(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】車両用電源装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240828BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240828BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240828BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20240828BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240828BHJP
B60L 1/00 20060101ALI20240828BHJP
B60L 53/16 20190101ALI20240828BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H01M10/44 P
H01M10/48 P
H02J7/00 303C
H02J7/10 A
H02J7/00 301B
B60L50/60
B60L1/00 L
B60L53/16
(21)【出願番号】P 2020148830
(22)【出願日】2020-09-04
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田島 綾一
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-011657(JP,A)
【文献】特開2004-080909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 10/44
H01M 10/48
H02J 7/10
B60L 50/60
B60L 1/00
B60L 53/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車両用電源装置であって、
複数の蓄電セルを備え、走行用モータに接続される第1蓄電体と、
前記第1蓄電体よりも低電圧であり、制御機器に接続され
て前記制御機器の電源として機能する第2蓄電体と、
前記複数の蓄電セルの一部から前記第2蓄電体に電力を供給し、前記複数の蓄電セル間の電圧差を縮小する電圧調整回路と、
を有し、
前記電圧調整回路は、車両を起動させるスタートスイッチがオフ状態であり、前記第1蓄電体のSOCが第1閾値を上回り、かつ前記第2蓄電体のSOCが第2閾値を下回る場合に、前記複数の蓄電セルの一部から前記第2蓄電体に電力を供給する、
車両用電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用電源装置において、
前記電圧調整回路は、
前記蓄電セルの電力を蓄える複数のコンデンサと、
前記複数のコンデンサから選択される少なくとも2つ以上のコンデンサを互いに直列接続してコンデンサ群を形成し、前記コンデンサ群と前記第2蓄電体とを互いに並列接続する複数のスイッチと、
を有する、
車両用電源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用電源装置において、
前記電圧調整回路は、前記コンデンサ群と前記第2蓄電体とを互いに並列接続することにより、前記複数の蓄電セルの一部から前記第2蓄電体に電力を供給する、
車両用電源装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の車両用電源装置において、
前記電圧調整回路は、
前記スタートスイッチがオフ状態であり、前記第1蓄電体のSOCが前記第1閾値を上回り、かつ前記第2蓄電体のSOCが前記第2閾値を下回る場合に、前記複数の蓄電セルの一部から前記第2蓄電体に電力を供給し、
前記スタートスイッチがオフ状態であり、かつ前記第1蓄電体のSOCが前記第1閾値を下回る状態のもとで、前記複数の蓄電セル間の電圧差を縮小させる場合に、前記複数の蓄電セルの一部から抵抗器に電力を供給し、
前記スタートスイッチがオフ状態であり、かつ前記第2蓄電体のSOCが前記第2閾値を上回る状態のもとで、前記複数の蓄電セル間の電圧差を縮小させる場合に、前記複数の蓄電セルの一部から前記抵抗器に電力を供給する、
車両用電源装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の車両用電源装置において、
外部電源によって前記第1蓄電体を充電する外部充電時に、前記外部電源から延びる充電コネクタが接続される充電インレットと、
前記充電インレットに設けられ、外部充電時に前記充電インレットと前記充電コネクタと互いに固定するロックアクチュエータと、
を有し、
前記第2蓄電体が接続される前記制御機器には、前記ロックアクチュエータが含まれる、
車両用電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車両用電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車両等は、走行用モータに接続されるリチウムイオンバッテリ等の高電圧バッテリを有している(特許文献1~4参照)。また、高電圧バッテリは、互いに直列接続される複数の蓄電セルによって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-5677号公報
【文献】特開2008-1997893号公報
【文献】特開2013-243806号公報
【文献】特開2010-283922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、蓄電セル間の電圧差が拡大した場合には、蓄電セルの過充電や過放電を回避するため、高電圧バッテリの充放電容量を制限する必要がある。このため、蓄電セル間の電圧差が拡大した場合には、高電圧の蓄電セルから抵抗器に放電させることにより、蓄電セル間の電圧差を縮めるセル電圧調整制御が実行される。しかしながら、セル電圧調整制御においては、蓄電セルの電力が抵抗器で消費されることから、車両のエネルギー効率を低下させる要因であった。
【0005】
本発明の目的は、車両のエネルギー効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用電源装置は、車両に搭載される車両用電源装置であって、複数の蓄電セルを備え、走行用モータに接続される第1蓄電体と、前記第1蓄電体よりも低電圧であり、制御機器に接続されて前記制御機器の電源として機能する第2蓄電体と、前記複数の蓄電セルの一部から前記第2蓄電体に電力を供給し、前記複数の蓄電セル間の電圧差を縮小する電圧調整回路と、を有する。前記電圧調整回路は、車両を起動させるスタートスイッチがオフ状態であり、前記第1蓄電体のSOCが第1閾値を上回り、かつ前記第2蓄電体のSOCが第2閾値を下回る場合に、前記複数の蓄電セルの一部から前記第2蓄電体に電力を供給する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電圧調整回路は、車両を起動させるスタートスイッチがオフ状態であり、第1蓄電体のSOCが第1閾値を上回り、かつ第2蓄電体のSOCが第2閾値を下回る場合に、複数の蓄電セルの一部から第2蓄電体に電力を供給する。これにより、第1蓄電体の電力を有効に活用することができ、車両のエネルギー効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施の形態である車両用電源装置が搭載された車両の構成例を示す概略図である。
【
図2】車両用電源装置が備える制御系の一例を示す概略図である。
【
図3】電圧調整ユニットの一例を示す回路図である。
【
図4】
図3に示したスイッチユニットおよびその近傍を拡大する回路図である。
【
図5】セル電圧調整制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】セル電圧計測時における電圧調整ユニットの作動状況の一例を示す回路図である。
【
図7】セル電圧調整制御における電圧調整ユニットのスイッチ作動状況の一例を示す回路図である。
【
図8】セル電圧調整制御における電圧調整ユニットのスイッチ作動状況の一例を示す回路図である。
【
図9】セル電圧調整制御における電圧調整ユニットのスイッチ作動状況の一例を示す回路図である。
【
図10】セル電圧調整制御の実行手順の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
[車両構成]
図1は本発明の一実施の形態である車両用電源装置10が搭載された車両11の構成例を示す概略図である。
図1に示すように、車両用電源装置10は、リチウムイオンバッテリ等の高電圧バッテリ(第1蓄電体)12を備えた高電圧系13と、鉛バッテリ等の低電圧バッテリ(第2蓄電体)14を備えた低電圧系15と、高電圧バッテリ12を充電する車載充電器16を備えた外部充電系17と、を有している。なお、図示する車両11は、動力源としてモータジェネレータ20を備えた電気自動車であるが、これに限られることはなく、動力源としてエンジンおよびモータジェネレータを備えたハイブリッド車両であっても良い。
【0011】
高電圧系13には、高電圧バッテリ12が設けられるとともに、高電圧バッテリ12に接続されるモータジェネレータ(走行用モータ)20が設けられている。モータジェネレータ20のロータ20rには、デファレンシャル機構21等を介して車輪22が連結されており、モータジェネレータ20のステータ20sには、電力変換機器であるインバータ23を介して高電圧バッテリ12が接続されている。また、高電圧バッテリ12は、互いに直列接続される複数の蓄電セル30によって構成されている。この高電圧バッテリ12には、蓄電セル30間の電圧差を縮小するため、蓄電セル30の一部を放電させる電圧調整ユニット(電圧調整回路)31が接続されている。また、低電圧系15には、高電圧バッテリ12よりも低電圧の低電圧バッテリ14が設けられるとともに、低電圧バッテリ14に接続されるコントローラやアクチュエータ等の制御機器32が設けられている。さらに、低電圧バッテリ14には、前述した高電圧バッテリ12の電圧調整ユニット31が接続されている。
【0012】
外部充電系17には、高電圧バッテリ12に接続される車載充電器16が設けられるとともに、車載充電器16に接続される充電インレット33が設けられている。また、充電インレット33には、制御機器32の1つとして、ロックアクチュエータ34が設けられている。つまり、低電圧バッテリ14が接続される制御機器32には、ロックアクチュエータ34が含まれている。外部電源35を用いて高電圧バッテリ12を充電する外部充電時には、符号α1で示すように、外部電源35から延びる充電コネクタ36が充電インレット33に対して接続される。そして、充電コネクタ36が充電インレット33に接続されると、ロックアクチュエータ34の係合ピン34aが突出して充電コネクタ36に係合し、充電コネクタ36と充電インレット33とが互いに固定される。また、外部電源35から車載充電器16に取り込まれる交流電力は、電力変換機器である車載充電器16によって直流電力に変換されて高電圧バッテリ12に供給される。この外部電源35によって高電圧バッテリ12を充電する外部充電は、後述するように車両11の電源モードがOFFモードであるときに実行される。
【0013】
[制御系]
図2は車両用電源装置10が備える制御系40の一例を示す概略図である。
図2に示すように、車両用電源装置10は、マイコン等からなる複数のコントローラ41~44を有している。これらのコントローラ41~44として、インバータ23を介してモータジェネレータ20を制御するモータコントローラ41、高電圧バッテリ12や電圧調整ユニット31を制御するバッテリコントローラ42、車載充電器16やロックアクチュエータ34を制御する充電コントローラ43、および各コントローラ41~43を統合制御するメインコントローラ44がある。これらのコントローラ41~44は、CAN等の車載ネットワーク45を介して互いに通信自在に接続されている。
【0014】
メインコントローラ44には、アクセルペダルの操作状況を検出するアクセルセンサ46、ブレーキペダルの操作状況を検出するブレーキセンサ47、および車速を検出する車速センサ48等が接続されている。また、メインコントローラ44には、高電圧バッテリ12に設けられるバッテリセンサ49が接続されるとともに、低電圧バッテリ14に設けられるバッテリセンサ50が接続されている。バッテリセンサ49は、高電圧バッテリ12の温度、充放電電流および端子電圧等を検出する機能を有しており、バッテリセンサ50は、低電圧バッテリ14の温度、充放電電流および端子電圧等を検出する機能を有している。
【0015】
メインコントローラ44は、高電圧バッテリ12のSOCを算出する第1SOC算出部51と、低電圧バッテリ14のSOCを算出する第2SOC算出部52と、を有している。第1SOC算出部51は、高電圧バッテリ12の充放電電流や端子電圧等に基づいて、高電圧バッテリ12のSOCを定期的に算出する。また、第2SOC算出部52は、低電圧バッテリ14の充放電電流や端子電圧等に基づいて、低電圧バッテリ14のSOCを定期的に算出する。なお、前述の説明では、メインコントローラ44を用いて高電圧バッテリ12や低電圧バッテリ14のSOCを算出しているが、これに限られることはなく、バッテリコントローラ42を用いて高電圧バッテリ12のSOCを算出しても良く、他のコントローラを用いて低電圧バッテリ14のSOCを算出しても良い。
【0016】
なお、高電圧バッテリ12の充電状態であるSOC(State of Charge)とは、高電圧バッテリ12の蓄電残量を示す比率であり、高電圧バッテリ12の満充電容量に対する蓄電量の比率である。つまり、高電圧バッテリ12の蓄電量が増加するほどにSOCは高く算出され、高電圧バッテリ12の蓄電量が減少するほどにSOCは低く算出される。同様に、低電圧バッテリ14の充電状態であるSOC(State of Charge)とは、低電圧バッテリ14の蓄電残量を示す比率であり、低電圧バッテリ14の満充電容量に対する蓄電量の比率である。つまり、低電圧バッテリ14の蓄電量が増加するほどにSOCは高く算出され、低電圧バッテリ14の蓄電量が減少するほどにSOCは低く算出される。
【0017】
メインコントローラ44は、バッテリコントローラ42を介して電圧調整ユニット31を制御するセル電圧制御部53と、充電コントローラ43を介して車載充電器16やロックアクチュエータ34を制御する充電制御部54と、を有している。また、メインコントローラ44には、車両起動時や車両停止時に乗員に操作されるスタートスイッチ55が接続されている。スタートスイッチ55によって選択される電源モードとして、スタートスイッチ55がオン状態に操作されることで選択されるONモード、つまり制御系40を起動させる車両起動時に選択されるONモードがある。また、スタートスイッチ55によって選択される電源モードとして、スタートスイッチ55がオフ状態に操作されることで選択されるOFFモード、つまり制御系40を停止させる車両停止時に選択されるOFFモードがある。なお、車両11を起動させるスタートスイッチ55は、電源スイッチやイグニッションスイッチ等とも呼ばれている。
【0018】
前述したように、電源モードとしてOFFモードが選択された状態のもとで、充電インレット33に対して充電コネクタ36が接続されると、メインコントローラ44、充電コントローラ43および車載充電器16等が起動され、外部電源35によって高電圧バッテリ12が所定の目標SOCに向けて充電される。また、後述するように、電源モードがONモードからOFFモードに切り替えられると、メインコントローラ44、バッテリコントローラ42および電圧調整ユニット31等の作動状態が維持され、必要に応じて高電圧バッテリ12の蓄電セル30を放電させるセル電圧調整制御が実行される。このように、制御系40を停止させるOFFモードであっても、状況に応じて制御系40の一部は作動している。
【0019】
[電圧調整ユニット]
続いて、高電圧バッテリ12に接続される電圧調整ユニット31について説明する。
図3は電圧調整ユニット31の一例を示す回路図であり、
図4は
図3に示したスイッチユニットSW1およびその近傍を拡大する回路図である。なお、前述の説明では、蓄電セルに「30」の符号を付して説明しているが、以下の説明では、一部の蓄電セルを区別して説明するため、蓄電セルに対して「30」の他に「CE1~CE4」の符号を付して説明する。
【0020】
図3に示すように、高電圧バッテリ12には、互いに直列接続される複数の蓄電セル30が組み込まれている。蓄電セル30の一部を放電させる電圧調整ユニット31には、高電圧バッテリ12に接続される複数の放電回路部X1,X2,・・,Xnが設けられるとともに、これらの放電回路部X1~Xnに接続される電圧計測回路部56が設けられている。なお、以下の説明では、主に放電回路部X1の回路構成について説明するが、他の放電回路部X2,・・,Xnについても、放電回路部X1と同様の回路構成を有している。
【0021】
高電圧バッテリ12の蓄電セルCE1~CE4には、スイッチユニットSW1、コンデンサC1、絶縁スイッチS1a,S1bおよび迂回スイッチS1cからなる放電回路部X1が接続されている。各蓄電セルCE1~CE4の正極や負極には通電ライン60a,60b,60c,60d,60eが接続されており、これらの通電ライン60a~60eに対してスイッチユニットSW1が接続されている。また、スイッチユニットSW1には、正極スイッチSWaおよび負極スイッチSWbが組み込まれている。
【0022】
図4に示すように、スイッチユニットSW1の正極スイッチSWaは、通電ライン60a~60dに接続される4つの固定接点a1~a4と、通電ライン60a~60dから切り離される1つの固定接点anと、固定接点a1~a4,anの何れかに接触する可動接点caと、を有している。また、正極スイッチSWaの可動接点caには、正極ラインL1aを介して電圧計測回路部56が接続されている。一方、スイッチユニットSW1の負極スイッチSWbは、通電ライン60b~60eに接続される4つの固定接点b1~b4と、通電ライン60b~60eから切り離される1つの固定接点bnと、固定接点b1~b4,bnの何れかに接触する可動接点cbと、を有している。また、負極スイッチSWbの可動接点cbには、負極ラインL1bを介して電圧計測回路部56が接続されている。
【0023】
スイッチユニットSW1の正極スイッチSWaおよび負極スイッチSWbを制御することにより、蓄電セルCE1~CE4の何れか1つを放電回路部X1に接続することができる。つまり、正極スイッチSWaの可動接点caを固定接点a1に接続し、負極スイッチSWbの可動接点cbを固定接点b1に接続すると、蓄電セルCE1が放電回路部X1に接続される。また、可動接点caを固定接点a2に接続して可動接点cbを固定接点b2に接続すると、蓄電セルCE2が放電回路部X1に接続され、可動接点caを固定接点a3に接続して可動接点cbを固定接点b3に接続すると、蓄電セルCE3が放電回路部X1に接続される。さらに、可動接点caを固定接点a4に接続して可動接点cbを固定接点b4に接続すると、蓄電セルCE4が放電回路部X1に接続され、可動接点caを固定接点anに接続して可動接点cbを固定接点bnに接続すると、全ての蓄電セルCE1~CE4が放電回路部X1から切り離される。
【0024】
図3に示すように、放電回路部X1のコンデンサC1は、正極ラインL1aと負極ラインL1bとを接続する通電ライン70に設けられている。また、放電回路部X1の迂回スイッチS1cは、正極ラインL1aと負極ラインL1bとを接続する通電ライン71に設けられている。さらに、正極ラインL1aには接続点70a,71aを介して通電ライン70,71が接続されており、接続点70a,71a間の正極ラインL1aには絶縁スイッチS1aが設けられている。同様に、負極ラインL1bには接続点70b,71bを介して通電ライン70,71が接続されており、接続点70b,71b間の負極ラインL1bには絶縁スイッチS1bが設けられている。
【0025】
前述した放電回路部X1と同様に、放電回路部X2は、スイッチユニットSW2、コンデンサC2、絶縁スイッチS2a,S2bおよび迂回スイッチS2cによって構成されている。また、放電回路部Xnは、スイッチユニットSWn、コンデンサCn、絶縁スイッチSna,Snbおよび迂回スイッチSncによって構成されている。さらに、放電回路部X1~Xnを互いに接続するため、それぞれの放電回路部X1~Xnの間にはコンデンサ接続スイッチSxが設けられている。つまり、放電回路部X1の負極ラインL1bと放電回路部X2の正極ラインL2aとは、コンデンサ接続スイッチSxを介して互いに接続されている。同様に、放電回路部X2の負極ラインL2bや放電回路部Xnの正極ラインLnaにも、コンデンサ接続スイッチSxが接続されている。
【0026】
また、電圧調整ユニット31の電圧計測回路部56には、抵抗スイッチSrを介して抵抗器Rが接続されている。さらに、電圧調整ユニット31には、低電圧系15の低電圧バッテリ14が接続されている。つまり、低電圧バッテリ14の正極端子14aは、正極ライン72aを介して放電回路部X1の正極ラインL1aに接続されており、低電圧バッテリ14の負極端子14bは、負極ライン72bを介して放電回路部Xnの負極ラインLnbに接続されている。また、正極ライン72aにはバッテリ接続スイッチSBaが設けられており、負極ライン72bにはバッテリ接続スイッチSBbが設けられている。
【0027】
[セル電圧調整制御]
以下、電圧調整ユニット31を用いて一部の蓄電セル30を放電させるセル電圧調整制御について説明する。
図5はセル電圧調整制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。また、
図6はセル電圧計測時における電圧調整ユニット31の作動状況の一例を示す回路図である。なお、以下の説明では、高電圧バッテリ12のSOCと低電圧バッテリ14のSOCとを区別するため、高電圧バッテリ12のSOCについては「SOCa」と記載し、低電圧バッテリ14のSOCについては「SOCb」と記載する。
【0028】
図5に示すように、ステップS10では、スタートスイッチ55がオフ状態であるか否かが判定される。つまり、ステップS10では、蓄電セル30を放電させるセル放電処理の実行条件であるOFFモードであるか否かが判定される。ステップS10において、スタートスイッチ55がオフ状態であると判定された場合には、ステップS11に進み、高電圧バッテリ12のSOCaが所定の第1閾値SOC1を上回るか否かが判定される。ステップS11において、高電圧バッテリ12のSOCaが閾値SOC1を上回ると判定された場合、つまり高電圧バッテリ12の蓄電量が十分であると判定された場合には、ステップS12に進み、低電圧バッテリ14のSOCbが所定の第2閾値SOC2を下回るか否かが判定される。ステップS12において、低電圧バッテリ14のSOCbが閾値SOC2を下回ると判定された場合、つまり低電圧バッテリ14の蓄電量が不足していると判定された場合には、ステップS13に進む。
【0029】
ステップS13では、高電圧バッテリ12を構成する各蓄電セル30の電圧を計測することにより、高電圧の蓄電セル30つまり放電対象の蓄電セル30が選択される。例えば、高電圧バッテリ12を構成する蓄電セルCE1の電圧を計測する際には、
図6に示すように、正極スイッチSWaの可動接点caが固定接点a1に接続され、負極スイッチSWbの可動接点cbが固定接点b1に接続される。また、絶縁スイッチS1a,S1bがオン状態に制御され、迂回スイッチS1cがオフ状態に制御される。これにより、蓄電セルCE1の正極側に接続される通電ライン60aは、スイッチユニットSW1および正極ラインL1aを介して電圧計測回路部56に接続される。また、蓄電セルCE1の負極側に接続される通電ライン60bは、スイッチユニットSW1および負極ラインL1bを介して電圧計測回路部56に接続される。このように、蓄電セルCE1の正極および負極は電圧計測回路部56に接続され、電圧計測回路部56によって蓄電セルCE1の電圧を計測することができる。
【0030】
前述したように、スイッチユニットSW1を制御するとともに、他のスイッチユニットSW2~SWnを制御することにより、電圧計測回路部56に接続される蓄電セル30が次々に切り替えられ、電圧計測回路部56によって全ての蓄電セル30の電圧が計測される。そして、メインコントローラ44のセル電圧制御部53は、他の蓄電セル30に比べて高電圧の蓄電セル30を放電対象の蓄電セルとして選択する。例えば、電圧の高い順から所定数量の蓄電セル30を放電対象として選択しても良く、最も低電圧の蓄電セル30に対する電圧差が所定値を超える蓄電セル30を放電対象として選択しても良い。
【0031】
このように、ステップS13において、他の蓄電セル30に比べて電圧の高い放電対象の蓄電セル30が選択されると、ステップS14に進み、蓄電セル30を放電させるセル放電処理を実行することにより、放電対象の蓄電セル30から低電圧バッテリ14に電力が供給される。後述するように、ステップS14で実行されるセル放電処理においては、電圧調整ユニット31に設けられる各スイッチを制御することにより、放電対象である複数の蓄電セル30から複数のコンデンサC1,・・に電力が供給される。その後、充電された複数のコンデンサC1,・・が互い直列接続されてコンデンサ群80になり、このコンデンサ群80から低電圧バッテリ14に対して電力が供給される。
【0032】
これまで説明したように、車両11を起動させるスタートスイッチ55がオフ状態に制御され、高電圧バッテリ12のSOCaが閾値SOC1を上回り、かつ低電圧バッテリ14のSOCbが閾値SOC2を下回る場合には、高電圧バッテリ12を構成する複数の蓄電セル30の一部から低電圧バッテリ14に電力が供給される。すなわち、高電圧バッテリ12の蓄電量が十分に確保されるとともに、低電圧バッテリ14の蓄電量が不足している場合には、セル放電処理によって高電圧バッテリ12から低電圧バッテリ14に電力が供給される。これにより、低電圧バッテリ14のSOCbを回復させることができ、低電圧バッテリ14からの供給電力によって制御機器32を適切に動作させることができる。
【0033】
例えば、外部電源35によって高電圧バッテリ12を充電する外部充電時には、ロックアクチュエータ34によって充電インレット33と充電コネクタ36とが互いに固定される。このため、ロックアクチュエータ34等の電源である低電圧バッテリ14の電力が枯渇した場合には、ロックアクチュエータ34を作動させることができずに、充電インレット33から充電コネクタ36を取り外すことが困難である。つまり、車両11から充電コネクタ36を取り外して車両11を移動させることができないため、駐車環境によっては低電圧バッテリ14の電力枯渇に対応することが困難となっていた。しかしながら、本実施形態の車両用電源装置10においては、低電圧バッテリ14のSOCbが過度に低下した場合であっても、セル放電処理によって低電圧バッテリ14のSOCbを回復させることができ、ロックアクチュエータ34を適切に作動させて車両11から充電コネクタ36を取り外すことができる。
【0034】
さらに、本実施形態の車両用電源装置10においては、セル放電処理によって高電圧バッテリ12から低電圧バッテリ14に電力を供給する際に、他の蓄電セル30に比べて高電圧の蓄電セル30を放電させるようにしている。これにより、高電圧バッテリ12を構成する蓄電セル30間の電圧差を縮小することができ、高電圧バッテリ12の充放電容量を拡大することができる。すなわち、高電圧バッテリ12の蓄電セル30間の電圧差を縮小する際には、一部の蓄電セル30を放電させることが必要であるが、この放電電力が低電圧バッテリ14に対して供給される。このように、蓄電セル30からの放電電力を低電圧バッテリ14に供給することにより、高電圧バッテリ12の余剰電力を有効に活用することができ、車両11のエネルギー効率を高めることができる。
【0035】
また、
図5のフローチャートに示すように、ステップS11において、高電圧バッテリ12のSOCaが閾値SOC1以下であると判定された場合や、ステップS12において、低電圧バッテリ14のSOCbが閾値SOC2以上であると判定された場合には、ステップS15に進み、蓄電セル30の電圧調整が必要であるか否かが判定される。ステップS15において、蓄電セル30間の電圧差が所定値を上回る場合には、蓄電セル30間の電圧差を縮小する必要があるため、蓄電セル30の電圧調整が必要であると判定される。ステップS15において、蓄電セル30の電圧調整が必要であると判定されると、ステップS16に進み、高電圧の蓄電セル30つまり放電対象の蓄電セル30が選択される。なお、ステップS16においては、前述したステップS13と同じ条件を用いて放電対象の蓄電セル30を選択しても良く、ステップS13と異なる条件を用いて放電対象の蓄電セル30を選択しても良い。
【0036】
ステップS16において放電対象の蓄電セル30が選択されると、ステップS17に進み、蓄電セル30を放電させるセル放電処理を実行することにより、放電対象の蓄電セル30から抵抗器Rに電力が供給される。後述するように、ステップS17で実行されるセル放電処理においては、電圧調整ユニット31に設けられる各スイッチを制御することにより、放電対象である複数の蓄電セル30から複数のコンデンサC1,・・に対して電力が供給される。その後、充電された複数のコンデンサC1,・・が互い直列接続されてコンデンサ群80になり、このコンデンサ群80から電圧計測回路部56を経て抵抗器Rに電力が供給される。なお、ステップS10において、スタートスイッチ55がオン状態であると判定された場合や、ステップS15において、電圧調整が不要であると判定された場合には、セル放電処理を実行することなくルーチンを抜ける。
【0037】
前述したように、車両11を起動させるスタートスイッチ55がオフ状態に制御された状況のもとで、高電圧バッテリ12のSOCaが閾値SOC1を下回る場合や、低電圧バッテリ14のSOCbが閾値SOC2を上回る場合には、蓄電セル30の電圧調整が必要であるか否かが判定される。そして、蓄電セル30の電圧調整が必要である場合には、セル放電処理によって高電圧の蓄電セル30から抵抗器Rに電力が供給される。これにより、高電圧バッテリ12における蓄電セル30間の電圧差を縮小することができ、高電圧バッテリ12の充放電容量を拡大することができる。また、ステップS17においては、放電対象の蓄電セル30から低電圧バッテリ14に電力が供給されるのではなく、放電対象の蓄電セル30から抵抗器Rに電力が供給される。このように、抵抗器Rに対して電力を供給することにより、低電圧バッテリ14の過度な充電を回避することができ、低電圧バッテリ14を保護することができる。
【0038】
これまで説明したように、スタートスイッチ55がオフ状態であり、高電圧バッテリ12のSOCaが閾値SOC1を上回り、かつ低電圧バッテリ14のSOCbが閾値SOC2を下回る場合には、ステップS14に進み、複数の蓄電セル30の一部から低電圧バッテリ14に電力が供給される。一方、スタートスイッチ55がオフ状態であり、かつ高電圧バッテリ12のSOCaが閾値SOC1を下回る状態のもとで、複数の蓄電セル30間の電圧差を縮小させる場合には、ステップS17に進み、複数の蓄電セル30の一部から抵抗器Rに電力が供給される。また、スタートスイッチ55がオフ状態であり、かつ低電圧バッテリ14のSOCbが閾値SOC2を上回る状態のもとで、複数の蓄電セル30間の電圧差を縮小させる場合には、複数の蓄電セル30の一部から抵抗器Rに電力が供給される。
【0039】
[電圧調整ユニットのスイッチ作動状況]
続いて、セル電圧調整制御における電圧調整ユニット31のスイッチ作動状況について説明する。
図7~
図9は、セル電圧調整制御における電圧調整ユニット31のスイッチ作動状況の一例を示す回路図である。前述したように、セル電圧調整制御においては、電圧調整ユニット31の各スイッチを制御することにより、放電対象である複数の蓄電セル30から複数のコンデンサC1,・・に対して電力が供給される。その後、充電された複数のコンデンサC1,・・が互い直列接続されることでコンデンサ群80になり、このコンデンサ群80から低電圧バッテリ14や抵抗器Rに対して電力が供給される。以下の説明では、蓄電セル30からコンデンサC1等に対する電力供給、コンデンサC1等から低電圧バッテリ14に対する電力供給、コンデンサC1等から抵抗器Rに対する電力供給の順に、電圧調整ユニット31のスイッチ作動状況について説明する。
【0040】
・(蓄電セルからコンデンサに対する電力供給)
蓄電セル30からコンデンサC1,・・に対する電力供給、つまり蓄電セル30によるコンデンサ充電について説明する。例えば、放電対象として選択された蓄電セルCE1を放電させる際には、
図7に示すように、正極スイッチSWaの可動接点caが固定接点a1に接続され、負極スイッチSWbの可動接点cbが固定接点b1に接続される。また、絶縁スイッチS1a,S1bがオフ状態に制御され、迂回スイッチS1cがオフ状態に制御される。
【0041】
このように、放電回路部X1の各スイッチを制御することにより、破線α2で示すように、蓄電セルCE1の正極側とコンデンサC1の正極側とが互いに接続され、蓄電セルCE1の負極側とコンデンサC1の負極側とが互いに接続される。これにより、蓄電セルCE1によってコンデンサC1が充電される。同様に、他の放電回路部X2~Xnを制御することにより、他の放電対象である蓄電セル30によってコンデンサC2~Cnが充電される。なお、放電回路部X1~Xnに対して放電対象の蓄電セル30が接続されていない場合には、該当する放電回路部において蓄電セル30からコンデンサに対する充電処理は行われない。
【0042】
・(コンデンサから低電圧バッテリに対する電力供給)
放電対象の蓄電セル30によってコンデンサC1,・・が充電されると、充電されたコンデンサC1,・・が互いに直列接続されてコンデンサ群80となり、このコンデンサ群80から低電圧バッテリ14に電力が供給される。例えば、放電対象の蓄電セル30によってコンデンサC1,Cnが充電されており、コンデンサC1,Cnからなるコンデンサ群80を低電圧バッテリ14に接続する場合には、
図8に示すように、各スイッチユニットSW1~SWnがオフ状態に制御される。つまり、スイッチユニットSW1を例に挙げて説明すると、スイッチユニットSW1をオフ状態に制御する際には、正極スイッチSWaの可動接点caが固定接点anに接続され、負極スイッチSWbの可動接点cbが固定接点bnに接続される。
【0043】
次いで、充電されたコンデンサC1,Cnを備える放電回路部X1,Xnについては、絶縁スイッチS1a,S1b,Sna,Snbがオン状態に制御され、迂回スイッチS1c,Sncがオフ状態に制御される。また、充電されていないコンデンサC2を備える放電回路部X2については、絶縁スイッチS2a,S2bがオフ状態に制御され、迂回スイッチS2cがオン状態に制御される。さらに、放電回路部X1~Xnを互いに接続するため、全てのコンデンサ接続スイッチSxがオン状態に制御され、電圧調整ユニット31に低電圧バッテリ14を接続するため、バッテリ接続スイッチSBa,SBbがオン状態に制御される。
【0044】
このように、電圧調整ユニット31の各スイッチを制御することにより、破線α3で示すように、コンデンサC1,Cnを互いに直列接続することでコンデンサ群80が形成され、コンデンサ群80と低電圧バッテリ14とが互いに並列接続される。これにより、コンデンサ群80によって低電圧バッテリ14が充電される。なお、個々の蓄電セル30の端子電圧は低電圧バッテリ14の端子電圧(例えば12V)よりも低いことから、コンデンサ群80の端子電圧が低電圧バッテリ14の端子電圧を上回るように、コンデンサ群80を構成するコンデンサC1,・・の個数が設定されている。
【0045】
・(コンデンサから抵抗器に対する電力供給)
図5にステップS17で示したように、高電圧バッテリ12の蓄電量が不足している場合や、低電圧バッテリ14の蓄電量が十分である場合には、セル放電処理においてコンデンサ群80から抵抗器Rに電力が供給される。例えば、放電対象の蓄電セル30によってコンデンサC1,Cnが充電されており、コンデンサC1,Cnからなるコンデンサ群80から抵抗器Rに電力を供給する場合には、
図9に示すように、各スイッチユニットSW1~SWnがオフ状態に制御される。
【0046】
次いで、充電されたコンデンサC1,Cnを備える放電回路部X1,Xnについては、絶縁スイッチS1a,S1b,Sna,Snbがオン状態に制御され、迂回スイッチS1c,Sncがオフ状態に制御される。また、充電されていないコンデンサC2を備える放電回路部X2については、絶縁スイッチS2a,S2bがオフ状態に制御され、迂回スイッチS2cがオン状態に制御される。さらに、放電回路部X1~Xnを互いに接続するため、全てのコンデンサ接続スイッチSxがオン状態に制御され、電圧計測回路部56に抵抗器Rを接続するため、抵抗スイッチSrがオン状態に制御される。なお、バッテリ接続スイッチSBa,SBbはオフ状態に制御される。
【0047】
このように、電圧調整ユニット31の各スイッチを制御することにより、破線α4で示すように、コンデンサC1,Cnを互いに直列接続することでコンデンサ群80が形成され、コンデンサ群80と抵抗器Rとが互いに並列接続される。これにより、コンデンサ群80から抵抗器Rに電力が供給される。
【0048】
[他の実施形態]
図5に示したフローチャートでは、車両11を起動させるスタートスイッチ55がオフ状態に制御された状況のもとで、高電圧バッテリ12のSOCaが閾値SOC1を下回る場合や、低電圧バッテリ14のSOCbが閾値SOC2を上回る場合には、蓄電セル30の電圧調整が必要であるか否かが判定される。そして、蓄電セル30の電圧調整が必要である場合には、セル放電処理によって高電圧の蓄電セル30から抵抗器Rに電力を供給しているが、これに限られることはなく、セル放電処理によって高電圧の蓄電セル30から低電圧バッテリ14に電力を供給しても良い。
【0049】
ここで、
図10はセル電圧調整制御の実行手順の他の例を示すフローチャートである。なお、
図10において
図5と同様のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略する。
図10に示すように、ステップS11において、高電圧バッテリ12のSOCaが閾値SOC1以下であると判定された場合や、ステップS12において、低電圧バッテリ14のSOCbが閾値SOC2以上であると判定された場合には、ステップS15に進み、蓄電セル30の電圧調整が必要であるか否かが判定される。
【0050】
そして、ステップS15において、蓄電セル30の電圧調整が必要であると判定された場合には、ステップS13,S14に進み、放電対象の蓄電セル30を放電させるセル放電処理が実行され、放電対象の蓄電セル30から低電圧バッテリ14に電力が供給される。このように、
図10に示したセル電圧調整制御においては、放電対象の蓄電セル30から抵抗器Rに電力を供給することなく、放電対象の蓄電セル30から低電圧バッテリ14に電力が供給される。これにより、セル電圧調整制御において、抵抗器Rに電力を消費させることがなく、車両11のエネルギー効率を高めることができる。
【0051】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。前述の説明では、車両用電源装置10に外部充電系17を設けているが、これに限られることはなく、車両用電源装置10から外部充電系17を削減しても良い。また、電圧調整ユニット31には、複数のスイッチとして、正極スイッチSWa、負極スイッチSWb、絶縁スイッチS1a,S1b,S2a,S2b,Sna,Snb、迂回スイッチS1c,S2c,Snc、コンデンサ接続スイッチSx、およびバッテリ接続スイッチSBa,SBbが設けられている。これらのスイッチは、MOSFET等の半導体素子によって構成されるスイッチであっても良く、電磁力等を用いて接点を機械的に開閉させるスイッチであっても良い。また、前述の説明では、抵抗器Rを電圧計測回路部56に接続しているが、これに限られることはなく、抵抗器Rを他の部位に設けても良い。
【0052】
なお、低電圧バッテリ14のSOCは、充放電電流や端子電圧等に基づき算出されているが、低電圧バッテリ14のSOCを充放電電流だけに基づき算出しても良く、低電圧バッテリ14のSOCを端子電圧だけに基づき算出しても良い。例えば、低電圧バッテリ14のSOCを端子電圧だけに基づき算出する際には、端子電圧が高いほどにSOCが高く算出される。同様に、高電圧バッテリ12のSOCは、充放電電流や端子電圧等に基づき算出されているが、高電圧バッテリ12のSOCを充放電電流だけに基づき算出しても良く、高電圧バッテリ12のSOCを端子電圧だけに基づき算出しても良い。
【符号の説明】
【0053】
10 車両用電源装置
11 車両
12 高電圧バッテリ(第1蓄電体)
14 低電圧バッテリ(第2蓄電体)
20 モータジェネレータ(走行用モータ)
30 蓄電セル
31 電圧調整ユニット(電圧調整回路)
32 制御機器
33 充電インレット
34 ロックアクチュエータ(制御機器)
35 外部電源
36 充電コネクタ
55 スタートスイッチ
80 コンデンサ群
SOCa 高電圧バッテリのSOC(第1蓄電体のSOC)
SOCb 低電圧バッテリのSOC(第2蓄電体のSOC)
SOC1 第1閾値
SOC2 第2閾値
C1,C2,Cn コンデンサ
SWa 正極スイッチ(スイッチ)
SWb 負極スイッチ(スイッチ)
S1a,S1b,S2a,S2b,Sna,Snb 絶縁スイッチ(スイッチ)
S1c,S2c,Snc 迂回スイッチ(スイッチ)
Sx コンデンサ接続スイッチ(スイッチ)
SBa,SBb バッテリ接続スイッチ(スイッチ)
R 抵抗器