(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】画像処理装置、当該画像処理装置を備える画像処理システム、画像処理装置の制御プログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240828BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240828BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240828BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
H04N1/00 127B
H04N1/00 350
G03G21/00 386
G03G21/00 390
B41J29/00 T
H04M1/00 U
(21)【出願番号】P 2020161043
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2023-03-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 佳代子
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-207186(JP,A)
【文献】特開2015-060410(JP,A)
【文献】特開2011-040854(JP,A)
【文献】特開2018-094733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 21/00
B41J 29/00
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイを有する携帯端末と無線により接続されるとともに当該携帯端末を介してユーザによる操作を受付可能な画像処理装置であって、
前記操作を受け付けるのに必要な複数の要素を含む操作画面を前記ディスプレイに表示するための操作画面データを前記携帯端末へ送信する操作画面データ送信手段、
前記携帯端末との間の距離を推定する距離推定手段
、
前記距離推定手段による推定距離が予め定められた閾値以下であるとき、前記操作画面に含まれる前記複数の要素の全てが表示可能な態様となり、当該推定距離が当該閾値を超えるとき、当該操作画面に含まれる当該複数の要素のうちの一部の要素であって特定の前記操作である特定操作を受け付けるのに必要な特定要素のみが非表示とされる態様となるように、前記操作画面データを制御する操作画面データ制御手段
、
前記操作を直接的に受付可能な操作受付手段、および
前記特定操作に従う特定処理の実行中に当該特定処理と並行不可能な処理の実行を指示する前記操作である第2操作が前記携帯端末を介して受け付けられたときに、当該第2操作に従う指示を無効化する第2無効化手段を備える、画像処理装置。
【請求項2】
前記特定操作は、前記ユーザが前記閾値以下に対応する領域内に存在することが必要とされる前記操作を含む、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記特定操作に従う特定処理の実行中に当該特定処理と並行不可能な処理の実行を指示する前記操作である第1操作が前記操作受付手段によって受け付けられたときに、当該第1操作に従う指示を無効化する第1無効化手段をさらに備える、請求項
1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1無効化手段によって前記第1操作に従う指示が無効化された場合に、所定の第1メッセージを出力するメッセージ出力手段をさらに備える、請求項
3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第2無効化手段によって前記第2操作に従う指示が無効化された場合に、所定の第2メッセージを前記携帯端末に出力させるためのメッセージデータを当該携帯端末へ送信するメッセージデータ送信手段をさらに備える、請求項
1から4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記距離推定手段は、前記無線による接続のために前記携帯端末から発せられる電波の受信強度に基づいて前記距離を推定する、請求項1から
5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
複合機である、請求項1から
6のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれかに記載の画像処理装置、および
前記携帯端末を備える、画像処理システム。
【請求項9】
ディスプレイを有する携帯端末と無線により接続されるとともに当該携帯端末を介してユーザによる操作を受付可能
であり、併せて、当該操作を直接的に受付可能な操作受付手段を備える、画像処理装置の制御プログラムであって、
前記操作を受け付けるのに必要な複数の要素を含む操作画面を前記ディスプレイに表示するための操作画面データを前記携帯端末へ送信する操作画面データ送信手順、
前記携帯端末との間の距離を推定する距離推定手順
、
前記距離推定手順による推定距離が予め定められた閾値以下であるとき、前記操作画面に含まれる前記複数の要素の全てが表示可能な態様となり、当該推定距離が当該閾値を超えるとき、当該操作画面に含まれる当該複数の要素のうちの一部の要素であって特定の前記操作である特定操作を受け付けるのに必要な特定要素のみが非表示とされる態様となるように、前記操作画面データを制御する操作画面データ制御手順
、および
前記特定操作に従う特定処理の実行中に当該特定処理と並行不可能な処理の実行を指示する前記操作である第2操作が前記携帯端末を介して受け付けられたときに、当該第2操作に従う指示を無効化する第2無効化手順を前記画像処理装置のコンピュータに実行させる、制御プログラム。
【請求項10】
ディスプレイを有する携帯端末と無線により接続されるとともに当該携帯端末を介してユーザによる操作を受付可能
であり、併せて、当該操作を直接的に受付可能な操作受付手段を備える、画像処理装置の制御方法であって、
前記操作を受け付けるのに必要な複数の要素を含む操作画面を前記ディスプレイに表示するための操作画面データを前記携帯端末へ送信する操作画面データ送信ステップ、
前記携帯端末との間の距離を推定する距離推定ステップ
、
前記距離推定ステップによる推定距離が予め定められた閾値以下であるとき、前記操作画面に含まれる前記複数の要素の全てが表示可能な態様となり、当該推定距離が当該閾値を超えるとき、当該操作画面に含まれる当該複数の要素のうちの一部の要素であって特定の前記操作である特定操作を受け付けるのに必要な特定要素のみが非表示とされる態様となるように、前記操作画面データを制御する操作画面データ制御ステップ
、および
前記特定操作に従う特定処理の実行中に当該特定処理と並行不可能な処理の実行を指示する前記操作である第2操作が前記携帯端末を介して受け付けられたときに、当該第2操作に従う指示を無効化する第2無効化ステップを含む、制御方法。
【請求項11】
ディスプレイを有する携帯端末と無線により接続されるとともに当該携帯端末を介してユーザによる操作を受付可能な画像処理装置であって、
前記操作を受け付けるのに必要な操作画面を前記ディスプレイに表示するための操作画面データを前記携帯端末へ送信する操作画面データ送信手段、
前記携帯端末との間の距離を推定する距離推定手段、
前記距離推定手段による推定距離が予め定められた閾値以下であるとき、前記操作画面が特定の前記操作である特定操作を受け付けることが可能な態様となり、当該推定距離が当該閾値を超えるとき、当該操作画面が当該特定操作を受け付けることが不可能な態様となるように、前記操作画面データを制御する操作画面データ制御手段、
前記操作を直接的に受付可能な操作受付手段、および
前記特定操作に従う特定処理の実行中に当該特定処理と並行不可能な処理の実行を指示する前記操作である第2操作が前記携帯端末を介して受け付けられたときに、当該第2操作に従う指示を無効化する第2無効化手段を備える、画像処理装置。
【請求項12】
前記第2無効化手段によって前記第2操作に従う指示が無効化された場合に、所定の第2メッセージを前記携帯端末に出力させるためのメッセージデータを当該携帯端末へ送信するメッセージデータ送信手段をさらに備える、請求項
11に記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、当該画像処理装置を備える画像処理システム、画像処理装置の制御プログラムおよび制御方法に関し、特に、ディスプレイを有する携帯端末と無線により接続されるとともに当該携帯端末を介してユーザによる操作を受付可能な、画像処理装置、当該画像処理装置を備える画像処理システム、画像処理装置の制御プログラムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術の一例が、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された技術によれば、画像処理装置と携帯端末との間の距離が推定され、その推定距離に応じて、携帯端末のディスプレイに表示される画面が決定される。たとえば、推定距離が閾値未満である場合、つまり画像処理装置と携帯端末との間の距離が近い場合は、画像処理装置を操作するための画面が携帯端末のディスプレイに表示される。これにより、ユーザは、携帯端末を介して画像処理装置を操作することが可能となる。一方、推定距離が閾値以上である場合、つまり画像処理装置と携帯端末との間の距離が遠い場合は、画像処理装置の状態を表す画面が携帯端末のディスプレイに表示される。これにより、ユーザは、携帯端末を介して画像処理装置を操作することはできないものの、携帯端末を介して画像処理装置の状態を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像処理装置と携帯端末との間の距離が遠い場合にも、換言すればユーザが画像処理装置から離れた位置に居る場合にも、携帯端末を介して画像処理装置を操作することができれば、ユーザにとってより好都合である。すなわち、画像処理装置の操作性の向上が図られる。
【0005】
その一方で、画像処理装置の操作の内容によっては、ユーザが画像処理装置の近傍に居ることが必要(適当)とされる場合がある。たとえば、ユーザが画像処理装置の動作を確認しながら行うことが必要とされる操作が、これに当たる。このようにユーザが画像処理装置の近傍に居ることが必要とされる操作については、ユーザが画像処理装置の近傍に居る場合にのみ、つまり画像処理装置と携帯端末との間の距離が短い場合にのみ、携帯端末を介して行うことが可能とされるのが、望ましい。このことは、画像処理装置の円滑な運用を図る上で、肝要である。
【0006】
そこで、本発明は、画像処理装置の操作性の向上および円滑な運用を図ることができる、新規な技術を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明は、画像処理装置に係る第1の発明と、当該画像処理装置を備える画像処理システムに係る第2の発明と、画像処理装置の制御プログラムに係る第3の発明と、画像処理装置の制御方法に係る第4の発明と、を含む。
【0008】
このうちの画像処理装置に係る第1の発明は、操作画面データ送信手段、距離推定手段および操作画面データ制御手段を備える。ここで、画像処理装置は、ディスプレイを有する携帯端末と無線により接続されるとともに、当該携帯端末を介してユーザによる操作を受付可能である。その上で、操作画面データ送信手段は、ユーザによる操作を受け付けるのに必要な複数の要素を含む操作画面を携帯端末のディスプレイに表示するための操作画面データを、当該携帯端末へ送信する。そして、距離推定手段は、画像処理装置と携帯端末との間の距離を推定する。さらに、操作画面データ制御手段は、距離推定手段による推定距離に応じて、操作画面データを制御する。たとえば、距離推定手段による推定距離が予め定められた閾値以下であるとき、操作画面データ制御手段は、操作画面に含まれる複数の要素の全てが表示可能な態様となるように、操作画面データを制御する。一方、距離推定手段による推定距離が閾値を超えるとき、操作画面データ制御手段は、操作画面に含まれる複数の要素のうちの特定要素のみが非表示とされる態様となるように、操作画面データを制御する。特定要素とは、操作画面に含まれる要素のうちの一部の要素であって、特定の操作である特定操作を受け付けるのに必要な要素である。加えて、本第1の発明は、操作受付手段および第2無効化手段を備える。操作受付手段は、ユーザによる操作を直接的に受付可能である。そして、第2無効化手段は、特定操作に従う特定処理の実行中に、当該特定処理と並行不可能な処理の実行を指示する操作である第2操作が携帯端末を介して受け付けられたときに、当該第2操作に従う指示を無効化する。
【0011】
本第1の発明における特定操作は、ユーザが閾値以下に対応する領域内に存在することが必要とされる操作を含んでもよい。
【0013】
また、本第1の発明においては、第1無効化手段が、さらに備えられてもよい。この第1無効化手段は、特定操作に従う特定処理の実行中に、当該特定処理と並行不可能な処理の実行を指示する操作である第1操作が操作受付手段によって受け付けられたときに、当該第1操作に従う指示を無効化する。
【0014】
このような第1無効化手段が備えられる場合は、さらに、メッセージ出力手段が、備えられてもよい。このメッセージ出力手段は、第1無効化手段によって第1操作に従う指示が無効化された場合に、所定の第1メッセージを出力する。
【0016】
併せて、本第1の発明においては、メッセージデータ送信手段が、さらに備えられてもよい。このメッセージデータ送信手段は、第2無効化手段によって第2操作に従う指示が無効化された場合に、所定の第2メッセージを携帯端末に出力させるためのメッセージデータを、当該携帯端末へ送信する。
【0017】
本第1の発明における距離推定手段は、携帯端末との無線による接続のために当該携帯端末から発せられる電波の受信強度に基づいて、当該携帯端末との間の距離を推定してもよい。
【0018】
本第1の発明に係る画像処理装置は、複合機であってもよい。
【0019】
本発明のうちの第2の発明に係る画像処理システムは、第1の発明に係る画像処理装置を備えるとともに、前述の携帯端末を備える。
【0020】
本発明のうちの第3の発明に係る画像処理装置の制御プログラムは、当該画像処理装置のコンピュータに、操作画面データ送信手順、距離推定手順および操作画面データ制御手順を実行させる。ここで、画像処理装置は、ディスプレイを有する携帯端末と無線により接続されるとともに、当該携帯端末を介してユーザによる操作を受付可能である。併せて、画像処理装置は、ユーザによる操作を直接的に受付可能な操作受付手段を備える。その上で、操作画面データ送信手順では、ユーザによる操作を受け付けるのに必要な複数の要素を含む操作画面を携帯端末のディスプレイに表示するための操作画面データを、当該携帯端末へ送信する。そして、距離推定手順では、画像処理装置と携帯端末との間の距離を推定する。さらに、操作画面データ制御手順では、距離推定手順による推定距離に応じて、操作画面データを制御する。たとえば、距離推定手順による推定距離が予め定められた閾値以下であるとき、操作画面データ制御手順では、操作画面に含まれる複数の要素の全てが表示可能な態様となるように、操作画面データを制御する。一方、距離推定手順による推定距離が閾値を超えるとき、操作画面データ制御手順では、操作画面に含まれる複数の要素のうちの特定要素のみが非表示とされる態様となるように、操作画面データを制御する。特定要素とは、操作画面に含まれる要素のうちの一部の要素であって、特定の操作である特定操作を受け付けるのに必要な要素である。加えて、本第3の発明は、第2無効化手順を、画像処理装置のコンピュータに実行させる。第2無効化手順では、特定操作に従う特定処理の実行中に、当該特定処理と並行不可能な処理の実行を指示する操作である第2操作が携帯端末を介して受け付けられたときに、当該第2操作に従う指示を無効化する。
【0021】
本発明のうちの第4の発明に係る画像処理装置の制御方法は、操作画面データ送信ステップ、距離推定ステップおよび操作画面データ制御ステップを含む。ここで、画像処理装置は、ディスプレイを有する携帯端末と無線により接続されるとともに当該携帯端末を介してユーザによる操作を受付可能である。併せて、画像処理装置は、ユーザによる操作を直接的に受付可能な操作受付手段を備える。その上で、操作画面データ送信ステップでは、ユーザによる操作を受け付けるのに必要な複数の要素を含む操作画面を携帯端末のディスプレイに表示するための操作画面データを、当該携帯端末へ送信する。そして、距離推定ステップでは、画像処理装置と携帯端末との間の距離を推定する。さらに、操作画面データ制御ステップでは、距離推定ステップによる推定距離に応じて、操作画面データを制御する。たとえば、距離推定ステップによる推定距離が予め定められた閾値以下であるとき、操作画面データ制御ステップでは、操作画面に含まれる複数の要素の全てが表示可能な態様となるように、操作画面データを制御する。一方、距離推定ステップによる推定距離が閾値を超えるとき、操作画面データ制御ステップでは、操作画面に含まれる複数の要素のうちの特定要素のみが非表示とされる態様となるように、操作画面データを制御する。特定要素とは、操作画面に含まれる要素のうちの一部の要素であって、特定の操作である特定操作を受け付けるのに必要な要素である。加えて、本第4の発明は、第2無効化ステップを含む。第2無効化ステップでは、特定操作に従う特定処理の実行中に、当該特定処理と並行不可能な処理の実行を指示する操作である第2操作が携帯端末を介して受け付けられたときに、当該第2操作に従う指示を無効化する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、画像処理装置の操作性の向上および円滑な運用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施例に係る複合機の斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施例に係る複合機の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1実施例に係る複合機のディスプレイに表示される設定画面の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施例に係る複合機と携帯端末との関係を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施例における携帯端末のディスプレイに表示される端末側設定画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施例における携帯端末のディスプレイに表示される端末側設定画面の別の例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施例に係る複合機の主記憶部のRAM内の構成を概念的に示すメモリマップである。
【
図8】
図8は、第1実施例における設定制御タスクの流れを示すフロー図である。
【
図9】
図9は、第1実施例におけるWebサーバタスクの流れを示すフロー図である。
【
図10】
図10は、第1実施例におけるWeb画面制御タスクの流れを示すフロー図である。
【
図11】
図11は、第2実施例における携帯端末のディスプレイに表示される端末側設定画面の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、第3実施例におけるWeb画面制御タスクの一部分の流れを示すフロー図である。
【
図13】
図13は、第4実施例に係る複合機のディスプレイに表示されるメッセージ画面の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、第4実施例における携帯端末のディスプレイに表示されるメッセージ画面の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、第4実施例における本体処理制御タスクの流れを示すフロー図である。
【
図16】
図16は、第4実施例におけるWeb処理制御タスクの流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施例]
本発明の第1実施例について、
図1に示される複合機(MFP)10を例に挙げて説明する。なお、
図1は、使用可能な状態に設置された複合機10の前面、上面および左側面を示す当該複合機10の斜視図である。すなわち、
図1における上下方向は、複合機10の上下方向に対応する。そして、
図1における右斜め下方は、複合機10の前方に対応し、
図1における左斜め上方は、複合機10の後方に対応する。さらに、
図1における左斜め下方は、複合機10の左方に対応し、
図1における右斜め上方は、複合機10の右方に対応する。
【0025】
複合機10は、コピー機能、プリンタ機能、イメージスキャナ機能、ファクス機能などの複数の機能を有する。このため、複合機10は、画像読取手段の一例としての画像読取部12と、画像形成手段の一例としての画像形成部14と、を備える。
【0026】
画像読取部12は、複合機10(の本体)の上部に設けられる。この画像読取部12は、不図示の原稿の画像を読み取って、その読取画像に応じた2次元の読取画像データを生成する、画像読取処理を担う。このため、画像読取部12は、原稿が載置される不図示の原稿台を有する。この原稿台は、概略矩形平板状のガラスなどの透明材によって形成される。そして、原稿台の下方に、不図示の光源、ミラーやレンズなどの適宜の光学系部品、ラインセンサなどを有する画像読取ユニット、ならびに、当該画像読取ユニットを移動させるための駆動機構などが設けられる。さらに、原稿台の上方には、当該原稿台に載置された原稿を押さえるための原稿押さえカバーを兼ねる自動原稿送り装置(ADF)16が設けられる。
【0027】
自動原稿送り装置16は、原稿台の上面を外部に露出させる状態と、当該原稿台の上面を覆う状態と、に遷移可能に設けられる。このため、自動原稿送り装置16は、不図示のヒンジなどの適当な支点支持部材を介して複合機10の本体(筐体)に結合される。
図1は、自動原稿送り装置16が原稿台の上面を覆った状態を示す。この
図1に示される如く原稿台の上面を覆った状態にあるときに、自動原稿送り装置16は、それ本来の機能を発揮する。すなわち、自動原稿送り装置16は、複数枚の原稿、厳密にはシート状の原稿が、積層状に載置可能な原稿載置トレイ16aを有する。そして、自動原稿送り装置16は、
図1に示される如く原稿台の上面を覆った状態にあるときに、原稿載置トレイ16aに載置された原稿を自動的に1枚単位で(1枚ずつ)画像読取部12による不図示の画像読取位置へ送り込み、つまり画像読取部12による画像読取処理に供する。なお、自動原稿送り装置16は、オプション装置であり、設けられない場合がある。この場合は、自動原稿送り装置16に代えて、専用の原稿押さえカバーが設けられる。
【0028】
画像形成部14は、画像読取部12の下方に設けられる。この画像形成部14は、前述の画像読取データなどの適宜の画像データに基づく画像を不図示のシート状の画像記録媒体の一例としての用紙に形成する、つまり印刷する、画像形成処理を担う。この画像形成処理は、たとえば公知の電子写真方式(カールソンプロセス方式)により行われる。このため、画像形成部14は、不図示の感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置、クリーニング装置、除電装置などを備える。この画像形成部14による画像形成処理後の用紙、言わば印刷済の用紙は、排紙トレイ18に排出される。なお、排紙トレイ18は、画像形成部14と画像読取部12との間に設けられ、いわゆる複合機10の洞内空間に設けられるが、この構造に限らない。また、画像形成部14は、電子写真方式に限らず、たとえばインクジェット方式によって、画像形成処理を行うものであってもよい。
【0029】
さらに、画像形成部14の下方に、換言すれば複合機10の下部に、給紙手段の一例としての給紙部20が設けられる。この給紙部20は、複数の、たとえば4つの、給紙カセット20a、20a、…を有する。各給紙カセット20a、20a、…には、適宜のサイズの用紙が収容され、たとえば互いに異なるサイズの用紙が収容される。また、
図1には示されないが、複合機10の右側面には、補助的な給紙トレイである手差しトレイが設けられる。給紙部20は、各給紙カセット20a、20a、…および手差しトレイのいずれかを給紙元として、当該給紙元から画像形成部14へ用紙を1枚単位で送り込み、つまり画像形成部14による画像形成処理に供する。
【0030】
加えて、複合機10の上部であって、当該複合機10の前部に、概略矩形板状の操作ユニット22が設けられる。この操作ユニット22は、その一側縁を複合機10の本体に結合させつつ、当該一側縁を軸として回動可能に設けられる。この操作ユニット22の一方主面(
図1において上方を向いている主面)は、操作面であり、この操作面には、タッチパネル22a付きのディスプレイ22bが設けられる。
【0031】
タッチパネル22a付きのディスプレイ22bは、矩形状の表示面を有するディスプレイ22bと、このディスプレイ22bの表示面上に重なるように設けられたシート状のタッチパネル22aとが、一体的に組み合わされた構成品である。このうちのタッチパネル22aは、複合機10を使用する不図示のユーザによるタッチ操作を受付可能な操作受付手段の一例であり、たとえば投影型の静電容量方式のパネルである。そして、ディスプレイ22bは、後述する設定画面100を含む種々の画面を表示する表示手段の一例であり、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)である。なお、タッチパネル22aは、投影型の静電容量方式に限らず、表面型の静電容量方式や電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式などの他方式のパネルであってもよい。また、ディスプレイ22bは、液晶ディスプレイに限らず、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどであってもよい。
【0032】
ユーザは、常套的には複合機10の前方に立って、当該複合機10を使用し、とりわけ操作ユニット22を操作する。その際のユーザによる操作ユニット22の操作性および視認性が良好となるように、当該操作ユニット22は、前述の如く複合機10の本体との結合部を軸として回動可能に設けられ、つまりユーザに対する操作ユニット22の操作面の向き(チルト角度)が調整可能に設けられる。なお、操作ユニット22は、タッチパネル22a以外に、押しボタンスイッチなどの適宜のハードウェアスイッチを有する。併せて、操作ユニット22は、ディスプレイ22b以外に、発光ダイオード(LED)などの適宜の発光手段を有する。
【0033】
また、複合機10の前部の適当な位置、たとえば複合機10の本体の操作ユニット22との結合部分の下方に、人検知手段の一例としての人感センサ24が設けられ、厳密には人感センサ24の検知部(検知窓)が設けられる。図示を含む詳しい説明は省略するが、人感センサ24は、たとえば焦電型の赤外線センサを有し、複合機10の前方に所定の検知領域を形成する。そして、人感センサ24は、検知領域内にユーザを含む人の存否に応じた人検知信号を出力する。この人検知信号は、たとえば複合機10が節電状態(一部の構成要素への給電が停止された状態)から通常状態(全ての構成要素へ給電された状態)へ復帰する際のトリガとして用いられる。
【0034】
図2は、複合機10の電気的な構成を示すブロック図である。この
図2に示されるように、複合機10は、画像読取部12、画像形成部14、自動原稿送り装置16、給紙部20、操作ユニット22および人感センサ24の他に、制御部30、補助記憶部32および通信部34を備える。これらは、互いに共通のバス50を介して接続される。なお、画像読取部12、画像形成部14、自動原稿送り装置16、給紙部20、操作ユニット22および人感センサ24については、前述の通りである。
【0035】
制御部30は、複合機10の全体的な制御を司る、制御手段の一例である。このため、制御部30は、制御実行手段としてのコンピュータ、たとえばCPU30aを、有する。併せて、制御部30は、CPU30aが直接的にアクセス可能な主記憶手段としての主記憶部30bを有する。主記憶部30bは、不図示のROMおよびRAMを含む。このうちのROMには、CPU30aの動作を制御するための制御プログラム、いわゆるファームウェアが、記憶される。そして、RAMは、CPU30aが制御プログラムに基づく処理を実行する際の作業領域およびバッファ領域を構成する。
【0036】
補助記憶部32は、補助記憶手段の一例である。すなわち、補助記憶部32には、前述の読取画像データなどの種々のデータが適宜に記憶される。この補助記憶部32は、たとえば不図示のハードディスクドライブを有する。併せて、補助記憶部32は、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリを有する場合がある。
【0037】
通信部34は、通信手段の一例である。すなわち、通信部34は、不図示の通信網と接続されることで、当該通信網を介しての双方向の通信処理を担う。ここで言う通信網としては、LANやインターネット、公衆交換電話網などがある。また、LANには、無線LAN、とりわけWi-Fi(登録商標)が、含まれる。このため、通信部34は、Wi-Fiに従う無線通信処理を担う無線通信部34aを有する。併せて、無線通信部34aは、近距離無線通信規格の1つであるブルートゥース(登録商標)に従う無線通信処理をも担う。さらに、無線通信部34aは、赤外線通信規格の1つであるIrDA(登録商標)に従う無線通信処理をも担う。
【0038】
さて、本第1実施例に係る複合機10は、前述の如くタッチパネル22a付きのディスプレイ22bを有する。このタッチパネル22a付きのディスプレイ22bには、CPU30aによる制御に従って様々な画面が表示され、その1つとして、
図3に示されるような設定画面100が表示される。この設定画面100は、複合機10に関する種々の設定を行うための画面であり、不図示のホーム画面に配された操作子の1つである設定ボタンが操作(押下)されることにより表示される。また、設定画面100においては、複合機10に関する種々の情報を確認することもできる。
【0039】
具体的には、設定画面100の上部の左寄りの位置に、当該設定画面100のタイトルを表す適当な文字列102が配される。そして、文字列102の下方に、複数の、たとえば3つの、タブ104、106および108が横並びに配される。これら3つのタブ104、106および108のうちの左端のタブ104は、複合機10の状態を確認するためのステータスタブである。中央のタブ106は、複合機10のユーザについての情報を管理するためのユーザ管理タブである。右端のタブ108は、複合機10に関する種々の設定を行うためのシステム設定タブである。さらに、各タブ104、106および108の並びの下方に、個別操作領域110が配される。この個別操作領域110には、各タブ104、106および108のうちの選択(操作)されたタブに応じた個別の操作画面が表示される。なお、
図3は、システム設定タブ108が選択された状態の一例を示し、言わばシステム設定用の操作画面130が個別操作領域110に表示された状態の一例を示す。この状態においては、システム設定タブ108は、他のタブ104および106とは異なる態様となり、たとえば適当な色彩が付されるなどの適当な修飾を施される。
【0040】
システム設定用の操作画面130においては、その左側部分に、システム設定に関する項目(メニュー)を選択するための複数の項目選択ボタン132、132、…が縦一列に配される。そして、各項目選択ボタン132、132、…の右横方に、詳細操作領域134が配される。この詳細操作領域134には、各項目選択ボタン132、132、…によって選択された項目に応じた個別の詳細画面が表示される。なお、
図3は、システム設定のうちの画質の調整に関する画質調整という項目が選択され、さらに、画質調整のうちのコピー機能やプリンタ機能などの各機能に共通する調整に関する共通調整という項目が選択された状態の一例を示す。この状態においては、共通調整用の詳細画面150が詳細操作領域134に表示される。また、共通調整を選択するための項目選択ボタン132は、他の項目選択ボタン132、132、…とは異なる態様となり、詳しくは適当な色彩が付されるなどの適当な修飾を施される。
【0041】
共通調整用の詳細画面150においては、その上部の左寄りの位置に、当該共通調整用の詳細画面150のタイトルを表す適当な文字列152が配される。そして、文字列152の下方に、共通調整の1つとしての画像形成部14のレジスト調整のインデックスを表す適当な文字列154が配される。併せて、文字列154の右横方に、レジスト調整の実行を指示するためのボタン156が配される。さらに、文字列154の下方に、別の共通調整の1つとしての画像形成部14の定着装置(定着ローラ)の清掃、言わば定着クリーニング、のインデックスを表す適当な文字列158が配される。そして、文字列158の右横方に、定着クリーニングの実行を指示するためのボタン160が配される。加えて、文字列158の下方に、さらに別の共通調整の1つとしての黒文字/黒線幅調整のインデックスを表す文字列162が配される。この黒文字/黒線幅調整とは、画像形成部14による画像形成処理により形成される黒文字および黒線の幅の調整のことを言う。そして、文字列162の右横方に、黒文字/黒線幅調整の程度を指示するための適当な要素(GUIウィジェット)、たとえばコンボボックス164が、配される。なお、図示を含む詳しい説明は省略するが、詳細画面150には、これ以外の要素(ボタンなどのGUIウィジェットや文字列など)も適宜に配される。また、詳細画面150は、必要に応じてスクロールさせることが可能である。
【0042】
すなわち、
図3に示される状態の設定画面100によれば、システム設定における画質調整のうちの共通調整を行うことができ、厳密には当該共通調整のための操作を行うことができる。また、図示を含む詳しい説明は省略するが、設定画面100によれば、共通調整以外の画質調整を行うことができ、さらには、画質調整以外のシステム設定を行うこともできる。加えて、設定画面100によれば、前述の如く複合機10の状態を確認することができるとともに、複合機10のユーザについての情報を管理することもできる。
【0043】
ところで、本第1実施例に係る複合機10は、
図4に示されるように、携帯端末200と無線により接続されることで、当該携帯端末200を介してユーザによる操作を受け付けることができる。言い換えれば、携帯端末200は、複合機10の遠隔操作機として機能する。ここで言う携帯端末200は、たとえばタブレットであり、ディスプレイ210を有し、厳密にはタッチパネル付きのディスプレイ210を有する。そして、複合機10と携帯端末200との接続は、たとえばWi-Fiにより行われる。併せて、複合機10と携帯端末200とは、ブルートゥースによっても接続される。このブルートゥースによる接続は、複合機10と携帯端末200との間の距離Dを推定するのに、用いられる。すなわち、複合機10は、ブルートゥースによる接続のために携帯端末200から発せられる電波の受信強度に基づいて、当該携帯端末200との間の距離Dを推定する。なお、
図4においては、距離Dは、複合機10と携帯端末200との間の最短距離であるように示されているが、厳密にはブルートゥースによる接続のための双方の不図示のアンテナ間の距離である。
【0044】
具体的には、複合機10は、設定用のWebサーバ70を備える。このWebサーバ70は、たとえばCPU30aにより構成される。そして、Webサーバ70に携帯端末200がWi-Fi経由でアクセスすると、当該携帯端末200のディスプレイ210に、たとえば
図5に示されるような端末側設定画面300が表示される。この
図5に示される端末側設定画面300は、
図3に示される複合機10側の設定画面100とおおむね同様の画面である。
【0045】
この
図5に示される端末側設定画面300においては、その上部の左寄りの位置に、たとえば複合機10の型名を表す適当な文字列302が配される。そして、文字列302の下方に、複合機10側の設定画面100におけるタブ104、106および108と同様の3つのタブ304、306および308が配される。さらに、各タブ304、306および308の並びの下方に、複合機10側の設定画面100における個別操作領域110と同様の個別操作領域310が配される。この個別操作領域310には、各タブ304、306および308のうちの選択されたタブに応じた個別の操作画面が表示される。なお、
図5は、
図3と同様、システム設定タブ308が選択された状態の一例を示し、つまりシステム設定用の操作画面330が個別操作領域310に表示された状態の一例を示す。この状態においては、システム設定タブ308は、他のタブ304および306とは異なる態様となり、たとえば適当な色彩が付されるなどの適当な修飾を施される。
【0046】
システム設定用の操作画面330においては、その左側部分に、複合機10側の操作画面130における各項目選択ボタン132、132、…と同様の複数の項目選択ボタン332、332、…が縦一列に配される。そして、各項目選択ボタン332、332、…の右横方に、複合機10側の操作画面130における詳細操作領域134と同様の詳細操作領域334が配される。この詳細操作領域334には、各項目選択ボタン332、332、…によって選択された項目に応じた個別の詳細画面が表示される。なお、
図5は、
図3と同様、システム設定のうちの画質調整が選択され、さらに、画質調整のうちの共通調整が選択された状態の一例を示す。この状態においては、共通調整用の詳細画面350が詳細操作領域334に表示される。また、共通調整を選択するための項目選択ボタン332は、他の項目選択ボタン332、332、…とは異なる態様となり、詳しくは適当な色彩が付されるなどの適当な修飾を施される。
【0047】
共通調整用の詳細画面350においては、その上部の左寄りの位置に、複合機10側の詳細画面150における文字列152と同様の文字列352、つまり共通調整用の詳細画面350のタイトルを表す適当な文字列352が、配される。そして、文字列352の下方に、複合機10側の詳細画面150における文字列154と同様の文字列354、つまりレジスト調整のインデックスを表す適当な文字列354が、が配される。併せて、文字列354の右横方に、複合機10側の詳細画面150におけるボタン156と同様のボタン356、つまりレジスト調整の実行を指示するためのボタン356が、配される。さらに、文字列354の下方に、複合機10側の詳細画面150における文字列158と同様の文字列358、つまり定着クリーニングのインデックスを表す適当な文字列358が、配される。そして、文字列358の右横方に、複合機10側の共通調整用の詳細画面150におけるボタン160と同様のボタン360、つまり定着クリーニングの実行を指示するためのボタン360が、配される。加えて、文字列358の下方に、複合機10側の共通調整用の詳細画面150における文字列162と同様の文字列362、つまり黒文字/黒線幅調整のインデックスを表す文字列362が、配される。そして、文字列362の右横方に、複合機10側の共通調整用の詳細画面150におけるコンボボックス164と同様のコンボボックス364、つまり黒文字/黒線幅調整の程度を指示するためのコンボボックス364が、配される。なお、図示を含む詳しい説明は省略するが、この
図5における詳細画面350においても、これ以外の要素が適宜に配される。また、詳細画面350は、必要に応じてスクロールさせることが可能である。
【0048】
すなわち、この
図5に示される状態の端末側設定画面300によっても、
図3に示される状態の複合機10側の設定画面100と同様、システム設定における画質調整のうちの共通調整を行うことができ、厳密には当該共通調整のための操作を行うことができる。また、図示を含む詳しい説明は省略するが、端末側設定画面300によれば、複合機10側の設定画面100と同様、共通調整以外の画質調整を行うことができ、さらには、画質調整以外のシステム設定を行うこともできる。加えて、端末側設定画面300によれば、複合機10の状態を確認することができるとともに、複合機10のユーザについての情報を管理することもできる。
【0049】
ただし、複合機10と携帯端末200との間の距離Dによっては、詳しくは当該距離Dの推定値D’が予め定められた閾値αを超える(D’>α)場合には、端末側設定画面300は、
図6に示されるような態様となる。この
図6に示される端末側設定画面300においては、レジスト調整の実行を指示するボタン356がグレーアウトされ、つまり当該ボタン356の機能が無効化される。併せて、定着クリーニングの実行を指示するボタン360もまたグレーアウトされ、つまり当該ボタン360の機能もまた無効化される。ここで、レジスト調整および定着クリーニングのそれぞれは、ユーザが複合機10の近傍に居ることが必要な操作の一例であり、換言すればユーザが複合機10の動作を確認しながら行うことが必要な操作の一例である。そして、閾値αは、ユーザが直接的に複合機10を操作するのに適当な当該ユーザと複合機10との間の距離の最大値であり、たとえば50cm~1mである。要するに、ユーザが直接的に複合機10を操作することができない程度に当該複合機10から離れた位置に居る場合に、端末側設定画面300が
図6に示されるような態様となる。すなわち、ユーザが複合機10の近傍に居ることが必要とされる操作を受け付けるための言わば特定要素(ここでは2つのボタン356および360)の機能が無効化される。これにより、ユーザが複合機10の近傍に居ることが必要とされる操作については、携帯端末200を介して行うことができなくなる。
【0050】
一方、距離Dの推定値D’が閾値α以下(D’≦α)である場合には、端末側設定画面300は、
図5に示されるような態様となる。要するに、ユーザが複合機10の近傍に居ることが必要とされる操作を受け付けるための特定要素については、ユーザが直接的に複合機10を操作することができる程度に当該複合機10の近傍に居る場合にのみ、その機能が有効化される。言い換えれば、ユーザが複合機10の近傍に居ることが必要とされる操作については、当該ユーザが複合機10の近傍に居る場合にのみ、携帯端末200を介して行うことができる。
【0051】
なお、
図6に示される端末側設定画面300においては、レジスト調整のインデックスを表す文字列354および定着クリーニングのインデックスを表す文字列358のそれぞれがグレー(半透明)で表示される。これは、レジスト調整および定着クリーニングのそれぞれの実行を指示するための操作については、携帯端末200を介して行うことができない旨を強調するためであるが、このような処置は講ぜられなくてもよい。
【0052】
また、ユーザが複合機10の近傍に居ることが必要な操作としては、補助記憶部32のハードディスクの初期化や最適化の実行を指示するための操作などがある。これらの操作に対応する特定要素についても、距離Dの推定値D’が閾値αを超える場合には、その機能が無効化される。
【0053】
前述したように、複合機10が備えるWebサーバ70に携帯端末200がアクセスすることで、当該携帯端末200のディスプレイ210に端末側設定画面300が表示される。このような端末側設定画面300は、たとえばHTMLにより構成される、いわゆるWebページである。したがって、
図6に示される態様の端末側設定画面300については、たとえば『disable』属性が適用されることで、特定要素としての各ボタン356および360のそれぞれがグレーアウトされる。言い換えれば、
図6に示される態様の端末側設定画面300は、『disable』属性が適用されたHTMLにより構成される。一方、
図5に示される態様の端末側設定画面300は、『disable』属性が適用されていないHTMLにより構成される。
【0054】
ここで、
図7に、主記憶部30bのRAM内の構成を概念的に表すメモリマップ400を示す。このメモリマップ400に示されるように、RAMは、プログラム記憶領域410およびデータ記憶領域450を有する。
【0055】
このうちのプログラム記憶領域410には、前述の制御プログラムが記憶される。具体的には、制御プログラムは、表示制御プログラム412、操作検出プログラム414、画像読取制御プログラム416、原稿送り制御プログラム418、画像形成制御プログラム420、給紙制御プログラム422および人検知プログラム424を含む。併せて、制御プログラムは、補助記憶制御プログラム426および通信制御プログラム428を含む。さらに、制御プログラムは、設定制御プログラム430、Webサーバプログラム432およびWeb画面制御プログラム434を含む。
【0056】
表示制御プログラム412は、ディスプレイ22bに前述の設定画面100などの様々な画面を表示させるのに必要な表示画面データを生成するためのプログラムである。操作検出プログラム414は、タッチパネル22aに対する操作状態を検出するためのプログラムである。画像読取制御プログラム416は、画像読取部12を制御するためのプログラムである。原稿送り制御プログラム418は、自動原稿送り装置16を制御するためのプログラムである。画像形成制御プログラム420は、画像形成部14を制御するためのプログラムである。給紙制御プログラム422は、給紙部20を制御するためのプログラムである。人検知プログラム424は、人感センサ24を制御するためのプログラムである。この人検知プログラム424には、人感センサ24からの検知信号に基づいて、前述の検知領域内における人の存否を判定するためのプログラム(サブプログラム)が含まれる。そして、補助記憶制御プログラム426は、補助記憶部32を制御するためのプログラムである。通信制御プログラム428は、通信部34を制御するためのプログラムである。この通信制御プログラム428には、携帯端末200から発せられるブルートゥースに従う電波の受信強度に基づいて、複合機10と当該携帯端末200との間の距離Dを推定するための、つまり当該距離Dの推定値D’を算出するための、プログラムが含まれる。さらに、設定制御プログラム430は、CPU30aに後述する設定制御タスクを実行させるためのプログラムである。Webサーバプログラム432は、CPU30aに後述するWebサーバタスクを実行させるためのプログラムである。そして、Web画面制御プログラム434は、CPU30aに後述するWeb画面制御タスクを実行させるためのプログラムである。
【0057】
一方、データ記憶領域450には、各種のデータが記憶される。ここで言う各種のデータとしては、表示画像生成データ452、操作データ454、画面データ456、距離データ458などがある。
【0058】
表示画像生成データ452は、前述の表示制御プログラム412に基づく表示画面データの生成に用いられるポリゴンデータやテクスチャデータなどのデータである。操作データ454は、タッチパネル22aに対する操作状態を表すデータであり、詳しくは当該タッチパネル22aに対するユーザのタッチ位置(座標)を表す時系列のデータである。画面データ456は、携帯端末200に前述の端末側設定画面300を表示させるためのデータであり、つまりHTMLデータである。そして、距離データ458は、距離Dの推定値D’を表すデータである。
【0059】
前述したように、複合機10のディスプレイ22bに表示されたホーム画面の設定ボタンが操作されると、当該ディスプレイ22bに設定画面100(
図3参照)が表示されるが、そのためにCPU30aは、設定制御プログラム430に従って、設定制御タスクを実行する。この設定制御タスクの流れを、
図8に示す。なお、CPU30aは、設定ボタンが操作されることに応答して、設定制御タスクを実行する。
【0060】
この設定制御タスクによれば、CPU30aは、まず、ステップS1において、設定画面100をディスプレイ22bに表示し、厳密には最初の設定画面100である不図示の設定初期画面をディスプレイ22bに表示する。そして、CPU30aは、処理をステップS3へ進める。
【0061】
ステップS3において、CPU30aは、設定画面100が何らかの操作を受け付けるのを待つ(S3:NO)。そして、設定画面100が何らかの操作を受け付けると(S3:YES)、CPU30aは、処理をステップS5へ進める。
【0062】
ステップS5において、CPU30aは、ステップS3で受け付けられた操作が設定画面100による設定の終了を指示するための終了操作であるかどうかを判定する。ここでたとえば、ステップS3で受け付けられた操作が終了操作である場合(S5:YES)、CPU30aは、処理をステップS7へ進める。一方、ステップS3で受け付けられた操作が終了操作でない場合には(S5:NO)、CPU30aは、処理を後述するステップS9へ進める。
【0063】
ステップS7において、CPU30aは、設定画面100を閉じることを含む所定の終了処理を実行する。このステップS7の終了処理の実行をもって、CPU30aは、設定制御タスクを終了する。
【0064】
一方、CPU30aは、前述のステップS5からステップS9へ処理を進めた場合、当該ステップS9において、ステップS3で受け付けられた操作に応じた処理を行う。このステップS9の実行後、CPU30aは、処理をステップS3へ戻す。
【0065】
併せて、CPU30aは、Webサーバプログラム432に従って、Webサーバタスクを実行する。これにより、前述の如く携帯端末200のディスプレイ210に端末側設定画面300(
図5参照)が表示される。このWebサーバタスクの流れを、
図9に示す。なお、CPU30aは、携帯端末200からWebサーバ70へアクセスされたことに応答して、Webサーバタスクを実行する。
【0066】
このWebサーバタスクによれば、CPU30aは、まず、ステップS101において、携帯端末200のディスプレイ210に端末側設定画面300を表示するための、厳密には最初の端末側設定画面300である不図示の端末側設定初期画面を表示するための、設定初期画面データを当該携帯端末200へ送信する。なお、設定初期画面データを含め、端末側設定画面300を表示させるためのデータは、前述の画面データ456として、主記憶部30bのRAM(データ記憶領域450)に記憶される。このステップS101の実行後、CPU30aは、処理をステップS103へ進める。
【0067】
ステップS103において、CPU30aは、携帯端末200から何らかの端末側操作データが送られてくるのを待つ(S103:NO)。ここで言う端末側操作データとは、端末側設定画面300が受け付けた操作に応じたデータである。そして、携帯端末200から端末側操作データを受信すると(S103:YES)、CPU30aは、処理をステップS105へ進める。
【0068】
ステップS105において、CPU30aは、ステップS103で受信された端末側操作データが端末側設定画面300による設定の終了を指示するための終了操作データであるかどうかを判定する。ここでたとえば、ステップS103で受信された端末側操作データが終了操作データである場合(S105:YES)、CPU30aは、処理をステップS107へ進める。一方、ステップS103で受信された端末側操作データが終了操作データでない場合には(S105:NO)、CPU30aは、処理を後述するステップS109へ進める。
【0069】
ステップS107において、CPU30aは、終了操作データを受信した旨を携帯端末200へ伝えることを含む所定の終了処理を実行する。このステップS107の終了処理の実行をもって、CPU30aは、Webサーバタスクを終了する。
【0070】
一方、CPU30aは、前述のステップS105からステップS109へ処理を進めた場合、当該ステップS109において、ステップS103で受信された操作データに応じた処理を行う。このステップS109の実行後、CPU30aは、処理をステップS103へ戻す。
【0071】
さらに、CPU30aは、Web画面制御プログラム434に従って、Web画面制御タスクを実行する。これにより、前述の如く複合機10と携帯端末200との間の距離Dの推定値D’に応じて、端末側設定画面300の態様が変わり、つまり特定要素の態様が変わる。このWeb画面制御タスクの流れを、
図10に示す。なお、CPU30aは、Webサーバタスクの実行中に、たとえば1秒間~数秒間程度の一定の周期でWeb画面制御タスクを繰り返し実行する。
【0072】
このWeb画面制御タスクによれば、CPU30aは、まず、ステップS201において、携帯端末200のディスプレイ210に表示中の端末側設定画面300が所定画面であるかどうかを、換言すれば前述の画面データ456が当該所定画面を表すデータであるかどうかを、判定する。ここで言う所定画面とは、
図5および
図6に示されるような態様の端末側設定画面300であり、つまり特定要素を含む端末側設定画面300である。このステップS201において、たとえば表示中の端末側設定画面300が所定画面である場合(S201:YES)、CPU30aは、処理をステップS203へ進める。一方、表示中の端末側設定画面300が所定画面でない場合は(S201:NO)、CPU30aは、Web画面制御タスクを(一旦)終了する。
【0073】
ステップS203において、CPU30aは、前述の距離データ458に基づく距離Dの推定値D’が閾値α以下であるかどうかを判定する。ここでたとえば、推定値D’が閾値α以下である場合(S203:YES)、CPU30aは、処理をステップS205へ進める。一方、推定値D’が閾値αを超える場合は(S203:NO)、CPU30aは、処理を後述するステップS209へ進める。
【0074】
ステップS205において、CPU30aは、表示中の端末側設定画面(所定画面)300に含まれる特定要素が操作を受け付けることが可能な態様であるかどうかを、換言すれば前述の画面データ456がそのような端末側設定画面300を表すデータであるかどうかを、判定する。ここでたとえば、特定要素が操作を受け付けることが可能な態様である場合(S205:YES)、CPU30aは、Web画面制御タスクを終了する。一方、特定要素が操作を受け付けることが不可能な態様である場合は(S205:NO)、CPU30aは、処理をステップS207へ進める。
【0075】
ステップS207において、CPU30aは、端末側設定画面300に含まれる特定要素が操作を受け付けることが可能な態様となるように、当該端末側設定画面300を更新し、つまりはそうするための画面データを携帯端末200へ送信する。これにより、端末側設定画面300に含まれる特定要素が操作を受け付けることが可能な態様となり、つまりそのような端末側設定画面300に更新される。このステップS207の実行をもって、CPU30aは、Web画面制御タスクを終了する。
【0076】
一方、CPU30aは、前述のステップS203からステップS209へ処理を進めた場合、当該ステップS209において、表示中の端末側設定画面300に含まれる特定要素が操作を受け付けることが不可能な態様であるかどうかを判定する。このステップS209における判定もまた、ステップS205における判定と同様、前述の画面データ456に基づいて行われる。ここでたとえば、特定要素が操作を受け付けることが不可能な態様である場合(S209:YES)、CPU30aは、Web画面制御タスクを終了する。一方、特定要素が操作を受け付けることが可能な態様である場合は(S209:NO)、CPU30aは、処理をステップS211へ進める。
【0077】
ステップS211において、CPU30aは、端末側設定画面300に含まれる特定要素が操作を受け付けることが不可能な態様となるように、当該端末側設定画面300を更新し、つまりはそうするための画面データを携帯端末200へ送信する。これにより、端末側設定画面300に含まれる特定要素が操作を受け付けることが不可能な態様となり、つまりそのような端末側設定画面300に更新される。このステップS211の実行をもって、CPU30aは、Web画面制御タスクを終了する。
【0078】
このように本第1実施例によれば、ユーザは、携帯端末200を介して複合機10を操作することができる。このことは、複合機10の操作性の向上に大きく貢献する。その一方で、ユーザが複合機10の近傍に居ることが必要とされる操作については、当該ユーザが複合機10の近傍に居る場合にのみ、携帯端末200を介して行うことができる。言い換えれば、ユーザが複合機10の近傍に居ることが必要とされる操作については、当該ユーザが複合機10から離れた位置に居る場合には、携帯端末200を介して行うことができない。このことは、複合機10の円滑な運用を図る上で、肝要である。すなわち、本第1実施例によれば、複合機10の操作性の向上および円滑な運用を図ることができる。
【0079】
なお、本第1実施例におけるCPU30aは、詳しくはWebサーバタスク(
図9参照)を実行するCPU30aは、通信部34と協働して、本発明に係る操作画面データ送信手段の一例を構成する。併せて、CPU30aは、前述の通信制御プログラム428に従って、複合機10と携帯端末200との間の距離Dの推定値D’を算出するが、この推定値D’を算出するCPU30aは、通信部34と協働して、本発明に係る距離推定手段の一例を構成する。また、Web画面制御タスク(
図10参照)を実行するCPU30aは、本発明に係る操作画面データ制御手段の一例である。
【0080】
さらに、本第1実施例においては、ユーザが複合機10の近傍に居ることが必要な操作として、レジスト調整および定着クリーニングのそれぞれを実行するための操作を例示したが、これに限らない。前述したように、補助記憶部32のハードディスクの初期化や最適化の実行を指示するための操作なども、ユーザが複合機10の近傍に居ることが必要な操作に含まれる。これらの操作は、本発明に係る特定操作の一例である。
【0081】
加えて、本第1実施例においては、
図6に示されるように、端末側設定画面300における特定要素としての2つのボタン356および360がグレーアウトされることにより、それらのボタン356および360の機能が無効化される場合について説明したが、これに限らない。たとえば、各タブ304、306および308のいずれかに応じた(つまり個別操作領域310に現れる)操作画面(言わばページ)全体がグレーアウトされることにより、当該操作画面全体が操作を受け付けることが不可能な状態となるように、構成されてもよい。また、各項目選択ボタン332、332、…のいずれかに応じた(つまり詳細操作領域334に現れる)詳細画面全体がグレーアウトされることにより、当該詳細画面全体が操作を受け付けることが不可能な状態となるように、構成されてもよい。
【0082】
また、距離Dの推定について、ブルートゥースの電波が利用されたが、当該ブルートゥース以外の電波が利用されてもよい。
【0083】
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例について説明する。
【0084】
本第2実施例においては、たとえば
図6に示される端末側設定画面300に代えて、
図11に示されるような端末側設定画面300aが表示される。この
図11に示される端末側設定画面300aにおいては、
図6(および
図5)に示される端末側設定画面300におけるレジスト調整に係る文字列354およびボタン356ならびに定着クリーニングに係る文字列358およびボタン360が非表示とされる。すなわち、本第2実施例においては、特定要素が非表示とされることで、当該特定要素が操作を受け付けることが不可能な態様となる。
【0085】
このような第2実施例によっても、第1実施例と同様に、複合機10の操作性の向上および円滑な運用を図ることができる。
【0086】
なお、
図11に示される端末側設定画面300においては、非表示とされた要素(354、356、358および360)が配されていた部分を詰めるように、非表示とされない要素(362、364など)が配される態様とされているが、これに限らない。たとえば、非表示とされない要素については、その位置が不変とされてもよい。
【0087】
また、本第2実施例においても、たとえば各タブ304、306および308のいずれかに応じた操作画面全体が非表示とされることにより、当該操作画面全体が操作を受け付けることが不可能な状態となるように、構成されてもよい。あるいは、各項目選択ボタン332、332、…のいずれかに応じた詳細画面全体が非表示とされることにより、当該詳細画面全体が操作を受け付けることが不可能な状態となるように、構成されてもよい。
【0088】
[第3実施例]
次に、本発明の第3実施例について説明する。
【0089】
前述の第1実施例(および第2実施例)においては、携帯端末200から発せられるブルートゥースの電波の複合機10側での受信強度に基づいて、距離Dが推定されたが、本第3実施例においては、別の手段により当該距離Dが推定される。
【0090】
具体的には、本第3実施例においては、人感センサ24による検知結果(人検知信号)に基づいて、距離Dが推定され、厳密にはユーザが複合機10の近傍にいるかどうかが推測される。そして、ユーザが複合機10の近傍に居る場合には、つまり人感センサ24によってユーザが検知されている場合には、特定要素が操作を受け付けることが可能な態様となる。一方、ユーザが複合機10から離れた位置に居る場合には、つまり人感センサ24によってユーザが検知されていない場合には、特定要素が操作を受け付けることが不可能な態様となる。
【0091】
このような本第3実施例においては、前述(
図10)のWeb画面制御タスクにおけるステップS203に代えて、
図12に示されるステップS301が実行される。
【0092】
すなわち、ステップS301において、CPU30aは、人感センサ24によってユーザが検知されているかどうかを判定する。ここでたとえば、人感センサ24によってユーザが検知されている場合(S301:YES)、CPU30aは、処理をステップS205へ進める。一方、人感センサ24によってユーザが検知されていない場合は(S301:NO)、CPU30aは、処理をステップS209へ進める。
【0093】
このような本第3実施例によっても、第1実施例(および第2実施例)と同様に、複合機10の操作性の向上および円滑な運用を図ることができる。
【0094】
なお、本第3実施例においては、人感センサ24によって検知される人がユーザでない場合があるため、これを補填するための適宜の対策が講ぜられることが、肝要である。
【0095】
[第4実施例]
次に、本発明の第4実施例について説明する。
【0096】
前述の第1実施例(および第2実施例、第3実施例)においては、複合機10のディスプレイ22bに表示される設定画面100と、携帯端末200のディスプレイ210に表示される端末側設定画面300(または300a)と、により互いに独立して操作が可能であり、換言すれば同時に操作が可能である。したがってたとえば、設定画面100および端末側設定画面300の一方による操作に従う処理が実行されている最中に、他方により何らかの処理の実行を指示する操作が行われることがある。特に、実行中の処理と並行することが不可能な処理の実行を指示する操作が行われた場合に、これにどのようにして対処するのかが、極めて重要である。なお、ここで言う処理には、前述の特定要素の操作に従う処理が含まれ、つまりユーザが複合機10の近傍に居る必要のある操作に従う言わば特定処理が含まれる。
【0097】
本第4実施例においては、何らかの処理の実行中に、この実行中の処理と並行することが不可能な処理の実行を指示する操作が行われた場合は、実行中の処理が優先され、後から行われた操作に従う指示は無効化(無視)される。要するに、先に行われた操作が優先され、言わば先勝ちの理論が採用される。なお、実行中の処理と並行することが可能な処理の実行を指示する操作が行われた場合には、この後から行われた操作に従う指示は有効とされ、つまり当該指示に応じた処理が実行(並行)される。たとえば、前述のレジスト調整のための処理の実行中に、複合機10の状態を確認するための操作が行われた場合が、これに当たる。
【0098】
さらに、本第4実施例においては、実行中の処理と並行することが不可能な処理の実行を指示する操作が行われた場合に、たとえば当該操作が複合機10側の設定画面100により行われた場合に、
図13に示されるようなメッセージ画面500が、複合機10のディスプレイ22bに表示される。このメッセージ画面500は、いわゆるモーダルダイアログであり、設定画面100上に重なるように表示(ポップアップ表示)される。そして、メッセージ画面500は、数秒間程度の一定期間にわたって表示された後、自動的に閉じられる。このメッセージ画面500が表示されることを受けて、ユーザは、何らかの処理が実行中であることを認識する。
【0099】
一方、実行中の処理と並行することが不可能な処理の実行を指示する操作が端末側設定画面300により行われた場合には、
図14に示されるようなメッセージ画面600が、携帯端末200のディスプレイ210に表示される。このメッセージ画面600もまた、モーダルダイアログであり、端末側設定画面300上に重なるように表示される。そして、メッセージ画面600は、数秒間程度の一定期間にわたって表示された後、自動的に閉じられる。
【0100】
このような本第4実施例においては、前述(
図8)の設定制御タスクにおけるステップS9の一部として、言わばサブタスクとして、
図15に示される流れに従って、本体処理制御タスクが実行される。
【0101】
この本体処理制御タスクによれば、CPU30aは、まず、ステップS401において、何らかの処理の実行中であるかどうかを判定する。ここでたとえば、何らかの処理の実行中である場合(S401:YES)、CPU30aは、処理をステップS403へ進める。一方、何らの処理も実行されていない場合は、CPU30aは、処理を後述するステップS405へ進める。
【0102】
ステップS403において、CPU30aは、前述(
図8)のステップS3で受け付けられた操作に従う処理が、実行中の処理と並行可能であるかどうかを判定する。ここでたとえば、ステップS3で受け付けられた処理が、実行中の処理と並行可能である場合(S403:YES)、CPU30aは、処理をステップS405へ進める。一方、ステップS3で受け付けられた処理が、実行中の処理と並行不可能である場合は(S403:NO)、CPU30aは、処理を後述するステップS407へ進める。
【0103】
ステップS405において、CPU30aは、ステップS3で受け付けられた操作に応じた処理の実行を開始する。この処理は、本体処理制御タスクとは別のサブタスクにより実行される。この別のサブタスクについては、図示を含む詳しい説明を省略する。このステップS405の実行をもって、CPU30aは、本体処理制御タスクを終了する。
【0104】
一方、CPU30aは、前述のステップS403からステップS407へ処理を進めた場合、当該ステップS407において、メッセージ画面500(
図13参照)をディスプレイ22bに表示する。このメッセージ画面500は、前述の如く一定期間にわたって表示された後、自動的に閉じられる。このステップS407の実行をもって、CPU30aは、本体処理制御タスクを終了する。
【0105】
また、本第4実施例においては、前述(
図9)のWebサーバタスクにおけるステップS109の一部として、つまりサブタスクとして、
図16に示される流れに従って、Web処理制御タスクが実行される。
【0106】
このWeb処理制御タスクによれば、CPU30aは、まず、ステップS501において、何らかの処理の実行中であるかどうかを判定する。ここでたとえば、何らかの処理の実行中である場合(S501:YES)、CPU30aは、処理をステップS503へ進める。一方、何らの処理も実行されていない場合は、CPU30aは、処理を後述するステップS505へ進める。
【0107】
ステップS503において、CPU30aは、前述(
図9)のステップS103で受け付けられた操作に従う処理が、実行中の処理と並行可能であるかどうかを判定する。ここでたとえば、ステップS103で受け付けられた処理が、実行中の処理と並行可能である場合(S503:YES)、CPU30aは、処理をステップS505へ進める。一方、ステップS103で受け付けられた処理が、実行中の処理と並行不可能である場合は(S503:NO)、CPU30aは、処理を後述するステップS507へ進める。
【0108】
ステップS505において、CPU30aは、ステップS103で受け付けられた操作に応じた処理の実行を開始する。この処理は、Web処理制御タスクとはさらに別のサブタスクにより実行される。このさらに別のサブタスクについては、図示を含む詳しい説明を省略する。このステップS505の実行をもって、CPU30aは、Web処理制御タスクを終了する。
【0109】
一方、CPU30aは、前述のステップS503からステップS507へ処理を進めた場合、当該ステップS507において、メッセージ画面600(
図14参照)を携帯端末200のディスプレイ210に表示するためのメッセージデータを当該携帯端末200へ送信する。これにより、携帯端末200のディスプレイ210にメッセージ画面600が一定期間にわたって表示され、その後、当該メッセージ画面600が閉じられる。このステップS507の実行をもって、CPU30aは、Web処理制御タスクを終了する。
【0110】
このように本第4実施例によれば、実行中の処理と並行することが不可能な処理の実行を指示する操作が行われた場合に、実行中の処理が優先され、後から行われた操作に従う指示は無効化される。その上で、たとえば後からの操作が複合機10側の設定画面100により行われた場合は、当該設定画面100上にメッセージ画面500(
図13参照)が表示される。また、後からの操作が端末側設定画面300により行われた場合には、当該端末側設定画面300上にメッセージ画面600(
図14参照)が表示される。このことは特に、複合機10の円滑な運用を図るのに、大きく貢献する。
【0111】
なお、本第4実施例において、複合機10側の設定画面100により行われる後からの操作は、厳密には実行中の処理と並行不可能な処理の実行を指示する操作は、本発明に係る第1操作の一例である。そして、本体処理制御タスク(
図15参照)を実行するCPU30aは、とりわけステップS407の実行をもって当該本体処理制御タスクを終了するCPU30aは、本発明に係る第1無効化手段の一例である。さらに、本体処理制御タスクにおけるステップS407を実行するCPU30aは、ディスプレイ22bと協働して、本発明に係るメッセージ出力手段の一例を構成する。そして、ディスプレイ22bに表示されるメッセージ画面500は、本発明に係る第1メッセージの一例である。このメッセージ画面500が表示されることに代えて、もしくは、これに加えて、適当な音声メッセージが出力されてもよい。
【0112】
また、本第4実施例において、端末側設定画面300により行われる後からの操作は、厳密には実行中の処理と並行不可能な処理の実行を指示する操作は、本発明に係る第2操作の一例である。そして、Web処理制御タスク(
図16参照)を実行するCPU30aは、とりわけステップS507の実行をもって当該Web処理制御タスクを終了するCPU30aは、本発明に係る第2無効化手段の一例である。さらに、Web処理制御タスクにおけるステップS507を実行するCPU30aは、通信部34と協働して、本発明に係るメッセージデータ送信手段の一例を構成する。そして、携帯端末200のディスプレイ210に表示されるメッセージ画面600は、本発明に係る第2メッセージの一例である。このメッセージ画面600が表示されることに代えて、もしくは、これに加えて、適当な音声メッセージが携帯端末200から出力されてもよい。
【0113】
[その他の適用例]
以上の各実施例は、本発明の具体例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。これら各実施例以外の局面にも、本発明を適用することができる。
【0114】
たとえば、複合機10と携帯端末200との接続は、Wi-Fiにより行われたが、当該Wi-Fi以外の通信規格が採用されてもよい。極端には、たとえばブルートゥースまたはIrDAのみによって、複合機10と携帯端末200とが接続されてもよく、つまり当該複合機10と携帯端末200との間での画面データを含む全てのデータの送受信が行われてもよい。なお、たとえばIrDAのみによって、複合機10と携帯端末200とが接続される場合は、第3実施例の如く人感センサ24による検知結果に基づいて、距離Dが推定されてもよい。
【0115】
また、人感センサ24として、焦電型の赤外線センサを有するものが採用されたが、超音波や電波などの利用するものが採用されてもよい。さらには、人感センサ24に代えて、もしくは、これに加えて、動画カメラが用いられてもよい。
【0116】
そして、前述の各実施例においては、設定画面100および端末側設定画面300という設定用の操作画面を例に挙げて説明したが、これに限らない。複合機10にジョブを実行させるためのジョブ用の操作画面にも、本発明を適用することができる。
【0117】
さらに、端末側設定画面300については、HTMLにより構成されるWebページとされたが、これに限らない。たとえば、専用のアプリケーションプログラム(アプリ)によって、端末側設定画面300が構成されてもよい。
【0118】
加えて、携帯端末200については、タブレットに限らず、たとえばスマートフォンであってもよい。また、ノート型のパーソナルコンピュータが携帯端末200として採用されてもよい。さらには、携帯情報端末(PDA)やフィーチャ・フォンなどが携帯端末200として採用されてもよい。
【0119】
そして、各実施例においては、複合機10に、本発明が適用される場合について説明したが、これに限らない。すなわち、複合機10以外の画像処理装置にも、本発明を適用することができる。
【0120】
また、本発明は、画像処理装置という装置の形態に限らず、画像処理装置および携帯端末を備える画像処理システムというシステムの形態、あるいは、画像処理装置の制御プログラムというプログラムの形態、さらには、画像処理装置の制御方法という方法の形態によっても、提供することができる。
【0121】
併せて、本発明は、画像処理装置の制御プログラムが非一時的(非一過性)記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体という形態によっても、提供することができる。ここで言う記録媒体としては、たとえばSDメモリカードやUSBメモリなどの半導体メディア、あるいは、CDやDVDなどのディスクメディアがある。これらの可搬型の記憶媒体に限らず、ROMやハードディスクドライブなどのような装置組込み型(内蔵型)の記憶媒体もまた、ここで言う記録媒体として適用可能である。
【符号の説明】
【0122】
10 … 複合機
22 … 操作ユニット
22a … タッチパネル
22b … ディスプレイ
24 … 人感センサ
30 … 制御部
30a … CPU
34 … 通信部
34a … 無線通信部
100 … 設定画面
200 … 携帯端末
210 … ディスプレイ
300 … 端末側設定画面
356、360 … ボタン
500、600 … メッセージ画面
D … 距離