(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】電気化学セルの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/1213 20160101AFI20240828BHJP
H01M 8/124 20160101ALI20240828BHJP
H01M 4/88 20060101ALI20240828BHJP
H01M 4/86 20060101ALI20240828BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20240828BHJP
C25B 1/042 20210101ALI20240828BHJP
C25B 15/00 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
H01M8/1213
H01M8/124
H01M4/88 T
H01M4/86 T
H01M8/12 101
C25B1/042
C25B15/00 302
(21)【出願番号】P 2020143654
(22)【出願日】2020-08-27
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】松尾 知明
(72)【発明者】
【氏名】武市 敏典
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 良仁
(72)【発明者】
【氏名】山際 勝也
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特許第5624085(JP,B2)
【文献】特開2011-008924(JP,A)
【文献】特開2005-340022(JP,A)
【文献】特開2010-161030(JP,A)
【文献】特開2004-319191(JP,A)
【文献】特開2007-287397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/12
H01M 4/86
H01M 4/88
C25B 1/04
C25B 9/00
C25B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質層の一方の面に設けられた燃料極と、前記電解質層の他方の面に設けられた空気極と、を備える接合体を形成する焼成工程と、
前記焼成工程の後、前記燃料極が水素還元された状態において、
少なくとも前記燃料極の温度を600℃から700℃に加熱しつつ、前記燃料極に燃料ガスを供給しながら、前記燃料極に対する前記空気極の電位を設定する通電工程と、を備える電気化学セルの製造方法であって、
前記燃料極は、Gdが固溶したセリアと、Niを含む触媒と、を含み、
前記通電工程において、前記燃料極に対して前記空気極が正の電位を有するように、前記燃料極に対する前記空気極の電位を-0.2Vから0.45Vの範囲と0.9Vから1.5Vの範囲に交互に設定する電気化学セルの製造方法。
【請求項2】
前記接合体は、水蒸気電解セルの少なくとも一部である請求項1記載の電気化学セルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気化学セルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物形電気化学セルは高い耐久性が求められている。特許文献1には、電気化学セルの耐久性を向上させるために、電解質層の一方の面に設けられた燃料極と、電解質層の他方の面に設けられた空気極と、を備える接合体を焼成によって得た後、燃料極が水素還元された状態において、空気極に対して燃料極が負の電位を有するように通電し、空気極に対する燃料極の電位を0.5Vから0.7Vの範囲と1.0Vから1.5Vの範囲に交互に設定する技術が開示されている。
【0003】
電気化学セルの電位は、通常、燃料極に対して空気極の電位を正として取り扱っているため、以後は便宜上、燃料極に対して空気極の電位を正として表記する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし上記技術には改善の余地がある。
【0006】
本発明はこの要求に応えるためになされたものであり、耐久性を向上できる電気化学セルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明の電気化学セルの製造方法は、電解質層の一方の面に設けられた燃料極と、電解質層の他方の面に設けられた空気極と、を備える接合体を形成する焼成工程と、焼成工程の後、燃料極が水素還元された状態において、燃料極に対する空気極の電位を設定する通電工程と、を備え、燃料極は、Gdが固溶したセリアと、Niを含む触媒と、を含み、通電工程において、燃料極に対して空気極が正の電位を有するように、燃料極に対する空気極の電位を-0.2Vから0.45Vの範囲と0.9Vから1.5Vの範囲に交互に設定する。
【0008】
通電工程後、燃料極の活性層の断面に現出する触媒の円相当径による粒度分布において、触媒の円相当径の最大値の1/20以下の円相当径をもつ触媒の頻度を10%以下にできる。
【0009】
通電工程後、活性層の断面に現出する触媒は、断面における触媒の円相当径の最大値の1/20以下の円相当径をもつ触媒の面積を、断面における触媒の面積の0.1%以下にできる。
【0010】
通電工程後、活性層の断面に現出する、セリアと触媒との間の第1の界面、セリアと気孔との間の第2の界面、及び、触媒と気孔との間の第3の界面において、第1の界面の長さと、第2の界面の長さと、第3の界面の長さと、を合わせた界面長に対する第2の界面の長さの割合は40%以上にできる。
【0011】
通電工程後、界面長に対する第1の界面の長さの割合と、界面長に対する第2の界面の長さの割合と、界面長に対する第3の界面の長さの割合と、を比較したときに、界面長に対する第3の界面の長さの割合を最も低くできる。
【0012】
通電工程後、触媒の、断面上の第1の方向の長さの平均値Aを、第1の方向に垂直な断面上の第2の方向の長さの平均値Bで除した値A/Bは、0.9より大きく1.1未満にできる。
【0013】
通電工程後、セリアの、断面上の第1の方向の長さの平均値Cを、第1の方向に垂直な断面上の第2の方向の長さの平均値Dで除した値C/Dは、0.9より大きく1.1未満にできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、燃料極が水素還元された状態において燃料極に対して空気極が正の電位を有するように通電し、燃料極に対して空気極の電位を-0.2Vから0.45Vの範囲と0.9Vから1.5Vの範囲に交互に設定する。これにより電気化学セルの耐久性を向上できる。このメカニズムは不明だが、通電によって、Niの表面の酸化および再還元の状態や燃料極に含まれるCeの価数変化が制御されるものと推定する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施の形態における電気化学セルの模式的な断面図である。
【
図2】
図1のIIで示す部分を拡大して示す電気化学セルの断面図である。
【
図3】第2実施の形態における電気化学セルの模式的な断面図である。
【
図5】断面上の所定の範囲における活性層の模式図である。
【
図6】実施例における第2の粒子の粒度分布である。
【
図7】比較例における第2の粒子の粒度分布である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1は第1実施の形態における電気化学セル10の模式的な断面図である。電気化学セル10は接合体15を含む。接合体15は、電解質層11と、電解質層11の一方の面に設けられた燃料極12と、電解質層11の他方の面に設けられた空気極13と、を備えている。電気化学セル10は、固体酸化物形燃料電池である。本実施形態では、電解質層11と空気極13との間に中間層14が設けられている。
【0017】
電解質層11は、電気化学セル10の作動条件で酸化物イオン伝導性を示す固体電解質からなる。固体電解質は、安定化ジルコニア、セリア系固溶体が例示される。また固体電解質は、安定化ジルコニア及びセリア系固溶体から選択される1種または2種以上とアルミナとの固溶体が例示される。安定化ジルコニアの安定化剤は、CaO,MgO,Y2O3,Sc2O3,Yb2O3が例示される。セリア系固溶体のセリアに固溶する元素は、Gd,Sm,Yが例示される。電解質層11にセリア系固溶体が含まれる場合には、燃料極雰囲気の還元性雰囲気において電解質層11に無視できない電子伝導性が発現するため、その雰囲気において電子伝導性が小さい安定化ジルコニアやBaCe1-XSmXO3等の層を電解質層11に設けるのが好ましい。
【0018】
図2は
図1のIIで示す部分を拡大して示す電気化学セルの断面図である。燃料極12は、ガス透過性を有する多孔質体である。燃料極12は、支持層20と、支持層20と電解質層11との間に配置された活性層21と、を含む。本実施形態では、支持層20は活性層21に接しており、活性層21は電解質層11に接している。
【0019】
支持層20は、主に活性層21を支持する機能をもつ。支持層20の厚さは例えば200μm-1000μmである。活性層21は、燃料電池においては電解質層11から供給される酸化物イオンと燃料(水素、一酸化炭素、炭化水素など)とを反応させて電子を生成する機能をもち、水蒸気電解においては通電により水蒸気を電解して水素と酸化物イオンに変換する機能をもつ。活性層21の厚さは例えば10μm-40μmである。
【0020】
支持層20を構成する材料は、活性層21を構成する材料と同じ材料でも良いし、活性層21を構成する材料と異なる材料でも良い。支持層20を構成する材料が、活性層21を構成する材料と異なる場合には、支持層20の材料は安定化ジルコニアが例示される。
【0021】
活性層21は、Niを含む触媒と、Gdが固溶したセリアと、を含む。触媒は、Ni,Ni基合金、NiOと酸化物(固体電解質)との複合体(焼結体)であるサーメットが例示される。サーメットはNiOの水素還元によりNiが生成される。サーメットに含まれる酸化物(固体電解質)は、Gdが固溶したセリアが例示される。触媒をサーメットにすることで多孔質性をもたせることができるので、燃料極反応が起こる場である三相界面を拡大し、反応過電圧を低減できる。
【0022】
活性層21に含まれるGdが固溶したセリアは、電子伝導性およびイオン伝導性を有する。活性層21のセリアに溶解したH+がセリアの表面に移動してO2-と反応し、反応場が三相界面だけでなく、三相界面近傍のセリア表面にまで拡大すると推察される。これにより反応過電圧の低減が期待される。
【0023】
図1に戻って説明する。空気極13は、燃料電池においては気相の酸化剤(酸素)が電子と反応して酸化物イオンになる場であり、水蒸気電解においては酸化物イオンが電子を放出して酸素になる場である。空気極13はガスが吸着し易く酸素イオン伝導性が高いことが必要であり、電子伝導性も必要である。空気極13の材料は、ペロブスカイト型酸化物であるLa
1-XSr
XMnO
3-δ,La
1-XSr
XCoO
3-δ,La
1-XSr
XCo
1-YFe
YO
3-δ,Pr
1-XSr
XMnO
3-δが例示される。また空気極13の材料は、これらのペロブスカイト型酸化物から選択される1種または2種以上の酸化物と電解質層11を構成し得る固体電解質との複合材料が挙げられる。
【0024】
中間層14は、接合体15の製造時(焼成)や電気化学セル10の運転時における高温下での電解質層11と空気極13との反応を低減する。中間層14の材料はセリア系固溶体が例示される。セリア系固溶体のセリアに固溶する元素は、Gd,Sm,La,Yが例示される。
【0025】
接合体15は、所望の電気化学セル10の形状に応じて、円筒、平板などの形状に形成される。接合体15の形状が円筒の場合は、支持体となる燃料極12が、中空の円筒状に形成され、燃料極12の外周面に電解質層11が設けられ、電解質層11の外周面に中間層14及び空気極13が設けられる。接合体15の形状が平板の場合は、支持体となる燃料極12が板状に形成され、電解質層11、中間層14及び空気極13が燃料極12に設けられる。
【0026】
接合体15は、電解質層11、燃料極12、空気極13及び中間層14のそれぞれを構成する原料の調製・混合、成形および焼成の工程を経て製造される。混合工程では、必要に応じて、バインダー、造孔材、可塑剤なども混合する。燃料極12の成形の手段は、押出成形、プレス成形、テープ成形、射出成形が例示される。電解質層11、空気極13及び中間層14の成形の手段は、原料が液体中に分散したスラリーの塗布による厚膜印刷、テープ成形が例示される。成形体の焼成により接合体15が得られる。
【0027】
成形および焼成は、例えば、燃料極12の成形体と電解質層11の成形体とを重ねたものを焼成して燃料極12及び電解質層11を得た後、中間層14の成形体を電解質層11に設けて焼成し、空気極13の成形体を中間層14に設けて焼成して接合体15を得ることができる。又は、燃料極12、電解質層11、中間層14及び空気極13の各成形体を重ねたものを焼成して、接合体15を得ることもできる。
【0028】
電気化学セル10は接合体15を含む。電気化学セル10は、通常、インターコネクタ、集電体、ガスシール材、絶縁性構造材などが配置され、接合体15が多数接続または積層される。電気化学セル10の運転前に、接合体15に還元処理および通電処理が施される。還元処理および通電処理は電気化学セル10の製造者または使用者が行う。
【0029】
還元処理では、電気化学セル10の運転時の燃料極12の温度(以下「運転温度」と称す)付近の温度で、還元ガス雰囲気の下、燃料極12が還元される。還元ガスは水素を含む還元性のガスであり、好適には純水素である。還元処理では、運転温度よりも高い温度に燃料極12が加熱されるのが好ましい。より好ましくは運転温度よりも50℃以上高い温度に燃料極12が加熱される。還元処理によって触媒に含まれるNiOが還元され、Niとなる。還元処理によって燃料極12の電気抵抗値が低減するので、通電処理を行うことが可能になる。
【0030】
還元ガスの水素濃度は、例えば4%から100%の範囲の中から適宜設定される。都市ガスを燃料とする場合には、都市ガスを水蒸気で改質した還元性ガス(水素濃度60~70%)を用いることができる。還元処理の時間は、触媒の還元が達成できるように適宜設定される。
【0031】
通電処理では、接合体15への通電によって、燃料極12に対して空気極13が正の電位を有するように、燃料極12に対して空気極13の電位が-0.2Vから0.45Vの範囲(以下「第1範囲」と称す)になる状態と、0.9Vから1.5Vの範囲(以下「第2範囲」と称す)になる状態と、に電位を交互に設定する。これにより燃料極12の分極抵抗が安定化し、電気化学セル10の耐久性が向上する。
【0032】
第1範囲と第2範囲に設定する時間は、それぞれ5秒から30分までが例示される。これらの電位の設定を繰り返す回数は、第1範囲および第2範囲に電位を1度ずつ設定する過程を1サイクルとして、1サイクルから300サイクルまでが例示される。
【0033】
燃料極12に対する空気極13の電位を設定する装置としては、任意の大きさの負荷電流を両方向に流すことができる電子負荷装置が挙げられる。燃料極12と空気極13との間に電子負荷装置を接続し、燃料極12に対する空気極13の電位が所望の値になるように負荷電流値を設定すれば良い。
【0034】
接合体15の通電処理は、燃料極12に燃料ガス(水素、一酸化炭素、炭化水素など)を供給し、空気極13に酸化剤ガス(酸素、空気)を供給しながら行われる。通電時の燃料極12の温度、及び、供給するガスの流量は、電気化学セル10の運転時の燃料極12の温度やガスの流量とほぼ等しくて良い。通電時の燃料極12の温度は600℃から700℃までが例示される。
【0035】
電気化学セル10の耐久性は、燃料極12(活性層21)において電子伝導性を有するNi及びセリア系固溶体の化学状態および微細構造がいかに維持されるかに大きく依存する。通電処理によってCeの価数変化が抑制され、また、Niの表面の酸化および再還元により微細組織が安定化し、セリア及びNiの微細構造およびセリアの化学状態が維持されるものと推定している。
【0036】
図2を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施形態では、電気化学セル10が燃料電池を構成する場合について説明した。これに対し第2実施形態では、電気化学セル16が固体電解質形水蒸気電解セルを構成する場合について説明する。なお、第1実施形態と同一の部分については同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図2は第2実施の形態における電気化学セル16の模式図である。接合体15は水蒸気電解セルの少なくとも一部である。
【0037】
電気化学セル16は、運転時に、接合体15を加熱し燃料極12と空気極13との間に電流を流して、電気分解によって、燃料極12に供給された水蒸気から水素を製造し、空気極13に酸素を発生する。電気化学セル16の運転前に、接合体15に還元処理および通電処理が施される。これにより第1実施形態と同様に電気化学セル16の耐久性が向上する。
【0038】
図4は、還元処理および通電処理が施された後の、活性層21の組織の模式図である。活性層21の組織は、電解質層11と活性層21との間の界面21a(
図2参照)の法線を含む活性層21の断面に、斜め方向から集束イオンビーム(FIB)を照射して得られた面(以下「観察面」と称す)を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して特定される。観察面は、活性層21に含まれる金属の変形が極めて少ない平滑な断面である。
【0039】
活性層21は、Gdが固溶したセリアからなる第1の粒子22、及び、Niを含む触媒からなる第2の粒子23を含む。第1の粒子22は、燃料極雰囲気下で電子伝導性も有する。
【0040】
活性層21に占める第2の粒子23の体積比は、40vol%-60vol%が好ましい。第2の粒子23による電子伝導性と第1の粒子22によるイオン伝導性とを確保するためである。第2の粒子23の体積比は、還元後の活性層21中の第2の粒子23の体積比である。第2の粒子23の体積比はSEMの画像から算出され、第2の粒子23の面積を、第1の粒子22の面積と第2の粒子23の面積を合わせた面積で除した値(%)である。
【0041】
ガス透過性を有する活性層21は、3次元的につながった無数の気孔を含む。活性層21の断面(観察面)に現出する気孔は、3次元的につながった無数の気孔の一断面であり、第1の粒子22に内包される第1の閉気孔24、第2の粒子23に内包される第2の閉気孔25、及び、第1の粒子22及び第2の粒子23に接する気孔26を含む。閉気孔24,25は、活性層21の内部に孤立した気孔の一断面か否か、外気と接続している開気孔の一断面か否かに関わらず、観察面において第1の粒子22及び第2の粒子23の内部にそれぞれ孤立していることを表している。閉気孔24,25は観察されなくても良い。
【0042】
第1の界面27は、第1の粒子22と第2の粒子23との間の界面である。気孔26は、第1の粒子22と第3の気孔26との間に第2の界面28を作り、第2の粒子23と第3の気孔26との間に第3の界面29を作る。第1の粒子22、第2の粒子23及び気孔26は、第1の界面27と第2の界面28と第3の界面29とが交わる三相界面30を作る。三相界面30は気孔26の中を通って供給される燃料、第1の粒子22及び第2の粒子23が接する反応場である。
【0043】
図5は観察面(断面)上の所定の範囲(実視野31)における活性層21の模式図である。活性層21の組織は、以下のようにして特定される。まず活性層21の観察面の実視野31におけるSEMの画像を取得する。実視野31の大きさ及び形状は、例えば短辺が10μm、長辺が20μmの大きさの矩形とする。本実施形態では、実視野31の長辺が延びる方向を第1の方向とし、実視野31の短辺が延びる方向を第2の方向とする。
【0044】
実視野31は、活性層21の任意の位置に任意の向きで設定できる。活性層21が平板の場合、実視野31の長辺が、界面21a(
図2参照)に沿うように実視野31を設定できる。活性層21と支持層20との間の界面21bと界面21aとの間の距離(活性層21の厚さ)が10μm以上あれば、界面21aに沿って実視野31の長辺(20μm)を設定し、活性層21の厚さ方向に実視野31の短辺(10μm)を設定する。実視野31の面積は、品質管理の精度を確保するため、少なくとも200μm
2とする。活性層21の厚さが10μm未満のときは、実視野31の短辺を活性層21の厚さ方向に最大に設定し、実視野31の面積が200μm
2以上になるように、界面21aに沿って実視野31の長辺を設定する。
【0045】
取得したSEMの画像の輝度およびエネルギー分散型X線分光器(EDS)による元素分析の結果に基づき、画像処理によって、例えば第1の粒子22が白色、第2の粒子23が灰色、閉気孔24,25及び気孔26が黒色となるように、実視野31の全体を3値化する。次に画像解析によって、実視野31に含まれる全ての第2の粒子23について、第2の粒子23と同じ面積(閉気孔25の面積は含まない)をもつ円の直径である第2の粒子23の円相当径を粒子ごとに算出する。
【0046】
画像解析によって、第1の界面27の長さ、第2の界面28の長さ、及び、第3の界面29の長さを界面ごとに算出する。実視野31に含まれる全ての界面27,28,29の長さを合計した界面長を算出し、実視野31に含まれる全ての第1の界面27の長さを界面長で除した割合(%)、実視野31に含まれる全ての第2の界面28の長さを界面長で除した割合(%)、実視野31に含まれる全ての第3の界面29の長さを界面長で除した割合(%)を算出する。
【0047】
画像解析によって、粒子22,23の第1の方向の長さの平均値および第2の方向の長さの平均値を算出する。これらの平均値の算出は、“水谷惟恭、尾崎義治、木村敏夫、山口喬著、「セラミックプロセッシング」、技報堂出版株式会社、1985年3月25日発行、第192頁から第195頁”に記載の方法(インターセプト法)に従って行うことができる。具体的には、実視野31の第1の方向(例えば実視野31の長辺が延びる方向)に直線(長辺に平行な直線)を1.0μmよりも細かい間隔で画像上に引き、実視野31に含まれる全ての第2の粒子23に切り取られた線分の長さを測定する。次いで、各線分の長さの合計値を、当該合計値を求めた線分の数で除した数値を求める。当該数値を第2の粒子23の第1方向の長さの平均値Aとする。
【0048】
画像解析によって、実視野31の第2の方向(例えば実視野31の短辺が延びる方向)に直線(短辺に平行な直線)を1.0μmよりも細かい間隔で画像上に引き、実視野31に含まれる全ての第2の粒子23に切り取られた線分の長さを測定する。次いで、各線分の長さの合計値を、当該合計値を求めた線分の数で除した数値を求める。当該数値を第2の粒子23の第2方向の長さの平均値Bとする。
【0049】
画像解析によって、実視野31の第1の方向(例えば実視野31の長辺が延びる方向)に直線(長辺に平行な直線)を1.0μmよりも細かい間隔で画像上に引き、実視野31に含まれる全ての第1の粒子22に切り取られた線分の長さを測定する。次いで、各線分の長さの合計値を、当該合計値を求めた線分の数で除した数値を求める。当該数値を第1の粒子22の第1方向の長さの平均値Cとする。
【0050】
画像解析によって、実視野31の第2の方向(例えば実視野31の短辺が延びる方向)に直線(短辺に平行な直線)を1.0μmよりも細かい間隔で画像上に引き、実視野31に含まれる全ての第1の粒子22に切り取られた線分の長さを測定する。次いで、各線分の長さの合計値を、当該合計値を求めた線分の数で除した数値を求める。当該数値を第1の粒子22の第2方向の長さの平均値Dとする。
【0051】
これらの画像解析では、第1の粒子22、第2の粒子23及び気孔26のうち一部が実視野31の外にあるもの(第1の粒子22、第2の粒子23及び気孔26のうち実視野31の長辺および短辺で切り取られたもの)は数値の算出に使わない。数値の算出精度を確保するためである。
【0052】
図6は実視野31に現出する第2の粒子23の円相当径による粒度分布である。
図6の横軸に示す規格化粒子径は、実視野31に現出する第2の粒子23について、第2の粒子23の粒子ごとの円相当径を当該円相当径の最大値で除した値である。
図6の横軸は、当該円相当径の最大値を1として、0.05ごとに20の区間に区切った階級である。
図6の縦軸は、各区間の下限値を超え各区間の上限値以下の円相当径(規格化粒子径)をもつ第2の粒子23の頻度(%)である(これらは
図7においても同じ)。
【0053】
図6に示すように、活性層21の実視野31に現出する第2の粒子23の円相当径による粒度分布において、第2の粒子23の円相当径の最大値の1/20以下の円相当径をもつ第2の粒子の頻度は10%以下であることが好ましい。これにより微小な第2の粒子23のシンタリングによる電気化学セル10,16の性能の低下を低減できるので、電気化学セル10,16の耐久性を向上できる。
【0054】
活性層21の実視野31に現出する第2の粒子23は、円相当径の最大値の1/20以下の円相当径をもつ第2の粒子23の面積が、実視野31に現出する全ての第2の粒子23の面積の0.1%以下であることが好ましい。微小な第2の粒子23のシンタリングによる電気化学セル10、16の性能の低下を低減できるので、電気化学セル10,16の耐久性を向上できる。
【0055】
平均値Aを平均値Bで除した値A/Bは、0.9より大きく1.1未満であることが好ましい。これにより第2の粒子23の断面が円形に近づくため、第2の粒子23の活性を低下させることができる。第2の粒子23の表面拡散を低減できるので、電気化学セル10、16の耐久性をさらに向上できる。
【0056】
平均値Cを平均値Dで除した値C/Dは、0.9より大きく1.1未満であることが好ましい。これにより第1の粒子22の断面が円形に近づくため、第1の粒子22の活性を低下させることができる。第1の粒子22の表面拡散を低減できるので、電気化学セル10、16の耐久性をさらに向上できる。
【0057】
第1の界面27の長さと、第2の界面28の長さと、第3の界面29の長さと、を合わせた界面長に対して、第2の界面28の長さの割合は40%以上であることが好ましい。第2の粒子23を構成する原子の拡散は、第1の界面27(固体/固体界面)で起きる粒界拡散に比べ、第3の界面29(固体/気体界面)で起きる表面拡散の方が起こり易い。第2の界面28の長さの割合が40%以上であると、相対的に第3の界面29の長さが短くなるので、第2の粒子23を構成する原子の表面拡散が低減する。これにより電気化学セル10,16の性能の低下を低減できる。よって耐久性を向上できる。
【0058】
界面長に対する第2の界面28の長さの割合は40%以上50%以下であることが好ましい。より好ましくは40%以上45%以下である。第2の界面28の長さの割合が45%を超えると、活性層21の中で第2の粒子23同士がつながり難くなり、電子伝導性が低下する傾向がみられる。特に第2の界面28の長さの割合が50%を超えると、その傾向が著しくなる。
【0059】
界面長に対する第1の界面27の長さの割合と、界面長に対する第2の界面28の長さの割合と、界面長に対する第3の界面29の長さの割合と、を比較したときに、界面長に対する第3の界面29の長さの割合が最も低いことが好ましい。第3の界面29の長さの割合が最も低いと、第2の粒子23を構成する原子の表面拡散をさらに低減できるので、耐久性をさらに向上できる。
【実施例】
【0060】
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0061】
(実施例1における接合体の作製)
イットリア安定化ジルコニア(YSZ)粉末とNiO粉末とを混合し、ブチラール樹脂、造孔材としてのポリメタクリル酸メチル製のビーズ、可塑剤、分散剤、及び、溶剤を加え、混合してスラリーを得た。ドクターブレード法によりスラリーを厚さ200μmのグリーンシートにして、支持層の成形体を得た。
【0062】
Gdが固溶したセリア(Gd0.2Ce0.8O2-δ)粉末(GDC粉末)とNiO粉末とを混合し、ブチラール樹脂、造孔材としてのポリメタクリル酸メチル製のビーズ、可塑剤、分散剤、及び、溶剤を加え、混合してスラリーを得た。ドクターブレード法によりスラリーを厚さ20μmのグリーンシートにして、活性層の成形体を得た。
【0063】
YSZ粉末にブチラール樹脂、可塑剤、分散剤、及び、溶剤を加え、混合してスラリーを得た。ドクターブレード法によりスラリーを厚さ10μmのグリーンシートにして、電解質層の成形体を得た。支持層、活性層および電解質層の成形体を重ねて圧着し、脱脂後、大気中1350℃で焼成して、燃料極12と電解質層11との積層体を得た。
【0064】
GDC粉末にポリビニルアルコール及び溶媒を加えて混合し、粘度を調整してペーストを得た。スクリーン印刷によって積層体の電解質層11にペーストを塗布し、成膜した。乾燥後、大気中1200℃で焼成して、中間層14が設けられた積層体を得た。
【0065】
La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3-δ粉末にポリビニルアルコール及び溶媒を加えて混合し、粘度を調整してペーストを得た。スクリーン印刷によって積層体の中間層14にペーストを塗布し、成膜した。乾燥後、大気中1100℃で焼成して、空気極13が設けられた接合体15を得た。
【0066】
(還元処理)
窒素雰囲気の下、燃料極12が700℃になるように昇温し、700℃になった後に水素雰囲気に切替え、燃料極12を還元した。水素の濃度は100%とし、還元時間は1時間とした。
【0067】
(実施例における通電処理)
還元処理を行った接合体15の燃料極12が700℃になるように接合体15を加熱しつつ、燃料極12に燃料ガス(水素:20ml/分、水蒸気:100ml/分)を供給し、空気極13に酸化剤ガス(空気:100ml/分)を供給しながら、接合体15の燃料極12と空気極13との間に通電した。通電によって、燃料極12に対して空気極13が正の電位を有するように、燃料極12に対して空気極13の電位を-0.2Vから0.45Vの範囲(第1範囲)と0.9Vから1.5Vの範囲(第2範囲)に交互に設定した。
【0068】
第1範囲や第2範囲に電位を設定した時間は一定ではなかったが、それぞれ5秒から5分までの間とした。第1範囲および第2範囲に電位を1度ずつ設定した過程を1サイクルとして、200サイクルの通電を行った。総通電時間は3時間であった。これにより実施例1における接合体15を得た。
【0069】
(実施例2)
活性層に含まれるNiO粉末の平均粒径を変えた以外は、実施例1と同様に接合体を作製して、実施例2における接合体15を得た。
【0070】
(比較例1)
通電処理を行わなかった以外は、実施例1と同様に接合体を作製して、比較例1における接合体を得た。
【0071】
(比較例2)
GDC粉末とNiO粉末とを含む燃料極の活性層を省略し、さらに通電処理を行わなかった以外は、実施例1と同様に接合体を作製して、燃料極の組成がNi-YSZである比較例2における接合体を得た。
【0072】
(比較例3)
還元処理を行った接合体15に通電して、空気極13に対して燃料極12が負の電位を有するように、空気極13に対する燃料極12の電位を0.5Vから0.7Vの範囲と1.0Vから1.5Vの範囲に交互に設定した以外は、実施例1と同様にして比較例3における接合体を得た。この通電処理は特許文献1に開示された技術である。
【0073】
(活性層の組織の特定)
実施例1、実施例2及び比較例1における接合体の一部を切り出して試料を採取した。試料をそれぞれ常温硬化型樹脂に埋め込み、活性層21と電解質層11との間の界面21aに垂直な活性層21の断面を研磨加工した。活性層21の断面に、斜め方向からFIBを照射して活性層21の平滑な観察面を作製した。SEMにより、縦10μm横20μmの大きさの矩形の実視野31における観察面の画像を取得した。実視野31は、実視野31の長辺を界面21aに沿って設定した。
【0074】
画像処理によって、GDC(第1の粒子22)が白色、Ni(第2の粒子23)が灰色、閉気孔24,25及び気孔16が黒色となるように実視野31の全体を3値化した後、画像解析によって、実視野31に含まれる全ての第2の粒子23の円相当径を粒子ごとに算出した。実施例1における試料の第2の粒子23の円相当径の最大値は2.176μm、実施例2における試料の第2の粒子23の円相当径の最大値は1.968μm、比較例1における試料の第2の粒子23の円相当径の最大値は1.788μmであった。
【0075】
実視野31に現出する第2の粒子23について、第2の粒子23の粒子ごとの円相当径を当該円相当径の最大値で除した規格化粒子径を算出した。次いで、当該円相当径の最大値を1として、0.05ごとに区切った区間に含まれる円相当径(規格化粒子径)をもつ第2の粒子23の頻度(%)を求めた。実施例1における第2の粒子23の円相当径による粒度分布を
図6に示し、比較例1における第2の粒子23の円相当径による粒度分布を
図7に示した。
【0076】
画像解析によって、第1の界面27の長さ、第2の界面28の長さ、及び、第3の界面29の長さを界面ごとに算出し、実視野31に含まれる全ての界面27,28,29の長さを合計した界面長を求めた。実施例1における試料の界面長は635μm、実施例2における試料の界面長は643μm、比較例1における試料の界面長は641μmであった。実視野31に含まれる全ての第1の界面27の長さを界面長で除した割合(%)、実視野31に含まれる全ての第2の界面28の長さを界面長で除した割合(%)、実視野31に含まれる全ての第3の界面29の長さを界面長で除した割合(%)を算出した。
【0077】
画像解析によって、実視野31の長辺に平行な直線を画像上に等間隔に21本引き、全ての第2の粒子23に切り取られた線分の長さを測定した。次いで、各線分の長さの合計値を、当該合計値を求めた線分の数で除した平均値Aを算出した。
【0078】
同様に、実視野31の短辺に平行な直線を画像上に等間隔に21本引き、全ての第2の粒子23に切り取られた線分の長さを測定した。次いで、各線分の長さの合計値を、当該合計値を求めた線分の数で除した平均値Bを算出し、A/Bを求めた。
【0079】
画像解析によって、実視野31の長辺に平行な直線を画像上に等間隔に21本引き、全ての第1の粒子22に切り取られた線分の長さを測定した。次いで、各線分の長さの合計値を、当該合計値を求めた線分の数で除した平均値Cを算出した。
【0080】
同様に、実視野31の短辺に平行な直線を画像上に等間隔に21本引き、全ての第1の粒子22に切り取られた線分の長さを測定した。次いで、各線分の長さの合計値を、当該合計値を求めた線分の数で除した平均値Dを算出し、C/Dを求めた。
【0081】
(耐久試験)
実施例および比較例における接合体15をそれぞれ800℃に加熱しつつ、燃料極12に水蒸気を含む水素(H
2O:90ml/分、H
2:10ml/分)を供給し、空気極13に空気(100ml/分)を供給しながら、燃料極12と空気極13との間に1.5A/cm
2の電流を流した。この状態で燃料極12と空気極13との間の電圧の経時変化を1000時間まで測定した。また、試験開始時の電圧V
0と1000時間経過後の電圧V
Tから、燃料極12と空気極13との間の電気抵抗値の増加率を表す劣化率(%)=(V
T-V
0)/V
0×100を求めた。
図8は、実施例1における接合体および比較例3における接合体の耐久試験の結果を示す図である。
【0082】
図8に示すように実施例1における接合体は、比較例3における接合体に比べ、電圧の経時変化が少ないことがわかった。実施例1における接合体は、比較例3における接合体に比べ、耐久試験において燃料極12と空気極13との間の電気抵抗値が増加しないので、耐久性が向上したことが明らかである。
【0083】
表1に、実施例および比較例における活性層の組成、第2の粒子23の円相当径による粒度分布における第2の粒子23の最大径の1/20以下の円相当径をもつ第2の粒子23の頻度(%)、第2の粒子23の最大径の1/20以下の円相当径をもつ第2の粒子23の面積の、全ての第2の粒子23の面積に対する割合(%)、A/B、C/D、界面長に対する第1の界面27の割合(%)、界面長に対する第2の界面28の割合(%)、界面長に対する第3の界面29の割合(%)、及び、耐久試験による電気化学セルの劣化率(%)を示した。
【0084】
【表1】
表1に示すように、第2の粒子23の最大径の1/20以下の円相当径をもつ第2の粒子23の頻度が10%以下である実施例1及び2は、その頻度が21%である比較例1に比べて劣化率が低く、耐久性に優れることが明らかになった。
【0085】
第2の粒子23の最大径の1/20以下の円相当径をもつ第2の粒子23の面積の、全ての第2の粒子23の面積に対する割合が0.1%以下である実施例1及び2は、その割合が0.54%である比較例1に比べて劣化率が低く、耐久性に優れることが明らかになった。
【0086】
A/Bが0.9より大きく1.1未満である実施例1及び2は、A/Bが1.11である比較例1に比べて劣化率が低く、耐久性に優れることが明らかになった。
【0087】
C/Dが0.9より大きく1.1未満である実施例1及び2は、C/Dが1.10である比較例1に比べて劣化率が低く、耐久性に優れることが明らかになった。
【0088】
界面長に対する第2の界面28の割合が40%以上である実施例1及び2は、その割合が39.2%である実施例1に比べて劣化率が低く、耐久性に優れることが明らかになった。実施例1及び2は、界面長に対する第3の界面29の割合が、界面長に対する他の界面27,28の割合よりも低かった。
【0089】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0090】
実施形態では、電解質層11と空気極13との間に中間層14が配置された接合体15について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。電解質層11や空気極13の材料によって中間層14を省略することは当然可能である。
【0091】
実施形態では、水蒸気電解による水素製造装置として水蒸気電解セル(SOEC)を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。電気化学セルを他の水素製造装置に適用することは当然可能である。他の水素製造装置は、水素生成セル(SOHG)、水蒸気改質セルが例示される。
【0092】
実施例では、燃料極12に含まれる電解質がGd0.2Ce0.8O2-δの場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。Ceに対するGdの置換率(mol分率)は適宜設定できる。
【0093】
実施例では、燃料極12を構成するGDC粉末とNiO粉末の混合比(質量比)が50:50の場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。燃料極12に占めるNiの体積比は適宜設定できる。
【符号の説明】
【0094】
10,16 電気化学セル
11 電解質層
12 燃料極
13 空気極
15 接合体