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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】鎧張り施工構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20240828BHJP
【FI】
E04F13/08 101F
E04F13/08 101H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020015276
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021123850
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 俊文
(72)【発明者】
【氏名】大榊 浩史
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-071035(JP,U)
【文献】実開昭51-038331(JP,U)
【文献】実開昭62-131533(JP,U)
【文献】特開2015-042805(JP,A)
【文献】特開平06-033573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
千鳥の鎧張りで施工される鎧張り施工構造であって、
下段の建築板の前面にのみ当接して、前記下段の建築板を下地に固定する固定具で前記下段の建築板と共に固定された支持具を備え、
前記支持具は、
前記下地及び前記下段の建築板に固定される平板部と、前記平板部に設けられ上下方向に延びるリブと、を有する固定部と、
前記平板部の下端から前方に突出して、上段の建築板の下面を支持する支持部と、
前記支持部から前記上段の建築板の表面に沿うように突出して前記平板部と平行に延び、前記上段の建築板の下端に引っ掛かかる引っ掛け部と、を有し、
前記リブの下端は、前記平板部の下端よりも上方にあるとともに、平面視において前記引っ掛け部の上端よりも上方にある
鎧張り施工構造。
【請求項2】
前記支持具が、前記上段の建築板の下端における左右両端部を支持する、
請求項1に記載の鎧張り施工構造。
【請求項3】
前記上段の建築板の厚みは、0.5cm以上1cm以下であり、
前記引っ掛け部の厚みは、0.05cm以上0.3cm以下であり、前記引っ掛け部の突出方向の長さは、0.2cm以上5cm以下である、
請求項1又は2に記載の鎧張り施工構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鎧張り施工構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、壁材を鎧張り状に施工した構造が記載されている。この構造では、壁材の上下方向の中央部に釘やビス等の固着具が打ち込まれて、壁材が壁下地に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-042805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の構造は、高所等で用いた場合に、風が強いと、風にあおられて壁材がばたつくおそれがある。
【0005】
上記事情に鑑みて、本発明は、風にあおられて建築板がばたつくことを抑えることができる鎧張り施工構造を提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る鎧張り施工構造は、千鳥の鎧張りで施工される鎧張り施工構造であって、下段の建築板を下地に固定する固定具で共に固定された支持具が、上段の建築板の下端に引っ掛かっている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の鎧張り施工構造によれば、風にあおられて建築板がばたつくことを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る鎧張り施工構造を示す斜視図である。
図2図2は、同上の鎧張り施工構造が備える支持具を示す斜視図である。
図3図3Aは、同上の支持具を示す正面図であり、図3Bは、同上の支持具を示す側面図であり、図3Cは、同上の支持具を示す下面図であり、図3Dは、図3AのA-A線における断面図である。
図4図4A,Bは、同上の鎧張り施工構造の施工の工程を順に示す斜視図である。
図5図5AからCは、同上の鎧張り施工構造の施工の工程を順に示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.概要
本実施形態の鎧張り施工構造1は、図1に示すように、千鳥の鎧張りで施工される鎧張り施工構造1であって、下段の建築板2aを下地3に固定する固定具4で共に固定された支持具5が、上段の建築板2bの下端に引っ掛かっている。
【0010】
上記構成を備える本実施形態の鎧張り施工構造1では、支持具5が上段の建築板2bの下端に引っ掛かるため、高所で用いても、風にあおられて上段の建築板2bがばたつくことを支持具5によって抑えることができる。
【0011】
2.詳細
続いて、図1に示す本実施形態の鎧張り施工構造1について、更に詳しく説明する。本実施形態の鎧張り施工構造1は、外壁の構造である。以下では、図1に示す前後左右上下方向を用いて、鎧張り施工構造1の各構成について詳しく説明する。下地3に対して建築板2a,2bが位置する側である屋外側を前方とし、その反対側である屋内側を後方とし、各段における複数の建築板2a(2b)が並ぶ方向を左右方向とし、前後方向及び左右方向に対して直交する方向を上下方向としている。
【0012】
鎧張り施工構造1は、千鳥の鎧張り状に並んだ複数の建築板2と、複数の建築板2のそれぞれを下地3に固定する複数の固定具4と、複数の固定具4のうちの一部によって建築板2及び下地3に固定される複数の支持具5と、を備える。鎧張り施工構造1は、下地3の下端部に固定されるスタータ6を更に備える。
【0013】
下地3は、建物において建築板2が取り付けられる部分である。本実施形態の下地3は、壁下地であり、例えば、木質ボードである。木質ボードは、例えば合板であり、前面(屋外側の面)が鉛直面に対して略平行である。下地3の前面には、その下端部に、矩形板状のスタータ6が固定され、その上から複数の建築板2が千鳥の鎧張り状に取り付けられる。
【0014】
複数の建築板2のそれぞれは、本実施形態では、外壁板である。各建築板2は、図1に示すように、正面視略矩形状に形成された板体により構成されている。各建築板2は、本実施形態では、長さが50cm以上185cm以下であり、幅が40cm以上50cm以下であり、厚みが0.5cm以上1.0cm以下である。各建築板2は、上端の左右の端部がテーパ状に設けられている。また、各建築板2の下端は、左右に直線状に延びている。なお、当該下端は直線状に限らず、凹凸状であってもよい。
【0015】
各建築板2には、固定具4が通される複数の挿通孔20が設けられている。複数の挿通孔20のそれぞれは、各建築板2を厚み方向に貫通している。複数の挿通孔20は、左右方向に間隔をおいて位置している。本実施形態では、各建築板2の上下方向の中央部に、四つの挿通孔20が左右方向に略等間隔に設けられている。
【0016】
本実施形態の鎧張り施工構造1では、複数の建築板2が左右方向に並設されていると共に、上下方向にも並設されている。上下方向に隣り合う建築板2は、左右方向にずれており、いわゆる千鳥状に配置されている。本実施形態において、上下方向に隣り合う建築板2は、建築板2の左右方向の長さの半分ずれている。
【0017】
また、上下方向に隣り合う建築板2は、下段の建築板2aの上部の前側に、上段の建築板2bの下部が位置しており、いわゆる鎧張り状に配置されている。各建築板2は、下側の部分ほど前側に位置するように傾く姿勢で、下地3に固定されている。
【0018】
上下に隣り合う2枚の建築板2のうち、上段の建築板2bは、下段の建築板2aに固定された支持具5に支持された状態で、下地3に固定されている。
【0019】
図2及び図3AからDには、本実施形態の支持具5が示されている。支持具5は、例えば、一枚の金属板をプレス加工することによって形成される。支持具5は、固定部50と、支持部51と、引っ掛け部52と、を備えている。
【0020】
固定部50は、固定具4によって建築板2及び下地3に固定される部分である(図5A参照)。固定部50は、外形が略矩形の板状である。固定部50は、外形が略矩形の平板部500と、平板部500と一体であり前方(屋外側)に突出したリブ501と、平板部500の一部を厚み方向に貫通した挿通孔502と、を有する。
【0021】
本実施形態では、固定部50には、上下方向に延びた三つのリブ501が、左右方向に間隔をおいて互いに平行に設けられている。三つのリブ501の長手方向は、平板部500の長手方向と平行である。三つのリブ501のそれぞれは、長手方向に直交する断面形状が、前方に凸の円弧状である(図3D参照)。各リブ501の突出高さは、固定具4の頭部の厚みと同じ又は大きいことが好ましい。
【0022】
三つのリブ501のうち、左右方向中央に位置するリブ501は、左右両端に位置するリブ501よりも上下方向に短い。三つのリブ501の下端の位置は、互いに同じである。平板部500のうち、左右方向中央のリブ501の上方の部分に、挿通孔502が設けられている。挿通孔502は、固定具4が挿通可能に設けられている。
【0023】
支持部51は、上段の建築板2bの下面を支持する部分である(図5B参照)。支持部51は、固定部50の平板部500の下端の左右方向の中央部から前方に突出している。支持部51は、建築板2の下面に沿う略矩形の板状である。なお、建築板2の下面が凹凸状である場合、支持部51は当該凹凸状に沿う形状とすることが好ましい。
【0024】
本実施形態では、支持部51は、左右一対の平板部510と、その間に位置するリブ511とを有する。リブ511は、前後方向に直交する断面形状が、下方に凸の円弧状である。
【0025】
引っ掛け部52は、上段の建築板2bの下端部の前面に引っ掛かる部分である(図5B参照)。引っ掛け部52は、支持部51の前端から上方に突出している。引っ掛け部52は、上段の建築板2bの前面に沿う略矩形の板状である。引っ掛け部52は、左右一対の平板部520と、その間に位置するリブ521とを有する。リブ521は、上下方向に直交する断面形状が、前方に凸の円弧状である。
【0026】
引っ掛け部52と支持部51とは、左右方向の長さが互いに同じである。リブ521は、リブ511に連続し、左右一対の平板部520は、左右一対の平板部510にそれぞれ連続している。
【0027】
固定部50の平板部500と支持部51の左右一対の平板部510とは、略直角に連続しており、支持部51の左右一対の平板部510と引っ掛け部52の左右一対の平板部520とは、略直角に連続している。固定部50の平板部500と引っ掛け部52の左右一対の平板部520とは、互いに平行である。
【0028】
本実施形態では、支持部51の左右方向の長さは、1cm以上5cm以下であり、支持部51の厚み(平板部510の上面からリブ511の下端までの距離)は、0.05cm以上0.3cm以下である。
【0029】
引っ掛け部52の左右方向の長さは、1cm以上5cm以下であり、引っ掛け部52の厚み(平板部520の後面からリブ521の前端までの距離)は、0.05cm以上0.3cm以下である。引っ掛け部52の上下方向の長さ(平板部510の上面から引っ掛け部52の上端までの距離)は、0.2cm以上5cm以下である。
【0030】
支持具5は、固定部50の挿通孔502に挿通された固定具4が、建築板2の挿通孔20を通って下地3に打ち込まれることで、建築板2及び下地3に固定される。支持具5は、固定部50の平板部500の後面が建築板2の前面の上下方向の中央部に当接する。支持具5が建築板2及び下地3に固定された状態で、支持具5の支持部51は、水平方向に対して僅かに前上がりに傾き、引っ掛け部52は、建築板2の前面に対して平行である。
【0031】
支持具5が固定された建築板2(下段の建築板2a)の上段に位置する建築板2(上段の建築板2b)は、支持具5の支持部51によって下方から支持される。本実施形態の鎧張り施工構造1では、上段の建築板2bは、その下方に位置する左右二枚の下段の建築板2aに固定された二つの支持具5の支持部51によって、建築板2bの下面の左右の端部がそれぞれ支持され、二つの支持具5の引っ掛け部52が、建築板2bの下端部の前面の左右の端部に引っ掛かる。詳しくは、右側の建築板2aに固定された二つの支持具5のうち、左側に位置する支持具5と、左側の建築板2aに固定された二つの支持具5のうち、右側に位置する支持具5とによって、上段の建築板2bの下端の左右方向の端部が支持される。これにより、上段の建築板2bは、二つの支持具5によって下方及び前方への移動が規制されて、仮支持される。上段の建築板2bは、上段の建築板2bが有する複数の挿通孔20に挿通された固定具4によって下地3に固定されている。
【0032】
続いて、本実施形態の鎧張り施工構造1の施工方法の一例を、図4A,B、図5AからC、及び図1に基づいて説明する。
【0033】
図4Aに示すように、施工者は、下地3の前面の下端部に、スタータ6を固定する。スタータ6は、下地3の前面に対して平行に取り付けられる。
【0034】
次いで、施工者は、スタータ6の上から、一段目の複数の建築板2を下地3に固定する。一段目の複数の建築板2は、その下部がスタータ6の前側に重なるように配置し、各建築板2の複数の挿通孔20のそれぞれに固定具4を挿通させて下地3に打ち込むことで、下地3に固定する。ここで、各建築板2に挿通する四つの固定具4のうちの左右方向中央に位置する二つの固定具4を用いて、各建築板2の左右方向の中央部に二つの支持具5を固定する。
【0035】
二つの支持具5のそれぞれは、固定部50の平板部500を各建築板2の前面に当接させ、挿通孔502が各建築板2の対応する挿通孔20の前方に位置するように配置され、この状態で、固定具4を前側(屋外側)から打ち込むことで、下地3及び各建築板2に固定される。
【0036】
次いで、施工者は、一段目の複数の建築板2の上から、二段目の複数の建築板2を下地3に固定する。二段目の複数の建築板2は、その下部が一段目の複数の建築板2の上部の前側に重なり、かつ、二段目の各建築板2が一段目の各建築板2に対して建築板2の半分の長さだけ左右方向にずれて位置するように配置する。このとき、二段目の各建築板2は、その下端の左右の端部が、各建築板2の下方に位置する左右二つの建築板2に固定された支持具5の支持部51に載るように配置する。これにより、二段目の各建築板2は、一段目の各建築板2に固定された支持具5によって仮支持される。
【0037】
次いで、図4A及び図5Aに示すように、二段目の各建築板2の複数の挿通孔20のそれぞれに固定具4を挿通して、各建築板2を下地3に固定する。このとき、二段目の各建築板2に対しても、一段目の各建築板2と同様に、左右方向の中央部に二つの支持具5を固定する。二段目の各建築板2は、下地3の前面に対して若干前下がりの傾いた姿勢で固定される。
【0038】
次いで、図4B及び図5Bに示すように、施工者は、二段目の複数の建築板2の上から、三段目の複数の建築板2を下地3に固定する。三段目の複数の建築板2は、その下部が二段目の複数の建築板2の上部の前側に重なり、かつ、三段目の各建築板2が二段目の各建築板2に対して建築板2の半分の長さだけ左右方向にずれて位置するように配置する。このとき、三段目の各建築板2は、その下端の左右の端部が、各建築板2の下方に位置する左右二つの建築板2に固定された支持具5の支持部51に載るように配置する。これにより、三段目の各建築板2は、二段目の各建築板2に固定された支持具5によって仮支持される。
【0039】
次いで、図1及び図5Cに示すように、三段目の各建築板2の複数の挿通孔20のそれぞれに固定具4を挿通して、各建築板2を下地3に固定する。このとき、三段目の各建築板2に対しても、一段目及び二段目の各建築板2と同様に、左右方向の中央部に二つの支持具5を固定する。三段目の各建築板2は、下地3の前面に対して若干前下がりの傾いた姿勢で固定される。
【0040】
上述した施工方法と同様の方法で、下地3に四段目以降の建築板2を複数段取り付けることで、本実施形態の千鳥の鎧張り施工構造1を備える外壁が形成される。
【0041】
なお、上下に隣り合う二枚の建築板2のうち、下側の建築板2が下段の建築板2aであり、上側の建築板2が上段の建築板2bである。
【0042】
3.作用効果
以上説明した本実施形態の鎧張り施工構造1では、上下に隣り合う二枚の建築板2のうち、下段の建築板2aと共に下地3に固定した支持具5を上段の建築板2bの下端部の左右方向の端部に引っ掛けることができるため、上段の建築板2bが風にあおられて下端部がばたつくことを抑えることができる。
【0043】
また、本実施形態の鎧張り施工構造1では、支持具5の支持部51が、上段の建築板2bの影の出来やすい下面に沿うため目立ちにくく、また、支持具5の引っ掛け部52が、建築板2に比べてサイズが非常に小さいため目立ちにくい。そのため、本実施形態の鎧張り施工構造1では、支持具5のうちの屋外側に露出する部分(支持部51及び引っ掛け部52)が目立つことを抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態の鎧張り施工構造1では、支持具5のうち、屋外側に露出する支持部51と引っ掛け部52がリブ511,521を一部に有するため、剛性を確保したうえでサイズを抑えることができて、目立ちにくい。
【0045】
また、本実施形態の鎧張り施工構造1では、支持具5の取り付けを、下段の建築板2aの固定に用いる固定具4を用いて行うことができるため、施工の工程が増加することを抑制できる。
【0046】
また、本実施形態の鎧張り施工構造1では、下段の建築板2aに取り付けた支持具5によって、上段の建築板2bを仮支持した後、上段の建築板2bを固定具4で下地3へと固定することができるため、上段の建築板2bを下地3に固定する施工が行いやすい。高所において施工する場合には、上記の効果が特に有効である。
【0047】
4.変形例
続いて、上述した本実施形態の鎧張り施工構造1の変形例について説明する。
【0048】
鎧張り施工構造1は、外壁に限らず、屋根を構成してもよい。つまり、建築板2は、外壁板に限らず、屋根板、内装板等であってもよい。
【0049】
支持具5は、図2及び図3AからDに示す構造に限らず、その他の構造であってもよい。例えば、支持具5の支持部51及び引っ掛け部52は、リブ511,521を有さず、平板状に設けてもよい。また、支持部51及び引っ掛け部52の寸法は、上述した範囲に限定されず、適宜変更可能である。
【0050】
上段の建築板2bの下端における支持具5によって支持される箇所は、左右方向の端部に限らず、その他の部分であってもよい。
【0051】
5.まとめ
以上説明した実施形態及びその変形例から明らかなように、第一態様の鎧張り施工構造1は、下記の構成を備える。
【0052】
すなわち、第一態様の鎧張り施工構造1は、千鳥の鎧張りで施工される鎧張り施工構造1であって、下段の建築板2aを下地3に固定する固定具4で共に固定された支持具5が、上段の建築板2bの下端に引っ掛かっている。
【0053】
上記構成を備えることで、第一態様の鎧張り施工構造1では、支持具5が上段の建築板2bの下端に引っ掛かるため、高所等で用いても、風にあおられて上段の建築板2bがばたつくことを支持具5によって抑えることができる。
【0054】
また、上述した実施形態及びその変形例から明らかなように、第二態様の鎧張り施工構造1は、第一態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0055】
すなわち、第二態様の鎧張り施工構造1では、支持具5は、上段の建築板2bの下端における左右両端部を支持する。
【0056】
上記構成を備えることで、第二態様の鎧張り施工構造1では、支持具5が上段の建築板2bの下端の左右両端部を支持するため、支持具5が上段の建築板2bの下端の左右方向の中央部を支持する場合や、支持具5が上段の建築板2bの下端の左右方向の中央部から端部にわたって支持する場合と比べて、支持具5の露出を抑えることができる。
【0057】
また、上述した実施形態及びその変形例から明らかなように、第三態様の鎧張り施工構造1は、第一又は第二態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0058】
すなわち、第三態様の鎧張り施工構造1では、支持具5は、上段の建築板2bの下面に沿う支持部51と、支持部51から上段の建築板2bの表面に沿うように突出した引っ掛け部52と、を有する。上段の建築板2bの厚みは、0.5cm以上1cm以下であり、引っ掛け部52の厚みは、0.05cm以上0.3cm以下であり、引っ掛け部52の突出方向の長さは、0.2cm以上5cm以下である。
【0059】
上記構成を備えることで、第三態様の鎧張り施工構造1では、上段の建築板2bの下端の左右の端部が引っ掛けられる支持具5のうちの屋外側に露出する部分(支持部51及び引っ掛け部52)のサイズを抑えることができて、この部分が目立つことを抑制することができる。
【0060】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 鎧張り施工構造
2a 下段の建築板
2b 上段の建築板
3 下地
4 固定具
5 支持具
51 支持部
52 引っ掛け部
図1
図2
図3
図4
図5