(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】超臨界流体を利用する機械加工システム
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/10 20060101AFI20240828BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
B23Q11/10 E
B23Q17/00 A
(21)【出願番号】P 2021544826
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(86)【国際出願番号】 US2020015355
(87)【国際公開番号】W WO2020159951
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-12-20
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521338983
【氏名又は名称】フュージョン クーラント システムズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】スカーロス,スティーヴン,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,スコット
(72)【発明者】
【氏名】スプリッグス,マシュー
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-071681(JP,A)
【文献】特開2002-172539(JP,A)
【文献】特開2001-050451(JP,A)
【文献】特開平03-117799(JP,A)
【文献】特開昭62-034751(JP,A)
【文献】特表2008-539096(JP,A)
【文献】特表2008-524541(JP,A)
【文献】特表2008-505297(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0237311(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0166692(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0320655(US,A1)
【文献】中国実用新案第207205989(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00-13/00
B23Q 17/00-23/00
F16N 1/00-99/00
F17C 1/00-13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超臨界機械加工流体を分配するための分配システムであって、
液体を貯蔵するように構築及び配置された貯蔵タンクであって、前記貯蔵タンクの底部に隣接して配置された出口を有する貯蔵タンクと、
前記出口に流体的に結合された圧力ブースタであって、前記貯蔵タンクから前記液体を受け取り、前記液体の圧力を前記液体の臨界圧力よりも高い第1の圧力まで上昇させるように構築及び配置された圧力ブースタと、
前記圧力ブースタに流体的に結合され、前記液体の温度を前記液体の臨界温度よりも高い第1の温度まで上昇させるように構築及び配置されたヒータと、を備え、
前記液体の圧力を前記第1の圧力まで上昇させ、前記液体の温度を前記第1の温度まで上昇させると、前記液体は超臨界機械加工流体に変わり、
前記分配システムは、
前記ヒータに流体的に結合された貯蔵容器であって、前記超臨界
機械加工流体を受け取り、前記液体の前記臨界圧力よりも高い圧力及び前記液体の前記臨界温度よりも高い温度に前記超臨界
機械加工流体を維持するように構築及び配置された貯蔵容器と、
前記貯蔵容器に流体的に結合され、前記貯蔵容器から複数の機械加工ツールへ前記超臨界
機械加工流体を供給するように構築及び配置された供給部を備える第1の供給システムと、
をさらに備え、
前記分配システムは、前記複数の機械加工ツールをさらに備え、前記機械加工ツールの少なくとも1つは、回転ユニオンを含み、前記回転ユニオンは、前記少なくとも1つの機械加工ツールに前記超臨界機械加工流体が供給される場合、前記超臨界機械加工流体によって潤滑される、分配システム。
【請求項2】
前記供給部は第1の供給部であり、
前記第1の供給システムは、
前記超臨界機械加工流体と異なる機械加工流体を前記複数の機械加工ツールへ供給するように構成された第2の供給部と、
前記超臨界機械加工流体及び前記異なる機械加工流体を選択的に前記機械加工ツールの少なくとも1つに供給するように構成された弁装置と、
を備える、請求項1に記載の分配システム。
【請求項3】
前記液体が液体二酸化炭素を含む、請求項1に記載の
分配システム。
【請求項4】
前記超臨界
機械加工流体が超臨界二酸化炭素を含む、
請求項3に記載の
分配システム。
【請求項5】
前記圧力ブースタが、クライオジェニックポンプ、ガスブランケット及びガスブースタからなる群から選択された少なくとも1つである、請求項1に記載の
分配システム。
【請求項6】
前記ヒータが電気気化器である、請求項1に記載の
分配システム。
【請求項7】
前記貯蔵容器が1つ又は複数の加熱要素を備える、請求項1に記載の
分配システム。
【請求項8】
前記貯蔵容器が、前記超臨界
機械加工流体をその超臨界温度より上に維持するように前記加熱要素を制御するように構成された制御装置を備える、
請求項7に記載の
分配システム。
【請求項9】
前記貯蔵容器が、互いに流体的に結合された複数のタンクを備える、請求項1に記載の
分配システム。
【請求項10】
前記貯蔵容器が複数の貯蔵容器の1つであり、前記複数の貯蔵容器の各貯蔵容器が前記複数の機械加工ツールの、機械加工ツールのサブセットに結合される、請求項1に記載の
分配システム。
【請求項11】
前記複数の機械加工ツールに潤滑剤を供給するように構築及び配置された
第2の供給システムをさらに備える、請求項1に記載の
分配システム。
【請求項12】
前記潤滑剤が前記複数の機械加工ツールの各機械加工ツールで前記超臨界
機械加工流体と組み合わされる、
請求項11に記載の
分配システム。
【請求項13】
前記潤滑剤が、前記複数の機械加工ツールに供給される前に前記超臨界
機械加工流体と組み合わされる、
請求項11に記載の
分配システム。
【請求項14】
前記複数の機械加工ツールが機械加工施設内に配置され、前記貯蔵タンク、圧力ブースタ、ヒータ及び貯蔵容器が前記機械加工施設の外側に配置される、請求項1に記載の
分配システム。
【請求項15】
前記複数の機械加工ツールは複数の切削ツールである、請求項1に記載の
分配システム。
【請求項16】
前記
第1の供給システムと流体連通する複数の潤滑剤モジュールをさらに備え、前記複数の潤滑剤モジュールの各潤滑剤モジュールは、
減圧調整器を含み、前記複数の機械加工ツールのうちの関連付けられた機械加工ツールに
潤滑剤の所望の流量を提供するように構成され
る、請求項1に記載の
分配システム。
【請求項17】
超臨界機械加工流体を分配するための方法であって、
貯蔵タンクから圧力ブースタに液体を流すことと、
前記圧力ブースタを用いて、前記液体の圧力を、前記液体の臨界圧力よりも高い第1の圧力まで上昇させることと、
前記圧力ブースタに流体的に結合されるヒータを用いて、前記第1の圧力の前記液体を、前記液体の臨界温度よりも高い第1の温度まで上昇させること
と、を含み、
前記液体の圧力を前記第1の圧力まで上昇させ、前記液体の温度を前記第1の温度まで上昇させると、前記液体は超臨界機械加工流体に
変わり、
前記方法は、
前記ヒータに流体的に結合された貯蔵容器を用いて、前記超臨界
機械加工流体の圧力を、前記液体の前記臨界圧力よりも高い圧力に維持し、前記超臨界
機械加工流体の温度を、前記液体の前記臨界温度よりも高い温度に維持することと、
第1の供給システムを用いて、前記貯蔵容器から複数の機械加工ツールへ
前記超臨界
機械加工流体を供給することであって、前記
第1の供給システムは、前記貯蔵容器に流体的に結合されることと、
前記超臨界
機械加工流体を用いて、前記複数の機械加工ツールのうちの第1の機械加工ツールの回転ユニオンを潤滑することと、
をさらに含む、方法。
【請求項18】
前記液体が液体二酸化炭素を含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記超臨界
機械加工流体が超臨界二酸化炭素を含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記貯蔵容器が複数の貯蔵容器の1つであり、
前記複数の貯蔵容器の各貯蔵容器を、前記複数の機械加工ツールの、機械加工ツールのサブセットに結合することをさらに含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項21】
第2の供給システムから前記複数の機械加工ツールに潤滑剤を供給することをさらに含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記潤滑剤を、前記複数の機械加工ツールの各機械加工ツールで前記超臨界
機械加工流体と組み合わせることをさらに含む、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記潤滑剤を、前記複数の機械加工ツールに供給される前に前記超臨界
機械加工流体と組み合わせることをさらに含む、
請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の機械加工ツールは複数の切削ツールである、
請求項17に記載の方法。
【請求項25】
減圧調整器を
含む第2の供給システムを用いて、前記複数の機械加工ツールのうちの関連付けられた機械加工ツールに
潤滑剤の所望の流量を提供することをさらに含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の供給システムは、
前記超臨界機械加工流体と異なる機械加工流体を前記複数の機械加工ツールへ供給するように構成された供給部と、
前記超臨界機械加工流体及び前記異なる機械加工流体を選択的に前記機械加工ツールの少なくとも1つに供給するように構成された弁装置と、
を備える、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
[0001] 開示された実施形態は、超臨界機械加工流体を利用する機械加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
[0002] フライスシステム、旋盤、コンピュータ数値制御(CNC)システム、ロボットドリル、及び/又はマシニングセンターなどの機械加工ツールは、切削又は成形プロセス中に冷却及び/又は潤滑を提供するために金属加工流体などの機械加工流体を使用し得る。機械加工流体は、切削又は成形プロセス中に切削ツールとワークピースとの間の界面に供給され得る。いくつかの用途では、機械加工流体は、機械加工流体を、一連のパイプを介して、及び機械加工流体を切削界面に向ける1つ又は複数のノズルに送るなどして、外部から供給され得る。他の用途では、機械加工流体は、例えば、ツールホルダを介して及び/又は切削ツールを介して(例えば、切削ツールに形成された1つ又は複数のチャネルを介して)、界面に内部的に送られ得る。
【0003】
[0003] 従来の機械加工流体は、切削プロセス中に切削ゾーンを冷却するための冷却流体(空気、水、液体二酸化炭素、又は液体窒素など)と、切削ゾーンを潤滑するための潤滑剤(油、最小量潤滑(MQL)流体又は合成流体など)とを含む混合物を含み得る。場合によっては、油、エマルジョン、又は合成流体のみを含む機械加工流体が適切であり得る。いくつかの用途では、超臨界二酸化炭素(scCO2)などの超臨界流体が機械加工流体の一部として利用され使用されてきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
[0004] 一実施形態では、機械加工システムは、超臨界機械加工流体を供給するように構築及び配置された第1の機械加工流体供給部と、第2の機械加工流体を供給するように構築及び配置された第2の機械加工流体供給部とを備える。このシステムは、第1の機械加工流体供給部に流体的に結合された第1の入口と、第2の機械加工流体供給部に流体的に結合された第2の入口と、機械加工ツールに流体的に結合された出口とを有する第1の弁をさらに備える。第1の弁は、第1の弁が超臨界機械加工流体を機械加工ツールに供給するように構成された第1の位置と、第1の弁が第2の機械加工流体を機械加工ツールに供給するように構成された第2の位置との間で移動可能である。
【0005】
[0005] 別の実施形態では、機械加工システムは、複数の機械加工ツールに流体的に結合された潤滑剤リザーバと、潤滑剤リザーバに結合され、潤滑剤リザーバから複数の機械加工ツールの各機械加工ツールに潤滑剤を供給するように構成された1つ又は複数のポンプとを備える。1つ又は複数のポンプは、所定の流量の潤滑剤を複数の機械加工ツールに供給するように構成され、潤滑剤は、複数の機械加工ツールの各機械加工ツールで機械加工流体と組み合わされる。
【0006】
[0006] さらなる実施形態では、超臨界機械加工流体を分配するためのシステムは、液体を貯蔵するように構築及び配置された貯蔵タンクであって、貯蔵タンクの底部に隣接して配置された出口を有する貯蔵タンクと、出口に流体的に結合された圧力ブースタとを備える。圧力ブースタは、第1の貯蔵タンクから液体を受け取り、液体の圧力を液体の臨界圧力よりも高い第1の圧力まで上昇させるように構築及び配置されている。このシステムは、ポンプに流体的に結合され、液体の温度を液体の臨界温度よりも高い第1の温度まで上昇させるように構築及び配置されたヒータをさらに備える。液体の圧力を第1の圧力まで上昇させ、液体の温度を第2の圧力まで上昇させると、液体は超臨界流体に変わる。このシステムはまた、ヒータに流体的に結合された貯蔵容器と、貯蔵容器に流体的に結合された分配システムとを含む。貯蔵容器は、超臨界流体を受け取り、液体の臨界圧力よりも高い圧力及び液体の臨界温度よりも高い温度に超臨界流体を維持するように構築及び配置され、分配システムは、貯蔵容器から複数の機械加工ツールへ超臨界流体を供給するように構築及び配置される。
【0007】
[0007] さらに別の実施形態では、超臨界機械加工流体を含む機械加工システムにおいて漏れを検出する方法は、超臨界機械加工流体を機械加工ツールに供給すること、機械加工ツールの一部の温度を測定すること、所定の温度低下を超える温度低下を検出すること、及び所定の温度低下を超える温度低下の検出に応答して漏れ指摘信号を生成することを含む。
【0008】
[0008] 前述の概念、及び以下で考察される追加の概念は、任意の適切な組み合わせで構成できることを理解されたい。本開示は、この点に関して限定されないからである。さらに、本開示の他の利点及び新規の特徴は、添付の図と併せて検討した場合、様々な非限定的な実施形態の以下の詳細な記載から明らかになるであろう。
【0009】
図面の簡単な説明
[0009] 添付の図面は、一定の縮尺で描かれることを意図していない。図面中、様々な図に示されている各同一又はほぼ同一の構成要素は、同様の数字で表すことができる。わかりやすくするために、すべての図面ですべての構成要素にラベルが付けられているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0010]いくつかの実施形態による、超臨界流体を利用する機械加工システムの概略図である。
【
図2】[0011]いくつかの実施形態による、集中型超臨界機械加工流体分配システムの概略図である。
【
図3】[0012]いくつかの実施形態による、弁アセンブリの概略図である。
【
図4】[0013]いくつかの実施形態による、温度監視を含む機械加工ツールの概略図である。
【
図5】[0014]いくつかの実施形態による、集中型潤滑剤供給システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な記載
[0015] 本明細書に記載の態様は、超臨界二酸化炭素(scCO2)又は超臨界窒素などの超臨界流体を含む機械加工流体を利用する機械加工システムの改善に関する。本発明者らは、超臨界機械加工流体が、水ベースの機械加工流体、油ベースの機械加工流体(例えば、ニートオイル)、最小量潤滑(MQL)流体、又は合成機械加工流体などの従来の機械加工流体と比較して、多くの利点を提供し得ることを理解した。本明細書で使用される場合、超臨界流体は、その臨界点より上に(すなわち、臨界温度より高い温度及び臨界圧力より高い圧力で)維持される流体を指す。例えば、二酸化炭素の臨界温度及び臨界圧力はそれぞれ31.1℃及び72.8atmであり、これらは産業用途において容易に達成可能である。臨界点を超えると、明確な液相及び気相は存在せず、代わりに、超臨界流体は液体及び気体の両方の特性を示す。例えば、超臨界流体は、気体の流れ及び膨張挙動を示す一方、液体のように材料を溶解することもでき得る。機械加工用途では、急速に膨張する超臨界機械加工流体は、従来の水ベースの機械加工流体と比較して、より良い冷却及び/又はより効率的な熱伝達を提供し得、潤滑剤とのより良い混合又は潤滑剤の溶解を提供し得、及び/又はより少ない量の潤滑剤の使用を可能にし得る。さらに、以下でより詳細に記載するように、場合によっては、溶解した潤滑剤を含む急速に膨張する超臨界機械加工流体は、高速で移動する小さな潤滑剤液滴を沈殿させ得、これは従来の機械加工流体と比較して優れた潤滑を提供し得る。
【0012】
[0016] 超臨界流体の上記の特性のいくつかは、機械加工用途において多くの利点を提供することが認識されているが、本発明者らはまた、従来の機械加工システムの設計のいくつかの態様は、超臨界流体と共に使用するのに上手く適していない可能性があることを認識及び理解した。特に、従来の機械加工流体と比較して超臨界流体の異なる特性及び/又は挙動は、超臨界流体に対応するために機械加工システムの設計に異なるアプローチを必要とし得る。例えば、本発明者らは、流体をその臨界圧力及び/又は臨界温度未満で機械加工ツールに供給し、続いて超臨界機械加工流体を生成するために機械加工ツールで流体の圧力及び/又は温度を上昇させることができるシステムに関連する利点を認識した。いくつかの用途では、流体は、その臨界圧力を超えて(例えば、機械加工ツールに関連付けられた貯蔵タンクに、及び又は高圧流体を複数の機械加工ツールに分配するように構成された集中貯蔵システムに)貯蔵され得、流体は、超臨界機械加工流体が切削プロセスで必要な場合、各機械加工ツールでその臨界温度を超える温度に加熱することができる。他の用途では、超臨界機械加工流体は、超臨界機械加工流体を貯蔵し、切削操作中に必要になる前に貯蔵中に臨界点より上に流体を維持するように特別に設計された1つ又は複数の貯蔵タンクに貯蔵され得る。以下でより詳細に記載するように、いくつかの実施形態では、超臨界流体は、超臨界状態で調製及び貯蔵することができ、集中供給システムを介して複数の機械加工ツールに分配することができる。
【0013】
[0017] さらに、特定の実施形態に依存して、超臨界機械加工流体の温度は、異なる種類の超臨界流体に対して必要に応じて、及び/又は特定の切削プロセスの熱管理のために適切に調整することができる。例えば、scCO2を利用するシステムの場合、温度を100℃超に維持することができる。場合によっては、より暖かい温度を維持することは、例えば、過冷却することなく、小さく、高速の粒子を提供するために有利である可能性がある。例えば、超臨界流体の臨界温度よりも実質的に高い温度を維持することは、いくつかの切削プロセスにおいて有利であり得る。
【0014】
[0018] さらに、本発明者らは、超臨界機械加工流体を利用するシステムは、超臨界機械加工流体と適合性があるように選択されるポンプ、弁、シール、及び/又は他の配管装置などの様々な構成要素を必要とし得ることを認識及び理解した。例えば、そのような構成要素は、超臨界機械加工流体を機械加工ツールに供給するためのシステムに関連して使用され得る(集中型分配システムから、及び/又は特定の機械加工ツールに関連付けられた超臨界流体システムからなど。さらに、本発明者らは、機械加工ツール内の多くの構成要素は超臨界流体と適合性がない可能性があることを認識及び理解した。例えば、従来の機械加工ツールで使用される多くのシールは、超臨界機械加工流体によって容易に可溶化される材料から形成され、これは機械加工システムの劣化及び/又は故障につながる可能性がある。したがって、本明細書で記載するいくつかの態様は、以下でより詳細に記載するように、超臨界機械加工流体と一緒の使用に適した材料(例えば、シール装置用)に関する。
【0015】
[0019] 本明細書に記載の様々な実施形態は超臨界機械加工流体に言及しているが、本開示は、機械加工プロセス全体を通してそれらの超臨界状態に維持される超臨界機械加工流体に限定されないことを理解されたい。特に、いくつかの実施形態では、機械加工流体は、その超臨界状態で開始し得るが、機械加工プロセス中に臨界温度及び/又は圧力を下回ることがある。本発明者らは、機械加工流体が臨界点を下回った場合でも、超臨界状態に関連する本明細書に記載の利点の多くが依然として維持され得ることを認識及び理解した。例えば、いくつかの用途において、潤滑剤を超臨界機械加工流体に混合することは、機械加工流体がその超臨界特性を失うように超臨界機械加工流体の温度及び/又は圧力がそれぞれの臨界値を下回ると、潤滑剤が小さな液滴に分散することを有利にもたらし得る。特に、本発明者らは、機械加工流体が超臨界状態にある間、潤滑剤はマッチング流体に完全に溶解し得(すなわち、潤滑剤は超臨界流体に完全に溶解可能であり得る)、その結果、そのような液滴は、機械加工流体が超臨界状態にある間、存在しない可能性があることを理解した。したがって、いくつかの実施形態では、潤滑剤の液滴は、機械加工流体が超臨界状態から移行するときにのみ形成され得る。
【0016】
[0020] 場合によっては、超臨界流体が切削界面で切削ツール又はツールホルダのノズル又はオリフィスから供給されるときなど、超臨界機械加工流体が開放環境に供給されるときに、超臨界機械加工流体は急速に膨張し得る。本発明者らは、超臨界流体のこの膨張が、従来の機械加工流体で達成可能であるものと比較して、より小さくより均一なサイズの潤滑剤の液滴を沈殿させるのに役立ち得ることを理解した。したがって、いくつかの用途では、本明細書に記載の超臨界機械加工流体は、(例えば、機械加工ツールのスピンドル内で及び/又は切削界面で)部品が切削、冷却、及び/又は潤滑されている機械加工プロセスの時点でもはや超臨界状態にない場合があるが、超臨界機械加工流体の使用は、特に超臨界機械加工流体が実行可能な限り切削ゾーンの近くに供給される場合、従来の機械加工流体と比較して依然として多数の利点を提供し得る。
【0017】
[0021] いくつかの態様によれば、本明細書に記載のシステムは、超臨界流体の集中型の調製及び貯蔵、並びに機械加工施設(又は他の適切な環境)内に配置された1つ又は複数の機械加工ツールへの超臨界機械加工流体の分配を提供し得る。scCO2を含む超臨界機械加工流体を利用する一実施形態では、scCO2を調製して集中的に貯蔵し、scCO2を必要に応じて機械加工施設内の様々な機械加工ツールに分配することができる。例えば、scCO2は、圧力ブースタ(例えば、クライオジェニックポンプなどのポンプ、ガスブランケット、又はガスブースタ)を介してバルク貯蔵タンクから液体CO2をポンプで送給することによって調製することができる。圧力ブースタは、CO2の圧力を臨界圧力より上に上げる可能性がある。次に、高圧CO2は、CO2を臨界温度よりも高い温度に加熱し、それによってCO2をその超臨界状態に変換する電気気化器などのヒータに送られるようにすることができる。続いて、scCO2は、scCO2を超臨界状態に維持するように構築及び配置された高圧大容量貯蔵容器に移される。例えば、貯蔵容器は、熱損失(これにより温度が臨界温度を下回る可能性がある)を回避するために適切に断熱され得る。さらに、いくつかの実施形態では、貯蔵容器は、1つ又は複数の加熱要素、温度センサ、及びscCO2を臨界温度より上に維持するように構成された制御装置を含む能動温度制御システムを含み得る。scCO2は、機械加工施設内で(例えば、機械加工施設内の1つ又は複数の機械加工ツールで)機械加工流体が必要とされるまで貯蔵容器に貯蔵され得、必要とされる時点で、scCO2は貯蔵容器から引き出され、必要に応じて機械加工施設に分配され得る。
【0018】
[0022] いくつかの実施形態では、貯蔵容器は、1つ又は複数の大きな貯蔵タンク、及び/又は互いに結合されて大きな貯蔵容積を形成する複数のより小さな貯蔵タンク(例えば、シリンダ)を備え得る。或いは、又はさらに、いくつかの貯蔵容器は、それぞれ臨界温度及び/又は圧力より低い温度及び/又は圧力で機械加工流体を貯蔵するように構成され得る。そのような実施形態では、貯蔵容器に貯蔵された機械加工流体は、機械加工流体をその超臨界状態に戻すために、機械加工ツールに分配される前に、1つ又は複数の追加のヒータ及び/又は圧力ブースタを通過し得る。さらに、いくつかのシステムは、scCO2を機械加工施設内の機械加工ツールのサブセットに分配するように構成され得る複数の貯蔵容器を使用し得る。このようにして、複数の貯蔵容器は、機械加工施設の特定の部分又は機械加工施設内の機械加工ツールの特定のサブセットに分配するように構成された分散セルとして配置することができる。
【0019】
[0023] 本発明者らは、機械加工施設の周りの複数の機械加工ツールへの潤滑剤の集中型の分配を提供するシステムに関連する多くの利点をさらに認識及び理解した。特に、従来の潤滑剤供給装置は、通常、各機械加工ツールに関連付けられた個々のポンプを利用して、所望の体積流量の潤滑剤を機械加工ツールに供給する。本発明者らは、そのような配置がかなりの費用につながる可能性があることを理解している。例えば、いくつかの用途では、高圧潤滑剤投与ポンプが機械加工ツールの総費用のかなりの部分を占める場合があり、個々のポンプは、特に多数の機械加工ツールを含む機械加工施設において、かなりのメンテナンス及び修理費用につながる可能性がある。したがって、本明細書に記載のいくつかの態様は、中央の潤滑剤源から複数の機械加工ツールに必要な体積流量の潤滑剤を供給することができる集中型分配システムに関する。本発明者らは、そのような配置が、従来のシステムと比較してより単純でより安価な潤滑剤供給を提供し得、より少ないメンテナンス及び修理を必要とするより堅牢なシステムを提供し得ることを理解した。さらに、そのような集中型潤滑剤供給装置は、個々の機械に設置され得るリザーバと比較して、かなりより大きな潤滑剤リザーバを可能にし得、これは潤滑剤を交換又は補充しなければならない前に、より長い実行時間を可能にする。
【0020】
[0024] 一実施形態では、潤滑剤分配システムは、例えば、最大50個の別個の機械加工ツールに潤滑剤を供給するために、機械加工施設全体に潤滑剤の計量ネットワークを分配するように構築及び配置された高圧潤滑剤ポンプを含む。さらに、各機械加工ツールに分配される潤滑剤の体積流量は、特定の機械加工プロセスに必要な量の潤滑剤を提供するために独立して調整可能であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムは、天然ストレートオイル、エマルジョン濃縮物、合成油潤滑剤を供給するように構成することができ、及び/又は、本開示は潤滑剤分配システムによって分配されるいずれの特定の潤滑剤にも制限されないので、超臨界流体(例えば、scCO2)に可溶な他の潤滑剤配合物を使用することができる。いくつかの実施形態では、機械加工施設の各機械加工ツールで、MQL流体(又は他の適切な潤滑剤)は、超臨界流体と組み合わせることができ、及び、(例えば、上述のような集中化された源から、又は特定の機械加工ツールに関連付けられた超臨界流体生成システムから)機械加工ツールへ超臨界流体を供給し、その後、ツールの切削界面に供給される超臨界機械加工流体を形成し得る。潤滑剤分配システムのいくつかの実施形態は、超臨界機械加工流体を利用するシステムに関連して記載されるが、潤滑剤分配システムは、より従来型の(すなわち、非超臨界)機械加工流体を利用する用途に使用することもできることを理解されたい。
【0021】
[0025] 上記に加えて、本発明者らは、超臨界機械加工流体の機械加工ツールへの供給が、水ベースの機械加工流体を利用する従来の機械加工システムには存在しない多くの課題を提示し得ることを認識及び理解した。特に、回転機械加工ツール(例えば、CNC機械、旋盤、ミル等)を含むシステムでは、機械加工流体は、切削界面に到達する前に、ツールの回転ユニオンを通過する必要がある場合がある。超臨界流体に関連する高圧及びガスのような挙動のために、本明細書に記載のシステムで使用され得る回転ユニオンは、従来の機械加工流体のみを使用するシステムと比較して、よりしっかりと密封する必要がある場合がある。いくつかの用途では、超臨界機械加工流体と共に使用される回転ユニオンは、非超臨界流体を使用するシステムと比較して、より小さな直径で設計され得る。
【0022】
[0026] さらに、超臨界機械加工流体を利用する本明細書に記載のシステムの回転ユニオンは、ツール交換に関連する繰り返しの加圧及び減圧サイクルに対応するように設計することができる。例えば、回転ユニオンは、回転ジョイントが超臨界機械加工流体の圧力によって加圧されたときに回転ジョイントの閉鎖を回避するように構成された、回転ジョイント内のばね装置を含み得る。いくつかの実施形態は、ツール交換中に回転ジョイントに潤滑を提供するように構成された、ベアリングレス回転ジョイントのための再閉鎖機構を含み得る。特に、回転ジョイントの通常の動作中にシールを潤滑することができる従来の機械加工流体を利用する回転ジョイントとは対照的に、超臨界流体に関連する高圧は、潤滑剤が回転ジョイントのシールに浸透するのを妨げる可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、回転ジョイントのシールは、ツール交換に関連する減圧中に分離し得、分離は、潤滑剤の薄膜をシール上に堆積させて潤滑剤を提供することを可能にし得る。さらに、以下でより詳細に記載するように、いくつかの実施形態では、様々なシール構成要素に使用される材料は、超臨界機械加工流体との適合性を提供するように(例えば、超臨界流体中のシール材料の望ましくない溶解を回避するように)選択することができる。
【0023】
[0027] 上記のように、超臨界機械加工流体及び/又は潤滑剤の集中型の分配を利用する様々な実施形態が本明細書に記載されているが、本開示はこの点に関して限定されないことを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態は、関連する機械加工ツールに超臨界機械加工流体を供給するための個々のシステムを含み得る。例えば、超臨界機械加工流体システムは機械加工ツール(CNC機械など)に結合することができ、超臨界機械加工流体システムは、必要に応じて、機械加工流体及び/又は潤滑剤をツールに供給し得る。
【0024】
[0028] いくつかの態様によれば、超臨界機械加工流体(例えば、scCO2)と共に使用するように設計された機械加工システムはまた、従来の水及び油ベースの機械加工流体と適合可能であり得る。したがって、極低温及び/又はガスベースの機械加工流体に基づく他の従来のシステムとは異なり、本明細書に記載のシステムは、機械加工ツールのオペレータが、単一の機械加工プロセス中及び/又は複数の機械加工プロセス間を含めて、必要に応じて、超臨界機械加工流体と水及び油ベースの機械加工流体とを容易に切り替えることを可能にし得る。特に、本発明者らは、超臨界機械加工流体は、水の密度に近い密度(例えば、水の密度の約80%)を有し得、油などの潤滑剤は、超臨界機械加工流体に可溶であり得ることを理解した。結果として、超臨界機械加工流体は、水ベースの機械加工流体に使用されるのと同じスピンドル装置を通って流れることができる可能性がある。対照的に、水ベースの機械加工流体は、極低温流体(例えば、極低温CO2又は液体窒素)などの他の非超臨界機械加工流体と互換性がない場合があり、これにより水ベースの流体には適さない可能性がある特殊な装置が必要になる場合がある。結果として、そのような他の非超臨界機械加工流体に基づくシステムは、水ベースの流体との適合性を提供するためにかなりの修正を必要とするであろう。対照的に、本明細書に記載のシステムでは、所望の機械加工流体(例えば、水ベース又は超臨界)の選択は、日々、部品ごとに、及び/又はツールごとに行うことができ、この際機械加工ツールの大幅な修正はなく、それにより特定の機械加工プロセスに適した機械加工流体を選択するオペレータ柔軟性が提供される。
【0025】
[0029] いくつかの実施形態では、機械加工ツールは、超臨界機械加工流体と従来の(例えば、水ベースの)機械加工流体との間の切り替えを容易にするための弁装置を含み得る。例えば、弁装置は、回転ユニオン、タレット、又は機械加工ツールのスピンドルなどの機械加工ツールの切削部分への他の適切な接続部の上流に配置され得る。機械加工流体は、弁装置及びツールの切削部分を通って流れる可能性があり、最終的には切削界面に向けられる可能性がある。弁装置は、空気圧作動式ボール弁などの三方流体選択弁を含み得、ボール弁は、高圧下でさえ水又は油ベースの機械加工流体の体積流量を制限しないように十分に大きいオリフィスを含み得る。さらに、弁装置は、システム内の超臨界流体の望ましくない膨張を回避するために、ボール弁が超臨界機械加工流体の最終的な制限点を形成しないように、機械加工システム内で構成され得る。
【0026】
[0030] いくつかの実施形態では、弁装置はまた、超臨界流体の供給部(例えば、中央分配源からの)と流体選択弁との間に配置された三方弁を含み得る。この三方弁は、超臨界機械加工流体の選択的ベントを可能にして、ツール交換中又は従来の水又は油ベースの機械加工流体が使用されているときなど、機械加工ツール内の圧力を低減又はパージし得る。いくつかの用途では、三方弁は、CNC機械の制御装置などの関連する機械加工ツールの制御装置に動作可能に結合された電磁弁であり得る。制御装置は、切削界面に追加のクーラントが必要であるという制御装置からの信号に応答してなど、機械加工ツールへの超臨界流体の流れを選択的に制御するために電子信号を三方弁に送信し得る。場合によっては、弁装置は、従来の水又は油ベースの機械加工流体の供給部と機械加工流体選択弁との間に配置された逆止弁などの、1つ又は複数の逆止弁をさらに含み得る。そのような逆止弁は、機械加工ツールにおける超臨界機械加工流体の使用と従来の水又は油ベースの機械加工流体の使用との間の単純且つ迅速な移行を容易にするのに、さらに役立つ可能性がある。
【0027】
[0031] さらに、いくつかの用途では、弁装置は潤滑剤入口をさらに含み得、これを介して別個の潤滑剤(例えば、MQL潤滑剤)を導入し、機械加工ツールに供給することができる(例えば、回転ユニオン、タレット、又は機械加工ツールへの他の適切な接続部の前で)。例えば、上述のような流体選択弁を含む一実施形態では、潤滑剤入口は、必要に応じて潤滑剤(例えば、MQL潤滑剤)を超臨界機械加工流体又は水又は油ベースの機械加工流体の代替として選択できるように、流体選択弁に対して下流に配置され得る。
【0028】
[0032] 本発明者らは、回転ユニオン、タレット、又は機械加工ツールの切削部品(例えば、スピンドル)への他の適切な接続部に供給される超臨界機械加工流体の圧力を監視することに関連する利点をさらに認識及び理解した。特に、超臨界流体に関連する高圧のため、圧力の監視は、ツール交換などの操作を実行する前にスピンドルの後ろの圧力がパージされるのを保証するのに有用であり、並びに圧力が目的の動作範囲内に維持されるのを保証するべく、機械加工操作中に超臨界機械加工流体の圧力を監視するのに有用であり得る。このような圧力監視は、非超臨界機械加工流体を利用する従来の機械加工システムでは必要ないが、しかしながら、超臨界流体を使用する場合、例えば、機械の安全性を改善するため、漏れを検出するため、及び/又は超臨界状態が達成されることを確実にするために、圧力監視を使用することができる。さらに、場合によっては、機械加工プロセスに影響を与える可能性がある超臨界流体の圧力を制御することによって、異なる冷却及び/又は流れ特性が達成され得る。
【0029】
[0033] いくつかの実施形態では、機械加工ツールのスピンドルに関連付けられた圧力変換器を、機械加工ツールの弁アセンブリの構成要素として設置することができる。例えば、上述の弁アセンブリに関連して、圧力変換器は、超臨界流体源に関連付けられた三方弁と流体選択弁との間に設置することができる。流体選択弁を含まない実施形態などの他の実施形態では、圧力変換器は、超臨界流体源に関連付けられた三方弁と機械加工ツールの回転ユニオン(又は他の適切な接続部)との間に設置することができる。或いは、又はさらに、いくつかの実施形態では、1つ又は複数の圧力変換器は、スピンドルなどの機械加工ツールの一部内など、回転ユニオンの下流に提供することができる。
【0030】
[0034] 特定の実施形態では、圧力変換器は、CNC機械(又は他の適切な機械加工ツール)の制御装置などの制御装置に動作可能に結合することができる。CNC機械の制御装置は、ツール交換操作を進める前に、スピンドルの上流(すなわち、回転ユニオンの上流)の圧力がパージされたことを確認するように構成され得る。圧力のパージが必要な場合、制御装置は、前述のように、超臨界流体源に関連付けられた三方弁と通信し得る。
【0031】
[0035] いくつかの態様によれば、機械加工ツールは、回転機械加工ツールのスピンドルなどの機械加工ツールの1つ又は複数の構成要素の温度を監視するように構成され得る。本発明者らは、超臨界流体のガスのような挙動、具体的には、開放環境に曝されたとき、及び/又はより小さな体積領域からより大きな体積領域に移行するときに、超臨界流体が急速に膨張する傾向を、超臨界機械加工流体の漏れなど、機械加工ツールの問題を検出するために利用できることを認識及び理解した。特に、超臨界流体の急速な膨張は、超臨界流体の急速な冷却をもたらし、それは次に、超臨界流体と接触する機械加工システムの構成要素の冷却を引き起こす。したがって、いくつかの実施形態では、温度監視を使用して、超臨界機械加工流体の漏れによって引き起こされる機械加工ツールの1つ又は複数の構成要素の温度の低下を検出することができる。このようにして、例えば、機械加工ツールの1つ又は複数の構成要素の凍結により、機械加工ツールが実質的な損傷又は故障を被る前に、機械加工ツールの漏れを検出し修復することができる。特に、そのような損傷又は故障の影響を受けやすい可能性のある構成要素には、機械加工ツールのスピンドルのベアリング、駆動モータ、ツールホルダ、ツールホルダとスピンドルの間の接続部、及び/又はツールホルダに保持される切削ツールが含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
[0036] いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムは、CNC機械などの機械加工ツールに含まれる既存の温度センサを利用して、上記の漏れ検出を実行し得る。特に、CNC機械は、熱電対、抵抗温度検出器、又はスピンドルの温度を監視するための(例えば、スピンドルの過熱を監視するための)その他の適切な温度センサを含んでいることが多い。しかしながら、本発明者らは、これらの温度センサは漏れ検出のために温度低下を監視するようにも構成できることを理解した。例えば、CNC機械の制御装置は、スピンドルの温度の所定の低下、例えば、室温以上であり得る通常の動作温度から約0℃以下の温度への温度低下に基づいて漏れを検出するように構成することができる。したがって、いくつかの実施形態では、所定の温度低下は、通常の動作温度から約20℃~約40℃の間の低下であり得る。いくつかの実施形態では、温度の所定の変化率に基づいて漏れを検出することができる。漏れを検出すると、CNC機械はアラームを鳴らし、スピンドルへの超臨界流体の供給を含む切削操作を中止する場合がある。このようにして、CNC機械は、さもなければ漏れから生じる可能性のあるさらなる損傷から保護されることができる。
【0033】
[0037] 上記の実施形態は、機械加工ツール内の温度監視を利用して超臨界流体の漏れを検出するが、温度監視は、システムの他の部分でも同様に使用されて、超臨界流体の漏れを検出できることを理解されたい。例えば、上記の集中型超臨界流体分配システムに関連して、貯蔵容器及び/又はパイプなどの分配システムの1つ又は複数の構成要素の温度を監視して、超臨界流体の漏れを検出することができる。上記の実施形態と同様に、システムは、漏れの場合の超臨界流体の急速な膨張及び冷却に対応し得る、所定の温度低下を超える様々な構成要素の温度低下を検出するように構成することができる。漏れが検出されると、影響を受ける構成要素への超臨界流体の流れを停止するようにシステムを構成することができる。
【0034】
[0038] 上記のように、本発明者らは、超臨界機械加工流体を利用するシステムは、超臨界流体との適合性を提供するために、機械加工システムの様々な構成要素の材料の選択を必要とし得ることを認識及び理解した。例えば、いくつかの用途では、ステンレス鋼管を利用して、超臨界機械加工流体を貯蔵容器(例えば、上述の集中貯蔵容器)から、機械加工流体が機械加工ツールの切削部分(例えば、回転機械加工ツールのスピンドル)に供給される回転ユニオン(又は他の適切な接続部)に送ることが有益であり得る。ステンレス鋼管の寸法は、超臨界機械加工流体供給システムに関連する所望の動作圧力範囲に基づいて選択することができる。例えば、一実施形態では、外径が約0.1インチから約0.5インチ(例えば、0.25インチ)であり、壁の厚さが約0.02インチから約0.05インチ(例えば、約0.035インチ)であるステンレス鋼管が適切であり得る。しかしながら、本開示は、超臨界機械加工流体を供給するためのステンレス鋼管の特定の寸法に限定されないことを理解されたい。さらに、適切であり得る管の他の材料には、合金鋼、真ちゅう、チタン、ハステロイ、アルミニウム、及び/又は高圧ホースが含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
[0039] さらに、いくつかの用途では、システムのいくつかの部分(CNCシステム内など)は、超臨界機械加工流体を切削界面に送るために可撓性管の使用を必要とし得る。そのようなシステムでは、可撓性管は、超臨界機械加工流体との適合性に基づいて、並びに必要な動作温度及び圧力範囲に基づいて選択することができる。例えば、scCO2ベースの機械加工流体を利用する一実施形態では、適切な管材料には、Parker Paraflex 520N-4油圧ホース、Swagelok BシリーズなどのPTFEライニング付き編組ステンレス鋼ホース、Swaglok FXシリーズなどの渦巻状ステンレス鋼コアホース、Fluke DH400などのポリアミドコアホース、及びSwagelok 7Rシリーズなどのナイロンコアホースが含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
[0040] 上記に加えて、超臨界機械加工流体と接触する可能性のある、本明細書に記載のシステムで使用される様々なシール、Oリング、及びジョイントは、超臨界流体に関連する動作温度及び圧力範囲に基づいて、並びに超臨界流体との適合性を提供するように選択することができる。例えば、動作圧力は、約100から140バールの間であり得、場合によっては、最大約200バール、300バール、400バール又はそれ以上であり得、動作温度は、約20℃から約100℃の間であり得る。いくつかの実施形態では、これらの圧力及び温度範囲で動作可能であり、scCO2などの超臨界流体との適合性も提供できるシール及びOリングに適した材料には、Kalrez 0090、硬デュロメータViton、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)でカプセル化されたVitonが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの用途では、適切な材料で形成されたシール又はOリングで利用可能な最も高いデュロメータを選択することが有益かもしれない。さらに、本明細書に記載のシステムの様々な部分を接続するのに適している可能性のあるジョイントには、National Pipe Thread(NPT)、British Standard Pipe(BSP及び/又はBSPP)、Joint Industrial Council(JIC)などの油圧継手、及び/又は200バール以上の定格の他の圧縮継手が含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
[0041] さらに、本明細書に記載のいくつかの実施形態は、超臨界流体と混合されて超臨界機械加工流体を形成する潤滑剤(1種又は複数種の油、金属加工流体エマルジョン濃縮物、及び/又はMQL流体など)を含むが、本開示は、潤滑剤を含む機械加工流体に限定されないことを理解されたい。例えば、いくつかの用途では、超臨界流体が単独で、切削プロセス中に十分な冷却及び/又は潤滑を提供し得る。他の用途では、クーラント流体(例えば、水)を超臨界機械加工流体に加えて、機械加工流体に質量及び/又は追加の熱伝達能力を追加することができる。したがって、超臨界機械加工流体は、潤滑剤又はクーラントなどの追加の成分を含む超臨界流体、又は含まない超臨界流体を指し得ることを理解されたい。
【0038】
[0042] 図に目を向けると、特定の非限定的な実施形態がさらに詳細に記載されている。本開示は本明細書に記載の特定の実施形態のみに限定されないので、これらの実施形態に関連して記載される様々なシステム、構成要素、特徴、及び方法は、個別に及び/又は任意の所望の組み合わせで使用できることを理解されたい。
【0039】
[0043]
図1は、超臨界機械加工流体を利用する機械加工システム100の概略図である。システム100は、切削又は成形操作が実行され得る切削界面112を含む機械加工ツール110(例えば、CNC機械、旋盤及び/又はタレット旋盤)を含む。例えば、切削界面は、切削ツールが取り付けられ得る回転スピンドルを含み得る。タレット旋盤システムなどのいくつかのシステムは、特定の所望の切削操作に基づいて選択できる複数の切削ツールを含み得る。機械加工ツール110はさらに、切削界面を機械加工流体システム120に結合する回転ユニオンなどの結合部114を含む。
【0040】
[0044] 機械加工流体システム120は、機械加工流体供給部122及び潤滑剤供給部124を含む。いくつかの実施形態では、機械加工流体供給部は、超臨界機械加工流体(例えば、scCO2)を機械加工ツール110に供給するように構成され得るが、従来の機械加工流体(すなわち、非超臨界流体)用に構成された実施形態も適切であり得る。機械加工流体及び潤滑剤は、それぞれ供給ライン126及び128を介して結合部114に供給される。さらに、機械加工ツール110は、切削操作中の切削ツールの操作など、機械加工ツールの操作の様々な側面を制御するように構成された制御装置118を含む。制御装置118はまた、制御装置が機械加工ツール110への超臨界流体及び/又は潤滑剤の供給を制御し得るように、弁装置130に動作可能に結合されている。
【0041】
[0045] 特定の実施形態に依存して、機械加工流体源120は、切削操作中に超臨界機械加工流体を切削界面112に供給するために個々の切削ツールに結合され得るスタンドアロンシステムであり得るか、又は、機械加工センター若しくは切削センター内の複数の切削ツールに機械加工流体を供給するように構成された集中型分配システムであり得る。同様に、潤滑剤源124は、個々の機械加工ツールに結合されたスタンドアロンシステムであり得るか、又は潤滑剤源は、機械加工施設内の複数の機械加工ツールに潤滑剤を供給するように構成された集中型潤滑剤分配システムであり得る。
【0042】
[0046] さらに、本開示は、特定のタイプの機械加工ツール110に限定されないことを理解されたい。例えば、ツールは、CNC機械、旋盤、タレット旋盤、ミル、ロボットドリル、又は任意の他の適切な機械加工システムを含み得る。
【0043】
[0047] ここで
図2を参照して、scCO
2ベースの超臨界機械加工流体を調製及び分配するためのシステム200の一実施形態をより詳細に記載する。このシステムは、液体CO
2を含有するように構成された貯蔵タンク210を含む。例えば、貯蔵タンク210は、液体CO
2が約20バールの圧力及び約-18℃の温度に維持される真空ジャケット付き垂直タンクであり得る。液体CO
2は、貯蔵タンク210からクライオジェニックポンプなどの1つ又は複数のポンプ220に供給される。いくつかの実施形態では、液体CO
2は、貯蔵タンク210の底部から引き出され得る。このように、システムは、貯蔵タンク内の液柱のヘッド圧力を利用して、ポンプ220の吸引ポートにおいて最小の有効吸込ヘッド(net positive suction head:NPSH)を維持し得る。ポンプは、液体CO
2を圧縮し、液体CO
2の圧力を、臨界圧力を超える圧力、例えば、約200バールまで増加させるように構成される。次に、高圧液体CO
2は、CO
2をその臨界温度より高い(すなわち、31℃を超える)温度に加熱する電気気化器などのヒータ230を通して導かれる。流体をその臨界温度を超えるまで加熱することにより、高圧液体CO
2はその超臨界状態(scCO
2)に変換される。次に、scCO
2は、高圧の大容量貯蔵容器240に移され、これは、1つ又は複数の加熱要素、断熱材、及びscCO
2が臨界温度を超えたままであることを保証するために温度を維持するように構成された閉ループ制御を含み得る。機械加工操作に必要な場合、scCO
2は、その後、貯蔵容器240から複数の機械加工ツール110を含む機械加工施設250に分配され、scCO
2は、個々の機械加工ツールに送られ得る。
【0044】
[0048] 単一の貯蔵タンク210が
図2に示されているが、他の構成が適切であり得ることを理解されたい。例えば、上記のように、いくつかの実施形態は、互いに結合された複数のより小さな貯蔵タンク(例えば、シリンダ)を使用して、単一のより大きな貯蔵容積を形成し得る。いくつかの実施形態では、そのような貯蔵タンクは、機械加工施設250内に配置され得る。或いは又はさらに、いくつかの実施形態は、分配セルを形成するように配置された複数の貯蔵タンク及び/又はいくつかの複数のより小さな貯蔵タンクを使用することができ、かかる分配セルは、scCO
2を機械加工施設の異なる部分に及び/又は機械加工施設内の機械加工ツールの異なるサブセットに分配するように構成される。
【0045】
[0049] さらに、いくつかの実施形態では、システム200は、集中型潤滑剤分配システム260をさらに含み得る。上述のように、この潤滑剤分配システムは、潤滑剤(例えば、MQL潤滑剤)を複数の機械加工ツール110に分配するように構築及び配置することができ、機械加工ツールの所で潤滑剤はscCO2機械加工流体と混合されることができる。或いは、各機械加工ツールは、システム200からのscCO2の供給部に結合された別個の潤滑剤源を備えることができる。
【0046】
[0050] 図示の実施形態では、scCO2は、機械加工施設250の外側で調製及び貯蔵され、機械加工施設250内に配置された機械加工ツール110に分配される。しかしながら、システム200の構成要素の一部又はすべてが機械加工施設250内に配置される実施形態も考えられる。例えば、一実施形態では、貯蔵タンク210は、機械加工施設の外側に配置することができ、一方、ポンプ220、ヒータ230、及び貯蔵容器240は、機械加工施設内に配置することができる。さらに、3つの機械加工ツール110が図に示されているが、本明細書に記載の集中型分配システムは、任意の適切な数の機械加工ツールと共に使用できることを理解されたい。
【0047】
[0051]
図3は、いくつかの実施形態による、弁装置300の動作を示す概略的なフローチャートを示している。弁装置300は、異なるマッチング作業に必要とされ得るような、超臨界機械加工流体と従来の(非超臨界)機械加工流体との間の切り替えを提供し得る。システムは、超臨界流体供給部302及び非超臨界流体供給部304を含み、これらはそれぞれ、所望の機械加工流体の機械加工ツール308への流れを選択的に許容するように構成された第1の三方弁306に送られる。特定の実施形態に依存して、第1の三方弁は、手動弁又は空気圧制御弁などの自動弁であり得る。
【0048】
[0052] 第2の三方弁310は、超臨界流体供給部302と第1の三方弁306との間に配置される。第2の三方弁312は、ツール交換中に機械加工ツール308内の圧力をパージするためなど、超臨界流体を排出部312に送ることを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、第2の三方弁は電磁弁であり得るが、他の種類の弁が適切であり得る。圧力センサ314が、第1の三方弁306と第2の三方弁310との間に配置され、機械加工ツールの背後の圧力を監視する。いくつかの適用では、機械加工ツールの1つ又は複数の操作は、測定された圧力に基づいて機械加工ツールの制御装置によって制御され得る。例えば、機械加工ツールは、圧力が所定のレベルを超えて増加した場合に、切削操作を停止し、圧力を(第2の三方弁を介して)パージするように構成され得る。さらに、第1の三方弁306への非超臨界流体の流れは、非超臨界流体供給部304に関連付けられた弁316(逆止弁など)を介して制御され得る。
【0049】
[0053] いくつかの実施形態では、弁装置は、潤滑剤供給部318から機械加工流体に潤滑剤を供給するようにさらに構成することができ、潤滑剤の流れは、潤滑剤供給部に関連付けられた逆止弁などの弁320を介して制御することができる。同様に、弁装置は、圧縮空気などの添加物を機械加工流体に供給するように構成された添加物供給部322を含み得、弁324が添加物の供給を制御し得る。場合によっては、潤滑剤供給部及び圧縮空気供給部を使用して、第3の機械加工流体オプション(すなわち、MQL潤滑剤などの空気分散潤滑剤)を提供することができる。
【0050】
[0054] 上記の実施形態は、超臨界流体及び非超臨界流体を選択的に供給するように構成されるが、他の構成が適切であり得ることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態は、2種類の異なる超臨界流体(例えば、異なる潤滑剤と予混合されたscCO2)の供給を含み得、三方弁を使用して、超臨界流体の一方を選択的に供給し得る。さらに、弁装置は機械加工ツールの外側にあるように描かれているが、本開示はこの点に関して限定されず、いくつかの実施形態は、機械加工ツールに供給される複数の機械加工流体からの適切な機械加工流体の選択を可能にするために機械加工ツール内に配置された弁装置を含み得ることを理解されたい。
【0051】
[0055]
図4は、超臨界機械加工流体の漏れを検出するように構成された温度監視を含む、機械加工ツール400の一実施形態の概略図である。特に、機械加工ツール400は、ツールホルダ406を介して切削ツール404が取り付けられたスピンドル402を含む。機械加工ツール400は、切削操作中に切削ツール404の回転を駆動するように構成された1つ又は複数の駆動モータ408を含む。図示の実施形態では、超臨界機械加工流体は、超臨界流体供給部410を介してマッチングツールに供給され得る。超臨界流体は、機械加工ツール400を介して(スピンドル402及びツールホルダ406を介する場合を含む)など、任意の適切な方法で切削界面に供給することができる。
【0052】
[0056] 1つ又は複数の温度センサ412が機械加工ツールに提供され、温度センサは、スピンドル402の温度を含む、機械加工ツール400の1つ又は複数の構成要素の温度を監視するように構成される。温度センサ412は制御装置414に接続され、制御装置は、温度センサによって測定された温度の所定の低下に基づいて超臨界流体の漏れを検出するように構成され得る。上述のように、超臨界流体は、それらが膨張するときに急速に冷える可能性があり、これは、超臨界流体が機械加工ツール内で望ましくないほど漏れている場合に発生する可能性がある。いくつかの実施形態では、検出される漏れに対応する温度低下は、0℃以下の温度への切削機械の動作温度の低下であり得る。漏れ状態を検出すると、制御装置は、例えば、駆動モータ408を停止すること、及び/又は超臨界流体供給部410を介した超臨界流体の供給を停止することによって、切削機械の動作を停止し得る。他の実施形態では、制御装置は、漏れを検出すると、機械加工流体を水性機械加工流体に切り替えるように構成され得る。このようにして、スピンドル及び関連付けられたスピンドルベアリング、駆動モータ、及び/又は切削ツールなどの機械加工ツールの様々な構成要素を、漏れから生じる可能性のあるさらなる損傷から保護することができる。
【0053】
[0057] ここで
図5を参照すると、集中型潤滑剤供給システム500の一実施形態がより詳細に記載されている。システム500は、集中型潤滑剤リザーバ502、ポンプ504(例えば、油圧ポンプ)、及び貯蔵容器506(例えば、油圧アキュムレータ)を含み、そこから、潤滑剤を複数の潤滑剤モジュール510に分配することができる。各潤滑剤モジュールは、1つ又は複数の機械加工ツール512に結合することができ、取り付けられた機械加工ツールに所望の流量の潤滑剤を提供するように構成することができる。特に、各潤滑剤モジュール510は、減圧調整器514、ニードル弁516、任意選択の流量計518、及び電磁弁518を含み得る。調整器及び弁は、機械加工ツール512の特定の機械加工プロセスのために潤滑剤の所望の流量及び/又は圧力を提供するように構成され得る。さらに、各潤滑剤モジュール510は、機械加工流体供給部522を含み得、かかる機械加工流体供給部522を通って、超臨界機械加工流体などの機械加工流体が流れ、機械加工ツール512に供給される前に潤滑剤と混合し得るる。4つの潤滑剤モジュールを含む潤滑剤分配システムが
図5に示されているが、本開示は、潤滑剤供給システムが潤滑剤を供給する潤滑剤モジュール及び/又は機械加工ツールの特定の数に制限されないことを理解されたい。
【0054】
[0058] 潤滑剤モジュール510は、
図5において関連付けられた機械加工ツール512の外側に配置されるように示されているが、他の構成が適切であり得ることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、潤滑剤モジュールは、機械加工ツールの内部構成要素として構成され得る(例えば、潤滑剤モジュールは、機械加工ツールのハウジング内に配置され得る)、又は機械加工に直接取り付けられ得る。同様に、機械加工流体分配システムの構成要素など、上記の1つ又は複数の追加の構成要素及び/又はシステムも、機械加工ツールの構成要素として構成され得、機械加工ツールのハウジングに直接取り付けられ得る及び/又はハウジング内に配置され得ることを理解されたい。
【0055】
[0059] 上記のように、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムは、例えば、1つ又は複数の圧力センサや温度センサに動作可能に結合された1つ又は複数の弁の操作など、機械加工システムの様々な局面を操作するように構成された、1つ又は複数の制御装置を含み得る。本明細書に記載されるそのような実施形態は、多くの方法のいずれかで実施することができる。例えば、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせを使用して実施することができる。ソフトウェアで実装された場合、ソフトウェアコードは、単一のコンピュータで提供されるか、複数のコンピュータに分散されるかにかかわらず、任意の適切なプロセッサ又はプロセッサの集合において実行することができる。そのようなプロセッサは、CPUチップ、GPUチップ、マイクロプロセッサ、マイクロ制御装置、又はコプロセッサなどの名前で当技術分野で知られている市販の集積回路コンポーネントを含む、集積回路コンポーネント内の1つ又は複数のプロセッサを備えた集積回路として実装することができる。或いは、プロセッサは、ASICなどのカスタム回路、又はプログラマブルロジックデバイスを構成することから生じるセミカスタム回路で実装することができる。さらに別の代替案として、プロセッサは、市販されているか、セミカスタムであるか、又はカスタムであるかにかかわらず、より大きな回路又は半導体デバイスの一部であり得る。特定の例として、いくつかの市販のマイクロプロセッサは、それらのコアの1つ又はサブセットがプロセッサを構成し得るように、複数のコアを有する。ただし、プロセッサは、任意の適切な形式の回路を使用して実装することができる。
【0056】
[0060] さらに、コンピュータは、ラック取り付け型コンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又はタブレットコンピュータなどのいくつかの形態のいずれかで具体化できることを理解されたい。さらに、コンピュータは、スマートフォン又は他の適切な携帯又は固定電子デバイスなど、一般にコンピュータとは見なされないが適切な処理能力を備えたデバイスに埋め込むことができる。
【0057】
[0061] また、制御装置及び/又はコンピュータは、1つ又は複数の入力及び出力デバイスを有し得る。これらのデバイスは、とりわけ、ユーザインターフェースを提示するために使用することができる。ユーザインターフェースを提供するために使用できる出力デバイスの例には、出力の視覚的提示のためのプリンタ若しくはディスプレイスクリーン、又は出力の可聴提示のためのスピーカ若しくは他の音声生成デバイスが含まれる。ユーザインターフェースに使用できる入力デバイスの例には、キーボード、及びマウス、タッチパッドなどのポインティングデバイス、及びデジタル化タブレットが含まれる。別の例として、コンピュータは、音声認識を介して又は他の可聴形式で入力情報を受信し得る。
【0058】
[0062] そのような制御装置及び/又はコンピュータは、エンタープライズネットワーク又はインターネットなど、ローカルエリアネットワーク又はワイドエリアネットワークを含む、任意の適切な形態の1つ又は複数のネットワークによって相互接続され得る。そのようなネットワークは、任意の適切な技術に基づくことができ、任意の適切なプロトコルに従って動作し得、無線ネットワーク、有線ネットワーク、又は光ファイバーネットワークを含み得る。
【0059】
[0063] また、本明細書で概説される様々な方法又はプロセスは、様々なオペレーティングシステム又はプラットフォームのいずれか1つを使用する1つ又は複数のプロセッサ上で実行可能なソフトウェアとしてコード化され得る。さらに、そのようなソフトウェアは、いくつかの適切なプログラミング言語及び/又はプログラミング若しくはスクリプトツールのいずれかを使用して記述され得、また、フレームワーク又は仮想マシン上で実行される実行可能機械語コード又は中間コードとしてコンパイルされ得る。
【0060】
[0064] この点に関して、本明細書に記載の実施形態は、1つ又は複数のコンピュータ又はその他のプロセッサで実行されると上述の様々な実施形態を実施する1つ又は複数のプログラムでエンコードされたコンピュータ可読記憶媒体(又はマルチプルコンピュータ可読媒体)(例えば、コンピュータメモリ、1つ又は複数のフロッピーディスク、コンパクトディスク(CD)、光ディスク、デジタルビデオディスク(DVD)、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイ若しくはその他の半導体デバイスの回路構成、又はその他の有形のコンピュータ記憶媒体)として具体化され得る。前述の例から明らかなように、コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ実行可能命令を非一時的な形式で提供するのに十分な時間に対応する情報を保持し得る。そのような1つ又は複数のコンピュータ可読記憶媒体は移動可能であり得、その結果、それに記憶された1つ又は複数のプログラムは、上述のように本開示の様々な局面を実施するために1つ又は複数の異なるコンピュータ又は他のプロセッサにロードすることができる。本明細書で使用される場合、「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、製品(すなわち、製造品)又は機械であると見なすことができる非一時的なコンピュータ可読媒体のみを包含する。代替的又は追加的に、本開示は、伝播信号などの、コンピュータ可読記憶媒体以外のコンピュータ可読媒体として具体化することができる。
【0061】
[0065] 「プログラム」又は「ソフトウェア」という用語は、本明細書では一般的な意味で使用され、上述のような本開示の様々な局面を実施するためにコンピュータ又は他のプロセッサをプログラムするために使用できる任意のタイプのコンピュータコード又はコンピュータ実行可能命令のセットを指す。さらに、この実施形態の一態様によれば、実行されたときに本開示の方法を実行する1つ又は複数のコンピュータプログラムは、単一のコンピュータ又はプロセッサ上に存在する必要はなく、本開示の様々な局面を実施するために多数の異なるコンピュータ又はプロセッサ間にモジュール方式で分散できることを理解されたい。
【0062】
[0066] コンピュータ実行可能命令は、1つ又は複数のコンピュータ又は他のデバイスによって実行される、プログラムモジュールなどの多くの形態であり得る。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行する、又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含む。典型的には、プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態において所望されるように組み合わせる、又は分散することができる。
【0063】
[0067] また、データ構造は、任意の適切な形式でコンピュータ可読媒体に格納することができる。説明を簡単にするために、データ構造は、データ構造内のロケーションによって関連付けられたフィールドを持つように示すことができる。そのような関係は、同様に、フィールド間の関係を伝達するコンピュータ可読媒体内のロケーションを備えたフィールドにストレージを割り当てることによって達成することができる。しかしながら、データ要素間の関係を確立するポインタ、タグ、又は他のメカニズムの使用を含む、任意の適切なメカニズムを使用して、データ構造のフィールド内の情報間の関係を確立することができる。
【0064】
[0068] さらに、いくつかのアクションは、「ユーザ」によってとられるものとして記載される。「ユーザ」は単一の個人である必要はなく、いくつかの実施形態では、「ユーザ」に起因するアクションは、個人のチームによって、及び/又はコンピュータ支援ツール又は他のメカニズムと組み合わせた個人によって実行され得ることを理解されたい。
【0065】
[0069] 様々な実施形態及び例と併せて本教示を記載してきたが、本教示がそのような実施形態又は実施例に限定されることは意図するものではない。反対に、本教示は、当業者によって理解されるように、様々な代替、修正、及び均等物を包含する。したがって、前述の記載及び図面は、単なる例にすぎない。