処理を実行することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、商品の購入処理の実行後に一部の商品が返品された場合、購入時に利用された決済手段によっては、返金処理に制限が生じることがある。例えば、ポイントにより決済された場合には、返品された商品に対応するポイントの返還により返金対応をすることができる。これに対し、クレジットカードにより決済された場合、決済の全体を一旦取り消し、返品しない商品について再決済することにより返金対応する必要がある。そのため、1つの決済手段で決済した場合はもとより、複数の決済手段で決済した場合に返品が生じると、処理が煩雑となり、適切な返金処理を実行することが困難になってしまう。
【0006】
本発明は以上説明した事情を鑑みてなされたものであり、複数の決済手段による決済処理の実行後に、少なくとも一部の決済を取り消す場合に、決済手段に応じた適切な返金処理を実行できる情報処理装置、方法、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様である情報処理装置は、第1金額の支払いに用いられる第1決済手段と、第1決済手段とは異なる第2決済手段とを用いて、当初金額の決済処理を実行する決済実行部と、決済処理の少なくとも一部を取り消すための決済取消における、取消額を取得する取得部と、取消額が第1金額以下であるとき、取消額を第1決済手段によりユーザに返還する返還処理を実行する返還部と、取消額が第1金額を超えるとき、決済処理の取消処理と、決済取消に伴う再決済処理と、を実行する再決済実行部と、を備える。
【0008】
本発明の1つの態様である情報処理方法は、第1金額の支払いに用いられる第1決済手段と、第1決済手段とは異なる第2決済手段とを用いて、当初金額の決済処理を実行することと、決済処理の少なくとも一部を取り消すための決済取消における、取消額を取得することと、取消額が第1金額以下であるとき、取消額を第1決済手段によりユーザに返還する返還処理を実行することと、取消額が第1金額を超えるとき、決済処理の取消処理と、決済取消に伴う再決済処理と、を実行することと、を含む。
【0009】
本発明の1つの態様である情報処理プログラムは、第1金額の支払いに用いられる第1決済手段と、第1決済手段とは異なる第2決済手段とを用いて、当初金額の決済処理を実行することと、決済処理の少なくとも一部を取り消すための決済取消における、取消額を取得することと、取消額が第1金額以下であるとき、取消額を第1決済手段によりユーザに返還する返還処理を実行することと、取消額が第1金額を超えるとき、決済処理の取消処理と、決済取消に伴う再決済処理と、を実行することと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の決済手段による決済処理の実行後に、少なくとも一部の決済を取り消す場合に、決済手段に応じた適切な返金処理を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】決済管理システムの概略構成を示すネットワーク図である。
【
図2】決済管理サーバと接続される記憶装置に格納されるデータベースを例示する図である。
【
図3】ユーザ情報データベース(DB)に格納される情報を例示する表である。
【
図4】取引情報データベース(DB)に格納される情報を例示する表である。
【
図5】決済管理サーバ(情報処理装置)の主要な機能を例示するブロック図である。
【
図6】金額変更決済における判定処理を示すフローチャートである。
【
図7】取消額及び支払い原資に応じた返金スキームを例示する表である。
【
図8】銀行口座払いで決済した場合の決済処理を示すシーケンス図である。
【
図9】ポイントで決済した場合の決済処理を示すシーケンス図である。
【
図10】クレジットカードで決済した場合の決済処理を示すシーケンス図である。
【
図11】クレジットカード及びポイントで決済した場合の決済処理(取消額がポイント払いを超えない場合)を示すシーケンス図である。
【
図12】クレジットカード及びポイントで決済した場合の決済処理(取消額がポイント払いを超える場合)を示すシーケンス図である。
【
図13】決済手段の設定に応じた返金例を示す表である。
【
図14】決済手段の設定の応じた返金例を示す表である。
【
図15】ユーザ端末に表示される利用履歴画面を例示する図である。
【
図16】ユーザ端末に表示される利用履歴詳細画面を例示する図である。
【
図17】ユーザ端末に表示される利用履歴画面を例示する図である。
【
図18】ユーザ端末に表示される利用履歴詳細画面を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。なお、以下においては、実店舗における商品購入にかかる決済処理を例として説明するが、当然ながら、電子商取引サイト(所謂オンラインショップ)における決済処理にも本実施形態を適用することができる。
【0013】
[決済管理システムの構成]
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置を含む決済管理システムの概略構成を示すネットワーク図である。決済管理システム(以下、「本システム」とも呼ぶ。)1は、本システム1の加盟店においてユーザ(客)が商品を購入する際の決済サービスを提供及び管理するためのシステムである。ここで、本明細書において「商品」とは、物としての商品の他、役務(例えばレストランにおける食事提供)も含み、「購入」とは、商品の対価を支払うことのほか、役務に対する対価の支払いも含むものとする。また、「返品」とは、物としての商品を店舗に返却することのほか、一旦注文した役務をキャンセルすることも含むものとする。
【0014】
図1に示すように、決済管理システム1は、ユーザ端末10と、加盟店端末20と、決済管理サーバ30と、複数の決済サーバ50A~50Dと、決済代行(Payment Gateway :PGW)サーバ60とを含む。ユーザ端末10、加盟店端末20、決済管理サーバ30と決済サーバ50A~50D、及び、PGWサーバは、通信ネットワークNに接続されている。
【0015】
通信ネットワークNは、当該通信ネットワークNに接続された機器の間で相互に情報を送受信可能な通信網を含む。通信ネットワークNは、例えば、インターネット、LAN、専用線、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(Wireless Fidelity)、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。また、ユーザ端末10と加盟店端末20とは、近距離無線通信(Near field communication:NFC)により情報を送受信することも可能である。
【0016】
ユーザ端末10は、ユーザが使用する端末装置であり、例えばスマートフォンやタブレット端末などの汎用の携帯型のコンピュータによって構成することができる。ユーザ端末10は、物理的な構成として、通信インタフェースと、入力デバイスと、表示デバイスと、メモリと、プロセッサとを備え、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより、ユーザ端末10としての機能を発揮する。
【0017】
具体例として、ユーザ端末10は、決済管理サーバ30と通信し、決済管理サーバ30により提供されるサービスを受けるためのユーザ登録や各種設定のための情報を送信する。また、ユーザ端末10は、加盟店における決済のための所定の動作を実行する。例えば、ユーザ端末10は、加盟店端末20に読み取らせるための決済用のコード(バーコードや2次元コード)を画面に表示する。また、ユーザ端末10は撮像機能を備えても良く、この場合、ユーザ端末10は、加盟店に表示されている決済用の2次元コードを読み取ることにより決済を実行することもできる。或いは、ユーザ端末10は、加盟店端末20との間で近距離無線通信により情報を送受信することにより、決済することも可能である。
【0018】
ここで、本実施形態において使用可能な決済手段としては、例えば、クレジットカード(以下、「クレカ」と略すこともある)、電子マネー、ポイント、提携銀行における口座払い、提携銀行以外の銀行における口座引落し(所謂デビットカード)が挙げられる。これらの決済手段は、ユーザが予めクレジットカードの発行、銀行口座の開設などの手続きをした上で、ユーザ端末10を介して決済管理サーバ30に登録することにより利用可能となる。なお、口座払いとは、銀行口座残高から直接支払い等ができる特定の決済手段である。
【0019】
加盟店端末20は、加盟店において決済のために使用される端末装置であり、例えばスマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ(PC)などの汎用のコンピュータや、専用のレジ端末を用いて構成することができる。加盟店端末20には、必要に応じて、カードリーダ装置やバーコードリーダ等が接続される。加盟店端末20は、通信インタフェースと、入力デバイスと、表示デバイスと、メモリと、プロセッサとを備え、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより、加盟店端末20としての機能を発揮する。
【0020】
具体例として、加盟店端末20は、決済管理サーバ30と通信し、本システム1を利用するための加盟店登録や各種設定のための情報を送信する。また、加盟店端末20は、ユーザが商品を購入した際の決済情報を決済管理サーバ30に送信することで、決済管理サーバ30との間で決済を行う。決済情報は、商品の価格の他、加盟店端末20がユーザ端末10の画面に表示された決済用のコードを読み取ったり、ユーザ端末10との間で近距離無線通信を行ったりすることにより取得したユーザ情報や、加盟店に関する情報を含んでもよい。
【0021】
なお、ユーザ端末10が加盟店に表示されている決済用の2次元コードを読み取ることにより決済を行った場合には、ユーザ端末10から決済管理サーバ30に決済情報が送信され、この決済情報に基づいて決済が実行されることになる。
【0022】
決済管理サーバ30は、加盟店においてユーザが商品を購入する際の決済サービスを提供するためのサーバ装置(情報処理装置)であり、汎用的なコンピュータによって構成することができる。決済管理サーバ30は、1台のコンピュータによって構成されていてもよいし、通信ネットワークN上に分散する複数のコンピュータによって構成されてもよい。
【0023】
図1に示すように、決済管理サーバ30は、通信部31と、制御部32と、記憶部33とを備える。通信部31は、当該決済管理サーバ30を通信ネットワークNに接続し、通信ネットワークNに接続された他の機器との間で情報を送受信するための通信インタフェースである。制御部32は、中央演算装置(Central Processing Unit:CPU)を用いて構成される。記憶部33は、ROMやRAM等のメモリ、ハードディスクドライブなどの記憶装置を用いて構成され、制御部32に実行させるためのプログラムや、プログラムの実行中に用いられるパラメータ等を記憶する。また、決済管理サーバ30は、ハードディスクドライブ等を用いて構成される記憶装置40と接続されている。
【0024】
決済管理サーバ30は、ユーザ端末10から受信したユーザ情報や、加盟店端末20から受信した加盟店情報を記憶装置40に格納されたデータベースにおいて管理すると共に、これらの情報に基づき、加盟店端末20からの要求に応じて、決済に関わる各種処理を実行する。また、決済管理サーバ30は、ユーザ端末10からの要求に応じて、利用明細、残高、月ごとの利用限度額といった情報をユーザ端末10に提供する。決済管理サーバ30の詳細な機能については後述する。
【0025】
決済サーバ50A~50Dの各々は、所定の決済手段を提供するサーバ装置であり、汎用的なコンピュータによって構成することができる。各決済サーバ50A~50Dは、1台のコンピュータによって構成されてもよいし、通信ネットワークN上に分散する複数のコンピュータによって構成されてもよい。各決済サーバ50A~50Dは、決済管理サーバ30からの要求に応じて、決済に関わる各種処理を実行する。
【0026】
本実施形態において、決済サーバ50A~50Dは、互いに異なる決済手段を提供する。例えば、決済サーバ50Aは、クレジットカードによる決済を実行する。また、決済サーバ50Bは、電子マネーによる決済を実行する。決済サーバ50Cは、ポイントによる決済を実行する。決済サーバ50Dは、提携銀行の口座払いによる決済を実行する。
【0027】
PGWサーバ60の各々は、決済代行サービスを提供するサーバ装置であり、汎用的なコンピュータによって構成することができる。PGWサーバ60は、決済管理サーバ30からの要求に応じて、オーソリ(Authorization)を実行する。
図1においては、1つのPGWサーバのみを表示しているが、複数のPGWサーバ60が設けられていてもよい。
【0028】
[データベースの構成]
図2は、記憶装置40に格納されるデータベースを例示する図である。
図2に示すように、記憶装置40には、ユーザ情報データベース(DB)41と、加盟店情報データベース(DB)42と、取引情報データベース(DB)43とが格納されている。
【0029】
図3は、ユーザ情報データベース41に格納される情報を例示する表である。ユーザ情報データベース41は、ユーザ登録情報、決済手段情報、及び、決済手段の設定情報を含むユーザに関する情報(ユーザ情報)を格納するデータベースである。ユーザ登録情報は、ユーザ本人に関する情報であり、ユーザID、ユーザの氏名、住所、メールアドレス等の情報を含む。決済手段情報は、ユーザのクレジットカード番号、電子マネーの登録番号、提携銀行の口座番号等の情報を含む。決済手段の設定情報は、複数の決済手段のうち実際に利用される一又は複数の決済手段と利用される決済手段間の優先順位を含む条件とを設定するための情報であり、支払元とする決済手段、ポイント利用の有無(全て使用/一部使用/使わない)、電子マネー残高、ポイント保持数、期間限定ポイント保持数等の情報を含む。ここで、ポイント利用の有無について、「一部使用」とは、ユーザが使用するポイント数をユーザが予め指定してポイントを使用することを指す。ユーザは、ユーザ端末10を通じて、決済処理における決済手段の設定情報を設定することが可能である。また、ユーザは、ユーザ端末10を通じて、決済手段の設定情報(支払元及びポイント利用の有無)を随時変更することができる。また、電子マネー残高、ポイント保持数、期間限定ポイント保持数は、変更が生じた際に随時更新される。
【0030】
ここで、ポイントには、使用期限のないポイント(無期限決済手段)と、使用期限のある期間限定ポイント(有期限決済手段)とがあってもよい。ユーザが使用期限のないポイントと期間限定ポイントとの両方を保有している場合、期間限定ポイントが優先的に利用されるように設定されていてもよい。
【0031】
加盟店情報データベース42は、加盟店に関する情報(加盟店情報)格納するデータベースである。加盟店情報は、加盟店ID、加盟店の名称、住所、代表者の氏名、連絡先、決済代金の入金先銀行の口座番号等の情報を含む。
【0032】
図4は、取引情報データベース43に格納される情報を例示する表である。取引情報データベース43は、ユーザと加盟店の間で行われた取引に関する情報(取引情報)を格納するデータベースである。取引情報は、取引種別(決済、決済の取消、再決済)、取引の日時、取引を行った加盟店の加盟店ID及びユーザのユーザID、決済額及び決済手段ごとの内訳等の情報を含む。ここで、取引種別が決済及び再決済の場合、その取引の時点においてユーザ情報データベース41において設定されている当該ユーザの決済手段の設定情報に従って、取引情報データベース43における決済手段が記録される。
【0033】
[決済管理サーバの構成]
図5は、決済管理サーバ30の主要な機能を例示するブロック図である。
図1に示す制御部32が記憶部33に記憶されたプログラムを実行することにより実現される機能部には、受付部320と、情報管理部321と、設定部322と、決済実行部323と、取消額取得部324と、判定部325と、返還部326と、再決済実行部327と、表示制御部328とが含まれる。
【0034】
受付部320は、決済管理サーバ30と通信ネットワークNを介して接続された機器からアクセス要求があった場合に、認証を実行するなどしてアクセスを受け付け、当該機器からの情報を取得する。
【0035】
情報管理部321は、受付部320により取得された情報を記憶装置40に格納されたデータベースに記録して管理する。
【0036】
設定部322は、ユーザ端末10から受信した情報に基づき、ユーザの決済手段を設定する設定情報を記憶したり、記憶された設定情報を変更したりする。
【0037】
決済実行部323は、ユーザと加盟店との間で商品購入の取引があった場合に、ユーザ端末10又は加盟店端末20から受信した情報に基づき、ユーザ情報データベース41において設定されている決済手段に従って決済処理を実行する。
【0038】
取消額取得部324は、ユーザと加盟店との間で、既に実行された決済処理の少なくとも一部を取り消す決済取消(以下、「金額変更決済」ともいう)があった場合に、ユーザ端末10又は加盟店端末20から受信した情報に基づき、当該金額変更決済における取消額を取得する。ここで、ユーザが複数の商品を購入した後に少なくとも一部の商品を返品又はキャンセルするといった場合に、金額変更決済が発生する。取消額は、当初決済時における決済額と、金額変更決済時における決済額との差額であり、返品又はキャンセルした商品に対応する金額(返金額)となる。
【0039】
判定部325は、取消額取得部324が取得した取消額が、第1の決済手段により決済された決済額(第1金額)以下であるか否かを判定する。ここで、第1決済手段とは、事後的に取引内容の変更が可能な決済手段、すなわち、決済後に決済金額の一部を返金可能な決済手段のことであり、電子マネー、ポイント、提携銀行の口座払いを含む。一方、第2決済手段とは、取引内容の変更が不可能な決済手段、すなわち、決済後に決済金額の一部を返金できず、決済全体を取り消して再決済する必要のある決済手段のことであり、クレジットカードや提携銀行以外の銀行の口座引落し(所謂デビットカード)を含む。
【0040】
返還部326は、取消額が上記第1金額以下であるときに、当該取消額を当初の決済時に利用された第1決済手段によりユーザに返還する返還処理を実行する。
【0041】
再決済処理部327は、取消額が上記第1金額を超えるときに、決済実行部323により実行された決済処理を取り消す処理を実行し、決済取消に伴う再決済処理を実行する。
【0042】
表示制御部328は、ユーザ端末10や加盟店端末20の画面に登録画面、設定画面、利用履歴画面などの所定の画面を表示させる制御を実行する。
【0043】
図6は、金額変更決済における判定処理を示すフローチャートである。
図7は、取消額及び支払い原資(決済手段)に応じた返金スキームを例示する表である。
図7においては、当初決済時における決済額が10,000円、金額変更決済時における決済額が6,000円(取消額4,000円)の場合を示している。
【0044】
金額変更決済があった場合、まず、取消額取得部324が取消額を取得する(ステップS11)。続いて判定部325が、取消額が第1決済手段(電子マネー、ポイント、口座払い)による決済額以下であるか否かを判定する(ステップS12)。
図7に示す例1~例3においては、取消額(4,000円)が、第1決済手段による決済額以下である。これに対し、例4においては、取消額が、第1決済手段による決済額(ポイント2,000円)を超えている。
【0045】
取消額が第1決済手段による決済額以下である場合(ステップS12:Yes)、返還部326は、当該第1決済手段により取消額を返還する(ステップS13)。具体的には、例1のように口座払いにより決済された場合、4,000円が当該口座に返還(振込)される。また、例2のように、電子マネーで決済された場合、電子マネー4,000円分が返還される。例3のように、ポイント及び期間限定ポイントが利用された場合、ポイント又は期間限定ポイント4,000円分が返還される。
【0046】
一方、取消額が第1決済手段による決済額を超える場合(ステップS12:No)、再決済実行部327は当初の決済処理を取り消し、再決済処理を実行する(ステップS14)。具体的には、例4の場合、当初の10,000円の決済処理が取り消され、10,000円から取消額4,000円を差し引いた6,000円の再決済が実行される。再決済処理は、再決済処理の時点において設定情報に設定されている決済手段(再決済手段)に従って実行される。
【0047】
[決済管理システムの動作]
以下、本システム1の動作について、決済手段別に詳しく説明する。
図8は、提携銀行の口座払いで決済した場合の決済処理を示すシーケンス図である。ここでは、ユーザ情報データベース41において、決済手段として提携銀行の口座払いのみが設定されているものとする。
【0048】
ユーザが加盟店で商品を購入し、加盟店端末20において決済処理が実行されると(ステップS101)、加盟店端末20は、決済処理(例えば10,000円)の実行要求を決済管理サーバ30に送信する(ステップS102)。これに応じて、決済管理サーバ30は、決済処理を実行し(ステップS103)、ユーザの口座からの引落し処理(例えば10,000円)の要求を提携銀行の決済サーバ50Dに送信する(ステップS104)。決済サーバ50Dは、指定された金額を口座から引き落とし(ステップS105)、引落し結果を決済管理サーバ30に通知する(ステップS106)。決済管理サーバ30は、この決済結果を加盟店端末20に通知する(ステップS107)。これにより、決済時の処理が完了する。
【0049】
ユーザが購入した商品を返品又はキャンセルするなどして、加盟店端末20において金額変更決済(例えば、6,000円に変更)が発生すると(ステップS111)、加盟店端末20は、金額変更決済処理の実行要求を決済管理サーバ30に送信する(ステップS112)。これに応じて、決済管理サーバ30は、判定及び金額変更決済処理を実行する(ステップS113)と共に、金額変更受付結果を加盟店端末20に通知する(ステップS114)。
【0050】
ステップS113において、決済管理サーバ30は、
図6を参照して説明したように、取消額を取得し、取消額に対する判定結果に応じた処理を実行する。
図8に示す例においては、取消額(10,000円-6,000円=4,000円)が、口座払い(第1決済手段)による決済額(10,000円)以下である(
図6のステップS12:Yes)。従って、決済管理サーバ30は取消額を返還することとし、当該取消額の振込み処理の要求を決済サーバ50Dに送信する(ステップS115)。これに応じて、決済サーバ50Dは、指定された金額をユーザの口座に振り込み(ステップS116)、振込み結果を決済管理サーバ30に通知する(ステップS117)。
【0051】
決済管理サーバ30は、加盟店端末20から結果の照会を受けると(ステップS118)、返還額を振り込んだ旨の金額変更結果を通知する(ステップS119)。これにより、一部返金時の処理が完了する。
【0052】
図9は、ポイントで決済した場合の決済処理を示すシーケンス図である。ここでは、ユーザ情報データベース41において、決済手段としてポイント利用のみが設定されているものとする。
【0053】
加盟店端末20において決済処理が実行されると(ステップS201)、加盟店端末20は、決済処理(例えば10,000円)の実行要求を決済管理サーバ30に送信する(ステップS202)。これに応じて、決済管理サーバ30は決済処理を実行し(ステップS203)、オーソリ及び決済処理(例えば10,000円)の要求をPGWサーバ60に送信する(ステップS204)。PGWサーバ60は、オーソリ及び決済処理の要求(同上)をポイントの決済サーバ50Cに送信する(ステップ205)。これに応じて、決済サーバ50Cは、オーソリを実行すると共に、指定された金額をポイントにより決済し(ステップS206)、決済結果をPGWサーバ60に通知する(ステップS207)。PGWサーバ60は、決済結果を決済管理サーバ30に通知し(ステップS208)、決済管理サーバ30は、この決済結果を加盟店端末20に通知する(ステップS209)。これにより、決済時の処理が完了する。
【0054】
加盟店端末20において金額変更決済(例えば、6,000円に変更)が発生すると(ステップS211)、加盟店端末20は、金額変更決済処理の実行要求を決済管理サーバ30に送信する(ステップS212)。これに応じて、決済管理サーバ30は、判定及び金額変更決済処理を実行する(ステップS213)と共に、金額変更受付結果を加盟店端末20に通知する(ステップS214)。
【0055】
図9に示す例においては、取消額(4,000円)が、ポイント決済(第1決済手段)による決済額(10,000円)以下である(
図6のステップS12:Yes)。従って、決済管理サーバ30は取消額を返還することとし、ポイントの一部返還要求(4,000円)を決済サーバ50Cに送信する(ステップS215)。これに応じて、決済サーバ50Cは、指定された金額に相当するポイントを返還し(ステップS216)、返還結果を決済管理サーバ30に通知する(ステップS217)。
【0056】
決済管理サーバ30は、加盟店端末20から結果の照会を受けると(ステップS218)、ポイントを返還した旨の金額変更結果を通知する(ステップS219)。これにより、一部返金時の処理が完了する。
【0057】
なお、決済時に電子マネーが利用された場合のシーケンスも、
図9に例示したものと同様である。また、決済時にポイント及び電子マネーが利用された場合のシーケンスも、基本的には
図9に例示したものと同様である。ただし、決済管理サーバ30は、ステップS215において、ポイントから優先して返還されるように、ポイントの決済サーバ50Cにポイントの返還を要求し、ポイントの返還だけでは取消額に満たない場合に、不足分について電子マネーの決済サーバ50Bに返還を要求する。
【0058】
図10は、クレジットカードで決済した場合の決済処理を示すシーケンス図である。ここでは、ユーザ情報データベース41において、決済手段としてクレジットカードのみが設定されているものとする。
【0059】
加盟店端末20において決済処理が実行されると(ステップS301)、加盟店端末20は、決済処理(例えば10,000円)の実行要求を決済管理サーバ30に送信する(ステップS302)。これに応じて、決済管理サーバ30は決済処理を実行し(ステップS303)、オーソリ及び決済処理(例えば10,000円)の要求をPGWサーバ60に送信する(ステップS304)。PGWサーバ60は、オーソリ及び決済処理の要求(同上)をクレジットカードの決済サーバ50Aに送信する(ステップS305)。これに応じて、決済サーバ50Aは、オーソリを実行すると共に、指定された金額をクレジットカードにより決済し(ステップS306)、決済結果をPGWサーバ60に通知する(ステップS307)。PGWサーバ60は、決済結果を決済管理サーバ30に通知し(ステップS308)、決済管理サーバ30は、この決済結果を加盟店端末20に通知する(ステップS309)。これにより、決済時の処理が完了する。
【0060】
加盟店端末20において金額変更決済(例えば、6,000円に変更)が発生すると(ステップS321)、加盟店端末20は、金額変更決済処理の実行要求を決済管理サーバ30に送信する(ステップS322)。これに応じて、決済管理サーバ30は、判定及び金額変更決済処理を実行する(ステップS323)と共に、金額変更受付結果を加盟店端末20に通知する(ステップS324)。
【0061】
図10に示す例においては、決済時にクレジットカード(第2決済手段)のみが利用されており、取消額(4,000円)が第1決済手段による決済額(0円)を超えている(
図6のステップS12:No)。従って、決済管理サーバ30は、当初の決済処理を取り消し、変更後の金額で再決済することとする。
【0062】
決済管理サーバ30が、決済の取消要求をPGWサーバ60に送信すると(ステップS325)、PGWサーバ60は、決済の取消要求を決済サーバ50Aに送信する(ステップS326)。これに応じて、決済サーバ50Aは、決済を取り消し(ステップS327)、取消結果をPGWサーバ60に送信する(ステップS328)。PGWサーバ60は、この取消結果を決済管理サーバ30に通知する(ステップS329)。
【0063】
続いて、決済管理サーバ30は、変更後の決済額(6,000円)で、オーソリ及び決済処理の要求をPGWサーバ60に送信する(ステップS330)。再決済処理のシーケンス(ステップS330~S334)は、決済額が異なることを除き、決済処理のシーケンス(ステップS304~S308)と同様である。
【0064】
決済管理サーバ30は、加盟店端末20から結果の照会を受けると(ステップS335)、当初の決済を取り消し、再決済した旨の金額変更結果を通知する(ステップS336)。これにより、一部返金時の処理が完了する。
【0065】
図11は、クレジットカード及びポイントで決済した場合の決済処理(取消額がポイント払いを超えない場合)を示すシーケンス図である。ここでは、ユーザ情報データベース41において、決済手段としてクレジットカード及びポイント(全て使用)が設定されており、ポイント保持数が8,000円であるものとする。
【0066】
加盟店端末20において決済処理が実行されると(ステップS401)、加盟店端末20は、決済処理(例えば10,000円)の実行要求を決済管理サーバ30に送信する(ステップS402)。これに応じて、決済管理サーバ30は決済処理を実行し(ステップS403)、ポイント決済額を8,000円とするオーソリ及び決済処理の要求をPGWサーバ60に送信すると共に(ステップS404)、クレジットカード決済額を2,000円とするオーソリ及び決済処理の要求をPGWサーバ60に送信する(ステップS409)。ポイント決済のシーケンス(ステップS404~S408)は、
図9に示すステップS204~S208と同様である。また、クレジットカード決済のシーケンス(ステップS409~S413)は、
図10に示すステップS304~S308と同様である。決済管理サーバ30は、ポイント及びクレジットカードによる決済結果を加盟店端末20に通知する(ステップS414)。これにより、決済時の処理が完了する。
【0067】
加盟店端末20において金額変更決済(例えば、6,000円に変更)が発生すると(ステップS421)、加盟店端末20は、金額変更決済処理の実行要求を決済管理サーバ30に送信する(ステップS422)。これに応じて、決済管理サーバ30は、判定及び金額変更決済処理を実行する(ステップS423)と共に、金額変更受付結果を加盟店端末20に通知する(ステップS424)。
【0068】
図11に示す例においては、取消額(4,000円)が、ポイント決済(第1決済手段)による決済額(8,000円)以下である(
図6のステップS12:Yes)。従って、決済管理サーバ30は、取消額を返還することとし、ポイントの一部返還要求(4,000円)を決済サーバ50Cに送信する(ステップS425)。これに応じて、決済サーバ50Cは、指定された金額に相当するポイントを返還し(ステップS426)、返還結果を決済管理サーバ30に通知する(ステップS427)。
【0069】
決済管理サーバ30は、加盟店端末20から結果の照会を受けると(ステップS428)、ポイントを返還した旨の金額変更結果を通知する(ステップS429)。これにより、一部返金時の処理が完了する。
【0070】
図12は、クレジットカード及びポイントで決済した場合の決済処理(取消額がポイント払いを超える場合)を示すシーケンス図である。ここでは、ユーザ情報データベース41において、決済手段としてクレジットカード及びポイント(全て使用)が設定されており、ポイント保持数が2,000円であるものとする。
【0071】
図12に示すステップS401~S414は、
図11に示すステップS401~S414と同様である。ただし、ポイントによる決済額が2,000円、クレジットカードによる決済額が8,000円である点が、
図11の例と異なっている。
【0072】
加盟店端末20において金額変更決済(例えば、6,000円に変更)が発生すると(ステップS441)、加盟店端末20は、金額変更決済処理の実行要求を決済管理サーバ30に送信する(ステップS442)。これに応じて、決済管理サーバ30は、判定及び金額変更決済処理を実行する(ステップS443)と共に、金額変更受付結果を加盟店端末20に通知する(ステップS444)。
【0073】
図12に示す例においては、取消額(4,000円)が、ポイント決済(第1決済手段)による決済額(2,000円)を超えている(
図6のステップS12:Ns)。従って、決済管理サーバ30は、当初の決済処理を全て取り消し、変更後の金額で再決済することとする。
【0074】
決済管理サーバ30が、ポイント決済の取消要求を決済サーバ30Cに送信すると、決済サーバ30Cは、決済を取り消し(ステップS445)、取消結果を決済管理サーバ30に送信する(ステップS446)。即ち、当初の決済で利用されたポイントの全額が返還される。
【0075】
一方、決済管理サーバ30が、クレジットカード決済の取消要求をPGWサーバ60に送信すると(ステップS450)、PGWサーバ60は、クレジットカード決済の取消要求を決済サーバ50Aに送信する(ステップS451)。決済サーバ50Aは、決済を取り消し(ステップS452)、取消結果をPGWサーバ60に送信する(ステップS453)。PGWサーバ60は、この取消結果を決済管理サーバ30に通知する(ステップS454)。
【0076】
続いて、決済管理サーバ30は、ポイント決済額を2,000円とするオーソリ及び決済処理の要求をPGWサーバ60に送信すると共に(ステップS455)、クレジットカード決済額を4,000円とするオーソリ及び決済処理の要求をPGWサーバ60に送信する(ステップS460)。ポイント決済のシーケンス(ステップS455~S459)は、
図9に示すステップS204~S208と同様である。また、クレジットカード決済のシーケンス(ステップS460~S464)は、
図10に示すステップS304~S308と同様である。なお、再決済時のポイント保持数が決済時のポイント保持数から変更されていた場合、再決済の時点でのポイント保持数に基づいて、ポイント決済及びクレジットカード決済の各処理が実行される。
【0077】
決済管理サーバ30は、加盟店端末20から結果の照会を受けると(ステップS465)、当初の決済を取り消し、再決済した旨の金額変更結果を通知する(ステップS466)。これにより、一部返金時の処理が完了する。
【0078】
なお、決済時に、ポイントの代わりに電子マネーが利用された場合のシーケンスも、
図11及び
図12に例示したものと同様である。また、決済時に、クレジットカードの代わりにデビットカードが利用された場合のシーケンスも、
図11及び
図12に例示したものと同様である。
【0079】
ここで、当初の決済時と金額変更決済時とで、ユーザの決済手段を変更することができる。すなわち、決済管理サーバ30は、当初決済においては、設定情報に設定されている決済手段により決済を実行し、金額変更決済においては、再決済処理が実行される時点において設定情報に設定されている決済手段により再決済を実行する。以下、具体的な返金例について説明する。
図13及び
図14は、決済手段の設定に応じた返金例を示す表である。
【0080】
図13に示す例では、当初決済における決済手段を示す設定情報には、支払元としてクレジットカードが設定され、ポイント利用は「使わない」に設定されていたものとする。そのため、4月1日の決済時には、クレジットカードにより10,000円の決済が実行された。
【0081】
その後、5月1日に取消額4,000円の金額変更決済が発生した。再決済処理の時点での設定情報では、ポイント利用が「全て使用」と設定されており、ポイント保持数が3,000円であったものとする。このとき、金額変更決済においては、当初のクレジットカードによる10,000円の決済が取り消され、再決済処理においては、決済額6,000円のうちの3,000円がポイントにより決済され、クレジットカードにより残りの3,000円が決済される。
【0082】
図14に示す例では、4月1日の決済時点において、支払元としてクレジットカード、ポイント利用は「全て使用」が設定され、4月末日を使用期限とする期間限定ポイント保持数が2,000円であったものとする。そのため、4月1日に、決済額10,000円のうち2,000円が期間限定ポイントで決済され、残りの8,000円がクレジットカードで決済された。
【0083】
その後、5月1日に取消額4,000円の金額変更決済が発生した際に、取消額がポイント決済額を超えていたため、当初の決済処理が取り消された。即ち、期間限定ポイント2,000円が返還されると共に、クレジットカードによる8,000円の決済が取り消された。しかし、期間限定ポイントは、5月1日には既に利用期限が過ぎているため、2,000円の期間限定ポイントは、返還されると同時に失効する。従って、変更後の決済額6,000円は全てクレジットカードにより決済されることになる。
【0084】
ここで、当初の決済時に、使用期限のないポイントと期間限定ポイントとが併用された場合において、金額変更決済において取消額の返還により対応することになったとき(
図6のステップS13参照)、使用期限のないポイントが期間限定ポイントよりも優先して返還されることとしてもよい。また、当初決済時に、電子マネーとポイントとが併用された場合において、金額変更処理において取消額の返還により対応することになったときには(同上)、ポイントが電子マネーよりも優先して返還されるようにしてもよい。
【0085】
ところで、金額変更決済において当初の決済が取り消され、再決済処理を実行することになった場合、原則として、再決済処理は即時に実行される。しかしながら、当初の決済時と再決済処理時とで、ユーザの決済手段の利用状況に変更が生じており、設定された決済手段では再決済処理を実行できないことがある。例えば、再決済の決済額に対し、クレジットカードのオーソリ枠が足りない、銀行口座や電子マネーの残高が足りないといった場合である。このような場合、オーソリ枠が回復する、残高が回復するなどして決済が可能となった後で、再決済処理を実行することとしてもよい。
【0086】
また、再決済処理の時点での設定情報に設定されている決済手段では再決済できない場合において、他の決済手段を利用できるときには、当該他の決済手段により再決済処理を実行してもよい。例えば、再決済処理の時点での設定情報では決済手段として銀行口座払いが設定されているにもかかわらず、再決済処理時の決済額に対して口座残高が足りず、その代わりに、電子マネーの残高が決済額以上残っている場合には、電子マネーにより代替決済することができる。
【0087】
図15は、ユーザ端末10に表示される利用履歴画面を例示する図である。
図16は、ユーザ端末10に表示される利用履歴詳細画面を例示する図であり、
図15に示す利用明細の一部の詳細を示している。
図17は、ユーザ端末10に表示される利用履歴画面を例示する図である。
図18は、ユーザ端末10に表示される利用履歴詳細画面を例示する図であり、
図17に示す利用明細の一部の詳細を示している。
【0088】
決済管理サーバ30は、定期的に、又は、ユーザ端末10からの要求に応じて随時、利用履歴画面をユーザ端末10に送信して表示させることができる。
図15及び
図17に例示するように、利用履歴画面A1,A3には、所定期間(例えば1ヶ月間)に実行された決済の履歴が表示される。
【0089】
これらの利用履歴画面A1,A3において、所望の決済の表示欄a10,a30を選択する操作(例えばタップ操作)がなされると、ユーザ端末10は当該決済の詳細情報の要求を決済管理サーバ30に送信する。これに応じて、決済管理サーバ30は、
図16、
図18に例示するように、選択された決済に関する利用履歴詳細画面A2,A4をユーザ端末10に送信して表示させる。各決済に対応する利用履歴詳細画面A2,A4には、決済の日時、金額、内訳、加盟店名等の詳細情報が表示される。
【0090】
図15では、利用履歴画面A1の表示欄a11に示すように、後に金額変更決済が発生した決済はグレーアウトされ、「取消済み」のテキストが表示される。そして、取り消された決済に対応する金額変更決済の表示欄a12に、「金額変更済み」のテキストと共に金額変更後の決済額「800円」が表示され、併せて、取り消された金額「700円」も表示される。
【0091】
また、金額変更決済に関する利用履歴詳細画面には、当初の決済処理に関する情報と、当該決済処理に対応する決済取消(金額変更決済)に関する情報と、当該金額変更決済に対応する返還処理又は再決済処理に関する情報とが、決済履歴として表示される。このうち、金額変更決済に関する情報は、取消額を差し引いた最終的な決済額であってよい。
図15に例示される利用履歴画面A1において、所望の決済の表示欄a10のうち、表示欄a12をユーザが選択する操作がなされると、
図16に例示される利用履歴詳細画面A2がユーザ端末10に表示される。
【0092】
例えば、
図16においては、表示欄a21に、11月9日に当初の決済額「1,500円」が提携銀行の口座払いで決済されたことが表示されている。また、表示欄a22に、その後の12月30日に金額変更決済が発生し、当初の決済額のうちの取消額「700円」の支払いが取り消されたこと(処理としては、当該口座への振込み)が表示されている。さらに表示欄a23には、金額変更決済後の最終的な決済額「800円」が表示されている。
【0093】
また、当初の決済に対して複数回の金額変更決済が発生した場合、
図17に示すように、利用履歴画面A3において、当初決済の表示欄a31及び変更された金額変更決済の表示欄a32がグレーアウトされ、「取消済み」のテキストが表示される。そして、これらの決済に関する最終的な金額変更決済の表示欄a33に、「金額変更済み」のテキストと共に最終的な決済額「280円」が表示され、併せて、直前に取り消された金額「420円」も表示される。
図17に例示される利用履歴画面A3において、所望の決済の表示欄a30のうち、表示欄a33をユーザが選択する操作がなされると、
図18に例示される利用履歴詳細画面A4がユーザ端末10に表示される。
【0094】
これらの決済に関する利用履歴詳細画面A4においては、表示欄a41に、11月9日に当初の決済額「1,500円」が決済され、その内訳として、電子マネー「280円」、ポイント「420円」及びクレジットカード「800円」が表示されている。また、表示欄a42,a43には、取消処理及び再決済処理が実行されたことが表示されている。表示欄a42には、その後の12月30日15時20分に金額変更決済が発生し、クレジットカードによる「800円」の決済が取り消されたことが表示されている。さらに、表示欄a43には、決済の取り消しと同時に、ポイント(420円)及び電子マネー(280円)により700円の再決済がなされたことが表示されている。
【0095】
さらに、表示欄a44には、同日の16時30分に再度の金額変更決済が発生し、ポイント「420円」が返還されたことが表示されている。そして、表示欄a45には、金額変更決済後の最終的な決済額「280円」が表示されている。
【0096】
ここで、金額変更決済が発生したとき、取消額の返還処理又は決済の取消処理に対し、変更前(当初)の決済に付与された伝票番号と同じ伝票番号を付与し、返還後の最終的な決済結果又は取消後の再決済処理に対して新たな伝票番号を付与することとしてもよい。例えば、表示欄a42に示すカード決済の取消処理に対しては、表示欄a41に示す当初決済と同じ伝票番号が付与されている。また、表示欄a43に示すポイント及び電子マネーによる再決済処理に対しては、新たな伝票番号が付与されている。他方、表示欄a44に示すポイント返還処理に対して、表示欄a43に示す返還前の決済処理と同じ伝票番号が付与されており、返還後の最終的な決済結果に対しては、新たな伝票番号が付与されている。このように伝票番号を管理することにより、金額変更決済に関する各処理の紐付けが明確になり、ユーザは関連する取引内容を容易に把握することができる。
【0097】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、または並列に実行することができる。
【符号の説明】
【0098】
1…決済管理システム(本システム)、10…ユーザ端末、20…加盟店端末、30…決済管理サーバ、31…通信部、32…制御部、33…記憶部、40…記憶装置、41…ユーザ情報データベース、42…加盟店情報データベース、43…取引情報データベース、50A~50D…決済サーバ、60…決済代行サーバ(PGWサーバ)、320…受付部、321…情報管理部、322…設定部、323…決済実行部、324…取消額取得部、325…判定部、326…返還部、327…再決済実行部、328…表示制御部
【要約】
【課題】複数の決済手段による決済処理の実行後に、少なくとも一部の決済を取り消す場合に、決済手段に応じた適切な返金処理を実行する。
【解決手段】本発明の1つの態様である情報処理装置は、第1金額の支払いに用いられる第1決済手段と、第1決済手段とは異なる第2決済手段とを用いて、当初金額の決済処理を実行する決済実行部と、決済処理の少なくとも一部を取り消すための決済取消における、取消額を取得する取得部と、取消額が第1金額以下であるとき、取消額を第1決済手段によりユーザに返還する返還処理を実行する返還部と、取消額が第1金額を超えるとき、決済処理の取消処理と、決済取消に伴う再決済処理と、を実行する再決済実行部と、を備える。
【選択図】
図6