(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】ケラチンBD-3、その調製および医薬組成物および使用
(51)【国際特許分類】
C07K 14/47 20060101AFI20240828BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240828BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240828BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240828BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240828BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240828BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240828BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240828BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20240828BHJP
A61K 38/39 20060101ALI20240828BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240828BHJP
A61K 31/711 20060101ALI20240828BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240828BHJP
A61P 11/14 20060101ALI20240828BHJP
A61P 11/10 20060101ALI20240828BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20240828BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240828BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
C07K14/47 ZNA
C12N15/12
C12N15/63 Z
C07K19/00
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
A61K38/39
A61K48/00
A61K31/711
A61P29/00
A61P11/14
A61P11/10
A61P25/08
A61P9/12
A61P31/12
(21)【出願番号】P 2022525502
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(86)【国際出願番号】 CN2020124328
(87)【国際公開番号】W WO2021083192
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-06-28
(31)【優先権主張番号】201911028746.2
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518416551
【氏名又は名称】中国医学科学院薬物研究所
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF MATERIA MEDICA, CHINESE ACADEMY OF MEDICAL SCIENCES
【住所又は居所原語表記】ZHANG XUBIN, NO.A2, NAN WEI ROAD, XICHENG DISTRICT, BEIJING 100050, PEOPLE’S REPUBLIC OF CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】ユー シーシャン
(72)【発明者】
【氏名】王 暁良
(72)【発明者】
【氏名】屈 晶
(72)【発明者】
【氏名】符 江
(72)【発明者】
【氏名】王 玲
(72)【発明者】
【氏名】蔡 杰
(72)【発明者】
【氏名】李 密
(72)【発明者】
【氏名】馮 楠
(72)【発明者】
【氏名】史 国茹
【審査官】斉藤 貴子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05994081(US,A)
【文献】中国特許出願公開第1324859(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109078023(CN,A)
【文献】keratin, type I cuticular Ha3-I [Bos taurus],GENBANK, Accession No. NP_001076993.1,2019年10月27日
【文献】TPA: keratin 33A [Bos taurus],GENBANK, Accession No. DAA18489.1,2010年05月21日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C07K
A61K
A61P
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチンBD-3のアミノ酸配列が、
(1)配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列
であることを特徴とする、解熱、鎮痛、鎮咳、去痰、抗痙攣、抗癲癇、血圧降下、抗炎症、または抗ウイルス用の医薬の調製におけるケラチンBD-3の使用。
【請求項2】
前記ケラチンBD-3を従来のように修飾するか、または前記ケラチンBD-3に検出もしくは精製のためのラベルも付けられることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記従来の修飾には、アセチル化、アミド化、環化、グリコシル化、リン酸化、アルキル化、ビオチン化、蛍光基修飾、ポリエチレングリコールPEG修飾、固定化修飾、硫酸化、酸化、メチル化、脱アミノ化、ジスルフィド結合の形成またはジスルフィド結合の開裂が含まれ、前記ラベルには、His6、GST、EGFP、MBP、Nus、HA、IgG、FLAG、c-Myc、Profinity eXactが含まれる、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
請求項1に記載のケラチンBD-3をコードする、核酸分子の解熱、鎮痛、鎮咳、去痰、抗痙攣、抗癲癇、血圧降下、抗炎症、または抗ウイルス用の医薬の調製における使用。
【請求項5】
前記核酸分子のヌクレオチド配列が、
(1)配列表の配列番号2に示されるヌクレオチド配列;
または
(2)前記配列番号2に示されるヌクレオチド配列を基にした配列最適化によって得られるヌクレオチド配列;
のいずれかから選択される、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
請求項4~5のいずれか1項に記載の核酸分子を含有することを特徴とする、解熱、鎮痛、鎮咳、去痰、抗痙攣、抗癲癇、血圧降下、抗炎症、または抗ウイルス用の医薬の調製における発現ベクターの使用。
【請求項7】
宿主細胞が、請求項6に記載の発現ベクターを含有するか、または請求項4~5のいずれか1項に記載の核酸分子が前記宿主細胞のゲノムに組み込まれていることを特徴とする、解熱、鎮痛、鎮咳、去痰、抗痙攣、抗癲癇、血圧降下、抗炎症、または抗ウイルス用の医薬の調製における宿主細胞の使用。
【請求項8】
細菌、酵母、アスペルギルス、植物細胞、または昆虫細胞が含まれることを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記細菌には大腸菌が含まれることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
請求項1から3のいずれか1項に記載のケラチンBD-3と、医薬的に許容される担体または賦形剤とを含有することを特徴とする、解熱、鎮痛、鎮咳、去痰、抗痙攣、抗癲癇、血圧降下、抗炎症、または抗ウイルス用の医薬の調製における医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチンBD-3、ケラチンBD-3をコードする核酸分子、その核酸分子を含有する発現ベクター、その発現ベクターまたは核酸分子を組み込んだゲノムを含有する宿主細胞、ケラチンBD-3およびこのケラチンを含有する医薬組成物の調製方法に関する。さらに、前記ケラチンおよび前記医薬組成物は、解熱、鎮痛、鎮咳去痰、抗痙攣、抗癲癇、血圧降下、抗炎症、および抗ウイルス用の医薬の調製に使用される。
【背景技術】
【0002】
ケラチンはタンパク質の一種であり、ヒトおよび動物の表皮に広く見出され、毛髪、羽毛、蹄、殻、鉤爪、角などの主成分である。それは、結合組織のための極めて重要な構造タンパク質であり、体を保護する役割を果たしている。
【0003】
ケラチンは、生物に広く存在し、利用価値が大きい再生可能資源であるが、広く有効に使用されてはいない。その主な理由は、ケラチンが様々な溶媒に不溶性であること、およびケラチンが一般に他のタンパク質よりもプロテアーゼによる酵素加水分解に耐性があることである。したがって、天然のケラチンを抽出および調製することは非常に困難である。
【0004】
ゲノミクス、プロテオミクス、遺伝子工学、および微生物工学などの現代のバイオテクノロジーの急速な発展に伴って、ますます多くの遺伝子が発見されるようになっている。標的タンパク質を調製および生成するためのタンパク質発現系の使用は、遺伝子またはタンパク質の生物学的機能を研究するための重要な方法である。
【発明の概要】
【0005】
本発明によって解決される技術的課題は、ケラチンBD-3、ケラチンBD-3をコードする核酸分子、前記核酸分子を含有する発現ベクター、および前記発現ベクターまたは前記核酸分子を組み込んだゲノムを含有する宿主細胞、ならびにケラチンBD-3、ケラチンBD-3を含有する医薬組成物の調製方法を提供することであり、上述のケラチンBD-3、核酸分子、発現ベクター、宿主細胞、または医薬組成物は、解熱、鎮痛、および去痰における鎮咳の適用、抗痙攣、抗癲癇、血圧降下、抗炎症、ならびに抗ウイルス薬の調製に使用される。
【0006】
本発明の技術的課題を解決するために、本発明は、以下の技術的解決法を提供する:
本発明の技術的解決法の第1の態様は、ケラチンBD-3のアミノ酸配列が、
(1)配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列
(2)配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して、1~35個のアミノ酸の置換、欠失、または付加によって形成されて、同じ生物学的機能を基本的に維持するアミノ酸配列、
であることを特徴とする、ケラチンBD-3を提供することである。
【0007】
さらに、ケラチンBD-3には従来の修飾を施すことができるか、またはケラチンBD-3に検出もしくは精製のためのラベルを付けることができる。
【0008】
さらにまた、従来の修飾には、アセチル化、アミド化、環化、グリコシル化、リン酸化、アルキル化、ビオチン化、蛍光基修飾、ポリエチレングリコールPEG修飾、固定化修飾、硫酸化、酸化、メチル化、脱アミノ化、ジスルフィド結合の形成またはジスルフィド結合の開裂が含まれ、ラベルには、His6、GST、EGFP、MBP、Nus、HA、IgG、FLAG、c-Myc、Profinity eXactが含まれる。
【0009】
本発明の技術的解決法の第2の態様は、第1の態様のケラチンBD-3をコードする核酸分子を提供する。
【0010】
さらに、前記酸分子のヌクレオチド配列は、
(1)配列表の配列番号2に示されるヌクレオチド配列
(2)配列番号2に示されるヌクレオチド配列を基にした配列最適化によって得られるヌクレオチド配列
(3)上記(1)または(2)のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列
である。
【0011】
本発明の技術的解決法の第3の態様は、第2の態様に記載の核酸分子を含有することを特徴とする、発現ベクターを提供する。
【0012】
さらに、前記発現ベクターは、pETシリーズ、pUCシリーズ、pQEシリーズ、pBVシリーズ、pMALシリーズ、pPIC9、pPIC9K、pHIL-S1、pPICZα/A、pYAM75P、pHIL-D2、pA0815、pPIC3K、pPICZ、pHWO10、pGAPZ、pGAPZa、pPIC3.5Kなどであってもよく、好ましい発現ベクターはpETシリーズのベクターであり、最も好ましい発現ベクターはpET-28a(+)である。
【0013】
本発明の技術的解決法の第4の態様は、宿主細胞であって、その宿主細胞が第3の態様の発現ベクターを含有するか、または第2の態様の核酸分子がそのゲノムに組み込まれていることを特徴とする、宿主細胞を提供する。
【0014】
さらに、前記宿主細胞には、細菌、酵母、アスペルギルス(aspergillus)、植物細胞、または昆虫細胞が含まれる。
【0015】
さらにまた、前記細菌には、大腸菌(Escherichia coli)または酵母が含まれる。
【0016】
コンピテント宿主細胞は、BL21シリーズ、Transettaシリーズ、Rosettaシリーズ、DH5αシリーズ、JMシリーズ、Topシリーズ、Orgamiシリーズ、Trans1-T1、TG1、TB1;Y11430、MG1003、GS115(AOX1)、KM71、SMD1168などであってもよく、好ましい発現コンピテント細胞は、BL21(DE3)、Transetta(DE3)である。
【0017】
本発明の技術的解決法の第5の態様は、第1の態様のケラチンBD-3を調製するための方法であって、以下のステップ:
A.第1の態様に記載のケラチンBD-3に対応する核酸分子を合成し、該核酸分子を対応する発現ベクターに連結し、その発現ベクターを用いて宿主細胞を形質転換し、発酵装置内で発現ベクターを有する宿主細胞を特定の条件下で培養し、ケラチンBD-3の発現を誘導してケラチンBD-3を含有する粗タンパク質溶液を得るステップ;
B.ステップAで発現された粗タンパク質溶液を分離し、精製し、乾燥して、ケラチンBD-3を得るステップ;
を含むことを特徴とする方法を提供する。
【0018】
さらに、ステップAにおいて、宿主細胞は主に大腸菌から選択され、ケラチンBD-3は大腸菌封入体中に発現し、発酵装置は振盪機フラスコまたは発酵槽を含む。
【0019】
さらに、ステップAにおいて、ケラチンBD-3の発現を誘導した後、不純物を清浄剤で洗浄し、溶液に溶解させて粗タンパク質溶液を得ることができる。
【0020】
さらに、ステップAにおける培地は、LB培地、TB培地、SB培地、SOB培地、SOC培地、PDA培地、YPD培地、レッドベンガル(red bengal)培地、高塩濃度チャシ(high salt Chashi)培地、DOBA培地、米麹培地、およびそれらの改変配合物などであってもよく、振盪フラスコ発酵は、好ましくはLB培地、TB培地であり、最も好ましくはTB培地あり、発酵槽は、好ましくはLB培地およびその改変配合物である。
【0021】
さらに、ステップAにおける誘導物質は、IPTG、ラクトース、アラビノースなどであってもよく、好ましいのはIPTGおよびラクトースである。
【0022】
さらに、ステップAにおいて、得られた発酵ブロスを遠心分離し、次いで上清を捨てる。沈殿物を緩衝液に懸濁させ、細菌を破壊し、再び遠心分離し、上清を捨てる。沈殿物を洗浄剤で洗浄後、次いでそれを尿素溶液に溶解させてBD-3粗タンパク質溶液を得る。
【0023】
とりわけ、緩衝液は好ましくは緩衝液Aであり、その適用量は、発酵ブロス容量:緩衝液A容量=1~100:1、好ましくは10:1である。
【0024】
清浄剤は、尿素溶液、塩酸グアニジン溶液、triton、および緩衝液Aなど、好ましくは尿素溶液、最も好ましくは2M尿素溶液(1%Tritonを含有してもよい)であってもよい。適用量は、発酵ブロス容量:2M尿素容量=0.2~100:1、好ましくは1~15:1である。
【0025】
尿素溶液は、好ましくは8M尿素溶液であり、その適用量は、発酵ブロスの容量:8M尿素容量=0.2~100:1、好ましくは2~15:1である。
【0026】
さらに、ステップBにおいて、分離および精製方法には、限外ろ過・精密ろ過膜技術精製法、カラムクロマトグラフィー精製法、塩析法、および透析法が含まれる。
【0027】
さらに、ステップBにおいて、分離および精製方法は以下の通りである:
(1)透析法とは、ステップAで得られた粗タンパク質溶液を透析法によって精製して標的タンパク質BD-3溶液を得ることである。
【0028】
透析袋の分画分子量は0.5~10kDであってもよく、透析袋の好ましい分画分子量は3.5~10kDであり、透析袋の最も好ましい分画分子量は10kDである。
【0029】
(2)限外ろ過および精密ろ過法では、ステップAで得られた粗タンパク質溶液を限外ろ過膜または精密ろ過膜などの膜技術によって精製して標的タンパク質BD-3の濃縮溶液を得る。
【0030】
好ましくは、精密ろ過膜精製は2回実施し、1回目の膜孔径は1000~1500nmであり、2回目の膜孔径は20~50nmである。
【0031】
(3)カラムクロマトグラフィー法とは、ステップAで得られた粗タンパク質溶液を、様々な交換カラムまたは排除カラムクロマトグラフィーなどのカラムクロマトグラフィーに通して標的タンパク質BD-3を分離および精製することである。
【0032】
好ましい排除カラムは、デキストランゲルカラム、Superdex 30 Increase、Superdex 75 Increase、Superdex 200 Increase、およびSuperose 6 Increaseなどである。
【0033】
好ましい交換カラムは、イオン交換樹脂カラム:陰イオン交換樹脂カラム:HiTrap Q FF、HiTrap Capto Q ImpRes、Capto Q ImpRes、HiTrap Capto Q、HiTrap DEAE、Toyopearl Q-650M、およびToyopearl SuperQ-650Mなど;陽イオン交換樹脂カラム:HiTrap SP FF、HiTrap Capto SP ImpRes、Capto SP ImpRes、HiTrap Capto SP、Toyopearl SP-650M、およびToyopearl Super SP-650Mである。最も好ましいのは、陰イオン交換樹脂カラムである。
【0034】
溶離液として、水および塩類溶液などの当技術分野で汎用される溶離液を使用することができる。塩類溶液には、塩化ナトリウム溶液、リン酸二水素ナトリウム溶液、リン酸水素二ナトリウム溶液、酢酸ナトリウム、酢酸などが含まれる。
【0035】
(4)塩析法とは、ステップAで得られた粗タンパク質溶液を塩析法によって精製して標的タンパク質BD-3の懸濁液を得ることである。
【0036】
塩析剤は、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸マグネシウムなどであってもよい。好ましい塩析剤は、硫酸アンモニウムおよびその水溶液である。硫酸アンモニウムの飽和水溶液を添加して、硫酸アンモニウムの最終濃度が10~50%、好ましくは20~30%、より好ましくは25%に達するようにする。
【0037】
塩析の数は、1~3回、好ましくは2回である。
【0038】
塩析後、沈殿物を純水で洗浄し、洗浄回数は2~5回、好ましくは3回である。
【0039】
さらに、ステップBで精製された標的タンパク質BD-3溶液は、凍結乾燥または真空乾燥して乾燥粉末にすることも、または濃縮溶液を直接噴霧乾燥して乾燥粉末にすることもできる。
【0040】
本発明の技術的解決法の第6の態様は、第1の態様に記載のケラチンBD-3または第2の態様に記載の核酸分子または第3の態様の第1の発現ベクターまたは第4の態様の宿主細胞と、医薬的に許容される担体または賦形剤とを含有することを特徴とする、医薬組成物を提供する。
【0041】
本発明の上記ステップで得られるケラチンは、凍結乾燥または真空乾燥して乾燥粉末にすることも、または濃縮液体を直接噴霧乾燥して乾燥粉末にすることもでき、次いで様々な剤形に作製することができる。
【0042】
本発明は、上記ステップで得られる任意のケラチンと医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物に関する。
【0043】
本発明はまた、活性成分としての本発明のケラチンと従来の医薬賦形剤またはアジュバントとを含有する医薬組成物に関する。一般に、本発明のケラチンは、医薬組成物の総重量の0.1~100.0%を占める。
【0044】
本発明はまた、活性成分としての医薬的に有効な用量のタンパク質と医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0045】
本発明の医薬組成物は、当分野で認識される方法によって調製することができる。この目的に使用される場合、必要に応じて、本発明のタンパク質は、1種または複数の固体または液体の医薬賦形剤および/またはアジュバントと組み合わせて、ヒトまたは動物用の薬物形態として使用することができる適切な投与形態または投薬量を調製することができる。
【0046】
本発明のケラチンまたはそれを含有する医薬組成物は、単位剤形で投与することができる。投与経路は、経口投与、筋肉内、皮下、鼻腔、口腔粘膜、眼、肺、皮膚、膣、腹膜、および直腸など、経腸または非経口であってもよく、経口投与が好ましい。
【0047】
本発明のケラチンタンパク質またはそれを含有する医薬組成物は、注射によって投与することができる。注射には、静脈注射、筋肉内注射、皮下注射、皮内注射、腹腔内注射、およびツボへの注射などが含まれる。
【0048】
投与のための剤形は、液体剤形であっても、固体剤形であっても、または半固体剤形であってもよい。液体剤形は、液剤(真溶液およびコロイド溶液が含まれる)、乳剤(水中油型、油中水型、および複乳剤が含まれる)、懸濁剤、注射剤(水性注射剤、粉末注射剤、および輸液剤が含まれる)、点眼ローション剤、点鼻剤、ローション剤、およびリニメント剤などであってもよい。固体剤形は、錠剤(一般的な錠剤、腸溶錠、バッカル錠、分散性錠剤、チュアブル錠、発泡錠、口腔内崩壊錠が含まれる)、カプセル剤(硬カプセル剤、軟カプセル剤、および腸溶性カプセル剤が含まれる)、顆粒調製物、散剤、小丸剤、滴下丸剤、坐剤、フィルム剤、貼付剤、エア(粉末)スプレー剤、スプレー剤などであってもよく、半固体剤形は、軟膏剤、ゲル剤、ペースト剤などであってもよい。
【0049】
本発明のケラチンは、通常の調製物、持続放出調製物、放出制御調製物、標的調製物、および様々な粒子送達系に作製することができる。
【0050】
単位剤形を錠剤に作製するために、希釈剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、滑沢剤、および流動促進剤を含めた当技術分野で公知の様々な賦形剤を広く使用することができる。希釈剤は、デンプン、デキストリン、スクロース、グルコース、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、微結晶性セルロース、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウムなどであってもよく、湿潤剤は、水、エタノール、イソプロパノールなどであってもよく、結合剤は、水飴、デキストリン、シロップ、蜂蜜、グルコース溶液、微結晶性セルロース、アラビアゴムシロップ、ゼラチンシロップ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒプロメロースベースセルロース(hypromellose Base cellulose)、エチルセルロース、アクリル樹脂、カルボマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンジプロパノールなどであってもよく、崩壊剤は、乾燥デンプン、微結晶性セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよびラフター酸(rafter acid)、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、スルホン酸ドデシルナトリウムであってもよく、滑沢剤および流動促進剤は、タルク、二酸化ケイ素、ステアレート、酒石酸、流動パラフィン、ポリエチレングリコールなどであってもよい。
【0051】
錠剤は、糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶錠、または二層錠および多層錠などの
コーティング錠にさらに作製することもできる。
【0052】
投与単位を丸剤にするために、当分野で公知の様々な担体を広く使用することができる。担体の例は、例えば、希釈剤および吸収剤、例えば、グルコース、ラクトース、デンプン、カカオ脂、水添植物油、ポリビニルピロリドン、ラウリン酸ポリエチレングリコール、カオリン、タルクなど;結合剤、例えば、アラビアゴム、キサンタンガム、ゼラチン、エタノール、蜂蜜、液糖、米ペーストまたはバッターなど;崩壊剤、例えば、寒天粉末、乾燥デンプン、アルギネート、ラウリルスルホン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロースなどである。
【0053】
投与単位を坐剤にするために、当分野で公知の様々な担体を広く使用することができる。担体の例は、例えば、ポリエチレングリコール、レシチン、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル、ゼラチン、半合成グリセリドなどである。
【0054】
投薬単位をカプセル剤にするために、本発明の活性成分のケラチンは上述の様々な担体と混合され、得られた混合物は硬カプセルまたは軟カプセルに入れられる。本発明の活性成分のケラチンはまた、マイクロカプセルに作製して、水性媒体に懸濁させて懸濁剤を形成させるか、または硬カプセル中に充填するか、または注射剤にして適用することができる。
【0055】
例えば、本発明のケラチンは、注射調製物、例えば、液剤、懸濁液剤、乳剤、および凍結乾燥粉末注射剤に調製される。そのような調製物は、水性であっても非水性であってもよく、1種および/または複数の薬力学的に許容される担体、希釈剤、結合剤、滑沢剤、保存剤、界面活性剤、または分散剤を含有してもよい。例えば、希釈剤は、水、エタノール、ポリエチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどから選択されてもよい。加えて、等張性注射剤を調製するために、適切な量の塩化ナトリウム、グルコース、またはグリセリンを注射調製物に添加することができる。加えて、従来の可溶化剤、緩衝剤、pH調整剤なども添加することができる。これらの補助材料は、当分野で汎用されている。
【0056】
加えて、必要に応じて、着色剤、保存剤、香味剤、香味剤、甘味剤、または他の材料も医薬製剤に添加することができる。
【0057】
薬物療法の目的を達成し、治療効果を強化するために、本発明のケラチンまたは医薬組成物は、任意の公知の投与方法で投与することができる。
【0058】
本発明のケラチン医薬組成物の投薬量は、予防または治療しようとする疾患の性質および重症度、患者または動物の性別、年齢、体重、性格、および個々の応答、投与経路、投与回数、ならびに治療の目的などの多くの因子に依存するため、本発明の治療用量は広範囲な変動を有し得る。一般的に言えば、本発明の医薬成分の投薬量は、当業者には周知である。治療的有効量の要件を満たし、本発明の予防または治療目的を果たすように、本発明のケラチン組成物における最終調製物に含有される薬物の実際の量に従って適切な調整を行うことができる。本発明のケラチンの適切な1日の投薬量範囲:本発明のケラチンの投薬量は、0.01~500mg/kg体重である。それは、好ましくは0.5~100mg/kg体重、より好ましくは1~50mg/kg体重、最も好ましくは2~30mg/kg体重である。上の投薬量は、投与する医師の臨床経験および他の治療の使用を含めた投薬レジメンに応じて、単一剤形で、または2つ、3つ、もしくは4つなどの幾つかの剤形に分けて投与することができる。各治療に必要とされる総用量は、複数回用量に分けても、または単回用量でもよい。本発明のタンパク質または医薬組成物は、単独で摂取することも、または他の治療薬もしくは対症療法薬と組み合わせて使用し、用量を調節することもできる。
【0059】
本発明の技術的解決法の第7の態様は、解熱、鎮痛、鎮咳、去痰、抗痙攣、抗癲癇、血圧降下、抗炎症、または抗ウイルス用の医薬の調製における、第1の態様によるケラチンBD-3または第2の態様による核酸分子または第3の態様による発現ベクターまたは第4の態様による宿主細胞または第6の態様による医薬組成物の使用を提供する。
【0060】
本発明の目的を果たすために、本発明は、以下の技術的解決法をとる。具体的には、本発明のケラチンBD-3の調製は、以下のステップを含む:
(1)ヌクレオチド配列を合成し、配列の精度を判定する;
好ましいヌクレオチド配列は、配列番号2に示される。
【0061】
(2)前記ヌクレオチド配列を発現ベクターに移入する;
前記発現ベクターは、pETシリーズ、pUCシリーズ、pQEシリーズ、pBVシリーズ、pMALシリーズ、pPIC9K、pHIL-S1、pPICZα/A、pYAM75P、pHIL-D2、pA0815、pPIC3K、pPICZ、pHWO10、pGAPZ、pGAPZa、pPIC3.5Kなどであってもよい。好ましい発現ベクターはpETシリーズベクターであり、最も好ましい発現ベクターはpET-28a(+)である。
【0062】
(3)発現ベクターを宿主細胞内へトランスフェクトする;
宿主細胞は、大腸菌または酵母であってもよく、好ましい宿主細胞は大腸菌である。
コンピテント細胞は、BL21シリーズ、Transettaシリーズ、Rosettaシリーズ、DH5αシリーズ、JMシリーズ、Topシリーズ、Orgamiシリーズ、Trans1-T1、TG1、TB1;Y11430、MG1003、GS115(AOX1)、KM71、SMD1168などであってもよい。好ましい発現コンピテント細胞は、BL21(DE3)およびtransetta(DE3)である。
【0063】
(4)前記宿主細胞を適切な条件下で発酵培養して標的タンパク質BD-3の発現を誘導する;
【0064】
発酵装置は、振盪フラスコまたは発酵タンクを使用することができる。
【0065】
培地は、LB培地、TB培地、SB培地、SOB培地、SOC培地、PDA培地、YPD培地、レッドベンガル培地、高塩濃度チャシ培地、DOBA培地、米麹培地、およびそれらの改良配合物などであってもよく、振盪フラスコ発酵は、好ましくはLB培地、TB培地、最も好ましくはTB培地であり、発酵槽は、好ましくはLB培地およびその改良配合物である。
【0066】
誘導物質は、IPTG、ラクトース、アラビノースなどであってもよく、好ましいのはIPTGおよびラクトースである。
【0067】
(5)標的タンパク質BD-3生成物の濃縮;
ステップ(4)で得られた発酵ブロスを遠心分離し、上清を捨てる。沈殿物を緩衝液に懸濁させ、細菌を破壊し、再び遠心分離し、上清を捨てる。沈殿物を洗浄剤で洗浄後、次いでそれを尿素溶液に溶解させてBD-3粗タンパク質溶液を得る。
【0068】
とりわけ、緩衝液は好ましくは緩衝液Aであり、その適用量は、発酵ブロス容量:緩衝液A容量=1~100:1、好ましくは10:1である。
【0069】
清浄剤は、尿素溶液、塩酸グアニジン溶液、Triton、緩衝液Aなど、好ましくは尿素溶液、最も好ましくは2M尿素溶液(1%Tritonを含有してもよい)であってもよい。適用量は、発酵ブロス容量:2M尿素容量=0.2~100:1、好ましくは1~15:1である。
【0070】
尿素溶液は、好ましくは8M尿素溶液である。その適用量は、発酵ブロスの容量:8M尿素容量=0.2~100:1、好ましくは2~15:1である。
【0071】
(6)標的タンパク質BD-3の分離および精製
ステップ(5)で得られた粗タンパク質溶液は、標的タンパク質BD-3を得るために精製することが必要である。精製は、透析、または限外ろ過および精密ろ過、またはカラムクロマトグラフィー、または塩析ステップによって行うことができる。
【0072】
A.透析ステップでは、ステップ(5)で得られた粗タンパク質溶液を透析法によって精製して標的タンパク質BD-3溶液を得る。
【0073】
透析袋の分画分子量は0.5~10kDであってもよく、透析袋の好ましい分画分子量は3.5~10kDであり、透析袋の最も好ましい分画分子量は10kDである。
【0074】
B.限外ろ過および精密ろ過ステップでは、ステップ(5)で得られた粗タンパク質溶液を限外ろ過膜または精密ろ過膜などの膜技術によって精製して標的タンパク質BD-3の濃縮溶液を得る。
【0075】
好ましくは、精密ろ過膜精製は2回実施する。1回目の膜孔径は1000~1500nmであり、2回目の膜孔径は20~50nmである。
【0076】
C.カラムクロマトグラフィーステップでは、ステップ(5)で得られた粗タンパク質溶液を、様々な交換カラムまたは排除カラムクロマトグラフィーなどのカラムクロマトグラフィーに通して標的タンパク質BD-3を分離および精製する。
【0077】
好ましい排除カラムは、デキストランゲルカラム、Superdex 30 Increase、Superdex 75 Increase、Superdex 200 Increase、Superose 6 Increaseなどである。好ましい交換カラムは、イオン交換樹脂カラム:陰イオン交換樹脂カラム、HiTrap Q FF、HiTrap Capto Q ImpRes、Capto Q ImpRes、HiTrap Capto Q、HiTrap DEAE、Toyopearl Q-650M、Toyopearl SuperQ-650Mなど;陽イオン交換樹脂カラム、HiTrap SP FF、HiTrap Capto SP ImpRes、Capto SP ImpRes、HiTrap Capto SP、Toyopearl SP-650M、Toyopearl Super SP-650Mである。最も好ましいのは、陰イオン交換樹脂カラムである。
【0078】
溶離液として、水、塩類溶液などの当技術分野で汎用される溶離液を使用することができ、塩類溶液には、塩化ナトリウム溶液、リン酸二水素ナトリウム溶液、リン酸水素二ナトリウム溶液、酢酸ナトリウム、酢酸などが含まれる。
【0079】
D.塩析ステップとは、ステップ(5)で得られた粗タンパク質溶液を塩析法によって精製して標的タンパク質BD-3の懸濁液を得ることである。
【0080】
塩析剤は、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸マグネシウムなどであってもよい。好ましい塩析剤は、硫酸アンモニウムおよびその水溶液である。硫酸アンモニウムの飽和水溶液を添加して、硫酸アンモニウムの最終濃度が10~50%、好ましくは20~30%、より好ましくは25%に達するようにする。
【0081】
塩析の数は、1~3回、好ましくは2回である。
【0082】
塩析後、沈殿物を純水で洗浄し、洗浄回数は2~5回、好ましくは3回である。
【0083】
ステップA~Dで精製された標的タンパク質BD-3溶液は、凍結乾燥または真空乾燥して乾燥粉末にすることも、または濃縮溶液を直接噴霧乾燥して乾燥粉末にすることもできる。
【0084】
本発明の有益な技術的効果:
1.本発明のタンパク質は、初めて得られるケラチンであり、本発明の調製方法は、高収率および高試料純度という特徴を有する。
【0085】
2.本発明において、リポ多糖類(LPS)誘発熱モデルに対するタンパク質BD-3のSD-3の薬物動態試験により、タンパク質BD-3は、モデリング後2時間及び4時間で体温上昇を減少させる効果が大きいことが判明した蛋白質BD-3のSD-3モデルによる薬物動態試験により、タンパク質BD-3は、2時間後、4時間後に体温上昇を有意に抑制し、効果が強いことが判明した。
【0086】
3.本発明において、ピロカルピン(PLO)によりそれぞれ誘導されたマウスにおける痙攣および癲癇に対するタンパク質BD-3の薬力学的試験研究から、タンパク質BD-3がマウスにおけるクラスIIIおよびクラスIVの癲癇の潜伏期間を大幅に延ばすことができることが証明された。
【0087】
4.本発明によって、マウスにおけるフェノールレッド排出法に対するタンパク質BD-3の薬力学的試験研究を通して、タンパク質BD-3が明らかな去痰効果を有することが証明される。
【0088】
5.本発明において、マウスにおけるアンモニア水による咳の誘導方法の抗腫瘍効果に関するタンパク質BD-3の薬力学的研究は、タンパク質BD-3が有意に潜伏期間を延長して、咳の数をかなり減らすことができて、有意な鎮痛効果を持つことを証明する。
【0089】
6.本発明によって、ICRマウスにおける酢酸ライジング(writhing)反応に対するタンパク質BD-3の薬力学的試験研究を通して、タンパク質BD-3が、マウスのライジング反応の回数を大幅に低下させることができ、大幅な鎮痛効果を有することが証明される。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【
図1】還元SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)による発現タンパク質BD-3の分析を示す図である。(M:タンパク質分子量標準;S:発現タンパク質)
【
図2】ラットにおけるリポ多糖類(LPS)誘導発熱モデルに対するタンパク質BD-3の効果を示す図である。(正常な対照群と比較して、
*** P<0.001;モデル群と比較して、## P<0.01,### P<0.001)
【
図3】ラットにおける酵母誘導発熱に対するタンパク質BD-3の効果を示す図である。(正常な対照群と比較して、
*** P<0.001;モデル群と比較して、## P<0.01、### P<0.001)
【実施例】
【0091】
詳細な実施形態
以下の実施例および薬理活性試験例を使用して本発明をさらに説明するが、これは本発明を何ら限定することを意味するものではない。
【0092】
以下の実施例および薬理活性試験例における実験法は、別段の指定がない限り、従来の方法であり、使用する実験材料は、別段の指定がない限り、従来の生化学的試薬会社から購入する。
【0093】
実施例1 タンパク質BD-3の粗溶液Aを調製するための振盪フラスコ発酵(TB培地)
配列番号2に示すヌクレオチド配列を合成し、それをpET-28a(+)ベクターに移入する。配列を確認して正しい配列を含有する発現ベクターを得る。発現ベクターをBL21(DE3)細胞にトランスフェクトし、標的ヌクレオチド配列を含有する発現コンピテント宿主細胞を得る。LB培地を添加し、37℃および220rpmで1時間、振盪機内でインキュベートして組換え株を得る。
【0094】
カナマイシンを含有するLBAプレートに組換え株を浸し、プレートを逆さまにして37℃の一定温度のインキュベーター内で一晩16時間置く。
【0095】
400mlのTB培地を2本の瓶に分け、各瓶を200mlとする。
【0096】
カナマイシン(最終濃度50μg/ml)を各瓶(200ml)のTB培地に添加する。プレート上の単一コロニーを採取し、それをTB培地に添加する。37℃および220rpmで一晩、振盪機内で増幅および培養してシード液を得る。
【0097】
28.8LのTB培地を144本の瓶に分け、各瓶を200mlとする。カナマイシン(最終濃度50μg/ml)を各瓶(200ml)のTB培地に添加し、次いで2mlのシード溶液を添加し、37℃および220rpmで2~3時間振盪機内でインキュベートする。OD600をモニタリングし、OD600が約1.0に達したとき、誘導物質を添加して振盪機内でタンパク質の発現を誘導する。誘導条件は、以下の表から選択する。
【0098】
【0099】
各瓶の菌液を合わせ、7000rpmで5分間遠心分離し、滅菌後の上清を捨てる。沈殿物を約3Lの緩衝液に懸濁させ、80~100メッシュのスクリーンでろ過し、高圧破砕機でろ液を800~1000barの圧力で2回、各回2分ずつ粉砕する。破壊された菌液を7000rpmで30分間遠心分離し、上清を捨て、沈殿物(すなわち封入体)を得る。ペレットを1Lの洗浄剤で2回洗浄し、遠心分離し、上清を捨てた。沈殿物を尿素溶液に4回、それぞれ、800ml、600ml、400ml、および400mlに溶解させた。4つの溶液を合わせ、7000rpmで30分間遠心分離した。沈殿物を捨て、上清が粗タンパク質溶液Aであった。
【0100】
【0101】
タンパク質BD-3の粗溶液Aを還元SDS-PAGEによって分析した。分離ゲル濃度は12.5%であり、次いでクマシーブリリアントブルーR250法で染色した。はっきりした青色のバンドが分子量43kDの近くに示される。
【0102】
実施例2 タンパク質BD-3の粗溶液Bを調製するための振盪フラスコ発酵(他の培地)
実施例1において、配列番号2に示す配列を含有する発現ベクターを合成し、配列決定してそれが得られたことを確認した。発現ベクターをTransetta(DE3)細胞に形質移入して、標的ヌクレオチド配列を含有する発現コンピテント宿主細胞を得る。
【0103】
20mlのLB培地を用意し、800μlを取り、標的コード配列を含有する50μlの宿主細胞を添加し、37℃および220rpmで1時間、振盪機内でインキュベートする。
【0104】
カナマイシンを含有するLBAプレートに上の菌液を浸し、それを画線し、プレートを逆さまにして37℃の一定温度のインキュベーター内で一晩16時間置く。
【0105】
10mlのLB培地を取り、カナマイシン(最終濃度50μg/ml)を添加し、プレート上の単一コロニーを採取し、それをLB培地に添加する。一晩、37℃および220rpmで15時間、振盪機内で増幅および培養してシード液を得る。
【0106】
以下の表に示す1Lの培地を10本の瓶に分け、各々100mlとする。カナマイシン(最終濃度50μg/ml)を各瓶(100ml)の培地に添加し、次いで1mlのシード溶液を添加する。37℃および220rpmで2~3時間振盪機内でインキュベートする。OD600をモニタリングし、OD600が約1.0に達したとき、誘導物質IPTG(最終濃度0.5mM)を添加する。振盪機内でタンパク質の発現を37℃および220rpmで誘導する。
【0107】
【0108】
各瓶の菌液を合わせ、10000rpmで10分間遠心分離し、滅菌後の上清を捨てる。沈殿物を約100mLの緩衝液に懸濁させ、80~100メッシュのスクリーンでろ過し、高圧破砕機でろ液を800~1000barの圧力で2回、各回2分ずつ粉砕する。破壊された菌液を10000rpmで30分間遠心分離し、上清を捨てる。
【0109】
40mLの清浄剤緩衝液Aを沈殿物に3回添加し、遠心分離し、上清を捨てる。40mLの洗浄剤2M尿素溶液を沈殿物に添加して2回洗浄し、遠心分離し、上清を捨てる。次いで沈殿物を8M尿素溶液(50mM Tris/HCl緩衝液を含有する)に添加して、3回、それぞれ40ml、30ml、30mlに溶解させる。合わせた溶液を7000rpmで30分間遠心分離し、沈殿物を捨てた。上清が粗タンパク質溶液Bであった。
【0110】
タンパク質BD-3の粗溶液Bを還元SDS-PAGEによって分析した。分離ゲル濃度は12.5%であり、次いでクマシーブリリアントブルーR250法で染色した。はっきりした青色のバンドが分子量43kDの近くに示される。
【0111】
実施例3 発酵槽での粗タンパク質BD-3溶液Cの調製
実施例1において、配列番号2に示す配列を含有する発現ベクターを合成し、配列決定してそれが得られたことを確認した。発現ベクターをBL21(DE3)細胞に形質移入して、標的ヌクレオチド配列を含有する発現コンピテント宿主細胞を得る。LB培地を添加し、37℃および220rpmで1時間、振盪機内でインキュベートして組換え株を得る。
【0112】
カナマイシンを含有するLBAプレートに100μlの組換え株を添加し、均等に乾燥するまでスプレッダーで広げ、プレートを逆さまにして37℃の一定温度のインキュベーター内に置いて一晩培養する。3つの単一コロニーを採取し、カナマイシンを含有するプレート上にそれらを画線し、次いでプレートを一晩培養する。3つのバッチの振盪フラスコ発酵および発現の検証が正しく行われたことが確認された後、菌株を15%グリセロールで保存し、各々0.8mlに分けてワーキングセルバンクを得、後で使用するためにそれを-80℃の冷凍庫で保管する。
【0113】
ワーキングセルバンクから1つのグリセロール細菌を取り出し、100μl取り、40mlのLB培地を添加し、カナマイシン(最終濃度50μg/ml)を添加し、37℃および220rpmで6時間、振盪機内でインキュベートして第1レベルのシード溶液を得る。
【0114】
1.2mlの第1レベルのシード溶液を取り、それを120mlのLB培地に添加し、カナマイシン(最終濃度50μg/ml)を添加し、次いで37℃および220rpmで6時間、振盪機内でインキュベートして第1レベルのシード溶液を得る。
【0115】
1.2mlの第1レベルのシード溶液を取り、120mlのLB培地を添加し、カナマイシン(最終濃度50μg/ml)を添加し、次いで37℃および220rpmで7時間、振盪機内でインキュベートして第2レベルのシード溶液を得る。
【0116】
3Lの改変LBブロスを5Lの発酵槽に添加し、次いで120mlの二次シード溶液、3mlのカナマイシン(最終濃度50μg/ml)を添加し、およそ37℃および30%の溶存酸素(連続速度)で8時間培養する。
【0117】
20付近のOD値をモニタリングし、3gのラクトースを誘導物質とする。誘導は20℃で実施し、30ml/時の速度で供給し、20℃で24時間インキュベートした。
【0118】
菌溶液を7000rpmで5分間遠心分離し、滅菌後の上清を捨てる。沈殿物を約200mLの緩衝液Aに懸濁させ、80~100メッシュのスクリーンでろ過し、高圧破砕機でろ液を800~1000barの圧力で2回、各回2分ずつ粉砕する。破壊された菌液を7000rpmで30分間遠心分離し、上清を捨てる。
【0119】
2M尿素溶液(1%Tritonを含む)を沈殿物に添加し、各回1Lずつ2回洗浄する。次いで1Lの2M尿素溶液を添加して1回洗浄し、遠心分離し、上清を捨てる。
【0120】
次いで沈殿物を8M尿素溶液(50mM Tris/HCl緩衝液を含有する)に添加して4回、それぞれ400ml、300ml、200ml、100mlに溶解させる。4つの溶液を合わせ、7000rpmで30分間遠心分離し、沈殿物を捨てた。上清が粗タンパク質溶液Cであった。
【0121】
タンパク質BD-3の粗溶液Cを還元SDS-PAGEによって分析した。分離ゲル濃度は12.5%であり、次いでクマシーブリリアントブルーR250法で染色した。はっきりした青色のバンドが分子量43kDの近くに示される。
【0122】
実施例4 透析によってタンパク質粗溶液Aを調製してタンパク質BD-3を得た。
実施例1で得られた粗蛋白質溶液Aを0.45μmのLフィルター膜で濾過し、濾液を組み合わせた。濾液を10kDの分子量カットオフで透析バッグ水で透析し、72時間透析し、内部液体を凍結乾燥して標的タンパク質BD-3を得た電気泳動で測定した純度は96.5%であった。
【0123】
タンパク質BD-3の構造の確認:
1、還元SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)分析
機器:タンパク質電気泳動(Bio-Rad)。
方法および結果:タンパク質BD-3溶液を還元SDS-PAGEによって分析し、分離ゲル濃度は12.5%であり、それをクマシーブリリアントブルーR250法で染色した。BD-3バンドの分子量は43kD付近である。
【0124】
2、LC-MS/MSに基づいた全タンパク質配列分析
主な材料:アセトニトリル、ギ酸、炭酸水素アンモニウム、ジチオスレイトール(DTT)、ヨードアセトアミド(IAA)、トリプシン、キモトリプシン、Glu-C、Asp-N。
主な機器:Capillary High Performance Liquid Chromatograph(Thermo Ultimate 3000)、Electrospray-Combined Ion Trap Orbitrap Mass
Spectrometer(Thermo Q Exative Hybrid Quadrupole-Orbitrap Mass Spectrometer)。
【0125】
方法および結果:
タンパク質BD-3に溶解置換、還元的アルキル化、および様々なタンパク質分解などの事前処理を行って、酵素によって切断されたペプチドを得る。制限消化ペプチド溶液を液体クロマトグラフィータンデム質量分析によって分析する。Maxquant(1.6.2.10)を使用してオリジナルの質量分析ファイルのタンパク質データベース分析データを検索する。同定結果は目配列番号1と一致していることを確認した。
【0126】
実施例5 蛋白質粗溶液Aは他の方法で精製されて蛋白質BD-3を調製する
実施例1で得られた粗タンパク質溶液Aを以下の2つの方法によって精製した。
【0127】
第1の方法:塩析;
粗タンパク質溶液Aを2回の塩析のために撹拌容器に入れる:飽和硫酸アンモニウム溶液を壁に沿ってゆっくりと添加して硫酸アンモニウムの最終濃度を25%または50%にする。塩析プロセスの間に、該タンパク質が析出する。塩析の完了後に、ろ過して1回目の塩析を完了させる。400mlの純水を沈殿物に添加して懸濁させ、次いで硫酸アンモニウムの飽和溶液を壁に沿ってゆっくりと添加して硫酸アンモニウムの最終濃度を25%にする。2回目の塩析、ろ過を行うと、沈殿物は粗タンパク質抽出物となる。粗タンパク質抽出物を水で3回洗浄した:200mlの純水を添加して懸濁させ、撹拌し、放置し、ろ過する。これを3回繰り返した後、沈殿物を凍結乾燥して標的タンパク質BD-3を得る。
【0128】
第2の方法:カラムクロマトグラフィー;
粗タンパク質溶液Aを、陰イオン交換樹脂カラム、例えば、HiTrap Q FF 16/10、HiTrap Capto Q ImpRes、Capto Q ImpRes、HiTrap Capto Q、HiTrap DEAEなどによって精製する。溶離液は、NaCl溶液に20mM NaH2PO4/Na2HPO4緩衝液(pH8.0)を追加した勾配溶離である。SDS-PAGE電気泳動検出の結果に従って溶出画分を合わせる。合わせた溶出液を7000rpmで2回、各回1時間ずつ遠心分離した。上清を0.45μmのフィルター膜でろ過し、ろ液を合わせた。ろ液を水での透析によって濃縮し、透析袋の分画分子量は10kDであり、内側の液体を凍結乾燥して標的タンパク質BD-3を得る。
【0129】
2つの方法によって得られた生成物タンパク質BD-3は、実施例4の方法と同じ構造確認法を通して、実施例4で調製したタンパク質と同じアミノ酸配列を有することが確認された。
【0130】
実施例6 タンパク質粗溶液Bを精製してタンパク質BD-3を調製する
実施例2で得られた粗タンパク質溶液Bを以下の3つの方法によって精製した:
第1の方法:透析;
粗タンパク質溶液Bを0.45μmの膜でろ過し、ろ液を水で透析し、72時間より長く透析し、内側の溶液を凍結乾燥して標的タンパク質BD-3を得る。
【0131】
【0132】
第2の方法:カラムクロマトグラフィー;
粗タンパク質溶液Bを、陰イオン交換樹脂カラム、例えば、HiTrap Q FF 16/10、HiTrap Capto Q ImpRes、Capto Q ImpRes、HiTrap Capto Q、HiTrap DEAEなどによって精製する。溶離液は、NaCl溶液に20mM NaH2PO4/Na2HPO4緩衝液(pH8.0)を追加した勾配溶離である。SDS-PAGE電気泳動検出の結果に従って溶出画分を合わせる。合わせた溶出液を7000rpmで2回、各回1時間ずつ遠心分離した。上清を0.45μmのフィルター膜でろ過し、ろ液を合わせた。ろ液を水での透析によって濃縮し、透析袋の分画分子量は10kDであり、内側の液体を凍結乾燥して標的タンパク質BD-3を得る。
【0133】
第3の方法:塩析;
粗タンパク質溶液Bを2回の塩析のために撹拌容器に入れる:飽和硫酸アンモニウム溶
液を壁に沿ってゆっくりと添加して硫酸アンモニウムの最終濃度を25%または50%にする。塩析プロセスの間に、該タンパク質が析出する。塩析の完了後に、ろ過して1回目の塩析を完了させる。400mlの純水を沈殿物に添加して懸濁させ、次いで硫酸アンモニウムの飽和溶液を壁に沿ってゆっくりと添加して硫酸アンモニウムの最終濃度を25%にする。2回目の塩析、ろ過を行うと、沈殿物は粗タンパク質抽出物となる。粗タンパク質抽出物を水で3回洗浄した:200mlの純水を添加して懸濁させ、撹拌し、放置し、ろ過する。これを3回繰り返した後、沈殿物を凍結乾燥して標的タンパク質BD-3を得る。
【0134】
3つの方法によって得られた生成物タンパク質BD-3は、実施例4の方法と同じ構造確認法を通して、実施例4で調製したタンパク質と同じアミノ酸配列を有することが確認された。
【0135】
実施例7 蛋白質BD-3は粗蛋白質溶液C
実施例3で得られた粗蛋白質溶液Cを以下の2つの方法で精製した。
第1の方法:精密濾過膜技術;
粗蛋白質溶液Cは、精密濾過膜技術によって精製される。まず、固液分離用の1500nmまたは1000nmのセラミック膜コアを用いる内部の液体を捨てて、それから、尿素を除去するために繰り返された精密濾過のために20nmまたは50nmのセラミック膜芯を使い;第2の精密濾過の内部液体は凍結乾燥され、標的タンパク質BD-3を得る。
第2の方法:塩抜き;
粗蛋白質溶液Bは、2つの塩抜きのための攪拌容器に置かれる:飽和硫酸アンモニウム溶液を壁に沿ってゆっくりと添加して硫酸アンモニウムの最終濃度を25%または50%にする。塩析プロセスの間に、該タンパク質が析出する。塩析の完了後に、ろ過して1回目の塩析を完了させる。400mlの純水を沈殿物に添加して懸濁させ、次いで硫酸アンモニウムの飽和溶液を壁に沿ってゆっくりと添加して硫酸アンモニウムの最終濃度を25%にする。2回目の塩析、ろ過を行うと、沈殿物は粗タンパク質抽出物になる。粗タンパク質抽出物を水で3回洗浄した:200mlの純水を添加して懸濁させ、撹拌し、放置し、ろ過する。これを3回繰り返した後、沈殿物を凍結乾燥して標的タンパク質BD-3を得る。
【0136】
2つの方法で得られた製品タンパク質BD-3は、実施例4と同様の構造確認方法により、実施例4で調製したタンパク質と同じアミノ酸配列を確認した。
【0137】
薬理学的試験
実験例1SDラットにおけるリポ多糖類(LPS)誘発熱に対する蛋白質BD-3(例4蛋白質)の薬力学試験
動物:230~260グラムの雄性SDラット;
薬:リポ多糖類(LPS、SIGMAL-2880)、アスピリン(SIGMAA 2093)、タンパク質BD-3;
機器:電子天秤(SARTORIUS BP121Sタイプ)、電子体温計(CITIZEN CT-513Wタイプ)。
【0138】
実験の群分け: モデル群:LPS発熱モデル;
陽性対照群:アスピリン300mg/kg群;
タンパク質BD-3、10mg/kg群、50mg/kg群。
【0139】
方法:ラットにおける熱モデルを作成するためのリポ多糖類腹腔内投与法
実験動物の調製:実験動物を実験環境(温度22℃±2℃、相対湿度50%±2%)に1日間適応させた後、8:00および15:00に直腸温を測定するために事前適応させる。ラットは実験の12時間前に絶食させ、水は自由に摂取させた。動物は、直腸温を測定する前に、それらの糞便を空にさせる。各温度測定の前に、電子温度計のプローブにワセリンを塗布する。ラットの直腸に2cm挿入し(2cmのところに印を付けて、各挿入の深さを確実に一定にすることができる)、読取り値が安定した後に体温を記録する。
【0140】
ラット熱モデルを再現するためのリポ多糖類腹腔内注入:モデリングの前にラットの体温を測定した。体温が36.2~37.3℃の適格なラットを選択し、各群に8匹のラットを有する群に無作為に分けた。アスピリンおよび異なる用量のタンパク質BD-3の経口投与後、リポ多糖類(20μg/kg,2ml/kg)を腹腔内投与した。正常対照群には等容量の通常の生理食塩水を腹腔内注射した。ラットの体温を2時間後から、合計8時間モニタリングした。
【0141】
統計値:
実験日の各時点で測定された体温に従って、各群のラットの体温の平均、標準偏差、および標準誤差を算出する。各群のデータをt検定で比較し、P<0.05は有意差とみなした。
【0142】
実験結果:
アスピリン(300mg/kg)、タンパク質BD-3(10mg/kg、50mg/kg)の経口投与後、20μg/kgリポ多糖モデルの腹腔内投与。モデリングの2時間、4時間、6時間、および8時間後に動物の体温をモニタリングした。結果を表1および
図2に示す。
【0143】
【0144】
実験結果:
アスピリン(300mg/kg)およびタンパク質BD-3(10mg/kg、50mg/kg)を経口投与し、20μg/kgのリポ多糖を腹腔内に注入し、モデルを作成した。モデル作製の2時間、4時間、6時間、および8時間後に動物の体温をモニタリングする。結果から、以下が示される:
【0145】
1)20μg/kgリポ多糖類腹腔内投与はラットの体温上昇を誘導することができる。モデル群のラットの体温は、モデル化後2時間、4時間、6時間、8時間で有意に増加した。正常群と比較して、p<0.05では統計的差異があり、モデルは安定である。
【0146】
2)陽性薬アスピリン群は、モデリングの4時間、6時間、および8時間後にモデルラットの体温の上昇を効果的に阻害することができる。モデル群と比較すると、P<0.05であり、統計的有意差があり、陽性ツールの薬物の性能は比較的安定である。
【0147】
3)蛋白質BD-3 50mg/kg用量群は、モデルラット2時間後、4時間後のモデルラットの体温を低下させることができ、モデル群と比較して、p<0.05には統計的差異がある。
【0148】
実験例2 SDラットにおけるリポ多糖(LPS)誘導発熱に対するタンパク質BD-3(実施例4のタンパク質)の薬力学的試験
動物:230~260グラムの雄性SDラット;
薬物:酵母(OXOID LP0021)、アスピリン(SIGMA A2093)、タンパク質BD-3;
機器:電子天秤(SARTORIUS BP121Sタイプ)、電子体温計(CITIZEN CT-513Wタイプ)。
【0149】
実験の群分け:
モデル群:リポ多糖発熱モデル;
陽性対照群:アスピリン300mg/kg群;
タンパク質BD-3、10mg/kg群、50mg/kg群。
【0150】
方法:リポ多糖を腹腔内注射してラットにおける発熱モデルを創製する方法。
実験動物の調製:実験動物を実験環境(温度22℃±2℃、相対湿度50%±2%)に1日間適応させた後、8:00および15:00に直腸温を測定するために事前適応させる。ラットは実験の12時間前に絶食させ、水は自由に摂取させた。実験前に、動物は、直腸温を測定する前に、それらの糞便を空にさせる。各温度測定の前に、電子温度計のプローブにワセリンを塗布する。ラットの直腸に2cm挿入し(2cmのところに印を付けて、各挿入の深さを確実に一定にすることができる)、読取り値が安定した後に体温を記録する。
【0151】
リポ多糖を腹腔内注射してラット発熱モデルを再現する:モデリングの前にラットの体温を測定した。体温が36.2~37.3℃の適格なラットを選択し、各群に8匹のラットを有する群に無作為に分けた。アスピリンおよび異なる用量のタンパク質BD-3の経口投与後、20%の酵母懸濁液(10ml/kg)を直ちに皮下注射した、正常対照群には等容量の通常の生理食塩水を腹腔内注射した。ラットの体温を2時間後から、合計8時間モニタリングした。
【0152】
統計値:
実験日の各時点で測定された体温に従って、各群のラットの体温の平均、標準偏差、および標準誤差を算出する。各群のデータをt検定で比較し、P<0.05は有意差とみなした。
【0153】
実験結果:
アスピリン(300mg/kg)、タンパク質BD-3(10mg/kg、50mg/kg)の経口投与後、20%の酵母モデルの即時皮下注射。動物の体温のモデリングの2時間、4時間、6時間、および8時間後にモニタリングした。結果を表2および
図3に示す。
【0154】
【0155】
実験結果:
アスピリン(300mg/kg)およびタンパク質BD-3(10mg/kg、50mg/kg)を経口投与し、20%の酵母は、直ちにモデルを作るために皮下に注入された。モデル作製の2時間、4時間、6時間、および8時間後に動物の体温をモニタリングする。結果から、以下が示される:
【0156】
1)モデル群のラットの体温は、モデル化後2時間、4時間、6時間、8時間で有意に増加した。正常群と比較して、p<0.05で統計的に異なった。モデルを確立し,安定で信頼性があった。
【0157】
2)陽性薬アスピリン群は、モデリングの2時間、4時間、6時間、および8時間後にモデルラットの体温の上昇を効果的に阻害することができる。モデル群と比較すると、P<0.05であり、統計的有意差があり、陽性ツールの薬物の性能は比較的安定である。
【0158】
3)蛋白質BD-3の異なる投与量はモデル化後2時間と4時間のモデルラットの体温上昇を有意に抑制することができる。モデル群と比較して、p<0.05では統計的差異がある。
【0159】
実験例3 痙攣剤(convulsion agent)ピロカルピン(PLO)によって引き起こされるマウスにおける痙攣性癲癇に対するタンパク質BD-3(実施例4のタンパク質)の薬力学試験
動物:雄性ICRマウス;
薬物:ピロカルピンHCl(PLO、ピロカルピン、ピロカルピン塩酸塩)、ジアゼパム(ジアゼパム錠)、タンパク質BD-3。
【0160】
実験の群分け:
モデル群:
ジアゼパム(ジアゼパム)2mg/kg群;
タンパク質BD-3、50mg/kg群、200mg/kg群。
【0161】
方法:
モデルの調製および投与:
薬物をモデリングの前日の午後に1回投与し、モデリングの当日に被験薬を胃に与えた1時間後にPLO-225mg/kg(モデリング剤)を腹腔内注射した。陽性薬は、モデリングの20分前に1回投与すればよい。PLO注射後、30分間観察する。
観察指標:1)癲癇発作の状況:グレードII~グレードIVの癲癇発作の時間;2)死亡までの時間。
【0162】
発作レベル:ラシンの類別基準を参照する:レベル0:応答なし;グレードI:顔面筋または口角の攣縮として現れる;レベルII:点頭があり得る;レベルIII:一肢の攣縮;グレードIV:硬直または体の攣縮;グレードV:全般癲癇(全般強直性痙攣発作)。
【0163】
データ処理:
実験における各群のマウスのグレードIVの癲癇発作および死亡の数を数える。レベルII、III、およびIVの潜伏期間。グレードIVの発作を起こさなかったマウスの潜伏期間を1800秒を最大として記録した。症例数の統計にはカイ二乗検定を使用した。潜伏期間の平均値および標準誤差を算出し、t検定を使用してモデル群を他の群と比較した。P<0.05は有意差とみなした。
実験結果:表3および表4を参照されたい。
【0164】
【0165】
【0166】
実験結果:
1)1)実験結果は、モデル群におけるグレードiv攻撃率は80%であることを示した。40匹のマウスでは死亡はなかった。
【0167】
2)陽性薬は、グレードIVの癲癇発作率を完全に抑制することができ、マウスにおけるグレードII、III、およびIVの癲癇発作の潜伏期間を大幅に延ばすことができる。
【0168】
3)癲癇のグレードIIIの潜伏期間の比較では、BD-3 200mg/kg用量群は、モデル群と統計的に有意差があった。癲癇のグレードIVの潜伏期間の比較では、BD-3 50mg/kg用量群は、モデル群と統計的に有意差があった。
【0169】
実験例4 マウスにおけるペンチレンテトラゾール(PTZ)誘導癲癇に対するタンパク質BD-3(実施例4のタンパク質)の有効性試験
動物:雄性ICRマウス;
医薬品:ペンチレンテトラゾール(PTZ)、レチガビン、タンパク質BD-3。
【0170】
実験の群分け:
モデル群;
レチガビン60mg/kg群;
タンパク質BD-3、50mg/kg群、200mg/kg群;
【0171】
方法:
モデルの調製および投与:
モデリングの前日の午後に1回投与し、モデリングの当日に被験薬の強制投与の1時間後にPTZ-65mg/kg(モデリング剤)を腹腔内注射する。陽性薬は、モデリングの30分前に1回投与すればよい。PTZの注射後、15分間観察を続ける。
【0172】
観察指標:1)癲癇発作状態:グレードIIIからグレードIVの発症時間;2)死亡状況
【0173】
発症レベル:ラシンの類別基準を参照する:レベル0:応答なし;グレードI:顔面筋または口角の攣縮として現れる;レベルII:点頭があり得る;グレードIII:一肢の攣縮;グレードIV:硬直または体の攣縮;グレードV:全般癲癇(全般強直性痙攣発作)。
【0174】
データ処理:
実験における各群のマウスの癲癇発作および死亡の数を数える。レベルIIIおよびIVの潜伏期間。グレードIVの発作を起こさなかったマウスの潜伏期間を900秒を最大として記録する。症例数の統計にはカイ二乗検定を使用した。潜伏期間の平均および標準誤差を算出する。t検定を使用してモデル群を他の群と比較し、P<0.05は有意差とみなす。
実験結果:表5および表6を参照されたい。
【0175】
【0176】
【0177】
実験結果:
1)実験結果から、モデル群におけるグレードIVの発作率が90%であることを示された。40匹のマウスのうち2匹が死亡した。
【0178】
2)陽性薬は、クラスIVの癲癇発作率を大幅に低減させることができ、マウスにおけるクラスIIIおよびIVの癲癇発作の潜伏期間を大幅に延ばすことができる。
【0179】
3)てんかんグレードIII潜伏期間の比較では、BD-3 200mg/kg投与群は潜伏期間を延長する傾向があるが、モデル群と比較して統計学的な差はない。
【0180】
実験例5 マウスにおけるフェノールレッド排出法の去痰に対するタンパク質BD-3(実施例4のタンパク質)の薬力学試験
動物:雄性ICRマウス;
薬物および試薬:ムコスルタン(Mucosultan)(アンブロキソール塩酸塩錠)、フェノールレッド、炭酸水素ナトリウム、タンパク質BD-3;
機器:遠心分離機(Sigma-3K15タイプ)、天秤(XS105DUタイプ)、マイクロプレートテスター(BIO-TEKタイプ)。
【0181】
実験の群分け:
溶媒対照群;
ムコスルタン30mg/kg群;
タンパク質BD-3、20mg/kg群、50mg/kg群。
【0182】
方法:
モデルの調製および投与:
動物は、実験の16時間前に絶食させ、水を与えた。ムコスルタンおよび異なる用量のタンパク質BD-3(投与容量10ml/kg)を群毎に経口投与し、溶媒対照群には同じ容量の蒸留水を与えた。1時間後、2.5%のフェノールレッド溶液を腹腔内注射し、30分後に頸部を取り出すことによってマウスを屠殺した。甲状軟骨の下から気管の分岐部までの気管を取る。気管を3mlの5%NaHCO3溶液に入れ、3時間放置する。1mlの上清を取り、3000rpmで5分間遠心分離する。吸光度を546nmで測定し、記録する。フェノールレッドの検量線に従って、フェノールレッドの排出量を算出した。
【0183】
データ処理:
経口投与の時点、2.5%フェノールレッド溶液の腹腔内注射の時点、および気管取出しの時点をそれぞれ記録する。各群の試料の吸光度をマイクロプレートリーダーによって
546nmで測定し、フェノールレッドの検量線に従ってフェノールレッドの排出量を算出する。各群におけるデータの平均および標準誤差を算出し、t検定を使用して溶媒対照群を他の群と比較する。P<0.05は有意差とみなす。
【0184】
実験結果:
ムコスルタン(30mg/kg)および異なる用量のタンパク質BD-3(20mg/kg、50mg/kg)を与える。1時間後に、2.5%フェノールレッド溶液を腹腔内注射し、30分後にマウスの頸部を取り出すことによってそれらを屠殺した。甲状軟骨の下から気管の分岐部までの気管を取り、気管を3mlの5%NaHCO3溶液に入れ、3時間放置し、1mlの上清を取り、3000rpmで5分間遠心分離し、546nmでの吸光度を測定し、記録する。フェノールレッドの検量線に従って、フェノールレッドの排出量を算出した。結果を表7に示す。
【0185】
【0186】
実験結果:
1)実験結果から、溶媒対照群と比較して、ムコスルタン30mg/kg群におけるフェノールレッド排出量が大幅に増加し、P<0.05であることが示され、それは統計的に有意であった。
【0187】
2)溶媒対照群と比較して、BD-3 20mg/kg用量群は、フェノールレッドの排出量を大幅に増加させ、P<0.05であり、それは統計的に有意であった。
【0188】
実験例6 マウスにおけるアンモニア水によって誘導された咳の鎮咳効果に対するタンパク質BD-3(実施例4タンパク質)の効果
動物:雄性ICRマウス;
薬物および試薬:デキストロメトルファン臭化水素酸塩、アンモニア、0.2%CMC-Na、タンパク質BD-3;
装置:コンプレッサー式ネブライザー(403Tタイプ)、天秤(XS105DUタイプ)
【0189】
実験の群分け:
溶媒対照群;
デキストロメトルファン15mg/kg群;
タンパク質BD-3、20mg/kg群、50mg/kg群。
【0190】
方法:
モデルの調製および投与:
デキストロメトルファンおよび異なる用量のタンパク質BD-3(投与容量10ml/
kg)を群毎に経口で与え、溶媒対照群には同じ容量の蒸留水を与えた。1時間後に、それを密閉した箱に入れ、10%アンモニア水を10秒間吹付け、次いでマウスを観察し、咳の潜伏期間および2分間の咳の数を記録した。
【0191】
データ処理:
経口投与の時点、吹付け実験の時点、マウスの咳の潜伏期間、および2分以内の咳の数をそれぞれ記録する。咳の潜伏期間は、アンモニアの吹付けの開始から咳の発生までの秒数を指す。マウスにおける咳嗽の動作は、その腹筋の収縮(胸部の収縮)とその口の開口が同時であることに基づいている。各群のデータの平均および標準誤差を算出し、t検定を使用してモデル群を他の群と比較し、P<0.05を有意差とみなす。
【0192】
実験結果:
デキストロメトルファン(15mg/kg)および異なる用量のタンパク質BD-3(20mg/kg、50mg/kg)を予め与え、1時間後に、それを密閉した箱に入れ、10%アンモニア水を10秒間吹付け、次いでマウスを観察し、咳嗽の潜伏期間および2分以内の咳の数を記録した。結果を表8に示す。
【0193】
【0194】
実験結果:
1)実験結果から、デキストロメトルファン群および溶媒対照群は、潜伏期間および咳の数が大幅に改善され、P<0.05であることが示され、それは統計的に有意であった。
【0195】
2)BD-3 50mg/kg投与群は、溶媒コントロール群に比べて潜伏期間が有意に改善した。咳嗽数の溶剤管理群と比較して、20mg/kg投与群は有意に改善したが、p<0.05であった。
【0196】
実験例7 ICRマウスにおける酢酸ライジング反応に対するタンパク質BD-3(実施例4のタンパク質)の薬力学試験
動物:雄性ICRマウス;
薬物および試薬:アスピリン、生理食塩水、氷酢酸、タンパク質BD-3。
【0197】
実験の群分け:
モデル群;
アスピリン300mg/kg群;
タンパク質BD-3、50mg/kg群、200mg/kg群。
【0198】
方法:
実験動物を環境に適応させてから1日後、アスピリン300mg/kg、タンパク質BD-3 50mg/kg、200mg/kgを1時間前に経口で与え、投与容量は10ml/kgであった。次いで、0.6%酢酸溶液を腹腔内に注射し、動物における15分以内のライジング反応の潜時期(秒)および回数を観察した。
【0199】
データ処理:
各群におけるデータの平均および標準誤差を算出する。モデル群をt検定によって比較し、P<0.05を統計的に有意差があるとみなした。
【0200】
実験結果:
アスピリン300mg/kgおよび異なる用量のタンパク質BD-3(50mg/kg、200mg/kg)の経口投与の1時間後に、0.6%酢酸溶液を腹腔内注射して、ICRマウスのライジング反応の潜時および回数を観察した。結果を表9に示す。
【0201】
【0202】
実験結果:
0.6%酢酸溶液をマウスの腹腔内に注射することによって深くて広い領域の長期の疼痛刺激を引き起こし、それによってマウスにライジング反応を引き起こした(腹部が「S」の形状に収縮し、体幹および後肢が伸び、臀部が上がり、腰が船漕ぎ運動をする)。マウスがライジング反応を始める潜伏期間および回数を疼痛応答の指標として使用して、試験試料が鎮痛効果を有するかどうかを判定した。この実験の結果は、以下を示す:
【0203】
1)アスピリン300mg/kgは、ライジング反応の潜伏期間を大幅に遅延させ、ライジング反応の回数を低減させることができ、ある種の鎮痛効果を有する。モデル群と比較して、P<0.05であり、それは統計的に有意である。
【0204】
2)BD-3 50mg/kg用量群は、マウスにおけるライジング反応の回数を大幅に低減させることができる。モデル群と比較して、P<0.05であり、それは統計的に有意である。
【配列表】