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7545341リソース割り当て制御用のシグナリングを高度化した無線通信システムにおける制御装置、基地局装置、制御方法、およびプログラム
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  • -リソース割り当て制御用のシグナリングを高度化した無線通信システムにおける制御装置、基地局装置、制御方法、およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】リソース割り当て制御用のシグナリングを高度化した無線通信システムにおける制御装置、基地局装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/084 20230101AFI20240828BHJP
   H04W 72/0457 20230101ALI20240828BHJP
   H04W 72/542 20230101ALI20240828BHJP
   H04W 92/12 20090101ALI20240828BHJP
【FI】
H04W28/084
H04W72/0457
H04W72/542
H04W92/12
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021014544
(22)【出願日】2021-02-01
(65)【公開番号】P2022117825
(43)【公開日】2022-08-12
【審査請求日】2023-02-22
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度総務省「第5世代移動通信システムの更なる高度化に向けた研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】599108264
【氏名又は名称】株式会社KDDI総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平山 晴久
(72)【発明者】
【氏名】難波 忍
(72)【発明者】
【氏名】新保 宏之
【審査官】桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-161576(JP,A)
【文献】特開2013-192056(JP,A)
【文献】特開2012-49598(JP,A)
【文献】国際公開第2018/061167(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置であって、
基地局装置から、通信サービスを示す値ごとに集計された、当該基地局装置と通信する複数の端末装置における通信品質に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得された情報に基づいて、前記通信サービスごとの通信のため前記基地局装置に割り当てるリソースの量を決定する決定手段と、
前記決定されたリソースの量を前記基地局装置へ通知する通知手段と、
を有し、
前記基地局装置に割り当てられた前記通信サービスごとのリソースの量に基づいて、前記基地局装置において前記複数の端末装置に対するリソースの割り当てが決定されることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記取得手段は、前記通信品質に関する情報として、無線品質を示す値の統計値と、前記複数の端末装置のそれぞれにおける無線品質を示す値の度数分布と、の少なくともいずれかを取得する、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記統計値は、前記無線品質を示す値の平均値、前記無線品質を示す値の平均値と分散との組み合わせ、前記複数の端末装置のうちの所定の比率の端末装置において得られる前記無線品質を示す値、の少なくともいずれかを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記無線品質を示す値は、前記複数の端末装置のそれぞれにおける、CQI(チャネル品質インジケータ)、RSRP(参照信号受信電力)、RSRQ(参照信号受信品質)、SINR(信号対干渉および雑音比)、使用すべきMCS(変調及び符号化方式)、の少なくともいずれかを含む、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記通信サービスを示す値は、QCI(QoS Class Identifier)、5QI(5G QoS Indicator)、S-NSSAI(Single-Network Slice Selection Assistance Information)のいずれかである、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
基地局装置であって、
制御装置へ、通信サービスを示す値ごとに集計した、前記基地局装置と通信する複数の端末装置における通信品質に関する情報を提供する提供手段と、
前記制御装置から、前記通信サービスごとの通信のため前記基地局装置に割り当てるリソースの量を示す情報を取得する取得手段と、
前記取得した情報によって示される前記通信サービスごとのリソースの量に基づいて前記複数の端末装置のそれぞれに対して、リソース割り当てを決定し、当該リソースを用いて通信を行う通信手段と、
を有することを特徴とする基地局装置。
【請求項7】
前記提供手段は、前記通信品質に関する情報として、無線品質を示す値の統計値と、前記複数の端末装置のそれぞれにおける無線品質を示す値の度数分布と、の少なくともいずれかを前記制御装置へ提供する、ことを特徴とする請求項6に記載の基地局装置。
【請求項8】
前記統計値は、前記無線品質を示す値の平均値、前記無線品質を示す値の平均値と分散との組み合わせ、前記複数の端末装置のうちの所定の比率の端末装置において得られる前記無線品質を示す値、の少なくともいずれかを含む、ことを特徴とする請求項7に記載の基地局装置。
【請求項9】
前記無線品質を示す値は、前記複数の端末装置のそれぞれにおける、CQI(チャネル品質インジケータ)、RSRP(参照信号受信電力)、RSRQ(参照信号受信品質)、SINR(信号対干渉および雑音比)、使用すべきMCS(変調及び符号化方式)、の少なくともいずれかを含む、ことを特徴とする請求項7又は8に記載の基地局装置。
【請求項10】
前記通信サービスを示す値は、QCI(QoS Class Identifier)、5QI(5G QoS Indicator)、S-NSSAI(Single-Network Slice Selection Assistance Information)のいずれかである、ことを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項11】
制御装置によって実行される制御方法であって、
基地局装置から、通信サービスを示す値ごとに集計された、当該基地局装置と通信する複数の端末装置における通信品質に関する情報を取得することと、
前記取得された情報に基づいて、前記通信サービスごとの通信のため前記基地局装置に割り当てるリソースの量を決定することと、
前記決定されたリソースの量を前記基地局装置へ通知することと、
を含み、
前記基地局装置に割り当てられた前記通信サービスごとのリソースの量に基づいて、前記基地局装置において前記複数の端末装置に対するリソースの割り当てが決定されることを特徴とする制御方法。
【請求項12】
基地局装置によって実行される制御方法であって、
制御装置へ、通信サービスを示す値ごとに集計した、前記基地局装置と通信する複数の端末装置における通信品質に関する情報を提供することと、
前記制御装置から、前記通信サービスごとの通信のため前記基地局装置に割り当てるリソースの量を示す情報を取得することと、
前記取得した情報によって示される前記通信サービスごとのリソースの量に基づいて前記複数の端末装置のそれぞれに対して、リソース割り当てを決定し、当該リソースを用いて通信を行うことと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項13】
制御装置に備えられたコンピュータに、
基地局装置から、通信サービスを示す値ごとに集計された、当該基地局装置と通信する複数の端末装置における通信品質に関する情報を取得させ、
前記取得された情報に基づいて、前記通信サービスごとの通信のため前記基地局装置に割り当てるリソースの量を決定させ、
前記決定されたリソースの量を前記基地局装置へ通知させる、
ためのプログラムであって、
前記基地局装置に割り当てられた前記通信サービスごとのリソースの量に基づいて、前記基地局装置において前記複数の端末装置に対するリソースの割り当てが決定されることを特徴とするプログラム
【請求項14】
基地局装置に備えられたコンピュータに、
制御装置へ、通信サービスを示す値ごとに集計した、前記基地局装置と通信する複数の端末装置における通信品質に関する情報を提供させ、
前記制御装置から、前記通信サービスごとの通信のため前記基地局装置に割り当てるリソースの量を示す情報を取得させ、
前記取得した情報によって示される前記通信サービスごとのリソースの量に基づいて前記複数の端末装置のそれぞれに対して、リソース割り当てを決定し、当該リソースを用いて通信を行わせる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置におけるリソース割り当てのためのシグナリングの高度化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ通信システムにおける1つ以上の基地局装置における端末装置との通信のために使用すべきリソース(例えば、周波数・時間リソースや演算リソース)の量を、基地局装置と別個に用意された制御装置が決定する構成が提案されている。非特許文献1には、このような構成において、制御装置が、基地局装置が構成するセルの全体における無線品質の確率分布を取得し、その確率分布と要求スループットの情報を用いて必要なリソース量を計算する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Vila, J. Perez-Romero、O. Sallent、A. Umbert、およびR. Ferrus、「Performance Measurements-Based Estimation of Radio Resource Requirements for Slice Admission Control」、2019 IEEE 90th Vehicular Technology Conference (VTC2019-Fall)、pp.1-6、2019年9月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に記載の手法では、セル単位の無線品質の情報を収集してリソース使用量を決定するため、端末装置個別の状況に適したリソース量とならないことが想定されうる。一方で、端末装置ごとの無線品質や要求スループットの情報を制御装置が収集してリソース量を決定することにより、最適なリソース量を決定することができるが、端末装置ごとの情報が基地局装置と制御装置との間で送受信されるため、システムの効率が劣化してしまいうる。
【0005】
本発明は、基地局装置において使用すべきリソース量を適切かつ効率的に決定するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による制御装置は、基地局装置から、通信サービスを示す値ごとに集計された、当該基地局装置と通信する複数の端末装置における通信品質に関する情報を取得する取得手段と、前記取得された情報に基づいて、前記通信サービスごとの通信のため前記基地局装置に割り当てるリソースの量を決定する決定手段と、前記決定されたリソースの量を前記基地局装置へ通知する通知手段と、を有し、前記基地局装置に割り当てられた前記通信サービスごとのリソースの量に基づいて、前記基地局装置において前記複数の端末装置に対するリソースの割り当てが決定される
【0007】
本発明の一態様による基地局装置は、制御装置へ、通信サービスを示す値ごとに集計した、前記基地局装置と通信する複数の端末装置における通信品質に関する情報を提供する提供手段と、前記制御装置から、前記通信サービスごとの通信のため前記基地局装置に割り当てるリソースの量を示す情報を取得する取得手段と、前記取得した情報によって示される前記通信サービスごとのリソースの量に基づいて前記複数の端末装置のそれぞれに対して、リソース割り当てを決定し、当該リソースを用いて通信を行う通信手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基地局装置において使用すべきリソース量を適切かつ効率的に決定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】無線通信システムの構成例を示す図である。
図2】制御装置及び基地局装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】制御装置の機能構成例を示す図である。
図4】基地局装置の機能構成例を示す図である。
図5】無線通信システムで実行される処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(システム構成)
図1に、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す。この無線通信システムは、一例において、第4世代(4G)や第5世代(5G)のセルラ通信システム、または、それ以前もしくはそれ以降の世代におけるセルラ無線通信システムである。本実施形態に係る無線通信システムは、基地局装置が、通信サービスを提供される1つ以上の端末装置のそれぞれについて集計した通信品質に関する値の情報などを制御装置へ提供する。そして、制御装置は、受信した情報に基づいて、基地局装置に割り当てるべきリソースを決定して、その決定したリソースの割り当てを基地局装置へ送信する。なお、リソースの割り当ては、例えば通信品質と要求スループットとに基づいて決定される。ここで、要求スループットは、端末装置のそれぞれに対して提供される通信サービスによって決まるため、各通信サービスに対して必要な無線リソースの量が異なりうる。このため、例えば、基地局装置は、通信品質に関する値を集計した情報と、各通信サービスが提供される端末装置の数とを制御装置へ提供し、制御装置は、通信品質に関する値を集計した情報と各通信サービスの要求スループットとそのサービスを提供される端末装置の数とに応じて、無線リソースを通信サービスごとに割り当てることができる。なお、制御装置は、無線リソースのみならず、基地局装置が各通信サービスに対して使用する演算リソースをも割り当てうる。基地局装置は、割り当てられた通信サービスごとのリソースを、さらに、その通信サービスの提供を受ける端末装置のそれぞれに対して割り当てる。これにより、基地局装置は、端末装置に対して、通信サービスに対応する量のリソースを割り当てて、そのリソースを用いて、対応する端末装置と通信することができる。
【0012】
図1では、例えば、5台の端末装置に対してサービス1が提供され、4台の端末装置に対してサービス2が提供され、5台の端末装置に対してサービス3が提供される例を示している。このとき、基地局装置は、これらの14台の通信品質に関する値を集計した情報と、サービス1~サービス3が提供される端末装置の台数(それぞれ、5台、4台、5台)の情報を制御装置へ通知する。そして、制御装置は、通信品質に関する情報に基づいて、所定のデータ量の通信に必要なリソース量を特定する。そして、制御装置は、各サービスについて、提供される端末装置の台数と要求スループットに特定したリソース量を乗じて、割り当てるべきリソース量を決定する。そして、制御装置は、その決定したリソース量を示す情報を基地局装置へ通知する。図1では、基地局装置内のサービス1~サービス3のそれぞれに対して網掛けのボックスによって、割り当てられたリソース量を示している。図1では、一例として、サービス3の要求スループットが小さく、サービスの提供を受ける端末装置の数が同じサービス1より少量のリソースが割り当てられる。また、サービス2は、サービス1より提供を受ける端末装置の数が少ないため、サービス1より少量のリソースが割り当てられる。基地局装置は、各サービスについて割り当てられたリソースを、そのサービスの提供を受ける端末装置のそれぞれへ割り当てる。図1では、この割り当てを、基地局装置の各サービスに割り当てられたリソースを示す網掛けのボックスから端末装置へ向けられた矢印によって示している。
【0013】
通信サービスごとに通信品質が偏ることが想定される。例えば、複数の通信機能を有するセンサが所定の施設内に集中して配置される場合は、それらのセンサにおける通信品質は概ね同様の傾向となる。また、複数の通信機能を有するセンサが相対的に基地局装置から離れた位置に配置される場合、それらのセンサの通信品質は全体として低くなる。このため、センサによる情報提供のための通信サービスの提供を受ける端末装置における通信品質が概ね同様の傾向となりうる。また、例えば人間のユーザが持っている端末装置は、一般には広範囲に分散して存在するが、例えば所定のイベント会場において多数の端末装置が同じアプリケーションを使用することがある。この場合、同じアプリケーションを使用することにより、そのイベント会場内の端末装置が同じ通信サービスの提供を受けることとなり、その通信サービスの提供を受ける端末装置における通信品質も概ね同様の傾向となりうる。一方で、例えばセンサの通信品質の傾向と、イベント会場の通信品質の傾向とが大きく違うことが想定されうる。すなわち、例えば相対的に通信品質の低いエリアにセンサが配置され、相対的に通信品質の高いエリアにおいてイベントが開催される状況では、通信サービスごとに、通信品質の傾向が大きく異なりうる。なお、これは一例であり、通信サービスごとに通信品質の傾向が異なることとなる状況が一般に起こりうる。
【0014】
この場合、基地局装置が、接続中の(セル内の)端末装置における通信品質を集計して一纏めにして制御装置へ送信すると、通信サービスごとの通信品質の傾向に適しないリソース割り当てが行われてしまう。例えば、第1の通信サービスの通信品質が、第2の通信サービスの通信品質より良好であり、第1の通信サービスの提供を受ける端末装置の数と、第2の通信サービスの提供を受ける端末装置の数が等しいものとする。この場合に、第1の通信サービスの端末装置における通信品質と第2の通信サービスの端末装置における通信品質とが一纏めに制御装置へ送信されると、第1の通信サービスの端末装置から見ると実際得られる通信品質より低い通信品質が報告され、第2の通信サービスの端末装置から見ると実際得られる通信品質より高い通信品質が報告されることとなる。この結果、第1の通信サービスに対しては、本来必要な量より多くのリソースが割り当てられることとなり、リソースを浪費してしまいうる。一方で、第2の通信サービスに対しては、本来必要な量より少ないリソースしか割り当てられず、場合によっては第2の通信サービスの提供を受ける端末装置が通信を行うことができなくなってしまいうる。
【0015】
本実施形態では、このような事情に鑑みて、基地局装置が、通信サービスを示す値ごとに端末装置における通信品質を集計し、その集計された結果に関する情報を制御装置へ提供するようにする。すなわち、第1の通信サービスの通信品質は、第2の通信サービスの通信品質とは別個に集計され、同様に、第2の通信サービスの通信品質は、第1の通信サービスの通信品質とは別個に集計される。制御装置は、通信サービスごとに集計された通信品質に関する情報を取得し、その通信サービスごとの通信品質に関する情報に基づいて、基地局装置においてその通信サービスごとの通信に割り当てるリソースの量を決定し、その決定した結果を基地局装置へ通知する。そして、基地局装置は、通知されたリソースの量に基づいて、各端末装置の通信のためにリソースを割り当てて、通信を行う。
【0016】
ここで、通信品質に関する情報は、例えば、無線品質を示す値の平均値でありうる。無線品質は、例えば、各端末装置における、CQI(チャネル品質インジケータ)、RSRP(参照信号受信電力)、RSRQ(参照信号受信品質)、SINR(信号対干渉および雑音比)、使用すべきMCS(変調及び符号化方式)、の少なくともいずれかを含みうる。なお、これらの値は一例であり、無線品質を示すことができる又は無線品質に対応する他の値が無線品質を示す値として用いられうる。また、以下の説明においても、無線品質を示す値として、これらの値が用いられうる。一例において、4Gのセルラ通信システムにおいては、使用可能な周波数帯域が分割されることによって得られるサブバンドごとに、複数の端末装置によって報告されたサブバンドCQIを集計し、そのCQIの平均値によって無線品質が示されてもよいことが規定されている。本実施形態の基地局装置も、このようなサブバンドCQIの平均値を制御装置に送信することができる。また、同様の趣旨で、例えば、周波数帯域の全体についてのCQIの平均値が制御装置に提供されてもよい。また、CQIではなく、上述のようにRSRPの平均値、RSRQの平均値、SINRの平均値、MCSを示す値の平均値が、制御装置に通知されてもよい。このような平均値が用いられることにより、その平均値と、通信サービスごとの要求スループットに応じて、その通信サービスに割り当てられるべき基地局装置のリソースの量を特定することができる。なお、基地局装置は、各通信サービスの提供を受ける端末装置の数を制御装置へ通知することにより、その端末装置の数に応じたリソースの割り当ての決定を受けることができる。ただし、各通信サービスの提供を受ける端末装置の数の情報は、制御装置が、例えば事前に他のネットワークノード等から取得しておいてもよく、この場合、基地局装置からその情報が通知される必要はない。
【0017】
制御装置は、一例において、要求スループットをT、無線品質をQとした場合に、これらの値を入力することによって必要な物理リソースブロック(PRB)の数を出力する関数g(T,Q)を事前に用意しておく。そして、制御装置は、基地局装置からある通信サービスについて通知された要求スループットT及び無線品質Qの値と、その通信サービスの提供を受ける端末装置の数Nとを用いて、その通信サービスに割り当てるべきPRBの数を、N×g(T,Q)を計算することによって特定しうる。そして、制御装置は、この特定したPRBの数を、基地局装置へ通知しうる。なお、所定の通信サービスの提供を受ける複数の端末装置のそれぞれにおいて、通信品質の傾向は概ね一致する場合であっても、一定のばらつきは発生しうる。基地局装置は、制御装置から割り当てられたリソースを、各端末装置から通知されている集計する前の通信品質の値に応じて配分しうる。すなわち、制御装置から基地局装置へは、各通信サービスについてのリソースのプールが通知され、基地局装置は、そのリソースのプールの範囲内で、各端末装置における無線品質に基づいて、その端末装置へ割り当てるリソースを決定しうる。
【0018】
また、通信品質に関する情報は、例えば、無線品質を示す値の平均値と分散との組み合わせであってもよい。これによれば、制御装置は、例えば、無線品質を示す値の度数分布が正規分布に従うと仮定して、平均値と分散に基づいて、とり得る無線品質の値のそれぞれが得られていると予想される端末装置の数を推定することができる。そして、制御装置は、無線品質の各値をqとして、その値に対応する端末装置の数をnqとしたときに、例えばΣqq×g(T,q)のように計算することによって、その通信サービスに割り当てるべきPRBの数を特定しうる。また、ここでは、端末装置において得られる無線品質が正規分布などの所定の分布に従うと仮定して、平均値と分散とに基づいて無線品質ごとの端末装置の台数の度数分布を推定する例について説明したが、基地局装置は、この度数分布そのものを制御装置へ送信するようにしてもよい。すなわち、基地局装置は、端末装置のそれぞれにおいて得られる無線品質を示す値の度数分布を、通信サービスごとに生成して、制御装置へ送信するようにしてもよい。
【0019】
また、通信品質に関する情報として、通信サービスの提供を受ける端末装置のうちの所定の比率の端末装置において得られる無線品質を示す値(パーセンタイル値)が用いられてもよい。例えば、所定の比率を90%として、ある通信サービスの提供を受ける端末装置のうち、90%の端末装置において満たすことができる通信品質(例えば無線品質)の値が、基地局装置から制御装置へ通知されてもよい。なお、90%は一例であり、これ以外の値が所定の比率として用いられてもよい。制御装置は、この無線品質の値をQとしたときに、上述のように、N×g(T,Q)を計算することによって、その通信サービスに割り当てるべきPRBの数を特定しうる。これによれば、少なくともその通信サービスの提供を受ける端末装置の90%に対するPRBを確保することができる。また、例えば、g(T,Q)より少ないPRBの数で通信サービスを実行可能な端末装置に対して少量のPRBを割り当てて、その分だけ、通信品質が相対的に低い端末装置に対して十分なPRBを割り当てることによって、その端末装置も通信サービスを実行することができる。
【0020】
なお、通信サービスを示す値は、例えば、QCI(QoS Class Identifier)、5QI(5G QoS Indicator)、S-NSSAI(Single-Network Slice Selection Assistance Information)のいずれかである。すなわち、基地局装置は、例えば、QCI、5QI、又は、S-NSSAIの値ごとに、上述のような通信品質を示す値を集計して、その集計結果の情報を制御装置へ通知する。そして、制御装置は、QCI、5QI、又は、S-NSSAIの値ごとに、基地局装置において使用されるべきリソースを特定する情報を、基地局装置へ通知しうる。
【0021】
(装置の構成)
続いて、上述のような処理を実行する制御装置及び基地局装置のハードウェア構成例について図2を用いて説明する。なお、図2は一例であり、これ以外の構成を有してもよい。制御装置及び基地局装置は、一例において、プロセッサ201、ROM202、RAM203、記憶装置204、及び通信回路205を含んで構成される。プロセッサ201は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、制御装置及び基地局装置の全体の処理や、上述の各処理を実行する。ROM202は、制御装置及び基地局装置が実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM203は、プロセッサ201がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置204は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。通信回路205は、例えば、制御装置と基地局装置との間の通信のための回路(例えば有線通信回路)によって構成される。なお、図2では、1つの通信回路205が図示されているが、制御装置及び基地局装置は、複数の通信回路を有しうる。
【0022】
図3に、制御装置の機能構成例を示す。制御装置は、例えば、情報取得部301、リソース割り当て決定部302、および、リソース割り当て通知部303を有する。なお、図3では、本実施形態に特に関係する機能のみを示しており、制御装置が有しうる他の各種機能については図示を省略している。また、図3の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。また、図3の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路205の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。なお、各機能部が実行する処理の詳細について、上述の詳細についてはここでは説明せず、その大まかな機能のみを概説する。
【0023】
情報取得部301は、基地局装置から、通信サービスを示す値ごとに基地局装置によって集計された、その通信サービスの提供を受ける端末装置における通信品質に関する情報を受信する。また、情報取得部301は、通信サービスごとに、その通信サービスの提供を受ける端末装置の数や、その通信サービスの要求スループットの情報を、基地局装置や他のネットワークノードから受信することにより、又は、制御装置内の記憶装置を検索することにより、取得してもよい。リソース割り当て決定部302は、情報取得部301によって取得された、通信サービスごとの通信品質に関する情報に基づいて、各通信サービスに割り当てられるべき基地局装置のリソース(周波数・時間・空間などの無線リソース及び演算リソース)の割り当てを決定する。リソース割り当て通知部303は、リソース割り当て決定部302によって決定された各通信サービスに対するリソース割り当てを示す情報を、基地局装置へ通知する。
【0024】
図4に、基地局装置の機能構成例を示す。基地局装置は、例えば、情報提供部401、リソース割り当て受信部402、および、無線通信制御部403を有する。なお、図4では、本実施形態に特に関係する機能のみを示しており、基地局装置が有しうる他の各種機能については図示を省略している。また、図4の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。また、図4の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路205の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。なお、各機能部が実行する処理の詳細について、上述の詳細についてはここでは説明せず、その大まかな機能のみを概説する。
【0025】
情報提供部401は、基地局装置に接続されている端末装置のそれぞれについての無線品質を示す情報を取得して、その取得した情報を、その通信装置のそれぞれが提供を受ける通信サービスごとに集計する。そして、情報提供部401は、通信サービスごとの集計結果として得られる通信品質に関する情報を、制御装置へ提供する。リソース割り当て受信部402は、通信サービスごとの通信品質に関する情報を制御装置へ提供したことに基づいて、制御装置から通信サービスごとのリソースの割り当てを示す情報を受信する。無線通信制御部403は、リソース割り当て受信部402によって受信された情報に基づいて、各通信サービスに対するリソースを、その通信サービスの提供を受ける端末装置のそれぞれに対して配分して、それらの端末装置と無線通信を実行する。
【0026】
(処理の流れ)
続いて、本実施形態に係る無線通信システムで実行される処理の流れについて概説する。なお、以下の説明は例示に過ぎず、上述したような詳細な動作等についてはここでは説明を繰り返さない。
【0027】
まず、基地局装置は、接続中の端末装置から通信品質の情報を取得する(S501)。なお、図5では2つの端末装置のみが示されているが、基地局装置は、多数の端末装置から通信品質の情報を取得する。そして、基地局装置は、収集した通信品質情報を通信サービスごとに集計して(S502)、集計して得られた通信サービスごとの通信品質に関する情報を制御装置へ送信する(S503)。なお、S503では、通信サービスごとの通信品質情報が通知されてもよいが、例えば、全通信サービスに対する通信品質情報(すなわち、通信サービスによらずに全端末装置の通信品質を集計した情報)も通知されてもよい。また、S503では、いずれか1つの通信サービスの通信品質情報を基準品質情報とし、他の通信サービスについての通信品質情報は、その基準品質情報からのオフセット値によって表現されてもよい。一例において、全通信サービスに対する通信品質情報が基準品質情報とされ、各通信サービスの通信品質情報は、オフセット値を用いて表現されてもよい。
【0028】
制御装置は、この情報を受信すると、必要に応じてその情報に基づいて、通信サービスごとに使用すべき基地局装置のリソースの量を決定する(S504)。なお、制御装置は、例えば、通信サービスが異なっていても通信品質が異ならない場合には、この情報に基づかずに、各通信サービスに対して割り当てるリソースの量を決定してもよい。この場合、例えば、通信サービスごとの要求スループットの情報と通信サービスごとの端末装置の数と、全通信サービスに対する通信品質情報とに基づいて、リソースの量が決定されうる。その後、制御装置は、決定した通信サービスごとのリソース割り当てを、基地局装置へ通知する(S505)。基地局装置は、この通知された通信サービスごとのリソース割り当てに基づいて、各通信サービスの提供を受ける端末装置に対して、その通信サービスに割り当てたリソースの中から個別にリソースを配分し(S506)、無線通信を実行する(S507)。
【0029】
以上のように、本実施形態によれば、通信サービスごとに無線品質の分布が異なるような状況において、各通信サービスで使用されるべきリソースを適切に決定することができる。また、基地局装置が、各端末装置における無線品質を集計してから制御装置へ送信するため、送受信される情報の量の増大を防ぐことができる。この結果、制御装置は、基地局装置において使用すべきリソース量を適切かつ効率的に決定することが可能となる。
【0030】
なお、本発明により、例えば、無線リソースや計算リソースの有効活用が可能となることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0031】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5