(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】クレーン玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 33/30 20060101AFI20240828BHJP
A63H 17/12 20060101ALI20240828BHJP
B66C 1/28 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
A63H33/30 G
A63H17/12
B66C1/28 C
(21)【出願番号】P 2020037593
(22)【出願日】2020-03-05
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川崎 秋満
(72)【発明者】
【氏名】橋本 真実
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 健一
(72)【発明者】
【氏名】叶内 茂
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】実公昭30-018956(JP,Y1)
【文献】特開平09-086857(JP,A)
【文献】特開2019-120087(JP,A)
【文献】特開2002-145574(JP,A)
【文献】実公昭49-026959(JP,Y1)
【文献】実開昭57-087799(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 33/30
A63H 17/12
B66C 1/00-1/68
B66C 3/00-3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のバケット片の各々が所定の水平な軸を中心に回転可能に構成され、前記バケット片の回転によって、前記一対のバケット片が閉状態と開状態とを取るとともに、前記一対のバケット片が常態で自重によって閉状態を取るバケットと、
前記バケットが付設された支持部材と、
前記バケットを昇降させる昇降装置と、
を備え、
前記一対のバケット片の各々の下側には、前記バケットの内方且つ斜め下方を向くように傾斜し、
上方から対象物に当たった際に前記バケットの降下に伴う摺接によって前記一対のバケット片を開状態とする摺接部が形成され、
前記昇降装置によって前記バケットを降下させることにより前記一対のバケット片を前記対象物に摺接させ開状態とするとともに、前記バケットを上昇させることにより前記一対のバケット片を閉状態として前記対象物を捕捉するように構成され、
前記支持部材は、平面視で、前記対象物を捕捉する第1位置と、前記第1位置とは異なる第2位置とを取るように、鉛直な第2軸を中心に90度の範囲で回転可能に構成され、
前記バケットは、前記支持部材が前記第2軸を中心に90度回転したときに、前記第2軸を中心に90度公転するとともに、鉛直な第1軸を中心に90度自転するように構成され、
さらに、前記バケットの外側面には、下方から外力を受けたときに前記一対のバケット片を開状態とする突起が設けられ、
斜に延びる前記支持部材には、前記第2位置にあるとき、前記バケットの降下途中に、前記突起が突き当たる凸部が設けられている、
ことを特徴とするクレーン玩具。
【請求項2】
前記バケットの下辺部は、隙間を隔てて並設された複数の掬い片から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のクレーン玩具。
【請求項3】
前記バケットは、前記支持部材によって支持され且つ前記バケットの昇降を許容するように動作する棒状部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクレーン玩具。
【請求項4】
前記バケットは、前記支持部材に取り付けられ且つ前記バケットの昇降を許容するように動作する棒状部材に取り付けられ、前記棒状部材はテレスコピック式に伸縮可能に構成された筒体から構成され、前記バケットは前記筒体に通された紐体の一端に連係され、前記昇降装置は、前記紐体を緊張・弛緩させることによって前記棒状部材の動作を伴って前記バケットを昇降させることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のクレーン玩具。
【請求項5】
前記紐体の中に弾性体が含まれていることを特徴とする請求項4に記載のクレーン玩具。
【請求項6】
前記紐体の途中部分にコイルばねが掛けられ、前記紐体は、緊張状態で当該コイルばねの箇所で折り返されて前記バケットとは反対側の端が固定部に固定され、当該コイルばねを動作させることにより、前記紐体を緊張・弛緩させることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のクレーン玩具。
【請求項7】
前記バケットを上昇させたときに前記バケットが突き当たり前記一対のバケット片に閉状態を維持させる突当て部を備えることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項に記載のクレーン玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクレーン玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレーン玩具として特許文献1に記載のものが知られている。このクレーン玩具は、一対のバケット片を支軸によって揺動自在に支持させるとともに、この支軸を巻上げワイヤーの下端に取り付けた筒部材と一体の吊り下げ板に穿接した長孔に支持させている。そして、吊り下げ板の長孔よりも下側位置に、両端をバケットの略中間部に軸支した揺動板の他端折曲げ部を枢支させ、この他端折曲げ部をバケットが開いたとき略垂直状になるように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この構造のクレーン玩具によれば、常態でバケットが閉じられた状態にあり、バケットを降下させると抱持部の下端部が対象物に当たり、尚も、バケットを降下させると抱持腕が開く。そして、この状態で対象物を内部に抱持し、対象物の上端が揺動板の折曲げ部の端部に当たり当該端部を押し上げ、支軸が上動して抱持腕が閉じられる。
しかしながら、長孔や、折曲げ部が形成された揺動板を必要とし、構造が複雑であり、より簡単な構造のクレーン玩具が望まれる。
本発明は、かかる実情に鑑みなされたもので、構造簡素なクレーン玩具を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段は、
一対のバケット片の各々が所定の水平な軸を中心に回転可能に構成され、前記バケット片の回転によって、前記一対のバケット片が閉状態と開状態とを取るとともに、前記一対のバケット片が常態で自重によって閉状態を取るバケットと、
前記バケットが付設された支持部材と、
前記バケットを昇降させる昇降装置と、
を備え、
前記一対のバケット片の各々の下側には、前記バケットの内方且つ斜め下方を向くように傾斜し、上方から対象物に当たった際に前記バケットの降下に伴う摺接によって前記一対のバケット片を開状態とする摺接部が形成され、
前記昇降装置によって前記バケットを降下させることにより前記一対のバケット片を前記対象物に摺接させ開状態とするとともに、前記バケットを上昇させることにより前記一対のバケット片を閉状態として前記対象物を捕捉するように構成され、
前記支持部材は、平面視で、前記対象物を捕捉する第1位置と、前記第1位置とは異なる第2位置とを取るように、鉛直な第2軸を中心に90度の範囲で回転可能に構成され、
前記バケットは、前記支持部材が前記第2軸を中心に90度回転したときに、前記第2軸を中心に90度公転するとともに、鉛直な第1軸を中心に90度自転するように構成され、
さらに、前記バケットの外側面には、下方から外力を受けたときに前記一対のバケット片を開状態とする突起が設けられ、
斜に延びる前記支持部材には、前記第2位置にあるとき、前記バケットの降下途中に、前記突起が突き当たる凸部が設けられている、
ことを特徴とする。
【0006】
第2の手段は、第1の手段であって、前記バケットの下辺部は、隙間を隔てて並設された複数の掬い片から構成されていることを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、第1又は第2の手段であって、前記バケットは、前記支持部材によって支持され且つ前記バケットの昇降を許容するように動作する棒状部材に取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
第4の手段は、第1の手段~第3のいずれかであって、前記バケットは、前記支持部材に取り付けられ且つ前記バケットの昇降を許容するように動作する棒状部材に取り付けられ、前記棒状部材はテレスコピック式に伸縮可能に構成された筒体から構成され、前記バケットは前記筒体に通された紐体の一端に連係され、前記昇降装置は、前記紐体を緊張・弛緩させることによって前記棒状部材の動作を伴って前記バケットを昇降させることを特徴とする。
【0009】
第5の手段は、第4の手段であって、前記紐体の中に弾性体が含まれていることを特徴とする。
【0010】
第6の手段は、第4又は第5の手段であって、前記紐体の途中部分にコイルばねが掛けられ、前記紐体は、緊張状態で当該コイルばねの箇所で折り返されて前記バケットとは反対側の端が固定部に固定され、当該コイルばねを動作させることにより、前記紐体を緊張・弛緩させることを特徴とする。
【0011】
第7の手段は、第1~第6のいずれかの手段であって、前記バケットを上昇させたときに前記バケットが突き当たり前記一対のバケット片に閉状態を維持させる突当て部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1の手段及び第2の手段によれば、バケットを降下させることにより、摺接部が対象物に当たり摺接することによりバケットが開状態となり、その後、バケットを上昇させるとバケットが閉状態となるので、対象物が捕捉されることになる。このようにバケットの下端に摺接部を設けるだけなので、構造がきわめて簡素となる。
また、第2位置でバケットを降下させればバケットが開状態となるので捕捉した対象物を解放することができる。
また、支持部材が回転するとバケットが向きを変えるので、対象物を適切な向きで、捕捉することができる。
また、支持部材が90度回転したときに、バケットが90度自転するので、捕捉時と同じ向き或いは反対の向きで対象物を解放することができる。
【0018】
第2の手段によれば、バケットは、隙間を隔てて並設された複数の掬い片から構成されているので、対象物が自動車玩具の場合、隣り合う掬い片の隙間に自動車玩具の車輪が入り込むことによって、自動車玩具の捕捉が容易となる。
【0019】
第3の手段によれば、バケットの昇降を許容するように動作する棒状部材に取り付けられているので、横揺れが少なくなり、狙った位置で確実に対象物を捕捉することができる。
【0024】
第4の手段によれば、紐体の緊張・弛緩によってバケットを昇降させるため、構造がきわめて簡素となる。
【0025】
第5の手段によれば、紐体中に弾性体が含まれているため、動作時に紐体に加わる衝撃が緩和される。
【0026】
第6の手段によれば、紐体の折り返し部分をコイルばねを介して動作させているため、コイルばねのストロークよりもバケットのストロークを大きくすることができる。
【0027】
第7の手段によれば、対象物を捕捉したバケットが上昇したときに、確実に、対象物を保持し続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施形態のクレーン車玩具を側方側から見た斜視図である。
【
図2】クレーン車玩具を後方側から見た斜視図である。
【
図3】クレーン玩具を下方側から見た斜視図である。
【
図4】支持部材内の機構を露出させたクレーン玩具の側面図である。
【
図5】支持部材内の機構の一部を側方側から見た斜視図である。
【
図7】棒状部材を伸長させた場合のバケット及び棒状部材の側面図である。
【
図13】荷台部分の一部を切り欠いた本体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0030】
(全体構成)
図1は、実施形態のクレーン車玩具100を側方側から見た斜視図、
図2は、使用状態のクレーン車玩具100を後方側から見た斜視図である。
実施形態のクレーン車玩具100はクレーン玩具10を本体50に備えている。クレーン玩具10は、一対のバケット片31,32から構成されたバケット30を備えている。そして、
図1の状態にあるクレーン車玩具100で対象物(例えば自動車玩具)90を捕捉するには、クレーン車玩具100の本体50の定置板51を横に倒し(
図2)、この定置板51の上に対象物90を載置する。次に、クレーン玩具10の支持部材15を手で平面視で時計方向に90度回転させる(
図2)。このとき、バケット30は支持部材15に対して90度回転する。これにより、一対のバケット片31,32の前後が入れ替わる。ここまでは、支持部材15に付設されたレバー13は、支持部材15の下端側に位置している。
次に、支持部材15の下端部のボタン12を押す。すると、支持部材15の下端部にあったレバー13が支持部材15に沿って上動するとともに、バケット30が降下する。バケット30が対象物90に当たると、一対のバケット片31,32が開いて対象物90を掴む。その後、レバー13を手で支持部材15の下端側の元位置まで引き下げる。すると、対象物90を掴んだバケット30が上昇する。
次に、支持部材15を先程とは反対に90度回転させる。これにより、一対のバケット片31,32の前後が元通りとなる。この位置で、ボタン12を再度押すと、バケット30が降下し、一対のバケット片31,32が開かれ、対象物90はクレーン車玩具100の荷台52に落下する。荷台52に落下した対象物90はクレーン車玩具100の本体50のレバー53を操作することで後方に排出される。
【0031】
(細部構成)
1.クレーン玩具10
図3は、クレーン玩具10を下方側から見た斜視図、
図4は、支持部材15内の構造を露出させたクレーン玩具10の側面図である。
クレーン玩具10は板状の基板14を備えている。そして、クレーン玩具10は基板14を嵌合することによってクレーン車玩具100の本体50に取り付けられる。基板14には、斜め上方に延び上端部が水平に屈曲された支持部材(ブーム)15が設けられている。また、支持部材15の上端部には、棒状部材26を介してバケット30が支持されている。支持部材15は基板14に対して回転可能に設けられている。
【0032】
図5は、支持部材15内の構造の一部を側面側から見た斜視図である。
支持部材15内の下端部には、上下方向に延びる軸17が基板14に固定して設けられている。軸17には、円板18及び歯車19が固定されている。また、支持部材15内には、円板18の上に、ラック部材20が設置されている。ラック部材20は支持部材15が軸17を中心に回転したときに、それに追従して軸17を中心に回転する。ラック部材20の歯20aは歯車19に噛合している。
【0033】
支持部材15内の中間部には回動部材21が設けられている。回動部材21は、長手方向中央部が軸21a(
図4)を介して支持部材15に取り付けられている。回動部材21の下端部は、支持部材15内の下端部まで延び、ピンと長孔との係合によって、ラック部材20の一端部に結合されている。また、回動部材21の上端は、支持部材15内の上端部近くまで延びている。
【0034】
支持部材15内の上端部にはラック部材22が設けられている。回動部材21の上端は、ピンと長孔との係合により、このラック部材22の他端部に結合されている。また、支持部材15内の上端部には円板23及び歯車24が設けられている。そして、歯車24はラック部材22の歯22aに噛合している。
【0035】
図6は、棒状部材26を縮めた状態の棒状部材26及びバケット30の側面図、
図7は、棒状部材26を伸ばした状態の棒状部材26及びバケット30の側面図である。
円板23の下には棒状部材26が固定して設けられている。棒状部材26は支持部材15に回転可能に支持されている。棒状部材26は、5つの筒状部26a、26b、26c、26d、26eから構成されている。5つの筒状部26a、26b、26c、26d、26eの外径は、この順に段階的に小さくなっており、最大径の筒状部26aの中に他の筒状部26b、26c、26d、26eが入子式に収められている。そして、5つの筒状部26a、26b、26c、26d、26eから構成される棒状部材26はテレスコピック式に伸縮可能に構成されている。この棒状部材26にバケット30を取り付けているので、横揺れが少なくなり、狙った位置で確実に対象物を捕捉することができる。この棒状部材26は、テレスコピック式に伸縮可能なものでなくてもよい。バケット30の昇降に伴って上下動するものであってもよい。
なお、最大径の筒状部26aの下端は突当て部を構成し、バケット30が上昇した際に一対のバケット片31,32の上辺部31a,32aが突き当たり、確実に、対象物を保持し続けることができる。
【0036】
図8は、バケット30の側面図である。
バケット30は、筒状部26eの下に固定された円板27が取り付けられている。
すなわち、バケット片31は、軸28aを介して円板27に取り付けられている。このバケット片31は、水平方向に延びる上辺部31aと、上辺部31aの先から外方斜め下方に延びる斜辺部31bと、斜辺部31bの先から下方に延びる側辺部31cと、側辺部31cの下端から内方に延びる下辺部31dとから構成されている。この場合、対象物90にもよるが、下辺部31dの先端は対象物90の下に潜り込んで掬うことができるように先細りしていることが好ましい。
また、バケット片32は、軸28bを介して円板27が取り付けられている。このバケット片32は、水平方向に延びる上辺部32aと、上辺部32aの先から外方斜め下方に延びる斜辺部32bと、斜辺部32bの先から下方に延びる側辺部32cと、側辺部32cの下端から内方に延びる下辺部32dとから構成されている。
バケット30は、側辺部31c,32cの内側が互いに対向するように2つのバケット片31,32を向かい合わせて構成されている。
【0037】
図9は、バケット30を下方から見た斜視図である。
バケット片31の下辺部31dは幅方向にフォーク状に隙間を隔てて並んだ3つの掬い片311,312,313から構成されている。また、真ん中の掬い片312には幅方向に並んだ3枚の突片からなる摺接部31fが隙間を隔てて形成されている。一方、バケット片32の下辺部32dは幅方向にフォーク状に隙間を隔てて並んだ3つの掬い片321,322,323から構成されている。また、真ん中の掬い片に322は幅方向に隙間を隔てて並んだ3枚の突片からなる摺接部32fが形成されている。バケット片31,32の下辺部31d,32dをフォーク状に構成することにより、対象物90が自動車玩具の場合、隣り合う掬い片の隙間に自動車玩具の車輪が入り込むことによって、自動車玩具の捕捉が容易となる。
摺接部31f,32fの各々は、下辺部31d,32dから略直角3角形状に張り出し、斜辺が内方斜め下方を向くように、斜辺以外の一辺が対応するバケット片31,32の下辺部31d,32dに結合された形となっている。各斜辺は対応するバケット片31,32の下辺部31d,32dの内端まで延びている。そして、バケット片31,32において、軸28a,28bと摺接部31f,32fの各点までの距離は同じか、或いは、バケット30の内方に向けて当該距離が徐々に小さくなっている。要は、摺接部31f,32fが対象物90に当接したときにバケット30に開く方向の力のモーメントを生じさせることである。
また、バケット片31,32において、斜辺部31b,32bと側辺部31c,32cとの角部には、斜辺部31b,32bを延出した形で外方に張り出す突起31g,32gが設けられている。この突起31g,32gは、下方からの外力によって一対のバケット片31,32を開かせる働きをする。
【0038】
図10は、バケット30の動作を示す側面図である。
バケット30が降下すると、先ず、一対のバケット片31,32の摺接部31f,32fが対象物90の角に当たる(
図10のA位置)。さらに、バケット30が降下すると、摺接部31f,32fが対象物90の角に摺接しながら開かれ、下辺部31d,32dの先端が対象物90の角に当たる(
図10のB位置)。さらに、バケット30が降下すると、摺接部31f,32fが対象物90の前面及び後面に摺接しながら、下辺部31d,32dの先端が対象物90の下に潜り込み、一対のバケット片31,32が閉じられる(
図10のC位置)。
【0039】
図11は、バケット30を昇降させる昇降装置40を示した側面図である。
クレーン玩具10には、バケット30を昇降させる昇降装置40が設けられている。
昇降装置40は、紐体41、コイルばね42、ボタン12及びレバー13を備える。紐体41は、支持部材15側から棒状部材26の内部を通され一端がバケット30に連係されている。紐体41は、支持部材15側では、ローラ45の一部に巻き掛けられた後、コイルばね42の一端のフック42aに通され、他端が支持部材15内の固定部15aに固定されている。
図12は、レバー13及びボタン12を上方側から見た斜視図である。
また、コイルばね42の他端はレバー13のばね掛け部13aに結合されている。レバー13は支持部材15の背板に沿って上下動可能となっている。レバー13には爪13bが形成されている。爪13bは支持部材15内に位置している。
また、ボタン12は支持部材15に対して出没可能に構成され、図示しないコイルばねによって突出方向に向けて付勢されている。ボタン12の基端は支持部材15内に位置し、そこには矩形板状の係止片12aが付設されている。係止片12aには、レバー13が下動したときに爪13bが入り込む開口12bが形成されている。そして、レバー13が下動したときに爪13bが開口12bの縁に係止される。また、この状態でボタン12が押されると、爪13bが開口12bの縁から外れ、バケット30の降下に伴ってレバー13が上動する。
【0040】
2.本体50
図13は本体50の後部の一部を側方側から見た斜視図である。
クレーン車玩具100の本体50の右側面後部には、レバー53が突出して設けられている。このレバー53は前後方向に動作可能に構成され、荷台52の下方で幅方向に延びる横木54に連結されている。横木54は、一端が軸52aに支持された荷台52を下方から支持する。すなわち、荷台52の下には傾斜摺接部52bが形成され、横木54はこの傾斜摺接部52bに下方から当接している。そして、レバー53を前方に動作させると、荷台52が後方に向けて下り勾配を持つように傾く。また、荷台52の上の対象物90が荷台52から排出される際に、対象物90の突き当たりによって上端の軸55aを中心に後扉55が開く。これによって対象物90が本体50の後方に排出される。
【0041】
(変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず種々の変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、手動で支持部材15やバケット30を動作させたが、電動によって動作させてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、棒状部材26をテレスコピック式に伸縮できるように構成したが、伸縮しない棒状部材を用いて、バケット30の昇降時に棒状部材を上下に移動させるようにしてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、紐体41の中にゴムやコイルばね等の弾性体を含んでいてもよい。さらに、上記コイルばね42に代えてゴム等を設けてもよい。
【0044】
さらに、上記実施形態では、紐体41を用いてバケット30を昇降させるようにしたが、棒状部材を動作させることによってバケット30を昇降させてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 クレーン玩具
13 レバー
15 支持部材
15a 固定部
26 棒状部材
27 円板
30 バケット
31,32 バケット片
31f,32f 摺接部
31g,32g 突起
40 昇降装置
41 紐体
42a フック
50 本体
51 定置板
52 荷台
52b 傾斜摺接部
55 後扉
90 対象物
100 クレーン車玩具