(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20240828BHJP
【FI】
A61B8/00
(21)【出願番号】P 2020142949
(22)【出願日】2020-08-26
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇南山 憲一
【審査官】佐藤 賢斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-036412(JP,A)
【文献】中国実用新案第210992600(CN,U)
【文献】特開2017-143973(JP,A)
【文献】特開2012-139460(JP,A)
【文献】国際公開第2012/077219(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105496454(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0383920(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体から超音波信号を収集するプローブと、
前記プローブが接続可能に構成される装置本体と、を備え、
前記装置本体は、
収集した前記超音波信号に基づいて超音波画像データを生成する生成部と、
前記プローブの点検履歴を取得する取得部と、
取得した前記点検履歴に基づいて前記プローブを点検すべきタイミングを決定する決定部と、
を備え、
前記プローブは、複数の振動素子が1次元の列状に或いは2次元の面状に配列されて構成されると共に、前記点検履歴を保存する履歴記憶部を備え、
前記取得部は、前記プローブ内に設けられた前記履歴記憶部から前記点検履歴を読み出して前記点検履歴を取得する、
超音波診断装置。
【請求項2】
前記装置本体は、前記点検すべきタイミングに達している前記プローブをユーザに通知する通知部、
をさらに備える請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記通知部は、画像情報、音声情報、及び文字情報の少なくとも1つの情報を用いて前記点検すべきタイミングに達している前記プローブをユーザに通知する、
請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記点検履歴は、前記プローブの点検が実施された時期に関する情報と、点検が実施された前記プローブの識別情報とを含む、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記点検履歴は、前記プローブの点検の実施時に接続されていた装置本体の識別情報を、更に含む、
請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記装置本体は、前記プローブの点検スケジュールに関する情報を保存するスケジュール記憶部をさらに備え、
前記決定部は、取得した前記点検履歴と、前記スケジュール記憶部に保存されている前記点検スケジュールとを用いて、前記プローブを点検すべきタイミングを決定する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記点検履歴は、前記プローブの使用状況に関する情報をさらに含み、
前記装置本体は、前記プローブの前記使用状況に応じて前記点検スケジュールを更新するスケジュール更新部、をさらに備える、
請求項6に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記スケジュール更新部は、前記プローブの使用時間、使用回数、及び、使用頻度の少なくとも1つに基づいて、前記点検スケジュールを更新する、
請求項7に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記装置本体は、前記プローブの点検を実行する点検実行部、をさらに備え、
前記点検実行部は、前記決定部で決定されたタイミングにしたがって、前記プローブの点検を実行する、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波プローブに内蔵された振動素子から発生する超音波パルスや超音波連続波を被検体内に放射し、被検体組織の音響インピーダンスの差異によって生じる超音波反射を振動素子により電気信号に変換して、被検体内の情報を非侵襲的に収集するものである。超音波診断装置を用いた医療検査は、超音波プローブを体表に接触させる操作によって、被検体内部の断層画像や3次元画像などの医用画像を容易に生成し、収集することができるため、臓器の形態診断や機能診断に広く用いられている。
【0003】
正しい診断を行うためには、超音波プローブを含めた超音波診断装置の正常な動作が不可欠であり、このために、超音波プローブを含めた超音波診断装置の点検が従来から行われている。
【0004】
従来の点検は、医師や超音波技師、或いはサービスエンジニア等のユーザによって、その実施タイミングが判断される場合が多かった。また、過去に行われた点検の履歴管理や、今後の点検計画の管理等の点検管理の実施の有無や実施方法に関しても、個々のユーザの判断や裁量に委ねられることが多かった。
【0005】
一方、超音波プローブに関しては、1つの超音波診断装置で複数の超音波プローブが用いられることが一般的であり、また、ある特定の超音波プローブが、複数の超音波診断装置で用いられることもある。このため、超音波プローブの点検管理は、超音波診断装置の本体の点検管理よりも複雑となる。そこで、より確実で効率の良い超音波プローブの点検管理手法が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の1つは、超音波診断装置で用いられる超音波プローブの点検管理を、確実に、かつ、効率よく実施できるようにすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態の超音波診断装置は、被検体から超音波信号を収集するプローブと、前記プローブが接続可能に構成される装置本体と、を備え、前記装置本体は、収集した前記超音波信号に基づいて超音波画像データを生成する生成部と、前記プローブの点検履歴を取得する取得部と、取得した前記点検履歴に基づいて前記プローブを点検すべきタイミングを決定する決定部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る超音波診断装置の外観の一例を示す斜視図。
【
図2】第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図。
【
図3】第1の実施形態に係る超音波診断装置におけるプローブの点検管理処理の一例を示すフローチャート。
【
図4】接続されているプローブが点検タイミングに達していない状況と点検タイミングに達している状況とを対比して示す、タッチパネルの表示例を示す図。
【
図5】第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図。
【
図6】第2の実施形態に係る超音波診断装置におけるプローブの点検管理処理の一例を示すフローチャート。
【
図7】第3の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図。
【
図8】第3の実施形態に係る超音波診断装置におけるプローブの点検管理処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の外観の一例を示す斜視図である。
図1に示すように、超音波診断装置1は、装置本体10と超音波プローブ20(以下、単にプローブ20と言う)を備えている。
装置本体10は、キャスタ付きの本体ケースに収納される各種回路(
図2参照)の他、ディスプレイ110及びユーザインタフェース120を備えている。
【0011】
ディスプレイ110は、装置本体10の各種回路で生成された超音波画像や各種データを表示する。ディスプレイ110は、例えば、液晶ディスプレイパネルや、有機EL(Electro Luminescence)パネルを備えて構成される。
【0012】
ユーザインタフェース120は、ユーザ操作によって、ユーザが各種のデータや情報を装置本体10に入力し、或いは、各種の動作モードを装置本体10に設定するデバイスである。ユーザインタフェース120は、例えば、操作パネル121とタッチパネル122の2つのデバイス(
図2参照)を備えて構成されている。
【0013】
操作パネル121は、例えば、トラックボール、各種のスイッチ、ダイアル等の操作デバイスが配置されており、これらの操作デバイスをユーザが操作することにより、各種のデータや情報を装置本体10に入力することができる。
【0014】
一方、タッチパネル122は、液晶パネル等のディスプレイパネルにタッチスクリーンが重ねられて構成される表示兼入力デバイスである。ディスプレイパネルの表示にしたがってタッチスクリーンに触れる、又は、押下することにより、各種のデータや情報を装置本体10に入力することができる。例えば、装置本体10に接続されている複数のプローブ20のアイコンをディスプレイパネルに表示させ、これら複数のアイコンにタッチスクリーンの上から触れることにより、所望のプローブ20を選択する、といった操作も可能となる。
【0015】
図2は、第1の実施形態の超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。超音波診断装置1は、装置本体10と、装置本体10に接続される少なくとも1つのプローブ20とを備えている。装置本体10に接続されるプローブ20の数は1つでもよいし、
図1や
図2に例示するように複数、例えば、4つでもよい。
【0016】
以下では、プローブ20が超音波診断装置1の構成に含まれるものとして説明するが、プローブ20が超音波診断装置1とは別体として設けられる構成でもよい。この場合、装置本体10と超音波診断装置1とが同一ということになり、超音波診断装置1に各プローブ20が接続されることになる。
【0017】
装置本体10は、画像生成回路130、処理回路140、ディスプレイ110、ユーザインタフェース120を備える他、プローブ選択回路150、点検履歴記憶回路151、点検スケジュール記憶回路152、及び、外部インターフェース153を備えて構成される。
【0018】
(画像生成処理)
超音波診断装置1における超音波画像の生成処理は、主に、プローブ20と画像生成回路130によって行われる。
【0019】
装置本体10に複数のプローブ20が接続されている場合には、プローブ選択回路150によって所望のプローブ20が選択される。選択されたプローブ20と画像生成回路130とが互いに接続される。
【0020】
画像生成回路130は、
図2に示すように、例えば、送信回路131、ビームフォーマ132、走査制御回路134、信号処理回路135、画像処理回路136、及び、制御回路137を備えている。
【0021】
プローブ20は、多数の振動素子が1次元の列状に、或いは2次元の面状に配列されている。送信時においては、送信回路131で生成されたパルス状の電気信号が各振動素子にて超音波信号に変換され、超音波信号が被検体に向けて放射される。一方、受信時においては、被検体から反射された反射波が、各振動素子によって電気信号に変化される。そして、各振動素子から出力される電気信号としての超音波信号(即ち、各チャネル受信信号)は、プローブ選択回路150を経由して画像生成回路130のビームフォーマ132に入力される。
【0022】
ビームフォーマ132は、プローブ20で受信された各チャネル信号に対して重みづけ加算処理等を行うことにより、受信ビームを形成する。また、ビームフォーマ132は、走査制御回路134からの制御信号によって受信ビームの方向を走査する。信号処理回路135は、ビーム形成処理された受信信号に対して、対数検波処理、相関処理、ドップラ処理等の信号処理を行う。画像処理回路136は、信号処理後の信号と走査角等の情報に基づいて、Bモード画像、ドップラモード画像、カラードップラーモード画像等の画像を生成する。ディスプレイ110は生成された画像を表示する。
【0023】
ユーザインタフェース120は、前述したように、ユーザ操作によって、ユーザが各種のデータや情報を装置本体10に入力し、或いは、各種の動作モードを装置本体10に設定するデバイスである。ユーザインタフェース120は、例えば、操作パネル121とタッチパネル122の2つのデバイスを備えて構成されている。
【0024】
制御回路137は、ユーザインタフェース120から入力された操作情報やデータ等に基づいて、装置本体10の各部やプローブ20を制御するための制御信号を生成する。
【0025】
(プローブ点検管理処理)
実施形態の超音波診断装置1は、プローブ20の点検を行うと共に、プローブ点検の管理に関する処理を行っている。プローブ点検の管理に関する処理とは、例えば、過去に行われたプローブ20の点検履歴に関する処理や、プローブ20の今後の点検計画に関する処理等のことである。
【0026】
プローブ点検の「管理に関する処理」につていて説明する前に、プローブの「点検処理」について説明しておく。実施形態の超音波診断装置1は、装置本体10に接続されたプローブ20の点検を準自動で実施する機能を有している。
【0027】
プローブ20の点検の種類は特に限定するものではないが、例えば、プローブ20が備える振動素子の受信感度を計測することにより、プローブ20を点検することができる。この方法に点検の場合、まず、ユーザが点検すべきプローブ20を選択する。そして、例えば、ユーザインタフェース120から、「点検開始」の指示を入力する。
【0028】
「点検開始」の指示を受けると、送信回路131から点検用の送信パルスがプローブ20に出力され、プローブ20から、点検用の超音波信号が空間に放射される。この放射信号がプローブ20の各振動素子に漏れ込み、この漏れ信号が各振動素子の点検用の超音波入力信号となる。この超音波入力信号に対する電気信号がプローブ20の各振動素子からチャネル信号として、画像生成回路130に出力される。
【0029】
画像生成回路130では、例えば、このチャネル信号の大きさを計測することにより、各振動素子の感度を計測することができる。そして、各振動素子の感度計測の結果からプローブ20の異常の有無を判定することができる。プローブ20の異常の有無などの点検結果は、例えば、ユーザインタフェース120のタッチパネル122に表示される。
【0030】
さらに、本実施形態の超音波診断装置1では、プローブ20の点検結果が、プローブ20の内部に設けられた点検履歴記憶回路210に点検履歴として保存されるようになっている。そして、この点検履歴を用いて、プローブ点検の管理に関する処理(以下、プローブの点検管理処理と言う)を行っている。
【0031】
第1の実施形態に係る超音波診断装置1におけるプローブの点検管理処理は、上述したプローブ20に保存される点検履歴と、装置本体10の点検スケジュール記憶回路152に保存されている点検スケジュールとを用いて、処理回路140の点検履歴取得機能F10、点検タイミング決定機能F12、及び、表示制御機能F14によって実現される。
【0032】
処理回路140は、例えば、CPUや、専用又は汎用のプロセッサを備える回路である。プロセッサは、図示しない記憶回路に記憶した各種のプログラムを実行することによって、上記の点検履歴取得機能F10、点検タイミング決定機能F12、及び、表示制御機能F14等の各種の機能を実現する。処理回路140は、FPGA(field programmable gate array)やASIC(application specific integrated circuit)等のハードウェアで構成してもよい。これらのハードウェアによっても上記の各種の機能を実現することができる。また、処理回路140は、プロセッサとプログラムによるソフトウェア処理と、ハードウェア処理とを組み合わせて、各種の機能を実現することもできる。
図3は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1におけるプローブの点検管理処理の一例を示すフローチャートである。
【0033】
まず、ステップST101で、プローブの点検履歴を取得する。ステップST101の処理は、処理回路140の点検履歴取得機能F10が行う。プローブの点検履歴は、前述したように、例えば、各プローブ20に設けられた点検履歴記憶回路210に保存されている。装置本体10に複数のプローブ20が接続されている場合には、点検履歴取得機能F10によって、それぞれのプローブ20から点検履歴が読み出され、処理回路140に取り込まれる。
【0034】
点検履歴には、プローブ点検を実施した年月日及び時刻に関する情報の他、異常の有無や、プローブの感度の測定結果等の点検結果に関する情報、点検対象であるプローブ20の型名や製造番号等のプローブ20の識別情報、点検時に用いられた装置本体10の識別情報等が含まれ得る。
【0035】
次に、ステップST102で、プローブの点検スケジュールに関する情報を取得する。点検スケジュールには、例えば、点検を実施する時間間隔に関する情報、例えば、3カ月間隔や、6カ月間隔といった点検間隔に関する情報が含まれる。或いは、点検スケジュールには、点検すべき具体的な年月日に関する情報、例えば、2020年8月10日、2020年11月10日、2021年2月10日、等の具体的な点検予定日に関する情報が含まれてもよい。
【0036】
次に、ステップST103で、プローブの点検履歴と点検スケジュールとから、点検すべきタイミングを決定する。例えば、接続されている各プローブ20の点検履歴と、点検スケジュールとから、接続されているそれぞれのプローブ20を点検すべき時期、即ち、点検タイミングを決定する。例えば、点検スケジュールとして、プローブの点検間隔が3カ月として規定されている場合、点検履歴に含まれている最後の点検を行った日時に3カ月を加算した日時を点検タイミングとして決定する。
【0037】
また例えば、点検スケジュールに具体的な点検予定日が含まれている場合、点検履歴に含まれている最後の点検を行った日の次にくる点検予定日を、点検すべき時期、即ち、点検タイミングとして決定する。
【0038】
次に、ステップST104で、点検タイミングの日時と現在の日時とを比較することによって、プローブ20が点検タイミングに達しているか否かを判断する。現在の日時が点検タイミングの日時に達していない場合には(ステップST104のNO)、ステップST101に戻る。一方、現在の日時が点検タイミングの日時と同じである又は超えていると判断された場合には、ステップST105に進む。なお、ステップST103及びステップST104の処理は、
図2における点検タイミング決定機能F12が行う。
【0039】
ステップST105では、該当するプローブ20、即ち、現在の日時が点検タイミングの日時と同じである又は超えていると判断されたプローブ20の点検を促す通知を行う。例えば、該当するプローブ20の点検を促す表示をタッチパネル122に表示する。
【0040】
図4の左部は、タッチパネル122の表示画面DSの表示例を示す図である。タッチパネル122の表示画面DSの下部には、装置本体10に接続可能なプローブ数に対応する数の四角の枠が表示されている。本例では、装置本体10に4つのプローブが接続可能であり、4つの四角の枠が表示されている。装置本体10にプローブ20が接続されると、四角の枠の中に、接続されているプローブの形状を模式化したアイコンと、接続されているプローブの識別情報を示す数記号(例えば、「P001」等)とが表示される。
【0041】
接続されている複数のプローブ20の中から所望のプローブ20を選択するときには、プローブアイコンが表示されている四角枠をタッチ又は押下する。そして、選択されたプローブ20は、プローブアイコンの背景がハイライト表示される。
【0042】
図4左部上段の表示画面DSは、接続されている3つのプローブ20の全てが点検タイミングに達していない状況の画面表示例である。この表示例では、「P001」、「P002」、及び、「P003」の3つのプローブ20が装置本体10に接続されており、これらのうち、「P001」のプローブ20が選択されていることを示している。
【0043】
一方、
図4左部下段の表示画面DSは、接続されている3つのプローブ20のうち、「P002」のプローブ20が、点検が必要である、即ち、点検すべきタイミングに達していることを示している。例えば、プローブアイコンの背景を、他のプローブアイコンの背景よりも暗くすることにより、「P002」のプローブ20が点検すべきタイミングに達していることを示している。
【0044】
図4の表示は一例であり、この表示例に限定されない。要は、点検すべきタイミングに達しているプローブ20をユーザが識別できるように表示できればよく、種々の表示方法が可能である。なお、ステップST105の処理は、処理回路140の表示制御機能F14が行う。
【0045】
点検すべきタイミングに達しているプローブ20をユーザに通知する方法は、上述した画像情報による方法以外でもよい。例えば、点検すべきタイミングに達しているプローブ20をタッチパネル122に文字情報で示してもよい。或いは、点検すべきタイミングに達しているプローブ20を音声情報でユーザに通知するようにしてもよい。或いは、画像情報、文字情報、及び、音声情報のうち、任意の2つを組み合わせて通知するようにしてもよいし、これら3つの情報の全てを用いて通知してもよい。
【0046】
(第1の実施形態の変形例)
上述した第1の実施形態では、プローブの点検履歴を、各プローブ20に設けた点検履歴記憶回路210に保存するものとしているが、点検履歴の保存場所はこれに限定されない。例えば、
図2に例示するように、装置本体10の点検履歴記憶回路151に、装置本体10で過去に行ったプローブ点検の履歴情報を保存するようにしてもよい。
【0047】
或いは、病院などの医療施設内の所定の場所や、この医療施設とは離れた場所に設定されるサーバ装置に、プローブ点検の履歴情報を保存するようにしてもよい。この場合、1つの医療施設内の複数の超音波診断装置1で実施されたプローブ点検の点検履歴や、複数の医療施設の複数の超音波診断装置1で実施されたプローブ点検の点検履歴情報など、多数の超音波診断装置1で実施した多数のプローブ20の点検履歴が、サーバ装置に保存されることになる。サーバ装置にプローブの点検履歴が保存される場合には、点検履歴取得機能F10は、サーバ装置が接続されるネットワークから、装置本体10に設けられる外部インターフェース153を介して、点検履歴を取得する。
【0048】
サーバ装置にプローブ20の点検履歴を保存することにより、様々な場所で使用されるプローブ20の点検履歴の情報が一元的に管理されることになり、点検履歴の管理を効率良く行うことができる。
【0049】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。また、
図6は、第2の実施形態に係る超音波診断装置1におけるプローブの点検管理処理の一例を示すフローチャートである。
【0050】
第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、第1の実施形態に対して、点検スケジュール更新機能F16をさらに備えている。第2の実施形態における、点検スケジュール更新機能F16以外の構成は、第1の実施形態と同じである。
【0051】
また、
図6に示すフローチャートでは、ステップST200、ステップST201、及びステップST202が、第1の実施形態のフローチャート(
図3)に追加されており、それ以外の処理は第1の実施形態と同じである。
【0052】
ステップST200では、プローブの使用状況を取得する。ここで、プローブの使用状況とは、そのプローブを取得した時から現時点までの累積使用時間又は累積通電時間、そのプローブを取得した時から現時点までの使用回数、或いは、所定期間における(例えば、1カ月間における)平均的な使用頻度、等の、当該プローブの使用の程度の大きさを示す指標のことである。
【0053】
第2の実施形態では、これらのプローブの使用状況に関する情報が、プローブの点検履歴と共に、例えば、プローブ20に設けられた点検履歴記憶回路210、装置本体10に設けられた点検履歴記憶回路151、或いは、外部のサーバ装置に保存されている。そして、ステップST200において、これらの記憶デバイスからプローブの使用状況を読み出して取得する。
【0054】
ステップST201では、取得した使用状況に基づいて、点検スケジュールを更新するか否かを判断する。例えば、累積使用時間又は累積通電時間が所定の時間よりも長くなっていた場合には、点検スケジュールを更新すると判断する。或いは、プローブの使用回数が所定の回数より多くなった場合や、プローブの使用頻度が所定の頻度よりも多くなった場合には、点検スケジュールを更新すると判断する。
【0055】
点検スケジュールを更新すると判断されると(ステップST201のYES)、ステップST202で、点検スケジュール記憶回路152に保存されている点検スケジュールを参照し、使用状況に応じて点検スケジュールを更新する。例えば、初期設定された点検スケジュールが、プローブの点検を6カ月毎に実施するように規定されている場合には、点検間隔がより短くなるように(例えば、4カ月毎にプローブ点検を実施するように)点検スケジュールを更新する。使用状況の程度に応じて、点検間隔を4カ月、3カ月、2カ月、のように、多段階に調整できるように点検スケジュールを更新してもよい。
上述した第2の実施形態の超音波診断装置1によれば、プローブの使用状況に応じた、柔軟性の高い点検管理が可能となる。
【0056】
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。また、
図8は、第3の実施形態に係る超音波診断装置1におけるプローブの点検管理処理の一例を示すフローチャートである。
【0057】
第3の実施形態に係る超音波診断装置1は、第2の実施形態に対して、点検実行機能F18をさらに備えている。第3の実施形態における点検実行機能F18以外の構成は、第2の実施形態と同じである。
【0058】
また、
図8に示すフローチャートでは、ステップST300が、第2の実施形態のフローチャート(
図6)に追加されており、それ以外の処理は第2の実施形態と同じである。
【0059】
第1及び第2の実施形態では、ステップST104において、現在の日時が点検タイミングの日時と同じである又は超えていると判断された場合には、該当するプローブ20、即ち、現在の日時が点検タイミングの日時と同じである又は超えていると判断されたプローブ20の点検を促す通知を行うものとしている(ステップST105)。
【0060】
これに対して、第3の実施形態では、ステップST105の処理に加えて、該当するプローブ20の点検を自動的に実行するようにしている。第1及び第2の実施形態では、通知に促されたユーザが、点検開始の操作を手動で行う必要があるが、第3の実施形態では、そのような手動の操作が不要となるため、操作性が向上する。
なお、自動的に開始される点検の具体的な内容に関しては特に限定するものではなく、前述した準自動で行われている従来の点検内容でもよい。
【0061】
なお、実施形態の画像生成回路、点検履歴取得機能、点検タイミング決定機能、表示制御機能、点検履歴記憶回路、点検スケジュール記憶回路、点検スケジュール更新機能、及び、点検実行機能は、夫々、特許請求の範囲の生成部、取得部、決定部、通知部、履歴記憶部、スケジュール記憶部、スケジュール更新部、及び、点検実行部の一例である。
【0062】
以上説明してきたように、各実施形態の超音波診断装置1によれば、超音波診断装置で用いられる超音波プローブの点検管理を、確実に、かつ、効率よく実施できる。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0064】
1 超音波診断装置
10 装置本体
20 プローブ
110 ディスプレイ
120 ユーザインタフェース
121 操作パネル
122 タッチパネル
130 画像生成回路
140 処理回路
151 点検履歴記憶回路
152 点検スケジュール記憶回路
210 点検履歴記憶回路
F10 点検履歴取得機能
F12 点検タイミング決定機能
F14 表示制御機能
F16 点検スケジュール更新機能
F18 点検実行機能