(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】乾燥機および洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20240828BHJP
【FI】
D06F58/02 K
(21)【出願番号】P 2020141182
(22)【出願日】2020-08-24
【審査請求日】2023-03-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】江場 豊
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-201785(JP,A)
【文献】特開2019-092879(JP,A)
【文献】特開2014-068655(JP,A)
【文献】特開2018-082787(JP,A)
【文献】特開2019-209239(JP,A)
【文献】特開2003-164691(JP,A)
【文献】特開2019-055311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を乾燥させる乾燥機であって、
乾燥させる衣類を入れる収容槽と、
前記収容槽に送り込む乾燥空気を生成する乾燥空気生成部と、
糸屑を捕集するリントフィルタを有するフィルタ部が装着されるフィルタ筐体とを備え、
前記フィルタ筐体は、それぞれ別にして形成された第1筐体部材と第2筐体部材とを組み合わせる構成であり、前記フィルタ部が挿入されて位置決めされる挿入口と、前記フィルタ部のフィルタギアと勘合する筐体ギアと
が、前記フィルタ部の挿入方向で互いに異なる面に設けられ、
前記フィルタ部は、前記挿入口の内側壁との間にフィルタ封止部材を挟んで係止され、
前記フィルタギアと前記筐体ギアとが噛み合う方向は、前記フィルタ部の挿入方向に直交する方向とされ、
前記第1筐体部材は、前記フィルタ筐体のうち、前記挿入口と前記筐体ギアとを含む部分を占めており、
前記第1筐体部材と前記第2筐体部材とは、筐体封止部材を間に挟んで接合されていること
を特徴とする乾燥機。
【請求項2】
請求項1に記載の乾燥機であって、
前記第1筐体部材は、前記筐体ギアが備えられた面に、外方へ突出した第1筐体接合部が設けられ、
前記第2筐体部材は、前記第1筐体接合部が挿入される第2筐体接合部が設けられていること
を特徴とする乾燥機。
【請求項3】
請求項2に記載の乾燥機であって、
前記第1筐体接合部は、前記第1筐体部材の前記筐体ギアが備えられた面の長辺に沿って設けられていること
を特徴とする乾燥機。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1つに記載の乾燥機であって、
前記フィルタ筐体は、底面から立設して形成された補強リブを有すること
を特徴とする乾燥機。
【請求項5】
請求項4に記載の乾燥機であって、
前記補強リブから延びた固定受け部と、
前記固定受け部に挿入される固定部材とを備え、
前記固定部材は、前記第1筐体部材と前記第2筐体部材とを固定していること
を特徴とする乾燥機。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1つに記載の乾燥機を備えた洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類を乾燥させる乾燥機、およびそれを備えた洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、洗濯機においては、洗濯機能だけでなく、洗濯後の衣類を乾燥させる乾燥機能を併せ持った洗濯乾燥機が広く利用されている。乾燥過程では、衣類からリント(糸屑)が発生することがあるので、空気を循環させている経路には、フィルタを設けてリントを捕集している。フィルタにおいては、捕集したリントを放置すると、目詰まりを起こして乾燥能力を低下させることがあるので、フィルタの清掃が必要となる。そこで、フィルタに付着したリントを除去するためのフィルタ清掃装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のフィルタ清掃装置は、円弧状のフィルタ体と、フィルタ体の上流側に備えられた通風路と、通風路内に設置された回動軸と、フィルタ体に付着した塵埃を除去する清掃体とを備えている。
【0005】
上述したフィルタ清掃装置では、回動軸を回動させることで、回動軸に取り付けられた清掃体を動かしてフィルタ体の清掃を行っているが、フィルタ清掃装置自身には、駆動源が設けられておらず、回動軸に取り付けられたギアによって、外部から駆動力が伝達される構成とされている。そのため、フィルタ清掃装置に設けられたギアを、駆動源側のギアに噛み合わせる構造としている。
【0006】
ところで、フィルタ清掃装置では、収容している塵埃が増えた際、塵埃を排出するメンテナンスを行っている。メンテナンスの際には、ユーザがフィルタ清掃装置を洗濯機から取り外した後、再度取り付けており、容易に着脱できることが好ましい。フィルタ清掃装置を洗濯機に対して着脱できる構成にすると、ギアの噛み合わせに懸念がある。つまり、ギアのズレを考慮して、大きく余裕を持たせて噛み合う構造にすると、ギア自体が大きくなるなど、筐体の構造が制約される。また、ギア自体が小さくなると、小さなズレで噛み合わなくなる虞があり、フィルタ清掃装置が正常に動作しない可能性がある。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、ギアの勘合精度を高く保つことができる乾燥機および洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る乾燥機は、衣類を乾燥させる乾燥機であって、乾燥させる衣類を入れる収容槽と、前記収容槽に送り込む乾燥空気を生成する乾燥空気生成部と、糸屑を捕集するリントフィルタを有するフィルタ部が装着されるフィルタ筐体とを備え、 前記フィルタ筐体は、それぞれ別にして形成された第1筐体部材と第2筐体部材とを組み合わせる構成であり、前記フィルタ部が挿入されて位置決めされる挿入口と、前記フィルタ部のフィルタギアと勘合する筐体ギアとが、前記フィルタ部の挿入方向で互いに異なる面に設けられ、前記フィルタ部は、前記挿入口の内側壁との間にフィルタ封止部材を挟んで係止され、前記フィルタギアと前記筐体ギアとが噛み合う方向は、前記フィルタ部の挿入方向に直交する方向とされ、前記第1筐体部材は、前記フィルタ筐体のうち、前記挿入口と前記筐体ギアとを含む部分を占めており、前記第1筐体部材と前記第2筐体部材とは、筐体封止部材を間に挟んで接合されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る乾燥機では、前記第1筐体部材は、前記筐体ギアが備えられた面に、外方へ突出した第1筐体接合部が設けられ、前記第2筐体部材は、前記第1筐体接合部が挿入される第2筐体接合部が設けられている構成としてもよい。
【0011】
本発明に係る乾燥機では、前記第1筐体接合部は、前記第1筐体部材の前記筐体ギアが備えられた面の長辺に沿って設けられている構成としてもよい。
【0012】
本発明に係る乾燥機では、前記フィルタ筐体は、底面から立設して形成された補強リブを有する構成としてもよい。
【0013】
本発明に係る乾燥機では、前記補強リブから延びた固定受け部と、前記固定受け部に挿入される固定部材とを備え、前記固定部材は、前記第1筐体部材と前記第2筐体部材とを固定している構成としてもよい。
【0014】
本発明に係る洗濯機は、本発明に係る乾燥機を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、挿入口と筐体ギアとの位置関係に変化が生じにくくなるため、フィルタギアとの勘合距離にバラつきが生じないようにできる。そのため、ギアのズレを考慮したマージンを小さくでき、ギアの勘合精度を高く保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係る洗濯機の構成を示す模式図である。
【
図2】フィルタ筐体およびフィルタ部の構成を示す模式図である。
【
図3】フィルタ部が取り付けられたフィルタ筐体を示す外観斜視図である。
【
図6】フィルタ筐体およびフィルタ部の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る洗濯機について、図面を参照して説明する。以下では、洗濯機能および乾燥機能の両方を備えた洗濯乾燥機に本発明を適用した場合を例示しているが、本発明はこれに限定されず、乾燥機能のみを備えた乾燥機に本発明を適用することもできる。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る洗濯機の構成を示す模式図である。なお、
図1では、洗濯機100の乾燥機能に関する構成のみを図示しており、洗濯機能に関する構成を省略している。
【0019】
本発明の実施の形態に係る洗濯機100は、ドラム式洗濯乾燥機であって、前面の開口を覆うドア120が設けられ、ドア120を開くことで、内部に設けられた回転ドラム111を有する洗濯槽110が露出する。ドア120を閉じた際には、内部が液密に封止されるので、洗濯槽110内の水が漏れない。
【0020】
洗濯機100は、洗濯槽110(回転ドラム111)に投入した衣類を洗濯および脱水した後、洗濯槽110に乾燥空気を送り込むことで、乾燥運転を実行する。つまり、洗濯機100は、乾燥機として機能する際、洗濯槽110が衣類を入れる収容槽となる。
【0021】
洗濯機100は、乾燥運転のための構成要素として、乾燥空気生成部130、送風ファン140、およびフィルタ部20を有している。また、洗濯機100では、洗濯槽110、フィルタ部20、乾燥空気生成部130、および送風ファン140の順で接続する空気循環経路160が設けられており、空気循環経路160を通じて、各部を空気が流れる。なお、空気循環経路160において、送風ファン140の後に洗濯槽110が接続されており、空気循環経路160に沿って空気が循環する構成とされている。
【0022】
乾燥空気生成部130は、フィルタ部20を通じて洗濯槽110から送られてくる湿った空気を、乾燥空気に変える。具体的に、乾燥空気生成部130では、ヒートポンプ(冷凍サイクル)における蒸発器131と凝縮器132とが、空気の流れ方向の上流側から順に配置されている。蒸発器131は、湿った空気を除湿(空気中の水分の結露)し、凝縮器132は、除湿後の空気を温めて乾燥空気にする。なお、洗濯機100では、ヒートポンプにおける他の構成要素(圧縮機や膨張弁など)を備えているが、
図1では、それらを省略している。送風ファン140は、空気循環経路160における空気の流れを生じさせる。
【0023】
フィルタ部20は、乾燥運転中に衣類から発生するリント(糸屑)を捕集する。フィルタ部20は、洗濯機100の内部に取り付けられたフィルタ筐体10に装着される構成とされている。なお、フィルタ筐体10の詳細な構造については、後述する
図3を参照して説明する。
【0024】
図2は、フィルタ筐体およびフィルタ部の構成を示す模式図であって、
図3は、フィルタ部が取り付けられたフィルタ筐体を示す外観斜視図である。なお、
図2では、図面の見易さを考慮して、フィルタ部20の一部を示し、上部の部材を省略している。
【0025】
フィルタ筐体10は、送風された空気を内部へ流入させる空気流入口10aと、内部の空気を外部へ流出させる空気流出口10bとが形成されている。空気流入口10aおよび空気流出口10bは、空気循環経路160を構成する配管などに適宜接続されていればよく、接続した箇所から空気が漏れないように封止されていてもよい。
【0026】
フィルタ部20は、空気流入口10a側に設けられた通風口21と、空気流出口10b側に設けられたリントフィルタ22と、通風口21からリントフィルタ22までの間に設けられた清掃アーム部23とを備える。フィルタ部20では、通風口21を介して循環空気を取り込み、リントフィルタ22を通過させた後、空気流出口10bに向かわせる。循環空気は、リントフィルタ22を通過する際に、リントLTが捕集されて取り除かれる。乾燥運転を続けると、リントフィルタ22には、付着したリントLTが溜まっていく。
【0027】
清掃アーム部23は、軸回りで回動し、先端がリントフィルタ22に沿って移動する構成とされている。清掃アーム部23の先端は、例えば、弾性ブレード部材やブラシ部材などが用いられており、リントフィルタ22を傷つけることなく、表面に付着したリントLTを掻き落とすようにして清掃する。
【0028】
フィルタ部20には、清掃アーム部23の回動範囲の端部近傍にリント収容部24が設けられている。清掃アーム部23によって掻き取られたリントLTは、リント収容部24に集められる。
【0029】
フィルタ部20の下部には、清掃アーム部23の軸に接続されたフィルタギア25が設けられている。フィルタギア25は、フィルタ筐体10の底面に設けられた筐体ギア11bと勘合する構成とされている。筐体ギア11bは、ステッピングモータなどの駆動部30に接続されている。つまり、駆動部30から伝達された駆動力は、筐体ギア11bおよびフィルタギア25を介して、清掃アーム部23を軸回りに回動させる。
【0030】
フィルタ部20は、フィルタ筐体10に対して着脱可能な構成とされており、ユーザによって、フィルタ筐体10から適宜取り外すことができる。フィルタ筐体10は、洗濯機100内に固定されており、取り外すことができない。次に、フィルタ筐体10の詳細な構造について、
図4ないし
図6を参照して説明する。
【0031】
図4は、フィルタ筐体の側面図であり、
図5は、フィルタ筐体の下面図であって、
図6は、フィルタ筐体およびフィルタ部の模式断面図である。なお、
図6では、図面の見易さを考慮して、フィルタ筐体10だけをハッチングしており、他の部材のハッチングを省略している。
【0032】
図4および
図5は、フィルタ部20を取り外した状態のフィルタ筐体10を示しており、
図6は、フィルタ筐体10にフィルタ部20を取り付けた状態を示している。また、
図6は、空気流入口10aと空気流出口10bとを通るように屈曲させた断面を模式的に示している。フィルタ筐体10は、フィルタ部20を収容する容器であって、一部を延伸させて空気流入口10aおよび空気流出口10bに対応する部分を設けている。フィルタ筐体10の上面には、一部を開口させて挿入口11aが形成されている。フィルタ筐体10の底面には、駆動部30が取り付けられている。すなわち、フィルタ筐体10において、挿入口11aと駆動部30とは、互いに異なる面に備えられている。挿入口11aは、上面視で矩形状とされ、挿入口11aの下方には、挿入口11aと略同じ形状の空洞が底面まで設けられている。つまり、フィルタ筐体10には、フィルタ部20を収容する略直方体状の空間が設けられている。駆動部30は、フィルタ筐体10の内部に収容されておらず、フィルタ筐体10の底面外側に取り付けられている。駆動部30とフィルタ筐体10の内部に設けた筐体ギア11bとは、例えば、穴などを設けて接続すればよく、駆動部30によってフィルタ筐体10に設けた穴を塞ぐなどして、空気が漏れないようにすればよい。なお、駆動部30や筐体ギア11bは、フィルタ筐体10の側面に設けてもよい。
【0033】
フィルタ筐体10は、それぞれ別にして形成された第1筐体部材11と第2筐体部材12とを組み合わせる構成とされている。第1筐体部材11には、空気流入口10aが設けられており、第2筐体部材12には、空気流出口10bが設けられている。具体的に、第1筐体部材11には、フィルタ筐体10の側面に筒状の流入延伸部11fを設けて、空気流入口10aが形成されている。また、第2筐体部材12には、フィルタ筐体10の底面に筒状の流出延伸部12eを設けて、空気流出口10bが形成されている。
【0034】
本実施の形態において、空気流入口10aが開口している方向と、空気流出口10bが開口している方向とは、交差している。このような構造では、例えば、型に引っ掛かって抜けなくなるといった成型工程での制約により、両方を1つの筐体部材に設けることが難しい。しかしながら、空気流入口10aと空気流出口10bとが別々の筐体部材に設けられているので、成型工程での課題を解消することができ、設計における自由度を向上させることができる。
【0035】
フィルタ筐体10の底面は、第1筐体部材11の第1筐体底面部11cと第2筐体部材12の第2筐体底面部12aとに分割されており、第1筐体底面部11cに筐体ギア11bおよび駆動部30が設けられている。また、フィルタ筐体10の上面は、第1筐体部材11が略全体を占めており、第1筐体部材11に挿入口11aが設けられている。フィルタ筐体10の側面では、第2筐体部材12の外縁に沿って立設された第2筐体側面部12dが一部を占めており、残りの部分を第1筐体部材11の第1筐体側面部11eが占めている。
【0036】
フィルタ部20の上部には、挿入口11aと略同じ形状の係止部26が設けられており、係止部26と挿入口11aとの間には、フィルタ封止部材70が挟まれている。フィルタ封止部材70を挟んで封止することで、第1筐体部材11は、フィルタ部20を挿入口11aで係止して位置決めしている。このように、挿入口11aでフィルタ部20を係止し、フィルタ筐体10に対するフィルタギア25の位置決めをすることで、筐体ギア11bと精度良く勘合させることができる。
【0037】
フィルタ筐体10には、フィルタ部20の他に、サブフィルタ40が収容されている。サブフィルタ40は、循環空気が流れる方向において、リントフィルタ22よりも下流側に設けられ、リントフィルタ22に捕集されなかったリントLTを捕集する。サブフィルタ40は、フィルタ筐体10と着脱できる構成とされており、挿入口11aを通じてフィルタ筐体10から取り出すことができる。
【0038】
第1筐体部材11と第2筐体部材12との接合部は、フィルタ筐体10の底面と側面とに設けられている。第1筐体部材11と第2筐体部材12とを分割する部分は、両者に設けた大きな開口のようになっており、開口の外縁に沿って接合部が設けられている。本実施の形態において、第1筐体部材11の第1筐体底面部11cには、下方へ突出した第1筐体接合部11gが設けられ、第2筐体部材12には、第1筐体接合部11gが挿入される溝状の第2筐体接合部12fが設けられている。第1筐体接合部11gは、第1筐体部材11の開口に沿って延伸しており、第2筐体部材12には、第2筐体接合部11fから開口に沿って延伸する突起面が形成されている。第1筐体接合部11gおよび延伸部分と第2筐体接合部12fおよび延伸部分の突起面との間には、筐体封止部材60が挟まれている。筐体封止部材60は、例えば、パッキンであって、第1筐体接合部11gと第2筐体接合部12fとの間を封止して、風漏れを防止している。
【0039】
上述したように、フィルタ筐体10の内部には、循環空気が送り込まれたりして、圧力が加わることがある。このとき、筐体の接合部などでは、筐体封止部材60の弾性により、第1筐体部材11と第2筐体部材12との距離が変化する虞がある。しかしながら、本実施の形態では、挿入口11aと筐体ギア11bとは、第1筐体部材11に併せて設けられているので、第1筐体部材11と第2筐体部材12との距離が変化しても、両者の位置関係に変化が生じず、フィルタギア25との勘合距離にバラつきが生じないようにできる。そのため、ギアのズレを考慮したマージンを小さくでき、ギアの勘合精度を高く保つことができる。
【0040】
また、本実施の形態において、第1筐体部材11の第1筐体底面部11cには、下方へ突出した第1筐体接合部11gが設けられている。第1筐体接合部11gは、第2筐体部材12の第2筐体接合部12fに挿入されるように、幅方向(
図5では、左右方向)に亘って設けられている。このように、下方へ突出した第1筐体接合部11gが、第1筐体部材11の全幅に亘って設けられているため、第1筐体底面部11cに補強リブが立設された状態となり、第1筐体底面部11cが補強されて撓みなどの変形を抑制できる。これにより、筐体ギア11bが設けられた第1筐体底面部11c自体の変形が抑制されるので、挿入口11aと筐体ギア11bとの位置関係の変化をさらに抑制できる。なお、筐体ギア11bおよび駆動部30を、第1筐体接合部11gに近づけて配置することで、筐体ギア11bの位置ズレを有効に抑制できる。また、第1筐体接合部11gを第1筐体底面部11cの補強リブとして効果的に作用させるために、第1筐体接合部11gは、第1筐体底面部11cの長辺側に沿うようにして、一方向に出来るだけ長く延びていることが好ましい。
【0041】
第1筐体部材11と第2筐体部材12とは、例えば、ビスなどの固定部材50によって互いを固定する構造とされている。具体的に、第1筐体底面部11cに第1固定受け部11dが設けられており、第2筐体底面部12aに第2固定受け部12bが設けられており、第1固定受け部11dの下方を第2固定受け部12bが覆っている。第1固定受け部11dと第2固定受け部12bとに設けられたビス穴に、固定部材50が挿入される。第2固定受け部12bからは、第2筐体底面部12aに立接して形成された補強リブ12cが延びている。このように、固定部材50によって第1筐体部材11と第2筐体部材12とを固定することで、より強固に両者を組み合わせることができる。また、固定受け部と補強リブ12cとが繋がった構造とすることで、固定受け部を補強リブ12cの一部として機能させつつ、底面の限られた領域を効率よく利用することができる。
【0042】
本実施の形態において、第1固定受け部11dおよび第2固定受け部12b(固定受け部)は、フィルタ筐体10の対向する側面(
図5では、左方および右方)寄りの2箇所にそれぞれ設けられているが、これに限定されず、駆動部30に近い位置にさらに設けてもよい。また、補強リブ12cは、固定受け部に繋がるものに限らず、フィルタ筐体10の底面の各部に設けてもよく、第1筐体底面部11cに設けてもよい。このように、補強リブ12cを設けて底面の強度を増すことで、変形を抑制して、ギアが噛み合った状態を維持することができる。
【0043】
なお、今回開示した実施の形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0044】
10 フィルタ筐体
10a 空気流入口
10b 空気流出口
11 第1筐体部材
11b 筐体ギア
11d 第1固定受け部(固定受け部の一例)
12 第2筐体部材
12b 第2固定受け部(固定受け部の一例)
12c 補強リブ
20 フィルタ部
25 フィルタギア
30 駆動部
50 固定部材
60 筐体封止部材
100 洗濯機