(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】移動体着陸制御システム及び移動体着陸制御方法
(51)【国際特許分類】
G08G 5/02 20060101AFI20240828BHJP
G05D 1/46 20240101ALI20240828BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240828BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20240828BHJP
B64C 13/18 20060101ALI20240828BHJP
B64D 45/04 20060101ALI20240828BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
G08G5/02 A
G05D1/46
B64C39/02
B64C27/08
B64C13/18 Z
B64D45/04 B
B64D47/08
(21)【出願番号】P 2020197397
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】緒方 健人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 貴廣
(72)【発明者】
【氏名】中津 欣也
(72)【発明者】
【氏名】田代 直之
(72)【発明者】
【氏名】酒井 貴大
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-16197(JP,A)
【文献】特開2018-206089(JP,A)
【文献】特開2020-106919(JP,A)
【文献】特開2012-232654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G05D 1/00 - 1/87
B64B 1/00 - 1/70
B64C 1/00 - 99/00
B64D 1/00 - 47/08
B64F 1/00 - 5/60
B64G 1/00 - 99/00
B64U 10/00 - 80/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体制御装置により制御される飛行体と、管制装置とを備える移動体着陸制御システムであって、
前記移動体制御装置は、
前記飛行体の位置を計測する自己位置計測部と、
前記飛行体の周辺の画像を取得する画像取得部と、
前記管制装置が保有する前記飛行体の周辺の地図情報と、前記飛行体の駐機位置の周辺の障害物情報とを前記管制装置から受信する機体側通信部と、
前記画像取得部により取得された前記画像から前記飛行体の駐機位置を示す複数のマーカの候補を検出し、前記障害物情報が示す障害物の位置と、検出した前記複数のマーカの特性と、に基づいて前記駐機位置を示す複数のマーカを選別するマーカ選択部と、
前記駐機位置を示す複数のマーカから前記駐機位置を認識する駐機位置認識部と、
前記駐機位置に前記飛行体を制御して、前記駐機位置に前記飛行体を着陸させる制御部と、
を備えることを特徴とする移動体着陸制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の移動体着陸制御システムにおいて、
前記マーカ選択部は、画像取得部により取得された前記画像を二値化して、前記複数のマーカの候補を検知するマーカ特徴検出部と、前記複数のマーカの候補の位置と、前記障害物の位置とを比較して、前記障害物の上のマーカを選別して、除外し、残った複数の前記マーカを、前記マーカの形状及び面積に基づいて、前記駐機位置を示すマーカではないマーカを除外するマーカ特徴選別部と、を有することを特徴とする移動体着陸制御システム。
【請求項3】
請求項2に記載の移動体着陸制御システムにおいて、
前記マーカ選択部は、前記管制装置から受信した前記駐機位置の周囲の障害物情報と、計測した前記飛行体の位置に基づき、前記障害物情報を前記飛行体からの相対位置に変換することを特徴とする移動体着陸制御システム。
【請求項4】
請求項2に記載の移動体着陸制御システムにおいて、
前記障害物情報が示す障害物は、前記管制装置が保有する前記地図情報から抽出した立体物の情報であることを特徴とする移動体着陸制御システム。
【請求項5】
請求項2に記載の移動体着陸制御システムにおいて、
前記飛行体の駐機位置の周辺の障害物を検出する障害物検出装置をさらに備え、前記管制装置は、前記障害物検出装置が検出した前記障害物の情報を取得する障害物情報取得部を備えることを特徴とする移動体着陸制御システム。
【請求項6】
請求項2に記載の移動体着陸制御システムにおいて、
前記管制装置は、
前記飛行体の位置を計測する移動体位置計測部と、
計測した前記飛行体の位置と前記飛行体の駐機位置から算出される前記飛行体の制御指令値を算出する制御指令算出部と、を備え、
前記移動体制御装置の前記制御部は、前記管制装置から受信した前記制御指令値と、前記計測した自己位置及び前記認識した前記駐機位置に基づき前記飛行体を制御することを特徴とする移動体着陸制御システム。
【請求項7】
請求項6に記載の移動体着陸制御システムにおいて、
前記管制装置及び前記移動体制御装置は、それぞれ、共通の時刻を取得する時刻取得部を備え、前記移動体位置計測部は、前記飛行体の位置及び姿勢を計測し、前記管制装置は、計測した前記飛行体の前記位置、姿勢及び計測した時刻を前記移動体制御装置に送信し、
前記移動体制御装置は前記管制装置から受信した前記飛行体の前記位置、前記姿勢及び前記計測した時刻と、前記駐機位置認識部より得られた前記駐機位置から推測した前記飛行体の位置、姿勢および前記駐機位置を認識した時刻と、を用いて前記飛行体に搭載された撮像部の姿勢パラメータの補正を行うパラメータ補正部を備えることを特徴とする移動体着陸制御システム。
【請求項8】
管制装置から飛行体の
周辺の地図情報及び前記飛行体の駐機位置の周辺の障害物情報を受信する移動体制御装置により前記飛行体の着陸を制御する移動体着陸制御方法であって、
前記飛行体の位置を計測し、
前記飛行体の周辺の画像を取得し、
前記管制装置が保有する前記飛行体の周辺の
前記地図情報と、前記飛行体の
前記駐機位置の周辺の
前記障害物情報とを前記管制装置から受信し、
前記取得した前記画像から前記飛行体の駐機位置を示す複数のマーカの候補を検出し、前記障害物情報が示す障害物の位置と、検出した前記複数のマーカの特性と、に基づいて前記駐機位置を示す複数のマーカを選別し、
前記駐機位置を示す複数のマーカから前記駐機位置を認識し、
前記駐機位置に前記飛行体を制御して、前記駐機位置に前記飛行体を着陸させることを特徴とする移動体着陸制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の移動体着陸制御方法において、
前記画像を二値化して、前記複数のマーカの候補を検知し、前記複数のマーカの候補の位置と、前記障害物の位置とを比較して、前記障害物の上のマーカを選別して、除外し、残った複数の前記マーカを、前記マーカの形状及び面積に基づいて、前記駐機位置を示すマーカではないマーカを除外することを特徴とする移動体着陸制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の移動体着陸制御方法において、
前記管制装置から受信した前記駐機位置の周囲の障害物情報と、計測した前記飛行体の位置に基づき、前記障害物情報を前記飛行体からの相対位置に変換することを特徴とする移動体着陸制御方法。
【請求項11】
請求項9に記載の移動体着陸制御方法において、
前記障害物情報が示す障害物は、前記管制装置が保有する前記地図情報から抽出した立体物の情報であることを特徴とする移動体着陸制御方法。
【請求項12】
請求項9に記載の移動体着陸制御方法において、
障害物検出装置が、前記飛行体の駐機位置の周辺の障害物を検出し、検出した前記障害物の情報を前記管制装置が取得することを特徴とする移動体着陸制御方法。
【請求項13】
請求項9に記載の移動体着陸制御方法において、
前記管制装置は、前記飛行体の位置を計測し、計測した前記飛行体の位置と前記飛行体の駐機位置から算出される前記飛行体の制御指令値を算出し、前記移動体制御装置は、前記管制装置から受信した前記制御指令値と、前記計測した自己位置及び前記認識した前記駐機位置に基づき前記飛行体を制御することを特徴とする移動体着陸制御方法。
【請求項14】
請求項13に記載の移動体着陸制御方法において、
前記管制装置及び前記移動体制御装置は、それぞれ、共通の時刻を取得し、前記管制装置が有する移動体位置計測部は、前記飛行体の位置及び姿勢を計測し、前記管制装置は、計測した前記飛行体の前記位置、姿勢及び計測した時刻を前記移動体制御装置に送信し、前記移動体制御装置は、
前記管制装置から受信した前記飛行体の前
記位置、前記姿勢及び前記計測した時刻と、前記駐機位置から推測した前記飛行体の位置、姿勢および前記駐機位置を認識した時刻と、を用いて前記飛行体に搭載された撮像部の姿勢パラメータの補正を行うことを特徴とする移動体着陸制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体着陸制御システム及び移動体着陸制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都市や都市間の次世代移動手段として、空飛ぶクルマと呼ばれる小型電動航空機の開発が世界各国で行われている。
【0003】
空飛ぶクルマは、駐機位置付近の上空に到達後、自動で指定された駐機位置に着陸する自動着陸機能の搭載が見込まれる。このとき、建物等に接触しないように飛行し、指定された駐機位置に着陸する必要がある。
【0004】
特許文献1には、飛行体が目的地の上方に到着後、撮像部で下方を撮影し、画像を解析して着陸位置情報を生成し、着陸位置に着陸するように駆動部を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
垂直離着機である飛行体は、管制装置からの指示に従い駐機位置に着陸する。この場合、飛行体の微小な位置決めは飛行体に搭載された撮像装置による撮像画像で駐機位置を認識しながら行われる。
【0007】
駐機位置は視認性を高めるため、LED等の発光源によるマーカで設定されているため、撮像画像から光源を検出して駐機位置を認識している。
【0008】
LED等のマーカを検出する際には、他の光源等の発光によるノイズが紛れ込む可能性があり、駐機位置を誤認識する可能性がある。特に、障害物に衝突するような事故は、確実に排除する必要がある。
【0009】
特許文献1に記載の技術は、撮像部で撮像された画像を解析することについては記載されているが、駐機位置を示す光源を撮像画像から検出する際のノイズの紛れ込みについては、考慮されていない。
【0010】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、空飛ぶクルマ等の飛行体の駐機位置を示すマーカに混在するノイズを除去し、正確な駐機位置を認識して、着陸可能な移動体着陸制御システム及び移動体着陸制御方法を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
【0012】
移動体制御装置により制御される飛行体と、管制装置とを備える移動体着陸制御システムであって、前記移動体制御装置は、前記飛行体の位置を計測する自己位置計測部と、前記飛行体の周辺の画像を取得する画像取得部と、前記管制装置が保有する前記飛行体の周辺の地図情報と、前記飛行体の駐機位置の周辺の障害物情報とを前記管制装置から受信する機体側通信部と、前記画像取得部により取得された前記画像から前記飛行体の駐機位置を示す複数の発マーカの候補を検出し、前記障害物情報が示す障害物の位置と、検出した前記複数のマーカの特性と、に基づいて前記駐機位置を示す複数のマーカを選別するマーカ選択部と、前記駐機位置を示す複数のマーカから前記駐機位置を認識する駐機位置認識部と、前記駐機位置に前記飛行体を制御して、前記駐機位置に前記飛行体を着陸させる制御部と、を備える。
【0013】
また、管制装置から飛行体の周辺の地図情報及び前記飛行体の駐機位置の周辺の障害物情報を受信する移動体制御装置により前記飛行体の着陸を制御する移動体着陸制御方法であって、前記飛行体の位置を計測し、前記飛行体の周辺の画像を取得し、前記管制装置が保有する前記飛行体の周辺の前記地図情報と、前記飛行体の前記駐機位置の周辺の前記障害物情報とを前記管制装置から受信し、前記取得した前記画像から前記飛行体の駐機位置を示す複数のマーカの候補を検出し、前記障害物情報が示す障害物の位置と、検出した前記複数のマーカの特性と、に基づいて前記駐機位置を示す複数のマーカを選別し、前記駐機位置を示す複数のマーカから前記駐機位置を認識し、前記駐機位置に前記飛行体を制御して、前記駐機位置に前記飛行体を着陸させる。
【発明の効果】
【0014】
空飛ぶクルマ等の飛行体の駐機位置を示すマーカに混在するノイズを除去し、正確な駐機位置を認識して、着陸可能な移動体着陸制御システム及び移動体着陸制御方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例1による移動体制御装置及び管制装置の概略構成図である。
【
図2】移動体が障害物である建物の間に位置する駐機位置に駐機しようとする状態を示す図である。
【
図3】移動体制御装置と管制装置との信号送受信の概念図である。
【
図4】マーカ特徴検出部の動作フローチャートである。
【
図7】マーカ特徴選別部の動作フローチャートである。
【
図10】駐機位置認識部の動作フローチャートである。
【
図12】本実施例1の変形例における移動体制御装置及び管制装置の概略構成図である。
【
図14】本発明の実施例2による移動体制御装置及び管制装置の概略構成図である。
【
図15】移動体が建物の間に位置する駐機位置に駐機しようとする状態を示す図である。
【
図16】移動体位置計測部の動作フローチャートである。
【
図18】実施例2の変形例における移動体位置計測部の動作フローチャートである。
【
図19】実施例2の変形例における制御指令値算出部の動作説明図である。
【
図20】実施例2の変形例における制御指令値算出部の動作説明図である。
【
図21】本発明の実施例3による移動体制御装置及び管制装置の概略構成図である。
【
図22】パラメータ補正部動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【実施例】
【0017】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1による移動体制御装置1及び管制装置2の概略構成図である。
図1において、管制装置2は、駐機位置決定部21と、管制側通信部22と、地図情報23とを備える。
【0018】
移動体制御装置1は、自己位置計測部11と、画像取得部12と、マーカ特徴検出部13と、マーカ特徴選別部14と、駐機位置認識部15と、制御部15と、機体側通信部17とを備える。移動体18は、移動体制御装置1により、動作制御される飛行体である。
【0019】
管制装置2の管理側通信部22は、移動体制御装置1の機体側通信部17から駐機要求を受ける。次に、管制装置2の駐機位置決定部21が駐機場の空きの有無を確認する。駐機場に空きがあれば、空きがある駐機位置を予約する。管制側通信部22は、駐機位置および駐機位置(スカイポート)周辺の障害物情報(地図上の立体物)を示す地図情報23を送信する。管制側通信部22は、地図情報23から抽出した立体物の情報を、地図情報23と共に送信することもできる。
【0020】
移動体制御装置1の自己位置計測部11は、GPS等を用いて移動体18の位置を計測する。自己位置計測部11の入力は、GPS信号であり、出力は移動体18の緯度及び経度+姿勢か、飛行エリア内で定められた原点からの相対3D座標+姿勢である。
【0021】
画像取得部12は、移動体制御装置1の画像取得部12は、移動体18の周囲の画像を取得し、出力する。マーカ特徴検出部13は、画像取得部12が取得した画像から複数のマーカの特徴を検出する。複数のマーカはLED等の複数の発光体等である。マーカ特徴検出部13は、特定の色で発光するLED等のマーカを、色を用いた2値化画像を生成しラベリング処理により検出する。マーカ特徴検出部13の入力は画像であり、出力は入力した画像上のマーカ特徴位置座標(x[i]、y[i])である。
【0022】
マーカ特徴選別部14は、自己位置(移動体18に位置)とカメラパラメータから、マーカ特徴位置を平面仮定の世界座標へ変換する。つまり、マーカ特徴選別部14は、管制装置2から受信した駐機位置19の周囲の障害物情報と計測した自己位置に基づき障害物情報を自機からの相対位置に変換する機能を備える。移動体18の機体と各マーカ座標を結んだ線の間に障害物があれば、そのマーカ候補(発光体等の候補)を削除するマーカ特徴選別部14の入力は画像上のマーカ位置座標列、自己位置及び障害物位置である。マーカ特徴選別部14の出力は、ノイズを除去したマーカ特徴位置座標列(世界座標)である。
【0023】
駐機位置認識部15は、ノイズを除去したマーカ特徴位置座標列から駐機位置を認識する。駐機位置認識部15の入力は、ノイズを除去したマーカ特徴位置座標列であり、出力は駐機位置(世界座標位置)である。
【0024】
制御部16は、自己位置と駐機位置から、精度よく駐機するための移動体18が備えるアクチュエータの制御指令値を決定する。制御部16の入力は駐機位置及び自己位置であり、出力はアクチュエータの制御指令値である。
【0025】
機体側通信部17は、駐機位置決定後、駐機位置と周囲の障害物情報を取得する。駐機位置の情報は、緯度経度高度か、飛行エリア内で定められた原点からの相対3D座標である。機体側通信部17の出力は、駐機位置(位置+姿勢)及び障害物位置情報(位置)である。
【0026】
マーカ特徴検出部13及びマーカ特徴選別部14は、マーカ選択部を構成する。
【0027】
図2は、移動体制御装置1及び管制装置2により、移動体18が障害物である建物38の間に位置する駐機位置19の上空に飛来し、駐機位置19に駐機しようとする状態を示す図である。駐機位置19は、円形で示され、複数の発光体LED(マーカ)20が配置されている。
【0028】
図3は、移動体制御装置1と管制装置2との信号送受信の概念図である。移動体制御装置1から管制装置2に駐機要求がなされると、管制装置2は、駐機位置空き確認を行い、予約する。そして、管制装置2は、駐機位置及び障害物の位置を移動体制御部装置1に通知する。
【0029】
図4は、マーカ特徴検出部13の動作フローチャートである。
【0030】
図4のステップS1において、移動体18に設置されたカメラが撮像した画像を取得する。次に、ステップS2において、LED20の色情報だけを抽出するように2値化画像を生成する。
【0031】
ステップS3において、2値化画像に対しラベリング処理を行う。その結果、各ラベル値が設定された画像と、各ラベルに関する重心位置、外接矩形の座標、面積、円形度などの各種情報が格納されたテーブルが得られる。
【0032】
そして、ステップS4において、上記テーブルに格納された情報に基づいて、画像上の重心座標(x,y)をデータ列として内部メモリに格納する(X[i],Y[i])。
【0033】
図5及び
図6は、マーカ特徴検出部13の動作の概念図である。
【0034】
図5は、移動体18が駐機場19の上方に飛来し、移動体18の下方に駐機場19のLED20、障害物38、LED20と同等の大きさのノイズ22b、楕円形ノイズ39及びLED20より面積が大きいノイズ24が存在する状態を示している。
【0035】
図6は、
図5に示した状態で、移動体18が撮像した画像25におけるマーカ特徴検出の説明図である。
【0036】
図6において、移動体18が撮像した画像25に対して2値化処理を行い、画像26が得られ、画像26のうち、円形ではない、ノイズを除去し画像27を得る。画像27においては、
図6の画像27の横に示す表のように、ラベル番号を付し、座標値(Gx,Gy)と面積を数値で表す。
【0037】
そして、LED20より大の面積のノイズを除去して、画像28を得る。
【0038】
図7は、マーカ特徴選別部14の動作フローチャートである。
【0039】
図7のステップS11において、マーカ特徴の位置データ列を取得し、ステップS12において、自己位置・姿勢およびカメラパラメータから検出したマーカ特徴位置を世界座標へ変換する。次に、ステップS13において、世界座標上へ障害物38を配置し、ステップS14において、自分の位置とマーカを結ぶ線の間に障害物38がなければそのマーカ候補は残し、障害物38があればそのマーカ候補を削除する。そして、ステップS15において、残ったマーカ候補を登録する。
【0040】
図8及び
図9は、マーカ特徴選別部14の動作の概念図である。
【0041】
図8において、マーカ特徴選別部14で得られた画像28と飛行体である移動体18の撮像部(カメラ)29及びマーカの座標と、障害物38の座標を取得する。
図8及び
図9に示すように、カメラ29とマーカ22aとを結ぶ線の間に障害物38に存在する場合は、マーカ22aは、障害物38上にあることが判定できる。これによって、マーカ22aを削除することができる。このようにして、障害物38上にある他のマーカ22aを削除していく。撮像部29は移動制御装置1に画像取得部として備えられている。
【0042】
図10は、駐機位置認識部15の動作フローチャートである。
【0043】
図10のステップS21において、フィルタ後(障害物38上にマーカ22aの削除後し)のマーカ位置(世界座標)を取得する。次に、ステップS22において、世界座標上で円形ハフ変換を実施し、円を検出する。そして、ステップS23において、検出された円の位置と管制装置2から受信した駐機位置19を用いて正確な駐機位置19を認識する。
【0044】
図11は、駐機位置認識部15の動作の概念図である。
【0045】
図11において、マーカ特徴選別部14により、得られた画像30は、駐機位置を示すマーカ20と、駐機位置19を示すものでは無いマーカ22bとが混在する。駐機位置認識部15により、画像30に対して円形ハフ変換を行うことにより、複数のマーカ20からなる円形の駐機位置19を認識する画像31が得られる。
【0046】
図12は、本実施例1の変形例における移動体制御装置1及び管制装置2の概略構成図である。また、
図13は、
図12に示した例の動作説明図である。実施例1の変形例においては、
図1に示した例と比較して、管制装置2に障害物情報取得部32が追加されている。さらに、管制装置2の外部に障害物検出装置33が追加されている。なお、
図1に例に示された地図情報23は、
図12に示した例においても、管制装置2に含まれているが、図示は省略している。
【0047】
図12に示した例は、通常時は、
図1に示した例と同様な動作を行い、駐機位置19に着陸するが、駐機位置19の周辺の状態が災害や新規の建物建設等により、大きく変化した可能性がある場合に、障害物検出装置33により、駐機位置19の周辺の障害物を検出し、管制装置2の障害物情報取得部32に送信する。障害物情報取得部32は、取得した障害物情報を管制側通信部22に送信する。そして、管制側通信部22が、通常時に送信する情報とともに、移動体18に駐機位置障害物情報を送信する。
【0048】
移動体18は、
図3~
図11を用いて説明した動作を行って、駐機位置19を検出し、障害物検出装置33が検出した障害物を回避して、駐機位置19に着陸動作を行う。
【0049】
以上のように、実施例1によれば、飛行体18が取得した画像から、駐機位置19を示であろう複数のマーカを検出し、検出したマーカのうち、駐機位置19を示すマーカではないと判定したマーカをノイズとして除外し、正確な駐機位置19を検出している。
【0050】
よって、空飛ぶクルマ等の飛行体の駐機位置を示すマークに混在するノイズを除去し、正確な駐機位置を認識して、着陸可能な移動体着陸制御システム及び移動体着陸制御方法を実現することができる。
【0051】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について説明する。
【0052】
実施例2は、移動体制御装置1の制御部16が、実施例1の制御部16に比較して、制御動作の独立性が低く、管制装置2からの制御指令値も利用して、移動体18を制御する例である。
【0053】
図14は、本発明の実施例2による移動体制御装置1及び管制装置2の概略構成図であり、
図15は、移動体制御装置1及び管制装置2により、移動体18が障害物である建物38の間に位置する駐機位置19の上空に飛来し、駐機位置19に駐機しようとする状態を示す図である。
図1に示した実施例1との相違点は、実施例2においては、実施例1の管制装置2に移動体位置計測部200と、制御指令値算出部201が追加されている点と、実施例1の移動体制御装置1の機体側通信部17の出力が制御部16にも供給されている点である。
【0054】
移動体位置計測部200は、監視用カメラ200Aにより移動体18の位置及び姿勢を計測し、制御指令値算出部201に出力する。制御指令値算出部201は、駐機位置決定部21から出力された駐機位置19の位置情報と地図情報23の地図情報とに基づいて、制御部16に供給する制御指令値を算出する。制御指令値算出部201が算出した制御指令値は、管制側通信部22及び機体側通信部17を介して制御部16に供給される。制御部16は、供給された制御指令値及び駐機位置認識部15から出力された駐機位置情報に基づいて飛行体である移動体18の飛行動作を制御する。これにより、移動体18は、障害物38に接することなく、駐機位置19に着陸することができる。
【0055】
図16は、移動体位置計測部200の動作フローチャートである。
【0056】
図16において、ステップS31では、移動体位置計測部200は、監視用カメラ200Aにより移動体18の画像を取得する。次に、ステップS32において、移動体18の背景差分等により、移動体18の全景を抽出し、移動体18のシルエットを取得する。次に、ステップS33において、移動体位置計測部200が所有している移動体18の3Dモデルの姿勢パラメータを変化させて、シルエットとの誤差が最も少ないパラメータを求め、形状を当てはめる。そして、ステップS34にて、誤差が最も少ないパラメータを移動体18の現在の位置及び姿勢とする。
図17は、実施例2の変形例の説明図である。移動体18に、第1マーカ34、第2マーカ35、第3マーカ36及び第4マーカ37を装着する。移動体位置計測部200は、監視用カメラ200Aにより第1マーカ34、第2マーカ35、第3マーカ36及び第4マーカ37の位置から移動体18の現在の位置及び姿勢を計測する。
【0057】
図18は、実施例2の変形例における移動体位置計測部200の動作フローチャートである。
【0058】
図18のステップS41において、監視用カメラ200Aから画像を取得する。次に、ステップS42において、色抽出等により移動体18に装着された第1マーカ34、第2マーカ35、第3マーカ36及び第4マーカ37の位置を取得する。次に、ステップS43において、移動体位置計測部200が所有している移動体3Dモデル上のマーカの位置と観測された第1マーカ34、第2マーカ35、第3マーカ36及び第4マーカ37の位置との誤差を最小化するようにパラメータを推定する。そして、ステップS44において、誤差が最も少ないパラメータを移動体18の現在の位置及び姿勢とする。
【0059】
図19及び
図20は、実施例2の変形例における制御指令値算出部201の動作説明図である。
図19において、制御指令値算出部201は、移動体18の位置と駐機位置19から飛行経路18Rを算出する。そして、
図20に示すように、飛行経路18Rを、ノード化する。つまり、飛行経路18Rに、3次元座標による位置及び姿勢を示すデータ点列18Dとする。
【0060】
移動体制御装置1の制御部16は、次式(1)により、移動体18の制御量Uを算出する。
制御量U=α・U1+β・U2 ・・・(1)
【0061】
ただし、U1は管制装置2から送信された制御指令値であり、U2は移動体1で算出した制御指令値である。
【0062】
駐機開始制御開始時の移動体18の高度をH1、駐機位置19の高度をH0、現在の移動体の高度をHとすると、次式(2)及び(3)が成立する。
α=(H-H0)/(H1-H0) ・・・(2)
β=1.0-α ・・・(3)
【0063】
移動体18の着陸開始時は駐機マーカ20が小さく見え、駐機位置19の検出精度が低いため、管制装置2からの制御指令U1を優先する。移動体18が、着陸位置である駐機位置19が近づいてからは移動体18側から直接観測した駐機位置19の精度が高まるため、移動体制御装置1側で算出した制御指令値U2を優先し、制御部16が移動体18の動作を制御する。
【0064】
本実施例2によれば、実施例1と同様な効果が得られる他、管制装置2からの制御指令値も利用して、移動体18を制御するので、移動体制御装置1の制御部16の制御動作を簡略化でき、移動体制御装置1のコストを低下することができる。
【0065】
(実施例3)
次に、本発明の実施例3について説明する。
【0066】
本実施例3においては、管制装置2は駐機位置19、駐機位置19付近の障害物情報、制御指令値のみならず、移動体18の位置、姿勢及び計測時刻情報を移動体制御装置1に送信し、移動体制御装置1は管制装置2から受信した情報に基づいてパラメータを補正する例である。
【0067】
図21は、本発明の実施例3による移動体制御装置1及び管制装置2の概略構成図である。
【0068】
図21において、管制装置2は、時刻を取得する時刻取得部202を備える。時刻取得部20は、取得した時刻を移動体位置計測部200に出力する。
【0069】
また、移動体制御装置1は、時刻を取得する時刻取得部100と、パラメータ補正部101とを備える。時刻取得部100は、取得した時刻をパラメータ補正部101に出力する。パラメータ補正部101は、移動体18に搭載された撮像部29の姿勢パラメータを補正する動作を行う。
【0070】
実施例3の移動体制御装置1及び管制装置2の他の構成は、
図14に示した実施例2の構成と同様であるので、説明は省略する。
【0071】
図22は、パラメータ補正部101の動作フローチャートであり、
図23は、パラメータ補正部101の動作説明図である。
【0072】
図22のステップS51において、管制装置2から取得した移動体18の位置、姿勢及び時刻を蓄積する。次に、ステップS52において、駐機位置認識部15の結果から推測した移動体18の位置及び姿勢と、時刻取得部100から取得した時刻を蓄積する。続いて、ステップS53において、管制装置2から取得して蓄積した時刻と、時刻取得部100から取得して蓄積した時刻とを比較し、時刻が同じ移動体18の位置及び姿勢を示すデータのペアを抽出する。
【0073】
次に、ステップS54において、抽出したデータのペア数が一定数以上か否かを判定する。データペア数が一定数以上ではない場合は処理を終了する。データペア数が一定数以上である場合は、ステップS55に進み、管制装置2から取得した移動体18の位置及び姿勢と、駐機位置認識部15の結果から推測した移動体18の位置及び姿勢とのズレを算出する。つまり、位置及び姿勢をパラメータとして、管制装置2から取得したパラメータと、駐機位置認識部15の結果から推測したパラメータとのズレを算出する。
【0074】
次に、ステップS56において、パラメータのズレの分散が一定値以下か否かを判定する。パラメータのズレの分散が一定値以下ではない場合は、処理を終了する。
【0075】
ステップS56において、パラメータのズレの分散が一定値以下である場合は、原因がオフセットであると考えられるため、ステップS57に進み、オフセットが消えるように撮像部29の姿勢パラメータを補正する処理を行う。
【0076】
ここで、
図23に示すように、移動体18の位置は、三次元座標(X,Y,Z)で示され、姿勢は、ロール、ピッチ、ヨー(roll、pitch、yaw)で示され、時刻情報(HH:MM:SS:mm)と併せて送受信される。
【0077】
本発明の実施例3においても、実施例2と同様な効果を得ることができる他、移動体18に搭載された撮像部29のパラメータを補正する動作を行うので、駐機位置19をより正確に認識することができるという効果がある。
【0078】
なお、実施例3においては、時刻取得部100と時刻取得部202とは同期していることが前提である。
【0079】
また、マーカの位置、面積及び形状は、マーカの特性と定義することできる。
【符号の説明】
【0080】
1・・・移動体制御装置、2・・・管制装置、11・・・自己位置計測部、12・・・画像取得部、13・・・マーカ特徴検出部、14・・・マーカ特徴選別部、15・・・駐機位置認識部、16・・・制御部、17・・・機体側通信部、18・・・移動体(飛行体)、18R・・・飛行経路、19・・・駐機位置、20、22a、22b・・・マーカ、21・・・駐機位置決定部、22・・・管制側通信部、23・・・地図情報、24・・・面積が大きいノイズ、25、26、27、28、30、31・・・画像、29・・・撮像部、22A・・・領域特性設定部、32・・・障害物情報取得部、33・・・障害物検出装置、34・・・第1マーカ、35・・・第2マーカ、36・・・第3マーカ、37・・・第4マーカ、38・・・障害物、39・・・楕円形ノイズ、100、202・・・時刻取得部、101・・・パラメータ補正部、200・・・移動体位置計測部、201・・・制御指令値算出部