(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】表示光出射装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/23 20240101AFI20240828BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20240828BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20240828BHJP
G08G 1/0968 20060101ALI20240828BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240828BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20240828BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240828BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
B60K35/23
G02B27/02 Z
G01C21/36
G08G1/0968 A
G06F3/01 510
G06F3/0481
H04N5/74 Z
G09G5/00 555D
G09G5/00 530M
G09G5/00 510B
G09G5/00 550C
G09G5/00 530D
G09G5/00 550B
G09G5/00 530T
(21)【出願番号】P 2019230324
(22)【出願日】2019-12-20
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】591182112
【氏名又は名称】NSウエスト株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390005429
【氏名又は名称】株式会社SHOEI
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
(72)【発明者】
【氏名】青井 幸佑
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-156897(JP,A)
【文献】特開2002-174527(JP,A)
【文献】特開2000-113388(JP,A)
【文献】特開2016-090515(JP,A)
【文献】特開2008-065593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/23 ~ 35/235
G02B 27/02
G01C 21/26 ~ 21/36
G08G 1/0968
G06F 3/01
G06F 3/0481
H04N 5/74
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルメットに装着されるコンバイナに案内画像を表示させる表示光を出射する表示光出射装置であって、
現在地から所定の案内地点までの距離を示す距離情報と、前記案内地点における進行方向を示す方向情報とを含む案内情報を通信機器から受信する無線通信部と、
前記距離情報に基づく前記案内地点までの距離を示す距離画像と、前記方向情報に基づく前記案内地点における進行方向を示す方向画像とを含む案内画像を生成する画像生成部、及び、前記案内画像を前記コンバイナに表示させる表示光を出射する画像出射部を有し、前記画像生成部及び前記画像出射部の作動を制御する画像制御モジュールと、を備え、
前記画像制御モジュールは、
前記距離情報に示される距離が所定の第1基準距離を下回るという条件が満たされた時に、前記距離画像及び前記方向画像を前記画像生成部で生成し、生成した前記距離画像及び前記方向画像を含む前記案内画像を前記コンバイナに表示させる表示光を前記画像出射部から出射するように制御し、
前記距離情報に示される距離が、前記第1基準距離よりも短い第2基準距離を下回るという条件が満たされた時から前記案内地点に至るまで、前記案内画像の前記距離画像の表示を中止し、かつ前記方向画像を継続して表示させる表示光を出射するように制御し、
前記第1基準距離の位置よりもさらに前記案内地点から離れた位置までの前記案内地点からの第5基準距離が設定され、
前記第5基準距離は、前記第1基準距離よりも長い距離間隔ごとに複数個所に設定されており、
前記画像制御モジュールは、前記各第5基準距離になると、設定された所定時間の間、前記距離画像と前記方向画像とを含む前記案内画像を表示し、
前記所定時間後は、前記距離画像と前記方向画像とを含む前記案内画像
の表示
を終了す
るように制御することを特徴とする表示光出射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示光出射装置において、
前記画像制御モジュールは、
前記第1基準距離よりも短い第3基準距離になるまで、前記画像生成部で生成される前記方向画像を第1進路方向画像とし、
前記距離情報に示される距離が、前記第3基準距離を下回るという条件が満たされた時に、前記画像生成部で生成される前記方向画像を前記第1進路方向画像とは異なる表示画像からなる第2進路方向画像として、前記画像出射部から前記コンバイナに出射し続けるように制御することを特徴とする表示光出射装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示光出射装置において、
前記画像制御モジュールは、
前記距離情報に示される距離が、前記第3基準距離よりも短い第4基準距離を下回るという条件が満たされた時に、前記第1進路方向画像及び前記第2進路方向画像とは異なる表示画像からなる第3進路方向画像を、前記画像出射部から前記コンバイナに出射するように制御することを特徴とする表示光出射装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示光出射装置において、
前記第2基準距離が、前記第3基準距離よりも短く、かつ前記第4基準距離よりも長いことを特徴とする表示光出射装置。
【請求項5】
請求項
2から4のいずれか1つに記載の表示光出射装置において、
前記第1進路方向画像及び第2進路方向画像は矢印画像を含み、
前記第1進路方向画像の矢印画像と第2進路方向画像の矢印画像との表示状態がそれぞれ異なることを特徴とする表示光出射装置。
【請求項6】
請求項3又は4に記載の表示光出射装置において、
前記第1進路方向画像、前記第2進路方向画像及び前記第3進路方向画像は、それぞれ矢印画像を含み、
前記第1進路方向画像、前記第2進路方向画像及び前記第3進路方向画像の前記矢印画像の表示状態がそれぞれ異なることを特徴とする表示光出射装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の表示光出射装置において、
前記第1基準距離の位置から前記第2基準距離の位置までの距離間隔に対して、前記第2基準距離の位置から前記案内地点までの距離間隔のほうが短いことを特徴とする表示光出射装置。
【請求項8】
請求項
1に記載の表示光出射装置において、
前記
所定時間は、30秒以下であることを特徴とする表示光出射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のヘッドアップディスプレイ装置に案内画像を表示する表示光出射装置、特にヘルメットに装着されるヘッドアップディスプレイ装置に案内画像を表示する表示光を出射する表示光出射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、車両のヘッドアップディスプレイ装置に案内画像を表示する表示光を出射する表示光出射装置として、車両走行時における運転者の正しい判断の妨げにならないように簡易な表示の表示光を表示光出射装置からコンバイナに出射して表示することが知られている。例えば、特許文献1には、ヘッドアップディスプレイ装置の表示光出射装置の例として、自車が左折又は右折動作をすべき案内地点から第1の所定距離(300m)だけ離れた位置に到達すると、ヘッドアップディスプレイ装置に、目的地から自車までの距離についての表示像(距離画像)と、案内地点における右左折情報を示す矢印の表示像(方向画像)とを常時表示させるように表示光を出射することが開示されている。また、その後、自車が第1の所定距離の位置より案内地点に近い当該案内地点から第2の所定距離(100m)の位置に到達すると、距離についての表示像(距離画像)と運転動作についての表示像(方向画像)との表示を、常時表示から点滅表示に切り替えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両のヘッドアップディスプレイ装置では、限られた情報を表示するために、案内地点までの距離も数百メートル単位の大まかな値を測定して、その値を表示することが多い。それに対して、特許文献1では、矢印と距離とを表示して経路を案内するようになっていて、案内地点から遠い位置では、距離画像を数値で示すとともに進行方向を示す方向画像を矢印で常時点灯して示し、案内地点から近い位置では距離画像の数値と方向画像の矢印との両者を点滅させるので、案内地点から近い位置では、かえって距離を示す数値が目に付いてしまい、その数値にとらわれて、案内地点を見間違う可能性がある。
【0005】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、案内地点から近い位置となった際に、案内地点に近くなったことを運転者に認識させると同時に案内表示が運転者の正しい判断の妨げにならないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、案内地点までの距離が、所定の距離以内になると、距離画像と方向画像との両方を表示し、さらに案内地点に近くなると、案内地点までの方向画像の表示を継続するとともに、距離画像の表示を消すようにしたことを特徴とする。
【0007】
すなわち、第1の発明では、
ヘルメットに装着されるコンバイナに案内画像を表示させる表示光を出射する表示光出射装置であって、
現在地から所定の案内地点までの距離を示す距離情報と、前記案内地点における進行方向を示す方向情報とを含む案内情報を通信機器から受信する無線通信部と、
前記距離情報に基づく前記案内地点までの距離を示す距離画像と、前記方向情報に基づく前記案内地点における進行方向を示す方向画像とを含む案内画像を生成する画像生成部、及び、前記案内画像を前記コンバイナに表示させる表示光を出射する画像出射部を有し、前記画像生成部及び前記画像出射部の作動を制御する画像制御モジュールと、を備え、
前記画像制御モジュールは、
前記距離情報に示される距離が所定の第1基準距離を下回るという条件が満たされた時に、前記距離画像及び前記方向画像を前記画像生成部で生成し、生成した前記距離画像及び前記方向画像を含む前記案内画像を前記コンバイナに表示させる表示光を前記画像出射部から出射するように制御し、
前記距離情報に示される距離が、前記第1基準距離よりも短い第2基準距離を下回るという条件が満たされた時から前記案内地点に至るまで、前記案内画像の前記距離画像の表示を中止し、かつ前記方向画像を継続して表示させる表示光を出射するように制御し、
前記第1基準距離の位置よりもさらに前記案内地点から離れた位置までの前記案内地点からの第5基準距離が設定され、
前記第5基準距離は、前記第1基準距離よりも長い距離間隔ごとに複数個所に設定されており、
前記画像制御モジュールは、前記各第5基準距離になると、設定された所定時間の間、前記距離画像と前記方向画像とを含む前記案内画像を表示し、
前記所定時間後は、前記距離画像と前記方向画像とを含む前記案内画像の表示を終了するように制御することを特徴とする。
【0008】
第2の発明では、第1の発明において、
前記画像制御モジュールは、
前記第1基準距離よりも短い第3基準距離になるまで、前記画像生成部で生成される前記方向画像を第1進路方向画像とし、
前記距離情報に示される距離が、前記第3基準距離を下回るという条件が満たされた時に、前記画像生成部で生成される前記方向画像を前記第1進路方向画像とは異なる表示画像からなる第2進路方向画像として、前記画像出射部から前記コンバイナに出射し続けるように制御することを特徴とする。
【0009】
第3の発明では、第2の発明において、
前記画像制御モジュールは、
前記距離情報に示される距離が、前記第3基準距離よりも短い第4基準距離を下回るという条件が満たされた時に、前記第1進路方向画像及び前記第2進路方向画像とは異なる表示画像からなる第3進路方向画像を、前記画像出射部から前記コンバイナに出射するように制御することを特徴とする。
【0010】
第4の発明では、第3の発明において、
前記案内地点から前記第2基準距離までの距離が、前記案内地点から前記第3基準距離までの距離よりも短く、かつ前記案内地点から前記第4基準距離までの距離よりも長いことを特徴とする。
【0011】
第5の発明では、第2から第4のいずれか1つの発明において、前記第1進路方向画像及び第2進路方向画像は矢印画像を含み、前記第1進路方向画像の矢印画像と第2進路方向画像の矢印画像との表示状態がそれぞれ異なることを特徴とする。
【0012】
第6の発明では、第3または第4の発明において、前記第1進路方向画像、前記第2進路方向画像及び前記第3進路方向画像は、それぞれ矢印画像を含み、前記第1進路方向画像、前記第2進路方向画像及び前記第3進路方向画像の前記矢印画像の表示状態がそれぞれ異なることを特徴とする。
【0013】
第7の発明では、第1から第6のいずれか1つの発明において、前記第1基準距離の位置から前記第2基準距離の位置までの距離間隔に対して、前記第2基準距離の位置から前記案内地点までの距離間隔のほうが短いことを特徴とする。
【0014】
第8の発明では、第1の発明において、前記所定時間は、30秒以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明では、案内地点までの距離が第1基準距離になると、距離画像及び方向画像を表示し、案内地点までの距離が第2基準距離になると、案内地点に到達するまで距離画像の表示を中止するとともに方向画像を表示し続けるので、運転者が案内地点に近くなったことを強く認識することができるだけでなく、距離画像が運転者の正しい判断の妨げになるといったことを防止することができる。また、第1の発明では、進行時における第1基準距離となる位置より手前の位置に設定された各第5基準距離において、例えばそれぞれ距離の目安となる節目値毎に短時間だけ案内画像に表示されるようになるので、運転者は進行を妨げられることなく進行方向が正しいことを理解しながら少しずつ案内地点に近付いていることが分かるようになり、安心して車両を運転することができる。
【0016】
第2の発明では、案内地点までの距離が第3基準距離を下回ると、第1進路方向画像と異なる第2進路方向画像がコンバイナに表示されるので、方向画像が変化したことに運転者の関心が注がれるだけでなく、更に第2進路方向画像を目立つように変更して運転者が注視可能となるようにもでき、案内地点における進行方向の見間違いを防止することができる。
【0017】
第3の発明では、案内地点までの距離が第3基準距離よりも短い第4基準距離を下回ると、第1進路方向画像及び第2進路方向画像とは異なる第3進路方向画像がコンバイナに表示されるので、運転者は第3進路方向画像だけを注視できるようになり、案内地点における進行方向の見間違いを確実に防止することができる。
【0018】
第4の発明では、第2基準距離が第3基準距離と第4基準距離との間の距離であるので、第3基準距離を下回って第1進路方向画像から第2進路方向画像に表示が変化することで距離画像が消えて方向画像にのみ注意が注がれるようになった後、距離画像が消えた状態で少し走行してから第2進路方向画像から第3進路方向画像に表示が変化するようになる。したがって、運転者は案内地点が近いことを認識できるだけでなく、距離画像が消えた案内画像によって進行方向が非常に判り易くなる。
【0019】
第5の発明では、進行時に矢印画像の表示状態が例えば、矢印の色が変わったり、矢印の点滅状態に変化が発生したり、矢印の太さが変わったり、これらを組み合わせたりするような変化が発生するようになるので、矢印を運転者にさらに目に付き易くさせることができる。
【0020】
第6の発明では、進行時に矢印画像の表示状態が2段階に変化するようになるので、矢印の変化を運転者の目に確実に焼き付けることができる。特に、方向画像と距離画像との両方が表示されている状態の第1進路方向画像から距離画像が消えた後、第2進路方向画像に切り替わるので、運転者は案内地点に近くなったことを認識し易くなるだけでなく進行方向も確実に捉えることができる。
【0021】
第7の発明では、進行時における第1基準距離となる位置から第2基準距離となる位置までの距離間隔に対して、第2基準距離となる位置から案内地点までの距離間隔のほうが短いので、案内画像における距離画像の表示されない時間が短くなる。したがって、運転者が案内地点を見失ったり、或いは、間違ったりする可能性が少なくなり、案内画像において表示される方向画像に従って迷うことなく案内地点を通過することができる。
【0022】
第8の発明では、距離の目安となる各節目値において極僅かだけ案内画像が表示されるようになるので、運転者は必要な情報を得ながら集中して運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態1に係る表示光出射装置を備えたナビゲーションシステムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る表示光出射装置を備えたナビゲーションシステムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】カーナビアプリの実行時にスマートフォンのマイクロコンピュータによって行われる処理を示すフローチャートである。
【
図4】案内動作中にスマートフォンのタッチパネルに表示される画像を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態1に係る表示光出射装置によって実行される定常状態の動作を示すフローチャートである。
【
図6】表示光出射装置の画像出力部により出力される案内画像の各表示内容が案内地点に到達するまでの間においてどのタイミングで表示されるかを時系列で示した図である。
【
図7】本発明の実施形態1に係る表示光出射装置の画像出力部により出力される案内画像の一例を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態1に係る表示光出射装置の画像出力部により出力される案内画像の一例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態1に係る表示光出射装置の画像出力部により出力される案内画像の一例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態1に係る表示光出射装置の画像出力部により出力される案内画像の一例を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態2に係る表示光出射装置画像出力部により出力される案内画像を示す図である。
【
図12】本発明の実施形態3に係る表示光出射装置画像出力部により出力される案内図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1について図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は、自動二輪車に本発明を適用した例であって、ナビゲーションシステムの構成を示す図である。
図2は、本発明の実施形態1に係る表示光出射装置を備えたナビゲーションシステムの構成を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、このナビゲーションシステム1は、通信機器としてのスマートフォン10と、自動二輪車のヘルメット20とを備えている。尚、ナビゲーションシステム1は、自動二輪車以外の乗物、例えば、水上バイク、自転車、スノーモービル(雪上バイク)などにおいても使用することが可能である。スマートフォン10は、自動二輪車に着脱可能に取り付けられていてもよいし、GPS信号を受信可能なバッグ等に収容されていてもよい。
【0026】
スマートフォン10は、
図2に示すように、Bluetooth(登録商標)を用いた無線通信を行うLANインターフェース11と、GPS受信機12と、携帯電話回線を介して音声信号の送受信を行うWANインターフェース13と、信号処理装置としてのマイクロコンピュータ14と、入力部としてのタッチパネル15とを備えている。また、マイクロコンピュータ14は、スマートフォン10のOSであるモバイルオペレーションシステム14aと、モバイルオペレーションシステム14a上で、GPS受信機12により取得された位置情報等を用いて稼働するカーナビゲーションサービスアプリケーション(以下、「カーナビ」と呼ぶ)14bとを備える。スマートフォン10は、マイクロコンピュータ14を用いて、GPS受信機12で得られた位置情報(現在位置情報)とタッチパネル15上で入力された目的地情報とに基づいて現在地から目的地までの経路を自動で探索し、経路設定を行うことができるように構成されている。カーナビアプリ14bは、地図情報と現在地情報とに基づいて、現在地から次の案内地点までの距離及び現在地から次の案内地点に到達するまでの時間を算出するように構成されている。タッチパネル15には、所定の案内地点までの案内情報が表示されるようになっている。具体的な案内情報の表示例は、後で詳細に説明するが、例えば、案内地点までの距離を示す距離情報や案内地点における進行方向を示す方向情報等が表示される。
【0027】
図1に示すように、ヘルメット20の前面中央には、水平方向に延びる略長方形状をなす窓孔21が形成されている。ヘルメット20には、透光性を有する平面視で略U字状をなすシールド22が設けられている。該シールド22は、その両端部分がそれぞれヘルメット20の各側壁部に軸支されていて、上下方向に回動することで窓孔21を開閉するようになっている。ヘルメット20の外表面における窓孔21よりもヘルメット装着者から見て左側、すなわちヘルメット装着者の耳に対応する位置には、第1スイッチ23及び第2スイッチ24を含む複数のスイッチが配設されている。第1スイッチ23は、長押しされることでヘッドアップディスプレイ装置40の表示光出射装置30(後述する)を起動させるようになっている。第1スイッチ23は、短押しされることで表示光出射装置30を強制的に停止させるようになっている。第2スイッチ24は、電話着信や電話通話などを含む多機能スイッチとなっている。
【0028】
また、ヘルメット20の窓孔21の上縁部における左右方向中央よりもヘルメット装着者から見て右寄りの箇所には、板状をなす半透明のコンバイナ26が取付部材27を介してヘルメット20の内側から取り付けられている。ヘルメット20の窓孔21の下方には、本発明の実施形態に係る表示光出射装置30と、当該表示光出射装置30によって出射された表示光をコンバイナ26に投射するミラー28とが内蔵されている。表示光出射装置30、コンバイナ26及びミラー28が、ヘッドアップディスプレイ装置40を構成している。
【0029】
表示光出射装置30は、
図2に示すように、Bluetoothを用いてスマートフォン10と通信可能なBluetoothモジュール31(無線通信部)と、Bluetoothモジュール31により受信された情報に基づいて、コンバイナ26に表示させる案内画像を生成し、生成した案内画像をコンバイナ26に表示させるための表示光を出射する画像制御モジュール32とを備えている。
【0030】
Bluetoothモジュール31は、例えば、設定された案内地点までの経路情報、設定された案内地点までの距離を示す距離情報、案内地点における進行方向を示す方向情報、現在の速度を示す速度情報、及び、案内地点までの所要時間等の案内情報をスマートフォン10のLANインターフェース11から受信するようになっている。
【0031】
画像制御モジュール32は、LANインターフェース11から受信する案内情報をBluetoothモジュール31から受信し、受信した案内情報から案内画像33を生成するように指示を出すマイクロコンピュータ32aと、画像等を記憶するフラッシュROM(Read Only Memory)32bと、GDC(Graphic Display Controller)32c(画像生成部)と、生成した画像をコンバイナ26に表示させる表示光を出射するLCOS(Liquid Crystal on Silicon)32d(画像出射部)とを備える。
【0032】
画像制御モジュール32は、マイクロコンピュータ32aによる指示に従って、Bluetoothモジュール31から受信された距離情報や方向情報などの案内情報とフラッシュROM32bに記憶されている画像等を組み合わせて、案内画像33を生成するようにGDC32cを制御し、生成した案内画像33に対応する表示光を出射するようにLCOS32dを制御するようになっている。案内画像33は、例えば、
図7に示すように、右上に案内地点までの距離画像33aを数値で表示し、左上に案内地点における進行方向を示す方向画像33bを矢印で表示するようになっている。また、案内画像33は、右下に案内地点までの所要時間である時間画像33cを分と秒とで表示し、左下に到着時刻の推定時刻である時刻画像33dを時計図で表示するようになっている。尚、距離画像33aは、案内地点までの距離が遠い場合には単位が「km」で表示され、案内地点までの距離が1km未満になると単位が「m」で表示されるよう構成されている。
【0033】
LCOS32dは、GDC32cにより生成された案内画像33をコンバイナ26に表示させる表示光を出射するようになっている。LCOS32dによる案内画像33の出力は、第1スイッチ23が短押しされることで、強制的に停止可能になっている。
【0034】
上述のように構成されたナビゲーションシステム1では、スマートフォン10のマイクロコンピュータ14が、カーナビアプリ14bを実行することにより、
図3のフローチャートに示す処理を行う。
【0035】
まず、ステップS001において、目的地設定を促す画面をタッチパネル15に表示する。
【0036】
次に、ステップS002において、ユーザによる目的地を設定する入力操作がタッチパネル15になされると、設定された目的地を案内対象の目的地として記憶する。
【0037】
次いで、ステップS003において、出発地から、ステップS002で記憶した案内対象の目的地に至るまでの案内経路を探索し、探索により得られた案内経路を記憶する。
【0038】
しかる後、ステップS004において、ステップS003で記憶した案内経路に従って、案内動作を実行する。案内動作中におけるマイクロコンピュータ14は、GPS受信機12を用いた探索により得た案内経路に従って、次の交差点などの所定の案内地点までの距離を示す距離情報と、案内地点における進行方向を示す方向情報とを1秒毎に取得する。そして、取得した距離情報及び方向情報に基づいて、現在地周辺の地図、案内地点までの距離、及び案内地点における進行方向等を案内情報としてタッチパネル15に出力表示させる。
図4は、案内動作中、タッチパネル15に表示される画像の例を示す。
図4中、16aはスマートフォンの作動スイッチ、16bは現在地周辺の地図、16cは案内地点までの距離、16dは案内地点における進行方向である。また、案内動作中、マイクロコンピュータ14は、カーナビアプリ14bの実行により取得した距離情報と方向情報とを、LANインターフェース11による無線通信によって案内情報として送信(出力)する。
【0039】
案内動作中に、ステップS005において、ユーザによるカーナビアプリ14b終了の入力操作がスマートフォン10になされると、マイクロコンピュータ14は案内動作を終了する。
【0040】
以下、上述のように構成されたナビゲーションシステム1の動作について、
図5乃至
図10に基づいて説明する。以下では、自動二輪車が5km以上離れた位置で、ナビゲーションシステム1を起動させた場合を例として説明する。
【0041】
まず、自動二輪車等の運転者が、カーナビアプリ14bを起動させた状態のスマートフォン10を所持した状態においてヘルメット20を装着して第1スイッチ23を長押しすると、表示光出射装置30が起動する。カーナビアプリ14bを起動させた状態のスマートフォン10は、次の交差点などの案内地点までの案内情報として、1秒毎に更新される距離情報と方向情報とをLANインターフェース11による無線通信によって送信している。表示光出射装置30は、起動後、Bluetoothモジュール31によりスマートフォン10との無線通信が繋がっている間、定常動作を繰り返し実行する。
【0042】
定常動作では、運転する自動二輪車が所定の節目値(第5基準距離KY5)に到達したかを判断して、その所定の節目値に到達した時点で、案内画像33の表示を行い、案内ルートが正しいことを知らせるとともに徐々に案内地点に近づきつつあることを運転者に知らせる。具体的には、現在地から案内地点までの距離Dが5kmよりも離れている場合には、案内地点からかなり離れていると判断して、定常動作の案内画像33の表示を省略した状態になる一方、節目値、即ち5kmに達した時点では、短い時間(例えば、10秒間)だけ案内画像33を表示するようになっている。そして、案内画像33を10秒間表示した後、案内画像33の表示を中止するようになっている。案内画像33は、例えば
図7に示すように、進行方向、案内地点までの距離、到達見込み時間等が表示される。このような短時間の案内画像33の表示を、他の節目値(第5基準距離KY5)である4km、3km、2km、1kmに到達した時点でも繰り返す。この表示によって、案内ルートが正しいことと所定の距離の節目値に到達して徐々に案内地点に近づきつつあることとをそれぞれ運転者が認識できるようにする。例えば、市街地を平均速度36km/時間で走行する場合、10秒間で100m進むことになり、5kmなどの節目値に到達すると、その後100mの距離を走行する間だけ案内画像33が表示されることになる。また、例えば高速道路を走行しているときにインターチェンジが案内地点である場合においても、平均速度72km/時間で走行する場合、10秒間で200m進むことになり、5kmなどの節目値に到達すると、その後200mの距離を走行する間だけ案内画像33が表示されることになる。そして、例えば、案内地点までの距離が500mの節目値である第1基準距離KY1の位置に到達すると、案内画像33を常時表示するようにして、運転者に案内地点が近くなったことを認識させるとともに、確実に運転者を案内地点にまで案内できるような定常表示を行う。
【0043】
この定常動作を
図5のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0044】
まず、第1スイッチ23が長押しされることで、ヘッドアップディスプレイ装置40の表示光出射装置30が起動して、ステップS101に進む。このステップS101では、画像制御モジュール32のマイクロコンピュータ32aにより、カウント値kが1に初期化されてステップS102に進む。尚、カウント値は便宜上設定しているだけである。
【0045】
次に、ステップS102では、Bluetoothモジュール31が、カーナビアプリ14bを起動させた状態のスマートフォン10から、1秒毎に更新されて送信される距離情報を受信し、ステップS103に進む。
【0046】
ステップS103では、画像制御モジュール32のマイクロコンピュータ32aにより、Bluetoothモジュール31により受信した距離情報に示される距離D(案内地点までの距離)が所定の基準距離Rkを下回るという距離条件を満たしているか否かを判定する。ここで、カウント値kは、この表示光出射装置30が起動した時に、k=1から始まり、順次k=k+1となるようになっていて、k=1、2、3、4、5、6となるに従って、Rkは順にR1~R6となるようになっている。尚、本発明の実施形態1のR1~R6は、順に、R1=5km、R2=4km、R3=3km、R4=2km、R5=1km、R6=500mに設定されている。
【0047】
ステップS103でNOと判定された場合は、現在地から次の案内地点までの距離が基準距離Rkを下回るという距離条件を満たしていない場合であり、ステップS104に進む。すなわち、初めは、カウント値k=1であり、Rk=R1=5kmであるので、距離Dが、D≦5km(第5基準距離KY5)であるか否かを判定する。現在の走行位置(D>5km)は、案内地点から5km以上離れており、距離条件(D≦5km)を満たしていないので、ステップS104に進み、次の受信を待つとともに定常動作の案内画像33の表示を実行しない。
【0048】
ステップS104では、現在の走行位置が案内地点から5km以上離れているので、定常動作の案内画像33の表示を省略し、スマートフォン10により送信された距離情報及び方向情報が、Bluetoothモジュール31において新たに受信されるのを待ち、ステップS102に戻る。すなわち、走行中の距離Dが5km以上であるので、ステップS104からステップS102に進み、1秒毎に更新される距離情報が5km以下になるまでステップS103の判定を繰り返す。
【0049】
一方、1秒毎に更新される走行位置がD≦5kmになると、距離条件を満足することになるので、ステップ103でYESと判定されてステップS105に進む。ステップS105では、カウント値kが6であるか否かをマイクロコンピュータ32aが判定する。カウント値kが6でない時には、NOと判定されてステップS106に進む。一方、カウント値kが6である時には、YESと判定されてステップS109に進む。即ち、k=6とは、D6=500mであり、距離Dの位置が案内地点に近い距離である500m(第1基準距離KY1)以下であるか否かを判定し、500m以下の場合にはYESと判定されて、ステップS109に進み案内地点に近い距離になったとして案内画像33の表示を行う。一方、距離Dの位置が案内地点から500m以上離れている場合には、NOと判定されてステップS106に進み、案内地点に近くないのを表す別の案内画像33の表示を行う。
【0050】
ステップS106では、マイクロコンピュータ32aにおいて距離D≦Rk+1を満足しているか否かを判定する。距離D≦Rk+1を満足してない場合は、NOと判定されてステップS107に進む。一方、満足する場合には、YESと判定されてステップS108に進む。すなわち、上記の場合、カウント値k=1であるのでRk+1=R2=4kmとなり、案内地点までの距離Dが、D≦4km(第5基準距離KY5)の距離条件を満足するか否かを判定する。この時の走行位置は、D<5kmで、1秒毎に距離を更新するようになっているが、数μ秒の短い時間内でマイクロコンピュータ32aが判定するので、現在の走行位置での距離Dは5km~4kmの間に位置していると言える。したがって、距離D≦R2(4km)を満足してないので、NOと判定されてステップS107に進む。
【0051】
ステップS107では、LCOS32dが、10秒間、案内画像33をコンバイナ26に表示させる表示光を出射し続ける。案内画像33には、
図6及び
図7に示すように、距離画像33aの数値、進行方向の方向画像33bの矢印、時間画像33c(到着までの所要時間)、及び時刻画像33d(到着見込み時刻)が表示される。なお、
図7に示す距離画像33aの5kmの値、方向画像33bである右折の矢印、時間画像33cの所要時間の6分、時刻画像33dの到着見込み時刻の10時は、単なるサンプルであって、実際の数値や所要時間ではない。また、
図6に示すように、音声案内で、「およそ5km先〇方面です」とアナウンスする。この走行位置では、案内地点までの距離Dが500m以下でなく、案内画像33の表示を常時する必要がないので、案内画像33の表示を短い時間に留める。この案内画像33が表示される間、画像制御モジュール32のGDC32cが、マイクロコンピュータ32aの指示により、フラッシュROM32bの情報と組み合わせて案内画像33を生成し、LCOS32dが、GDC32cにより生成された案内画像33をコンバイナ26に表示させる表示光を出射する。Bluetoothモジュール31により受信される距離は1秒毎に更新されるので、生成される案内画像33の距離画像33aの数値も1秒毎に更新される。また、案内画像33の距離画像33aの数値だけでなく、時間画像33cの表示と時刻画像33dの時計図の表示とが1秒毎にそれぞれ更新される。そして、LCOS32dによる表示光の出射が開始されてから10秒経過すると、LCOS32dによる表示光の出射を終了し、ステップS108に進む。
【0052】
ステップS108では、マイクロコンピュータ32aがカウント値kに1を加算することによりカウント値をk=2にした後、ステップS102に戻る。
【0053】
そして、ステップS102にて新たな距離Dが受信される。その後、ステップS102で得られた新たな距離DがR2以下、即ちR2=4km(第5基準距離KY5)以下になっているか否かがステップS103で判定される。4km以下になってない状態では、NOと判定して表示光を出射することなく、ステップS102に戻される。この状態では、何ら表示光を出射しないので、案内画像33も表示されない。現在の走行位置の距離Dが、5km~4kmの間にあり、1秒ごとに距離Dが更新されているので、案内画像33の表示の条件を満足するまで、案内画像33を表示せずに走行する。
【0054】
そして、1秒毎に更新される距離DがD≦4kmになると、ステップS103において距離Dが4km以下になったと判定されるので、ステップS105及びステップS106を介してステップS107に進み、その時の距離に応じた案内画像33が10秒間表示され、その後、ステップS108に進んでカウント値がk=3となってステップS102に戻る。
【0055】
このようにして、RkがR3,R4,R5となった時に、上記のような案内画像33の短時間の表示を繰り返す。すなわち、R3=3km(第5基準距離KY5)、R4=2km(第5基準距離KY5)、R5=1km(第5基準距離KY5)になった時点で、例えば、
図6に示すような案内画像33を10秒間表示する。R5=1kmの位置を通過するごとに案内画像33を10秒間表示してからステップS108に進むと、k=k+1、即ちk=6となり、Rk=R6=500mになってステップS102に戻る。
【0056】
その後、ステップS102からステップS103に進み、案内地点までの距離Dが、案内地点に近い距離である500m(第1基準距離KY1)以下であるか否かを判定する。距離Dが500m以下になると、YESと判定してステップS103でD≦Rk(Rk=R6=500m)を満足するので、ステップS105に進む。ステップS105では、k=6であるか否かを判定する。この走行状態ではk=6であるので、YESと判定してステップS109に進む。
【0057】
ステップS109では、案内地点に近い距離としての表示を行う。すなわち、ステップS109に進み、D=0km(案内地点)になるまで、案内画像33をコンバイナ26に表示させるための表示光を出射し続ける。この時、GDC32cがマイクロコンピュータ32aの指示により案内画像33を生成し、LCOS32dが、GDC32cによって生成された案内画像33をコンバイナ26に表示させる表示光を出射する。具体的には、
図6及び
図7に示すように、案内画像33は、上の段右側に案内地点までの距離画像33aを黒色数値で表示し、上の段左側に案内地点における方向画像33bを青色矢印で表示する。尚、この方向画像33bの表示画像を第1進路方向画像33b1とする。また、案内画像33は、下の段右側に案内地点までの所要時間である時間画像33cを黒色数値で表示し、下の段左側に到着見込み時刻である時刻画像33dの時計図を黒色で表示する。尚、この第1基準距離KY1になった時の案内画像33は、各第5基準距離KY5になった時に10秒間表示する案内画像33と同じで、常時表示されるところが異なる。また、Bluetoothモジュール31により受信される距離は1秒毎に更新されるので、生成される案内画像33も1秒毎に更新される。すなわち距離画像33aの数値の表示が1秒毎に更新される。そして、ステップS110に進む。
【0058】
ステップS110では、Bluetoothモジュール31により受信される距離情報に示される距離Dが200m(第3基準距離KY3)以下である否かを判定する。ステップS109で、距離Dが200m以下でない場合には、NOと判定してステップS109に戻る。一方、距離Dが200m以下になると、YESと判定してステップS111に進む。
【0059】
ステップS111では、
図6及び
図8に示すように、案内画像33の青色矢印の表示画像である第1進路方向画像33b1が黄色矢印の表示画像である第2進路方向画像33b2に変更され、運転者に進行方向の注意を喚起して、ステップS112に進む。
【0060】
ステップS112では、Bluetoothモジュール31により受信される距離情報に示される距離Dが150m(第2基準距離KY2)以下であるか否かを判定する。ステップS112において距離Dが150m以下でない場合には、NOと判定してステップS111に戻る。一方、距離Dが150m以下になると、YESと判定してステップS113に進む。
【0061】
ステップS113では、
図6及び
図9に示すように、案内画像33の距離画像33aの数値表示を消して表示しないようにする。それによって、案内地点までの距離Dがかなり近くなって案内画像33に距離を表示する価値が低くなったことを認識させるとともに案内画像33の進行方向の表示を目立つようにした後、ステップS114に進む。尚、この時、案内画像33における時間画像33cや時刻画像33dは、案内画像33にそのまま表示しているが、これらの表示も消すようにしても良い。
【0062】
ステップS114では、Bluetoothモジュール31により受信される距離情報に示される距離Dが70m(第4基準距離KY4)以下であるか否かを判定する。ステップS114において距離Dが70m以下でない場合には、NOと判定してステップS113に戻る。一方、距離Dが70m以下になると、YESと判定してステップS115に進む。
【0063】
ステップS115では、
図6及び
図10に示すように、案内画像33における距離画像33aの数値表示が消えた状態において、第2進路方向画像33b2の黄色矢印の表示画像を赤色矢印の表示画像からなる第3進路方向画像33b3に変更し、進行方向の注意を更に喚起してステップS116に進む。なお、この時、案内画像33における時間画像33cや時刻画像33dは、案内画像33にそのまま表示しているが、これらの表示も消すようにしても良い。
【0064】
ステップS116では、Bluetoothモジュール31により受信される距離情報に示される距離Dが0mであるか否かを判定する。ステップS116において距離Dが0mでない場合には、NOと判定してステップS115に戻る。一方、距離Dが0mになると、YESと判定し、LCOS32dから照射されるすべての表示光を消して定常状態における案内画像33の表示を終了する。これら定常動作の終了後は、案内地点が切り替わり、次の定常動作が引き続き実行される。
【0065】
以上のように、本実施形態1では、案内地点までの距離Dが案内地点に近くなると、方向画像33bの進行方向の表示色を、例えば、青色から黄色、黄色から赤色に目立つように順に変更しているので、運転者の関心が距離情報よりも進行方向に向くようになっている。そして、案内地点に近い距離の位置になると距離画像33aの表示を中止するとともに方向画像33bを表示し続けるので、運転者が案内地点に近くなったことを強く認識することができるだけでなく、距離画像33aが運転者の正しい判断の妨げになるといったことを防止することができる。
【0066】
特に、実施形態1では、200m(第3基準距離KY3)の矢印の表示画像色を青色から黄色に変更し、この色変更後の150m(第2基準距離KY2)の地点で距離表示を中止するので、運転者は進行方向により強く注意力が注がれるようになる。その後、70m(第4基準距離KY4)の地点で方向画像33bの矢印の表示画像が黄色から赤色に代わるので、更に運転者は進行方向に注意が働くようになり、案内地点での進行方向を見間違うことなく案内通りに進行することができる。特に、距離の数値自体が数百メートル単位の大まかな数値で示されるナビゲーションシステムになっているので、短い距離の数値にこだわって距離画像33aを表示すると、案内地点までの距離と距離画像33aに表示される距離とが一致しないまま走行する可能性がある。従って、本実施形態1では、案内地点に近い距離(150m=第2基準距離KY2)になると、敢えて距離の数値表示をなくすことによって、運転者は距離数値に捉われることなく方向画像33bに注意力を注いで進行できるようになっている。
【0067】
尚、上記定常動作の説明では、自動二輪車が案内地点から5km以上離れた位置で、ナビゲーションシステム1を起動させた場合を例として説明したが、自動二輪車が案内地点から5km未満の位置でナビゲーションシステム1を起動させた場合であっても、表示光出射装置30は、
図5に示すフローチャートに応じて作動するようになっている。例えば、自動二輪車が案内地点から3.4km離れた位置でナビゲーションシステム1を起動させた場合を例として説明する。尚、上記の説明と類似するステップについては簡単な説明とする。
【0068】
自動二輪車が案内地点から3.4km離れた位置で第1スイッチ23を長押しすると、ヘッドアップディスプレイ装置40の表示光出射装置30が起動して、ステップS101において、マイクロコンピュータ32aによりカウント値kが1に初期化される。
【0069】
次に、ステップS102では、Bluetoothモジュール31が、カーナビアプリ14bを起動させた状態のスマートフォン10から1秒毎に更新されて送信される距離情報を受信し、ステップS103に進む。
【0070】
ステップS103では、距離D≦R1(R1=5km)を下回るという距離条件を満たしているか否かを判定する。D=3.4kmであるので、表示条件が満たされているとして、ステップS105に進む。
【0071】
ステップS105では、カウント値kがk=6であるか否かを判定する。カウント値kがk=1であるので、ステップS106に進む。
【0072】
ステップS106では、距離D≦Rk+1(Rk+1=R2=4km)を満足しているか否かを判定する。距離D=3.4kmであり、D≦4kmを満足するので、ステップS108に進む。
【0073】
ステップS108では、マイクロコンピュータ32aがカウント値kに1を加算することによりカウント値をk=2にした後、ステップS102に戻る。
【0074】
そして、ステップS102にて新たな距離Dが受信されると、ステップS103にて距離DがR2以下、即ちRk=R2=4km以下になっているか否かが判定される。現地点がD=3.4kmの位置であるので、判定条件を満足しているとして、ステップS105に進む。
【0075】
ステップS105では、カウント値kがk=6であるか否かが判定される。この時、カウント値kがk=2であり、k=6ではないので、判定条件を満足してないとしてステップS106に進む。
【0076】
ステップS106では、D≦Rk+1を満足するか否かが判定される。Rk+1=R3=3kmであり、現在の距離Dは、D=3.4kmであるので、D(3.4km)≦R3(3km)の判定条件を満足していない。従って、ステップS107に進む。尚、ここまでのステップの実行は、数ミリセカンドの時間で実行される。
【0077】
ステップS107では、画像制御モジュール32において現地点がD=3.4kmの位置での案内画像33が生成され、当該案内画像33の表示光がLCOS32dにより出射されてコンバイナ26に10秒間表示される。そして、表示光の出射を開始してから10秒経過すると、LCOS32dが表示光の出射を終了し、ステップS108に進む。
【0078】
ステップS108では、カウント値kをk=3にしてステップS102に戻る。このようにして、Rkが順次R3,R4,R5になるとともに現地点が3km、2km、1kmになると、それぞれ案内画像33の10秒の表示を行う。そして、RkがR6になるとともに現地点が案内地点から500mの位置になると、案内画像33の常時表示が実行される。
【0079】
以上のように、現在地が案内地点から3.4km地点にいると、
図5に示すフローチャートに応じて、カウント値kがk=1からk=2になるまで実行されて現在地が特定され、この地点で案内画像33の10秒間の表示を実行し、しかる後、順次3km、2km、1kmになった地点で、案内画像33の10秒間の表示を繰り返す。その後、RkがR6になるとともに現地点が案内地点から500mの位置になると、案内画像33の常時表示が実行される。
【0080】
また、自動二輪車が案内地点から0.4km離れた位置で第1スイッチ23が長押しされると、ヘッドアップディスプレイ装置40の表示光出射装置30が起動し、ステップS101において、カウント値kを1に初期化した後、順次k=1からk=6になるまで、上記で述べたようなステップを繰り返し、ステップS105で判定した後、k=6になるとステップS109に進み、上記で説明した案内地点に近くなったときの表示動作を実行する。すなわち、案内画像33の10秒間毎の表示を実行することなく、案内地点に近い位置での案内画像33の表示を実行する。
【0081】
以上述べたように、
図5に示すフローチャートにおいて、ナビゲーションシステム1を作動させて定常動作を行った場合に、例えば、案内地点から5km以上離れた位置でナビゲーションシステム1を作動させた場合には、案内地点からそれぞれ5km、4km、3km、2km、1kmとそれぞれ離れた位置において、10秒間、案内画像33の表示を行い、案内地点から500m以下の位置になると案内画像33の表示を常時行うようになっている。また、案内地点から5km離れた位置よりも案内地点に近い位置でナビゲーションシステム1を立ち上げた場合には、現在地がRkとRk+1との間、あるいはカウント値k=6の状態にあるか否かを寸時に判定するので、現在地を瞬間的に把握でき、必要なステップを実行できる。すなわち、ナビゲーションシステム1を作動させた場合には、どの位置であっても、カウント値kを1から順次1つずつ増やしていくフローを実行することによって、運転者の現在地を瞬時に特定して、必要なステップを実行できるようになっている。
【0082】
特に、案内地点までの距離が近い距離500m(第1基準距離KY1)以下になると、案内画像33を常時表示して案内し、極めて案内地点に近い位置(第2基準距離KY2)、例えば案内地点から150mの位置になると、案内画像33の距離画像33aの表示を中止して方向画像33bだけで案内するようになるので、案内地点に極めて近い位置における距離情報に運転者が左右されることなく、方向情報に従って正しいルートを走行することができる。
【0083】
一般的なナビゲーションシステムでは、車両の案内地点を数百メートル程度の概算値で測定して表示しているので、案内地点から数百メートル以内の極めて近い位置になると、距離の数値が正確でない可能性がある。それに対して、本発明では、上記のように案内地点に極めて近い位置になると、距離情報である距離画像33aを消去するので、運転者は案内画像33で案内地点に案内される際に距離画像33aに惑わされなくなる。その際、方向画像33bの表示状態を変更して目立つようにすることで、更に方向画像33bに運転者の注意が注がれるようになるので、運転者は方向画像33bに対する注意力が増して方向情報に従って確実に案内地点まで走行することができる。
【0084】
尚、案内地点から極めて近い位置までの距離である第2基準距離としては、100m~200m程度とすることが好ましい。
【0085】
(実施形態2)
実施形態2について、
図11に基づいて説明する。実施形態2が、実施形態1と異なるのは、運転者が第4基準距離(70m)に到達した時点で示す案内画像33の距離情報を変更した点であり、他は実施形態1と同じである。
【0086】
即ち、
図11に示すように、案内画像33の方向画像33bを、実施形態1の方向画像33bと同様に表示するとともに、「次の信号を右折して、〇方向」という案内地点における進行方向を文字で表す文字画像33eで判り易く表示するようにしている。この時、距離情報とともに時間画像も消されるようになっている。
【0087】
この実施形態2では、案内画像33に案内地点における交差点の情報が詳しく、且つ判り易く表示されるので、運転者は案内地点における進路方向の間違いを減らすことができる。
【0088】
(実施形態3)
実施形態3について、
図12に基づいて説明する。実施形態3が、実施形態1と異なるのは、運転者が第4基準距離(70m)に到達した時点で示す案内画像33を変更した点であり、他は実施形態1と同じである。
【0089】
即ち、実施形態3では、例えば、
図12に示すように、音声で説明する「〇方面」という言葉を判り易くなるように案内画像33にそのまま文字画像33fでも表示するようになっている。更に、案内画像33の下段には、現在案内されている案内地点のその次の案内地点における方向画像33gの矢印と距離画像33hの数値とが並べて表示されるようになっている。これらの次の案内地点における情報を案内画像33に付け足すことによって次の案内地点の情報が明確になり、運転者は安心して運転することができる。特に、次の案内地点がどの程度の距離にあるのか、或いは、どの方向にあるのかを簡単に理解できるようになり、運転者は進行方向を間違うことなく走行することができる。このように、次の案内地点が現在案内されている案内地点から近い位置であり、直ぐに次の案内地点の情報を必要とする場合、例えば、入り組んだ市街地を走行中において、現在案内されている案内地点からその次に案内される案内地点となる交差点が現在案内されている案内地点から50mや100mなどの近い距離に位置する場合に、運転者は進行方向を間違うこと無く走行することができるようになる。
【0090】
(その他の実施形態)
また、上記実施形態1~3において、定常動作による案内画像33の表示の開始時に案内画像33をフェードインさせるとともに、定常動作による案内画像の表示の終了時に案内画像をフェードアウトさせるようにLCOS32dが表示光を出射するようにしてもよい。これにより、案内画像33の表示の開始時には、コンバイナ26に表示される案内画像33が徐々に明るくなる一方、案内画像33の表示の終了時には、コンバイナ26に表示される案内画像33が徐々に暗くなるので、ヘルメット20を装着する運転者の目への負担を低減させることができる。
【0091】
また、上記実施形態1~3では、方向画像33bの表示画像の変更の例として、矢印の色を、青色から黄色、黄色から赤色に変えたが、この色に限られるものではなく、他の色でも良い。また、方向画像33bの変更表示は、走行時の邪魔にならない程度の目立つような表示にすればよく、例えば、矢印の点滅状態、矢印の太さや大きさ、これらの組み合わせ等を変更して表示するようにしてもよい。
【0092】
また、上記実施形態1~3では、第1基準距離を500m、第3基準距離を200m、第2基準距離を150m、第4基準距離を70mとそれぞれ設定しているが、これらの数値は一例であって、他の数値であっても良い。
【0093】
また、上記の数値は、車両の速度によって変更するようにしても良い。上記の数値は、渋滞状態、走行車線数の数、道幅の広さなどで、変更しても良い。また、上記の数値は、交差点、高速道路、インターチェンジなどで、変更しても良い。
【0094】
方向画像33bの矢印の色が変化する位置、即ち第3基準距離の200mの位置及び第4基準値距離の70mの位置と、距離画像33aの表示が消える位置、即ち第2基準距離の150mの位置とは異なるほうが、運転者の目に付き易くなるが、同じ位置にしても良い。
【0095】
第1基準距離、第2基準距離、第3基準距離、第4基準距離、第5基準距離の数値は、自動で設定されているが、手動で変更できるようにしても良い。
【0096】
第1基準距離、第2基準距離、第3基準距離、第4基準距離、第5基準距離の数値、即ち500m、1km、2km、3km、4km、5kmは一例であって、これらの数値に限られるものではなく、3km、2km、1km、500mでも良いし、3km、2.5km、2km、1.5km、1km、500m、300mでも良い。
【0097】
特に、案内地点から第1基準距離(500m)の位置より案内地点から遠い位置においては、第1基準距離よりも長い間隔(1km)の一定距離ごとに表示を実行する一方、第1基準距離が1kmよりも短いのであれば、異なる数値であっても良い。
【0098】
運転者が案内地点から500m離れた位置になったときの案内画像33と5km、4km、3km、2km、1kmになったときの案内画像33とを同じ種類のものとしたが、各位置において異なる案内画像33が表示されるようにしても良い。
【0099】
実施形態1~3では、第5基準距離の位置において案内画像33を表示する短い時間の例として、10秒を示したが、この数値は一例であって、この数値に限られるものではない。すなわち、運転者が、走行している中で、区切りの距離に来たことを認識できれば良いものであって、認識できるのであれば速やかに消して視界を広くした方が好ましいので、10秒より短くしても構わない。反対に、表示時間が長すぎると運転者の正しい判断の妨げになってしまうので、表示時間は長くても30秒以下にすることが好ましい。
【0100】
案内地点まで5km以上離れた位置でナビゲーションシステム1を作動させた場合には、案内画像33は定常動作を行わないが、他の案内画像を表示したり、或いは、音声情報が流れるようにしても良い。例えば、「案内地点まで5km以上離れています。このまま、走行道路に沿って進んでください」などの音声を出すようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、ヘルメットに装着されるコンバイナに案内画像を表示する表示光を出射する表示光出射装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 ナビゲーションシステム
10 通信機器スマートフォン
20 ヘルメット
26 コンバイナ
30 表示光出射装置
31 Bluetoothモジュール(無線通信部)
32 画像制御モジュール
32a マイクロコンピュータ
32b フラッシュROM
32c GDC(画像生成部)
32d LCOS(画像出射部)
33 案内画像
33a 距離画像
33b 方向画像
33b1 第1進路方向画像
33b2 第2進路方向画像
33b3 第3進路方向画像
33c 時間画像
33d 時刻画像
40 ヘッドアップディスプレイ装置
KY1 第1基準距離
KY2 第2基準距離
KY3 第3基準距離
KY4 第4基準距離
KY5 第5基準距離