(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】印刷装置および印刷物管理方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240828BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240828BHJP
B41J 5/30 20060101ALI20240828BHJP
B41J 3/44 20060101ALI20240828BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240828BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240828BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
B41J29/38 201
B41J29/00 Z
B41J5/30 Z
B41J3/44
G03G21/00 500
G03G15/00 303
H04N1/00 838
(21)【出願番号】P 2020207763
(22)【出願日】2020-12-15
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健二
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-335207(JP,A)
【文献】特開2006-150662(JP,A)
【文献】特開2008-055753(JP,A)
【文献】特開2020-108924(JP,A)
【文献】特開2019-057202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/00
B41J 5/30
B41J 3/44
G03G 21/00
G03G 15/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書情報を含む印刷ジョブを処理する印刷装置であって、
前記文書情報には、重要度の高い情報の記載の有無および記載位置に係る重要度情報が含まれ、
外部端末から受信した前記印刷ジョブを蓄積する記憶部と、
前記印刷ジョブに基づいて画像データを生成する画像処理部と、
前記画像データの印刷処理を行って記録媒体に画像を形成する印刷部と、
前記文書情報から前記重要度情報を取得して、前記重要度情報に基づいて記録媒体上での重要情報記載箇所にRFIDタグが位置するよう設定指示する制御部と、
前記RFIDタグ
の通信装置を介して前記RFIDタグのメモリに前記文書情報を書き込む、情報書き込み部
と、
前記制御部にて設定指示された記録媒体上の前記重要情報記載箇所
の裏面に、前記情報書き込み部により前記文書情報が書き込まれた前記RFIDタグ
を貼付するタグ貼付部とを備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において
、
前記タグ貼付部は、前記記録媒体の複数箇所にRFIDタグを貼付可能であることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置において、
前記タグ貼付部は、印刷処理後の記録媒体にRFIDタグを貼付することを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の印刷装置において、
前記文書情報には、前記記録媒体に設けられたRFIDタグの個数情報が含まれることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1つの請求項に記載の印刷装置において、
前記記憶部は、1枚の記録媒体におけるRFIDタグの個数情報を記憶することを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1つの請求項に記載の印刷装置を用いる印刷物管理方法であって、
前記印刷装置において印刷ジョブを受信するステップと、
前記印刷ジョブに基づいて画像データを生成するステップと、
前記画像データの印刷処理を行って記録媒体に画像を形成するステップと、
前記印刷ジョブに含まれる文書情報から、重要度の高い情報の記載の有無および記載位置に係る重要度情報を取得して、前記記載位置に基づいて記録媒体上での重要情報記載箇所にRFIDタグが位置するよう設定指示するステップと、
前記RFIDタグ
の通信装置を介して前記RFIDタグのメモリに前記文書情報を書き込むステップと、
前記RFIDタグ
の設定指示に基づいて記録媒体における前記重要情報記載箇所の裏面を前記RFIDタグの貼付位置とし、前記文書情報を書き込んだ前記RFIDタグを前記貼付位置に貼付するステップと、を含むことを特徴とする印刷物管理方法。
【請求項7】
請求項
6に記載の印刷物管理方法であって、
前記RFIDタグと通信可能な監視部によって、記録媒体に貼付された前記RFIDタグと通信できないことが検出された場合に、異常状態と判断するステップをさらに含むことを特徴とする印刷物管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグが設けられる印刷物の印刷装置、およびその印刷装置を用いる印刷物管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置として、例えばパーソナルコンピュータ(PC)などの外部端末から受信した印刷ジョブに基づいて印刷処理を行うように構成されたものが知られている。印刷処理された用紙等の記録媒体は、印刷装置の排紙トレイ上に排出される。会議資料や説明会資料等として作成される印刷物には、機密情報等の重要度の高い情報が含まれていることが往々にしてある。近年では、個人情報等の機密情報流出が問題となることもあり、ネットワーク上でのデータ管理に限らず、印刷物における情報管理についても求められるようになっている。
【0003】
そのような印刷物での情報管理を行うために、RFIDタグ付き記録媒体を印刷物に使用したり、印刷装置上にRFIDタグ等からの情報を読み出す機能を設けたりすることも行われている。この種の印刷装置として、例えば特許文献1には、RFIDタグに記憶されたプリンタ設定条件を呼び出して印刷処理を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
社外秘あるいは部門外秘などといった機密情報等の重要度の高い情報が画像として含まれる印刷物に、単にRFIDタグを貼付して情報管理をしようとしても、そのRFIDタグ付きの印刷物からRFIDタグを取り外して、入退室が管理される所定エリアの外部へ持ち出されてしまうと、印刷物の持ち出し等の異常や不正利用を検出できないといった問題があった。そのため、RFIDタグを設けた印刷物からRFIDタグを取り外して外部に持ち出す行為を未然に防止し得て、機密情報等の重要度の高い情報の漏洩を防止することのできる印刷装置および印刷物管理方法が求められた。
【0006】
本発明は、前記のような問題点にかんがみてなされたものであり、その目的とするところは、機密情報等の重要度の高い情報の漏洩を防止することが可能な印刷装置を提供することにあり、さらに、そのような情報が画像として形成された印刷物が外部に持ち出されるのを防止することが可能な印刷物管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明は、文書情報を含む印刷ジョブを処理する印刷装置であって、前記文書情報には、重要度の高い情報の記載の有無および記載位置に係る重要度情報が含まれ、外部端末から受信した前記印刷ジョブを蓄積する記憶部と、前記印刷ジョブに基づいて画像データを生成する画像処理部と、前記画像データの印刷処理を行って記録媒体に画像を形成する印刷部と、前記文書情報から前記重要度情報を取得して、前記重要度情報に基づいて記録媒体上での重要情報記載箇所にRFIDタグが位置するよう設定指示する制御部と、前記RFIDタグに前記文書情報を書き込む情報書き込み部とを備え、記録媒体に形成された画像中の前記重要情報記載箇所には、前記情報書き込み部により前記文書情報が書き込まれた前記RFIDタグが設けられることを特徴としている。
【0008】
より具体的には、前記構成を有する印刷装置において、前記RFIDタグの設定指示に基づいて記録媒体における前記重要情報記載箇所の裏面をRFIDタグの貼付位置とし、前記貼付位置にRFIDタグを貼付するタグ貼付部が設けられ、前記タグ貼付部は、前記記録媒体の複数箇所にRFIDタグを貼付可能であることが好ましい。
【0009】
また、前記構成の印刷装置において、前記タグ貼付部は、印刷処理後の記録媒体にRFIDタグを貼付することが好ましい。また、前記文書情報には、前記記録媒体に設けられたRFIDタグの個数情報が含まれることが好ましい。
【0010】
また、前記構成の印刷装置において、記録媒体はRFIDタグをあらかじめ有しており、前記RFIDタグの表面側が前記重要情報記載箇所とされてもよい。
【0011】
また、前記構成の印刷装置において、前記記憶部は、1枚の記録媒体におけるRFIDタグの個数情報を記憶することが好ましい。
【0012】
また、前記構成を有する印刷装置を用いる印刷物管理方法も、本発明の技術的思想の範疇である。すなわち、印刷物管理方法として、前記印刷装置において印刷ジョブを受信するステップと、前記印刷ジョブに基づいて画像データを生成するステップと、前記画像データの印刷処理を行って記録媒体に画像を形成するステップと、前記印刷ジョブに含まれる文書情報から、重要度の高い情報の記載の有無および記載位置に係る重要度情報を取得して、前記記載位置に基づいて記録媒体上での重要情報記載箇所にRFIDタグが位置するよう設定指示するステップと、前記RFIDタグに前記文書情報を書き込むステップと、前記RFIDタグと通信可能な監視部によって、記録媒体に貼付された前記RFIDタグと通信できないことが検出された場合に、異常状態と判断するステップと、を含むことを特徴としている。
【0013】
また、前記印刷物管理方法において、さらに、前記RFIDタグの設定指示に基づいて記録媒体における前記重要情報記載箇所の裏面をRFIDタグの貼付位置とし、前記文書情報を書き込んだRFIDタグを前記貼付位置に貼付するステップを含むよう構成されてもよい。
【0014】
前記の各特定事項を具備することによって、機密情報等の重要度の高い情報の漏洩を防止することが可能とされる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、印刷物に記載された機密情報等の重要度の高い情報の漏洩を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態1に係る印刷装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】前記印刷装置におけるタグ貼付部の構成を模式的に示す説明図である。
【
図3】実施形態1に係る前記印刷装置に適用されるRFIDタグを備えるタグシートロールの一例を示す説明図である。
【
図4】前記RFIDタグに書き込まれる文書情報の一例を示す説明図である。
【
図5】前記印刷装置において記録媒体上のRFIDタグの貼付位置の一例を示す説明図である。
【
図6】前記印刷装置において入力された印刷ジョブの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】本発明の実施形態2に係る印刷装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図8】実施形態2係る前記印刷装置に適用されるRFIDタグの配置例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る印刷装置、およびその印刷装置を用いる印刷物管理方法について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
以下で説明する各実施形態に係る印刷装置1、10は、メモリと通信装置とを備えたRFID(Radio Frequency Identification)タグを用紙等の記録媒体30に付して、印刷物を管理し得るように構成されている。なお、このようなRFIDタグには、RFID技術を利用した近距離無線通信に用いることが可能な無線タグ(ICタグ)全般を含むものとする。
【0019】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る印刷装置1の構成を示す機能ブロック図である。印刷装置1は、例えば、電子写真方式で印刷を行うものであり、情報端末等の外部端末から印刷ジョブを受信し、印刷ジョブに含まれる文書情報に応じて印刷処理を行う。印刷装置1は、外部端末とLAN等の通信部16を介して接続され、印刷ジョブの送受信が可能なように構成されている。
【0020】
図1に示すように、印刷装置1は、表示部11、制御部12、画像処理部13、RAM(Random Access Memory)14、記憶部15、通信部16、印刷部17、タグ貼付部18、および情報書き込み部19を備えており、各部はバスにより接続されている。
【0021】
表示部11は、LCD(Liquid Crystal Display)などで構成された表示画面と、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタンやスイッチなどで構成された操作部等を備えている。
【0022】
制御部12は、CPUによりROMに記憶されているシステムプログラムや各種処理プログラムを読み出してRAM14内に展開し、展開されたプログラムに従って、印刷装置1の各部動作を制御する。
【0023】
画像処理部13は、外部端末から送信された印刷ジョブ中のページ毎の印刷データを画像データとして展開する画像処理を行い、生成した画像データを印刷部17に出力する。
【0024】
印刷部17は、給紙部、感光ドラム、露光部、トナーを用いた現像部、定着部、排出部等を備えて構成され、制御部12からの印刷指示に従って、印刷ジョブに含まれる文書情報に基づき、指示されたサイズ、向きの記録媒体を給紙部から搬送し、画像処理部13から入力された画像を記録媒体上に印刷処理する。
【0025】
RAM14は、制御部12により実行制御される各種処理において、ROMから読み出されたプログラム、入力、出力データおよびパラメータ等の一時的な格納領域とされる。
【0026】
記憶部15は、HDD(Hard Disc Drive)や不揮発性の半導体メモリ等により構成され、外部端末から送信された印刷ジョブを蓄積する。
【0027】
通信部16は、例えばLANカード等の通信制御カードにより構成され、LANケーブル等の通信回線を介してネットワークに接続された外部端末との間で各種データの送受信および入出力を行う。
【0028】
外部端末は、例えばPC等により構成され、アプリケーションソフトで作成した文書データや印刷データを、所定のページ記述言語によって印刷可能なデータ形式に変換したものに、文書情報を付加したスクリプトを印刷ジョブとし、ネットワークを介して印刷装置1に送信する。なお、文書情報には、印刷部数、記録媒体の種類、印刷形態(白黒、カラー)等を指定するための印刷処理情報や、後述の資料情報管理データ、タグ情報管理データ、重要度情報およびユーザ情報等が含まれる。
【0029】
印刷装置1は、外部端末から入力された前記のような印刷ジョブを通信部16によって受信すると記憶部15に蓄積する。印刷装置1では、記憶部15に蓄積している印刷ジョブの送信ユーザ毎に、印刷処理を実行する。
【0030】
タグ貼付部18は、制御部12に指示された記録媒体上の貼付位置に、RFIDタグを貼付する。制御部12は、タグ貼付部18の動作制御も行うように構成されている。
【0031】
図2は、タグ貼付部18の構成を模式的に示す説明図である。図示するように、タグ貼付部18は、記録媒体30の任意の位置にRFIDタグを貼り付ける貼付機構部21と、貼付機構部21を任意の位置に移動させる駆動機構部22とを有する。
【0032】
駆動機構部22は記録媒体30の搬送方向Xに対して直交する交差方向Yに沿って延設され、搬送方向Xに沿って移動可能であるとともに貼付機構部21を交差方向Yに移動させる。これにより、駆動機構部22は、貼付機構部21を任意の位置に移動させる。任意の位置に移動した貼付機構部21は、その位置でRFIDタグを記録媒体30に貼り付ける。
【0033】
本実施形態に係る印刷装置1において、タグ貼付部18は記録媒体30の裏面にRFIDタグを貼り付ける。そのため、記録媒体30の搬送路の下部にタグ貼付部18が設けられている。タグ貼付部18は、記録媒体30の裏面に貼付機構部21を対向させて、記録媒体30と貼付機構部21との間にRFIDタグを配置させて圧着し、RFIDタグを記録媒体30に接着させる。
【0034】
図3は、RFIDタグを備えるタグシートロール43の一例を示す説明図である。タグシートロール43は長尺帯状に設けられ、巻回された状態で貼付機構部21に格納されている。タグシートロール43の表面には、複数のRFIDタグ40が均等間隔で剥離可能に配設されている。
【0035】
各RFIDタグ40は、タグシートロール43から剥離可能なシール41と、シール41に保持されたタグチップ42とを備えている。例えばシール41は、シール41と反対側が加熱されることにより溶着する接着剤が塗布されている。
【0036】
また、印刷装置1には、記録媒体30の搬送方向Xにおけるタグ貼付部18よりも上流側に、情報書き込み部19が設けられている。情報書き込み部19は、タグ貼付部18によって記録媒体30に貼付されるRFIDタグ40に対して、入力された印刷ジョブに含まれる文書情報を書き込む。
【0037】
図4は、RFIDタグに書き込まれる文書情報の一例を示す説明図である。RFIDタグに書き込まれるデータとしての文書情報50には、資料情報管理データ51やタグ情報管理データ52等が含まれる。文書情報50では、RFIDタグ内で管理されているデータ領域を、資料情報管理データとタグ情報管理データとに分け、各管理データに合ったデータを保存している。
【0038】
例えば、資料情報管理データ51には、印刷装置1によって作成する印刷物についての資料管理番号、書き込み日付、配布部署コード、配布担当コード等の情報が含まれる。タグ情報管理データ52には、貼付されるRFIDタグのタグ番号、RFIDタグの貼付位置および貼付ページ、貼付番号、RFIDタグの貼付個数等の情報が含まれる。
【0039】
これにより、印刷装置1において作成する印刷物について、いつ、だれが、どこで、だれに対して配布する資料であるかが、貼付されるRFIDタグに書き込む情報によって管理される。
【0040】
図5は、記録媒体30におけるRFIDタグ40の貼付位置の一例を示す説明図である。記録媒体30の表面には、図示するように印刷ジョブに基づく画像データが印刷処理されて画像が形成されている。記録媒体30に形成された画像には、機密情報等の重要度の高い情報および漏洩を防止したい情報が記載された重要情報記載箇所31が含まれている。重要情報記載箇所31は、1枚の記録媒体30において1箇所である場合もあるし、複数箇所である場合もある。
【0041】
記録媒体30において、重要情報記載箇所31の裏面には、RFIDタグ40が貼付されている。
図5に示すように、例えば配布資料としての1枚目の記録媒体30において、当該資料についての付帯情報「XXXX」や、2枚目の記録媒体30における、A事業の利益「200」およびB事業の利益「△10」といった数値部分が重要情報記載箇所31とされる。そして、これらの重要情報記載箇所31の裏面には、RFIDタグ40が設けられている。
【0042】
このように、重要情報記載箇所31の裏面にRFIDタグ40が設けられていることによって、機密情報等の重要度の高い情報が画像として形成された記録媒体30が外部に持ち出されるのを防止するだけでなく、RFIDタグ40を取り外して記録媒体30を持ち出そうとすることも防止することが可能となる。すなわち、仮に記録媒体30の裏面に貼付されているRFIDタグ40を剥ぎ取ると、表面の重要情報記載箇所31が破損し、機密情報等の重要度の高い情報および漏洩を防止したい情報の画像を視認することができなくなる。
【0043】
そのため、RFIDタグ40を取り外して記録媒体30を外部に持ち出すことができたとしても、当該資料によって機密情報等が漏洩することを防止できる。その上、RFIDタグ40には、文書情報50が書き込まれているので、当該資料の持ち出し自体も未然に防止することができる。
【0044】
図6は、印刷装置1において入力された印刷ジョブの処理の流れを示すフローチャートである。
【0045】
図6の例では、印刷装置1は、情報端末等の外部端末からプリントデータおよび文書情報50を含む印刷ジョブを受信すると(ステップS1)、記憶部15に一時的に蓄積する(ステップS2)。制御部12は、表示部11にプリントデータに基づく印刷情報を表示し、印刷部17に印刷準備要求を送出する(ステップS3)。また、制御部12は、記憶部15に保存されたプリントデータをRAM14に取り出し、画像処理部13へプリントデータの変換指示を送出する。画像処理部13は、RAM14上のプリントデータに基づいて画像データを生成し、RAM14に格納する。RAM14に画像データが格納されると、印刷部17に印刷要求がなされ、画像データが送信される。
【0046】
印刷ジョブに含まれる文書情報には、重要度の高い情報の記載の有無および記載位置に係る重要度情報が含まれている。画像処理部13において画像データが生成される際には、制御部12は、印刷ジョブに含まれる文書情報から、重要度情報を取得し、重要度の高い情報の記載(重要情報記載)の有無を判定する(ステップS4)。
【0047】
重要度の高い情報の記載がない場合(重要度情報なしの場合)には、記録媒体30に対して画像データの印刷処理が実行され(ステップS5)、印刷ジョブの処理が終了する。
【0048】
ステップS4で重要度の高い情報の記載がある場合(重要度情報ありの場合)には、記録媒体30における重要度情報の記載位置の情報に基づいて、記録媒体30上でのRFIDタグの貼付位置を決定する(ステップS6)。制御部12は、記録媒体30の裏面におけるRFIDタグ40の貼付位置をタグ貼付部18に指示し、情報書き込み部19にRFIDタグ40への文書情報50の書き込みを指示する。印刷部17では、画像データの印刷処理が実行される(ステップS7)。
【0049】
情報書き込み部19は、制御部12からの設定指示に基づいてRFIDタグ40に文書情報50を書き込む(ステップS8)。ステップS7で印刷処理された記録媒体30は、タグ貼付部18に搬送される。タグ貼付部18では、文書情報50が書き込まれたRFIDタグ40が準備されており、印刷処理後の記録媒体30における重要情報記載箇所31の裏面にRFIDタグ40を貼付する(ステップS9)。
【0050】
これにより、
図5に示したように、形成された画像中の重要情報記載箇所31の裏面に、情報書き込み部19により文書情報50が書き込まれたRFIDタグ40が設けられた記録媒体30が作成される。その後、記録媒体30は、複数枚がまとめられてステープル処理等を実施され、印刷物として印刷装置1から排出される。
【0051】
このように作成された記録媒体30による印刷物は、RFIDタグ40の貼付位置の反対側の面である表面に、機密情報等の重要度の高い情報が記載されている。そのため、印刷物管理方法として、入退室が管理される所定エリアでRFIDタグ40と通信可能な監視部を設け、悪意のあるユーザにRFIDタグ40が取り外されたとしても、RFIDタグ40との通信によって、RFIDタグ40の異常状態を検知でき、情報漏洩を防止することが可能となる。
【0052】
RFIDタグ40が保有する文書情報50には、タグ情報管理データ52としてRFIDタグ40の個数情報が含まれるので、印刷物のRFIDタグ40が取り外されると、監視部では、入退室が管理される所定エリアの外部へ持ち出す前にRFIDタグ40の個数が合致しないことが検知される。そのため、印刷物の持ち出し等の不正行為を把握することが可能となる。また、複数ページにわたる印刷物である場合には、RFIDタグ40が貼付されたページの抜取りを防止することができる。これによって、印刷物における情報管理が可能となる。
【0053】
RFIDタグ40の貼付位置は、記録媒体30に形成する画像中で、RFIDタグ40を最も取り外されたくない箇所を指定するように構成されてもよい。印刷装置1は複合機(MFP)であるに限らず、記録媒体30に画像を形成する機能を備えた装置であれば、例えばプリンタであってもよい。プリンタでの印刷処理であれば、PCでのプレビュー機能を利用して、RFIDタグ40の貼付位置を指定するように構成されてもよい。その場合、RFIDタグ40を1ページに必ず1つ貼付する設定が設けられることで、さらに有効に情報漏洩を防止できる。
【0054】
文書情報50に、資料情報管理データ51として決算情報等の重要度の高い情報を含むことを書き込み、その重要度情報に基づいて、利益の数値や売上げの数値等の自動判別によってRFIDタグ40の貼付位置を決定するように構成されてもよい。自動判別によるRFIDタグ40の貼付位置の決定には、このほか、個人情報を扱う資料や取引先情報を扱う資料において、個人名、会社名、連絡先、電話番号等の機密情報を設定してもよい。
【0055】
また、RFIDタグ40の貼付について、重要情報記載箇所31の裏面のほか、それほど重要度の高くない情報の裏面にもRFIDタグ40を貼付して、ダミータグ(ダミーとしてのRFIDタグ)を含めるようにしてもよい。RFIDタグ40が貼付されていることによって重要度の高い情報であると認識されやすくなる一方で、ダミータグを設けておくことで、重要度の高さを曖昧にして認識されにくくすることが可能となる。
【0056】
(実施形態2)
本発明に係る印刷装置は、印刷処理後の記録媒体にRFIDタグを貼付するように構成されるに限らず、RFIDタグが埋め込まれた記録媒体に画像を形成して、印刷物における情報管理を行うように構成されてもよい。
【0057】
図7は、本発明の実施形態2に係る印刷装置10の構成を示す機能ブロック図であり、
図8は、実施形態2におけるRFIDタグ40の配置例を示す説明図である。
【0058】
この形態に係る印刷装置10は、実施形態1の印刷装置1に設けられたタグ貼付部18を備えない点で特徴を有しており、その他の基本構成は実施形態1と共通するものである。そのため、印刷装置10について、実施形態1での説明と共通の参照符号を用いて説明し、重複する説明を省略する。
【0059】
記録媒体30にRFIDタグ40が埋設されて、あらかじめ備えられている場合、記録媒体30の外観上はRFIDタグ40が認識されにくい構成となっている。印刷装置10は、入力された印刷ジョブに基づいて画像処理部13で画像データを生成するとともに、制御部12では印刷ジョブに含まれる文書情報から、埋設されたRFIDタグ40の表面側を重要情報記載箇所31とする設定指示を送出する。
【0060】
適用される印刷物として、例えば所定の記入欄が設けられたフォーマット書類であって、ユーザはPC上に表示された記入欄に個人情報等の重量度の高い情報の入力を行う場合が想定される。この場合、
図8に示すように、印刷処理される記録媒体30には、記入欄に対応する位置にあらかじめRFIDタグ40が埋設されて用意されている。
【0061】
例えば1枚目の記録媒体30において、当該資料についての付帯情報「XXXX」の記載位置にはRFIDタグ40が埋設されている。加えて、氏名欄、および資料のタイトル等を表示する項目欄は空欄で設けられており、当該位置にRFIDタグ40が埋設されている。2枚目の記録媒体30においても同様に、各種の記入欄にRFIDタグ40が埋設されている。印刷処理によって、当該記入欄には例えば「AAAA」、「BBBB」等の画像が形成される。
【0062】
実施形態2に係る印刷装置10においても、前記と同様に、記録媒体30に形成する画像中で、重要度の高い情報が記載された箇所や、RFIDタグ40を取り外されたくない箇所に、RFIDタグ40が設けられている。そのため、印刷物管理方法として、入退室が管理される監視部を設けた所定エリアで、悪意のあるユーザにRFIDタグ40が取り外されたとしても、RFIDタグ40との通信によって、RFIDタグ40の異常状態を検知でき、情報漏洩を防止することが可能となる。また、埋設されたRFIDタグ40が取り外されると、重要情報記載箇所31が破損することになるので、記録媒体30上に記載されている画像を視認することができず、情報漏洩を防止することが可能となる。
【0063】
なお、情報書き込み部19は、印刷処理後の記録媒体30のRFIDタグ40に文書情報50を書き込むだけでなく、印刷処理前の記録媒体30のRFIDタグ40に対して文書情報50を書き込むように構成されてもよい。印刷処理前に文書情報50を書き込むように構成することで、RFIDタグ40に書き込めない等のエラーが発生すると、その記録媒体30への印刷処理を中断することで、不要な情報漏洩を防止することができる。
【0064】
以上のように、本発明に係る印刷装置1、10および印刷装置1、10を用いる印刷物管理方法によれば、機密情報等の重要度の高い情報の漏洩を防止することが可能となり、さらに、そのような情報が画像として形成された印刷物が外部に持ち出されるのを防止することが可能となる。
【0065】
本発明は、前記実施形態1および2に記載の構成に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、前記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0066】
1、10 印刷装置
11 表示部
12 制御部
13 画像処理部
14 RAM
15 記憶部
16 通信部
17 印刷部
18 タグ貼付部
19 情報書き込み部
21 貼付機構部
22 駆動機構部
30 記録媒体
31 重要情報記載箇所
40 RFIDタグ