(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】動作検知用部材
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20240828BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
G06F3/01 514
A61B5/11 230
(21)【出願番号】P 2022509410
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(86)【国際出願番号】 JP2021005998
(87)【国際公開番号】W WO2021192748
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2020053218
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩原 佳明
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/037855(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0082922(US,A1)
【文献】特開2011-047702(JP,A)
【文献】特開2000-112640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被装着体に装着される装着部であって、前記被装着体の動作により伸縮する伸縮性布材で構成された伸縮部位を有する装着部と、
前記装着部の伸縮部位の少なくとも一部に設けられた配線部であって、導電性線状体を含む第一配線部および導電性線状体を含む第二配線部を有する配線部と、前記第一配線部に電気的に接続された第一電極部および前記第二配線部に電気的に接続された第二電極部を有する電極部と、を備え、前記被装着体の動作により、前記配線部が設けられた前記装着部の伸縮部位が伸縮したとき、前記第一配線部および前記第二配線部の接触状態が変化することで、前記第一電極部と前記第二電極部との間の抵抗値が変化する配線電極部と、
を具備
し、
前記第一配線部と前記第二配線部とが別体で設けられ、
前記第一配線部に含まれる前記導電性線状体、及び/若しくは、前記第二配線部に含まれる前記導電性線状体が、周期及び/若しくは振幅が異なる波状部を有する、
又は、
前記第一配線部に含まれる前記導電性線状体の波状部と、前記第二配線部に含まれる前記導電性線状体の波状部が、周期及び/若しくは振幅が異なる、
又は、
前記第一配線部に含まれる前記導電性線状体と、前記第二配線部に含まれる前記導電性線状体とが、角度を成して対向して設けられている、
前記被装着体の動作を検知するための動作検知用部材。
【請求項2】
前記第一配線部と前記第二配線部とが別体で設けられ、
前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位の伸長前に前記第一配線部と前記第二配線部との少なくとも一部が接触して設けられている場合、前記被装着体の動作により、前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位が伸長したとき、前記第一配線部と前記第二配線部とが離間し、
前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位の伸長前に前記第一配線部と前記第二配線部とが離間して設けられている場合、前記被装着体の動作により、前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位が伸長したとき、前記第一配線部と前記第二配線部との少なくとも一部が接触する、
請求項1に記載の動作検知用部材。
【請求項3】
前記第一配線部と前記第二配線部とが別体で設けられ、
前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位の伸長前に前記第一配線部と前記第二配線部との少なくとも一部が接触して設けられている場合、前記被装着体の動作により、前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位が伸長したとき、前記第一配線部と前記第二配線部との接触領域が段階的に減少し、
前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位の伸長前に前記第一配線部と前記第二配線部とが離間して設けられている場合、前記被装着体の動作により、前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位が伸長したとき、前記第一配線部と前記第二配線部との接触領域が段階的に増加する、
請求項1又は請求項2に記載の動作検知用部材。
【請求項4】
前記配線部が設けられた前記装着部の伸縮部位を最大伸長率まで伸長させたとき、伸長率の変化が±5%の範囲内で前記第一電極部と前記第二電極部との間の抵抗値が2倍以上又は1/2以下に変化する、伸長率の範囲を有する請求項1~請求項
3のいずれか1項に記載の動作検知用部材。
【請求項5】
前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位の伸長率に応じて、前記第一電極部と前記第二電極部との間の抵抗値が、段階的に変化する請求項1~請求項
4のいずれか1項に記載の動作検知用部材。
【請求項6】
前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位が伸長したとき、前記第一電極部と前記第二電極部との間が導通から非導通となる、又は非導通から導通となる請求項1~請求項
5のいずれか1項に記載の動作検知用部材。
【請求項7】
前記第一電極部および前記第二電極部の少なくとも一方において、前記導電性線状体の一部が、前記装着部の伸縮部位の伸縮性布材の糸で拘束されている請求項1~請求項
6のいずれか1項に記載の動作検知用部材。
【請求項8】
前記第一電極部および前記第二電極部の少なくとも一方において、前記導電性線状体が、前記装着部の伸縮部位の伸縮性布材に、織り込まれている、編み込まれている、又は刺繍されている請求項
7に記載の動作検知用部材。
【請求項9】
前記第一配線部および前記第二配線部の少なくとも一方において、前記導電性線状体の一部が、前記装着部の伸縮部位の伸縮性布材の糸で拘束されている請求項1~請求項
8のいずれか1項に記載の動作検知用部材。
【請求項10】
前記第一配線部および前記第二配線部の少なくとも一方において、前記導電性線状体が、前記装着部の伸縮部位の伸縮性布材に、織り込まれている、編み込まれている、又は刺繍されている請求項
9に記載の動作検知用部材。
【請求項11】
前記第一配線部および前記第二配線部の少なくとも一方が、前記装着部の伸縮部位の伸縮性布材の内部に設けられている請求項1~請求項
10のいずれか1項に記載の動作検知用部材。
【請求項12】
前記第一電極部、前記第二電極部、前記第一配線部および前記第二配線部の少なくとも一つに含まれる導電性線状体が、カーボンナノチューブ糸を含む導電性線状体である請求項1~請求項
11のいずれか1項に記載の動作検知用部材。
【請求項13】
前記装着部が、前記被装着体としての人体の手に装着される手袋状の装着部である請求項1~請求項
12のいずれか1項に記載の動作検知用部材。
【請求項14】
前記配線部が設けられる前記伸縮部位が、前記手の指の、近位指節間関節および中手指節間関節の少なくとも一方に対向して有する請求項
13に記載の動作検知用部材。
【請求項15】
前記装着部が、筒状、シート状又は帯状の装着部である請求項1~請求項
12のいずれか1項に記載の動作検知用部材。
【請求項16】
前記筒状、シート状又は帯状の装着部が、前記被装着体としての人体の可動部に装着される装着部である請求項
15に記載の動作検知用部材。
【請求項17】
前記配線部が設けられた前記装着部の伸縮部位が、前記装着部の表面に設けられている請求項1~請求項
16のいずれか1項に記載の動作検知用部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動作検知用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、人体の部位(肘部、膝部、腰部、手の指等)等の動作を検知するための動作検知用部材が知られている。
【0003】
例えば、特開2016-130940号公報には、「使用者の手の動きや形を検出するため手に装着される手袋型入力装置であって、伸縮可能な素材により構成された手袋の外側および/または内側に、伸縮性を有する導電性インクを用いて、指関節の動作を検知するためのセンシングデバイスが形成されている手袋型入力装置。」が開示されている。
【0004】
また、特開2017-061770号公報には、「着用者の手に装着可能な手袋本体と、前記手袋本体の手袋本体の掌側の面以外の部位で且つ関節相当部位に付設され、前記手袋本体の変形に追従して伸縮するシート状の1又は複数の歪みセンサと、前記手袋本体に一体的に設けられ、前記手袋本体の変形に追従して変形するように設けられる伸縮性の配線部と、を備える歪みセンサ付手袋。」が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2016-130940号公報に記載の動作検知用部材では、動作を検知する検知部が、伸縮性を有する導電性インクを用いて形成されている。そのため、耐久性が低い。
一方、特開2017-061770号公報に記載の動作検知用部材では、動作を検知する検知部が、樹脂フィルム(シリコンゴム、ウレタン等の樹脂のフィルム)を基材として有している。そのため、検知部を有する部分は、基材の存在により、動作検知用部材を装着したとき違和感を感じてしまうことがある。
【0006】
このように、耐久性が高く、装着感に優れる、新規な構造の動作検知用部材が要望されている。
【0007】
そこで、本開示の課題は、耐久性が高く、装着感に優れる動作検知用部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の手段により解決される。
【0009】
<1>
被装着体に装着される装着部であって、前記被装着体の動作により伸縮する伸縮性布材で構成された伸縮部位を有する装着部と、
前記装着部の伸縮部位の少なくとも一部に設けられた配線部であって、導電性線状体を含む第一配線部および導電性線状体を含む第二配線部を有する配線部と、前記第一配線部に電気的に接続された第一電極部および前記第二配線部に電気的に接続された第二電極部を有する電極部と、を備え、前記被装着体の動作により、前記配線部が設けられた前記装着部の伸縮部位が伸縮したとき、前記第一配線部および前記第二配線部の接触状態が変化することで、前記第一電極部と前記第二電極部との間の抵抗値が変化する配線電極部と、
を具備する、
前記被装着体の動作を検知するための動作検知用部材。
<2>
前記第一配線部と前記第二配線部とが別体で設けられ、
前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位の伸長前に前記第一配線部と前記第二配線部との少なくとも一部が接触して設けられている場合、前記被装着体の動作により、前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位が伸長したとき、前記第一配線部と前記第二配線部とが離間し、
前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位の伸長前に前記第一配線部と前記第二配線部とが離間して設けられている場合、前記被装着体の動作により、前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位が伸長したとき、前記第一配線部と前記第二配線部との少なくとも一部が接触する、
<1>に記載の動作検知用部材。
<3>
前記第一配線部と前記第二配線部とが別体で設けられ、
前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位の伸長前に前記第一配線部と前記第二配線部との少なくとも一部が接触して設けられている場合、前記被装着体の動作により、前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位が伸長したとき、前記第一配線部と前記第二配線部との接触領域が段階的に減少し、
前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位の伸長前に前記第一配線部と前記第二配線部とが離間して設けられている場合、前記被装着体の動作により、前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位が伸長したとき、前記第一配線部と前記第二配線部との接触領域が段階的に増加する、
<1>又は<2>に記載の動作検知用部材。
<4>
前記第一配線部と前記第二配線部とが一体的に設けられ、
前記被装着体の動作により、前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位が伸長したとき、前記第一配線部と前記第二配線部との導通経路が長くなる<1>に記載の動作検知用部材。
<5>
前記配線部が設けられた前記装着部の伸縮部位を最大伸長率まで伸長させたとき、伸長率の変化が±5%の範囲内で前記第一電極部と前記第二電極部との間の抵抗値が2倍以上又は1/2以下に変化する、伸長率の範囲を有する<1>~<4>のいずれか1つに記載の動作検知用部材。
<6>
前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位の伸長率に応じて、前記第一電極部と前記第二電極部との間の抵抗値が、段階的に変化する<1>~<5>のいずれか1つに記載の動作検知用部材。
<7>
前記配線部を設けた前記装着部の伸縮部位が伸長したとき、前記第一電極部と前記第二電極部との間が導通から非導通となる、又は非導通から導通となる<1>~<6>のいずれか1つに記載の動作検知用部材。
<8>
前記第一電極部および前記第二電極部の少なくとも一方において、前記導電性線状体の一部が、前記装着部の伸縮部位の伸縮性布材の糸で拘束されている<1>~<7>のいずれか1つに記載の動作検知用部材。
<9>
前記第一電極部および前記第二電極部の少なくとも一方において、前記導電性線状体が、前記装着部の伸縮部位の伸縮性布材に、織り込まれている、編み込まれている、又は刺繍されている<8>に記載の動作検知用部材。
<10>
前記第一配線部および前記第二配線部の少なくとも一方において、前記導電性線状体の一部が、前記装着部の伸縮部位の伸縮性布材の糸で拘束されている<1>~<9>のいずれか1つに記載の動作検知用部材。
<11>
前記第一配線部および前記第二配線部の少なくとも一方において、前記導電性線状体が、前記装着部の伸縮部位の伸縮性布材に、織り込まれている、編み込まれている、又は刺繍されている<10>に記載の動作検知用部材。
<12>
前記第一配線部および前記第二配線部の少なくとも一方が、前記装着部の伸縮部位の伸縮性布材の内部に設けられている<1>~<11>のいずれか1つに記載の動作検知用部材。
<13>
前記第一電極部、前記第二電極部、前記第一配線部および前記第二配線部の少なくとも一つに含まれる導電性線状体が、カーボンナノチューブ糸を含む導電性線状体である<1>~<12>のいずれか1つに記載の動作検知用部材。
<14>
前記装着部が、前記被装着体としての人体の手に装着される手袋状の装着部である<1>~<13>のいずれか1つに記載の動作検知用部材。
<15>
前記配線部が設けられる前記伸縮部位が、前記手の指の、近位指節間関節および中手指節間関節の少なくとも一方に対向して有する<14>に記載の動作検知用部材。
<16>
前記装着部が、筒状、シート状又は帯状の装着部である<1>~<13>のいずれか1つに記載の動作検知用部材。
<17>
前記筒状、シート状又は帯状の装着部が、前記被装着体としての人体の可動部に装着される装着部である<16>に記載の動作検知部材。
<18>
前記配線部が設けられた前記装着部の伸縮部位が、前記装着部の表面に設けられている<1>~<17>のいずれか1つに記載の動作検知用部材。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、耐久性が高く、装着感に優れる動作検知用部材が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る動作検知用部材を示す模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る動作検知用部材を示す模式的な断面図である。
【
図3A】
図3Aは、本実施形態に係る動作検知用部材における伸縮部位(配線部が設けられた装着部の伸縮部位の一例)を示す模式的な平面図である。
【
図3B】
図3Bは、本実施形態に係る動作検知用部材における指部の伸縮部位(配線部が設けられた装着部の伸縮部位一例)の伸長状態を示す模式的な平面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る動作検知用部材を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る動作検知用部材において、導電性線状体を織り込んだ一例を示す概略平面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る動作検知用部材において、導電性線状体を編み込んだ一例を示す概略平面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る動作検知用部材において、導電性線状体を刺繍した一例を示す概略平面図である。
【
図8】
図8は、最大伸長率までの伸縮部位(配線部が設けられた装着部の伸縮部位の一例)の伸長及び収縮を5回繰り返し実施したときの「第一電極部及び第二電極部の間の抵抗値と測定時間との関係、並びに、伸長率と測定時間との関係」の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、
図9の結果に基づく、1回目の伸縮における「第一電極部及び第二電極部の間の抵抗値と伸長率との関係」の一例を示す図である。
【
図10B】
図10Bは、第1の変形例の配線電極部の伸長状態を示す模式的な平面図である。
【
図11B】
図11Bは、第2の変形例の配線電極部の第一の伸長状態を示す模式的な平面図である。
【
図11C】
図11Cは、第2の変形例の配線電極部の第二の伸長状態を示す模式的な平面図である。
【
図12B】
図12Bは、第3の変形例の配線電極部の第一の伸長状態を示す模式的な平面図である。
【
図12C】
図12Cは、第3の変形例の配線電極部の第二の伸長状態を示す模式的な平面図である。
【
図13B】
図13Bは、第4の変形例の配線電極部の第一の伸長状態を示す模式的な平面図である。
【
図13C】
図13Cは、第4の変形例の配線電極部の第二の伸長状態を示す模式的なである。
【
図14B】
図14Bは、第5の変形例の配線電極部の伸長状態を示す模式的な平面図である。
【
図15】
図15は、第6の変形例の配線電極部を示す模式的な断面図である。
【
図16】
図16は、第7の変形例の配線電極部を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の一例である実施形態について詳細に説明する。
なお、本明細書において、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
「~」を用いた数値範囲は、「~」の前後で示された数値が各々最小値及び最大値として含まれる数値範囲を意味する。
段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。
【0013】
本実施形態に係る動作検知用部材は、被装着体の動作を検知するための部材である。
そして、本実施形態に係る動作検知用部材は、
被装着体に装着される装着部であって、前記被装着体の動作により伸縮する伸縮布材で構成された伸縮部位を有する装着部と、
前記装着部の伸縮部位の少なくとも一部に設けられた配線部であって、導電性線状体を含む第一配線部および導電性線状体を含む第二配線部を有する配線部と、前記第一配線部に電気的に接続された第一電極部および前記第二配線部に電気的に接続された第二電極部を有する電極部と、を備え、前記被装着体の動作により、前記配線部が設けられた前記装着部の伸縮部位が伸縮したとき、前記第一配線部および前記第二配線部の接触状態が変化することで、前記第一電極部と前記第二電極部との間の抵抗値が変化する配線電極部と、
を具備する。
【0014】
本実施形態に係る動作検知用部材は、被装着体の動作により伸縮部位が伸縮(つまり、伸長および収縮)したとき、第一配線部および第二配線部の接触状態が変化することで、第一電極部と第二電極部との間の抵抗値が変化する。この抵抗値の変化を検知することにより、被装着体の動作を検知できる。
そして、本実施形態に係る動作検知用部材は、動作を検知するための配線電極部が、導電性線状体で構成されている。そのため、耐久性も高い。
それに加え、伸縮性布材で構成された装着部の伸縮部位に、導電性線状体で構成された配線部が設けられている。そのため、被装着体に装着したとき違和感が感じられ難く、装着感にも優れる。
【0015】
また、特開2016-130940号公報の手袋型入力装置、歪みセンサ付手袋等は、手を開いた状態と閉じた状態でキャリブレーションを必要とするが、手袋を使用し続けているとセンサ位置がずれてきて、検出精度が低下する可能性がある。一方で、本実施形態に係る動作検知用部材は、キャリブレーションが不要であり、装着後すぐに使用可能であり、位置ずれの許容範囲が広い。
【0016】
ここで、本明細書において、「第一電極部と第二電極部との間の抵抗値が変化する」とは、1)第一電極部と第二電極部との間が導通された状態で、抵抗値が増減すること、又は2)第一電極部と第二電極部との間が導通から非導通の状態もしくは非導通から導通の状態に変化することを示す。なお、この抵抗値の変化は、電極部、配線部、および電極部と配線部との接合部の破損による抵抗値の変化は含まない。
【0017】
「第一配線部と第二配線部との少なくとも一部が接触している」とは、第一配線部及び第二配線部以外の他の配線部(例えば、第三配線部)を有する場合、他の配線部を介在して第一配線部と第二配線部との少なくとも一部が接触している態様も含む。
【0018】
「配線部が伸縮部位に設けられている」とは、「配線部が伸縮性布材の表面に設けられている」又は「配線部が伸縮性布材の内部に設けられている」ことを示す。
【0019】
そして、「配線部が伸縮性布材の表面に設けられている」とは、伸縮性布材の表裏面を構成する布材層(部分的に表裏面を構成する布材層も含む)に、配線部(つまり、導電性線状体)が設けられていることを示す。言い換えれば、「配線部が伸縮性布材の表面に設けられている」とは、伸縮性布材から配線部を構成する導電性線状体の少なくとも一部が露出した状態で、電極部又は配線部(つまり、導電性線状体)が設けられていることを示す。
【0020】
一方、「配線部が伸縮性布材の内部に設けられている」とは、伸縮性布材の内層に、例えば、伸縮性布材の内層となる布材層中又は布材層間に、配線部(つまり、導電性線状体)が設けられていることを示す。
【0021】
「装着部が、伸縮性布材で構成された伸縮部位を有する」とは、装着部の伸縮部位に相当する位置が伸縮性布材で構成され、当該伸縮性布材に配線部が設けられた態様、装着部の伸縮部位に相当する位置の表面に、別途、配線部を有する伸縮性布材が貼り合わされている態様のいずれも含む。なお、伸縮部位の設け方は、接着剤による貼り合わせ、縫いによる取り付け等が例示される。
つまり、動作検知用部材は、例えば、布材等で構成された装着部(手袋、リストバンド等)の伸縮部位に相当する位置に配線部が設けられた態様、布材、樹脂、紙、革等の周知の材質で構成された既存の装着部(手袋、リストバンド等)の伸縮部位に相当する位置の表面に、別途、配線部を有する伸縮性布材が貼り合わされている態様のいずれも含む。
【0022】
以下、本実施形態に係る動作検知用部材の一例について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
本実施形態に係る動作検知用部材150は、
図1に示すように、手袋状の部材である。
具体的には、動作検知用部材150は、例えば、手袋状装着部10(装着部の一例)と、配線電極部100と、通信モジュール202と、を有している。
【0024】
(手袋状装着部)
手袋状装着部10は、被装着体としての人体の手に装着される手袋状の装着部である。
手袋状装着部10は、人体の手首に装着される手首部1と、人体の指に装着される指部2と、手首部1および指部2を連結する胴部3と、を有している。
【0025】
なお、手首部1、指部2及び胴部3の連結部(中手指節間関節に対応する部位)、指部2(遠位指節間関節及び近位指節間関節に対応する部位)と、が「被装着体の動作により伸縮する伸縮部位」の一例に相当する。
また、近位指節間関節の甲側に対向する指部2の部位が、「配線部が設けられた装着部の伸縮部位」の一例に相当する。
【0026】
ここで、手袋状装着部10は、指部2を、例えば、各指に対応して5つ有している。具体的には、手袋状装着部10は、指部2として、例えば、親指に装着される親指部2A、人差し指に装着される人差し指部2B、中指に装着される中指部2C、薬指に装着される薬指部2D、及び小指に装着される小指部2Eを有している。
ただし、指部2の構成は、上記構成に限られるわけではない。手袋状装着部10は、指部2として、例えば、親指に装着される親指部と、人差し指、中指、薬指および小指に装着される指部と、の2つの部位を有していてもよい。
【0027】
手袋状装着部10は、例えば、表面を構成する表面布材層10Aと、裏面を構成する裏面布材層10Bと、表面布材層10A及び裏面布材層10Bの間に有する中間布材層10Cと、の3重(3層)の布材層で構成されている。
手袋状装着部10は、3重の布材層以外に、例えば、1重(単層)、2重(2層)、又は4重(4層)以上の布材層で構成されていてもよい。
なお、2層以上の布材層で構成された多重の装着部は、例えば、各布材層を作製した後、縫い合わせる手法で作製してもよいし、織編機により一括して多重の手袋状装着部10を作製してもよい。
【0028】
手袋状装着部10は、例えば、伸縮性布材で構成されている。ただし、手袋状装着部10は、柔軟性布材で構成され、かつ少なくとも近位指節間関節の甲側に対向する指部2の部位(配線部が設けられた装着部の伸縮部位の一例)が伸縮性布材で構成されていればよい。
【0029】
伸縮性布材としては、例えば、織編物が代表的に挙げられる。手袋状装着部10は不織布であってもよい。
織編物としては、平織り、綾織り、朱子織り、周知の応用織り等の織物;緯編み、経編み、レース編み、周知の応用編み等の編物が挙げられる。
【0030】
伸縮性布材を構成する糸(線状体)は、絶縁性の糸とする。絶縁性の糸とは、線抵抗が1.0×106Ω/cm以上の糸を示す。絶縁性の糸の線抵抗は、後述する導電性線状体の線抵抗と同じ方法で測定される線抵抗である。
【0031】
伸縮性布材は、弾性糸を利用した織編物を適用することがよい。
弾性糸としては、例えば、弾性糸の外周に非弾性糸をコイル状に巻き付けたカバードヤーン(シングルカバードヤーン又はダブルカバードヤーン)、弾性糸と非弾性糸とを精紡交撚したコアースパンヤーン、圧空ノズルを用いて弾性糸の外周に非弾性糸を巻き付けたエアー交絡カバードヤーン、弾性糸と非弾性糸とを撚糸してなるツイステッドヤーン等が挙げられる。
弾性糸としては、ポリウレタン弾性繊維、ポリエステル弾性繊維、ポリアミド弾性繊維等、いわゆるゴム状弾性を示す繊維の糸が挙げられる。
非弾性糸としては、合成繊維(ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維)、天然繊維(綿、絹、麻、羊毛等の繊維)の糸が挙げられる。
【0032】
(配線電極部)
配線電極部100は、電極部20と、配線部30と、配線部50と、を有している。
電極部20は、第一電極部20Aと第二電極部20Bとを有し、通信モジュール202と電気的に接続される電極部である。
配線部30は、第一配線部30Aと第二配線部30Bとを有し、指の近位指節間関節の曲げ(被装着体の動作の一例)により、指の近位指節間関節の甲側に対向する指部2の部位が伸縮したとき(以下、「指部2の伸縮部位が伸縮したとき」とも称する)、第一配線部30A及び第二配線部30Bの接触状態が変化する配線部30(以下、「検知用配線部30」と称する)である。
配線部50は、第一配線部50Aと第二配線部50Bとを有し、電極部20と配線部30とを電気的に接続するための接続用の配線部(以下「接続用配線部50」と称する)である。
【0033】
なお、接続用配線部50は、必要に応じて設けられる配線部であり、電極部20と検知用配線部30とが直接接続した態様であってもよい。
【0034】
-電極部-
電極部20において、第一電極部20Aと第二電極部20Bとは、例えば、手袋状装着部10の手首部1の甲側に、各々設けられている。ただし、電極の配置位置は、特に、制限はなく、例えば、手袋状装着部10の手首部1の掌側、手袋状装着部10の胴部3の掌側であってもよい。
なお、電極部20は、目的に応じて、3つ以上設けてもよい。また、電極部20は、一つ設けてもよい。
例えば、一つの電極部を共通電極とし、一つの電極部に2つ以上の配線部50を接続してもよい。本態様としては、例えば、薬指部2Dに配置される検知用配線部30に接続される2つの配線部50のうち、一つと、小指部2Eに配置される検知用配線部30に接続される2つの配線部50ののうち、一つと、を共通電極としての一つの電極部に接続する態様が挙げられる。
【0035】
電極部20は、例えば、
図2に示すように、手袋状装着部10の表面布材層10Aに設けられている。つまり、電極部20は、手袋状装着部10の表面に設けられている。
なお、電極部20は、手袋状装着部10の中間布材層10Cに設けられていてもよい。つまり、電極部20は、手袋状装着部10の内部に設けられていてもよい。手袋状装着部10の内部に電極部20が設けられていても、ピン状の電極等により接続が可能なためである。
【0036】
-検知用配線部-
検知用配線部30は、指の近位指節間関節の甲側に対向する指部2の部位(親指部2A、人差し指部2B、中指部2C、薬指部2D、及び小指部2Eの全部位)に設けられている。
【0037】
ただし、検知用配線部30の配置位置は、上記態様に限定されず、目的に応じて、下記態様であってもよい。
・検知用配線部30が、指の、近位指節間関節の甲側および中手指節間関節の甲側の少なくとも一方に対向する指部2の部位に設けられている態様。
・検知用配線部30が、指の、近位指節間関節の掌側および中手指節間関節の掌側の少なくとも一方に対向する指部2の部位に設けられている態様。
・複数の検知用配線部30のうち、一部が、指の甲側に対向する指部2の部位に対向する位置に設けられ、それ以外の一部が指の掌側に対向する指部2の部位に対向する位置に設けられる態様(例えば、親指の掌側に対向する親指部2Aの部位に対向する位置に検知用配線部30を設け、人差し指部、中指部、薬指部及び小指指の甲側に対向する人差し指部2B、中指部2C、薬指部2D、及び小指部2Eの部位に対向する位置に検知用配線部30を設けられる態様)。
・検知用配線部30が、親指部2A、人差し指部2B、中指部2C、薬指部2D、及び小指部2Eの少なくとも一つに設けられている態様
【0038】
検知用配線部30において、第一検知用配線部30Aは、第一電極部20Aに電気的に接続されている。また、第二検知用配線部30Bは、第二電極部20Bに電気的に接続されている。
第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとは、別体で、かつ指部2の伸縮部位の伸長前の状態で少なくとも一部が接触して設けられている。
ただし、検知用配線部30の一部を指の掌側に対向する親指部2Aの部位に対向する位置を設ける場合(例えば、親指の掌側に対向する親指部2Aの部位に対向する位置に検知用配線部30を設け、人差し指部、中指部、薬指部及び小指指の甲側に対向する人差し指部2B、中指部2C、薬指部2D、及び小指部2Eの部位に対向する位置に検知用配線部30を設ける場合)、親指の掌側に対向する親指部2Aの部位に対向する位置に検知用配線部30において、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとは、別体で、かつ指部2の伸縮部位の伸長前の状態で離間して設けられる。
なお、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとは、別体で、かつ指部2の伸縮部位の伸長前の状態で離間して設ける態様は、第1の変形例で説明する。
【0039】
第一検知用配線部30Aは、例えば、指部2の長手方向に沿って延在している。第一検知用配線部30Aは、導電性線状体40A2を波状に設けた波状部32Aを有している。
第二検知用配線部30Bは、例えば、指部2の長手方向に沿って延在している。第二検知用配線部30Bも、導電性線状体40B2を波状に設けた波状部32Bを有している。
そして、指部2の伸縮部位の伸長前の状態において、第一検知用配線部30Aの波状部32Aと第二検知用配線部30Bの波状部32Bとが点接触又は線接触している。
なお、第一検知用配線部30Aおよび第二検知用配線部30Bは、いずれも、導電性線状体40A2および導電性線状体40B2を波状に設けた波状部を有さず、直線に設けた直線部のみ有する構成であってもよい。また、第一検知用配線部30Aおよび第二検知用配線部30Bは、いずれも、導電性線状体40A2および導電性線状体40B2が屈曲した屈曲部を有してもよい。
【0040】
検知用配線部30は、手袋状装着部10の内部に設けられている。具体的には、例えば、
図2に示すように、3層の布材層で構成された手袋状装着部10の内層の布材層(部分的に内層となる布材層も含む)である中間布材層10Cに、検知用配線部30が設けられていることにより、検知用配線部30を手袋状装着部10の内部に設けることができる。また、例えば、2層の布材層で構成された手袋状装着部10の布材層の間に、検知用配線部30を設けてもよい。
なお、検知用配線部30は、手袋状装着部10の表面に設けられていてもよい。例えば、検知用配線部30は、3層の布材層で構成された手袋状装着部10の表面布材層10A又は裏面布材層10Bに設けられていてもよい。ただし、検知用配線部30は、手袋状装着部10による外部との絶縁化を図る観点から、手袋状装着部10の内部に設けることがよい。
【0041】
-接続用配線部50-
接続用配線部50において、第一接続用配線部50Aは、第一電極部20Aと第一配線部30Aとを電気的に接続している。第二接続用配線部50Bは、第二電極部20Bと第二配線部30Bとを電気的に接続している。
【0042】
接続用配線部50は、手の甲側に対向する、手袋状装着部10の胴部3に設けられている。
ただし、接続用配線部50の配置位置は、上記態様に限定されず、電極部20および検知用配線部30の配置位置に応じて設定される。
【0043】
接続用配線部50は、手袋状装着部10の内部に設けられている。具体的には、例えば、
図2に示すように、3層の布材層で構成された手袋状装着部10の内層の布材層(部分的に内層となる布材層も含む)である中間布材層10Cに、接続用配線部50が設けられていることにより、接続用配線部50を手袋状装着部10の内部に設けることができる。また、例えば、2層の布材層で構成された手袋状装着部10の布材層の間に、接続用配線部50を設けてもよい。
なお、接続用配線部50は、手袋状装着部10の表面に設けられていてもよい。例えば、接続用配線部50は、3層の布材層で構成された手袋状装着部10の表面布材層10A又は裏面布材層10Bに設けられていてもよい。ただし、接続用配線部50は、手袋状装着部10による外部との絶縁化を図る観点から、手袋状装着部10の内部に設けることがよい。
【0044】
-導電性線状体-
電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50は、各々、導電性線状体40を含む。つまり、導電性線状体40が配置された領域を、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50とする。
【0045】
具体的には、例えば、第一電極部20Aは導電性線状体40A1を含む。
第一接続用配線部50Aは、第一電極部20Aの導電性線状体40A1が延在した導電性線状体40A3を含む。
第一検知用配線部30Aは、第一接続用配線部50Aの導電性線状体40A3が延在した導電性線状体40A2を含む。
つまり、第一電極部20Aと第一検知用配線部30Aとは、少なくとも同じ一本の導電性線状体40で構成されている。
【0046】
また、例えば、第二電極部20Bは導電性線状体40B1を含む。
第二接続用配線部50Bは、第二電極部20Bの導電性線状体40B1が延在した導電性線状体40B3を含む。
第二検知用配線部30Bは、第二接続用配線部50Bの導電性線状体40B3が延在した導電性線状体40B2を含む。
つまり、第二電極部20Bと第二検知用配線部30Bとは、少なくとも同じ一本の導電性線状体40で構成されている。
【0047】
第一電極部20A及び第一検知用配線部30Aと、第二電極部20B及び第二検知用配線部30Bとは、各々、同じ一本の導電性線状体40で構成されることにより、電極部20と検知用配線部30との接続不良が抑制される。
なお、同じ一本の導電性線状体40とは、導電性線状体40の端部同士を、線状体以外の他の接続材料(ハンダ、導電性ペースト等)又は接続部材(かしめ、コネクタ等)を利用することなく、結び又は撚り継ぎ等により結合した線状体も含む。
【0048】
ただし、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50は、各々、複数本の導電性線状体40を含んでもよい。また、第一電極部20A、第一検知用配線部30A及び第一接続用配線部50Aと、第二電極部20B、第二検知用配線部30B及び第二接続用配線部50Bと、は各々、同じ一本の導電性線状体40で構成されていなくてもよい。
例えば、第一電極部20A、第一検知用配線部30A及び第一接続用配線部50Aと、第二電極部20B、第二検知用配線部30B及び第二接続用配線部50Bと、は各々、互いの導電性線状体40の端部同士が、線状体以外の他の接続材料(ハンダ、導電性ペースト等)又は接続部材(かしめ、コネクタ等)で連結されていてもよい。
【0049】
電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50の少なくとも一つにおいて、例えば、導電性線状体40の少なくとも一部は、手袋状装着部10の糸で拘束されている。
このような形態は、導電材料として機能する導電性線状体40を、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50として手袋状装着部10に固定する手段としても用いることができるという観点から好ましい。
手袋状装着部10に拘束されている導電性線状体40は、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50に含まれる同じ1本の導電性線状体40であってもよいし、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50のいずれか一つのみに含まれる別の導電性線状体40であってもよい。
【0050】
なお、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50の少なくとも一つにおいて、導電性線状体40は手袋状装着部10の糸で拘束されていなくてもよい。
例えば、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50の少なくとも一つが接着剤により手袋状装着部10に固定されている場合、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50の少なくとも一つが絶縁性の糸により手袋状装着部10に縫い付けられているときは、導電性線状体40が手袋状装着部10の糸で拘束されていなくても、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50の少なくとも一つを手袋状装着部10に固定可能である。
【0051】
例えば、導電性線状体40を180°に繰り返し屈曲又は湾曲して配置した矩形の領域を形成する。この矩形の領域は、手袋状装着部10の表面布材層10Aの糸に導電性線状体40の一部を拘束させて形成する。そして、この矩形の領域を面状の電極部20とする。
なお、導電性線状体40を渦巻状に配置した領域を、電極部20としてもよい。また、導電性線状体40を屈曲又は湾曲して配置した任意の面形状(多角形、円形等)を、電極部20としてもよい。
【0052】
一方、電極部20から導電性線状体40を直線状、波状、屈曲又はそれらの組み合わせで延在させた領域を形成する。この領域は、手袋状装着部10の中間布材層10Cの糸に導電性線状体40の一部を拘束させて形成する。そして、この領域を検知用配線部30および接続用配線部50とする。
【0053】
具体的には、手袋状装着部10が織物の場合、
図5に示すように、経糸及び緯糸で織られた織物の織組織に、導電性線状体40を織り込んで、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50を構成することが、手袋状装着部10を織ることにより形成する際に、手袋状装着部10、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50を同時に形成可能であるという観点、手袋状装着部10、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50の一体性の向上という観点から好ましい。
【0054】
手袋状装着部10が編物の場合、
図6に示すように、ループ状の糸が編み込まれた編物の編組織に、上記形状で導電性線状体40を編み込んで、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50を構成することが、手袋状装着部10を編むことにより形成する際に、手袋状装着部10、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50を同時に形成可能であるという観点、手袋状装着部10、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50の一体性の向上という観点から好ましい。
編物の網組織に導電性線状体40を編み込む場合、例えば、引き揃え編み、プレーティング編み、インレイ編みなどを採用できる。
図6は、インレイ編みを採用して導電性線状体40を編み込んだ例を示している。
【0055】
また、
図7に示すように、手袋状装着部10に対して、上記形状で導電性線状体40を刺繍して、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50を構成することが、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50を形成する際に、同時に、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50の、手袋状装着部10への固定も行うことが可能であるという観点から好ましい。
刺繍の手法は、例えば、ランニングステッチ、コーチングステッチ、バックステッチ、チェーンステッチ、アウトラインステッチ等の周知のステッチを採用できる。
図7は、チェーンステッチを採用して導電性線状体40を刺繍した例を示している。
【0056】
また、手袋状装着部10に対して、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50を導電性線状体40で縫い付けて固定することが、電極部20を構成する導電性線状体40と、検知用配線部30を固定する導電性線状体40と、接続用配線部50を固定する導電性線状体40と、を共通するものにすることができるという観点から好ましい。
例えば、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50を導電性線状体40で縫い付けて固定されている態様としては、導電性線状体40を織り込んだ織物又は導電性線状体40を編み込んだ編物から、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50を連続的に形成し、その、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50を導電性線状体40で手袋状装着部10に縫い付けた態様が挙げられる。
【0057】
図5中、12は手袋状装着部10(織物)を構成する経糸、14は手袋状装着部10(織物)を構成する緯糸を示す。
図6中、16は、手袋状装着部10(織物)を構成する糸を示す。
【0058】
なお、手袋状装着部10を構成する糸として弾性糸を採用する場合、弾性糸を伸長した状態で、織編物を形成しつつ、導電性線状体40を手袋状装着部10に、織り込む又は編み込むことがよい。
【0059】
(導電性線状体)
電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50を構成する導電性線状体は、導電性を有するものであれば、特に制限はないが、金属ワイヤーを含む線状体、導電性糸を含む線状体等が挙げられる。導電性線状体40は、金属ワイヤー及び導電性糸を含む線状体(金属ワイヤーと導電性糸を撚った線状体等)であってもよい。
【0060】
金属ワイヤーを含む線状体、及び導電性糸を含む線状体は、共に、高い電気伝導性を有するため、導電性線状体40として適用すると、電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50の抵抗を低減することが容易となる。
【0061】
金属ワイヤーとしては、銅、アルミニウム、タングステン、鉄、モリブデン、ニッケル、チタン、銀、金等の金属、又は、金属を2種以上含む合金(例えば、ステンレス鋼、炭素鋼等の鋼鉄、真鍮、りん青銅、ジルコニウム銅合金、ベリリウム銅、鉄ニッケル、ニクロム、ニッケルチタン、カンタル、ハステロイ、レニウムタングステン等)を含むワイヤーが挙げられる。また、金属ワイヤーは錫、亜鉛、銀、ニッケル、クロム、ニッケルクロム合金、はんだ等でめっきされたものであってもよく、後述する炭素材料やポリマーにより表面が被覆されたものであってもよい。
【0062】
金属ワイヤーとしては、炭素材料で被覆された金属ワイヤーも挙げられる。金属ワイヤーは、炭素材料で被覆されていると、金属腐食が抑制される。
【0063】
金属ワイヤーを被覆する炭素材料としては、カーボンブラック、活性炭、ハードカーボン、ソフトカーボン、メソポーラスカーボン、カーボンファイバー等の非晶質炭素;グラファイト;フラーレン;グラフェン;カーボンナノチューブ等が挙げられる。
【0064】
一方、導電性糸を含む線状体は、1本の導電性糸からなる線状体であってもよいし、複数本の導電性糸を撚った線状体であってもよい。また、導電性糸と絶縁性の糸を撚ったものであってもよい。導電性糸を含む線状体は、金属ワイヤーを含む線状体に比べ、柔軟性が高く、手袋状装着部10への織り込み、編み込み若しくは刺繍又は手袋状装着部10への縫い付けによる断線が生じ難いという利点がある。
導電性糸としては、導電性繊維(金属繊維、炭素繊維、イオン導電性ポリマーの繊維等)を含む糸、導電性微粒子(カーボンナノ粒子等)を含む糸(以下、カーボンナノチューブ糸)、表面に金属(銅、銀、ニッケル等)をめっき又は蒸着した糸、金属酸化物を含浸させた糸等が挙げられる。
【0065】
導電性糸を含む線状体としては、特に、カーボンナノチューブ糸を含む線状体(以下「カーボンナノチューブ線状体」とも称する)が好適に挙げられる。
【0066】
カーボンナノチューブ線状体は、例えば、カーボンナノチューブフォレスト(カーボンナノチューブを、基板に対して垂直方向に配向するよう、基板上に複数成長させた成長体のことであり、「アレイ」と称される場合もある)の端部から、カーボンナノチューブをシート状に引出し、引き出したカーボンナノチューブシートを束ねた後、カーボンナノチューブの束を撚ることにより得られる。このような製造方法において、撚りの際に捻りを加えない場合には、リボン状のカーボンナノチューブ線状体が得られ、捻りを加えた場合には、糸状の線状体が得られる。リボン状のカーボンナノチューブ線状体は、複数のカーボンナノチューブの集合が捻られた構造を有しない線状体である。このほか、カーボンナノチューブの分散液から、紡糸をすること等によっても、カーボンナノチューブ線状体を得ることができる。紡糸によるカーボンナノチューブ線状体の製造は、例えば、米国公開公報US 2013/0251619(日本国特開2011-253140号公報)に開示されている方法により行うことができる。カーボンナノチューブ線状体の直径の均一さが得られる観点からは、糸状のカーボンナノチューブ線状体を用いることが望ましく、純度の高いカーボンナノチューブ線状体が得られる観点からは、カーボンナノチューブシートを撚ることによって糸状のカーボンナノチューブ線状体を得ることが好ましい。カーボンナノチューブ線状体は、2本以上のカーボンナノチューブ線状体同士が撚られた線状体であってもよい。
【0067】
カーボンナノチューブ線状体は、カーボンナノチューブと金属や導電性高分子、グラフェン等のカーボンナノチューブ以外の導電性材料とを含む線状体(以下「複合線状体」とも称する)であってもよい。複合線状体は、カーボンナノチューブ線状体の上述した特徴を維持しつつ、線状体の導電性が向上しやすくなる。
【0068】
複合線状体としては、例えば、カーボンナノチューブと金属とを含む線状体を例とすると、(1)カーボンナノチューブフォレストの端部から、カーボンナノチューブをシート状に引出し、引き出したカーボンナノチューブシートを束ねた後、カーボンナノチューブの束を撚るカーボンナノチューブ線状体を得る過程において、カーボンナノチューブのフォレスト、シート若しくは束、又は撚った線状体の表面に、金属単体又は金属合金を蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、湿式めっき等により担持させた複合線状体、(2)金属単体の線状体若しくは金属合金の線状体又は複合線状体と共に、カーボンナノチューブの束を撚った複合線状体、(3)金属単体の線状体若しくは金属合金の線状体又は複合線状体と、カーボンナノチューブ線状体又は複合線状体とを撚った複合線状体等が挙げられる。なお、(2)の複合線状体においては、カーボンナノチューブの束を撚る際に、(1)の複合線状体と同様にカーボンナノチューブに対して金属を担持させてもよい。また、(3)の複合線状体は、2本の線状体を編んだ場合の複合線状体であるが、少なくとも1本の金属単体の線状体若しくは金属合金の線状体又は複合線状体が含まれていれば、カーボンナノチューブ線状体又は金属単体の線状体若しくは金属合金の線状体若しくは複合線状体の3本以上を編み合わせてあってもよい。
複合線状体の金属としては、例えば、金、銀、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル、クロム、スズ、亜鉛等の金属単体、これら金属単体の少なくとも一種を含む合金(銅-ニッケル-リン合金、銅-鉄-リン-亜鉛合金等)が挙げられる。
【0069】
これら、導電性線状体40の中でも、カーボンナノチューブ糸を含む導電性線状体(特に、カーボンナノチューブ糸のみを含む導電性線状体や、カーボンナノチューブ糸と非金属系導電性材料とを含む導電性線状体)が好ましい。
例えば、表面に金属(銅、銀、ニッケル等)をめっき又は蒸着した糸、金属酸化物を含浸させた糸は、伸縮が繰り返されると金属又は金属酸化物に割れが生じ易く、耐久性が低い。この点、カーボンナノチューブ線状体は、屈曲への耐性が強く、指部2の伸縮部位が伸縮を繰り返しても、配線部の抵抗値が変化しにくい。また、カーボンナノチューブ線状体は、耐食性も高いという利点もある。
【0070】
ここで、導電性線状体40の線抵抗は、5.0×10-3Ω/cm~1.0×103Ω/cmが好ましく、1.0×10-2Ω/cm~5.0×102Ω/cmがより好ましい。
【0071】
導電性線状体40の線抵抗の測定は、次の通りである。まず、導電性線状体40の両端に銀ペーストを塗布し、銀ペースト間の部分の抵抗を測定し、導電性線状体40の抵抗値(単位:Ω)を求める。そして、得られた抵抗値を、銀ペースト間の距離(cm)で除して、導電性線状体40の線抵抗を算出する。
【0072】
(通信モジュール)
通信モジュール202は、例えば、手袋状装着部10の手首部1の甲側に設けられている。ただし、通信モジュール202の配置位置は、特に制限はなく、例えば、手袋状装着部10の手首部1の掌側、手袋状装着部10の胴部の掌側であってもよい。
そして、通信モジュール202は、不図示の接続端子を介して、電極部20と電気的に接続されている。
【0073】
通信モジュール202は、例えば、面ファスナー等の手段により、手袋状装着部10に脱着可能に設けられている。通信モジュール202を手袋状装着部10から取り出すことで、通信モジュールに防水処理を施すことなく、動作検知用部材150が洗濯可能となる。
【0074】
通信モジュール202は、抵抗検知部204と通信部206とを有している、なお、通信モジュール202は、不図示の電源部も有している。
【0075】
通信モジュール202は、抵抗検知部204で、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの抵抗値を検知する。検知した抵抗値のデータを通信部206によって外部機器へ送信する。
【0076】
なお、本実施形態に係る動作検知用部材150は、検知した抵抗値のデータを有線で外部機器へ送信する態様であってもよい。
【0077】
(動作検知用部材の作用)
本実施形態に係る動作検知用部材150は、手袋状装着部10における指部2の伸縮部位が伸長前の状態で、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとの少なくとも一部(本実施形態では、波状部32A,32B)が接触している(
図3A参照)。具体的には、第一検知用配線部30Aを構成する導電性線状体40A2と、第二検知用配線部30Bを構成する導電性線状体40B2と、の少なくとも一部が接触している。
【0078】
一方、手の指の曲げ(近位指節間関節の曲げ)により、手袋状装着部10における指部2の伸縮部位が伸長すると、ある伸長率に達した時点で、接触していた第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとが離間する(
図3B参照)。具体的には、第一検知用配線部30Aを構成する導電性線状体40A2と、第二検知用配線部30Bを構成する導電性線状体40B2と、が離間する。
より具体的には、指部2の伸縮部位が伸長すると、第一検知用配線部30Aの波状部32Aと、第二検知用配線部30Bの波状部32Bと、の周期が長く、かつ振幅が小さくなる。それにより、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとが離間する。
【0079】
この動作により、指部2の伸縮部位が伸長したとき、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値が変化する。つまり、抵抗値が増加する。具体的には、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間が導通から非導通となる。
そして、伸長に伴う第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値変化を検知することで、手の指の動作(指の近位指節間関節の曲げ)が検知できる。
【0080】
一方、手の指の曲げ(近位指節間関節の曲げ)が解除され、指部2の伸縮部位の伸長が解除されると(つまり収縮すると)、ある伸長率に達した時点で、離間していた第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとの少なくとも一部が接触する(
図3A参照)。つまり、抵抗値が低下する。具体的には、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間が非導通から導通となる。
このように、伸縮に伴う第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値変化を検知することで、手の指の動作(指の近位指節間関節の曲げの解除)が検知できる。
【0081】
ここで、最大伸長率(=約80%)を有する指部2の伸縮部位(つまり、検知用配線部が設けられた装着部の伸縮部位)について、指部2の伸縮部位を伸長率70%まで伸長した後、収縮する動作を、伸縮速度1mm/sで5回繰り返し実施したときの「第一電極部20A及び第二電極部20Bの間の抵抗値と測定時間との関係、伸長率と測定時間との関係」の一例を
図8に示す。また、
図8の測定結果に基づく、1回目の伸縮における「第一電極部20A及び第二電極部20Bの間の抵抗値と伸長率との関係」の一例を
図9に示す。
図8~
図9に示すように、指部2の伸縮部位(つまり、検知用配線部が設けられた装着部の伸縮部位)は、伸縮したとき、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値が、ある伸長率を境に変化している。具体的には、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間が導通から非導通、そして非導通から導通に変化している。
図8~
図9に示すように、動作検知用部材150は、指部2の伸縮部位(つまり、検知用配線部が設けられた装着部の伸縮部位)の伸縮による第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値変化を検知することで、手の指の動作(指の近位指節間関節の曲げ及びその解除)が検知できる。
なお、
図8~
図9に示す抵抗値変化の測定結果では、伸長率が平均43.7%±5%程度の範囲で、伸長時に抵抗値の上昇、収縮時に抵抗値の降下が見られることがわかる。
【0082】
(動作検知用部材の用途)
本実施形態に係る動作検知用部材150は、例えば、指の動作を検知できることから、手の状態(例えば、じゃんけんの、グー、チョキ、パー等)を表示するための入力装置、ゲーム等の操作用の入力装置等に利用できる。
【0083】
(配線電極部の変形例)
本実施形態に係る動作検知用部材150において、配線電極部は、
図3に示す配線電極部100の構成に限定されず、変形、又は改良してもよい。
【0084】
以下、本実施形態に係る動作検知用部材における配線電極部の変形例について説明する。
なお、以下の説明では、配線電極部は、上記形態について説明した部材と同一であれば、図中に、同一符号を付してその説明を省略または簡略する。
また、以下の説明では、接続用配線部は、省略して説明する。
【0085】
-第1の変形例-
配線電極部は、例えば、
図10Aに示す配線電極部101であってもよい。
具体的には、
図10Aに示すように、配線電極部101は、検知用配線部30が設けられた装着部の伸縮部位(以下、単に「装着部の伸縮部位」称する)の伸長前の状態において、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとが離間して設けられている。そして、第一検知用配線部30Aの波状部32Aと第二検知用配線部30Bの波状部32Bとは、略平行に対向し、かつ離間して設けられている。
【0086】
被装着体の動作により、装着部の伸縮部位が伸長すると、ある伸長率に達した時点で、離間していた第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとの少なくとも一部が接触する(
図10B参照)。具体的には、第一検知用配線部30Aを構成する導電性線状体40A2と、第二検知用配線部30Bを構成する導電性線状体40B2と、の少なくとも一部が接触する。
より具体的には、装着部の伸縮部位が伸長すると、第一検知用配線部30Aの波状部32Aと、第二検知用配線部30Bの波状部32Bと、がその周期が長く、かつ振幅が小さくなりつつ、近づき接触する。
【0087】
この動作により、装着部の伸縮部位が伸長したとき、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値が変化する。つまり、抵抗値が低下する。具体的には、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間が非導通から導通となる。
そして、伸長に伴う第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値変化を検知することで、被装着体の動作が検知できる。
【0088】
一方、被装着体の動作により、装着部の伸縮部位の伸長が解除されると(つまり収縮すると)、ある伸長率に達した時点で、接触していた第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとが離間する(
図10A参照)。つまり、抵抗値が増加する。具体的には、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間が導通から非導通となる。
このように、収縮に伴う第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値変化を検知することで、被装着体の動作が検知できる。
【0089】
-第2の変形例-
配線電極部は、例えば、
図11Aに示す配線電極部102であってもよい。
具体的には、
図11Aに示すように、配線電極部102は、第一検知用配線部30Aの波状部32Aとして、第一波状部32A1と、第一波状部32A1よりも第二検知用配線部30Bの波状部32Bとの接触長さが異なる第二波状部32A2と、を有している。
そして、配線電極部102は、第一検知用配線部30Aの波状部32Aとして、第一波状部32A1と、第一波状部32A1の周期及び/又は振幅が異なる第二波状部32A2と、を有している。
なお、本例では、第二波状部32A2が、第一波状部32A1よりも第二検知用配線部30Bの波状部32Bとの接触長さが短い例を示している。そして、第二波状部32A2が、第一波状部32A1よりも周期が短く、かつ振幅が小さい例を示している。
【0090】
被装着体の動作により、検知用配線部30が設けられた装着部の伸縮部位(以下、単に「装着部の伸縮部位」称する)が伸長すると、ある伸長率に達した時点で、接触していた第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとの一部が離間する(
図11B参照)。具体的には、第一検知用配線部30Aの第二波状部32A2と、第二検知用配線部30Bの波状部32Bと、が離間する。
さらに伸長すると、ある伸長率に達した時点で、第一検知用配線部30Aの第二波状部32A2と、第二検知用配線部30Bの波状部32Bと、が離間する(
図11C参照)。
つまり、第一検知用配線部30Aの第二波状部32A2と第二検知用配線部30Bの波状部32Bとが先に離間し、第一検知用配線部30Aの第一波状部32A1と第二検知用配線部30Bの波状部32Bとが後に離間する。
【0091】
この動作により、装着部の伸縮部位が伸長したとき、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値が段階的に変化する。つまり、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとが一部離間したことによる接触抵抗の増加分、抵抗値が段階的に増加する。具体的には、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間が導通の状態で、抵抗値が一定値増加した後、導通から非導通となる。
そして、伸長に伴う第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値の段階的な変化を検知することで、段階的な被装着体の動作が検知できる。
【0092】
一方、被装着体の動作により、装着部の伸縮部位の伸長が解除されると(つまり収縮すると)、ある伸長率に達した時点で、離間していた第一検知用配線部30Aの第一波状部32A1と第二検知用配線部30Bの波状部32Bとが接触する(
図11B参照)。
さらに、収縮すると、ある伸長率に達した時点で、離間していた第一検知用配線部30Aの第二波状部32A2と第二検知用配線部30Bの波状部32Bとが接触する(
図11A参照)。つまり、抵抗値が段階的に低下する。
具体的には、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間が非導通から導通となった後、導通した状態で、抵抗値が低下する。
このように、収縮に伴う第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値の段階的な変化を検知することで、段階的な被装着体の動作が検知できる。
【0093】
ここで、第2の変形例は、目的とする、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値の段階的な変化に応じて、第一検知用配線部30Aの波状部32Aと第二検知用配線部30Bの波状部32Bとの接触部において、互いの接触長さが異なる領域を複数有していてもよい。そして、第一検知用配線部30Aおよび第二検知用配線部30Bの少なくとも一方に、周期及び/又は振幅が異なる複数の波状部を有していてもよい。
【0094】
なお、抵抗値の段階的な変化(つまり段階的な増加又は低下)とは、装着部の伸縮部位が伸長する過程で、抵抗値が変化し、その抵抗値変化が一旦終了した後、再度、抵抗値が変化することを示す。
【0095】
-第3の変形例-
配線電極部は、例えば、
図12Aに示す配線電極部103であってもよい。具体的には、
図12Aに示すように、配線電極部103は、電極部20として、第三電極部20Cと、検知用配線部30として第三検知用配線部30Cと、をさらに有している。
【0096】
第三電極部20Cは導電性線状体40C1を含む。第三検知用配線部30Cは、第三電極部20Cの導電性線状体40C1が延在した導電性線状体40C2を含む。つまり、第三電極部20Cと第三検知用配線部30Cとは、少なくとも同じ一本の導電性線状体40で構成されている。
第三検知用配線部30Cは、第三電極部20Cに電気的に接続されている。
第三検知用配線部30Cは、第一検知用配線部30A及び第二検知用配線部30Bと別体で、かつ検知用配線部30が設けられた装着部の伸縮部位(以下、単に「装着部の伸縮部位」称する)の伸長前の状態で、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとの間に介在し、かつ第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとの少なくとも一部と接触して設けられている。
【0097】
第三検知用配線部30Cは、例えば、導電性線状体40C2を波状に設けた波状部32Cを有している。
そして、装着部の伸縮部位の伸長前の状態において、第三検知用配線部30Cの波状部32Cは、第一検知用配線部30Aの波状部32Aおよび第二検知用配線部30Bの波状部32Bと点接触又は線接触している。
【0098】
ただし、第三検知用配線部30Cの波状部32Cと第一検知用配線部30Aの波状部32Aとの接触長さは、第三検知用配線部30Cの波状部32Cと第二検知用配線部30Bの波状部32Bとの接触長さと異なっている。そして、第三検知用配線部30Cの波状部32C、第一検知用配線部30Aの波状部32A及び第二検知用配線部30Bの波状部32Bの周期及び/又は振幅が異なっている。
【0099】
なお、本例では、第三検知用配線部30Cの波状部32Cと第一検知用配線部30Aの波状部32Aとの接触長さが、第三検知用配線部30Cの波状部32Cと第二検知用配線部30Bの波状部32Bとの接触長さよりも短い例を示している。そして、第三検知用配線部30Cの波状部32Cは、第一検知用配線部30Aの波状部32A及び第二検知用配線部30Bの波状部32Bよりも振幅が小さい例を示している。
【0100】
装着部の伸縮部位が伸長すると、ある伸長率に達した時点で、接触していた第一検知用配線部30Aと第三検知用配線部30Cとが離間する(
図12B参照)。具体的には、第一検知用配線部30Aの波状部32Aと、第三検知用配線部30Cの波状部32Cと、が離間する。
さらに伸長すると、ある伸長率に達した時点で、接触していた第二検知用配線部30Bと第三検知用配線部30Cとが離間する(
図12C参照)。具体的には、第二検知用配線部30Bの波状部32Bと、第三検知用配線部30Cの波状部32Cと、が離間する。
つまり、第一検知用配線部30Aと第三検知用配線部30Cとが先に離間し、第二検知用配線部30Bと第三検知用配線部30Cとが後に離間する。
【0101】
この動作により、装着部の伸縮部位が伸長したとき、第一電極部20Aと第三電極部20Cとの間の抵抗値が変化する。つまり、抵抗値が増加する。具体的には、第一電極部20Aと第三電極部20Cとの間が導通から非導通となる。
さらに伸長すると、第二電極部20Bと第三電極部20Cとの間の抵抗値が変化する。つまり、抵抗値が増加する。具体的には、第二電極部20Bと第三電極部20Cとの間が導通から非導通となる。
そして、伸長に伴う、第一電極部20Aと第三電極部20Cとの間の抵抗値の変化、および第二電極部20Bと第三電極部20Cとの間の抵抗値の変化を検知することで、被装着体の動作が検知できる。
【0102】
一方、被装着体の動作により、装着部の伸縮部位の伸長が解除されると(つまり収縮すると)、ある伸長率に達した時点で、離間していた第二検知用配線部30Bと第三検知用配線部30Cとが接触する(
図12B参照)。具体的には、第二検知用配線部30Bの波状部32Bと、第三検知用配線部30Cの波状部32Cと、が接触する。
さらに収縮すると、ある伸長率に達した時点で、離間していた第一検知用配線部30Aと第三検知用配線部30Cとが接触する(
図12A参照)。具体的には、第一検知用配線部30Aの波状部32Aと、第三検知用配線部30Cの波状部32Cと、が接触する。
つまり、第二検知用配線部30Bと第三検知用配線部30Cとが先に接触し、第一検知用配線部30Aと第三検知用配線部30Cとが後に接触する。
【0103】
このように、収縮に伴う、第一電極部20Aと第三電極部20Cとの間の抵抗値の変化、および第二電極部20Bと第三電極部20Cとの間の抵抗値の変化を検知することで、段階的な被装着体の動作が検知できる。
【0104】
なお、第3の変形例は、第二検知用配線部30Bと第三検知用配線部30Cとが先に離間し、第一検知用配線部30Aと第三検知用配線部30Cとが後に離間する態様であってもよい。
【0105】
-第4の変形例-
配線電極部は、例えば、
図13Aに示す配線電極部104であってもよい。
具体的には、
図13Aに示すように、配線電極部104は、検知用配線部30が設けられた装着部の伸縮部位(以下、単に「装着部の伸縮部位」称する)の伸長前の状態において、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとが離間して設けられている。そして、第一検知用配線部30Aの波状部32Aと第二検知用配線部30Bの波状部32Bとは、角度(例えば、各波状部の延在方向の成す角度が3°~30°)を成して対向し、かつ離間して設けられている。
【0106】
被装着体の動作により、装着部の伸縮部位が伸長すると、ある伸長率に達した時点で、離間していた第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとの少なくとも一部が接触する(
図13B参照)。具体的には、第一検知用配線部30Aを構成する導電性線状体40A2と、第二検知用配線部30Bを構成する導電性線状体40B2と、の少なくとも一部が接触する。
より具体的には、装着部の伸縮部位が伸長すると、第一検知用配線部30Aの波状部32Aと、第二検知用配線部30Bの波状部32Bと、がその周期が長く、かつ振幅が小さくなりつつ、第一検知用配線部30Aの波状部32Aに、第二検知用配線部30Bの波状部32Bの先端側(第二電極部20Bと接続されていない方の先端側)から近づき接触していく。
【0107】
さらに伸長すると、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとの接触領域が増加する(
図13C参照)。具体的には、第一検知用配線部30Aを構成する導電性線状体40A2と、第二検知用配線部30Bを構成する導電性線状体40B2と、の接触領域が増加する。
より具体的には、装着部の伸縮部位が伸長すると、第一検知用配線部30Aの波状部32Aと、第二検知用配線部30Bの波状部32Bと、がその周期が長く、かつ振幅が小さくなりつつ、近づき接触領域が増加する。
【0108】
この動作により、装着部の伸縮部位が伸長したとき、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値が段階的に変化する。つまり、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bが最初に接触したときに、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間が非導通の状態から導通の状態となる。次に、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとの接触領域が増加すると、接触抵抗が低下し、第一電極部20Aと第二電極部20Bと間の抵抗値が段階的に低下する。
そして、伸長に伴う第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値の段階的な変化を検知することで、段階的な被装着体の動作が検知できる。
【0109】
一方、被装着体の動作により、装着部の伸縮部位の伸長が解除されると(つまり収縮すると)、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとの接触領域が少なくなる(
図13B)。さらに、収縮すると、ある伸長率に達した時点で、背職していた第一検知用配線部30Aの第一波状部32A1と第二検知用配線部30Bの波状部32Bとが離間する(
図13A参照)。つまり、抵抗値が段階的に増加する。
具体的には、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間が導通の状態で、抵抗値が低下し、その後、非導通の状態となる。
このように、収縮に伴う第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値の段階的な変化を検知することでも、段階的な被装着体の動作が検知できる。
【0110】
-第5の変形例-
配線電極部は、例えば、
図14Aに示す配線電極部105であってもよい。具体的には、
図14Aに示すように、配線電極部105は、検知用配線部30として、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとが一体的に設けられている。具体的には、例えば、検知用配線部30としての、第一検知用配線部30Aと第二検知用配線部30Bとは、第一電極部20Aおよび第二電極部20Bを構成する導電性線状体40が延在した一本の導電性線状体40で構成されている。
つまり、配線電極部105は、第一電極部20Aと第二電極部20Bとが、一つの検知用配線部30で電気的に連結されている。
なお、検知用配線部30は、複数本の導電性線状体40で構成されていてもよい。
【0111】
検知用配線部30の途中には、検知用配線部30が設けられた装着部の伸縮部位(以下、単に「装着部の伸縮部位」称する)の伸長前の状態で、検知用配線部30が180°に繰り返し屈曲又は湾曲し、かつ屈曲部又は湾曲部の間の検知用配線部30同士の少なくとも一部が接触した接触部34を有している。
つまり、検知用配線部30の途中には、装着部の伸縮部位の伸長前の状態で、導電性線状体40が180°に繰り返し屈曲又は湾曲し、かつ屈曲部又は湾曲部の間の導電性線状体40同士の少なくとも一部が接触した接触部34を有している。
【0112】
装着部の伸縮部位が、検知用配線部30の延在方向に沿って伸長すると、検知用配線部30の接触部34において、屈曲部又は湾曲部の間で接触した検知用配線部30同士が離間する(
図14B参照)。それにより、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの導通経路が長くなる。
【0113】
この動作により、装着部の伸縮部位が伸長したとき、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値が変化する。つまり、導通経路が増加した分、抵抗値が増加する。
そして、伸長に伴う第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値変化を検知することで、被装着体の動作が検知できる。
【0114】
一方、被装着体の動作により、装着部の伸縮部位の伸長が解除されると(つまり収縮すると)、検知用配線部30の途中において、検知用配線部30が180°に繰り返し屈曲又は湾曲し、かつ屈曲部又は湾曲部の間の検知用配線部30同士の少なくとも一部が接触した接触部34を形成する(
図14A参照)。
【0115】
この動作により、装着部の伸縮部位が収縮したとき、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値が変化する。つまり、導通経路が減少した分、抵抗値が低下する。
そして、収縮に伴う第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値変化を検知することでも、被装着体の動作が検知できる。
【0116】
なお、第5の変形例は、検知用配線部30の接触部における、検知用配線部30同士の接触面積の増減により、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値の変化量を制御できる。
【0117】
-第6の変形例-
電極配線部は、例えば、
図15に示す配線電極部106であってよい。つまり、検知用配線部が設けられた手袋状装着部の伸縮部位が、手袋状装着部の該当位置の表面に配置された態様であってもよい。
【0118】
具体的には、
図15で示すように、配線電極部106(電極部20、検知用配線部30および接続用配線部50)は、伸縮性布材60に設けられている。
伸縮性布材60は、表面を構成する表面布材層60Aと、裏面を構成する裏面布材層60Bと、表面布材層60A及び裏面布材層60Bの間に有する中間布材層60Cと、の3重(3層)の布材層で構成されている。なお、伸縮性布材60の構成は、手袋状装着部10を構成する布材と同様である。
【0119】
電極部20は、例えば、伸縮性布材60の表面布材層60Aに設けられている。
検知用配線部30は、例えば、伸縮性布材60の中間布材層60Cに設けられている。
接続用配線部50は、例えば、伸縮性布材60の中間布材層60Cに設けられている。
【0120】
そして、電極配線部106が設けられた伸縮性布材60は、縫う、接着等の周知の固定手段により、手袋状装着部10の該当位置の表面に配置されている。
【0121】
第6の変形例では、電極配線部106が設けられた伸縮性布材60を手袋状装着部10の該当位置の表面に配置するため、手袋状装着部10は、布材以外に、樹脂、紙、革等の周知の材質で構成できる。
【0122】
-第7の変形例-
電極配線部は、例えば、
図16に示す配線電極部107であってよい。つまり、検知用配線部が設けられた手袋状装着部の伸縮部位が、手袋状装着部の該当位置の表面に配置された態様であってもよい。
具体的には、
図16に示すように、電極部20としてボタン電極(スナップボタン等)が、縫う、接着等の周知の固定手段により、手袋状装着部10の該当位置の表面に配置されている。
電極部20としてのボタン電極は、配線を介して、通信モジュール202と接続されていてもよいし、通信モジュール202に直接接続されていてもよい。
【0123】
検知用配線部30は伸縮性布材70に設けられている。
伸縮性布材70は、表面を構成する表面布材層70Aと、裏面を構成する裏面布材層70Bと、表面布材層70A及び裏面布材層70Bの間に有する中間布材層70Cと、の3重(3層)の布材層で構成されている。なお、伸縮性布材70の構成は、手袋状装着部10を構成する布材と同様である。
そして、検知用配線部30が設けられた伸縮性布材70は、手袋状装着部10の表面に設けられている。
【0124】
接続用配線部50は、手袋状装着部10の表面に、電極部20と検知用配線部30とを接続して設けられている。また、接続用配線部50は、布材、樹脂材等の周知の絶縁シート72で被覆されている。
【0125】
第7の変形例でも、電極配線部107を手袋状装着部10の該当位置の表面に配置するため、手袋状装着部10は、布材以外に、樹脂、紙、革等の周知の材質で構成できる。
【0126】
(特性)
なお、被装着体の動作を検知するために、検知用配線部30が設けられた装着部の伸縮部位(以下、単に「装着部の伸縮部位」称する)は、伸長率の変化が±5%の範囲内で第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値が2倍以上又は1/2以下(好ましくは10倍以上又は1/10以下、より好ましくは100倍以上又は1/100以下)に変化する、伸長率の範囲を有することがよい(
図8~
図9参照)。つまり、装着部の伸縮部位は、伸長する過程で、伸長率が10%変化する間に第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値が2倍以上又は1/2以下で変化することがよい。
具体的には、装着部の伸縮部位の最大伸長率をX(ただし10≦X)、装着部の伸縮部位を伸長させたときの、ある地点の伸長率をY(ただし、5≦Y≦(X-5)としたとき、Y-5%~Y+5%の範囲内で、最大抵抗値が最小抵抗値の2倍以上又は1/2以下(好ましは10倍以上又は1/10以下、より好ましくは100倍以上又は1/100以下)となる領域を有することがよい。
この抵抗値変化は、伸長率が目的とする時点と、この時点から伸長率が10%変化した時点と、の抵抗値の比により算出する。
なお、伸長率の変化が±5%の範囲内で第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値が2倍以上又は1/2以下に変化する、伸長率の範囲は、2点以上存在してもよい。
また、伸長率の変化が±5%の範囲内で第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値が2倍以上又は1/2以下に変化する、伸長率と最大伸長率との比(伸長率/最大伸長率)の範囲は、0.1~0.9(好ましくは0.2~0.8)の範囲であることがよい。この比が上記範囲であると、誤動作を防ぎつつ、効率良く、被装着体の動作が検知できる。
【0127】
装着部の伸縮部位の伸縮に伴う、第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値の変化は、次の通り測定される。
第一電極部20Aと第二電極部20Bとの間の抵抗値を測定しながら、速度1mm/sで、装着部の伸縮部位を最大伸長まで伸長させた後、同じ速度で元に戻るまで収縮させる。このとき、抵抗値を1秒毎にプロットとして、抵抗値の変化を測定する。なお、装着部の伸縮部位の伸長方向は、伸長伸縮による抵抗値の変化を検知したい方向とする。
【0128】
ここで、装着部の伸縮部位の伸長率は、式:((伸長時の伸長方向の長さ)-(伸長前の伸長方向の長さ))/(伸長前の伸長方向の長さ)×100で算出する。
一方、装着部の伸縮部位の最大伸長率とは、式:((最大伸長時の伸長方向の長さ)-(伸長前の伸長方向の長さ))/(伸長前の伸長方向の長さ)×100で算出する。
なお、装着部の伸縮部位の最大伸長は、装着部の伸縮部位を適切な張力で伸長した際に、それ以上伸びなくなる時の長さである。つまり、装着部の伸縮部位を伸長が停止する張力で伸長させたときの長さを、装着部の伸縮部位の最大伸長とする。
【0129】
(動作検知用部材(その装着部)の形状など)
本実施形態に係る動作検知用部材において、装着部の形状は、手袋状に限られず、目的に応じて、筒状、シート状、帯状等の種々の形状であってもよい。
筒状の装着部としては、サポーター、リストバンド等の形状が採用できる。
シート状の装着部としては、両端にファスナーを設けて、被着体に巻き付ける形式の、サポーター、リストバンド等の形状が採用できる。なお、シート状の装着部の場合、シート状の装着部を粘着剤によって、被装着体に貼り付ける態様でもよい。
帯状の装着部としては、サスペンダー等の形状が採用できる。
【0130】
なお、装着部の形状は、被装着体に装着する個所に応じて選択される。
ここで、被装着体に装着する個所としては、例えば、被装着体としての人体の、可動部(首部、手首部、肘部、肩部、膝部、腰部、足首部、足部等)が挙げられる。ただし、これに限られるわけではない。
【0131】
このように、本実施形態に係る動作検知用部材は、装着部の形状に応じて、被装着体における種々の個所に装着可能となる。
それにより、例えば、被装着体の可動部の動作(肘部、膝部等の可動部が所定の角度で可動した動作等)および、その可動回数等が検知可能となる。さらに、腕や腰まわりのサイズ測定も可能となる。また、複数計測による動き検知も可能となる(例えば、首部、手首部、肘部、肩部、膝部、腰部、足首部、足部等を複合して計測することで人の動きを予測検知可能となる。)
【0132】
(その他)
本実施形態に係る動作検知用部材は、検知用配線部30以外の周知のセンサ(例えば、接触型センサ等)を設けてもよい。検知用配線部30以外の周知のセンサを設けることで、動作のより高い検知が可能となる。
【0133】
2020年3月24日に出願された日本国特許出願2020-053218号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記載された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。