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特許7545269ファンユニット保持機構およびファンユニット保持機構を備えた自動原稿送り装置
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  • 特許-ファンユニット保持機構およびファンユニット保持機構を備えた自動原稿送り装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】ファンユニット保持機構およびファンユニット保持機構を備えた自動原稿送り装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/12 20060101AFI20240828BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240828BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240828BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
H05K7/12 C
H05K7/20 H
H05K7/12 N
G03G21/16 161
G03G21/00 530
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020153500
(22)【出願日】2020-09-14
(65)【公開番号】P2022047617
(43)【公開日】2022-03-25
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100194076
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 篤志
(74)【代理人】
【識別番号】100165261
【弁理士】
【氏名又は名称】登原 究
(72)【発明者】
【氏名】杉山 諒太
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-058553(JP,A)
【文献】特開2000-022375(JP,A)
【文献】特開2008-310028(JP,A)
【文献】特開2000-005052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/12
H05K 7/20
G03G 21/16
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に風を発生させるファンユニットを支持する設置部材と、

前記ファンユニットの前後方向に開いた取り付け孔に挿入される複数のダボである突起部と、
前記ファンユニットの、前記前後方向と直交する方向にある一面に当接し、前記ファンユニットを前記前後方向と直交する方向における一方の向きに押圧して前記ファンユニットを前記突起部に圧接せしめる弾性部材と、
を有し、
前記複数のダボはそれぞれ形が異なり、少なくともひとつのダボは長円形である
ファンユニット保持機構。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記ファンユニットの一面と当接するツメ部を有し、前記ツメ部が前記一方の向きに前記ファンユニットを押圧する、
請求項1に記載のファンユニット保持機構。
【請求項3】
前記前後方向と直交する方向の前記突起部の寸法は、前記前後方向と直交する方向の前記取り付け孔の寸法よりも小さい、
請求項1から請求項に記載のファンユニット保持機構。
【請求項4】
前記設置部材は、前記突起部が設けられた第1の支持部、および第2の支持部を有し、
前記第1の支持部および前記第2の支持部は前記ファンユニットの前記前後方向を挟み込む位置に設けられ、前記第1の支持部から前記第2の支持部までの前後方向の内法は、前記ファンユニットの前後方向の寸法よりも大きく、
前記第1の支持部に設けられた前記突起部から前記第2の支持部までの前後方向の内法は前記ファンユニットの前後方向の寸法よりも小さい、
請求項1から請求項に記載のファンユニット保持機構。
【請求項5】
前後方向に風を発生させるファンユニットを支持する設置部材と、
前記ファンユニットの前後方向に開いた取り付け孔に挿入される複数のダボである突起部と、
前記ファンユニットの、前記前後方向と直交する方向にある一面に当接し、前記ファンユニットを前記前後方向と直交する方向における一方の向きに押圧して前記ファンユニットを前記突起部に圧接せしめる弾性部材と、
を有し、
前記複数のダボはそれぞれ形が異なり、少なくともひとつのダボは長円形である
ファンユニット保持機構を備えた自動原稿送り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ファンユニット保持機構およびファンユニット保持機構を備えた自動原稿送り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ADF(自動原稿送り装置)などの電子機器に搭載される発熱するユニットを冷却するためのファンユニットを取り付ける方法として、例えば、ファンユニットを固定する設置部材と、ファンユニットのフランジとをネジによって締結していた。設置部材とファンユニットをネジによって締結する方式ではファンユニットの取り付けにネジが必要であり、取り付け作業が煩わしいという問題があった。
【0003】
例えばファンユニットを固定するためのネジを排し、部品点数を削減するための手段として、設置部材にファンユニットを固定するためのツメのついたリブを設け、これによってファンユニットを保持していた。ツメによってファンユニットを保持する方式ではファンユニットと取り付け面との間に隙間が生じ、振動や異音が問題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-22375
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、取り付けが容易かつ、ファンユニットによる振動および異音を抑制するファンユニット保持機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本実施形態のファンユニット保持機構は、設置部材と、弾性部材と、突起部を有する。設置部材は、前後方向に風を発生させるファンユニットを支持する。突起部は、ファンユニットの前後方向に開いた取り付け孔に挿入される複数のダボである複数のダボはそれぞれ形が異なり、少なくともひとつのダボは長円形である。弾性部材は、ファンユニットの、前後方向と直交する方向にある一面に当接し、ファンユニットを前後方向と直交する方向における一方の向きに押圧してファンユニットを突起部に圧接せしめる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係るファンユニット保持機構を有するADFの説明図。
図2】実施形態に係るADFに備わるリードモータ、搬送ローラ、およびレジストローラを示す斜視図。
図3】実施形態に係るファンユニット保持機構を、ファンユニットを取り外した状態で示す斜視図。
図4】実施形態に係るファンユニット保持機構を、ファンユニットを取り付けた状態で示す斜視図。
図5】実施形態に係る弾性部材の斜視図およびツメ部に荷重がかかった際の弾性部材の斜視図。
図6】実施形態に係るファンユニット保持機構の側面を、ファンユニットを取り付けた状態で示す断面図。
図7】実施形態に係るファンユニット保持機構の正面を、ファンユニットを取り付けた状態で示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0009】
本実施形態のファンユニット保持機構4は、ADF10に設けられるファンユニット1を保持する機構である。ファンユニット1は、ファンを回転させて風を発生し、外気を筐体内に取り込んだり、筐体内の内気を循環することで、電子機器に内蔵する発熱するユニットを冷却するためのユニットである。
【0010】
図1(a)は、本実施形態のファンユニット保持機構4を有するADF10の斜視図である。ADF10は、例えば画像形成装置であるMFP(Multifunction Peripheral)の上部に搭載される。本実施形態のADF10は、DSDF(Dual Scan Document Feeder)であり、MFP上部に設けられたスキャナにスリット16から原稿が覗くように搬送する。本実施形態のADF10であるDSDFは、DSDFに備わるスキャナ17によってMFPのスキャナで読み取った用紙の面とは別の面を読み取る
【0011】
図1(b)は本実施形態のファンユニット保持機構4を有するADF10の断面を示す模式図である。図1(b)に示すように、ADF10は、用紙を搬送する搬送ローラ132乃至135およびレジストローラ131を有する。搬送ローラ132乃至135は、ADF10の給紙部14を搬送開始位置とし、排紙部15を搬送終了位置とする搬送経路において、原稿を給紙部14から排紙部15まで搬送可能となるように随所に設けられる。レジストローラ131は、搬送される用紙を一時的に停滞させ、任意のタイミングで用紙の搬送を再開することができる。
【0012】
図2(a)は、リードモータ12および搬送ローラ132乃至135を示す斜視図である。図2(a)に示すように、リードモータ12がベルト1821を介して搬送ローラ135を駆動する。搬送ローラ135がベルト1822を介して搬送ローラ132乃至134を駆動する。
【0013】
図2(b)は、リードモータ11およびレジストローラ131を示す斜視図である。図2(b)に示すように、リードモータ11がタイミングベルト1811を介してレジストローラ131を駆動する。
【0014】
ファンユニット1は、実施形態においてリードモータ11およびリードモータ12を冷却する。
【0015】
図1に示すように、ファンユニット1は、リードモータ11およびリードモータ12の間に、ファンユニット保持機構4によって設置する。従来、ファンユニット1をネジによって締結するファンユニット保持機構において、ドライバーなどで締結するためにある程度の作業スペースが必要であったが、実施形態のファンユニット保持機構4では締結用の作業スペースが不要である。そのため、必要スぺースの関係で従来では設置することのできなかった箇所(例えば、リードモータ11およびリードモータ12の間)にファンユニット保持機構4を設置することができる。ファンユニット1をリードモータ11およびリードモータ12の間に設置することで、ファンユニット1が発生させる冷却風をリードモータ11およびリードモータ12に効率よく送ることができる。
【0016】
図3から図5を参照して、実施形態のファンユニット保持機構4について詳細に説明する。ファンユニット保持機構4は、ファンユニット1を設置するための設置部材5、ファンユニット1と当接する弾性部材6、ファンユニット1と当接する第1のダボ71および第2のダボ72を有する。
【0017】
ファンユニット保持機構4によれば、設置部材5にファンユニット1を固定するための締結用のネジが不要であり、ファンユニット1の設置部材5への取り付けが容易である。また、ファンユニット1は設置部材5に取り付けられる際、弾性部材6を下方向に押し付けるようにして取り付けられる。設置部材5は、弾性部材6の復元力によってファンユニット1の移動を抑制する。ファンユニット1に当接する個所は弾性部材6の復元力によって押圧されて隙間が生じにくく、隙間が原因で発生する異音や振動を低減することができる。
【0018】
ファンユニット保持機構4に設置されるファンユニット1は、軸線周りを回転する回転羽根2と、回転羽根2を収容するケーシング3を有する。ファンユニット1は、回転羽根2を軸線周りに回転させることで、軸線方向が流路となる冷却風を作りだす。ケーシング3は、方形となるようにフランジ31を有している。ケーシング3は、フランジ31の四隅にそれぞれ、回転羽根2の軸線方向と平行に貫通したファンユニット1の取り付け孔32を有する。
【0019】
図3は、実施形態に係るファンユニット保持機構4を、ファンユニット1を取り外した状態で示す斜視図である。図4は、実施形態に係るファンユニット保持機構4を、ファンユニット1を取り付けた状態で示す斜視図である。
【0020】
図3および図4では、ファンユニット1の回転羽根2の軸線方向を前後方向、ファンユニット1の前後方向に直交する2辺に沿った方向を左右方向および上下方向とする。第1の支持部51は第2の支持部52の後ろに設ける。第1の支持部51の前面において、左上に第1のダボ71を設け、右上に第2のダボ72を設ける。設置部材5において、第1の支持部51および第2の支持部52は上方向に延出している。ファンユニット1が発生させる冷却風は、前方向から後方向へ流れる。
【0021】
設置部材5は、第1の支持部51および第2の支持部52を有するブラケットである。第1の支持部51および第2の支持部52は、設置されたファンユニット1の前後方向を挟み込むように設置する。第1の支持部51から第2の支持部52の前後方向の内法は、ファンユニット1の前後方向の寸法よりも大きい。2本のサイドリブ62が第1の支持部51と第2の支持部52を繋ぐ。
【0022】
弾性部材6は、図5(a)に示すようにファンユニット1を受けるツメ部61を有する。弾性部材6は2本のサイドリブ62を繋ぐ。弾性部材6は下から見ると、左右方向が長手で左端と右端が2本のサイドリブ62に繋がるシルエットである。ツメ部61は弾性部材6の後端縁の中央部分から上方向に突出している。ツメ部61はファンユニット1の下面によって荷重Pで押し下げられる。弾性部材6は復元力Rでファンユニット1の下面を押し上げ返す。復元力Rは弾性部材6の撓み反力であってもよい。復元力Rは弾性部材6のねじれ反力であってもよい。復元力Rは弾性部材6の撓み反力とねじれ反力との両方の成分を含んでよい。
【0023】
図5(b)に示すように、ツメ部61が受ける下方向の荷重Pが、弾性部材6をねじる。弾性部材6は、弾性部材6のねじれ反力を適切な強さにするための、前後方向が長手であるスリットを有してもよい。前後方向のスリットは、弾性部材6の中央部分の、左右方向を軸としたねじれに対する剛性を適切に弱める。
【0024】
弾性部材6はファンユニット1の下面を上方向に押圧することが可能な弾性体であればよく、弾性体の形状を実施形態の波型の弾性部材6に限定しない。
【0025】
突起部7は、第1のダボ71および第2のダボ72を有する。第1の支持部51の前面に、第1のダボ71と第2のダボ72がある。第1のダボ71は、左上の取り付け孔32に挿さる。第2のダボ72は右上の取り付け孔32に挿さる。
【0026】
第1のダボ71や第2のダボ72から第2の支持部52の後面までの内法は、ファンユニット1の前後方向の寸法よりも小さい。ファンユニット1は第2の支持部52によって前方向の移動範囲が制限されるため、第1のダボ71や第2のダボ72が取り付け孔32から外れることなく、ファンユニット保持機構4に保持された状態となる。
【0027】
突起部7は、ファンユニット1に設けられた四隅の取り付け孔32のうち下方向に位置する取り付け孔32に対応するように設けられてもよいが、ファンユニット1の取り付け性から上方向に位置する取り付け孔32に対応するように設ける方が望ましい。
【0028】
ファンユニット1をファンユニット保持機構4によって保持するための取り付け方法を説明する。
【0029】
ファンユニット保持機構4は、ネジ穴53に挿入されるネジによってADF10に締結される。
【0030】
ファンユニット1は、図6(a)に示すように設置部材5において第2の支持部52の上部を第1の支持部51から離れる方向に弾性変形させることで拡大する隙間から、図6(b)に示すように突起部7が上部の取り付け孔32に挿入されるように取り付ける。ファンユニット1を取り付ける際、弾性部材6はファンユニット1の下面とツメ部61のみによって当接し、弾性部材6はファンユニット1によって下方向に押し下げられる。ツメ部61は、ファンユニット1の下面において左右方向の中心と常に接することが望ましい。第1の支持部51から上部が離れる方向に弾性変形した状態の第2の支持部52は、第1の支持部51に上部が近づく方向に復元力を有する。組み立てには作業者自身が突起部7を取り付け孔32に挿入する動作を行わずとも、第2の支持部52の復元力によって取り付け孔32への突起部7の挿入が補助される。
【0031】
ユーザは取り付け孔32から突起部7を外すように、ファンユニット1の上部を前方向に倒すように移動させながら第2の支持部52を弾性変形させることで、弾性部材6の復元力Rによってファンユニット1を容易に取り外すことができる。
【0032】
ファンユニット1取り付け後のファンユニット保持機構4の各部およびファンユニット1の関係性を説明する。
【0033】
図6(b)および図7に示すように、突起部7が取り付け孔32に挿入された状態となるようにファンユニット1をファンユニット保持機構4に取り付ける。ファンユニット保持機構4は、弾性部材6の復元力Rによってファンユニット1を上方向に押し上げることで、ファンユニット1が弾性部材6および突起部7と当接する部分に摩擦力を生じさせる。ファンユニット保持機構4は、弾性部材6および突起部7によってファンユニット1を挟圧保持し、ファンユニット1の上下方向、左右方向、および前後方向への移動を抑制する。ファンユニット保持機構4は、第1の支持部51および第2の支持部52によってファンユニット1の前後方向の移動範囲を制限する。
【0034】
本発明の実施形態に係るファンユニット保持機構4によれば、ファンユニット1をファンユニット保持機構4に取り付けた場合に、ファンユニット1が設置部材5や弾性部材6、突起部7に常に押し当てられて接触した状態となる。ファンユニット1が設置部材5や弾性部材6、突起部7に接触した状態であると回転羽根2の回転によって発生する振動は設置部材5に吸収されることで抑制される。振動によってファンユニット1とファンユニット1との取り付け面とが断続的に接触することで発生する異音も、ファンユニット1とファンユニット保持機構4が常に接触していることで抑制される。
【0035】
突起部7である2つのダボはそれぞれ形が異なっていてもよい。例えば、図6に示すように、第1のダボ71の断面は上下方向に長い長円形をしており、一方第2のダボ72の断面は円形をしている。第1のダボ71のように断面が長円形の方が、ファンユニット1から発生する振動を吸収しやすい。第2のダボ72のように断面が円形の方が、ファンユニット1の取り付け孔32に突起部7を挿入しやすい。
【0036】
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1・・・ファンユニット
4・・・ファンユニット保持機構
5・・・設置部材
6・・・弾性部材
7・・・突起部
32・・・取り付け孔
51・・・第1の支持部
52・・・第2の支持部
61・・・ツメ部
71・・・第1のダボ
72・・・第2のダボ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7