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特許7545302テンプレートのずれを補償する放射パターンを調整するインプリントリソグラフィシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】テンプレートのずれを補償する放射パターンを調整するインプリントリソグラフィシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20240828BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240828BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
H01L21/30 507B
H01L21/30 541W
G03F7/20 504
B29C59/02 Z
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020194581
(22)【出願日】2020-11-24
(65)【公開番号】P2021097222
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-11-24
(31)【優先権主張番号】16/719,280
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンシュマン チェララ
(72)【発明者】
【氏名】ニラブ ケー ロイ
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-283207(JP,A)
【文献】特開2019-067918(JP,A)
【文献】特開2018-182300(JP,A)
【文献】特開2015-173271(JP,A)
【文献】国際公開第2009/011119(WO,A1)
【文献】特開2006-205491(JP,A)
【文献】特開2016-095482(JP,A)
【文献】特開2016-032003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 53/00-53/84
57/00-59/18
H01L 21/027
21/30
21/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプリントする方法であって、
基準位置に対するテンプレートの位置の変化に関するテンプレートずれデータを受信する工程と、
前記テンプレートのテンプレート境界領域の下の基板のインプリント領域における成形可能材料を露光するための目標の化学線放射パターンデータを受信する工程と、
前記テンプレートずれを補償する、前記テンプレート境界領域の下の前記成形可能材料を露光するための新たな化学線放射パターンを決定する工程と、
前記基板の前記インプリント領域における前記成形可能材料と前記テンプレートとを接触させる工程と、
前記テンプレートが前記成形可能材料と接触している間に、前記テンプレート境界領域の下の前記成形可能材料を前記新たな化学線放射パターンで露光する工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記新たな化学線放射パターンを変調値のマップとして空間光変調器に伝送する工程を更に有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記空間光変調器は、前記インプリントの方法の間、前記テンプレートを保持するテンプレートチャックに対して固定された位置に位置決めされる、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記変調値のマップの各要素は、前記空間光変調器の対応する変調素子に関連付けられている、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記空間光変調器は、デジタルマイクロミラーデバイスを含み、
前記変調値のマップ内の各要素は、前記デジタルマイクロミラーデバイスの個々のミラーが前記テンプレートの下の成形可能材料に向けて化学線を導く期間を表す変調デューティサイクルを含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記空間光変調器は、透過型空間強度変調器を含み、
前記変調値のマップ内の各要素は、変調デューティサイクルおよび所定の透過率の一方または両方を含み、
前記透過型空間強度変調器の個々の変調素子は、前記テンプレートの下の成形可能材料に向かって導かれる化学線の前記所定の透過率で透過する期間は、前記変調値のマップの前記対応する変調素子によって決定される、
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記透過型空間強度変調器は、
液晶偏光リターダと、
偏光子と、
を含む、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記空間光変調器は、反射型空間強度変調器を含み、
前記変調値のマップにおける各要素は、変調デューティサイクルおよび所定の反射率の一方または両方を含み、
前記反射型空間強度変調器の個々の変調素子は、前記テンプレートの下の成形可能材料に向かって導かれる化学線の前記所定の反射率で反射する期間は、前記変調値のマップの前記対応する変調素子によって決定される、
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記反射型空間強度変調器は、
反射コーティングが施されたシリコンの上の液晶偏光リターダと、
偏光子と、
を含む、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記成形可能材料は、化学線で露光されたときに硬化膜を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
請求項10に記載のインプリントする方法を使用して物品を製造する方法であって、
前記硬化膜が形成された前記基板を処理して前記物品を製造する、ことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記テンプレート境界領域の下の前記成形可能材料を前記新たな化学線放射パターンで露光しながら、前記テンプレートの少なくとも中央領域の下の前記成形可能材料を化学線の線量の第1分布で露光する工程を更に有し、
前記新たな化学線放射パターンを決定する工程において、化学線の線量の前記第1分布に基づいて前記新たな化学線放射パターンを決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記新たな化学線放射パターンを決定する工程は、
前記テンプレートずれデータと、
x軸投影ピッチと、
y軸投影ピッチと、
に基づいて変換パラメータのセットを決定する工程と、
前記変換パラメータのセットに基づいて前記新たな化学線放射パターンを表す変調値の新たなマップを生成する工程と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記目標の化学線放射パターンは、変調値の初期マップによって表され、
前記変換パラメータのセットは、
y軸フルピッチ変換パラメータと、
x軸フルピッチ変換パラメータと、
を含み、
前記変調値の新たなマップを生成する工程は、前記変換パラメータのセットに従って前記変調値の初期マップをシフトする工程を含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記目標の化学線放射パターンは、変調値の初期マップによって表され、
前記変換パラメータのセットは、
y軸部分ピッチ変換パラメータと、
x軸部分ピッチ変換パラメータと、
を含み、
前記変調値の新たなマップを生成する工程は、前記変調値の初期マップと、シフトされた変調値の初期マップとのうちから選択された選択変調マップの1つ以上のサブセットから、前記変換パラメータのセットに従って加算および減算を行う工程を含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上のサブセットにおける各サブセットは、前記選択変調マップの2つ以上の要素を含む、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記新たな化学線放射パターンを決定する工程は、前記テンプレートずれデータと少なくとも変調値の2つのマップとに基づいて、変調値の補間マップを計算する工程を含み、
前記変調値の補間マップは、前記新たな化学線放射パターンを生成するために空間光変調器に伝送される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記テンプレートずれデータは、少なくとも2つの異なる時間からの前記テンプレートの位置の変化に関する情報を含み、
前記新たな化学線放射パターンを決定する工程は、
前記テンプレート境界領域の下の前記成形可能材料が化学線で露光されたときの前記テンプレートの予測位置を、前記テンプレートずれデータに基づいて推定する工程と、
前記テンプレートの予測位置に基づいて変調値の新たなマップを計算する工程と、
を含み、
前記変調値の新たなマップは、前記新たな化学線放射パターンを生成するために空間光変調器に伝送される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
システムであって、
メモリと、
プロセッサと、を有し、
前記プロセッサは、
基準位置に対するテンプレートの位置の変化に関するテンプレートずれデータを受信し、
前記テンプレートのテンプレート境界領域の下の基板のインプリント領域における成形可能材料を露光するために、目標の化学線放射パターンデータを受信し、
前記テンプレートずれを補償する、前記テンプレート境界領域の下の前記成形可能材料を露光するための新たな化学線放射パターンを決定し、
前記基板の前記インプリント領域における前記成形可能材料と前記テンプレートとが接触している間に、前記テンプレート境界領域の下の前記成形可能材料を前記新たな化学線放射パターンで露光するようインプリントリソグラフィシステムに命令を送信する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項20】
インプリントリソグラフィシステムを更に有し、
前記インプリントリソグラフィシステムは、
前記新たな化学線放射パターンを表す変調値のマップを受信する空間光変調器と、
前記空間光変調器を化学線で照射する化学線源と、
前記テンプレートを保持するテンプレートチャックと、
テンプレートずれを計測し、前記テンプレートずれデータを前記プロセッサに伝送するセンサと、
前記基板の前記インプリント領域における前記成形可能材料を前記テンプレートと接触させる位置決めシステムと、
を含む、ことを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
インプリント装置であって、
テンプレートを保持するチャックと、
前記チャックに保持されたテンプレートのずれを計測するセンサと、
前記テンプレートの境界領域の下の基板のインプリント領域における成形可能材料を化学線放射パターンで露光する露光部と、
制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記センサから前記テンプレートのずれのデータを取得し、
前記テンプレートのずれのデータに基づいて、前記テンプレートのずれを補償する前記化学線放射パターンを決定し、
前記成形可能材料と前記テンプレートとが接触している間に、前記テンプレートの境界領域の下の前記成形可能材料を当該決定された化学線放射パターンで露光するように、前記露光部を制御する、
ことを特徴とするインプリント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、テンプレートのずれを補償する、硬化に使用される放射線パターンを調整するためのインプリントリソグラフィシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノファブリケーションは、100ナノメートル以下のオーダーのフィーチャを有する非常に小さな構造の加工を含む。ナノファブリケーションがかなりの影響を及ぼした応用の1つは、集積回路の製造である。半導体プロセス産業は、基板上に形成される単位面積当たりの回路を増加させながら、より大きな生産歩留まりのために努力を続けている。ナノファブリケーションにおける改良は、より大きなプロセス制御を提供すること、および/またはスループットを改善することを含み、同時に、形成される構造の最小フィーチャ寸法の継続的な低減を可能にする。
【0003】
今日使用されている1つのナノファブリケーション技術は、一般に、インプリントリソグラフィと呼ばれている。インプリントリソグラフィは例えば、基板上に膜を成形することによって集積デバイスの1つ以上のレイヤを形成することを含む種々の用途において有用である。集積デバイスの実施例としては、CMOSロジック、マイクロプロセッサ、NAND型フラッシュメモリ、NOR型フラッシュメモリ、DRAMメモリ、MRAM、3Dクロスポイントメモリ、Re-RAM、Fe-RAM、STT-RAM、MEMS等が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なインプリントリソグラフィシステムおよびプロセスは、米国特許第8,349,241号、米国特許第8,066,930号、および米国特許第6,936,194号等多数の刊行物に詳細に記載されており、これらはすべてこの引用により本明細書に組み込まれる。
【0004】
上記特許の各々に開示されたインプリントリソグラフィ技術は、(重合可能な)成形可能材料の層にレリーフパターンを形成することによって基板上に膜を成形することを記載している。次いで、この膜の形状を使用して、レリーフパターンに対応するパターンを下にある基板に、および/またはその上に転写することができる。
【0005】
成形プロセスは、基板から離間したテンプレートを使用する。成形可能液体が基板上に塗布される。テンプレートを成形可能液体と接触させ、成形可能液体を広げ、テンプレートと基板との間の空間を満たす。成形可能液体は固化され、テンプレートの成形面に合致する形状(パターン)を有する膜が形成される。固化後、テンプレートは、テンプレートと基板とが離間されて、固化層から分離される。
【0006】
次いで、基板および固化層は、例えば、硬化、酸化、層形成、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、成形可能材料除去、ダイシング、ボンディング、およびパッケージングなどを含む、デバイス(物品)製造のための公知の工程およびプロセスに供されうる。例えば、固化層上のパターンは、パターンを基板に転写するエッチングプロセスを受けてもよい。
【発明の概要】
【0007】
第1の実施形態は、インプリントする方法でありうる。インプリントする方法は、基準位置に対するテンプレートの位置の変化に関するテンプレートずれデータを受信する工程を含みうる。インプリント方法は、前記テンプレートのテンプレート境界領域の下の基板のインプリント領域における成形可能材料を露光するための目標の化学線放射パターンデータを受信する工程を更に含みうる。インプリント方法は、前記テンプレートずれを補償する、前記テンプレート境界領域の下の前記成形可能材料を露光するための新たな化学線放射パターンを決定する工程を更に含みうる。インプリント方法は、前記基板の前記インプリント領域における前記成形可能材料と前記テンプレートとを接触させる工程を更に含みうる。インプリント方法は、前記テンプレートが前記成形可能材料と接触している間に、前記テンプレート境界領域の下の前記成形可能材料を前記新たな化学線放射パターンで露光する工程を更に含みうる。
【0008】
第1の実施形態は、前記新たな化学線放射パターンを変調値のマップとして空間光変調器に伝送する工程を更に含みうる。
【0009】
第1の実施形態の態様において、前記空間光変調器は、前記インプリントの方法の間、前記テンプレートを保持するテンプレートチャックに対して固定された位置に位置決めされうる。
【0010】
前記変調値のマップの各要素は、前記空間光変調器の対応する変調素子に関連付けられうる。
【0011】
第1の実施形態の態様において、前記空間光変調器は、デジタルマイクロミラーデバイスを含みうる。前記変調値のマップ内の各要素は、前記デジタルマイクロミラーデバイスの個々のミラーが前記テンプレートの下の成形可能材料に向けて化学線を導く期間を表す変調デューティサイクルを含みうる。
【0012】
第1の実施形態の態様において、前記空間光変調器は、透過型空間強度変調器を含みうる。前記変調値のマップ内の各要素は、変調デューティサイクルおよび所定の透過率の一方または両方を含みうる。前記透過型空間強度変調器の個々の変調素子は、前記テンプレートの下の成形可能材料に向かって導かれる化学線の前記所定の透過率で透過する期間は、前記変調値のマップの前記対応する変調素子によって決定されうる。
【0013】
第1の実施形態の態様において、前記透過型空間強度変調器は、液晶偏光リターダと、偏光子とを含みうる。
【0014】
第1の実施形態の態様において、前記空間光変調器は、反射型空間強度変調器を含みうる。前記変調値のマップにおける各要素は、変調デューティサイクルおよび所定の反射率の一方または両方を含みうる。前記反射型空間強度変調器の個々の変調素子は、前記テンプレートの下の成形可能材料に向かって導かれる化学線の前記所定の反射率で反射する期間は、前記変調値のマップの前記対応する変調素子によって決定される。
【0015】
第1の実施形態の一態様において、前記反射型空間強度変調器は、反射コーティングが施されたシリコンの上の液晶偏光リターダと、偏光子とを含みうる。
【0016】
第1の実施形態の一態様において、前記成形可能材料は、化学線で露光されたときに硬化膜を形成する。
【0017】
第1の実施形態の一態様において、この方法は、物品を製造するためにも使用されうる。物品を製造する方法は、前記硬化膜が形成された前記基板を処理して前記物品を製造することを更に含みうる。
【0018】
第1の実施形態は、前記テンプレート境界領域の下の前記成形可能材料を前記新たな化学線放射パターンで露光しながら、前記テンプレートの少なくとも中央領域の下の前記成形可能材料を化学線の線量の第1分布で露光する工程を更に含みうる。前記新たな化学線放射パターンを決定する工程において、化学線の線量の前記第1分布に基づいて前記新たな化学線放射パターンを決定する。
【0019】
第1実施形態の一態様において、前記新たな化学線放射パターンを決定する工程は、前記テンプレートずれデータと、x軸投影ピッチと、y軸投影ピッチとに基づいて、変換パラメータのセットを決定する工程を含みうる。前記新たな化学線放射パターンを決定する工程は、前記変換パラメータのセットに基づいて新たな化学線放射パターンを表す変調値の新たなマップを生成する工程を更に含みうる。
【0020】
第1の実施形態の一態様において、前記目標の化学線放射パターンは、変調値の初期マップによって表すことができる。前記変換パラメータのセットは、y軸フルピッチ変換パラメータと、x軸フルピッチ変換パラメータとを含みうる。前記変調値の新たなマップを生成する工程は、前記変換パラメータのセットに従って前記変調値の初期マップをシフトする工程を含みうる。
【0021】
第1の実施形態の一態様において、前記目標の化学線放射パターンは、前記変調値の初期マップによって表すことができる。前記変換パラメータのセットは、y軸部分ピッチ変換パラメータと、x軸部分ピッチ変換パラメータとを含みうる。前記変調値の新たなマップを生成する工程は、前記変調値の初期マップと、シフトされた変調値の初期マップとのうちから選択された選択変調マップの1つ以上のサブセットから、前記変換パラメータのセットに従って加算および減算を行う工程を含みうる。
【0022】
第1の実施形態の一態様において、前記1つ以上のサブセットにおける各サブセットは、前記選択変調マップの2つ以上の要素を含みうる。
【0023】
第1の実施形態の一態様において、前記新たな化学線放射パターンを決定する工程は、前記テンプレートずれデータと少なくとも変調値の2つのマップとに基づいて、変調値の補間マップを計算する工程を含みうる。前記変調値の補間マップは、前記新たな化学線放射パターンを生成するために空間光変調器に伝送されうる。
【0024】
第1の実施形態の一態様において、前記テンプレートずれデータは、少なくとも2つの異なる時間からの前記テンプレートの位置の変化に関する情報を含みうる。前記新たな化学線放射パターンを決定する工程は、前記テンプレート境界領域の下の前記成形可能材料が化学線で露光されたときの前記テンプレートの予測位置を、前記テンプレートずれデータに基づいて推定する工程を含みうる。前記新たな化学線放射パターンを決定する工程は、前記テンプレートの予測位置に基づいて変調値の新たなマップを計算する工程も含みうる。前記変調値の新たなマップは、前記新たな化学線放射パターンを生成するために空間光変調器に伝送されうる。
【0025】
第2の実施形態は、メモリと、プロセッサとを備えるシステムでありうる。前記プロセッサは、基準位置に対するテンプレートの位置の変化に関するテンプレートずれデータを受信するように構成されうる。前記プロセッサは、前記テンプレートのテンプレート境界領域の下の基板のインプリント領域における成形可能材料を露光するために、目標の化学線放射パターンデータを受信するように更に構成されうる。前記プロセッサは、前記テンプレートずれを補償する、前記テンプレート境界領域の下の前記成形可能材料を露光するための新たな化学線放射パターンを決定するように更に構成されうる。前記プロセッサは、前記基板の前記インプリント領域における前記成形可能材料と前記テンプレートとが接触している間に、前記テンプレート境界領域の下の前記成形可能材料を前記新たな化学線放射パターンで露光するようインプリントリソグラフィシステムに命令を送るように更に構成されうる。
【0026】
第2の実施形態は、インプリントリソグラフィシステムを更に含みうる。前記インプリントリソグラフィシステムは、前記新たな化学線放射パターンを表す変調値のマップを受信する空間光変調器を含みうる。前記インプリントリソグラフィシステムは、前記空間光変調器を化学線で照射するように構成された化学線源を更に含みうる。前記インプリントリソグラフィシステムは、前記テンプレートを保持するテンプレートチャックを更に含みうる。前記インプリントリソグラフィシステムは、前記テンプレートずれを計測し、前記テンプレートずれデータを前記プロセッサに伝送する。前記インプリントリソグラフィシステムは、前記基板の前記インプリント領域における前記成形可能材料を前記テンプレートと接触させる位置決めシステムを更に含みうる。
【0027】
本開示のこれらおよび他の目的、特徴、および利点は、添付の図面および提供される特許請求の範囲と併せて、本開示の例示的な実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の特徴および利点が深く理解されるよう、添付図面に示される実施形態を参照することによって本発明の実施形態のより具体的な説明がなされる。ただし、添付図面は、本発明の典型的な実施形態を示すに過ぎず、したがって、本発明は他の等しく有効な実施形態を認めることができるので、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではないことに留意されたい。
【0029】
図1】実施形態で使用されるような基板から離間したメサを有するテンプレートを有する例示的なインプリントリソグラフィシステムの図。
【0030】
図2】実施形態で使用されうる例示的なテンプレートの図。
【0031】
図3】実施形態で使用される例示的なインプリント方法を示すフローチャート。
【0032】
図4A】実施形態で使用される例示的なインプリント方法に係る特定の構成要素の図。
図4B】実施形態で使用される例示的なインプリント方法に係る特定の構成要素の図。
図4C】実施形態で使用される例示的なインプリント方法に係る特定の構成要素の図。
【0033】
図5】(A)は、一実施形態で使用されうる空間光変調器における変調素子のセットを示す図。
【0034】
図5(B)~(G)は、実施形態で使用される化学線放射パターンの図。
【0035】
図6A】実施形態で使用される目標の硬化領域を表すマップの図。
【0036】
図6B】実施形態で使用される変調値のマップの図。
【0037】
図6C】実施形態で使用されるようなシミュレートされた硬化領域の図。
【0038】
図7A】一実施形態で使用されるマップ調整処理を示すフローチャート。
図7B】一実施形態で使用されるマップ調整処理を示すフローチャート。
図7C】一実施形態で使用されるマップ調整処理を示すフローチャート。
図7D】一実施形態で使用されるマップ調整処理を示すフローチャート。
【0039】
図8A】一実施形態で使用される変調マップの図。
図8B】一実施形態で使用される変調マップの図。
図8C】一実施形態で使用される変調マップの図。
図8D】一実施形態で使用される変調マップの図。
図8E】一実施形態で使用される変調マップの図。
【0040】
図9A】一実施形態で使用されうる変調マップによって生成される化学線のシミュレートされた分布の図。
図9B】一実施形態で使用されうる変調マップによって生成される化学線のシミュレートされた分布の図。
図9C】一実施形態で使用されうる変調マップによって生成される化学線のシミュレートされた分布の図。
図9D】一実施形態で使用されうる変調マップによって生成される化学線のシミュレートされた分布の図。
【0041】
図面全体を通して、別段の記載がない限り、同じ参照番号および文字は、例示された実施形態の同様の特徴、要素、構成要素または部分を示すために使用される。さらに、本開示は図面を参照して詳細に説明されるが、それらは例示的な実施形態に関連して行われる。添付の特許請求の範囲によって定義される主題の開示の真の範囲および主旨から逸脱することなく、記載された例示的な実施形態に対して変更および修正を行いうることが意図されている。
【発明を実施するための形態】
【0042】
インプリントリソグラフィ技術は、成形可能材料から基板の上の膜を成形するために使用されうる。成形処理は、テンプレートを成形可能材料と接触させることを含む。テンプレートは、凹面の上方に延在するメサの上の成形面を含む。テンプレートは、メサを取り囲み、成形面を凹部表面に接続するメサ側壁も含む。成形処理中、成形可能材料は毛管作用および他の力によって広がり、これによって成形可能材料はメサ側壁に向かって広がる。この成形処理は、複数の成形領域にわたって、また複数の基板にわたって、繰り返し行われる。
【0043】
成形処理中に成形可能材料がメサ側壁を濡らすと、はみ出し欠陥が形成されうる。成形可能材料が化学線で露光され、テンプレートが成形可能材料から分離された後、1つまたは複数のはみ出し欠陥が基板および/またはテンプレート上に残ることがある。成形可能材料がメサの縁部に到達しないか、またはテンプレート内のフィーチャを充填しない場合には、未充填欠陥が形成されうる。
【0044】
出願人は、寸法公差(数100nm~数十μm)に依存して、これらの欠陥(非常に小さい欠陥に関して)は必ずしも反復性をもって発生するわけではなく、確率的な要素をもっていることを見出した。出願人は、物品製造処理の全体の歩留まりを改善するためには、はみ出し欠陥および未充填欠陥の両方の発生を最小限に抑えることが有利であるとの考えに至った。
【0045】
出願人は、メサ側壁の近くに供給される化学線の量を注意深く制御すれば、はみ出し欠陥を減少させることができることを見出した。
【0046】
出願人は、テンプレートの位置が成形システム内の他の構成要素に対してずれることがあることを見出した。このことは、メサ側壁の近くに供給される化学線の量を制御することを困難にしうる。必要とされるのは、メサ側壁近くに供給される化学線の量を制御してテンプレートの位置ずれをも補償することを可能にするシステムおよび/または方法である。
【0047】
インプリントシステム(成形システム)
図1は、実施形態を実施することができるインプリントリソグラフィシステム100の図である。インプリントリソグラフィシステム100は、基板102上にインプリント(成形)された膜を生成するために使用される。基板102は、基板チャック104に結合されうる。基板チャック104は、真空チャック、ピン型チャック、溝型チャック、静電チャック、電磁チャック等でありうるが、これらに限定されない。
【0048】
基板102および基板チャック104は、基板位置決めステージ106によってさらに支持されうる。基板位置決めステージ106は、x軸、y軸、z軸、θ軸、ψ軸、およびφ軸のうちの1つまたは複数に沿った並進運動および/または回転運動を提供することができる。基板位置決めステージ106、基板102、および基板チャック104は、ベース(図示せず)上にも位置決めされうる。基板位置決めステージは、位置決めシステムの一部であってもよい。
【0049】
基板102から離間してテンプレート108がある。テンプレート108は、テンプレート108の表側において基板102に向かって延びるメサ(モールドとも呼ばれる)110を有する本体を含みうる。メサ110は、テンプレート108の表側にパターン面112を有しうる。成形表面ともよばれるパターン面112は、成形可能材料124を成形するテンプレートの表面である。実施形態においては、パターン面112は平坦であり、成形可能材料を平坦化するために使用される。あるいは、テンプレート108は、メサ110なしで構成されてもよく、その場合、基板102に面するテンプレートの表面はモールド110と等価であり、パターン面112は基板102に面するテンプレート108の表面である。
【0050】
テンプレート108は、溶融シリカ、石英、シリコン、有機ポリマー、シロキサンポリマー、ホウケイ酸ガラス、フルオロカーボンポリマー、金属、硬化サファイアなどを含む材料から形成されうるが、それらに限定されない。パターン面112は、複数の離間したテンプレート凹部114および/またはテンプレート凸部116によって画定されるフィーチャを有しうる。パターン面112は、基板102上に形成されるパターンの基礎を形成するパターンを画定する。代替実施形態においては、パターン面112がフィーチャレスであり、その場合、平坦な表面が基板上に形成される。代替的実施形態においては、パターン面112はフィーチャレスであり、基板と同じサイズであり、平坦な表面が基板全体にわたって形成される。
【0051】
テンプレート108は、テンプレートチャック118に結合されうる。テンプレートチャック118は、真空チャック、ピン型チャック、溝型チャック、静電チャック、電磁チャック、および/または他の同様のチャック型でありうるが、これらに限定されない。テンプレートチャック118は、テンプレート108にわたって変化する応力、圧力、および/または歪みをテンプレート108に加えるように構成されうる。テンプレートチャック118は、テンプレート108の異なる部分を押したり伸ばしたりすることができる圧電アクチュエータを含みうる。テンプレートチャック118は、テンプレートを曲げ変形させるテンプレートの背面に圧力差を加えることができるゾーンベースの真空チャック、アクチュエータアレイ、圧力ブラダなどのシステムを含みうる。
【0052】
テンプレートチャック118は、位置決めシステムの一部であるインプリントヘッド120に結合されうる。インプリントヘッドは、ブリッジに移動可能に結合されうる。インプリントヘッド120は、ボイスコイルモータ、圧電モータ、リニアモータ、ナット、スクリューモータなどの1つまたは複数のアクチュエータを含み、これらのアクチュエータはテンプレートチャック118を基板に対して少なくともz軸方向に、および潜在的に他の方向(例えば、x、y、θ、ψ、およびφ軸)に移動させるように構成される。
【0053】
インプリントリソグラフィシステム100は、流体ディスペンサ122をさらに含みうる。流体ディスペンサ122はまた、ブリッジに移動可能に連結されうる。実施形態において、流体ディスペンサ122およびインプリントヘッド120が1つまたは複数の、またはすべての位置決め構成要素を共有する。代替実施形態において、流体ディスペンサ122およびインプリントヘッド120は互いに独立して移動する。流体ディスペンサ122を使用して、液体成形可能材料124(例えば、重合可能材料)を基板102上にパターンで堆積させることができる。追加の成形可能材料124はまた、成形可能材料124が基板102上に堆積される前に、ドロップディスペンス、スピンコーティング、浸漬コーティング、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、薄膜堆積、厚膜堆積などの技術を使用して基板102に供給されうる。成形可能材料124は、設計上の考慮事項に応じて、型112と基板102との間に目標の体積が画定される前および/またはその後に、基板102上に供給されうる。成形可能材料124は、米国特許第7,157,036号および米国特許第8,076,386号に記載されているようなモノマーを含む混合物を含みうる。両文献はこの引用により本明細書に組み込まれる。
【0054】
流体ディスペンサ122には、成形可能材料124を分配するための異なる技術を使用することができる。成形可能材料124が噴射可能である場合、インクジェットタイプのディスペンサを使用して成形可能材料を分配することができる。例えば、サーマルインクジェット法、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)ベースのインクジェット法、バルブジェット法、および圧電インクジェット法は、噴射可能な液体を分配するための一般的な技術である。
【0055】
インプリントリソグラフィシステム100は、露光経路128に沿って化学線エネルギを導く少なくとも1つの放射線源126を含む硬化システムを更に含みうる。インプリントヘッドおよび基板位置決めステージ106は、テンプレート108および基板102を露光経路128と重ね合わせて位置決めするように構成されうる。放射線源126は、テンプレート108と成形可能材料128とが接触した後、露光経路128に沿って化学線エネルギを送る。図1は、テンプレート108が成形可能材料124と接触していないときの露光経路128を示しているが、これは、個々の構成要素の相対位置がわかりやすくなるよう例示の目的でそうなっている。テンプレート108と成形可能材料124とが接触したときに、露光経路128は実質的に変化しないことは、当業者には理解されよう。
【0056】
インプリントリソグラフィシステム100は、テンプレート108と成形可能材料124とが接触した後に成形可能材料124の広がりを見るように配置されたフィールドカメラ136をさらに備えることができる。図1は、フィールドカメラの撮像視野の光軸を破線で示す。図1に示すように、インプリントリソグラフィシステム100は、化学線をフィールドカメラによって検出される光と組み合わせる1つまたは複数の光学コンポーネント(ダイクロイックミラー、ビームコンバイナ、プリズム、レンズ、ミラーなど)を含むことができる。フィールドカメラ136は、テンプレート108の下の成形可能材料の広がりを検出するように構成されうる。図1に示されるように、フィールドカメラ136の光軸は直線であるが、1つ以上の光学部品によって曲げられてもよい。フィールドカメラ136は、成形可能材料と接触しているテンプレート108の下の領域と、成形可能材料124と接触していないテンプレート108の下の領域との間のコントラストを示す波長を有する光を集めるように構成された、CCD、センサアレイ、ラインカメラ、および光検出器のうちの1つまたは複数を含みうる。フィールドカメラ136は、可視光の単色画像を収集するように構成されうる。フィールドカメラ136は、テンプレート108の下の成形可能材料124の広がり、硬化した成形可能材料とテンプレート108との分離の画像を提供するように構成され、インプリント処理を追跡するために使用されてもよい。フィールドカメラ136はまた、パターン面112と基板表面130との間のギャップ451の間に成形可能材料124が広がるにつれて変化する干渉縞を計測するように構成されてもよい。
【0057】
インプリントリソグラフィシステム100は、フィールドカメラ136とは別個の液滴検査システム138をさらに含むことができる。液滴検査システム138は、CCD、カメラ、ラインカメラ、および光検出器のうちの1つまたは複数を含みうる。液滴検査システム138は、レンズ、ミラー、アパーチャ、フィルタ、プリズム、偏光子、ウィンドウ、適応光学系、および/または光源などのうちの1つまたは複数の光学部品を含みうる。液滴検査システム138は、パターン面112と基板102上の成形可能材料124とが接触する前に液滴を検査するように配置されうる。
【0058】
インプリントリソグラフィシステム100は、テンプレート108および基板102の一方または両方に熱放射の空間分布を提供するように構成されうる熱放射源134をさらに含むことができる。熱放射源134は、基板102およびテンプレート108の一方または両方を加熱し、成形可能材料124を固化させない1つまたは複数の熱電磁放射源を含みうる。熱放射源134は、熱放射の時空間分布を変調するために、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、液晶オンシリコン(LCoS)、液晶デバイス(LCD)などの空間光変調器を含みうる。インプリントリソグラフィシステムはさらに、テンプレート108と基板102上の成形可能材料124とが接触するときに、化学線、熱線、およびフィールドカメラ136によって集められた放射を、インプリント領域と交差する単一の光路上に結合するために使用される1つまたは複数の光学部品を含みうる。熱放射源134は、テンプレート108が成形可能材料128と接触した後、熱放射経路(図1では2本の太い黒線として示されている)に沿って熱放射を送ることができる。図1は、テンプレート108と成形可能材料124とが接触していないときの熱放射経路を示しているが、これは、個々の構成要素の相対位置を容易に識別することができるように、例示の目的で行われているものである。テンプレート108と成形可能材料124とを接触させても熱放射経路は実質的に変化しないことは、当業者には理解されよう。図1では、熱放射経路がテンプレート108で終端するように示されているが、基板102で終端してもよい。代替実施形態において、熱放射源134は基板102の下にあり、熱放射経路は化学線および可視光と組み合わされない。
【0059】
成形可能材料124が基板上に分配される前に、基板コーティング132が基板102に塗布されてもよい。実施形態において、基板コーティング132は接着層でありうる。実施形態において、基板が基板チャック104上にロードされる前に、基板102に基板コーティング132が塗布されうる。代替実施形態においては、基板102が基板チャック104上にある間に、基板102に基板コーティング132が塗布されうる。実施形態において、基板コーティング132は、スピンコーティング、ディップコーティングなどによって塗布されうる。実施形態において、基板102は、半導体ウエハでありうる。別の実施形態において、基板102は、インプリントされた後に派生テンプレートを作成するために使用されうるブランクテンプレート(レプリカブランク)でありうる。
【0060】
インプリントリソグラフィシステム100は、気体および/または真空システムなどのインプリント領域雰囲気制御システムを含み、その一例が米国特許公開第2010/0096764号および第2019/0101823号に記載されている。両文献の内容は、この参照により本明細書に組み込まれる。気体および/または真空システムは、1つまたは複数の異なる気体を異なる時間でおよび異なる領域に供給するように構成されたポンプ、バルブ、ソレノイド、気体源、ガス管などのうちの1つまたは複数を含みうる。気体および/または真空システム36は、基板102のエッジへ及びエッジから気体を輸送し、基板102のエッジにおける気体の流れを制御することによってインプリント領域雰囲気を制御する第1の気体輸送システムに接続されうる。気体および/または真空システムは、テンプレート108のエッジへ、およびエッジから気体を輸送し、テンプレート108のエッジにおける気体の流れを制御することによってインプリント領域雰囲気を制御する第2の気体輸送システムに接続されうる。気体および/または真空システムは、テンプレート108の上面との間で気体を輸送し、テンプレート108を通る気体の流れを制御することによってインプリント領域雰囲気を制御する第3の気体輸送システムに接続されうる。第1、第2、および第3の気体輸送システムのうちの1つまたは複数を組み合わせて、または別々に使用して、インプリント領域内およびその周りの気体の流れを制御することができる。
【0061】
インプリントリソグラフィシステム100は、基板チャック104、基板位置決めステージ106、テンプレートチャック118、インプリントヘッド120、流体ディスペンサ122、放射源126、熱放射源134、フィールドカメラ136、インプリント領域雰囲気制御システム、および/または液滴検査システム138などの1つまたは複数の成分および/またはサブシステムと通信する1つまたは複数のプロセッサ140(制御装置)によって、調整、制御、および/または方向付けされてもよい。プロセッサ140は、一時的でないコンピュータ読み取り可能なメモリ142に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラム内の命令に基づいて動作することができる。プロセッサ140は、CPU、MPU、GPU、ASIC、FPGA、DSP、および汎用コンピュータのうちの1つ以上であり得るか、またはそれらを含み得る。プロセッサ140は、目的で構築されたコントローラであってもよく、またはコントローラであるように構成された汎用の計算デバイスであってもよい。一時的でないコンピュータ可読可能なメモリとしては例えば、RAM、ROM、CD、DVD、Blu-Ray、ハードディスク、ネットワーク接続されたアタッチドストレージ、イントラネット接続された一時的でないコンピュータ可読可能なストレージデバイス、およびインターネット接続された一時的でないデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
インプリントヘッド120、基板位置決めステージ106、またはその両方が、モールド110と基板102との間の距離を変化させて、成形可能材料124で充填される所望の空間(3次元での境界物理的範囲)を画定する。例えば、インプリントヘッド120は、モールド110が成形可能材料124と接触するようにテンプレート108に力を加えることができる。所望の体積が成形可能材料124で満たされた後、放射源126は基板表面130およびパターン面112の形状に一致して、成形可能材料124を硬化、固化、および/または架橋させる化学線(例えば、UV、248nm、280nm、350nm、365nm、395nm、400nm、405nm、435nmなど)を生成し、基板102上にパターニングされた層を画定する。成形可能材料124は、テンプレート108が成形可能材料124と接触している間に硬化され、基板102上にパターニングされた層を形成する。したがって、インプリントリソグラフィシステム100は、インプリント処理を使用して、パターン面112内のパターンの逆である凹部および凸部を有するパターニングされた層を形成する。代替実施形態において、インプリントリソグラフィシステム100は、インプリント処理を使用して、フィーチャレスのパターン面112を有する平面層を形成する。
【0063】
インプリント処理は、基板表面130全体に広がる複数のインプリント領域(単に領域またはショットともいう。)で繰り返し行うことができる。各インプリント領域はメサ110と同じサイズであってもよいし、メサ110のパターン領域と同じサイズであってもよい。メサ110のパターン領域は、デバイスのフィーチャである基板102上にパターンをインプリントするために使用されるか、またはその後の処理においてデバイスのフィーチャを形成するために使用される、パターン面112の領域である。メサ110のパターン領域は、はみ出しを防止するために使用される質量速度変動機構(流体制御機構)を含んでもよいし含まなくてもよい。代替実施形態において、基板102は、基板102またはメサ110でパターニングされる基板102の領域と同じサイズの1つのインプリント領域のみを有する。代替実施形態において、インプリント領域は重なり合う。インプリント領域のいくつかは、基板102の境界と交差する部分インプリント領域であってもよい。
【0064】
パターニングされた層は、各インプリント領域において基板表面130とパターン面112との間の成形可能材料124の最小厚さである残膜厚(RLT)を有する残留層を有するように形成されうる。パターニングされた層はまた、厚さを有する残留層の上に延在する凸部などの1つまたは複数のフィーチャを含みうる。これらの凸部は、メサ110の凹部114と一致する。
【0065】
テンプレート
図2は、実施形態で使用することができるテンプレート108の図である。パターン面112は、メサ110(図2において破線のボックスによって特定される)ある。メサ110は、テンプレートの表側の凹面244によって取り囲まれている。メサ側壁246は、凹表面244をメサ110のパターン面112に接続する。メサ側壁246は、メサ110を取り囲む。メサが丸いか、または丸いコーナーを有する実施形態においては、メサ側壁246は、角のない連続壁である単一のメサ側壁である。
【0066】
インプリント処理
図3は、1つまたは複数のインプリント領域(パターン領域またはショット領域ともいう。)の上に成形可能材料124にパターンを形成するために使用されうる、インプリントリソグラフィシステム100によるインプリント処理300を含む物品(デバイス)を製造する方法のフローチャートである。インプリント処理300は、インプリントリソグラフィシステム100によって複数の基板102上で繰り返し実行されうる。プロセッサ140は、インプリント処理300を制御するために使用されうる。
【0067】
代替実施形態において、インプリント処理300は、基板102を平坦化するのに使用される。この場合、パターン面112はフィーチャレスであり、基板102と同じサイズまたはそれよりも大きくてもよい。
【0068】
インプリント処理300の開始は、テンプレート搬送機構にテンプレート108をテンプレートチャック118上に装着させるテンプレート装着工程を含みうる。インプリント処理はまた、基板装着工程を含み、プロセッサ140は、基板搬送機構に基板102を基板チャック104上に装着させることができる。基板は、1つ以上のコーティングおよび/または構造を有する可能性がある。なお、テンプレート108と基板102とをインプリントリソグラフィシステム100に装着する順序には特に限定はなく、テンプレート108と基板102とを順次に装着してもよいし、同時に装着してもよい。
【0069】
位置決め工程において、プロセッサ140は、基板位置決めステージ106および/またはディスペンサ位置決めステージの一方または両方に、基板102のインプリント領域i(インデックスiは最初に1に設定される)を、流体ディスペンサ122の下の流体ディスペンサ位置に移動させる。基板102は、N個のインプリント領域に分割され、各インプリント領域は、インデックスiによって識別される。ここで、Nは、1、10、75などの実数整数である{N∈Z}。ディスペンス工程S302において、プロセッサ140は、流体ディスペンサ122に、インプリント領域i上に成形可能材料を分配させる。実施形態において、流体ディスペンサ122は、成形可能材料124を複数の液滴として分配する。流体ディスペンサ122は、1つまたは複数のノズルを含みうる。流体ディスペンサ122は、1つまたは複数のノズルから成形可能材料124を同時に噴射することができる。流体ディスペンサが成形可能材料124を吐出している間、インプリント領域iは流体ディスペンサ122に対して移動させられる。したがって、液滴のいくつかが基板上に着地する時間は、インプリント領域iにわたって変化しうる。実施形態において、ディスペンス工程S302中に、成形可能材料124は液滴パターンに従って基板上に分配されうる。液滴パターンは、成形可能材料の液滴を堆積させる位置、成形可能材料の液滴の体積、成形可能材料の種類、成形可能材料の液滴の形状パラメータなどの1つまたは複数の情報を含みうる。実施形態において、液滴パターンが分配される液滴の体積と、液滴を堆積させる場所の位置のみを含んでいてよい。
【0070】
液滴が分配された後、接触工程S304が開始され、プロセッサ140は、基板位置決めステージ106およびテンプレート位置決めステージの一方または両方を制御して、テンプレート108のパターン面112とインプリント領域iの成形可能材料124とを接触させる。
【0071】
スプレッド工程S306の間、成形可能材料124は、インプリント領域iのエッジ及びメサ側壁246に向かって広がる。インプリント領域のエッジは、メサ側壁246によって画定されうる。成形可能材料124がどのように広がり、メサに充填するかは、フィールドカメラ136を介して観察することができ、成形可能材料の流体先端の進行を追跡するために使用することができる。
【0072】
計測工程S308において、テンプレート108の位置が計測される。テンプレート108の位置は、スペクトル干渉変位センサのような、テンプレート108の相対位置または絶対位置を計測可能なセンサを用いて計測されうる。テンプレート108の位置を計測するために、複数のセンサを使用してもよい。テンプレート108の位置は、直交軸(x、y、z)に沿った1つまたは複数の座標、および/または回転軸(θ、φ、ψ)に沿った1つまたは複数の座標を含みうる。実施形態において、各座標ごとにセンサがあってもよい。テンプレートの相対位置は、初期設定位置、テンプレートチャック118上の位置、センサの位置などのうちの1つに対して相対的なものでありうる。
【0073】
硬化工程S310において、プロセッサ140は、化学線の硬化照明パターンをテンプレート108、メサ110及びパターン面112を通して送るように、放射線源126に命令を送ることができる。硬化照明パターンは、パターン面112の下の成形可能材料124を硬化(重合)させるのに十分なエネルギを提供する。実施形態において、計測工程S308で計測されたテンプレートの位置の変化に基づいて、照明パターンが調整されうる。
【0074】
離型工程S312では、プロセッサ140は、基板チャック104、基板位置決めステージ106、テンプレートチャック118、およびインプリントヘッド120のうちの1つ以上を使用して、テンプレート108のパターン面112を基板102上の硬化した成形可能材料から分離する。インプリントされるべき他のインプリント領域がある場合、処理は工程S302に戻る。
【0075】
実施形態において、インプリント処理300が終了した後、製造物品(例えば半導体デバイス)を作成するために、処理工程S314において、基板102に対して追加の半導体製造処理が実行される。実施形態において、各インプリント領域には複数のデバイスが含まれる。
【0076】
処理工程S314におけるさらなる半導体製造処理は、パターニングされた層のパターンまたはそのパターンの逆に対応するレリーフ画像を基板に転写するためのエッチング処理を含みうる。処理工程S314におけるさらなる処理はまた、例えば、検査、硬化、酸化、層形成、堆積、ドーピング、平坦化、エッチング、成形可能材料除去、ダイシング、ボンディング、パッケージング等を含む、物品製造のための公知の工程および処理を含みうる。基板102は、複数の物品(デバイス)を製造するために処理されうる。
【0077】
空間光変調器を用いたインプリントシステムの詳細
図4Aは、図1に示されたインプリントリソグラフィシステム100と実質的に類似しているインプリントリソグラフィシステム400aの図であるが、ここには、空間光変調器448aが明示的に示されている。図4Aに示されたような、光源、ビームスプリッタ、レンズ、ミラー等の光学部品の順序、配置、および使用は例示であり、他の光学部品の配置によっても実施形態を実施することができる。
【0078】
インプリントリソグラフィシステム400aは、第1化学線源426aを含みうる。第1化学線源426aは、レーザ、LED、またはランプを含みうる。第1化学線源426aは、空間光変調器448を照明するように配置される。化学線を空間光変調器448に案内するために、1つまたは複数の光学部品が配置されうる。第1化学線源426aは、いつ、どのくらいの量の化学線を提供するかについての命令を含む1つ以上の信号をプロセッサ140から受信することができる。
【0079】
空間光変調器448は、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)448a、液晶素子(LCD)448b、液晶オンシリコン(LCoS)448c、空間光バルブ、ミラーアレイ、MOEMS、回折MEMSなどであってもよく、第1化学線源426aからの化学線放射の時空間分布を変調する。また、空間光変調器448は、基板102、テンプレート108、および/または成形可能材料124のうちの1つ以上に、熱放射源134からの放射線を照射するように構成されてもよい。ビームコンバイナ452aは、熱放射源134からの熱放射と、第1化学線放射源426aからの化学線とを組み合わせて使用することができる。
【0080】
空間光変調器448は、空間光変調器448にわたって格子状に配置された複数の変調素子を含みうる。各変調素子は、空間及び時間の両方において個別にアドレス指定可能でありうる。プロセッサ140は、メモリ142から受信した変調値のマップに基づいて第1の組の信号を空間光変調器448に送信するように構成されてもよい。空間光変調器448は、第1の組の信号に応答して、空間光変調器内の個々の変調素子の状態を変化させる。実施形態において、マップは、空間光変調器448の各変調素子のオン/オフ状態を示す情報である。実施形態において、マップは、空間光変調器448の各変調素子の状態を示す情報である。ここで、状態は、オン/オフ状態、オン/オフ状態持続時間、反射量(反射型LCDの場合)、透過量(透過型LCDの場合)のうちの1つ以上を含む。
【0081】
マップは、M行N列の行列Mによって表されうる。各要素M(行m、列n)は、SLM448の変調素子に対応する。また、各要素M(m,n)は、硬化工程S310における成形可能材料の平面上の領域に対応する。成形可能材料の平面上の位置は、位置(x,y)によって表される。以下の説明では、行mが成形可能材料の平面におけるy軸上の位置yに対応する。以下の説明では、各行nが成形可能材料の平面におけるx軸上の位置xに対応する。以下の説明では、インデックスmにおける各正の増分が、成形可能材料の平面におけるy軸に沿ったy軸投影ピッチ(p)による正のシフトに対応する。以下の説明では、インデックスnにおける各正の増分が、成形可能材料の平面におけるx軸に沿ったx軸投影ピッチ(p)による正のシフトに対応する。代替実施形態では、インデックスにおけるこの正の増分が、各軸に沿った負のシフトに対応する。マップMとテンプレート移動座標との関係は、装置のユーザが取得することができる。
【0082】
空間光変調器448がDMD448aである場合、マイクロミラーを第1の角度から第2の角度に移動させる手段によって、変調素子の状態を変化させる。空間光変調器448がLCDまたは空間ライトバルブのような透過型空間光変調器448bである場合、変調素子の透過率を変化させる手段によって、変調素子の状態を変化させる。透過率を変更することは、偏光リターダ(例えば、液晶)の状態を変更することを含みうる。偏光リターダは、光の一部を遮断する偏光子を含むか、またはそれと光学的に結合されうる。空間光変調器448がLCoSのような反射型空間光変調器448cである場合、変調素子の反射率を変化させる手段によって、変調素子の状態を変化させる。透過率を変更することは、反射面上の偏光リターダ(例えば、液晶)の状態を変更することを含みうる。偏光リターダは、光の一部を遮断する偏光子を含むか、またはそれと光学的に結合されうる。
【0083】
図4Aは、空間光変調器がDMD448aである実施形態400aの図である。空間光変調器における個々のミラー(変調素子)は、化学線をテンプレートに向かって案内する第1の状態にあるか、化学線をテンプレートから離れるように例えばビームダンプ454に向かって案内する第2の状態にありうる。
【0084】
図4Bは、空間光変調器がLCD等の透過型空間光変調器448bである実施形態400bの図である。透過型空間光変調器448bは、空間時間的にアドレス可能な液晶偏光リターダおよび偏光子を含みうる。透過型空間光変調器448bは、MEMSベースの時空間アドレス可能なライトバルブを含みうる。
【0085】
図4Cは、空間光変調器がLCoSデバイス等の反射型空間強度変調器448cである実施形態400aの図である。反射型空間光変調器448cは、空間時間的にアドレス可能な液晶偏光リターダ、偏光子、およびシリコンなどの反射面を含みうる。反射型空間強度変調器448cは、MEMSベースの時空間アドレス可能な反射面を含みうる。
【0086】
空間光変調器448は、変調値のマップ(例えば、強度およびデューティサイクルについて)を表すプロセッサ140から受け取った信号に従って、化学線エネルギ(J/m)の時空間分布をテンプレート108の下に成形可能材料124を照射するように配置される。化学線エネルギは、テンプレート108の下の成形可能材料124を硬化させるか、または硬化させるのを助ける。一実施形態は、空間光変調器448から成形可能材料124に放射を導くレンズ、ミラー、アパーチャなどの1つまたは複数の光学部品を含みうる。実施形態は、空間光変調器448の活性領域の形状をメサ110の形状に一致させるのに役立つ1つ以上の光学部品を含みうる。実施形態は、成形可能材料124に対する空間光変調器からの化学線の焦点面の位置を調整する1つまたは複数の光学部品を含みうる。
【0087】
実施形態は、空間光変調器によって成形可能材料124の平面に案内されていない第2化学線源426bを含みうる。第2化学線源426bからの化学線は、1つ以上の他の光学部品によって成形可能材料124に案内される。第2化学線源426bは、第1化学線源426aと同じ波長を有していてもよいし異なる波長を有していてもよい。実施形態は、空間光変調器448および第2化学線源426bからのエネルギを結合する1つまたは複数のビーム結合器452b(プリズム、ハーフミラー、ダイクロイックフィルタ等)を含みうる。実施形態において、各放射線源からの化学線が異なる角度から成形可能材料124に向けられうる。
【0088】
実施形態において、第2化学線源426bは、パターン面112の中央部分を照射するように構成され、第1化学線源426aは、メサ側壁246近傍のパターン面112の外縁におけるテンプレート境界領域を照射するように構成される。テンプレート境界領域は、テンプレート108のパターン面112の枠領域である。テンプレート境界領域の外側境界は、テンプレート108のメサ側壁246のみであってもよい。テンプレート境界領域の内側境界は、枠の厚みによるメサ側壁246から内側に設定される。実施形態において、枠の厚みは1mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.1mm、または0.05mmなどとすることができる。実施形態において、枠の厚みは、投影ピッチの整数倍(例えば、3倍、5倍、10倍など)である。一実施形態によれば、枠の厚みは、パターン面112の幅の数パーセントである。
【0089】
実施形態は、テンプレート108の下の成形可能材料をモニタし、化学線による成形可能材料124の照射のタイミングを制御することができるフィールドカメラ136を含みうる。
【0090】
図5(A)は、92%のフィルファクタ (fill factor) を有する空間光変調器における5つの例示的な変調素子(550a、550b、550c、550d、550e)のアクティブ領域の図である。図5(B)は、5つの変調素子550a~eがオンにされ、成形可能材料の平面にフォーカスされている場合の、テンプレート108の下の成形可能材料124における理想化された化学線放射強度パターン (actinic radiant intensity pattern) 552iの断面を示す。ここでは、放射強度 (radiant intensity) は放射照度束密度 (irradiance flux density) (W/m)と等価である。図5(C)~(G)は、変調素子が成形可能材料の平面上にフォーカスされていない、成形可能材料の平面上での化学線放射強度パターン552a~gの断面の例である。図5(C)は、変調素子550aのみがオンであることによる化学線放射強度パターン552aである。図5(D)は、変調素子550bのみがオンであることによる化学線放射強度パターン552bである。図5(E)は、変調素子550cのみがオンであることによる化学線放射強度パターン552cである。図5(F)は、変調素子550dのみがオンであることによる化学線放射強度パターン552dである。図5(G)は、変調素子550a~eがオンであることによる化学線放射強度パターン552gである。
【0091】
一実施形態によれば、各変調素子は、図5(C)~図5(F)に示すように、それらの隣り合う変調素子と重複する、実質的に円柱対称なまたは実質的に放射対称な化学線放射強度空間分布を生成することができる。したがって、成形可能材料上の任意の位置における実効強度は、対応する個々の変調素子からの放射の強度だけでなく、隣の変調素子からの寄与の累積和でもある。出願人は、すべての特定の位置における有効照射線量(露光時間にわたって積分された強度)を正確に制御することができ、硬化の寸法制御を大幅に改善することができるようにするためには、SLM上の変調素子およびそれらの強度(変化するデューティサイクル)をインテリジェントに選択する必要があると判断した。
【0092】
実施形態400aは、テンプレートの位置およびそれがどのように変化したかを計測することができる1つまたは複数の変位センサ456(位置センサ)を含みうる。一実施形態によれば、スペクトル干渉変位センサ456を使用して、テンプレートチャックなどの実施形態の別の構成要素に対する、テンプレートの反射面(または部分的な反射面)の相対移動を計測してもよい。1つ以上の変位センサの各々は、領域がインプリントされた後、次の領域が硬化される前に、テンプレートの位置を計測するために使用されてもよい。図6Aおよび図6Bは、基板102上の個々のインプリント領域をインプリントする間の、テンプレートチャック118内のテンプレート108の計測された変位量の図である。
【0093】
変調値の調整方法
実施形態において、インプリント処理300は、硬化工程S308においてインプリント領域i内で成形可能材料を硬化させることを含む。硬化工程S308の間、プロセッサ140によって送られたインプリント領域iの変調値Mのセットに基づくパターンで、SLM448から化学線が成形可能材料に送られる。プロセッサ140は、図7Aに示すように、変換工程S716に基づいて、インプリント領域iに対する変調値Mのセットを決定する。変換工程S716は、図7Aに示すように、変調値M及びオフセット情報δの初期マップに基づいて、インプリント領域iに対する変調値Mの新たなマップを推定する。図7Aに示されるように、計測工程S308において、1つまたは複数の位置センサ456を使用して、オフセット情報δが収集される。オフセット情報δは、テンプレートの理想位置からのテンプレートのオフセット位置を表す。ここで、オフセット情報δは、式(1)に示すように、2つ以上の要素を含んでいてもよい。
【数1】
【0094】
変換工程S716は、変調値Mの初期マップを変更して、変調値Mの新たなマップを生成する。変調値Mの新たなマップは、図7Aに示すように、各変調素子の変調値(変調デューティサイクル、透過率、および/または反射率)をシフトおよび調整することにより、オフセット情報δと一致する。実施形態において、SLM448は、テンプレートチャック118に対して固定された位置にある。変換工程S716は、変調値Mの新たなマップに従って駆動されるときに各変調素子によって導かれる放射線の量を調整することによって、テンプレートチャック118およびSLM448の両方に対してテンプレート位置のずれの影響を最小にする。実施形態において、硬化工程S310において変調値Mの新たなマップを使用してインプリント領域i内の成形可能材料を硬化させるときに、オフセット情報δiを考慮することによって、メサ側壁246付近の成形可能材料124に到達する化学線が注意深く制御される。
【0095】
実施形態によれば、テンプレートチャック118は、例えば真空チャックによって与えられるチャッキング力によってテンプレート108を保持する。インプリント処理300の間、離型工程S312の間のチャッキング力の急激な変化によって、テンプレート108は、テンプレートチャック118およびSLM448などの他の光学部品に対して位置がずれる可能性がある。このずれは、図6A図6Cに示すように、位置センサ456を用いて追跡することができる。接触工程S304の間、位置センサ456からの情報と、基板およびテンプレート上のアライメントマーク(図示せず)からの情報とを用いて、テンプレート108は基板102と位置合わせされる。位置センサ456は、テンプレート108のより正確な初期位置合わせを提供し、その後にアライメントマークからの情報を用いて位置合わせが改善されるように使用される。
【0096】
実施形態において、時空間分布を調整するためのインプリントリソグラフィシステム100の能力は、SLMの変調素子のSLMピッチと、成形可能材料におけるSLMピッチの投影ピッチ(p)と、SLMの各変調素子に関連する強度の変動とによって制限を受ける。成形可能材料の平面において変調素子の像の投影ピッチ(p)が存在するように、1つまたは複数の光学部品を使用して成形可能材料上にSLMピッチを拡大/縮小する。実施形態において、成形可能材料の平面において変調素子のx軸投影ピッチ(p)およびy軸投影ピッチ(p)が存在するように、第1軸(x)に沿った倍率が第2軸(y)に沿った倍率と異なる。
【0097】
変換パラメータの決定
変換工程S716は、図7Bに示されているように、投影ピッチに基づいて、各インプリント領域に対する変換パラメータTのセットを計算するための変換パラメータ決定工程S718を含みうる。変換パラメータのセットは、インプリント領域iの各軸に沿ったフルピッチ変換パラメータおよび部分ピッチ変換パラメータを含みうる。
【数2】
【0098】
フルピッチ変換パラメータを決定することは、特定の方向のオフセット情報をその方向の投影ピッチで割ることによってスケーリングされたオフセットを計算することと、オフセットの符号も考慮した以下の式(3a)に記述されるように、そのスケーリングされたオフセットのfloorを計算することとを含みうる。
【数3A】
【0099】
代替的な実施形態において、式(3b)を使用して、フルピッチ変換パラメータを計算することもできる。本開示では、条件付きテストが「真」の結果を返す場合、条件付きテストと割当てとの間で使用される矢印記号(→)は「if-then」文における「then」部を表す。
【数3B】
【0100】
各軸および各インプリント領域に対する部分ピッチ変換パラメータは、式(4)に記述されるように、その方向の投影ピッチによって特定の方向のオフセット情報の剰余 (modulo) をとることによって計算されうる。図6Cは、投影ピッチpxが6μmである図6Aに示すx軸オフセットδi,xデータに基づいてx軸部分ピッチ変換パラメータTi,x,pを計算した結果の図である。部分ピッチ変換パラメータがとりうる値の数は、SLMの各変調素子の変調深さによって制限される。変調深さは、SLMおよび他の構成要素を制御するために使用されるハードウェアおよびソフトウェアのうちの1つまたは複数によって制限されうる。例えば、変調深さは、3ビットに制限されてもよく、この場合、部分ピッチ変換パラメータは、{0;0.125;0.250;0.375;0.500;0.625;0.750;0.875}のみでありうる。
【数4】
【0101】
実施形態において、成形可能材料の平面で供給される化学線の強度、成形可能材料の平面で供給される化学線の線量、成形可能材料の平面で供給される化学線の波長、隣の変調素子からの化学線等を含むがこれらに限定されない複数の条件に基づいて、部分ピッチ変換パラメータが調整される。
【0102】
変調マップのフルピッチシフト
フルピッチ変換パラメータがプロセッサ140によって計算されると、プロセッサ140はまた、図7Bに示すように、フルピッチシフト工程S720において、変調値の新たなマップの変調値の中間マップM’を計算することができる。式(5)に記述されるように、変調値Mの初期マップの各要素M(m,n)がy軸フルピッチ変換パラメータTi,y,fおよびx軸フルピッチ変換パラメータTi,x,fによってシフトされて、変調値M’の中間マップの各要素M’(m,n)を形成する領域ごとに、フルピッチシフト工程S720が実行されてもよい。図8Aは、変調値Mの初期マップの例を示す図である。図9Aは、変調値変調値Mの例示的な初期マップの行1の各要素によって供給される化学線エネルギの線量と、SLMの行1によって供給される総線量との相対的な分布のシミュレートされた断面図である。図9Aに示されるシミュレーションでは、化学線エネルギの線量の各分布が、変調素子ピッチに対する18μmの変調素子上で9μmの標準偏差を有するガウス分布によって近似される。また、図9Aには、変調値Mの例示的な初期マップに対するメサ側壁246の理想的な位置が示されている。また、図9Aには、メサ側壁に隣接する10μmのバッファ領域が示されており、ここでは成形可能材料の一部がわずかに硬化不足となる可能性がある。出願人は、テンプレート108のパターン面112の内部領域に供給されるよりも少ない化学線エネルギをメサ側壁246の近くに提供することが有用であり得ることを見出した。この利点は、はみ出した成形可能材料が化学線エネルギを受けにくく、はみ出しが形成される代わりに蒸発しやすいことである。例えば、この理想的な例では、メサ側壁がSLM448によって供給される最大エネルギの20%を受け取る。図9Bは、テンプレートが例えば、23.4μmだけ移動した場合に、メサ側壁のうちの1つに供給されるエネルギ量ははみ出し物を硬化させることができる80%を超え、一方、テンプレートの他方の側面に供給されるエネルギ量はメサ側壁近傍およびバッファ領域外側のフィーチャを硬化させるには十分ではないことを示している。
【0103】
図8Bは、Ti,y,f=0およびTi,x,f=1である変調値M’の例示的な中間マップの図である。図9Cは、変調値M’の中間マップの行1の各要素によって供給される化学線エネルギと、SLMの行1によって供給される総線量との関係を示す図である。また、図9Cには、変調値Mの例示的な初期マップに対するメサ側壁246の位置の計測されたx軸オフセットずれが示されている。
【数5】
【0104】
図9Cは、変調値M’の例示的な中間マップの行1の各要素によって供給される化学線エネルギの線量と、SLMの行1によって供給される化学線の総線量との相対的な分布のシミュレートされた断面図である。また、図9Cには、23.4μmだけシフトされた後のメサ側壁246の位置が示されている。変調値M’のこの例示的な中間マップが硬化工程S310で使用される場合、メサ側壁は、SLM448によって供給される最大エネルギの30%を受け取ることができる。これは、ある状況下でははみ出し物を硬化させるのに十分であり得る。
【0105】
変調マップの部分ピッチシフト
次に、変調値M’の中間マップをx軸部分シフト工程S722xで使用して、図7Bに示すような変調値M”の第2中間マップを形成することができる。図8Cは、Ti,x,p=0.3だけずれている変調値M’の中間マップの図である。次に、変調値M”の第2中間マップをy軸部分シフト工程S722yで使用して、変調値Mの新たなマップを形成することができる。次に、変調値Mの新たなマップを使用して、成形可能材料を硬化させることができる。
【0106】
実施形態において、変調値(M,M’,M”,M)のマップは、M行N列の行列でありうる。x軸部分シフト工程S722xは、図7Cに示すように、変調値M’の中間マップの各行mに対して複数の演算を実行することを含みうる。なお、図8A~Cに示される変調値のマップは、例示を目的としたものにすぎない。この実施例では最小値はゼロであり、最大値は1である。実施形態において、変調値のマップがより多くの要素を有し、異なる値の範囲を有することができる。例えば、変調値のマップは、3×3アレイと同じくらい小さいアレイ、2560x1600アレイと同じくらい大きいアレイ、またはさらに大きなアレイであってもよい。以下の方法は、異なる範囲および異なるサイズのマップを考慮するように調整されうる。変調値のマップのサイズは、最終的に投影される化学線放射パターンの目標の解像度、SLMの解像度、およびSLMの個々の変調素子の信頼性によって決定されうる。
【0107】
変調マップのx軸部分ピッチシフト
x軸部分シフト工程S722xは、第1候補パターン識別工程S724xを含み、そこでは、図7Cに示すように、1つまたは複数の候補パターンPi,m,wが各行mにおいて識別される。候補パターンPi,m,wは、複数の基準を満たす変調値M’の中間マップの行mにおける隣の変調値のセットである。基準の1つは、候補パターンPi,m,wにおける変調値のいずれも最小許容変調値(例えば0)を持たないことである。2つめの基準は、x軸部分ピッチ変換パラメータTi,x,pに基づくものでありうる。
【0108】
識別される各候補パターンPi,m,wについて、各候補パターンの開始列インデックスSi,m,wおよび終了列インデックスEi,m,wが、図7Cに示されるように、第1候補パターン識別工程S724xにおいて決定される。実施形態において、候補パターンの要素の数は、2、5、10、またはN-2である。特定の特殊な状況下では、候補パターンはN個までの要素(変調マップの幅)を持ちうる。図8Dは、変調値M’の例示的な中間マップに対する開始列インデックスSi,m,wおよび終了列インデックスEi,m,wの例を示す図である。
【0109】
x軸部分シフト工程S722xは、開始シフト工程S726xを含みうる。開始シフト工程S726xでは、Ti,x,pと変調値のマップの範囲の下限LLとの観点から、変調値M’の中間マップの開始列インデックスSi,m,wにおけるおよび/または開始列インデックスSi,m,wに隣接する1つまたは複数の要素が調整される。例えば、実施形態において、下記の式(6)に記述されるように、変調値M’の中間マップの開始列インデックスSi,m,wからx軸部分ピッチ変換パラメータTi,x,pが減算される。式(6)では、下限LLによって、変調値M”の第2中間マップの開始列インデックスSi,m,wが割り当てられ得る値のfloorが設定される。この場合、付加的なエネルギも、以下の式(6)に記述されるように、隣接する変調素子を用いて除去される。
【数6】
【0110】
x軸部分シフト工程S722xは、終了シフト工程S728xを含みうる。終了シフト工程S728xでは、Ti,x,pと変調値のマップの範囲の上限ULとの観点から、変調値M’の中間マップの終了列インデックスEi,m,wにおけるおよび/または終了列インデックスEi,m,wに隣接する1つまたは複数の要素が調整される。例えば、実施形態において、下記の式(7)に記述されるように、変調値M’の中間マップの終了列インデックスEi,m,wにx軸部分ピッチ変換パラメータTi,x,pが加算される。式(7)では、上限ULによって、変調値M”の第2中間マップの終了列インデックスEi,m,wが割り当てられ得る値のceilが設定される。この場合、付加的なエネルギも、以下の式(7)に記述されるように、隣接する変調素子を用いて加算される。
【数7】
【0111】
図8Cは、変調値M”の例示的な第2中間マップの図である。ここで、列3~7の変調値は、パターンの開始点および終了点のみが調整されたのではないことに留意されたい。出願人は、これらの変調素子を不変のままにすることにより、再現性が改善されることを見出した。
【0112】
図9Dは、変調値M”の例示的な第2中間マップの行1の各要素によって供給される化学線エネルギの線量と、SLMの行1によって供給される化学線の総線量との相対的な分布のシミュレートされた断面図である。また、図9Dには、23.4μmだけシフトされた後のメサ側壁246の位置が示されている。変調値M”のこの例示的な第2中間マップが硬化工程S310で使用される場合、メサ側壁は、SLM448によって供給される最大エネルギの20%未満を受け取ることができる。ほとんどの状況下では、バッファ領域のみがわずかに硬化不足であるために、はみ出し物の形成が防止される。
【0113】
変調マップのy軸部分ピッチシフト
y軸部分シフト工程S722yは、第2候補パターン識別工程S724yを含み、そこでは、図7Dに示すように、1つまたは複数の候補パターンPi,n,wが各列nにおいて識別される。候補パターンPi,n,wは、複数の基準を満たす変調値M”の第2中間マップの列nにおける隣の変調値のセットである。基準の1つは、候補パターンPi,n,wにおける変調値のいずれも最小許容変調値(例えば0)を持たないことである。2つめの基準は、y軸部分ピッチ変換パラメータTi,y,pに基づくものでありうる。
【0114】
識別される各候補パターンPi,n,wについて、各候補パターンの開始行インデックスSi,n,wおよび終了行インデックスEi,m,wが、図7Dに示されるように、第2候補パターン識別工程S724yにおいて決定される。実施形態において、候補パターンの要素の数は、2、5、10、またはM-2である。特定の特殊な状況下では、候補パターンはM個までの要素(変調マップの高さ)を持ちうる。図8Eは、変調値M’の例示的な第2中間マップに対する開始列インデックスSi,n,wおよび終了列インデックスEi,n,wの例を示す図である。列9にゼロでない要素があっても、シフトされる候補パターンは列9にはないことに留意されたい。別の実施形態では、列内のパターンの数が、y軸フルピッチ変換パラメータTi,y,fの値に依存して変化してもよい。
【0115】
y軸部分シフト工程S722yは、y軸開始シフト工程S726yを含みうる。y軸開始シフト工程S726xでは、Ti,y,pと変調値のマップの範囲の下限LLとの観点から、変調値M’の中間マップの開始行インデックスSi,n,wにおけるおよび/または開始行インデックスSi,n,wに隣接する1つまたは複数の要素が調整される。例えば、実施形態において、下記の式(8)に記述されるように、変調値M”の第2中間マップの開始行インデックスSi,n,wからy軸部分ピッチ変換パラメータTi,y,pが減算される。式(8)では、下限LLによって、変調値Mの新たなマップの開始行インデックスSi,n,wが割り当てられ得る値のfloorが設定される。この場合、付加的なエネルギも、以下の式(8)に記述されるように、隣接する変調素子を用いて除去される。
【数8】
【0116】
y軸部分シフト工程S722yは、y軸終了シフト工程S728yを含みうる。y軸終了シフト工程S728yでは、Ti,y,pと変調値のマップの範囲の上限ULとの観点から、変調値M”の第2中間マップの終了行インデックスEi,n,wにおけるおよび/または終了行インデックスEi,n,wに隣接する1つまたは複数の要素が調整される。例えば、実施形態において、下記の式(9)に記述されるように、変調値M”の第2中間マップの終了行インデックスEi,n,wにy軸部分ピッチ変換パラメータTi,y,pが加算される。式(9)では、上限ULによって、変調値Mの新たなマップの終了行インデックスEi,n,wが割り当てられ得る値のceilが設定される。この場合、付加的なエネルギも、以下の式(9)に記述されるように、隣接する変調素子を用いて加算される。
【数9】
【0117】
変調値の新たなマップ
出願人は、変調値の初期マップを、オフセット情報を考慮に入れた変調値の新たなマップに変換するために上述の処理を使用することは、DMD入力パターンのシフト調整前のパターンにおけるエネルギと比較してシフト調整後のパターン領域全体に供給されるエネルギが同じままであることを保証するのに役立ちうることを見出した。加えて、パターン内の相対的空間エネルギ変動も同じままであり、したがって、パターンの完全性が維持される。
【0118】
代替実施形態
代替実施形態では、x軸投影ピッチ(p)およびy軸投影ピッチ(p)がインプリント領域において変化する。この変化は、行インデックスおよび列インデックスm,n(px(m,n);py(m,n))によって投影ピッチが異なるようにすることによって、考慮に入れられうる。次いで、この変化は、投影ピッチに依存しインデックスmおよびnの関数でもあるすべての変数に対して伝播しうる。この変化は、登録工程で計測することができる。
【0119】
代替実施形態では、マッピング関数fが決定されうる。マッピング関数fは、SLM上の変調素子のセントロイド(xn,m,s,yn,m,s)を、それぞれの変調素子(m,n)に対応するオフセット情報δがゼロである場合の成形可能材料の面上の硬化領域の計測された中心(xn,m,0,yn,m,0)にマッピングする。以下の式(10)は、そのようなマッピング関数の例である。ここで、Dは光学系の公称倍率であり、rは光学系の中心からの半径方向距離であり、マッピング関数のフィッティングパラメータは{k;k;p;p}である。式(10)は、例えば、光学系の並進シフトおよび、樽型歪みおよびピンクッション歪み等の形状歪みを補償しうる。
【数10】
【0120】
実施形態において、1つ以上の登録実験を実施して、変調素子(m,n)ごとの(xn,m,s,yn,m,s)および(xn,m,0,yn,m,0)の一方または両方を含む登録データを決定することができる。これらの登録実験は、複数のインプリント領域の下の成形可能材料を化学線の1つまたは複数のパターンで露光して、成形可能材料の一部を化学線に硬化させることを含みうる。次に、これらの硬化領域を計測して、個々の変調素子に関連付けられたセントロイド(xn,m,0,yn,m,0)を特定する。例示的な実施形態では、2つのインタリーブされたチェッカーボード変調マップを使用して、複数のインプリント領域の下の成形可能材料を露光し、登録データを生成することができる。他の登録変調マップを使用することもできる。光学顕微鏡または他の検査ツールを使用して、各変調素子に関連する硬化領域のセントロイドを識別することができる。実施形態において、(xn,m,s,yn,m,s)および(xn,m,0,yn,m,0)は、設計データおよび/またはシミュレーションデータに基づいて推定されうる。
【0121】
複数の登録データが得られると、フィッティングパラメータは、例えばカイ二乗最小化 (chi-square minimization) を使用して、モデル関数を登録データに数値的にフィッティングさせることによって決定されうる。また、数値的なフィッティングを使用して、登録データに最もフィットするモデル関数を識別することもできる。その後、マッピング関数の逆関数(f-1)が数値的に生成されうる。その後、これを使用して、xおよびyのマスクずれの変調マップを修正するために、新たな調整されたマップを生成することができる。
【0122】
逆モデル関数(f-1)は、硬化された成形可能材料の位置をSLM448の変調素子にマッピングする。以下の式(11)に記述されるように、該関数を用いて、x軸オフセット情報δi,xの行列およびy軸オフセット情報δi,yの行列を生成することができる。式(11)はこれらの行列の要素を計算する方法を記述している。これらのオフセット情報の行列(δi,x(m,n),δi,y(m,n))が決定されると、これらは上記の式で使用された定数オフセット情報(δi,x,δi,y)の置き換えに使用されうる。
【数11】
【0123】
他の検索方法を使用して、初期変調マップの完全性を維持しながらテンプレートのずれを調整する試行錯誤(または発見的にビーム固有のビームサイズおよび形状に基づく)によって調整された変調マップを検索するために、目標の硬化と実際の硬化との間のテンプレートのずれによる誤差を最小化する調整された変調マップを得ることができる。
【0124】
代替の実施形態では、変調値のマップを決定するために、上述の処理に加えて、またはその代わりに、追加の基準を使用することができる。例えば、追加の基準は、以下の式(12)に記述されるような目的関数を最小化することを含みうる。ここで、βおよびγは、1以上であり、化学線エネルギが部分的に調整される隣の変調素子を指す。
【数12】
【0125】
実施形態において、変調値のマップの調整を制御するのにフィードフォワード制御方法が使用されうる。例えば、SLMの変調深さの観点から関連するスケール上でδが安定していない状況で、変調値の新たなマップを決定する際に、δの予測値を使用することができる。δの予測値は、以前に計測された軌跡δ(t)および過去に計測された軌跡の履歴記録に基づいて決定されうる。実施形態において、δに基づいて変調値の所定の良好なマップを選択するのにフィードフォワード制御方法が使用されうる。変調値のマップをテンプレートの計測位置と相関させることができるように複数の実験が実施されうる。実施形態において、変調値のマップの限定セット(少なくとも2つのマップ)が、良好な性能を提供する計測されたオフセット情報の限定セットに対して識別される。特定のオフセットが計測され、変調値の補間マップが、変調値のマップの限定セットに基づいて計算される。
【0126】
実施形態は、第1化学線源426aおよび第2化学線源426bを含む。第1化学線源426aは、特にテンプレート境界領域付近の化学線の空間時間分布を調整することができる変調素子を含む。第2化学線源426bは、テンプレートの中央領域に、より明るいおよび/またはより効果的な化学線を提供するように構成され、テンプレートの中央領域の一部は、テンプレート境界領域に均一に漏れてもよい。実施形態において、変換工程S716は、第2化学線源からのこの化学線を考慮することができる。
【0127】
上述の説明を考慮すれば、当業者には、種々の実施形態のさらなる修正および代替の実施形態が明らかであろう。したがって、この説明は、例示としてのみ解釈されるべきである。本明細書で示され、説明された形態は、実施形態の例示として解釈されるべきであることを理解されたい。要素および材料は、本明細書に図示され説明されたものと置き換えることができ、部品および方法は逆にすることができ、特定の特徴は独立して利用することができ、すべて、この説明の恩恵を受けた後に当業者には明らかになろう。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図9C
図9D