(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】フォームベースアプリケーションのフィールドを完成させるためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20240828BHJP
【FI】
G16H10/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022159377
(22)【出願日】2022-10-03
【審査請求日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522315046
【氏名又は名称】メディデータ ソリューションズ インク
【氏名又は名称原語表記】MEDIDATA SOLUTIONS, INC.
【住所又は居所原語表記】350 Hudson Street, 9th Floor New York, New York, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【氏名又は名称】加藤 卓士
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ブラガ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・パレント
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-012521(JP,A)
【文献】特開2016-009236(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0277773(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォームベースアプリケーションにおいてフィールドを完成させる方法であって、
前記フォームベースアプリケーション
によって表示されるフォーム
を解析し、フォームに含まれる第1フィールド
の名前を示すフォームデータおよび
前記第1フィールドの種別を示すエレメントを
抽出部が抽出する抽出ステップと、
前記フォームデータおよび前記エレメントに対応する第2フィールドを含
む入力ウィンドウを
生成部が生成する生成ステップと、
外部ソースから提供された前記テキストおよび/またはデータを
受信部が受信する受信ステップと、
受信した前記テキストおよび/またはデータを
流し込み部が前記入力ウィンドウの第2フィールドに流し込む流し込みステップと、
流し込まれた前記テキストおよび/またはデータを、前記フォームベースアプリケーション内で、前記第2フィールドから前記第1フィールドに
転送部が転送する転送ステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記受信ステップは、ユーザのモニタにおける表示領域から前記テキストおよび/またはデータを抽出する抽出ステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記
抽出ステップは、前記テキストおよび/またはデータの認識を実行する認識サービスに、
認識対象となる画像を伴う認識リクエストを送信するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
レイヤ生成部が、前記ユーザのモニタ上
に透明レイヤを生成し、
前記透明レイヤ内に表示されたテキストおよび/またはデータ
の認識を実行するレイヤ生成ステップ、をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記レイヤ生成ステップにおいて
、ユーザがクリックした場所
の周辺領域に含まれるテキストおよび/またはデータの認識を行う、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記受信ステップは、電子健康記録(EHR)データサービスまたは電子医療記録(EMR)データサービスから、前記テキストおよび/またはデータを取得
する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ユーザインタフェースを介して、患者を一意に識別する医療記録番号(MRN)を
取得するステップと、
前記医療記録番号(MRN)を電子健康記録(EHR)データサービスまたは電子医療記録(EMR)データサービスへ送信するステップと、
電子健康記録(EHR)データサービスまたは電子医療記録(EMR)データサービスを介して、
第1患者
識別子を取得するステップと、
前記ユーザインタフェースを介してユーザから
第2患者識別子を取得するステップと、
前記第1患者識別子と前記第2患者識別子とが一致する場合に、EHR/EMRシステムへのリンクを確立するステップと、
をさらに含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
フォームベースアプリケーションにおいてフィールドを完成させる方法であって、
前記フォームベースアプリケーション
によって表示されるフォームを解析し、前記フォーム
に含まれる少なくとも第1フィールド
の名前を示すフォームデータおよび
前記第1フィールドの種別を示すエレメントを
抽出部が抽出する抽出ステップと、
前記フォームデータおよびエレメントを
送信部がWebSocketサーバに送信するステップと、
前記フォームデータおよび前記エレメントに対応する第2フィールドを含
む入力ウィンドウを
生成部が生成するステップと、
レイヤ生成部が、透明レイヤ
をユーザのモニタ上に生成するレイヤ生成ステップと、
抽出部が、前記透明レイヤが示す領域内に表示されたテキストおよび/またはデータを
抽出するステップと、
ロード部が前記第2フィールドに、抽出された前記テキストおよび/またはデータをロードするステップと、
転送部が、抽出された前記テキストおよび/またはデータを
WebSocketサーバを介してフォームベースアプリケーション内の前記第1フィールドに転送するステップと、
を含む方法。
【請求項9】
前記レイヤ生成ステップが、抽出すべき前記テキストおよび/またはデータの周りに、ユーザがクリックした場所に基づいて画像領域を形成するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
フォームベースアプリケーションのフィールドを完成させるための方法であって、
前記フォームベースアプリケーションフォーム
によって表示されるフォーム
に含まれる第1フィールド
の名前を示すフォームデータおよび
前記第1フィールドの種別を示すエレメントを
第1抽出部が抽出するステップと、
前記フォームデータおよび前記エレメントに対応する第2フィールドを含
む入力ウィンドウを
生成部が生成するステップと、
キャプチャ部がユーザのモニタの所定領域に入力された前記テキストおよび/またはデータをキャプチャす
るステップと、
前記ユーザのモニタの
所定領域
のキャプチャ画像から前記テキストおよび/またはデータを
第2抽出部が抽出する抽出ステップと、
抽出された前記テキストおよび/またはデータを
ロード部が前記入力ウィンドウの前記第2フィールドにロードするステップと、
抽出された前記テキストおよび/またはデータを、前記フォームベースアプリケーションの前記第1フィールドに
転送部が転送するステップと、
を含む方法。
【請求項11】
前記抽出ステップは、前記テキストおよび/またはデータの認識を実行するサービスにリクエストを送信する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
抽出すべき前記テキストおよび/またはデータの画像を含む画像領域を定義する透明レイヤを、前記ユーザのモニタ上に生成するレイヤ生成ステップをさらに備えた、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記レイヤ生成ステップは、抽出すべき前記テキストおよび/またはデータの周りに、ユーザがクリックした場所に基づいて前記画像領域を形成するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記画像領域は、抽出すべき前記テキストおよび/またはデータを含む周辺画素幅で形成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
フォームベースアプリケーションにおいてフィールドを完成させるシステムであって、
前記フォームベースアプリケーション
によってブラウザに表示されるフォームを解析し、前記フォーム
に含まれる第1フィールド
の名前を示すフォームデータおよび
前記第1フィールドの種別を示すインジケータとしてのエレメントを抽出するブラウザプラグインまたは拡張機能と、
前記ブラウザプラグインまたは拡張機能から、前記フォームデータおよび
前記エレメントを受信するWebSocketサーバと、
前記
フォームデータ及び前記エレメントに対応する第2フィールドを含
む入力ウィンドウを生成するステップと、
前記ユーザのモニタ上に、抽出すべきテキストおよび/またはデータ
の画像領域を定義する
ための透明レイヤを生成するステップと、
前記画像領域から前記テキストおよび/またはデータを抽出するためのリクエストを認識サービスに送信するステップと、
抽出された前記テキストおよび/またはデータを認識サービスから受信するステップと、
抽出された前記テキストおよび/またはデータを、
前記入力ウィンドウの
前記第2フィールドにロードするステップと、
を実行させる、ユーザインターフェースベースのアプリケーションと、
を含み、
前記WebSocketサーバが、
前記認識サービスから受信したテキストおよび/またはデータを
前記ブラウザプラグインまたは拡張機能に送信し、
前記ブラウ
ザプラグインまたは拡張機能が、
前記認識サービスから受信したテキストおよび/またはデータを、前記フォームベースアプリケーション内の
前記第1フィールドに転送するシステム。
【請求項16】
前記ブラウザプラグインまたは拡張機能は、ある特定のユニフォームリソースロケータ(URL)からのフォームに対して動作するように登録されている請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォームベースアプリケーションのフィールドを完成させるためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
異種アプリケーション間のデータ転送の必要性は、何年も前から認識されている。アプリケーションを統合したり、手動でデータを入力したり、また「ドラッグ&ドロップ」のような機能を使用して対応してきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、異種アプリケーションの統合は複雑で、拡張性がなく、統合するペアごとに異なる方法が必要となる場合がある。手動でのデータ入力はエラーが発生しやすく、「ドラッグ&ドロップ」のような機能は、プラットフォームを共有するアプリケーションでしか機能しない。
【0004】
フォームベースアプリケーションを使用している医療分野でもデータ転送のニーズは大きい。例えば、電子カルテ/電子診療記録(EHR/EMR)ソリューションと電子データ収集(EDC)ソリューションを統合する試みがなされてきた。これらの試みは、HL7、FHIR(HL7の一種)、CCDAなどの様々な標準技術やAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を使用してきたが、実装に時間がかかり、拡張性がないことから、それほどうまくいかなかった。そのため、他のソリューションが必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本発明の実施形態による、フォームベースアプリケーションのフィールドを完成させるシステムのブロック図である。
【
図2A】本発明の実施形態による、フォームベースアプリケーションのフィールドを完成させるための方法のフローチャートである。
【
図2B】本発明の実施形態による、フォームベースアプリケーションのフィールドを完成させるための方法のフローチャートである。
【
図2C】本発明の実施形態による、フォームベースアプリケーションのフィールドを完成させるための方法のフローチャートである。
【
図3A】本発明の実施形態による、入力前および入力後のフォームベースアプリケーションからのエレメントの例を示す図である。
【
図3B】本発明の実施形態による、入力前および入力後のフォームベースアプリケーションからのエレメントの例を示す図である。
【
図4A】本発明の実施形態による、フォームベースアプリケーションのフィールドを完成させるために生成された入力ウィンドウを使用する1つの方法を示す図である。
【
図4B】本発明の実施形態による、フォームベースアプリケーションのフィールドを完成させるために生成された入力ウィンドウを使用する1つの方法を示す図である。
【
図4C】本発明の実施形態による、フォームベースアプリケーションのフィールドを完成させるために生成された入力ウィンドウを使用する1つの方法を示す図である。
【
図5A】本発明の実施形態による、フォームベースアプリケーションのフィールドを完成させるために使用されるユーザのモニタと値の例を示す。
【
図5B】本発明の実施形態による、フォームベースアプリケーションのフィールドを完成させるために使用されるユーザのモニタと値の例を示す。
【
図6A】本発明の実施形態による、フォームベースアプリケーションのフィールドを完成させるために生成された入力ウィンドウを使用する別の方法を示す図である。
【
図6B】本発明の実施形態による、フォームベースアプリケーションのフィールドを完成させるために生成された入力ウィンドウを使用する別の方法を示す図である。
【
図6C】本発明の実施形態による、フォームベースアプリケーションのフィールドを完成させるために生成された入力ウィンドウを使用する別の方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の詳細な説明において、本発明の実施形態を完全に理解できるように、多数の具体的な詳細説明を記載している。しかしながら、当業者であれば、本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細説明なしに実施され得ると理解できるはずである。なお、すでに周知の、方法、手順、構成要素および回路については、本発明を不明瞭にしないように、詳細には説明されていない。なお、適切と考えられる場合、図中の参照数字は、対応するまたは類似の要素を示すために図面間で繰り返される。さらに、図面に描かれたブロックのいくつかは、単一の機能に組み合わされてもよい。
【0007】
上述のように、EHR/EMRおよびEDCアプリケーションを含む様々なアプリケーションの間でデータを転送および/または統合する従来の試みは、必ずしも成功しなかった。本発明者らは、EDCプログラムなどのフォームベースアプリケーションと外部ソースとの間で協働して、フォームベースアプリケーションのフィールドを完成(complete)させるために外部ソースからフォームベースアプリケーションへの転送を容易にするブラウザプラグイン(またはブラウザ拡張)、WebSocketサーバ、およびUIベースのアプリケーションを用いてこれらの問題に対処するシステムおよび方法を開発した(「完成(complete)」は、ここでは、ドロップダウンリストまたはセレクション、チェックボックス、ラジオボタンなどへの入力または選択の意味、およびフィールドへの記入(fill in)の意味で使用されている)。外部ソースは、EHR/EMRシステム、スプレッドシート、画像システム、または文書などの第2のアプリケーションであってもよい。システムおよび方法は、ユーザがフォームベースアプリケーションからフィールドを表示し、外部ソースから所望のデータを取り込み、そのデータをフォームベースアプリケーションの対応するフィールドに直接戻して挿入できるように、フォームベースアプリケーションに含まれるフォームフィールドエレメントの「引き渡し」プロセスを管理する。より具体的には、この方法は、フォームベースアプリケーションからフォームデータエレメントを識別して抽出し、そのエレメントをブラウザプラグイン(またはブラウザ拡張機能)と同期させ、そのエレメントを1つ以上含む入力ウィンドウを生成し、完成させるべきフォームフィールドの指定をユーザから受け取り、外部ソースからテキストおよび/またはデータを受け取り、受け取ったテキスト/データをフォームベースアプリケーション内の対応するフィールドに挿入すべくブラウザプラグインに引き渡す。
【0008】
図1は、本発明の一実施形態による、フォームベースアプリケーション内のフィールドを完成させるためのシステム100のブロック図である。システム100は、フォームベースアプリケーション101からUIアプリケーション30にフォームエレメントを引き渡すとともに、ユーザのモニタ102上の第2のアプリケーションまたはEHR/EMRシステム103などの外部ソースから適切なデータを取り込み、フォームベースアプリケーション101の対応するフォームフィールドにデータを挿入し戻すために協働するブラウザプラグイン(または拡張機能)10、WebSocketサーバ20およびUI(ユーザインタフェース)アプリケーション30を含んでいる。当業者であれば理解できるように、実行ファイル(オブジェクトコード)である「ブラウザプラグイン」と、ソースコードである「ブラウザ拡張」とは、いずれもウェブブラウザの機能を変更するためのソフトウェアモジュールを指す。
図1はまた、ユーザ5、フォームベースアプリケーション101、ユーザのモニタ102、およびEHR/EMRシステム103間の相互作用、ならびにUIアプリケーション30と透明レイヤ25、認識サービス35、およびEHR/EMRデータサービス45間の相互作用も示している。
【0009】
フォームベースアプリケーション101は、MedidataのRaveEDC(およびそのコンパニオン、フォームベースアプリケーション、およびその他のMedidataプラットフォームソリューション)などのEDCアプリケーションを含む任意のウェブベースフォームアプリケーションであればよいが、本発明はEDCアプリケーションまたは臨床もしくは医療分野で使用されるアプリケーションに限定されるものではない。EHR/EMRシステム103は、スタンドアロンシステムまたはアプリケーション(インターネットベースまたはユーザのコンピュータに常駐する)であってもよい。ユーザのモニタ102は、ユーザコンピュータのモニタを含む。これは、ユーザが自分のコンピュータ上で操作し得る1つ以上のアプリケーション(ウェブまたはインストール)を含んでもよい。そのようなアプリケーションは、EHRおよびEMRアプリケーションを含み得るが、他の臨床または医療アプリケーション、ならびにスプレッドシート、PDF文書、ワードプロセッシングアプリケーション、フォームおよび非フォームベースアプリケーション、ウェブページ等の非臨床アプリケーションも含む。また、ユーザのホーム画面や壁紙も含まれる。なお、本明細書では、フォームベース等のアプリケーションを、コンピュータ上で動作するものとして説明するが、本発明はノートパソコンやデスクトップベースのアプリケーションに限定されず、タブレット端末やスマートフォン上で動作するアプリケーションにも適用可能である。
【0010】
次に、本発明の実施形態による、フォームベースアプリケーション内のフィールドを完成させるための2つの方法のフローチャートである
図2A~2Cを参照する。一方の方法(「クリック」方法)は、ユーザのモニタ102内の領域をクリックし、クリックされた領域内の情報をフォームベースアプリケーション内のフォームに転送する機能を含む。他の方法(「接続」方法)は、フォームベースアプリケーションとEHR/EMRシステムを直接接続またはリンクして、データの転送とフォームベースアプリケーション内のフィールドの完成を容易にする機能を含む。
【0011】
図2Aは、「クリック」方法と「接続」方法の両方に共通する操作を含むフローチャート200を示す。ステップS202において、ユーザ5は、フォームベースアプリケーション101のウェブフォーム11を含むページにナビゲートする。フォーム11は、HTMLフォームであってもよく、ユーザ5が記入したい1つ以上のフィールドを含む。臨床コンテキストでは、例えば、
図3Aに示すように、4つのフィールド301~304を有するフォーム311において、血圧、心拍数、体温、体重、および身長などの臨床試験対象者のバイタルサイン、またはタンパク質、ナトリウム、カリウム、および塩化物などの検査結果を入力してもよい。非臨床コンテキストでは、税金または他の財務情報または求人応募情報または他のタイプのフィールドを含むフォームであってもよい。
【0012】
ステップS204において、バックグラウンドで動作するブラウザプラグイン(または拡張機能)10は、フォームベースアプリケーション101がウェブブラウザにロードされたことを識別する。ブラウザプラグイン10は、フォーム11を解析し、フォーム11からフォームデータおよびエレメントを抽出する。ブラウザプラグイン10は、ドキュメントオブジェクトモデル(DOM)を利用して、フォームヘッダーデータ、説明データ、記入されるデータフィールドのタイプ、ドロップダウンリストなど、基本的に、ユーザがフォームのフィールドを完成させるために必要なあらゆるもの、を見つけることができる。フォームデータは、ラベルまたはフォームヘッダ(すなわち、フォームの名前、それを説明するテキスト)、フォームに必要なデータの説明、およびドロップダウンボックスの選択オプションなどの項目を含んでもよい。フォームエレメントは、要求されたデータがテキストボックス、チェックボックス、またはラジオボタンに入力されるべきか、またはドロップダウンリストから選択されるべきかどうかに関するインジケータなどの項目を含んでもよい。一実施形態では、ブラウザプラグイン10は、特定のURLで動作するように登録され、それらのURLからのフォームでのみ動作するようにすることができる。
したがって、ブラウザプラグイン10は、例えば、「www.medidata.com」からのフォームに対して動作してもよいが、「www.irs.gov」からのフォームに対しては動作しないようにしてもよい。そのような場合、ステップS204の一部として、ブラウザプラグイン10は、フォームベースアプリケーション101が登録されたURLと関連付けられていることを確認するためにURLをチェックする。実施形態では、ブラウザプラグイン(または拡張機能)10は、特定のユーザに対して動作するように登録されてもよく、ステップS204の一部としてユーザ認証を実行してもよい。
【0013】
図3Aは、記入されるフォームベースアプリケーション101からのエレメントの例である。簡単のために、フォーム311は、4つのフィールド301~304を含む。これらのフィールドとラベルは、ブラウザプラグイン(または拡張機能)10が解析して抽出するデータおよびエレメントのうちの1つである。
【0014】
ステップS206において、ブラウザプラグイン(または拡張機能)10は、WebSocketサーバ20へのWebSocket接続を作成する。WebSocketは、Webブラウザ(または他のクライアントアプリケーション)とWebサーバとの間の相互作用を可能にするコンピュータ通信プロトコルであるが、HTTP(ハイパーテキスト転送プロトコル)よりも少ないオーバーヘッドを使用し、HTTPを使用することも可能である。ステップS208において、ブラウザプラグイン10は、フォームデータおよびエレメントをWebSocketサーバ20に送信する。ステップS210において、WebSocketサーバ20は、フォームデータおよびエレメントをUIアプリケーション30にロードする。
【0015】
この時点で、「クリック」方法と「接続」方法とが分岐する。
図2Bは、「クリック」方法のためのステップS220の詳細な処理の流れを示すフローチャートである。この方法では、データを収集し転送するために使用される入力ウィンドウが生成される。
図4Aは、フォームベースアプリケーション101からのデータおよびエレメントが、このような入力ウィンドウを生成して完成させるためにどのように使用されるかを示す一例である。入力ウィンドウ411は、フォーム311にあるものと同じ4つのフィールドを含み、UIアプリケーション30とフォームベースアプリケーション101との間のリンクを提供する。
図4Aは、「クリック」機能が利用可能であることを示すアイコン410を示す。ユーザがこのアイコン410をクリックすると、次にユーザが第2のアプリケーション(例えば、ユーザのモニタ102またはEHR/EMRシステム103上のアプリケーション)においてデータポイントを選択できる操作が起動される。ステップS222において、アイコン410がクリックされた後、ユーザ5は、入力ウィンドウ411内のフィールド(401~404)を選択して、どのデータが取り込まれるかを指示する。この選択は、基本的にマウス(またはタッチスクリーンなどの他の同等の入力手段)を用いて行われ、ユーザ5は、最初にフィールド401の上のアイコン410をクリックして、ユーザ5がアルブミンフィールドに入力するデータを選択しようとしていることをシステム100に指示する。
【0016】
ステップS224において、UIアプリケーション30は、ユーザのコンピュータモニタ502(
図5Aを参照)上に透明レイヤを描画または生成する。透明レイヤは、第2のアプリケーション512を含むユーザのモニタ上の情報の画像をキャプチャし、そこからユーザはフォームフィールドに記入(fill in)し、またはフォームフィールドを完成させることができる。ステップS226において、ユーザ5は、ユーザがフィールドにデータを入力するために使用したい第2のアプリケーション512内のモニタ上の領域(したがって、透明レイヤ)をクリックするか、またはドラッグする。
図5Bは、第2のアプリケーション512の吹き出し部分513を示す図である。吹き出し部分513は、EHRアプリケーションにおける被験者のCMP-14(総合代謝パネル)情報の一部を示す。具体的には、ナトリウム、カリウム、塩化物、二酸化炭素、カルシウム、タンパク質、およびアルブミンの測定値を含む。この図はまた、ユーザ5が
図4Aのフィールド401に”Albumin”として入力するためにAlbuminの読み取り値”4.5”を選択することを示すカーソル(矢印)519を示す。
【0017】
ステップS228~236は、「4.5」へのポインティングがフィールド401を完成させる方法を説明する。ステップS228において、UIアプリケーション30は、ユーザ5がクリックまたはドラッグした(クリックまたはドラッグ座標を使用して)場所の周囲の透明レイヤ内に、あらかじめ決められたサイズの画像領域517を作成する。画像領域517は、例えば、クリックされた領域付近のテキストの全てに加えて、テキストの周囲の空白(例えば、10ピクセル)を含んでもよい。ステップS230において、UIアプリケーション30は、透明レイヤの画像領域に対するテキスト認識を要求する。これは、Amazon Web Services(AWS)Rekognitionなどの外部認識サービス35(
図1参照)により提供されてもよい。クラウド上に存在する(すなわち、インターネットまたは他のネットワークを介して)Amazon Rekognitionは、画像およびビデオ内のオブジェクト、人、テキスト、シーン、およびアクティビティを識別すること可能である。ステップS232において、認識サービス35は、画像領域517を受け取り、その領域内のテキストおよび/またはデータ(すなわち、テキスト、データ、またはテキストとデータの両方)を抽出、すなわち、処理および/または認識する。この場合、認識サービス35は、”4.5”を抽出する。ステップS234~236において、認識サービス35は、画像領域517から特定されたテキストおよび/またはデータを返し、
図4Bのフィールド401’に示されるように、入力ウィンドウ411に入力するためにUIアプリケーション30にそれをロードする。一実施形態では、認識サービス35は、レイヤの一部領域だけでなく、透明レイヤ全体を処理してもよい。このような大きな処理領域は、通常、より多くの時間を要し、医療記録からの大量のテキストおよびデータがインターネットを介して送信される場合、プライバシーに関する懸念を含意する可能性があることに留意されたい。別の実施形態では、認識サービス35は、Amazon Rekognitionのようなクラウドベースのサービスではなく、ローカルなサービスであってもよい。これにより、プライバシーに関する懸念と、別個のサービスへの依存を低減することができる。
【0018】
一実施形態では、ステップS222~S236は、完成させるべき各フィールドについて繰り返される。別の実施形態では、ステップS222およびS226~S236が繰り返されるが、ステップS224における透明レイヤは再び生成される必要はない。
図4A~4Cに示す例では、ユーザ5は、ナトリウム、カリウム、および塩化物の値をクリックして、フィールド402~404を完成させる。結果は
図4Cに示されており、フィールド402’~404’にこれらの各項目の値が含まれている。入力ウィンドウ411が、初期ウェブフォーム11から転送されたドロップダウンリストまたは選択、チェックボックス、写真または文書アップロードフィールド、またはラジオボタンを含む場合、これらのエレメントは、認識サービスを介さずにUIアプリケーション30でユーザによって直接完成させられる可能性がある。
【0019】
この時点で、「クリック」方法と「接続」方法は収束するので、「クリック」方法は、
図2AのステップS262に進む。入力ウィンドウ411の全てのフィールドが完成させると、ステップS262において、ユーザ5は、入力ウィンドウ411の「Submit」ボタンをクリックする(
図4C)。別の実施形態では、「Submit」ボタンはなく、情報は自動的に転送される。これは、入力ウィンドウとEDCフォームをリアルタイムで同期させることによって可能となる。ステップS264において、データは、WebSocketサーバ20を介してブラウザプラグイン10に送り返される。ステップS266において、HTMLフォーム311は、
図3Bに示すように、フィールド301’~304’の値でロードされるようになる。これは、フォームベースアプリケーション101のフォーム11にそれらの値をロードする。
【0020】
「接続」方法は幾分異なる処理を行う-それは、転送を容易にするために、UIアプリケーション30を介してフォームベースアプリケーションとEHR/EMRシステムをリンクまたは接続する能力を含む。しかしながら、「接続」方法は、依然として「クリック」方法のような入力ウィンドウを生成する。
図6Aは、フォームベースアプリケーション101からのデータおよびエレメントをどのように使用して、記入されるべき入力ウィンドウを生成するかを示す例である。入力ウィンドウ611は、フォーム11から来る同じフィールドを含み、UIアプリケーション30とフォームベースアプリケーション101との間のリンクまたは接続を提供する。
図6Aは、「接続」方法が利用可能であることを示すアイコン620(その中に数字がある)を示し、アイコンの中の数字は、特定のフィールドに対して何個のデータポイントが利用可能であるかを示している。ユーザがアイコン620をクリックすると、次にユーザが第2のアプリケーション(例えば、ユーザのモニタ102またはEHR/EMRシステム103上のアプリケーション)においてデータポイントを選択できる操作が起動される。
【0021】
図2Cは、「接続」方法のステップS240における、より具体的な処理を説明するフローチャートである。第1の処理として、この方法は、UIアプリケーション30とEHR/EMRシステムとが特定の患者についてリンクされているかどうか、すなわち、患者の情報の通信と転送を促進するために互いに接続されているかどうかを判断する。したがって、ステップS242において、UIアプリケーション30は、UIアプリケーション30とEHR/EMRシステム103との間の導管として機能するEHR/EMRデータサービス45に対して、データ利用可能状態を要求する。ステップS244は、データが利用可能かどうか、すなわち、UIアプリケーション30とEHR/EMRシステムがリンクされているか、接続されているか、また、特定の患者についてリンクされているかどうかを問うものである。もしそうであれば、入力ウィンドウ611は、領域615において、患者とEHR/EMRシステムの両方がリンクされていることを示すことになる。
【0022】
領域615の「EMR Linked」という表記は、異種アプリケーションからのデータを入力ウィンドウ内のユーザに利用可能にすることができるように、異種アプリケーションへの接続を確認したことを意味する。この実施形態では、異種アプリケーションは、EHR/EMRデータサービス45がAPIを介してEHR/EMRシステムから要求を生成しデータを受信することを可能にする、別個の独立したプロセスを介して接続されるEHR/EMRシステム103である。接続性がEHR/EMRシステムと確立されると、それはEHR/EMRデータサービスに記録され、これによりUIアプリケーション30は「接続」機能が利用可能であることをユーザに示すことができる。
【0023】
患者とEHR/EMRシステムがそのようにリンクされている場合、EHR/EMRデータサービス45はEHR/EMRシステム103からEDCフォームテキストおよび/またはデータを要求し(すなわち、UIアプリケーション30はEHR/EMRデータサービス45を介してEHR/EMRにEDCフォームテキストおよび/またはデータを要求する)、ステップS246でテキストおよび/またはデータをUIアプリケーション30に送信する。ステップS248において、UIアプリケーション30は、EDCフォームフィールドのための適切なテキストおよび/またはデータを選択するために、ユーザ5に対してEHR/EMRテキストおよび/またはデータを提示する。
図6Aは、入力ウィンドウ611が、EDCフォームからのフィールドと、領域618において、特定の患者に対するEHR/EMRシステムで見つかった各フィールドに対するデータポイントの数とを示すことを示している。したがって、
図6Aは、システムが、6つのアルブミン読み取り値、0つのナトリウム読み取り値、5つのカリウム読み取り値、および6つの塩化物読み取り値を見出したことを示す。
【0024】
ユーザ5は、1つ以上の読み取り値を有するフィールドのいずれかをクリックすることができ、システムは、
図6Bの入力ウィンドウ613に示されるように、読み取り値を提示することになる。その図は、特定の患者に対する6つのアルブミン読み取り値602a~602fを示しており、その読み取り値は、値だけでなく、読み取り日を含む。次に、ユーザ5は、読み取りのうちの1つを選択する。ステップS250において、選択された読み取り値は、
図6Cのフィールド601’に示されるように、入力ウィンドウ611に入力されるようにUIアプリケーション30にロードされる。このフィールドは、現在、
図6Bに示される最初の読み取り値に対応するアルブミンの値4.5を含んでいる。
【0025】
図2CおよびステップS244に戻ると、患者が異種アプリケーション、例えば、EHR/EMRシステムを介してUIアプリケーション30にリンクされていないためにデータが利用できない場合(領域615に示されるであろう状態)、このリンクまたは接続を確立する必要があるだろう。そのような場合、異種アプリケーション、例えばEHR/EMRシステム103は、EHR/EMRデータサービス45が要求を生成し、APIを介してEHR/EMRシステムからデータを受信できるようにするためのプロセスを介して接続される。ステップS252において、UIアプリケーション30は、EDCフォームの患者のためにユーザに対して医療記録番号(MRN)を要求し、EHR/EMRデータサービス45に送信する。MRNは、1人の患者を参照するためにサービスプロバイダによって割り当てられた一意の識別子である。ステップS254において、EHR/EMRデータサービス45は、次にEHR/EMRシステム103からEHR/EMRデータを要求し、取得する。ステップS256において、UIアプリケーション30は、生年月日、性別等の識別データをユーザから要求する。そして、それらのデータをEHR/EMRの識別データと比較する。ユーザからの識別データがEHR/EMRシステムからのものと一致する場合、ステップS258で患者が照合され、データが利用可能となる。その後、フローは、上述したようにステップS246に進む。実施形態では、同様の接続処理をEMR/HERシステム以外の異種システムに対して実行してもよい。
【0026】
図2A~2Cに示す操作の他に、フォームベースアプリケーションのフィールドを完成させるためにアプリケーション間でデータを転送する他の操作または一連の操作が企図される。上述したように、ステップS222~S236の一部または大部分は、完成させるべき各フィールドに対して繰り返されることがある。さらに、
図2A~2Cのフローチャートにおける各処理の順序は、発明がこれに限定されることを意図しておらず、書く処理は、任意の実際的な順序で実行されてもよい。例えば、ステップS224で透明レイヤが生成されるが、その層はプロセスのより早い段階で生成されてもよい。
【0027】
要約すると、本発明は、データを手動で入力することなく、他のアプリケーションまたはEHR/EMRシステムなどの外部ソースからフォームベースアプリケーションにデータを転送することを容易にするものである。手動入力を排除することに加えて、本発明は、フォームベースアプリケーションと外部ソースとの間の実際の統合を必要としない。従来の解決策と比較して、この解決策の実装は容易であり、フォームベースアプリケーションまたは外部ソースのいずれに対してもユーザが修正を加えることなく、「すぐに」使用することが可能である。
【0028】
本発明の態様は、システム、コンピュータプログラム製品、または方法の形態で具現化されてもよい。同様に、本発明の態様は、ハードウェア、ソフトウェア、または両者の組み合わせとして具現化されてもよい。本発明の態様は、その上に具現化されたコンピュータ可読プログラムコードの形態で1つまたは複数のコンピュータ可読媒体に保存されたコンピュータプログラム製品として具現化されてもよい。
【0029】
コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であってもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、例えば、電子、光学、磁気、電磁、赤外線、または半導体のシステム、装置、もしくはデバイス、またはそれらの任意の組合せであってもよい。
【0030】
本発明の実施形態におけるコンピュータプログラムコードは、任意の適切なプログラミング言語で記述することができる。プログラムコードは、単一のコンピュータ上で実行されてもよいし、複数のコンピュータ上で実行されてもよい。コンピュータは、コンピュータ使用可能な媒体と通信する処理ユニットを含んでもよく、コンピュータ使用可能な媒体は命令のセットを含み、処理ユニットは命令のセットを実行するように設計されている。
【0031】
上記の議論は、本発明の原理および様々な実施形態を例示することを意図している。上記の開示が十分に理解されれば、多数の変形および修正が当業者には明らかになるであろう。以下の特許請求の範囲は、全てのそのような変形および修正を包含するように解釈されることが意図される。