(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】磁気センサ、センサヘッド及び電流センサ
(51)【国際特許分類】
G01R 33/02 20060101AFI20240828BHJP
G01R 15/06 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
G01R33/02 B
G01R15/06 A
(21)【出願番号】P 2020207774
(22)【出願日】2020-12-15
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596157780
【氏名又は名称】横河計測株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】坂本 和輝
(72)【発明者】
【氏名】品川 貴宣
(72)【発明者】
【氏名】南 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】吉原 智朗
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-128253(JP,A)
【文献】特開2013-058553(JP,A)
【文献】特開平07-131181(JP,A)
【文献】特開2007-057294(JP,A)
【文献】特開2016-048224(JP,A)
【文献】特開2012-068187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/02
G01R 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基板によって形成される磁気センサであって、
前記フレキシブル基板が、
帯状の励磁コアと前記励磁コアを巻回するように配置される励磁コイルとを備えるセンサ本体と、
帯状の導電体で形成されるシールド部を備える第1シールドと、
前記センサ本体と前記第1シールドとを橋渡する第1橋渡し部と、を有し、
前記第1シールドの前記シールド部が、前記第1橋渡し部を曲げることにより、前記励磁コイルを前記センサ本体の一方の面側から覆うように配置可能であ
り、
前記磁気センサが、前記励磁コイルに配線部を介して連なる端子部を有し、
前記端子部が、一対の端子を有し、
前記配線部が、一対の配線を有し、
一方の前記端子が、前記第1橋渡し部と前記第1シールドとを通る一方の前記配線を介して前記励磁コイルの一方の端部に接続し、
他方の前記端子が、前記第1橋渡し部と前記第1シールドとを通る他方の前記配線を介して前記励磁コイルの他方の端部に接続する、
磁気センサ。
【請求項2】
前記第1橋渡し部は、少なくとも、帯状の前記センサ本体の長手方向中央部と帯状の前記第1シールドの長手方向中央部とを連ねる、請求項1に記載の磁気センサ。
【請求項3】
前記第1橋渡し部は、前記センサ本体の前記長手方向中央部と前記第1シールドの前記長手方向中央部とのみを連ねる、請求項2に記載の磁気センサ。
【請求項4】
帯状の導電体で形成されるシールド部を備える第2シールドと、
前記センサ本体と前記第2シールドとを橋渡する第2橋渡し部と、を有し、
前記第2シールドの前記シールド部が、前記第2橋渡し部を曲げることにより、前記励磁コイルを前記センサ本体の他方の面側から覆うように配置可能であ
り、
前記第2橋渡し部が、前記第1橋渡し部に対し、前記センサ本体を挟んだ反対側に設けられ、
前記端子部が、GND端子を有し、
前記配線部が、GND配線を有し、
前記GND端子が、前記GND配線を介して前記第1シールドの前記シールド部に接続し、
前記第1シールドの前記シールド部が、前記第1橋渡し部内へ延びる延長部に連なり、
前記第2シールドの前記シールド部が、前記第2橋渡し部内へ延びる延長部に連なり、
前記磁気センサが、前記センサ本体を横断し前記第1シールドの前記シールド部の前記延長部と前記第2シールドの前記シールド部の前記延長部とを接続するGND接続部を有する、請求項1~3の何れか1項に記載の磁気センサ。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の磁気センサと、
前記磁気センサを環形状の少なくとも一部に沿って延びるように配置した状態で収容するセンサ収容部と、を有する、
センサヘッド。
【請求項6】
前記センサ収容部は、環形状の少なくとも一部に沿って各々延び、径方向に互いに対向する一対の支持面を有し、
前記一対の支持面が、前記第1橋渡し部を弾性変形によって曲げることで前記第1シールドの前記シールド部が前記励磁コイルを前記センサ本体の前記一方の面側から覆うように配置された状態で、前記磁気センサを挟持可能である、請求項5に記載のセンサヘッド。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のセンサヘッドと、
前記励磁コイルに接続される検出回路と、を有する、
電流センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、磁気センサ、センサヘッド及び電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
電流センサのセンサヘッド等に用いられ、フレキシブル基板によって形成される磁気センサとして、フレキシブル基板が、帯状の励磁コアと励磁コアを巻回するように配置される励磁コイルとを備えるセンサ本体を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の磁気センサは、フレキシブル基板が、センサ本体の一方の面に接着される導電体で形成されて励磁コイルをセンサ本体の一方の面側から覆うシールド部を有する場合がある。この場合、シールド部により、励磁コイルからの放射エネルギ(電界等)を吸収することができる。しかし、励磁コアと、励磁コアとは異材質の例えば銅製などのシールド部との間の熱膨張率の相違により、温度変化に応じてフレキシブル基板全体が歪み、その際の励磁コアの歪みによりセンサ特性が変化してしまうため、その分だけ温度変化に対するセンサ特性の変動が大きくなるという問題があった。
【0005】
そこで、本開示の目的は、シールド部を有するとともに温度変化に対するセンサ特性の変動が小さい磁気センサ、センサヘッド及び電流センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態に係る磁気センサは、フレキシブル基板によって形成される磁気センサであって、前記フレキシブル基板が、帯状の励磁コアと前記励磁コアを巻回するように配置される励磁コイルとを備えるセンサ本体と、帯状の導電体で形成されるシールド部を備える第1シールドと、前記センサ本体と前記第1シールドとを橋渡する第1橋渡し部と、を有し、前記第1シールドの前記シールド部が、前記第1橋渡し部を曲げることにより、前記励磁コイルを前記センサ本体の一方の面側から覆うように配置可能である。このような構成によれば、シールド部を、センサ本体の一方の面に接着されない状態で、励磁コイルをセンサ本体の一方の面側から覆うように配置することができるので、励磁コアとシールド部との熱膨張率の相違によって温度変化に応じてフレキシブル基板全体が歪むことを抑制することができ、それにより、温度変化に対するセンサ特性の変動を小さくすることができる。
【0007】
一実施形態において、前記センサ本体は、前記励磁コアを形成する帯状の磁性体層と前記磁性体層の両面を覆う絶縁体とで形成される中央層と、前記中央層の厚さ方向の両側に設けられる一対の導電体パターン層と、前記中央層を貫通するスルーホール群に充填される導電体で形成される充填導電体群と、を有し、前記一対の導電体パターン層と前記充填導電体群とで前記励磁コイルが形成される。このような構成によれば、センサ本体の厚さを効率的に低減することができる。
【0008】
一実施形態において、前記第1橋渡し部は、少なくとも、帯状の前記センサ本体の長手方向中央部と帯状の前記第1シールドの長手方向中央部とを連ねる。このような構成によれば、シールド部が励磁コイルをセンサ本体の一方の面側から覆うように配置された状態を容易に維持することができる。
【0009】
一実施形態において、前記第1橋渡し部は、前記センサ本体の前記長手方向中央部と前記第1シールドの前記長手方向中央部とのみを連ねる。このような構成によれば、励磁コアとシールド部との熱膨張率の相違によって温度変化に応じてフレキシブル基板全体が歪むことをより一層抑制することができ、それにより、温度変化に対するセンサ特性の変動をより一層小さくすることができる。
【0010】
一実施形態において、前記磁気センサは、帯状の導電体で形成されるシールド部を備える第2シールドと、前記センサ本体と前記第2シールドとを橋渡する第2橋渡し部と、を有し、前記第2シールドの前記シールド部が、前記第2橋渡し部を曲げることにより、前記励磁コイルを前記センサ本体の他方の面側から覆うように配置可能である。このような構成によれば、両シールド部により、励磁コイルをセンサ本体の両面側から覆うことができ、しかも、温度変化に対するセンサ特性の変動を小さくすることができる。
【0011】
一実施形態において、前記第2橋渡し部は、前記第1橋渡し部に対し、前記センサ本体を挟んだ反対側に設けられる。このような構成によれば、フレキシブル基板の構造を簡素化し、その製造を容易化することができる。
【0012】
一実施形態において、前記磁気センサは、前記励磁コイルに配線部を介して連なる端子部を有し、前記配線部の少なくとも一部が、前記第1橋渡し部と前記第1シールドとに設けられる。このような構成によれば、励磁コイルのための配線部を効率的に設けることができるので、フレキシブル基板の構造を簡素化し、その製造を容易化することができる。
【0013】
幾つかの実施形態に係るセンサヘッドは、前記磁気センサと、前記磁気センサを環形状の少なくとも一部に沿って延びるように配置した状態で収容するセンサ収容部と、を有する。このような構成によれば、シールド部を有するとともに温度変化に対するセンサ特性の変動が小さいセンサヘッドを実現することができる。
【0014】
一実施形態において、前記センサ収容部は、環形状の少なくとも一部に沿って各々延び、径方向に互いに対向する一対の支持面を有し、前記一対の支持面が、前記第1橋渡し部を弾性変形によって曲げることで前記第1シールドの前記シールド部が前記励磁コイルを前記センサ本体の前記一方の面側から覆うように配置された状態で、前記磁気センサを挟持可能である。このような構成によれば、曲げられた第1橋渡し部の弾性により、磁気センサを一対の支持面に押し付けることができるので、磁気センサを一対の支持面でしっかりと挟持することができる。
【0015】
一実施形態において、前記センサ収容部は、前記一対の支持面を有する磁気コアを有する。このような構成によれば、センサヘッドの小型化を図りつつ、その検出感度を効率的に高めることができる。
【0016】
一実施形態において、前記センサヘッドは、前記磁気センサと前記センサ収容部とを各々備える一対の部分ヘッドを有し、両部分ヘッドが、前記両部分ヘッドの一端同士が接近し前記両部分ヘッドが全体として環形状となる閉状態と、前記両部分ヘッドの前記一端同士が離間した開状態とを切り替え可能に配置される。このような構成によれば、センサヘッドを、電線等の測定対象に対して容易に配置することができる。
【0017】
一実施形態において、各々の前記部分ヘッドの前記センサ収容部は、前記一対の支持面を備える磁気コアを有する。このような構成によれば、センサヘッドの小型化を図りつつ、その検出感度を効率的に高めることができる。
【0018】
幾つかの実施形態に係る電流センサは、前記センサヘッドと、前記励磁コイルに接続される検出回路と、を有する。このような構成によれば、シールド部を有するとともに温度変化に対するセンサ特性の変動が小さい電流センサを実現することができる。
【0019】
一実施形態において、前記センサヘッドは前記一対の部分ヘッドを有し、前記検出回路は両部分ヘッドの励磁コイルに接続される。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、シールド部を有するとともに温度変化に対するセンサ特性の変動が小さい磁気センサ、センサヘッド及び電流センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一実施形態に係る磁気センサを示す平面図である。
【
図6】
図1に示す磁気センサを備える電流センサを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本開示に係る実施形態について詳細に例示説明する。
【0023】
図1に示す本実施形態に係る磁気センサ1は、フレキシブル基板2によって形成される。フレキシブル基板2は、センサ本体3、第1シールド4a、第2シールド4b、第1橋渡し部5a、第2橋渡し部5b及び端子引き出し部6を有する。
【0024】
図1及び
図2に示すように、センサ本体3は、直線状に延びる帯状の励磁コア7と、励磁コア7を巻回するように配置される励磁コイル8と、を有する。より具体的に、センサ本体3は、励磁コア7を形成する帯状の磁性体層9と磁性体層9の両面を覆う絶縁体10とで形成される中央層11と、中央層11の厚さ方向(つまり、
図2における上下方向)の両側に設けられる一対の導電体パターン層12と、中央層11を貫通するスルーホール群に充填される導電体で形成される充填導電体群13と、を有し、一対の導電体パターン層12と充填導電体群13とで励磁コイル8が形成される。センサ本体3は、励磁コア7の長手方向(つまり、
図1における左右方向)に直線状に延びる帯状をなす。
【0025】
図1に示すように、第1シールド4aは、励磁コア7の長手方向に直線状に延びる帯状の導電体で形成されるシールド部14aを有する。シールド部14aは例えば銅製である。第1シールド4aのシールド部14aは、第1橋渡し部5aを曲げることにより、励磁コイル8をセンサ本体3の一方の面側から覆うように配置可能である。
【0026】
第1橋渡し部5aは、センサ本体3と第1シールド4aとを橋渡する。より具体的に、第1橋渡し部5aは、センサ本体3の長手方向中央部と第1シールド4aの長手方向中央部とのみを連ねる。
【0027】
第2シールド4bは、励磁コア7の長手方向に直線状に延びる帯状の導電体で形成されるシールド部14bを有する。シールド部14bは例えば銅製である。第2シールド4bのシールド部14bは、第2橋渡し部5bを曲げることにより、励磁コイル8をセンサ本体3の他方の面側から覆うように配置可能である。
【0028】
第2橋渡し部5bは、センサ本体3と第2シールド4bとを橋渡する。より具体的に、第2橋渡し部5bは、第1橋渡し部5aに対しセンサ本体3を挟んだ反対側に設けられ、且つ、センサ本体3の長手方向中央部と第2シールド4bの長手方向中央部とのみを連ねる。
【0029】
第1橋渡し部5aは、D線で山折り又は谷折りとなるように曲げられる。第1橋渡し部5aがD線で山折りとなるように曲げられるときには、第2橋渡し部5bは、E線で谷折りとなるように曲げられる。第1橋渡し部5aがD線で谷折りとなるように曲げられるときには、第2橋渡し部5bは、E線で山折りとなるように曲げられる。
【0030】
図1及び
図3に示すように、端子引き出し部6は、第1シールド4aに連なり、配線部15の一部と端子部16とを有する。配線部15は、一対の配線15aとGND配線15bとで構成される。端子部16は、一対の端子16aとGND端子16bとで構成される。一方の端子16aは一方の配線15aを介して励磁コイル8の一方の端部8aに接続し、他方の端子16aは他方の配線15aを介して励磁コイル8の他方の端部8aに接続する。つまり、一対の配線15aは、第1シールド4aと第1橋渡し部5aとを通って励磁コイル8の各々の端部8aまで延びる。GND端子16bはGND配線15bを介して第1シールド4aのシールド部14aに接続する。
【0031】
第1シールド4aのシールド部14aは、第1橋渡し部5a内へ延びる延長部に連なる。第2シールド4bのシールド部14bは、第2橋渡し部5b内へ延びる延長部に連なる。第1シールド4aのシールド部14aの延長部と第2シールド4bのシールド部14bの延長部とは、
図1に示すように、センサ本体3を横断するGND接続部15cを介して互いに接続する。
【0032】
第1橋渡し部5a、第1シールド4a及び端子引き出し部6は、配線部15及び一対の端子16aと、第1シールド4aのシールド部14aの延長部、第1シールド4aのシールド部14a、GND配線15b及びGND端子16bと、を互いに絶縁する絶縁層17を有する。なお、フレキシブル基板2の両面側(つまり、
図2又は
図3における上下面側)の表面は、図示しない絶縁膜で形成される。
【0033】
本実施形態に係る磁気センサ1によれば、第1シールド4aのシールド部14aを、センサ本体3の一方の面に接着されない状態で、励磁コイル8をセンサ本体3の一方の面側から覆うように配置することができ、第2シールド4bのシールド部14bを、センサ本体3の他方の面に接着されない状態で、励磁コイル8をセンサ本体3の他方の面側から覆うように配置することができる。
【0034】
したがって、センサ本体3の両面にシールド部14a、14bが接着される
図4及び
図5に示す比較例としての磁気センサ1に比べて、励磁コア7と第1シールド4aのシールド部14a及び第2シールド4bのシールド部14bとの熱膨張率の相違によって温度変化に応じてフレキシブル基板2全体が歪むことを抑制することができ、それにより、温度変化に対するセンサ特性の変動を小さくすることができる。なお、
図4及び
図5において、
図1~
図3に示す要素に対応する要素に同一の符号を付す。
【0035】
このように、本実施形態によれば、シールド部14a、14bを第1橋渡し部5a及び第2橋渡し部5bを介してセンサ本体3に連ねる構成により、熱膨張係数の相違によるフレキシブル基板2の歪みが抑制される。したがって、シールド部14a、14bを有するとともに温度変化に対するセンサ特性の変動が小さい磁気センサ1を実現することができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、センサ本体3が磁性体層9と一対の導電体パターン層12と充填導電体群13とを有するので、センサ本体3の厚さを効率的に低減することができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、第1橋渡し部5aがセンサ本体3の長手方向中央部と第1シールド4aの長手方向中央部とを連ねるので、第1シールド4aのシールド部14aが励磁コイル8をセンサ本体3の一方の面側から覆うように配置された状態を容易に維持することができる。
【0038】
また、本実施形態によれば、第1橋渡し部5aがセンサ本体3の長手方向中央部と第1シールド4aの長手方向中央部とのみを連ねるので、この点からも、励磁コア7と第1シールド4aのシールド部14aとの熱膨張率の相違によって温度変化に応じてフレキシブル基板全体が歪むことを抑制することができ、それにより、温度変化に対するセンサ特性の変動を小さくすることができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、第2橋渡し部5bが第1橋渡し部5aに対し、センサ本体3を挟んだ反対側に設けられるので、フレキシブル基板2の構造を簡素化し、その製造を容易化することができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、磁気センサ1が励磁コイル8に配線部15を介して連なる端子部16を有し、配線部15の一部が第1橋渡し部5aと第1シールド4aとに設けられるので、励磁コイル8のための配線部15を効率的に設けることができ、この点からも、フレキシブル基板2の構造を簡素化し、その製造を容易化することができる。
【0041】
本実施形態に係る磁気センサ1は、
図6に示す電流センサ18を形成することができる。電流センサ18は、センサヘッド19と検出回路20を有する。センサヘッド19は、磁気センサ1とセンサ収容部21とを各々備える一対の部分ヘッド19aを有する。つまり、電流センサ18は、分割型電流センサとして構成される。
【0042】
両部分ヘッド19aは、両部分ヘッド19aの一端19b同士が接近し両部分ヘッド19aが全体として環形状となる閉状態と、両部分ヘッド19aの一端19b同士が離間した開状態とを切り替え可能に配置される。例えば、
図6において右側に位置する部分ヘッド19aを実線で示す位置から二点鎖線で示す位置まで移動させることにより、センサヘッド19を閉状態から開状態にすることができる。
【0043】
したがって、センサヘッド19を閉状態から開状態にし、電線等の測定対象22を両部分ヘッド19aの一端19b同士の隙間からセンサヘッド19の内側に挿入し、センサヘッド19を再び閉状態にすることができるので、センサヘッド19を測定対象22に対して容易に配置することができる。
【0044】
図6及び
図7に示すように、各々の部分ヘッド19aのセンサ収容部21は、磁気センサ1を中心軸線Oを周回する円環形状の一部に沿って延びるように配置した状態で収容する。
【0045】
各々のセンサ収容部21は、中心軸線Oを周回する円環形状の一部に沿って各々延び、径方向に互いに対向する一対の支持面23を有する。各々の一対の支持面23は、第1橋渡し部5aを弾性変形によって曲げることで第1シールド4aのシールド部14aが励磁コイル8をセンサ本体3の一方の面側から覆うように配置され、且つ、第2橋渡し部5bを弾性変形によって曲げることで第2シールド4bのシールド部14bが励磁コイル8をセンサ本体3の他方の面側から覆うように配置された状態で、磁気センサ1を挟持可能である。各々のセンサ収容部21は、一対の支持面23を備える磁気コア24を有する。各々の磁気コア24は、磁性体で形成され、中心軸線Oを周回する円環形状の一部に沿って延びる。
【0046】
なお、各々のセンサ収容部21、磁気コア24及び一対の支持面23は、円環形状以外の環形状、例えば多角形状の環形状の一部に沿って延びる構成としてもよい。
【0047】
各々の磁気コア24は、中心軸線Oに沿う方向である軸方向に開口するスリット25を有し、スリット25の内周面と外周面で一対の支持面23が形成される。各々の磁気コア24は、複数の鋼板24aで構成される積層鋼板によって形成される。
【0048】
各々の磁気コア24は、スリット25に連なるとともに中心軸線Oを周回する方向である周方向に磁気コア24を分割する分割部26を有する。各々の磁気センサ1は、分割部26からスリット25内に漏れる磁気コア24からの漏洩磁束を励磁コア7で捕捉することで、良好な検出感度を発揮することができる。
【0049】
検出回路20は、両部分ヘッド19aの励磁コイル8に端子部16を介して接続され、閉状態の両部分ヘッド19aの内側に配置された測定対象22に流れる電流の大きさに相関する電流値又は電圧値を出力するように構成される。測定対象22に直流又は交流の電流が流れることで、両磁気センサ1の励磁コア7が励磁され、測定対象22に流れる電流に相関する起電力が両励磁コイル8に生じる。検出回路20は、この起電力に相関する電流値又は電圧値を出力する。したがって、電流センサ18は、測定対象22に流れる電流の大きさを測定することができる。
【0050】
したがって、本実施形態によれば、シールド部14a、14bを有するとともに温度変化に対するセンサ特性の変動が小さいセンサヘッド19及び電流センサ18を実現することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、曲げられた第1橋渡し部5a及び第2橋渡し部5bの弾性により、磁気センサ1を一対の支持面23に押し付けることができるので、磁気センサ1を一対の支持面23でしっかりと挟持することができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、センサヘッド19が一対の部分ヘッド19aを有し、両部分ヘッド19aが閉状態と開状態とを切り替え可能に配置されるので、センサヘッド19を、電線等の測定対象に対して容易に配置することができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、各々の部分ヘッド19aのセンサ収容部21が一対の支持面23を備える磁気コア24を有するので、センサヘッド19の小型化を図りつつ、その検出感度を効率的に高めることができる。
【0054】
前述した実施形態は本開示の一例であり、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0055】
例えば、前述した実施形態に係る磁気センサ1、センサヘッド19及び電流センサ18は、以下に述べるような種々の変更が可能である。
【0056】
前述した実施形態に係る磁気センサ1は、フレキシブル基板2によって形成される磁気センサ1であって、フレキシブル基板2が、帯状の励磁コア7と励磁コア7を巻回するように配置される励磁コイル8とを備えるセンサ本体3と、帯状の導電体で形成されるシールド部14aを備える第1シールド4aと、センサ本体3と第1シールド4aとを橋渡する第1橋渡し部5aと、を有し、第1シールド4aのシールド部14aが、第1橋渡し部5aを曲げることにより、励磁コイル8をセンサ本体3の一方の面側から覆うように配置可能である限り、種々の変更が可能である。
【0057】
しかし、センサ本体3は、励磁コア7を形成する帯状の磁性体層9と磁性体層9の両面を覆う絶縁体10とで形成される中央層11と、中央層11の厚さ方向の両側に設けられる一対の導電体パターン層12と、中央層11を貫通するスルーホール群に充填される導電体で形成される充填導電体群13と、を有し、一対の導電体パターン層12と充填導電体群13とで励磁コイル8が形成されることが好ましい。
【0058】
また、第1橋渡し部5aは、少なくとも、帯状のセンサ本体3の長手方向中央部と帯状の第1シールド4aの長手方向中央部とを連ねることが好ましい。
【0059】
また、第1橋渡し部5aは、センサ本体3の長手方向中央部と第1シールド4aの長手方向中央部とのみを連ねることが好ましい。
【0060】
また、磁気センサ1は、帯状の導電体で形成されるシールド部14bを備える第2シールド4bと、センサ本体3と第2シールド4bとを橋渡する第2橋渡し部5bと、を有し、第2シールド4bのシールド部14bが、第2橋渡し部5bを曲げることにより、励磁コイル8をセンサ本体3の他方の面側から覆うように配置可能であることが好ましい。
【0061】
また、第2橋渡し部5bは、第1橋渡し部5aに対し、センサ本体3を挟んだ反対側に設けられることが好ましい。
【0062】
また、磁気センサ1は、励磁コイル8に配線部15を介して連なる端子部16を有し、配線部15の少なくとも一部が、第1橋渡し部5aと第1シールド4aとに設けられることが好ましい。
【0063】
前述した実施形態に係るセンサヘッド19は、磁気センサ1と、磁気センサ1を環形状の少なくとも一部に沿って延びるように配置した状態で収容するセンサ収容部21と、を有する限り、種々の変更が可能である。
【0064】
しかし、センサ収容部21は、環形状の少なくとも一部に沿って各々延び、径方向に互いに対向する一対の支持面23を有し、一対の支持面23が、第1橋渡し部5aを弾性変形によって曲げることで第1シールド4aのシールド部14aが励磁コイル8をセンサ本体3の一方の面側から覆うように配置された状態で、磁気センサ1を挟持可能であることが好ましい。
【0065】
また、センサ収容部21は、一対の支持面23を有する磁気コア24を有することが好ましい。
【0066】
また、センサヘッド19は、磁気センサ1とセンサ収容部21とを各々備える一対の部分ヘッド19aを有し、両部分ヘッド19aが、両部分ヘッド19aの一端19b同士が接近し両部分ヘッド19aが全体として環形状となる閉状態と、両部分ヘッド19aの一端19b同士が離間した開状態とを切り替え可能に配置されることが好ましい。
【0067】
また、各々の部分ヘッド19aのセンサ収容部21は、一対の支持面23を備える磁気コア24を有することが好ましい。
【0068】
前述した実施形態に係る電流センサ18は、センサヘッド19と、励磁コイル8に接続される検出回路20と、を有する限り、種々の変更が可能である。
【0069】
しかし、センサヘッド19は一対の部分ヘッド19aを有し、検出回路20は両部分ヘッド19aの励磁コイル8に接続されることが好ましい。
【符号の説明】
【0070】
1 磁気センサ
2 フレキシブル基板
3 センサ本体
4a 第1シールド
4b 第2シールド
5a 第1橋渡し部
5b 第2橋渡し部
6 端子引き出し部
7 励磁コア
8 励磁コイル
8a 励磁コイルの端部
9 磁性体層
10 絶縁体
11 中央層
12 導電体パターン層
13 充填導電体群
14a 第1シールドのシールド部
14b 第2シールドのシールド部
15 配線部
15a 配線
15b GND配線
15c GND接続部
16 端子部
16a 端子
16b GND端子
17 絶縁層
18 電流センサ
19 センサヘッド
19a 部分ヘッド
19b 部分ヘッドの一端
20 検出回路
21 センサ収容部
22 測定対象
23 支持面
24 磁気コア
24a 鋼板
25 スリット
26 分割部
O 中心軸線