IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立オートモティブシステムズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-検査装置および検査方法 図1
  • 特許-検査装置および検査方法 図2
  • 特許-検査装置および検査方法 図3
  • 特許-検査装置および検査方法 図4
  • 特許-検査装置および検査方法 図5
  • 特許-検査装置および検査方法 図6
  • 特許-検査装置および検査方法 図7
  • 特許-検査装置および検査方法 図8
  • 特許-検査装置および検査方法 図9
  • 特許-検査装置および検査方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】検査装置および検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/952 20060101AFI20240828BHJP
【FI】
G01N21/952
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020114599
(22)【出願日】2020-07-02
(65)【公開番号】P2022012629
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002549
【氏名又は名称】弁理士法人綾田事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 高輝
(72)【発明者】
【氏名】吉村 和士
(72)【発明者】
【氏名】今泉 貴正
(72)【発明者】
【氏名】林 裕之
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/112055(WO,A1)
【文献】特開2016-065782(JP,A)
【文献】特開2005-010036(JP,A)
【文献】特開2013-185831(JP,A)
【文献】特開平04-268486(JP,A)
【文献】特開平04-204144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状または円柱状の被検査物の外周面を検査する検査装置であって、
前記被検査物を支持して前記被検査物の軸を中心に回転させる回転部と、
前記被検査物の外周面に対して傾斜した方向から、前記被検査物の外周面に光を照射する第1照明部と、前記軸に対して直交する方向から前記被検査物の外周面に光を照射する第2照明部からなる照明部と、
前記回転部によって前記被検査物が一回転される間に、前記照明部によって照射される光の照明条件である、前記第1照明部と第2照明部が照射する第1照明条件と、前記第1照明部が照射する第2照明条件であって、前記第1照明条件より照度が高くなる第2照明条件と、を連続的に変更する制御部と、
前記回転部によって前記被検査物が一回転される間に、前記第1照明条件のタイミング、および前記第2照明条件のタイミングで前記被検査物の外周面を撮像する撮像部と、
前記第1照明条件のタイミングで撮像された複数の画像データを結合して取得した第1画像データ、および前記第2照明条件のタイミングで撮像された複数の画像データを結合して取得した第2画像データに基づいて前記被検査物の外周面の欠陥を検出する検出部と、
を備える、
ことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査装置であって、
前記被検査物の外周面の前記軸の方向において、
第1反射率の特性を有する第1部位と、
前記第1反射率とは異なる第2反射率の特性を有する第2部位と、
を備える前記被検査物の外周面を検査する、
ことを特徴とする検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の検査装置であって、
前記制御部は、前記回転部によって前記被検査物が一回転される間に、前記第1照明条件と、前記第1照明条件より照度が高く、前記第2照明条件より照度が低くなる第3照明条件と、前記第2照明条件と、を連続的に変更し、
前記撮像部は、前記回転部によって前記被検査物が一回転される間に、前記第1照明条件のタイミング、前記第3照明条件のタイミング、および前記第2照明条件のタイミングで前記被検査物の外周面を撮像し、
前記検出部は、前記第1画像データ、前記第3照明条件のタイミングで撮像された複数の画像データを結合して取得した第3画像データ、および前記第2画像データに基づいて前記被検査物の外周面の欠陥を検出する、
ことを特徴とする検査装置。
【請求項4】
請求項1に記載の検査装置であって、
前記被検査物は、内燃機関のピストンである、
ことを特徴とする検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の検査装置であって、
前記ピストンは、
前記ピストンの外周面の前記軸の方向において、
硬質アルマイト処理が施された硬質アルマイト処理部位と、
機械加工が施された機械加工部位と、
黒色コーティングが施された黒色コーティング部位と、
を備える、
ことを特徴とする検査装置。
【請求項6】
円筒状または円柱状の本体部を有する被検査物の外周面を検査する検査方法であって、
前記被検査物の外周面に対して傾斜した方向から、前記被検査物の外周面に光を照射する第1照明部と、前記軸に対して直交する方向から前記被検査物の外周面に光を照射する第2照明部からなる照明部を備え、
前記被検査物が一回転される間に、前記被検査物に照射される光の照明条件である、前記第1照明部と第2照明部が照射する第1照明条件と、前記第1照明部が照射する第2照明条件であって、前記第1照明条件より照度が高くなる第2照明条件と、を連続的に変更し、かつ前記第1照明条件のタイミング、および前記第2照明条件のタイミングで前記被検査物の外周面を撮像する撮像ステップと、
前記第1照明条件のタイミングで撮像された複数の画像データを結合して第1画像データを取得し、および前記第2照明条件のタイミングで撮像された複数の画像データを結合して第2画像データを取得する画像データ処理ステップと、
前記第1画像データ、および前記第2画像データに基づいて前記被検査物の外周面の欠陥を検出する欠陥検出ステップと、
を備える、
ことを特徴とする検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、円筒状または円柱状の本体部を有する被検査物の外周面を検査する検査装置であって、被検査物を回転させて、明視野領域、暗視野領域、および明視野領域と暗視野領域の境界領域を撮影し、撮影された画像に基づいて被検査物の外周面の欠陥部位を検出する検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-65782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような検査装置において、外周面に反射率の異なる部位を備える被検査物を検査する場合、照度条件を切り替えて撮影する必要がある。
よって、カメラ1台の場合は被検査物の一回転に対して照度条件を順に切り替えて撮像する、またはカメラと照明を照度条件数に応じて被検査物の周方向に配置する必要ある。このため、被検査物の検査に対する生産性が低下するおそれがあった。
本発明の目的の一つは、被検査物の検査に対する生産性の向上が図れる検査装置および検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の好ましい態様によれば、被検査物が一回転される間に、被検査物に照射される光の照明条件である、第1照明部と第2照明部が照射する第1照明条件と、第1照明部のみが照射する第1照明条件より照度が高くなる第2照明条件と、を連続的に変更し、かつ第1照明条件のタイミング、および第2照明条件のタイミングで被検査物の外周面を撮像する撮像ステップと、第1照明条件のタイミングで撮像された複数の画像データを結合して第1画像データを取得し、および第2照明条件のタイミングで撮像された複数の画像データを結合して第2画像データを取得する画像データ処理ステップと、第1画像データ、および第2画像データに基づいて被検査物の外周面の欠陥を検出する欠陥検出ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明の好ましい態様によれば、被検査物の検査に対する生産性の向上が図れるとともに、様々な種類の欠陥をより精度高く検出することができる
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1の検査装置の全体構成を示す模式図である。
図2】実施形態1の被検査物としての内燃機関のピストンを示す図である。
図3】実施形態1の検査装置の欠陥検出方法の流れを示すフローチャートである。
図4】実施形態1の検査装置の欠陥検出方法の動作例を示すタイムチャートである。
図5】実施形態2の検査装置の全体構成を示す模式図である。
図6】実施形態2の被検査物としての内燃機関のピストンを示す図である。
図7】実施形態2の検査装置の欠陥検出方法の流れを示すフローチャートである。
図8】実施形態2の検査装置の欠陥検出方法の動作例を示すタイムチャートである。
図9】実施形態3の検査装置の全体構成を示す模式図である。
図10】(a)は、実施形態3の検査装置の第1照明条件による撮像ステップの模式図、(b)は、実施形態3の検査装置の第2照明条件による撮像ステップの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1の検査装置の全体構成を示す模式図である。
【0009】
(検査装置の全体構成)
検査装置1は、ピストン(被検査物)7を支持して、ピストン7の軸Pを中心にピストン7を回転させる回転部2と、軸Pに対し直交する方向からピストン7の外周面へ向けて光を照射する照明装置(照明部)3と、カメラ5aと画像データ保存部5bから構成される撮像部5と、画像データ処理部6aと、第1画像データ保存部6b1、第2画像データ保存部6b2と、第1画像データ保存部6b1に保存された画像データにより欠陥を検出する第1欠陥検出部6c1、第2画像データ保存部6b2に保存された画像データにより欠陥を検出する第2欠陥検出部6c2と、ピストン7が一回転する間に、照明装置3を光の照明条件としての第1照明条件と第1照明条件より照度が高い第2照明条件とを連続的に変更し、第1照明条件のタイミングと第2照明条件のタイミングでピストン7の外周面を撮像するようにカメラ5aを制御する制御装置(制御部)4から構成されている。
これにより、ピストン7の外周面のキズ、鋳巣、膨れ等の欠陥を検出する。
【0010】
図2は、実施形態1の被検査物としての内燃機関のピストンを示す図である。
【0011】
(被検査物としての内燃機関のピストンの構成)
ピストン7は、反射率が高い第1反射率の特性を有する機械加工が施された機械加工部位(第1部位)7aと、第1反射率より反射率が低い第2反射率の特性を有する耐摺動性を確保するために黒色コーティングが施された黒色コーティング部位(第2部位)7b、第1反射率より反射率が低い第2反射率の特性を有する耐摺動摩耗性を確保するために硬質アルマイト処理が施された硬質アルマイト処理部位(第2部位)7cを有している。
【0012】
図3は、実施形態1の検査装置の欠陥検出方法の流れを示すフローチャートである。
【0013】
(欠陥検出方法の流れ)
ステップS1では、制御装置4が照明装置3に対し、ピストン7が一回転する間に、所定のタイミングで、第1照明条件より照度が高い第2照明条件でピストン7の外周面へ向けて光を照射し、同時にカメラ5aに対し、ピストン7の外周面を撮像するように指示を出す。
ステップS2では、制御装置4が照明装置3に対し、第2照明条件に連続して、第1照明条件でピストン7の外周面へ向けて光を照射し、同時にカメラ5aに対し、ピストン7の外周面を撮像するように指示を出す。
ステップ3では、ピストン7が一回転する間の予め定められた所定回数、第2照明条件による撮像および第1照明条件による撮像が実行されたか否かを判定する。
予め定められた所定回数、第2照明条件による撮像および第1照明条件による撮像が実行されたときには、ステップS4あるいはステップS6へ進み、予め定められた所定回数、第2照明条件による撮像および第1照明条件による撮像が実行されていないときには、ステップS1へ戻る。
ステップS1からステップS3までが、撮像ステップである。
【0014】
ステップS4では、第1照明条件で撮像され、画像データ保存部5bに保存された複数の画像データを結合し、取得した第1画像データAを第1画像データ保存部6b1に保存する。
ステップS6では、第2照明条件で撮像され、画像データ保存部5bに保存された複数の画像データを結合し、取得した第2画像データBを第2画像データ保存部6b2に保存する。
このステップS4あるいはステップS6が、画像データ処理ステップである。
【0015】
ステップS5では、第1画像データ保存部6b1に保存された第1画像データAから欠陥を検出する。
ステップS7では、第2画像データ保存部6b2に保存された第2画像データBから欠陥を検出する。
ステップS8では、検出された欠陥が、許容できる欠陥か許容できない欠陥かの合否判定を行う。
例えば、コンピューターによるディープラーニング等の手法により、欠陥の検出および合否判定を行う。
このステップS5あるいはステップS7からステップS8までが、欠陥検出ステップである。
【0016】
図4は、実施形態1の検査装置の欠陥検出方法の動作例を示すタイムチャートである。
【0017】
(欠陥検出方法の動作)
欠陥検出方法は、撮像ステップ、画像データ処理ステップ、欠陥検出ステップから構成されている。
以下、動作例を順に説明する。
【0018】
撮像ステップのグラフは、横軸が時間、縦軸が照明装置3の照度を示している。
なお、時刻t8までが、ピストン7の一回転に要する時間である。
まず、時刻t1では、照明部3が第1照明条件より照度が高い第2照明条件で光を照射し、同時にカメラ5aがピストン7の外周面を撮像し、撮像された画像データb1を画像データ保存部5bに保存する。
なお、第2画像データは、第1反射率より反射率が低い第2反射率の特性を有する黒色コーティング部位7bと硬質アルマイト処理部位7cの画像データである。
時刻t2では、照明装置3が第1照明条件で光を照射し、同時にカメラ5aがピストン7の外周面を撮像し、撮像された画像データa1を画像データ保存部5bに保存する。
なお、画像データa1は、反射率が高い第1反射率の特性を有する機械加工部位7aの画像データである。
時刻t3では、照明部3が第1照明条件より照度が高い第2照明条件で光を照射し、同時にカメラ5aがピストン7の外周面を撮像し、撮像された画像データb2を画像データ保存部5bに保存する。
時刻t4では、照明部3が第1照明条件で光を照射し、同時にカメラ5aがピストン7の外周面を撮像し、撮像された画像データa2を画像データ保存部5bに保存する。
【0019】
時刻t5では、照明部3が第1照明条件より照度が高い第2照明条件で光を照射し、同時にカメラ5aがピストン7の外周面を撮像し、撮像された画像データb3を画像データ保存部5bに保存する。
時刻t6では、照明部3が第1照明条件で光を照射し、同時にカメラ5aがピストン7の外周面を撮像し、撮像された画像データa3を画像データ保存部5bに保存する。
時刻t7では、照明部3が第1照明条件より照度が高い第2照明条件で光を照射し、同時にカメラ5aがピストン7の外周面を撮像し、撮像された画像データb4を画像データ保存部5bに保存する。
時刻t8では、照明部3が第1照明条件で光を照射し、同時にカメラ5aがピストン7の外周面を撮像し、撮像された画像データa4を画像データ保存部5bに保存する。
つぎに、画像データ処理ステップでは、画像データ保存部5bに保存された複数の画像データa1-a4を、あるいは、画像データ保存部5bに保存された複数の画像データb1-b4までを結合し、取得した第1画像データAと第2画像データBを第1画像データ保存部6b1と第2画像データ保存部6b2に保存する。
【0020】
欠陥検出ステップでは、第1画像データ保存部6b1と第2画像データ保存部6b2に保存された第1画像データAと第2画像データBから、欠陥を検出する。
さらに、検出された欠陥が、許容できる欠陥か許容できない欠陥かの合否判定を行う。
検出された欠陥が、許容できない欠陥の場合には、そのピストン7は、廃棄処分となる。
【0021】
次に、作用効果を説明する。
実施形態1の検査装置および検査方法においては、以下に列挙する作用効果を奏する。
【0022】
(1)ピストン7を支持してピストン7の軸を中心に回転させる回転部2と、ピストン7の外周面へ向けて光を照射する照明装置3と、ピストン7が一回転される間に、照明装置3により照射される光の照明条件としての第1照明条件と、第1照明条件より照度が高い第2照明条件とを連続的に変更する制御装置4と、第1照明条件のタイミングおよび第2照明条件のタイミングでピストン7の外周面を撮像する撮像部5と、第1照明条件で撮像した複数の画像データa1-a4を結合して第1画像データAと第2照明条件で撮像した複数の画像データb1-b4を結合して第2画像データBを取得する画像データ処理部6aと、第1画像データAと第2画像データBに基づいて、ピストン7の外周面の欠陥を検出する第1欠陥検出部6c1、第2欠陥検出部6c2とを備え、第1照明条件と第2照明条件を連続的に変更し、第1照明条件と第2照明条件のタイミングでピストンの外周面を撮像する撮像ステップと、第1照明条件で撮像した複数の画像データa1-a4を結合して第1画像データAと第2照明条件で撮像した複数の画像データb1-b4を結合して第2画像データBを取得する画像データ処理ステップと、第1画像データAと第2画像データBに基づいて、ピストン7の外周面の欠陥を検出する欠陥検出ステップとを有するようにした。
よって、ピストン7の外周面の欠陥の検出を、安価な設備で行うことができ、生産性を高めることができる。
【0023】
(2)第1照明条件で撮像されるピストン7の第1反射率を有する機械加工部位7aの第1画像データAと、第1照明条件より照度が高い第2照明条件で撮像される第1反射率より反射率が低いピストン7の黒色コーティング部位7b、硬質アルマイト処理部位7cの第2画像データBにより、ピストン7の外周面の欠陥の検出をおこなうようにした。
よって、ピストン7の外周面の欠陥の検出を、精度良く検出できる。
【0024】
〔実施形態2〕
図5は、実施形態2の検査装置の全体構成を示す模式図であり、図6は、実施形態2の被検査物としての内燃機関のピストンを示す図であり、図7は、実施形態2の検査装置の欠陥検出方法の流れを示すフローチャートであり、図8は、実施形態2の検査装置の欠陥検出方法の動作例を示すタイムチャートである。
実施形態1では、第1照明条件で撮像されるピストン7の第1反射率を有する機械加工部位7aの第1画像データAと、第1照明条件より照度が高い第2照明条件で撮像される第1反射率より反射率が低いピストン7の黒色コーティング部位7b、硬質アルマイト処理部位7cの第2画像データBとにより、ピストン7の外周面の欠陥の検出をおこなうようにしたが、実施形態2では、第1照明条件で撮像されるピストン7の第1反射率を有する機械加工部位(第1部位)7dの第1画像データAと、第1照明条件より照度が高い第2照明条件で撮像される第1反射率より反射率が低いピストン7の黒色コーティング部位(第2部位)7eの第2画像データBと、第1照明条件より照度が高く、第2照明条件より照度が低い第3照明条件で撮像される硬質アルマイト処理部位(第3部位)7fの第3画像データCとにより、ピストン7の外周面の欠陥の検出をおこなうようにした。
【0025】
このため、図5の検査装置の全体構成を示す模式図に示すように、検査装置1の検出部6は、実施形態1の検査装置1の検出部6の第1、2画像データ保存部6b1、6b2と第1、2欠陥検出部6c1、6c2に加え、第3画像データ保存部6b3と第3欠陥検出部6c3を備えている。
また、図7に示す欠陥検出方法の流れを示すフローチャートにおいても、実施形態1に加え、第3照明条件による撮像のステップS9、第3画像データC取得のステップS10、第3画像データCからの欠陥検出のステップS11を備えている。
さらに、図8の欠陥検出方法の動作例を示すタイムチャートにおいては、時刻t9までが、ピストン7の一回転に要する時間であり、画像データとしては、画像データa1-a3、b1-b3、c1-c3の3種類を有し、それぞれの画像データを結合することにより、第1画像データA、第2画像データB、第3画像データCを取得するようになっている。
その他の構成は、実施形態1と同じ構成であるため、同じ構成には同一符号を付して、説明は省略する。
【0026】
次に、作用効果を説明する。
実施形態2の検査装置および検査方法においては、実施形態1の作用効果に加え、以下に列挙する作用効果を奏する。
【0027】
(1)第1照明条件と第2照明条件、第3照明条件を連続的に変更し、第1照明条件と第2照明条件、第3照明条件のタイミングでピストンの外周面を撮像する撮像ステップと、第1照明条件で撮像した複数の画像データa1-a3を結合して第1画像データAと第2照明条件で撮像した複数の画像データb1-b3を結合して第2画像データBと第3照明条件で撮像した複数の画像データc1-c3を結合して第3画像データCを取得する画像データ処理ステップと、第1画像データAと第2画像データB、第3画像データCに基づいて、ピストン7の外周面の欠陥を検出する欠陥検出ステップを有するようにした。
よって、より高精度、高精細の撮像をすることができ、欠陥検出の精度を向上することができる。
【0028】
〔実施形態3〕
図9は、実施形態3の検査装置の全体構成を示す模式図であり、図10(a)は、実施形態3の検査装置の第1照明条件による撮像ステップの模式図、図10(b)は、実施形態3の検査装置の第2照明条件による撮像ステップの模式図である。
実施形態1とは、異なり、図9の検査装置の全体構成を示す模式図に示すように、照明装置3が、ピストン7の傾斜した上方から光を照射する第1照明装置(第1照明部)3aと、軸Pに対し直交する方向から光を照射する第2照明装置(第2照明部)3bと、ピストン7の傾斜した下方から光を照射する第3照明装置(第1照明部)3cとから構成されるようにしている。
【0029】
このため、図10(a)に示す第1照明条件による撮像ステップでは、第1照明装置3aと第2照明装置3bが低い照度で光を照射し、撮像することにより、ピストン7の上部の機械加工部位7aである面取部の外周部における鋳巣欠陥を検出することができる。
また、図10(b)に示す第2照明条件による撮像ステップでは、第1照明装置3aと第3照明装置3cが高い照度で光を照射して撮像することにより、影を生成することで、ピストン7の黒色コーティング部位7bである側面外周部における膨れ欠陥を検出することができる。
その他の構成は、実施形態1と同じ構成であるため、同じ構成には同一符号を付して、説明は省略する。
【0030】
次に、作用効果を説明する。
実施形態3の検査装置および検査方法においては、実施形態1の作用効果に加え、以下に列挙する作用効果を奏する。
【0031】
(1)照明装置3が、ピストン7の傾斜した上方から光を照射する第1照明装置3aと、軸Pに対し直交する方向から光を照射する第2照明装置3bと、ピストン7の傾斜した下方から光を照射する第3照明装置3cとから構成されるようにし、第1照明条件では、第1照明装置3aと第2照明装置3bを低い照度で光を照射して撮像し、第2照明条件では、第1照明装置3aと第3照明装置3cを高い照度で光を照射して撮像するようにした。
よって、様々な種類の欠陥をより精度高く検出することができる。
【0032】
〔他の実施例〕
以上、本発明を実施形態に基づいて説明してきたが、各発明の具体的な構成は実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1 検査装置
2 回転部
3 照明装置(照明部)
3a 第1照明装置(第1照明部)
3b 第2照明装置(第2照明部)
3c 第3照明装置(第1照明部)
4 制御装置(制御部)
5 撮像部
6 検出部
7 ピストン(被検査物)
7a 機械加工部位(第1部位)
7b 黒色コーティング部位(第2部位)
7c 硬質アルイマイト部位(第2部位)
7d 機械加工部位(第1部位)
7e 黒色コーティング部位(第2部位)
7f 硬質アルイマイト部位(第3部位)
A 第1画像データ
B 第2画像データ
C 第3画像データ
P 軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10