(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】パンツ型使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
A61F 13/496 20060101AFI20240828BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20240828BHJP
A61F 13/494 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
A61F13/496
A61F13/49 311Z
A61F13/49 312Z
A61F13/49 410
A61F13/494 110
(21)【出願番号】P 2020208801
(22)【出願日】2020-12-16
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南岡 政宏
(72)【発明者】
【氏名】辻村 織恵
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大輔
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-255846(JP,A)
【文献】特開2016-022235(JP,A)
【文献】特開2007-098161(JP,A)
【文献】特開2018-050830(JP,A)
【文献】特開2011-152209(JP,A)
【文献】特開2018-082865(JP,A)
【文献】特許第6247728(JP,B1)
【文献】特開平11-299828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の腹側に配される腹側部と、着用者の背側に配される背側部と、該腹側部及び該背側部の間に位置する股下部とを有し、吸収性コアを含む吸収体を有する吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを備え、該腹側部から該股下部を介して該背側部に延びる方向に対応する縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有し、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部を有するパンツ型使い捨ておむつであって、
前記吸収性本体の肌対向面側における側部域に、
前記縦方向に沿って延びる一対の防漏カフが設けられており、
前記防漏カフは、その自由端又はその近傍の位置に、
前記縦方向に沿って延びる防漏カフ形成用弾性部材を有しており、
前記外装体は、前記腹側部及び前記背側部に、
前記横方向に沿って伸縮性を有する腹側伸縮性シート及び背側伸縮性シートをそれぞれ備えており、
前記外装体は、前記腹側部及び前記背側部それぞれに、前記ウエスト開口部の開口縁に沿って配され且つ
前記横方向に伸縮性を有する第1弾性部材を備えており、
前記外装体は、前記腹側部において、該腹側部における前記股下部寄りの位置に、
前記横方向に沿って配され且つ
該横方向に伸縮性を有する第2弾性部材を備えており、
前記外装体は、前記腹側部において、第1弾性部材と第2弾性部材との間に、
前記横方向に沿う弾性部材を備えていない弾性部材非配置領域を備えており、
前記外装体は、前記背側部において、第2弾性部材を備えておらず、
前記外装体は、前記レッグ開口部の周縁部に沿う弾性部材を備えておらず、
前記吸収性本体における前記腹側部側の端部は、第2弾性部材を越えて前記ウエスト開口部側に位置しており、
前記防漏カフ形成用弾性部材は、第2弾性部材と交差しており、
前記吸収性コアにおける前記腹側部側の端縁は、第2弾性部材まで達しておらず、
第2弾性部材の伸長率が、前記腹側部に位置する前記伸縮性シートの伸長率よりも高い、パンツ型使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記吸収性コアは、前記縦方向の中央域に幅狭部を有し且つ該幅狭部の前後それぞれに該幅狭部より幅が広い幅広部を有しており、
平面視において前記幅広部と前記伸縮性シートとが重なっている、請求項1に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項3】
第2弾性部材は、その全長にわたって伸縮性を発現するように配されている、請求項1又は2に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記腹側伸縮性シートは、第2弾性部材を越えて前記股下部側に延出している、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項5】
第1弾性部材は、第2弾性部材よりも伸長率が高い状態で配されている、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記背側伸縮性シートは、前記腹側伸縮性シートよりも前記縦方向の寸法が長い、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のパンツ型使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツ型使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
着用者の脚周りへのフィット性を高める目的で、レッグ開口部又はその近傍の位置に弾性部材を配したパンツ型使い捨ておむつが知られている。例えば特許文献1及び2には、レッグ開口部の開口縁部に沿って弾性部材を配したパンツ型使い捨ておむつが記載されている。特許文献1及び2のおむつにおいては、弾性部材が収縮することによって前記開口縁部にひらひらした形状のレッグギャザーが形成される。
特許文献3には、股下部に、おむつの幅方向に沿って弾性部材を配したパンツ型使い捨ておむつが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-131568号公報
【文献】特開2016-87285号公報
【文献】特開2013-255846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2に記載のパンツ型使い捨ておむつにおいては、レッグギャザーがひらひらした形状を有することにより、下着らしい外観が損なわれてしまうという不都合がある。特許文献3に記載のパンツ型使い捨ておむつも、下着らしさは十分ではなく、おむつの外観の更なる向上が望まれている。
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得るパンツ型使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、着用者の腹側に配される腹側部と、着用者の背側に配される背側部と、該腹側部及び該背側部の間に位置する股下部とを有し、吸収性コアを含む吸収体を有する吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを備え、該腹側部から該股下部を介して該背側部に延びる方向に対応する縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有し、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部を有するパンツ型使い捨ておむつであって、
前記吸収性本体の肌対向面側における側部域に、長手方向に沿って延びる一対の防漏カフが設けられており、
前記防漏カフは、その自由端又はその近傍の位置に、長手方向に沿って延びる防漏カフ形成用弾性部材を有しており、
前記外装体は、前記腹側部及び前記背側部に、横方向に沿って伸縮性を有する腹側伸縮性シート及び背側伸縮性シートをそれぞれ備えており、
前記外装体は、前記腹側部及び前記背側部それぞれに、前記ウエスト開口部の開口縁に沿って配され且つ横方向に伸縮性を有する第1弾性部材を備えており、
前記外装体は、前記腹側部において、該腹側部における前記股下部寄りの位置に、横方向に沿って配され且つ横方向に伸縮性を有する第2弾性部材を備えており、
前記外装体は、前記腹側部において、第1弾性部材と第2弾性部材との間に、横方向に沿う弾性部材を備えていない弾性部材非配置領域を備えており、
前記外装体は、前記背側部において、第2弾性部材を備えておらず、
前記外装体は、前記レッグ開口部の周縁部に沿う弾性部材を備えておらず、
前記吸収性本体における前記腹側部側の端部は、第2弾性部材を越えて前記ウエスト開口部側に位置しており、
前記防漏カフ形成用弾性部材は、第2弾性部材と交差しており、
前記吸収性コアにおける前記腹側部側の端縁は、第2弾性部材まで達しておらず、
第2弾性部材の伸長率が、前記腹側部に位置する前記伸縮性シートの伸長率よりも高い、パンツ型使い捨ておむつを提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、脚周りのフィット性に優れるとともに、下着らしいすっきりとした外観を呈するパンツ型使い捨ておむつが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつの自然状態を模式的に示す正面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すおむつの展開且つ伸長状態における肌対向面側を模式的に示す展開平面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すおむつの展開且つ伸長状態における肌対向面側を模式的に示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1ないし
図4には、本発明のパンツ型使い捨ておむつの一実施形態が示されている。
図1及び
図2に示すとおり、パンツ型使い捨ておむつ1は、着用者の前後方向に相当する縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを有する。本明細書において、「着用者の前後方向」とは、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる方向を指す。おむつ1は、股下部C並びに該股下部Cの前後から縦方向Xに延出する腹側部A及び背側部Bを有する。すなわち、股下部Cは、腹側部A及び背側部Bの間に位置している。おむつ1は、腹側部Aから股下部Cを介して背側部Bに延びる縦方向Xに延在している。股下部Cは、おむつ1の着用状態において着用者の股間部に配される部位である。腹側部Aは、おむつ1の着用状態において股下部Cよりも着用者の腹側すなわち前側に配される部位である。背側部Bは、おむつ1の着用状態において股下部Cよりも着用者の背側すなわち後側に配される部位である。
【0009】
おむつ1は、液保持性の吸収体23を具備する吸収性本体2と、該吸収性本体2の非肌対向面側に配された外装体3とを備えている。外装体3は、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける縦方向Xに沿う両側縁部AS,BSどうしが、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。これによりおむつ1には、一対のサイドシール部(図示せず)、着用者の胴が通されるウエスト開口部WH、及び着用者の下肢が通される一対のレッグ開口部LH,LHが形成されている(
図1参照)。
【0010】
吸収性本体2は、平面視長方形形状をなし、縦方向Xに延在しており、その長手方向を展開且つ伸長状態におけるおむつ1の縦方向Xに一致させて、外装体3の横方向Yの中央部に配置されている。吸収性本体2は、例えば接着剤によって外装体3に接合されている。
【0011】
吸収性本体2は、肌対向面を形成する液透過性の表面シート(図示せず)、非肌対向面を形成する液不透過性若しくは液難透過性又は撥水性の裏面シート(図示せず)、及びこれら表面シート及び裏面シート間に介在配置された液保持性の吸収体23を具備しており、これらが接着剤等の公知の接合手段により一体化されて構成されている。吸収体23は、吸収性コア24を含んで構成されている。吸収性コア24は、少なくともその肌対向面が液透過性のコアラップシートで覆われていてもよく、肌対向面及び非肌対向面を含む表面の全域がコアラップシートで覆われていてもよい。
【0012】
本明細書において「肌対向面」は、おむつ又はその構成部材(例えば吸収性本体)における、おむつの着用時に着用者の肌側に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌に近い側であり、「非肌対向面」は、おむつ又はその構成部材における、おむつの着用時に肌側とは反対側、すなわち相対的に着用者の肌から遠い側に向けられる面である。
「着用時」は、通常の適正な着用位置、すなわち当該おむつの正しい着用位置が維持された状態を意味し、おむつが該着用位置からずれた状態にある場合は含まない。
【0013】
吸収性本体2の肌対向面における側部域には、
図2に示すとおり、一対の防漏カフ6,6が設けられている。防漏カフ6は、長手方向Xに沿って延びている。
【0014】
防漏カフ6は、横方向Yの一端側が他の構成部材、例えば裏面シート22と内層シート37との間に固定されて固定端部とされている。また防漏カフ6は、横方向Yの他端側が他の構成部材に非固定の自由端6aとされている。防漏カフ6は、その自由端6a又はその近傍の位置に、長手方向Xに沿って延びる防漏カフ形成用弾性部材61を有している。本実施形態においては、
図2に示すとおり、防漏カフ6の自由端6aに、糸状又は帯状の防漏カフ形成用弾性部材61が長手方向Xに伸長状態で配置されている。防漏カフ6は、伸長状態で配された防漏カフ形成用弾性部材61がおむつ1の着用時に収縮することによって少なくとも股下部Cで起立し、それによって尿等の排泄物の横方向Yの外方への流出が阻止される。
【0015】
外装体3は、おむつ1の外形、すなわち、腹側部A、股下部C及び背側部Bそれぞれの外形を形成している。外装体3は、
図2に示すとおり、展開且つ伸長状態の平面視において、腹側部A及び背側部Bにおいては、縦方向Xよりも横方向Yの長さが長い矩形形状をなし、股下部Cにおいては、縦方向Xに沿う両側縁部、すなわち一対のレッグ縁部LE,LEが横方向Yの内方に向けて括れた形状をなしている。
【0016】
外装体3は、複数枚のシートが積層されて構成されている。詳細には、
図3に示すとおり、非肌対向面側から肌対向面側に向かって伸縮性シート31、外層シート35、及び内層シート37がこの順で積層されている。外層シート35は、外装体3の全域に位置している。伸縮性シート31及び内層シート37は、外装体3の一部に位置している。
【0017】
伸縮性シート31は、横方向Yに伸縮性を有しているシートである。伸縮性シート31は、これを最大伸長となるまで所定の方向(横方向Y)に引っ張った後、引っ張り力を開放したときの該伸縮性シート31の全長が、伸び量の好ましくは1/3以下となる伸縮性を有する。前記「伸び量」は、最大伸長となるまで伸長させた状態の全長から、引っ張り力を開放したときの全長を減算した長さである。本発明に用いられる伸縮性シートとしては、例えば弾性樹脂を原料とする弾性繊維層の少なくとも一面に、実質的に非弾性の非弾性繊維層が配され、これらの繊維形態を保ったまま熱融着によって接合された積層不織布や、特開2008-179128号公報及び特開2007-22066号公報に記載の伸縮性シート等を用いることができる。弾性繊維としては、スチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー又はポリウレタン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー、ゴム等の弾性樹脂を原料とする繊維を用いることができる。また、非弾性繊維としては、熱可塑性樹脂を原料とした繊維を用いることができる。
【0018】
伸縮性シート31は、少なくとも腹側部A及び背側部Bにおいて、おむつ1の外面、すなわち非肌対向面を形成している。伸縮性シート31は、
図3及び
図4に示すとおり、腹側部Aに配されたシート(以下、「腹側伸縮性シート」という。)31aと、背側部Bに配されたシート(以下、「背側伸縮性シート」という。)31bとに分割されている。腹側伸縮性シート31aは、腹側部Aの全域に位置しており且つ一部が股下部Cまで延出している。同様に、背側伸縮性シート31bは、背側部Bの全域に位置しており且つ一部が股下部Cまで延出している。股下部Cの長手方向中央域には、腹側伸縮性シート31a及び背側伸縮性シート31bのいずれもが非配置状態になっている。
【0019】
腹側伸縮性シート31a及び背側伸縮性シート31bは、
図3及び
図4に示すとおり、吸収性本体2の縦方向の各端縁から外方に向けて延出した延出部を有している。この延出部は、ウエスト開口部WHの周縁端WEの位置で肌対向面側に折り返されて折り返し部a,bを形成している。
【0020】
外層シート35は、伸縮性シート31と内層シート37との間に配置されている。外層シート35は、腹側部A及び背側部Bに位置する伸縮性シート31a,31bに架け渡して固定されている。外層シート35は、両伸縮性シート31a,31b間の位置、すなわち股下部Cにおいておむつ1の外面を形成している。
【0021】
外層シート35は、伸縮性シート31a,31bと同様に、ウエスト開口部WHの周縁端WEに沿って肌対向面側に折り返された折り返し部35a,35bを有している。折り返し部35a,35bは、伸縮性シート31の折り返し部a,bよりも縦方向X内方まで延在している。折り返し部35a,35bは、吸収性本体2の縦方向Xの端部を被覆している。
【0022】
内層シート37は、外層シート35の肌対向面側に配置されている。内層シート37は、後述する第2弾性部材42を外層シート35とともに挟持固定している。
以上、外装体3を構成する各シート31,35,37は、例えば接着剤等の公知の接合手段によって接合されている。
【0023】
図3に示すとおり、外装体3は、伸縮性シート31及び該伸縮性シート31の折り返し部a,bの間に伸長状態で配された複数本の糸状又は帯状の弾性部材41を備えている。具体的には、腹側部A及び背側部Bそれぞれに、ウエスト開口部WHの開口縁WEに沿って複数本の弾性部材(以下、「第1弾性部材」という。)41が配されている。第1弾性部材41は、横方向Yに伸縮性を有する。第1弾性部材41は、横方向Yに伸長状態で且つ縦方向Xに所定間隔を置いて間欠配置されている。第1弾性部材41は、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける縦方向Xに沿う両側縁部AS,BSどうしの間、すなわち横方向Yにおけるサイドシール部間に配されている。第1弾性部材41は、外装体3の横方向Yの略全長に延在している。第1弾性部材41は、その略全長にわたり伸縮性が発現される状態で配されている。これにより、ウエスト開口部WHの全周に沿って実質的に連続した環状のウエストギャザーが形成される。
【0024】
第1弾性部材41は、サイドシール部の長さLsに対して、ウエスト開口部WHの周縁端WEから好ましくは20%以上30%以下、更に好ましくは22%以上28%以下の長さの範囲に配置されている。
【0025】
外装体3は、外層シート35及び内層シート37の間に伸長状態で配された複数本の糸状又は帯状の弾性部材42を備えている。具体的には、腹側部Aにおける股下部C寄りの位置に弾性部材(以下、「第2弾性部材」という。)42が横方向Yに沿って配されている。第2弾性部材42は横方向Yに伸縮性を有する。このように第2弾性部材42が配されていることにより、おむつ1のレッグ開口部LHの周縁部LE(
図2参照)が伸縮するので、おむつ1は脚周りのフィット性に優れたものになる。この効果を一層顕著にする観点から、腹側部Aに位置する側縁部ASにおける股下部C側の端部から、最もウエスト開口部WH側に位置する第2弾性部材42までの距離L2(
図2参照)が、縦方向Xにおける該側縁部ASの長さL1(
図2参照)に対して、好ましくは25%以下、より好ましくは22%以下であり、好ましくは10%以上、より好ましくは13%以上であり、好ましくは10%以上25%以下、より好ましくは13%以上22%以下である。
【0026】
外装体3は、腹側部Aのみに第2弾性部材42を備えている。すなわち、外装体3は、背側部Bに第2弾性部材42を備えていない。これにより、例えばおむつ1を平置きしたときに、レッグ開口部LHの周縁部LEのうち腹側部A側のみが収縮するので、
図1に示すとおり、おむつ1を前身頃から見たときに、おむつ1の後身頃がレッグ開口部LHから目視されやすくなって、おむつ1の外観がより下着らしいすっきりとしたものとなる。
【0027】
第2弾性部材42はその伸長率R1が、腹側伸縮性シート31aの伸長率R2よりも高い状態で配置されている。換言すると、外装体3において第2弾性部材42は、腹側伸縮性シート31aよりも高い引っ張り力で引き伸ばされており、その状態で固定されている。第2弾性部材42の伸長率R1と腹側伸縮性シート31aの伸長率R2とをこのような関係とすることにより、腹側部Aのうち、股下部C寄りの部分が、腹側部Aの他の部分に比して、より強く横方向Y内方に向けて収縮されやすくなる。これにより、おむつ1を前身頃から見たときに、該おむつ1の後身頃がレッグ開口部LHから目視されやすくなって、おむつ1の外観がより下着らしいものとなる。この効果を一層顕著にする観点から、腹側伸縮性シート31aの伸長率R2に対する第2弾性部材42の伸長率R1の比R1/R2は、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上であり、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.4以下であり、好ましくは1.1以上1.5以下、より好ましくは1.2以上1.4以下である。
【0028】
第2弾性部材42及び腹側伸縮性シート31aの各伸長率R1,R2それぞれは、以下の方法で測定することができる。
【0029】
〔腹側伸縮性シートの伸長率の測定方法〕
おむつ1を自然状態にして、腹側伸縮性シート31aに、該腹側伸縮性シート31aの伸縮方向に50mmの間隔を空けて2つの印を付ける。おむつ1を腹側伸縮性シート31aの伸縮方向に最大に伸長させた状態で、前記2つの印間の距離を測定し、該測定した値を伸長距離H(mm)とする。そして、次式より、腹側伸縮性シート31aの伸長率を求める。
腹側伸縮性シートの伸長率(%)=〔伸長距離H(mm)/50(mm)〕×100
【0030】
〔第2弾性部材の伸長率の測定方法〕
おむつ1を展開且つ伸長状態としたときの第2弾性部材42の長さを測定し、該測定した値を最大伸長長さP1とする。次いで、おむつ1から第2弾性部材42を取り出し、自然状態の長さを測定して、該測定した値を自然長さP2とする。「自然状態」は、伸縮領域に外力を加えずに伸長させない状態を意味する。そして、次式より、第2弾性部材42の伸長率を求める。
第2弾性部材の伸長率=(最大伸長長さP1/自然長さP2)×100
【0031】
第2弾性部材42は、その全長にわたって伸縮性を発現するように配されていることが好ましい。こうすることにより、おむつ1のフィット性を更に向上させることができる。以下、この点について詳述する。
腹側部Aのうち、第2弾性部材42が配されている股下部C寄りの領域は、おむつ1の着用時において着用者の胴回りに配される胴回り領域である。第2弾性部材42が、その全長にわたって伸縮性を発現するように配されていると、おむつ1におけるレッグ開口部LHの周縁部LEのみならず、胴回り領域においても第2弾性部材42が収縮する。その結果、レッグ開口部LHの周縁部LE及び胴回り領域の両方のフィット性を向上させることができるので、おむつ1のフィット性を更に向上させることができる。
【0032】
第2弾性部材42の伸長率と、第1弾性部材41の伸長率とを対比した場合、第1弾性部材41はその伸長率が、第2弾性部材42の伸長率よりも高い状態で配置されていることが好ましい。こうすることにより、おむつ1のウエスト開口部WHの周縁が、胴回り領域に比して強く収縮し、おむつ1の外観を一層下着らしいすっきりとしたものとすることができる。
以上の効果を一層顕著にする観点から、第2弾性部材42の伸長率R1に対する第1弾性部材41の伸長率R3の比R3/R1は、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上であり、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.4以下であり、好ましくは1.1以上1.5以下、より好ましくは1.2以上1.4以下である。
第1弾性部材41の伸長率R3は、上述した〔第2弾性部材の伸長率の測定方法〕と同様にして測定することができる。
【0033】
外装体3は、
図2に示すとおり、腹側部Aにおいて、第1弾性部材41と第2弾性部材42との間に弾性部材非配置領域5を備えている。弾性部材非配置領域5は、横方向Yに沿う弾性部材を備えていない領域である。つまり弾性部材非配置領域5においては、内層シート37と外層シート35とによって固定されている弾性部材は存在せず、且つ内層シート37のみに固定されている弾性部材も存在せず、且つ外層シート35のみに固定されている弾性部材も存在しない。したがって、先に述べた腹側伸縮性シート31aは、横方向Yに沿う弾性部材を備えている場合があるところ、当該弾性部材が弾性部材非配置領域5に位置していることは妨げられない。
【0034】
弾性部材非配置領域5は、腹側部Aにおける縦方向Xに沿う両側縁部AS,ASどうし間に連続して存在している。おむつ1は、弾性部材非配置領域5を備えていることにより、従来のおむつに比して外装体3に配置される弾性部材の本数が少ないので、外装体3の収縮力を低減させることができる。このことも、おむつ1の外観を、下着らしいすっきりとしたものとすることに寄与している。
【0035】
おむつの腹側部Aに弾性部材非配置領域5を形成した場合、該領域5の収縮力が低下し、おむつのフィット性が損なわれてしまう懸念がある。そこで本実施形態においては、腹側部Aにおける収縮力の低下を、腹側伸縮性シート31aを配することで補っている。これにより、おむつ1の外観を下着様にしつつ、おむつ1のフィット性を向上させることができる。
【0036】
外装体3の収縮力を低減させ、該おむつ1の外観を、下着らしいすっきりとしたものとする観点から、縦方向Xにおける弾性部材非配置領域5の長さL3(
図2参照)は、縦方向Xにおける腹側部Aの側縁部ASの長さL1(
図2参照)に対して、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上であり、好ましくは55%以下、より好ましくは50%以下であり、好ましくは30%以上55%以下、より好ましくは35%以上50%以下である。弾性部材非配置領域5の長さL3とは、第1弾性部材41のうち最も股下部C側に位置する弾性部材から、第2弾性部材42のうち最もウエスト開口部WH側に位置する弾性部材までの距離を意味する。
【0037】
外装体3は、腹側部A及び背側部Bのいずれにおいても、
図2に示すとおり、レッグ開口部LHの周縁部LEに沿う弾性部材を備えていない。これにより、レッグ開口部LHの周縁部LEが収縮することを防ぐことができるので、該周縁部LEにひらひらした形状のレッグギャザーが形成されることを防ぐことができる。このことに起因して、本実施形態のおむつ1は、下着らしいすっきりとした外観を呈する。この観点から、外装体3は、レッグ開口部LHの周縁部LEの全域にわたり弾性部材を備えていないことが最も好ましいが、おむつ1の下着様の外観が低下しない範囲において、レッグ開口部LHの周縁部LEの一部に弾性部材が配置されていることは妨げられない。
【0038】
図2及び
図3に示すとおり、吸収性本体2における腹側部A側の端部2aは、第2弾性部材42を越えてウエスト開口部WH側に位置している。これにより、おむつ1の平面視において吸収性本体2と第2弾性部材42とが厚み方向に重なる。両者が重なる部分においては、第2弾性部材42の収縮が吸収性本体2の剛性によって規制される。その結果、第2弾性部材42が横方向Yに収縮した場合であっても、吸収体23によれが生じにくいので、おむつ1の履き心地が向上する。この効果を一層顕著にする観点から、吸収性本体2における、第2弾性部材42を越えてウエスト開口部WH側に位置している部分の長さL4(
図2参照)は、縦方向Xにおける腹側部Aの側縁部ASの長さL1(
図2参照)に対して、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上であり、好ましくは55%以下、より好ましくは50%以下であり、好ましくは25%以上55%以下、より好ましくは30%以上50%以下である。
【0039】
本明細書において吸収性本体2の前記端部2aが第2弾性部材42を越えてウエスト開口部WH側に位置しているとは、吸収性本体2の端部2aが、最も股下部C側に位置する第2弾性部材42を超えてウエスト開口部WH側に位置していることを意味する。
また本明細書において、長さL4は、吸収性本体2における、最も股下部C側に位置する第2弾性部材42を越えてウエスト開口部WH側に位置している部分の長さを意味する。
【0040】
図2に示すとおり、吸収性コア24における腹側部A側の端縁24aは第2弾性部材42まで達していない。これにより、おむつ1の平面視において吸収性コア24と第2弾性部材42とが厚み方向に重ならないので、第2弾性部材42の収縮力が吸収性コア24に伝わりにくくなる。その結果、第2弾性部材42が収縮した場合であっても、吸収性コア24によれが生じにくくなる。このことに起因して、おむつ1はその履き心地が向上する。
【0041】
図2に示すとおり、おむつ1の平面視において、防漏カフ形成用弾性部材61は、第2弾性部材42と交差している。具体的には、防漏カフ形成用弾性部材61における腹側部A側の端部61aは、第2弾性部材42を越えてウエスト開口部WH側に位置している。こうすることにより、おむつ1の着用状態において、着用者の脚周りへのフィット性を向上させることができる。以下、この点について詳述する。
おむつ1の腹側部Aは、防漏カフ形成用弾性部材61によって縦方向Xに収縮するとともに、第2弾性部材42によって横方向Yに収縮する。防漏カフ形成用弾性部材61と第2弾性部材42とが交差していると、縦方向Xの収縮力と横方向Yの収縮力を腹側部Aにバランス良く加えることができる。これにより、脚周りのフィット性が向上する。
以上の効果を一層顕著にする観点から、防漏カフ形成用弾性部材61における、第2弾性部材42を越えてウエスト開口部WH側に位置している部分の長さL5(
図2参照)は、縦方向Xにおける腹側部Aの側縁部ASの長さL1に対して、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下であり、好ましくは5%以上20%以下、より好ましくは10%以上15%以下である。
【0042】
本明細書において防漏カフ形成用弾性部材61の端部61aが第2弾性部材42を越えてウエスト開口部WH側に位置しているとは、防漏カフ形成用弾性部材61の端部61aが、最も股下部C側に位置する第2弾性部材42を超えてウエスト開口部WH側に位置していることを意味する。
また本明細書において、長さL5は、防漏カフ形成用弾性部材61における、最も股下部C側に位置する第2弾性部材42を越えてウエスト開口部WH側に位置している部分の長さを意味する。
【0043】
本実施形態のおむつ1において、吸収性コア24は、
図2に示すとおり、相対的に幅が狭い幅狭部25と、相対的に幅広い幅広部26とを有している。幅狭部25は、吸収性コア24における縦方向Xの中央域に位置している。幅広部26は、幅狭部25の縦方向前後それぞれに位置している。幅広部26は、腹側部A側に位置する腹側幅広部26aと、背側部B側に位置する背側幅広部26bとを含む。
【0044】
おむつ1の平面視において、
図2に示すとおり、幅広部26と伸縮性シート31とは重なっていることが好ましい。こうすることにより、幅広部26と伸縮性シート31とが重なる部分において伸縮性シート31の収縮が幅広部26の剛性によって規制される。その結果、伸縮性シート31が横方向Yに収縮した場合であっても、吸収体23によれが生じにくいので、おむつ1の履き心地が向上する。
【0045】
本発明においては、腹側幅広部26a及び背側幅広部26bのいずれか一方のみが、伸縮性シート31と重なっていてもよい。その場合、上述したS2/S1を算出するためのS1の値は、腹側伸縮性シート31a又は背側伸縮性シート31bの面積である。
吸収体23によれが生じにくくし、おむつ1の履き心地を向上させる観点からは、腹側幅広部26a及び背側幅広部26bの両方が伸縮性シート31と重なっていることが好ましい。この場合、腹側幅広部26aと伸縮性シート31とが重なっている部分の面積と、背側幅広部26bと伸縮性シート31とが重なっている部分の面積とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。この場合、上述したS2/S1を算出するためのS1の値は、腹側伸縮性シート31a及び背側伸縮性シート31bの合計面積である。
【0046】
腹側伸縮性シート31aは、第2弾性部材42を越えて股下部C側に延出していることが好ましい。
図2には、腹側伸縮性シート31aにおける股下部C側の端部32cが、第2弾性部材42よりも股下部C側に位置している状態が示されている。こうすることにより、レッグ開口部LHの周縁部LEのうち腹側部A側を一層効果的に収縮させることができる。その結果、例えばおむつ1の前身頃側を上側にしておむつ1を平置きしたときに、おむつ1の後身頃がレッグ開口部LHから目視されやすくなって、おむつ1の外観がより下着らしいすっきりとしたものとなる。
以上の効果を一層顕著にする観点から、腹側伸縮性シート31aの縦方向Xの寸法D1(
図2参照)に対する、腹側伸縮性シート31aにおける、第2弾性部材42を越えて股下部C側に延出している部分の長さD2(
図2参照)の比D2/D1は、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上であり、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.8以下であり、好ましくは0.3以上0.9以下、より好ましくは0.5以上0.8以下である。
【0047】
本明細書において腹側伸縮性シート31aが第2弾性部材42を越えて股下部C側に延出しているとは、腹側伸縮性シート31aが、最もウエスト開口部WH側に位置する第2弾性部材42を超えて股下部C側に位置していることを意味する。
また本明細書において、長さD2は、腹側伸縮性シート31aにおける、最もウエスト開口部WH側に位置する第2弾性部材42を越えて股下部C側に延出している部分の長さを意味する。
【0048】
おむつ1において、背側伸縮性シート31bは、腹側伸縮性シート31aよりも縦方向Xの寸法が長いことが好ましい。こうすることにより、着用者の臀部に対するフィット性を向上させることができるので、おむつ1の履き心地を良好とすることができる。以下、この点について詳述する。
背側伸縮性シート31bの縦方向Xの寸法D3(
図2参照)を、腹側伸縮性シート31aよりも縦方向Xの寸法D1(
図2参照)よりも長くすることで、背側伸縮性シート31bの方が腹側伸縮性シート31aよりも強く収縮することになる。その結果、臀部に対するフィット性が一層向上するので、おむつ1の履き心地を良好とすることができる。
以上の効果を一層顕著にする観点から、腹側伸縮性シート31aの縦方向Xの寸法D1に対する、背側伸縮性シート31bの縦方向Xの寸法D3の比D3/D1は、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上であり、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.4以下であり、好ましくは1.1以上1.5以下、より好ましくは1.2以上1.4以下である。
【0049】
次に、おむつ1の各部の形成材料について説明する。外層シート35及び内層シート37としては、それぞれ、この種の吸収性物品において外装体として従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができる。外層シート35及び内層シート37として、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ニードルパンチ不織布等の各種製法による不織布を用いることができる。
【0050】
各弾性部材41,43,61としては、天然ゴム、ポリウレタン系樹脂、発泡ウレタン系樹脂、ホットメルト系伸縮部材等の伸縮性素材を糸状(糸ゴム)又は帯状(平ゴム)に形成したものが好ましく用いられる。
表面シートとしては各種の不織布や開孔フィルム等を用いることができ、裏面シートとしては樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布等とのラミネート等を用いることができる。
【0051】
吸収体23における吸収性コア24は例えばパルプを始めとするセルロース等の親水性繊維の積繊体、該親水性繊維と吸収性ポリマーとの混合積繊体、吸収性ポリマーの堆積体、2枚の吸収性シート間に吸収性ポリマーが担持された積層構造体などから構成される。
吸収体23におけるコアラップシートとしては、例えば親水性繊維からなる薄葉紙や、液透過性を有する不織布などを用いることができる。
【0052】
以上、本発明をその実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に制限されることなく適宜変更が可能である。
例えば、上述した実施形態のおむつ1において伸縮性シート31は、腹側部Aと背側部Bとに分割されていたが、伸縮性シート31は、腹側部Aから背側部Bにかけて連続した1枚のシートであってもよい。
上述した実施形態のおむつ1は、外層シート35がおむつ1の縦方向X全長に延在していたが、外装体3を構成するシートのすべてが、腹側部Aと背側部Bとに分割され、股下部Cを構成する別材のシートと接合されていてもよい。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
【0054】
〔実施例〕
図1に示すおむつを製造した。外装体には、伸縮性シートとして、特開2008-179128号公報に記載の伸縮シートを用いた。この伸縮性シートとしては、腹側部と背側部とに分割されたものを用いた。また、外層シート及び内層シートそれぞれに、坪量18g/m
2のスパンボンド-スパンボンド-スパンボンド積層不織布(SSS不織布)を用いた。外層シートは、おむつの縦方向全長に連続したものを用いた。第1及び第2弾性部材並びに防漏カフ形成用弾性部材としては、繊度が620dtexのポリウレタン弾性繊維(スパンデックス)からなるものを用いた。
【0055】
〔参考例〕
第2弾性部材に代えて、腹側部に、レッグ開口部の周縁部に沿って弾性部材を配した以外は、実施例と同様にしておむつを製造した。
【0056】
〔比較例1〕
第2弾性部材に代えて、腹側部及び背側部それぞれに、レッグ開口部の周縁部に沿って弾性部材を配した以外は、実施例と同様にしておむつを製造した。
【0057】
〔比較例2〕
第2弾性部材に代えて、背側部に、レッグ開口部の周縁部に沿って弾性部材を配した以外は、実施例と同様にしておむつを製造した。
【0058】
〔比較例3〕
第2弾性部材を配さなかった以外は、実施例と同様にしておむつを製造した。
【0059】
上述した実施例、参考例及び比較例のおむつについて、以下の方法により、外観の下着らしさ及び脚周りのフィット性を評価した。
【0060】
<外観の評価>
上述した実施例及び比較例のおむつについて、3名の専門パネラーが前身頃の非肌対向面から目視で観察し、その外観を以下の基準で評価した。以下の基準の評価点が高いほど、下着らしい外観となる。3名の専門パネラーの評価点の平均点を算出し、該平均点が4点以上であれば◎、3点以上4点未満であれば〇、3点未満であれば×とした。評価結果を表1に示す。
5点:レッグ開口部に収縮した部分が形成されておらず、フラットな形状である。
4点:レッグ開口部に収縮した部分がほとんど形成されておらず、ほぼフラットな形状である。
3点:レッグ開口部に収縮した部分が一部形成され、ややフリルのような構造を有する。
2点:レッグ開口部に収縮した部分が形成され、フリルのような構造を有する。
1点:レッグ開口部に収縮した部分が著しく形成され、フリルのような構造を著しく有する。
【0061】
<フィット性の評価>
レッグ開口部における脚周りへのフィット性を、以下の方法を用いて評価した。円筒体モデルに、実施例、参考例及び比較例の各おむつを履かせ、該モデルにおいてレッグ縁部LE,LEが当接する箇所のおむつの装着圧を、エアパックセンサ(株式会社エイエムアイ・テクノ社製、型番AMI3037-2)を用いて測定した。装着圧は、箇所前身頃側に3か所、後身頃側に3か所(左右とも)のレッグ縁部LE,LEが当接する箇所にて測定し、これらの値を平均化したものを装着圧とした。
次いで、測定した装着圧の結果に基づき、下記の基準でフィット性を評価した。装着圧が高いほど、フィット性に優れると評価することができる。評価結果を表1に示す。
◎:装着圧が0.6kPa以上であった。
〇:装着圧が0.5kPa以上0.6kPa未満であった。
×:装着圧が0.5kPa未満であった。
【0062】
上述の方法により外観の下着らしさ及び脚周りのフィット性を評価した結果を表1に示す。表1に示すとおり、実施例のおむつは、下着らしいすっきりとした外観であり、且つ脚周りのフィット性に優れる評価結果となった。一方、比較例1及び2のおむつは、フィット性は良好であるものの、下着らしいすっきりとした外観とはならなかった。比較例3は、下着らしい外観となったが、脚周りのフィット性については低い評価となった。以上のことから、本発明によれば、脚周りのフィット性に優れるとともに、下着らしいすっきりとした外観を有するパンツ型使い捨ておむつが提供されることが分かる。
【0063】
【符号の説明】
【0064】
1 使い捨ておむつ
2 吸収性本体
2a,2b 吸収性本体の端部
21 表面シート
22 裏面シート
23 吸収体
24 吸収性コア
24a,24b吸収性コアの端部
25 幅狭部
26 幅広部
3 外装体
31 伸縮性シート
35 外層シート
37 内層シート
41 第1弾性部材
42 第2弾性部材
5 弾性部材非配置領域
6 防漏カフ
61 防漏カフ形成用弾性部材
A 腹側部
B 背側部
C 股下部
X 縦方向
Y 横方向
WH ウエスト開口部
LH レッグ開口部