(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前処理、レイアウトおよび生産最適化方法
(51)【国際特許分類】
B23D 36/00 20060101AFI20240828BHJP
【FI】
B23D36/00 501D
(21)【出願番号】P 2022580124
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 CN2021101552
(87)【国際公開番号】W WO2022001752
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】202010602833.0
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011636444.6
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】302022474
【氏名又は名称】宝山鋼鉄股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】易 ▲剣▼
(72)【発明者】
【氏名】王 利敏
(72)【発明者】
【氏名】▲賈▼ ▲樹▼晋
(72)【発明者】
【氏名】杜 斌
(72)【発明者】
【氏名】コー リャンチー
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-269161(JP,A)
【文献】特開昭60-067020(JP,A)
【文献】特開平08-085016(JP,A)
【文献】米国特許第04221974(US,A)
【文献】特開2012-040654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 36/00
G05B 19/4093、19/4097、19/418
G06F 30/10
G06Q 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを含む欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前処理方法
を含む欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法であって、
前記板の板情報を取得することであって、前記板情報は欠陥情報および板寸法情報を含むステップと、
前記欠陥情報および前記板寸法情報に基づいて電子欠陥マップを作成し、ネスティングおよびシャー切断に利用できる領域を分割するステップと、
前記板を分割し、ネスティングおよびシャー切断に利用できる前記領域に従って小板を得るステップと、を含
み、
欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前記レイアウト方法はさらに、
被処理製品について各完成品の仕様情報を取得するステップと、
各小板のパラメータ情報を取得するステップと、
各小板のレイアウトモードに関する決定変数を設定し、前記決定変数、前記仕様情報および前記パラメータ情報の間に制約条件を設けるステップと、
前記制約条件を満足する各小板のレイアウトモードを解明するステップとを含み、
前記仕様情報は完成品の幅を含み、前記パラメータ情報は小板の幅、小板の作業側での最大欠陥幅、および小板の駆動側での最大欠陥幅を含み、前記決定変数は各小板の各完成品のストリップ番号を含み、前記制約条件は前記小板の幅に対応する第1の制約条件を含み、
前記板は、インデックスiを付けた個数mの小板を含み、i=1,2,...,mであり、前記被処理製品は、インデックスjを付けた合計個数nの完成品仕様を有し、j=1,2,...,nであり、i番目の小板のレイアウトベクトルはX
i
=(x
i
1
,x
i
2
,...,x
i
j
,...,x
i
n
)として設定され、x
i
j
は前記i番目の小板上の完成品仕様jのストリップ番号を示し、前記決定変数はx
i
j
を含み、前記第1の制約条件は、
【数1】
を含み、w
j
は完成品の幅、W
i
WS
は小板の作業側での最大欠陥幅、W
i
DS
は小板の駆動側での最大欠陥幅、W
i
は小板の幅である、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法。
【請求項2】
前記欠陥情報は原欠陥の情報を含み、前記欠陥情報および前記板寸法情報に基づいて前記電子欠陥マップを作成し、ネスティングおよびシャー切断に利用できる前記領域を分割するステップはさらに、
前記原欠陥および前記板寸法情報に基づいて前記電子欠陥マップを作成するステップと、
前記原欠陥に基づいて全ての非エッジ欠陥を取得するステップと、
前記板の長さ方向に沿って全ての2つの隣接する非エッジ欠陥間の距離を計算するステップと、
任意の2つの隣接する非エッジ欠陥の距離が所定距離閾値以下である場合に、前記長さ方向に沿ってカスタマイズ欠陥に統合するステップと、
前記原欠陥および前記カスタマイズ欠陥に基づいて、ネスティングおよびシャー切断に利用できる前記領域を分割するステップとを含む、請求項1に記載の欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための
レイアウト方法。
【請求項3】
前記パラメータ情報はさらにマージン既定値を含み、前記第1の制約条件はさらに、
【数2】
を含み、w
jは完成品の前記幅、W
i
WSは小板の前記作業側での前記最大欠陥幅、W
i
DS
は小板の前記駆動側での前記最大欠陥幅、W
iは小板の前記幅、sは前記マージン既定値である、請求項
1に記載の欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法。
【請求項4】
前記仕様情報は、完成品の需要量と需要公差をさらに含み、前記パラメータ情報はさらに小板の長さを含み、前記制約条件はさらに完成品の前記需要量に対応する第2の制約条件を含む、請求項
1に記載の欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法。
【請求項5】
前記板は、インデックスiを付けた個数mの小板を含み、i=1,2,...,mであり、前記被処理製品は、インデックスjを付けた合計個数nの完成品仕様を有し、j=1,2,...,nであり、i番目の小板のレイアウトベクトルはX
i=(x
i
1,x
i
2,...,x
i
j,...,x
i
n)として設定され、x
i
jは前記i番目の小板上の完成品仕様jのストリップ番号を示し、前記決定変数はx
i
jを含み、前記第2の制約条件は、
【数3】
を含み、L
iは小板の長さ、l
jは完成品の需要量、e
jは完成品の需要公差である、請求項
4に記載の欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法。
【請求項6】
前記パラメータ情報はさらに製品歩留まりを含み、前記制約条件はさらに、各小板の前記製品歩留まりに対応する第3の制約条件を含む、請求項
1に記載の欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法。
【請求項7】
前記板は、インデックスiを付けた数mの小板を含み、i=1,2,...,mであり、前記被処理製品は、インデックスjを付けた合計個数nの完成品仕様を有し、j=1,2,...,nであり、i番目の小板のレイアウトベクトルはX
i=(x
i
1,x
i
2,...,x
i
j,...,x
i
n)として設定され、x
i
jは前記i番目の小板上の完成品仕様jのストリップ番号を示し、前記決定変数はx
i
jを含み、前記製品歩留りは最小製品歩留りを含み、前記第3の制約条件は、
【数4】
を含み、Pは前記最小製品歩留り、w
jは完成品の幅、W
iは小板の幅である、請求項
6に記載の欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法。
【請求項8】
前記パラメータ情報はさらに前記板の生産装置の最小巻き付け長さを含み、前記決定変数は、完成品の残存需要量と完成品の完成量とをさらに含み、前記制約条件はさらに前記最小巻き付け長さに対応する第4の制約条件を含む、請求項
4に記載の欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法。
【請求項9】
前記板は、インデックスiを付けた個数mの小板を含み、i=1,2,...,mであり、前記被処理製品は、インデックスjを付けた合計個数nの完成品仕様を有し、j=1,2,...,nであり、i番目の小板のレイアウトベクトルはX
i=(x
i
1,x
i
2,...,x
i
j,...,x
i
n)として設定され、x
i
jは前記i番目の小板上の完成品仕様jのストリップ番号を示し、前記決定変数はx
i
j、y
jおよびz
jを含み、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前記レイアウト方法はさらに:
y
jを、前記完成品仕様jの残存需要量を表す実数変数として設定するステップと、z
jを、前記完成品仕様jの需要量が完了したかどうかを表す二値変数として設定し、完了した場合、前記変数を1とし、それ以外の場合、0とするステップと、
Mを定数値として設定し、M≧max{l
1,l
2,...,l
n}であるステップとを含み、
また、前記第4の制約条件が、
【数5】
を含み、L
iは小板の長さ、l
jは完成品の需要量、e
jは完成品の需要公差であり、さらに、
【数6】
を含み、Nは最小巻き付け長さである、請求項
8に記載の欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法。
【請求項10】
前記板は珪素鋼板である、請求項
1から9のいずれか一項に記載の欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法。
【請求項11】
欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための生産最適化方法であって、前記生産最適化方法は、請求項
1から10のいずれか一項に記載の欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法を含み、前記制約条件を満たす各小板の前記レイアウトモードを解明するステップは、
前記板のネスティングおよびシャー切断の最適化目的を設定するステップと、
前記決定変数、前記制約条件および前記最適化目的に基づいて前記板のネスティングおよびシャー切断のモデルを確立するステップと、
前記モデルを解いて前記レイアウトモードを取得するステップと、を含む、生産最適化方法。
【請求項12】
前記最適化目的は、小板の平均製品歩留り、および/または完成品の前記完成量の合計を含む、請求項
11に記載の欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための生産最適化方法。
【請求項13】
前記板は、インデックスiを付けた個数mの小板を含み、i=1,2,...,mであり、前記被処理製品は、インデックスjを付けた合計個数nの完成品仕様を有し、j=1,2,...,nであり、i番目の小板のレイアウトベクトルはX
i=(x
i
1,x
i
2,...,x
i
j,...,x
i
n)として設定され、x
i
jは前記i番目の小板上の完成品仕様jのストリップ番号を示し、前記決定変数はx
i
jとz
jを含み、z
jは、前記完成品仕様jの需要量が完了したかどうかを表し、完了した場合、前記変数を1とし、完了していない場合、0とし、前記最適化目的は、小板の平均製品歩留りおよび完成品の前記完成量の合計を含み、小板の前記平均製品歩留りは、以下の第1の最適化目的として設定され、
【数7】
w
jは完成品の幅、W
iは小板の幅であり、
前記完成品の前記完成量の合計は、以下の第2の最適化目的として設定され、
【数8】
前記最適化目的は、前記第1の最適化目的と前記第2の最適化目的とを重量和することによって得られる、請求項
12に記載の欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための生産最適化方法。
【請求項14】
前記パラメータ情報は小板の長さを含み、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前記生産最適化方法はさらに、
前記電子欠陥マップ、前記パラメータ情報および前記レイアウトモードに従って制御命令を出すステップと、
前記制御命令に従って前記板のネスティングおよびシャー切断を行うステップとを含む、請求項
11に記載の欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための生産最適化方法。
【請求項15】
請求項
1から10のいずれか一項に記載の欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法によって前記板を処理する処理装置を含む、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウトシステム。
【請求項16】
欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための生産最適化システムであって、
小板を得るための請求項
11から14のいずれか一項に記載の欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための生産最適化方法を使用する解に用いられる処理装置と、
前記処理装置から送信された前記解を受信し、前記解に従って制御命令を出す制御装置と、
前記制御命令を受信し、前記制御命令に従って前記板に対するネスティングおよびシャー切断を行う生産装置と、を備えた生産最適化システム。
【請求項17】
演算装置であって、
様々な命令を実装するためのプロセッサと、
請求項
1から10のいずれか一項に記載の欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前記レイアウト方法を前記プロセッサがロードして実行するための複数の命令を記憶するためのメモリと、を備えた演算装置。
【請求項18】
演算装置であって、
様々な命令を実装するためのプロセッサと、
請求項
11から14のいずれか一項に記載の欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前記生産最適化方法を前記プロセッサがロードして実行するための複数の命令を記憶するためのメモリと、を備えた演算装置。
【請求項19】
請求項
1から10のいずれか一項に記載の欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前記レイアウト方法を前記プロセッサがロードして実行するための複数の命令を記憶した記憶媒体。
【請求項20】
請求項
11から14のいずれか一項に記載の欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前記生産最適化方法を前記プロセッサがロードして実行するための複数の命令を記憶した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板処理の技術分野に関し、特に、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前処理、レイアウトおよび生産最適化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
板の処理は、板の生産工程における重要な工程である。例えば、鋼板の場合、シャー切断、処理および配送は、鉄鋼企業が提供する重要な付加サービスである。鉄鋼企業は、一般的に鉄鋼処理センターが建造されている。処理センターは、冷蔵庫、洗濯機、プリンタ、変圧器など、鋼板を使用する必要のある幅広い顧客と対峙することがあり、異なるモデルシリーズのさまざまな製品を抱えているため、希望する鋼板部品の仕様も異なってくる。部品の仕様が多数あり、必要量も異なるため、処理センターでは、異なる注文の仕様の部品を組み合わせ計算で大型鋼板上に統合してシャー切断生産を行う傾向があり、これをネスティングやシャー切断と呼んでいる。
【0003】
処理工程によっては、製品幅の異なる部品を統合する際に幅方向に隣接して密着させ、鋼板の幅をできるだけ利用し、その鋼板幅の利用率を製品歩留まりと呼び、すなわち、製品歩留まり=製品幅の和/鋼板幅とするものもある。製品幅の異なる部品の統合モードをレイアウトモードと呼ぶ。実際の生産では、鋼板はディスクブレードを組み立て、取り付けることによって完成品ストリップに切断されるので、レイアウトモードはディスクブレードをどのように組み立て、取り付けるかに相当する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人は、先行技術について検討した結果、板処理におけるスクラップ率が高いという問題があることを見出した。本出願人はさらに検討し、それが生産工程中に板自体が有する折り目や穴などの様々な欠陥に起因することを見出した。これらの欠陥は、完成品の品質に大きな影響を与え、先行技術には対応する処理がないため、欠陥品や不適格品が生産される。このような欠陥完成品は顧客に提供することができず、廃棄しなければならないので、板処理のスクラップ率が高くなる。
【0005】
本発明は、先行技術の板処理工程におけるスクラップ率が高いという問題を解決するために、欠陥板のネスティングおよびシャー切断に関する前処理方法、レイアウト方法および生産最適化方法、並びにそのためのシステム、演算装置および記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するために、本発明の一実施形態は、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前処理方法を開示し、その前処理方法は、板の板情報を取得し、前記板情報は欠陥情報および板寸法情報を含むステップと、前記欠陥情報および前記板寸法情報に基づいて電子欠陥マップを作成し、ネスティングおよびシャー切断に利用できる領域を分割するステップと、前記板を分割し、ネスティングおよびシャー切断に利用できる前記領域に従って小板を得るステップとを含む。
【0007】
上記技術的解決策に基づいて、本願発明に係る欠陥板のネスティングおよびシャー切断の前処理方法は、欠陥の影響を十分に考慮し、電子欠陥マップを作成してネスティングおよびシャー切断が可能な領域を分割することにより、ネスティングおよびシャー切断が可能な領域に応じて板を合理的に小板に分割し、板処理の廃棄率を低減させることが可能である。また、板を直接切断するのではなく、デジタル化された欠陥情報により作成された電子欠陥マップに基づいて板を分割して得られる小板は、生産前に板のその後の処理方法を決定するのに役立つので、科学性が高く、生産効率を向上させることが可能である。
【0008】
任意選択で、前記欠陥情報は原欠陥の情報を含み、前記欠陥情報および前記板寸法情報に基づいて前記電子欠陥マップを作成し、ネスティングおよびシャー切断に利用できる前記領域を分割するステップはさらに、前記原欠陥および前記板寸法情報に基づいて前記電子欠陥マップを作成するステップと、前記原欠陥に基づいて全ての非エッジ欠陥を取得するステップと、前記板の長さ方向に沿って2つの隣接する非エッジ欠陥間の距離を計算するステップと、任意の2つの隣接する非エッジ欠陥の距離が所定距離閾値以下である場合に、前記長さ方向に沿ってカスタマイズされた欠陥に統合するステップと、前記原欠陥および前記カスタマイズされた欠陥に基づいて、ネスティングおよびシャー切断に利用できる前記領域を分割するステップとを含む。
【0009】
本発明の別の実施形態はさらに、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前記前処理方法のいずれか1つを含む欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法を開示する。欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前記レイアウト方法はさらに、被処理製品について各完成品の仕様情報を取得するステップと、各小板のパラメータ情報を取得するステップと、各小板のレイアウトモードに関する決定変数を設定し、前記決定変数、前記仕様情報および前記パラメータ情報の間に制約条件を設けるステップと、前記制約条件を満足する各小板のレイアウトモードを解明するステップとを含む。
【0010】
上記技術的解決策に基づいて、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法は、前記板の処理生産を容易にすることができる。
【0011】
任意選択で、前記仕様情報は完成品の幅を含み、前記パラメータ情報は小板の幅、小板の作業側での最大欠陥幅、および小板での駆動側での最大欠陥幅を含み、前記決定変数は各小板の各完成品のストリップ番号を含み、前記制約条件は小板の幅に対応する第1の制約条件を含む。
【0012】
任意選択で、前記板は、インデックスiを付けた個数mの小板を含み、i=1,2,...,mであり、前記被処理製品は、インデックスjを付けた合計個数nの完成品仕様を有し、j=1,2,...,nであり、i番目の小板のレイアウトベクトルはX
i=(x
i
1,x
i
2,...,x
i
j,...,x
i
n)として設定され、x
i
jは前記i番目の小板上の完成品仕様jのストリップ番号を示し、前記決定変数はx
i
jを含み、前記第1の制約条件は、
【数1】
を含み、w
jは完成品の幅、W
i
WSは小板の作業側での最大欠陥幅、W
i
DSは小板の駆動側での最大欠陥幅、W
iは小板の幅である。
【0013】
本願発明の実施形態によれば、レイアウトベクトルは、各小板のレイアウトモード、すなわち各小板の各完成品仕様に対応するストリップ番号を数学ベクトルの形に表現するものである。
【0014】
任意選択で、前記パラメータ情報はさらにマージン既定値を含み、前記第1の制約条件はさらに、
【数2】
を含み、w
jは完成品の前記幅、W
i
WSは小板の前記作業側での前記最大欠陥幅、W
i
DSは小板の前記駆動側での前記最大欠陥幅、W
iは小板の前記幅、sは前記マージン既定値である。
【0015】
本願発明の実施形態によれば、マージン既定値は、エッジの凹凸が完成品の品質に及ぼす影響を回避するために、顧客の要求に従って板のエッジに確保する必要がある最小の幅である。
【0016】
任意選択で、前記仕様情報は、完成品の需要量と需要公差をさらに含み、前記パラメータ情報はさらに小板の長さを含み、前記制約条件はさらに完成品の前記需要量に対応する第2の制約条件を含む。
【0017】
任意選択で、前記板は、インデックスiを付けた個数mの小板を含み、i=1,2,...,mであり、前記被処理製品は、インデックスjを付けた合計個数nの完成品仕様を有し、j=1,2,...,nであり、i番目の小板のレイアウトベクトルはX
i=(x
i
1,x
i
2,...,x
i
j,...,x
i
n)として設定され、x
i
jは前記i番目の小板上の完成品仕様jのストリップ番号を示し、前記決定変数はx
i
jを含み、前記第2の制約条件は、
【数3】
を含み、L
iは小板の長さ、l
jは完成品の需要量、e
jは完成品の需要公差である。
【0018】
任意選択で、前記パラメータ情報はさらに製品歩留まりを含み、前記制約条件はさらに、各小板の前記製品歩留まりに対応する第3の制約条件を含む。
【0019】
任意選択で、前記板は、インデックスiを付けた数mの小板を含み、i=1,2,...,mであり、前記被処理製品は、インデックスjを付けた合計個数nの完成品仕様を有し、j=1,2,...,nであり、i番目の小板のレイアウトベクトルはX
i=(x
i
1,x
i
2,...,x
i
j,...,x
i
n)として設定され、x
i
jは前記i番目の小板上の完成品仕様jのストリップ番号を示し、前記決定変数はx
i
jを含み、前記製品歩留りは最小製品歩留りを含み、前記第3の制約条件は、
【数4】
を含み、Pは前記最小製品歩留まり、w
jは完成品の幅、W
iは小板の幅である。
【0020】
任意選択で、前記パラメータ情報はさらに前記板の生産装置の最小巻き付け長さを含み、前記決定変数は、完成品の残存需要量と完成量とをさらに含み、前記制約条件はさらに前記最小巻き付け長さに対応する第4の制約条件を含む。
【0021】
任意選択で、前記板は、インデックスiを付けた個数mの小板を含み、i=1,2,...,mであり、前記被処理製品は、インデックスjを付けた合計個数nの完成品仕様を有し、j=1,2,...,nであり、i番目の小板のレイアウトベクトルはX
i=(x
i
1,x
i
2,...,x
i
j,...,x
i
n)として設定され、x
i
jは前記i番目の小板上の完成品仕様jのストリップ番号を示し、前記決定変数はx
i
j、y
jおよびz
jを含み、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前記レイアウト方法はさらに:y
jを、前記完成品仕様jの残存需要量を表す実数変数として設定するステップと、z
jを、前記完成品仕様jの需要量が完了したかどうかを表す二値変数として設定し、完了した場合、前記変数を1とし、それ以外の場合、0とするステップと、Mを定数値として設定し、M≧max{l
1,l
2,...,l
n}であるステップとを含み、また、前記第4の制約条件が、
【数5】
を含み、L
iは小板の長さ、l
jは完成品の需要量、e
jは完成品の需要公差であり、さらに、
【数6】
を含み、Nは最小巻き付け長さである。
【0022】
任意選択で、前記板は珪素鋼板である。
【0023】
本発明のさらに別の実施形態は、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための生産最適化方法をさらに開示し、前記生産最適化方法は、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前述のレイアウト方法のいずれか1つを含み、前記制約条件を満たす各小板の前記レイアウトモードを解明するステップは、前記板のネスティングおよびシャー切断の最適化目的を設定するステップと、前記決定変数、前記制約条件および前記最適化目的に基づいて前記板のネスティングおよびシャー切断のモデルを確立するステップと、前記モデルを解いて前記レイアウトモードを取得するステップとを含む。
【0024】
上記の技術的解決策を利用することにより、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのこの生産最適化方法によって、板処理プロセスの生産効率を向上させることができる。
【0025】
任意選択で、前記最適化目的は、小板の平均製品歩留まり、および/または完成品の前記完成量の合計を含む。
【0026】
任意選択で、前記板は、インデックスiを付けた個数mの小板を含み、i=1,2,...,mであり、前記被処理製品は、インデックスjを付けた合計個数nの完成品仕様を有し、j=1,2,...,nであり、i番目の小板のレイアウトベクトルはX
i=(x
i
1,x
i
2,...,x
i
j,...,x
i
n)として設定され、x
i
jは前記i番目の小板上の完成品仕様jのストリップ番号を示し、前記決定変数はx
i
jとz
jを含み、z
jは、前記完成品仕様jの需要量が完了したかどうかを表し、完了した場合、前記変数を1とし、完了していない場合、0とし、前記最適化目的は、小板の平均製品歩留まりおよび完成品の前記完成量の合計を含み、小板の前記平均製品歩留まりは、以下の第1の最適化目的として設定され、
【数7】
w
jは完成品の幅、W
iは小板の幅であり、前記完成品の前記完成量の合計は、以下の第2の最適化目的として設定され、
【数8】
前記最適化目的は、前記第1の最適化目的と前記第2の最適化目的とを重量和することによって得られる。
【0027】
任意選択で、前記パラメータ情報は小板の長さを含み、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前記生産最適化方法はさらに、前記電子欠陥マップ、前記パラメータ情報および前記レイアウトモードに従って制御命令を出すステップと、前記制御命令に従って前記板のネスティングおよびシャー切断を行うステップとを含む。
【0028】
本発明のさらに別の実施形態はさらに、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前述の前処理方法のいずれか1つによって前記板を処理する処理装置を含む、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前処理システムを開示する。
【0029】
上記の技術的解決策を利用することにより、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前処理システムによって、板処理のスクラップ率が低減され得る。
【0030】
本発明の別の実施形態は、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前記レイアウト方法のいずれか1つによって前記板を処理する処理装置を含む、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウトシステムをさらに開示する。
【0031】
上記の技術的解決策を利用することにより、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウトシステムは、板の処理生産を容易にすることができる。
【0032】
本発明の別の実施形態は、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための生産最適化システムをさらに開示し、前記システムは、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前述の生産最適化方法のいずれか1つを使用する解に用いられる処理装置と、前記処理装置から送信された前記解を受信し、前記解に従って制御命令を出す制御装置と、前記制御命令を受信し、前記制御命令に従って前記板に対するネスティングおよびシャー切断を行う生産装置とを備えている。
【0033】
上記の技術的解決策を利用することにより、欠陥板のネスティングおよびシャー切断を行う生産最適化システムによって、板処理工程の生産効率を向上させることができる。
【0034】
本発明の別の実施形態は、演算装置を開示し、前記演算装置は、様々な命令を実装するためのプロセッサと、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前記前処理方法のいずれか1つを前記プロセッサがロードして実行するための複数の命令を記憶するメモリと、を備えている。
【0035】
本発明の別の実施形態はさらに、演算装置を開示し、前記演算装置は、様々な命令を実装するためのプロセッサと、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前記レイアウト方法のいずれか1つを前記プロセッサがロードして実行するための複数の命令を記憶するためのメモリとを備えている。
【0036】
本発明の別の実施形態は、演算装置を開示し、前記演算装置は、様々な命令を実装するためのプロセッサと、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前記生産最適化方法のいずれか1つを前記プロセッサがロードして実行するための複数の命令を記憶するためのメモリと、を備えている。
【0037】
本発明の別の実施形態は、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前記前処理方法のいずれか1つを前記プロセッサがロードして実行するための複数の命令を記憶した記憶媒体をさらに開示する。
【0038】
本発明の一実施形態は、さらに、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前記レイアウト方法のいずれか1つを前記プロセッサがロードして実行するための複数の命令を記憶した記憶媒体を開示する。
【0039】
本発明の別の実施形態は、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前記生産最適化方法のいずれか1つを前記プロセッサがロードして実行するための複数の命令を記憶した記憶媒体を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の一実施形態に係る欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前処理方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の一実施形態による板の電子欠陥マップの模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態による欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前処理方法のステップS2のフローチャートである。
【
図4】本発明の別の実施形態による板の電子欠陥マップの模式図である。
【
図5】本発明の実施形態による板の分割された領域の模式図である。
【
図6】本発明の別の実施形態による板の電子欠陥マップの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の実施形態は、以下の具体的な実施形態によって示され、当業者は、以下の詳細な説明から本発明の他の利点および特徴を容易に知ることができる。本発明を好ましい実施形態と共に説明するが、本発明の特徴がこれらの実施形態に限定されることは意図していない。それどころか、本発明は、本発明の特許請求の範囲に基づいて拡張され得る代替案または変更例を網羅する目的で、実施形態に関連して説明されている。以下の説明では、本発明を十分に理解するために、多数の具体的な詳細が記載されている。本発明は、これらの詳細なしに実施されてもよい。さらに、具体的な詳細の一部は、本発明の焦点を乱したり不明瞭にしたりしないために、説明から省略されている。本発明における実施形態およびその特徴は、互いに矛盾なく組み合わせてよいことに留意されたい。
【0042】
本明細書において、同様の参照符号および文字は、以下の図における同様の項目を指し、したがって、ある項目が図において定義されると、それ以降の図においてさらに定義および説明する必要がないことに留意されたい。
【0043】
「第1」、「第2」等の用語は、それぞれを区別するためにのみ使用され、相対的な重要性を示すまたは示唆するものとして解釈されることはない。
【0044】
本発明の目的、技術的解決策および利点をより明らかにするために、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0045】
図1を参照すると、本発明の一実施形態は、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前処理方法を開示し、前処理方法は、S1:板の板情報を取得し、板情報は欠陥情報および板寸法情報を含む、ステップと、S2:欠陥情報および板寸法情報に基づいて電子欠陥マップを作成し、ネスティングおよびシャー切断に利用できる領域を分割するステップと、S3:板を分割し、ネスティングおよびシャー切断に利用できる領域に従って小板を取得するステップを含む。
【0046】
S1において、板情報は、測定、製品仕様書、保証書等由来のものであってよく、書き込みにより取得しても、コードの読み取りにより取得してもよい等であって、本実施形態に限定されるものではない。S2において、欠陥情報および板寸法情報に基づいて電子欠陥マップを作成し、ネスティングおよびシャー切断が可能な領域を分割する。すなわち、本実施形態では、板寸法情報に従って板の電子回路図を作成してもよい。例えば、板の電子回路図は、ある割合に従って描かれる。そして、欠陥のサイズや位置に応じて欠陥情報をデジタル化し、板の電子回路図上にマーキングすることで、電子欠陥マップを取得できる。欠陥が存在する領域を除去した後、板の残りは、ネスティングおよびシャー切断に利用可能な領域である。本実施形態にとらわれることなく、板の電子回路図は、コンピュータ、携帯端末、クラウドサーバなど、いずれもデータ入力・処理機能を有するものによって作成され得る。S3において、ネスティングおよびシャー切断に利用可能な領域に応じて板を分割する、すなわち、板の電子的欠陥図を分割して小板を取得する。任意選択で、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前処理方法は、前処理後に得られた板の模式図を表示することにより、製造者が各小板の位置およびサイズを直感的に把握し、欠陥情報が間違っているかどうかを確認するステップをさらに含む。本実施形態では、板を直接切断するのではなく、デジタル化された欠陥情報によって作成された電子欠陥マップに基づいて板を分割して小板を得るので、生産前に板のその後の処理解を決定することができ、科学性が高く、生産効率を向上させることが可能である。
【0047】
一実施形態において、
図2および
図5を参照すると、板は、幅1100ミリメートルおよび長さ2000メートルを有する鋼板である。本実施形態では、板は、幅方向(
図2および
図5に示すX方向)に沿って、WS側(作業側)、中央WS側(中央作業側)、中央DS側(中央駆動側)およびDS側(駆動側)の4領域に区画され、作業側は作業者が操作する側であり、駆動側は駆動モータが配置された側である。板の長さ方向(
図2に示すY方向)に沿って、板の実処理時のブレード組み立て場所が原点として、すなわち長さ0メートルの位置に設定されている。別の実施形態では、他の方法で板を分割してもよい。鋼板の欠陥情報は、以下を含む:(1)全幅0~150メートルの折り目、(2)中央DS側950メートルの直径=14.96ミリの穴、(3)DS側200~500メートルの0~50ミリのエッジダメージ。別の実施形態において、欠陥情報は、欠陥等級などの他の内容をも含み得ることを理解されたい。欠陥情報に従って欠陥領域を板上に配置することができる限り、他の方法を使用して欠陥を記述してもよい。
【0048】
図2を参照すると、板の電子欠陥マップには、前述した3つの欠陥が含まれている。板の長さは板の幅よりもはるかに大きいため、実際の処理工程では、板を横方向、すなわち板の幅方向に沿って複数の小板にシャー切断する必要がある。そこで、本実施形態では、電子欠陥マップが示すネスティングおよびシャー切断に利用可能な領域に応じて、板を板の幅方向に沿って横方向に分割し、点線a1、a2、a3に沿って板を2つの小板A1、A2に分割することができるようにした。ネスティングおよびシャー切断が可能な領域を参照すると、板の幅方向のエッジに位置する欠陥(3)については、本実施形態では板を横方向に分割して小板を得るため、分割時に考慮する必要はない。小板の分割後、欠陥(3)は小板A1上に位置し、小板A1をレイアウトやネスティング、シャー切断する際に考慮すればよいので、全体の板の処理効率を向上させることができる。本実施形態にとらわれることなく、別の実施形態においても、板のサイズに応じて板の長さ方向に小板に分割することができる。本実施形態では、小板の分割時に欠陥(1)、(2)を除去しているが、小板のレイアウトやネスティング、シャー切断を行う際に適時除去しやすいように欠陥(3)は電子欠陥マップに提示している。したがって、その後の板の処理工程において、欠陥の存在によって完成品が不適格になることはなく、板のスクラップ率を大幅に低減させることができる。本実施形態にとらわれることなく、別の実施形態においては、板の種類やサイズ、欠陥の数、サイズ、種類等は、本実施形態とは異なるものであってもよい。
【0049】
上記の技術的解決策を利用することにより、本実施形態が開示する欠陥板のネスティングおよびシャー切断の前処理方法は、その後の板の処理における欠陥の悪影響を十分に考慮し、電子欠陥マップを作成することによってネスティングおよびシャー切断に利用できる領域を分割し、板が、ネスティングおよびシャー切断に利用できる領域によって提供される位置に従って合理的に小板に分割されるように支援することができる。したがって、本技術的解決策は、後続の板処理における欠陥に起因する不適格な完成品を回避し、スクラップ率を減少させ、板処理における生産コストをさらに低減させるのに役立ち得る。
【0050】
図3を参照すると、本発明の別の実施形態は、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前処理方法を開示している。欠陥情報は原欠陥の情報を含む。欠陥情報および板寸法情報に基づいて電子欠陥マップを作成し、ネスティングおよびシャー切断に利用可能な領域を分割するステップS2は、以下を含む:S21:原欠陥と板寸法情報に基づいて電子欠陥マップを作成するステップ、S22:原欠陥に基づいて全ての非エッジ欠陥を取得するステップ、S23:板の長さ方向に沿って2つの隣接する非エッジ欠陥間の距離を計算するステップ、S24:距離が所定距離閾値以下である場合、長さ方向に沿って任意の2つの隣接する非エッジ欠陥をカスタマイズされた欠陥に統合するステップ、S25:原欠陥とカスタマイズされた欠陥に基づいてネスティングおよびシャー切断に利用できる領域を分割するステップ。
【0051】
図3~
図5を参照すると、S21において、原欠陥と板の寸法情報とに基づいて電子欠陥マップが作成される。一実施形態では、板は、幅1100ミリメートル、長さ2000メートルの鋼板であり、板の欠陥情報は、以下の表1に示すとおりである。
【0052】
【0053】
本実施形態では、板は、その幅方向(
図4~
図5に示すX方向)に沿って、WS側(作業側)、中央WS側(中央作業側)、中央DS側(中央駆動側)、DS側(駆動側)の4つの領域に分割される。各領域の幅は、均等に分割されていてもよいし、不等に分割されていてもよい。本実施形態にとらわれることなく、具体的な幅は、欠陥の説明に従って設定すればよい。本実施形態では、板の長さ方向(
図4~
図5に示すY方向)に沿って、板の実際の処理時のブレード組み立て場所を起点として、すなわち長さ0メートルの位置を設定している。別の実施形態では、欠陥情報の欠陥の記述に応じて、領域の数、分割方法、各領域の幅を適応的に設定するようにしてもよい。本実施形態では、
図4を参照すると、表1による9個の原欠陥が示されており、板寸法情報に従って対応する電子欠陥マップを得ることができる。各欠陥の対応する領域は、
図4において斜線部分によって図示されている。オプションとして、各欠陥は、電子欠陥マップの作成を容易にするために、前述の表1における欠陥6のデジタル化に関して以下の表2に示すように、モードを参照してデジタル化された形態で表される。
【0054】
【0055】
S22において、原欠陥から非エッジ欠陥を全て導出する。本実施形態では,板を横方向、すなわち板の幅方向に沿って複数の小板にシャー切断する必要がある。そこで、本実施形態では、電子欠陥マップのネスティングおよびシャー切断に利用可能な領域に応じて、板を板の幅方向に沿って横方向に分割している。なお、本実施形態における非エッジ欠陥とは、中央WS側(中央作業側)または中央DS側(中央駆動側)に位置する欠陥であり、欠陥2および欠陥3は非エッジ欠陥である。S23において、板の長さ方向に沿って、全ての2つの隣接する非エッジ欠陥間の距離を計算する。本実施形態では、距離は
図4のdで示され、穴の直径は小さすぎるため無視されるので、d=1000-950=50メートルとなる。S24において、距離が所定距離閾値以下であれば、対応する隣接する非エッジ欠陥を長さ方向に沿ってカスタマイズされた欠陥に統合する。
【0056】
いくつかの実施形態では、所定距離閾値は、板の生産装置の最小巻き付け長さ以上である。最小巻き付け長さとは、板の実際の処理工程において、板を板幅方向に沿って小板にシャー切断する際に、板の長さ方向に隣接する2つのシャー切断位置間の最小距離であり、生産装置の要求や工程基準の違いにより、具体的数値は異なり、例えば500メートルや300メートル等であり得る。本実施形態では、所定距離閾値が500メートルであれば、次に欠陥2と欠陥3が統合され、カスタマイズされた欠陥となる。S25において、原欠陥とカスタマイズされた欠陥とに基づいて、ネスティングおよびシャー切断に利用可能な領域が分割される。すなわち、ネスティング切断およびシャー切断が可能な領域は、欠陥2と欠陥3との間の領域を含まず、鋼板の長さ方向に沿った950~1000メートルの全幅領域は、ネスティング切断およびシャー切断の対象としない。
図4の点線b1、b2、b3、b4に沿って、鋼板は2枚の小板B1、B2に分割されてもよい。本実施形態にとらわれることなく、別の実施形態において、所定距離の閾値は他の値であってもよい。
【0057】
本実施形態では、前処理後に分割された板は、距離閾値を設定し、その所定距離閾値に従って非エッジ欠陥を統合することにより、その後の処理工程における生産装置の要求をより満たすことができる。好ましくは、所定距離閾値は、板に対する生産装置の最小巻き付け長さに等しいので、分割された板は、生産装置の要件を満たすことができるだけでなく、板を無駄にする不要な欠陥統合も回避できる。
【0058】
板は被処理製品とは異なるため、原欠陥の一部は被処理製品に対して許容されることが理解されるべきである。このとき、すべての原欠陥に対して品質評価を行い、欠陥の種類、等級、サイズ、位置などの情報に従って、許容できる欠陥を解除するようにしてもよい。そして、許容できない欠陥に応じて電子欠陥マップを作成または更新し、最終的に板を小板に分割する。好ましくは、データ入力・処理機能を有するコンピュータ、携帯端末、クラウドサーバ等に記録された板情報、被処理製品の情報、顧客要求等に従って、欠陥の品質評価を自動的に行い、生産効率を向上させることが可能である。
【0059】
本発明の別の実施形態は、さらに、前述の実施形態における欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前処理方法のいずれか1つを含む、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法を開示している。欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法は、被処理製品について各完成品の仕様情報を取得するステップと、各小板のパラメータ情報を取得するステップと、各小板のレイアウトモードに関する決定変数を設定し、決定変数、仕様情報およびパラメータ情報の間に制約条件を設けるステップと、制約条件を満足する各小板のレイアウトモードを解明するステップとを含む。
【0060】
本実施形態では、レイアウトモードを解明する前にのみ仕様情報およびパラメータ情報を取得すればよく、互いの間に順次的な制限や要件は存在しない。本実施形態にとらわれることなく、仕様情報は、欠陥板のネスティングやシャー切断のための前処理を行う前に取得されても後に取得されてもよい。仕様情報は、完成品の幅、完成品の需要量などを含み得、パラメータ情報は、小板の幅、小板の長さなどを含み得、制約条件は、長さ制約条件、幅制約条件、製品歩留まり制約条件などを含み得、仕様情報、パラメータ情報、制約条件は、必要に応じて設定すればよく、本明細書では本実施形態に限定されるものではない。
【0061】
本実施形態では、制約条件を設定することにより、板における各小板のレイアウトモードが解明されるので、科学性が高く、板のネスティングおよびシャー切断の前にレイアウトモードに従って板全体の解を得ることができ、板の処理が容易になり、より正確かつ科学的な板のネスティングおよびシャー切断の生産に有益である。
【0062】
本発明の別の実施形態は、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法を開示し、仕様情報は、完成品の幅を含み、パラメータ情報は、小板の幅、小板の作業側の最大欠陥幅および小板の駆動側の最大欠陥幅を含み、決定変数は、各小板の完成品仕様の板番号を含み、制約条件は、小板の幅に対応する第1の制約条件を含む。
【0063】
本実施形態が開示する欠陥板のネスティングおよびシャー切断のレイアウト方法は、被処理製品に応じて板を一体的に計画し、小板の幅、小板の作業側の最大欠陥幅、小板の駆動側の最大欠陥幅および決定変数を含む第1の制約条件を設けることにより各小板のレイアウト様式を解決するので、板の処理生産が容易となる。また、エッジ欠陥の悪影響を十分に考慮しているので、欠陥に起因する不適格な完成品が処理されることがなく、その後の板の処理工程におけるスクラップ率が大幅に低減される。
【0064】
本発明の別の実施形態は、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のレイアウト方法を開示し、板は、インデックスiを付けた個数mの小板を含み、i=1,2,...,mであり、被処理製品は、インデックスjを付けた合計個数nの完成品仕様を有し、j=1,2,...,nであり、i番目の小板のレイアウトベクトルはX
i=(x
i
1,x
i
2,...,x
i
j,...,x
i
n)として設定され、x
i
jはi番目の小板上の完成品仕様jのストリップ番号を示し、決定変数はx
i
jを含み、第1の制約条件は、
【数9】
を含み、w
jは完成品の幅、W
i
WSは小板の作業側での最大欠陥幅、W
i
DSは小板の駆動側での最大欠陥幅、W
iは小板の幅である。
【0065】
本実施形態において、各小板のレイアウトベクトルは、式(1)に従って解明され得る。レイアウトベクトルは、各小板のレイアウトモード、すなわち、小板上の各完成品に対応するストリップ番号を数学的ベクトルの形に表すものである。レイアウトベクトルに従って、対応するレイアウトモードが得られる。レイアウトモードとエッジ欠陥の幅とに従って、後続の処理工程における各小板のブレード組み立てモードを対応させて得ることができ、これにより、小板の後続の処理生産が容易になる。
【0066】
一実施形態では、板は、幅1100ミリメートル、長さ2000メートルの鋼板である。鋼板の実際の生産工程では、複数のディスクブレードを鋼板の幅方向に沿って配置し、各小板を鋼板の長さ方向に沿ってブレードで完成品ストリップに切断するブレード組み立てモードを採用する。本実施形態では、被処理製品はある種の変圧器であり、実際の処理工程では、鋼板を、顧客の要求する変圧器の仕様に適合した完成品ストリップに処理した後、完成品ストリップを小型コイルに巻き取って顧客に納入することが必要である。変圧器の完成品仕様は、一般的に幅で分類され、1台の変圧器を製造するためには、様々な幅仕様の完成品ストリップが必要となるのが一般的である。本実施形態では、変圧器には対応する18種類の完成品仕様があり、各完成品仕様に対応する幅は以下の表3に示すとおりである。
【0067】
【0068】
完成品の幅wjは、被処理製品が完成した後のj番目の完成品の幅値である。本実施形態では、完成品の幅wjの単位はミリメートルである。そして、前記の表3に従って、w1,...,w18を得ることができる。
【0069】
本実施形態では、鋼板に対応する欠陥情報は、前記の実施形態での表1と同様である。特に、欠陥1および欠陥9は全幅欠陥であり、その後のネスティングおよびシャー切断処理に用いることができない。
図4を参照すると、板を幅方向(
図4に示すX方向)に点線b1、b2、b3、b4に沿って横方向に分割して、長さを小板B1と小板B2に分割するが、穴径が無視できるほど小さく、欠陥2と欠陥3との距離が短すぎるので、2つの欠陥を統合してカスタマイズされた欠陥とすることができる。
【0070】
次に、各小板のレイアウトベクトルが解明される。レイアウトベクトルは、上式(1)を満たす、すなわち、各小板について、完成品仕様に対応する全幅と両側部の最大欠陥幅の合計が小板の幅より大きくはないことを意味する。本実施形態では、小板の幅は鋼板の幅と同じである。ある実施形態では、条件を満たすXiは1つだけであり、別の実施形態では、条件を満たすXiが複数存在してもよいことを理解すべきである。したがって、本実施形態にとらわれることなく、選択可能なレイアウトモードとそれに対応するブレード組み立てモードが1つ以上存在し、そのうちの1つを適宜選択して実際の処理を行うようにしてもよい。
【0071】
本発明の別の実施形態は、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法を開示し、パラメータ情報はさらにマージン既定値を含み、第1の制約条件は、さらに、
【数10】
を含み、w
jは完成品の幅、W
i
WSは小板の作業側での最大欠陥幅、W
i
DSは小板の駆動側での最大欠陥幅、W
iは小板の幅、sはマージン既定値である。
【0072】
本実施形態において、マージン既定値が意味するのは、珪素鋼板などの一部の板は、その製造工程でエッジが不均一になりやすく、そのエッジは最終製品に処理するには適さず、最終製品の品質に影響を及ぼす可能性があるということである。そのため、板の処理時に、エッジにスクラップとして一定のマージンを確保することが望ましい。
図5~
図6を参照すると、板の幅方向(
図6に示すX方向)に沿って小板に分割し、その小板を板の長さ方向(
図6に示すY方向)に沿ってシャー切断する場合、マージン既定値は板の両側部に確保すべき最小幅であり、
図6のY方向と平行な2本の点線c5およびc6を指し得る。本実施形態では、レイアウトモードを解く際に、マージン既定値の要件を考慮するので、板のエッジの要求が高い被処理製品の生産をより良く実施でき、板のスクラップ率をより低減することができる。
【0073】
図6を参照すると、一実施形態では、板に対応する欠陥情報は、前記実施形態の表1の欠陥情報と同じであり、板は点線c1、c2、c3、c4に沿って小板C1と小板C2とに分割される。小板C1に関しては、作業側には欠陥がなく、W
i
WS=0であるのに対し、駆動側には欠陥4と欠陥5があり、W
i
DS=max{50,70}=70ミリメートルである。また、小板C2に関しては、作業側には欠陥7と欠陥8があり、W
i
WS=max{60,50}=60ミリメートルであり、駆動側には欠陥6があり、W
i
DS=40ミリメートルである。さらに、本実施形態では、板のマージン既定値sは20ミリメートルである。第1の制約条件は、さらに、式(2)を含み、この式によって、制約条件を満たすレイアウトベクトルが解明される。本実施形態に拘束されることなく、別の実施形態においても、マージン既定値は他の数値であってもよいことが理解されるべきである。
【0074】
本発明の別の実施形態は、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法を開示し、仕様情報は、完成品の需要量および需要公差をさらに含み、パラメータ情報は、小板の長さをさらに含み、制約条件は、完成品の需要量に対応する第2の制約条件をさらに含む。
【0075】
本実施形態では、第2の制約条件を導入することにより、解明されたレイアウトモードによって板のネスティングおよびシャー切断をより良く計画することができるので、容量の無駄を削減することができる。
【0076】
本発明の別の実施形態は、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法を開示する。板は、インデックスiを付けた個数mの小板を含みi=1,2,...,mであり、被処理製品は、インデックスjを付けた合計個数nの完成品仕様を有し、j=1,2,...,nであり、i番目の小板のレイアウトベクトルはX
i=(x
i
1,x
i
2,...,x
i
j,...,x
i
n)として設定され、x
i
jはi番目の小板上の完成品仕様jのストリップ番号を示し、決定変数はx
i
jを含み、第2の制約条件は、
【数11】
を含み、L
iは小板の長さであり、l
jは完成品の需要量であり、e
jは完成品の需要公差である。
【0077】
本実施形態では、式(3)の支援により、複数の完成品仕様を含む被処理製品を板から処理する必要がある場合に、一部の完成品仕様が過剰生産され他の完成品仕様が不足するという状況を緩和でき、より実生産に近い要求に応え、種々の仕様を有する被処理製品の一括生産を容易とする。需要公差は、特定の完成品仕様を有する被処理製品の、完成品需要量に対する許容範囲である。需要公差の値は、被処理製品の種類や顧客のさまざまな要求に応じて、必要に応じて設定され得る。需要公差は、被処理製品に関する顧客の要求を満たすだけでなく、完成品仕様のマルチストリップ生産を容易にし、さらに小板のシャー切断を容易にするために導入されている。
【0078】
一実施形態では、板は、幅が1100mm、長さが2000mの鋼板である。この鋼板に対応する欠陥情報は、前記の実施形態における表1と同様である。特に、欠陥1および欠陥9は全幅欠陥であり、いずれもその後のネスティング処理およびシャー切断処理に使用することができない。
図4を参照すると、板は、幅方向(
図4に示すX方向)に点線b1、b2、b3、b4に沿って横方向に分割され、長さが小板B1と小板B2に分割されており、穴径は無視できるほど小さく、欠陥2と3との距離が短すぎるので、欠陥2と3を統合してカスタマイズされた欠陥とすることが可能である。小板B1は長さL
1=950―150=800メートル、小板B2は長さL
2=1820―1000=820メートルである。対応する被処理製品の仕様情報は、前述の実施形態での表3を参照することで、e
1,...,e
18を得る。ある実施形態では、需要公差は、需要公差の上限値と需要公差の下限値とをさらに含み得ることを理解されたい。このとき、本実施形態の式(3)において、e
jは、特に需要公差の上限値である。本実施形態では、需要公差の上限の絶対値と需要公差の下限の絶対値は等しく、表3において需要公差と総称して表現する。本実施形態にとらわれることなく、別の実施形態では、需要公差の上限の絶対値と需要公差の下限の絶対値とが異なっていてもよく、また、異なる完成品仕様の需要公差が異なっていてもよい。本実施形態では、決定変数x
i
jも式(3)を満たす必要があり、式(1)および式(3)に従ってレイアウトベクトルX
iを解明することで、各小板のレイアウトモードを求めることが可能である。
【0079】
本発明の別の実施形態は、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法を開示し、パラメータ情報は、製品歩留まりをさらに含み、制約条件は、各小板の製品歩留まりに対応する第3の制約条件をさらに含む。
【0080】
本実施形態において、第3の制約条件を導入することにより、各小板の製品歩留まりを制約し、解明されたレイアウトモードが対応する製品歩留まりの要求を満足するようにしてもよい。
【0081】
本発明の別の実施形態は、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法を開示する。板は、インデックスiを付けた数mの小板を含み、i=1,2,...,mであり、被処理製品は、インデックスjを付けた合計個数nの完成品仕様を有し、j=1,2,...,nであり、i番目の小板のレイアウトベクトルはX
i=(x
i
1,x
i
2,...,x
i
j,...,x
i
n)として設定され、x
i
jはi番目の小板上の完成品仕様jのストリップ番号を示し、決定変数はx
i
jを含み、製品歩留りは最小製品歩留りを含み、第3の制約条件は、
【数12】
を含み、Pは最小製品歩留まり、w
jは完成品の幅、W
iは小板の幅である。
【0082】
本実施形態では、最小製品歩留まりPを設定することにより、解明されたレイアウトモードに対応する各小板の製品歩留まりが所定値以下とならないので、実際の処理生産工程における小板全体の製品歩留まりが大幅に改善される。一実施形態では、Pは80%であり、別の実施形態では、Pは他の値であってもよい。また、本実施形態にとらわれることなく、板の種類、被処理製品の種類等に応じて、最小製品歩留まりPの具体的な数値を設定することができる。
【0083】
本発明の別の実施形態は、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法を開示する。パラメータ情報は、板の生産装置の最小巻き付け長さをさらに含み、決定変数は、完成品の残存需要量と完成品の完成量とをさらに含み、制約条件は、最小巻き付け長さに対応する第4の制約条件をさらに含む。
【0084】
実施形態において、第4の制約条件を導入することにより、解明されたレイアウトモードが適用されると、板に対するネスティングおよびシャー切断が容易になるので、生産効率が改善される。
【0085】
本発明の別の実施形態は、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法を開示する。板は、インデックスiを付けた個数mの小板を含みi=1,2,...,mであり、被処理製品は、インデックスjを付けた合計個数nの完成品仕様を有し、j=1,2,...,nであり、i番目の小板のレイアウトベクトルはX
i=(x
i
1,x
i
2,...,x
i
j,...,x
i
n)として設定され、x
i
jはi番目の小板上の完成品仕様jのストリップ番号を示し、決定変数はx
i
j、y
jおよびz
jを含み、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のレイアウト方法は、さらに:y
jを、完成品仕様jの残存需要量を表す実数変数として設定するステップと、z
jを、完成品仕様jの需要量が完了したかどうかを表す二値変数として設定し、完了した場合、変数を1とし、それ以外の場合、0とするステップと、Mを定数値として設定し、M≧max{l
1,l
2,...,l
n}であるステップとを含み、さらに、第4の制約条件が、
【数13】
を含み、L
iは小板の長さ、l
jは完成品の需要量、e
jは完成品の需要公差であり、さらに、
【数14】
を含み、Nは最小巻き取り長さである。
【0086】
本実施形態では、各小板に対応するレイアウトベクトルに従って全板で生産を行う場合、式(5)を用いて、各完成品の残存需要量yj、すなわち各完成品の未完了値を算出することができる。yjが0より大きい場合、完成品仕様jの需要量が未完成であることを表し、この時点では、zj=0、それ以外の場合は、zj=1である。ある実施形態では、需要公差は、需要公差の上限値と需要公差の下限値とをさらに含んでもよいことが理解されよう。この場合、本実施形態の式(5)において、ejは具体的には、需要公差の下限値である。定値Mが設定され、Mは被処理製品における全完成品の需要量の最大値以上である。式(6)は、ある完成品の需要量が完了しない場合、対応する残存需要量が最小巻取り長さN以上である必要があることを制約することができる。したがって、実際の処理で1枚の板がある完成品の需要量を満たさない場合、同じ生産装置で他の板を使って便利に完成品の残存需要量を満たすことができるので、生産効率を向上させる。
【0087】
一実施形態では、板は、板の幅方向に沿って小板にシャー切断される。このとき、最小巻取り長さは、板の幅方向にシャー切断された隣接する2つの位置の間の最小距離であり、具体的な数値は、生産装置や工程規格の要求に応じて異なる。例えば、具体的な数値は、500メートルであってもよく、また、300メートルであってもよい。
【0088】
本発明の別の実施形態は、板が珪素鋼板である、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法を開示する。例えば、変圧器に必要な珪素鋼板製品のシャー切断処理に関して、処理対象は珪素鋼板のコイルであり、これは、展開された後に大きな長方形の珪素鋼板となる。この珪素鋼板を、顧客の要求する変圧器仕様を持つ完成品ストリップに処理し、完成品ストリップを小さなコイルに巻き取って顧客に納入することができる。変圧器の完成品仕様は幅のことであり、通常、1台の変圧器を製造するために複数の幅の仕様が必要となる。珪素鋼は特殊な製品であり、穴、割れ、斑点、色差、ロールマーク、圧痕、霜降、縞、折り目、傷、表面包含物など様々な欠陥が製造工程で容易に発生する。さらに、変圧器には数多くの完成品仕様があり、珪素鋼板は幅が異なり、欠陥の位置も異なる。実際の生産では、変圧器の複数の完成品仕様が1枚の珪素鋼板に集約されており、欠陥部分をシャー切断して完成品として顧客に提供することはできない。そのため、シャー切断する際には、欠陥品を含む部分を顧客に提供しないように、欠陥部分を遠ざける必要がある。本実施形態が開示するレイアウト方法は、珪素鋼板のレイアウトおよびその後の処理に特に適しており、珪素鋼板のスクラップ率を大幅に低減し、珪素鋼板の製品歩留まりを向上させ、生産コストを低減し、生産効率を向上させることができる。
【0089】
本発明の別の実施形態は、前述の実施形態における欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法のいずれか1つを含む、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための生産最適化方法をさらに開示する。制約条件を満たす各小板のレイアウトモードを解明するステップは、小板のネスティングおよびシャー切断に関する最適化目的を設定するステップと、決定変数、制約条件および最適化目的に従って小板のネスティングおよびシャー切断のモデルを確立するステップと、モデルを解いてレイアウトモードを解明するステップとを含む。
【0090】
本実施形態では、決定変数、制約条件および最適化目的を決定することでモデルを確立するので、各小板のレイアウトモードを迅速かつ効率的に解明できる。また、板処理工程の生産効率を向上させることができ、特にコンピュータ等のデータ処理装置に好適な方法である。一実施形態において、最適化目的は製品歩留まりであってもよい。本実施形態にとらわれることなく、別の実施形態においても、最適化目的は他の目的であってもよく、必要に応じて具体的に設定されてもよい。一実施形態において、モデルは、整数計画モデルであり、線形整数計画法を用いて解かれる。本実施形態にとらわれることなく、別の実施形態では他の方法を用いてモデルを解いてもよい。
【0091】
本実施形態では、板の欠陥情報をデジタル化し、従来の直接シャー切断モードを置き換えることにより、板のネスティングおよびシャー切断の数学モデルを確立し、実際のネスティングおよびシャー切断生産において板を最適に処理し、高い科学性をもって原材料の損失を低減し生産効率を大幅に向上させることが可能である。
【0092】
本発明の別の実施形態は、さらに、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための生産最適化方法を開示する。最適化目的は、小板の平均製品歩留まり、および/または、完成品の完成量の総和を含む。本実施形態において、最適化目的は、小板の平均製品歩留まりであってもよく、また、完成品の完成量の合計であってもよく、さらに、それによって形成される複合最適化目的であってもよい。小板の平均製品歩留まりを最適化目的とした場合、得られたレイアウトモードは、小板の全体的な製品歩留まりをより高くすることができ、完成品の完成量の和を最適化目的とした場合、小板の実際の生産工程において完成品をできるだけ多く完成することができ、前記の目的によって複合最適化目的を形成した場合、製品歩留まりと完成品の完成量がうまくバランスし、総生産コストが低減されることは理解できるはずである。
【0093】
本発明の別の実施形態は、さらに、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための生産最適化方法を開示する。板は、インデックスiを付けた個数mの小板を含み、i=1,2,...,mであり、被処理製品は、インデックスjを付けた合計個数nの完成品仕様を有し、j=1,2,...,nであり、i番目の小板のレイアウトベクトルはX
i=(x
i
1,x
i
2,...,x
i
j,...,x
i
n)として設定され、x
i
jはi番目の小板上の完成品仕様jのストリップ番号を示し、決定変数はx
i
jとz
jを含み、z
jは、完成品仕様jの需要量が完了したかどうかを表し、完了した場合、変数は1とし、完了していない場合、0とし、最適化目的は、小板の平均製品歩留まりおよび完成品の完了量の合計を含み、小板の平均製品歩留まりは、以下の第1の最適化目的として設定され、
【数15】
w
jは完成品の幅、W
iは小板の幅であり、完成品の完成量の合計は、以下の第2の最適化目的として設定され、
【数16】
最適化目的は、第1の最適化目的と第2の最適化目的とを重量和することによって得られる。
【0094】
本実施形態では、第1の最適化目的と第2の最適化目的とを組み合わせて重み付けし、一定の割合に従って最適化目的を求めるので、製品歩留まりと完成品の完成量とのバランスが良くなり、総生産コストを低減させることができる。一実施形態において、完成品仕様jの需要量が完了したかどうかは、残存需要量が0より大きいかどうかを計算することによって決定されてもよい。2つの最適化目的のそれぞれの重みは、パラメータ情報、重要度等に従って調整され得ることを理解されたい。例えば、一実施形態において、obj2に対するobj1の重みの比率は、2:1、3:1などであってもよい。本実施形態にとらわれることなく、別の実施形態ではobj1とobj2の重みは、他の値であってもよい。
【0095】
本発明の別の実施形態は、さらに、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための生産最適化方法を開示する。パラメータ情報は、小板の長さを含む。欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための生産最適化方法は、電子欠陥マップ、パラメータ情報およびレイアウトモードに従って制御命令を発行するステップと、制御命令に従って板に対してネスティングおよびシャー切断を行うステップとをさらに含む。
【0096】
本実施形態では、電子欠陥マップとパラメータ情報から、板の寸法と、板上の各小板の位置とサイズを決定することができる。板処理時に板を板幅方向に沿って小板にシャー切断し、その後、各小板を板長方向に沿って完成品ストリップに切断する工程を例にとれば、実際の生産工程で板長方向にシャー等の横切断装置を使用する必要がある位置をこの時点で決定し、板を板幅方向に沿って各種の小板に切断するようにすれば、板の横切断解を得ることができる。各小板を処理するとき、電子欠陥マップと各小板のレイアウトモードに従って、板幅方向にブレードなどの縦切断装置を使用する必要がある位置を決定し、小板を板長方向の完成品に対応する完成品ストリップに切断するようにしてもよく、したがって、各小板の縦切断ブレード組み立て解が得られ、さらに板全体のネスティング切断とシャー切断解が決定される。このとき、板のネスティング切断およびシャー切断解に対応する制御指示が出され、その制御指示に従って板の対応する位置で横切断または縦切断を順次完了させる。
【0097】
本実施形態によれば、板の処理前に板の一体型ネスティングおよびシャー切断解を決定することにより、板処理工程における装置の使用を容易にし、実際の処理工程における板の生産効率を向上させることができる。
【0098】
板は、インデックスiを付けた個数mの小板を含み、i=1,2,...,mであり、被処理製品は、インデックスjを付けた合計個数nの完成品仕様を有し、j=1,2,...,nであり、i番目の小板のレイアウトベクトルはXi=(xi
1,xi
2,...,xi
j,...,xi
n)として設定され、xi
jはi番目の小板上の完成品仕様jのストリップ番号を示す。
【0099】
一実施形態では、板は幅1100ミリメートル、長さ2000メートルの珪素鋼板であり、対応する欠陥情報は前記実施形態の表1に示す通りである。表1に従って板上の原欠陥を決定し、板と欠陥をデジタル化して電子欠陥マップを作成することができる。
図5乃至
図6を参照すると、本実施形態では、板を幅方向(
図5乃至
図6に示すX方向)に沿って、WS側(作業側)、中央WS側(中央作業側)、中央DS側(中央駆動側)、DS側(駆動側)の4領域に分割している。板の長さ方向(
図5および
図6に示すY方向)に沿って、板の実処理時のブレード組み立て場所を起点、すなわち長さ0メートル位置として設定する。別の実施形態では、他の方法によって欠陥の位置を決定してもよい。この板には、被処理製品として許容できない原欠陥が9個存在する。
図6を参照すると、表1による9個の原欠陥が示されており、板の寸法情報に従って対応する電子欠陥マップが得られ、各欠陥に対応する領域が
図6の斜線部分を指して図示されている。本実施形態では、最小巻取り長を500メートルとした。原欠陥2と原欠陥3は、板の長さ方向に沿ってカスタマイズされた欠陥に統合され、その後、板は原欠陥とカスタマイズされた欠陥に従って、点線c1、c2、c3、c4に沿って2つの小板C1、C2に分割される。
【0100】
特に、小板C1は、長さ=950-150=800メートルであり、小板C2は、長さ=1820-1000=820メートルである。本実施形態では、マージン既定値sを20ミリメートルとし、各小板の両側の確保幅の要件を以下のように計算する:小板C1の作業側の要件=マージン既定値s=20ミリメートル、小板C1の駆動側の要件=max{マージン既定値s,wDS1}=max{20,70}=70ミリメートル。小板C2の作業側の要求=max{マージン既定値s,wDS2}=max{20,60}=60ミリメートル、および小板C2の駆動側の要件=max{マージン既定値s,wDS2}=max{20,40}=40ミリメートル。
【0101】
本実施形態では、被処理製品は、全部で18種類の完成品仕様を有する変圧器であり、対応する仕様情報は、前述の実施形態の表3に示すとおりである。本実施形態では、最小製品歩留まりP=80%、定数値M=1000000を採用し、各完成品の残存需要量は
【数17】
であり、z
jは、被処理製品における完成品仕様jの需要量が完了したかどうかを表す二値変数として設定される。被処理製品における完成品仕様jの需要量が完了している場合はz
jを1とし、被処理製品における完成品仕様jの需要量が完了していない場合はz
jを0とし、モデルを構築し、解いて、以下の制約条件と最適化目的を満たす各小板のレイアウトベクトルX
i=(x
i
1,x
i
2,...,x
i
j,...,x
i
n)を得る。
【数18】
w
jは完成品の幅、W
i
WSは小板の作業側の最大欠陥幅、W
i
DSは小板の駆動側の最大欠陥幅、W
iは小板の幅、sはマージン既定値、L
iは小板の長さ、l
jは完成品の需要量、e
jは完成品の需要公差、Nは最小巻き取り長さであり、N=500メートルである。
【0102】
本実施形態では、小板の平均製品歩留まりを第1の最適化目的とし、完成品の完成量の総和を第2の最適化目的とする。2つの目的は、1:1の比率で重み付けされ、最適化目的を形成するために結合される。解いた結果、以下が得られる。
【数19】
【数20】
【0103】
したがって,得られた珪素鋼板のネスティングとシャー切断の解は,以下のようになる。
(1)横切断解:板をそれぞれ150メートル、950メートル、1000メートル、1820メートルの位置で横方向にシャー切断することにより、板を小板C1と小板C2に分割する。
【0104】
(2)縦切断ブレード組み立て方法:小板C1のブレード組み立て方法:580+220+205(すなわち、完成品仕様2、16、18がネスティングになっている)、合計幅=1005ミリメートル、製品歩留まり=91.36%、小板C2のブレード組み立て解:580+420(すなわち、完成品仕様2と10がネスティングになっている)、合計幅=1000ミリメートル、製品歩留まり=90.91%、完成品の完成統計:完成品仕様2の需要量が完成した。
【0105】
次に、その解に従って制御指示を出し、珪素鋼板のネスティングとシャー切断の工程を完了させる。
【0106】
上記の生産最適化方法により、珪素鋼板の平均製品歩留まりを高くし、珪素鋼板のスクラップ率を大幅に減少させることができる。さらに、より多くの完成品を完成させることができ、すべての未完成完成品の残存需要量は最小巻取り長さより大きく、被処理製品の生産が容易になる。また、最初に最適化目的に従って板全体の解を計画し、その後、実用的な処理を行うので、高い科学性を提供し、生産コストを下げ、生産効率を向上させることができる。
【0107】
本発明の別の実施形態はさらに、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前処理システムを開示し、システムは、前述の実施形態における欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前処理方法のいずれか1つによって板を処理する処理装置を備えている。処理装置は、コンピュータ、ワンチップマイクロコンピュータ、携帯端末、サーバおよび、データ処理機能を有する他の装置であってもよい。
【0108】
以上の技術的解決策を利用することにより、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前処理システムは、板処理におけるスクラップ率を低減させることができる。
【0109】
任意選択で、前処理システムは、表示装置をさらに含み、表示装置は、前処理された板の模式図を表示するので、製造者は、欠陥を便利に確認することができる。
【0110】
本発明の別の実施形態はさらに、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウトシステムを開示し、システムは、前述の実施形態における欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法のいずれか1つによって板を処理する処理装置を備えている。
【0111】
上記の技術的解決策を利用することにより、欠陥板用レイアウトシステムによって各小板のレイアウトモードを得ることができ、板の処理生産が容易になる。すなわち、生産工程におけるブレード組み立てモードは、その後のネスティングおよびシャー切断を実施するように、レイアウトベクトルに従って決定され得る。
【0112】
本発明の別の実施形態は、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための生産最適化システムをさらに開示し、生産最適化システムは、前述の実施形態における欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための生産最適化方法によって板を処理する処理装置と、処理装置から送信された解を受信し、解に従って制御命令を発する制御装置と、制御命令を受信し、制御命令に従って板に対するネスティングおよびシャー切断を行う生産装置とを備えている。
【0113】
上記技術的解決策を利用することにより、欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための生産最適化システムにより、板処理工程における生産効率を向上させることができる。
【0114】
本発明の別の実施形態はさらに、演算装置を開示し、演算装置は、様々な命令を実装するプロセッサと、プロセッサが前述の実施形態における欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前処理方法のいずれか1つをロードして実行するための複数の命令を記憶するメモリとを備えている。
【0115】
本発明の別の実施形態はさらに、演算装置を開示し、演算装置は、様々な命令を実装するためのプロセッサと、プロセッサが前述の実施形態における欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法のいずれか1つをロードし実行するための複数の命令を記憶するためのメモリとを備えている。
【0116】
本発明の別の実施形態はさらに、演算装置を開示し、演算装置は、様々な命令を実装するためのプロセッサと、プロセッサが前述の実施形態における欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための生産最適化方法のいずれか1つをロードして実行するための複数の命令を記憶するためのメモリとを備えている。
【0117】
本発明の別の実施形態は記憶媒体を開示し、記憶媒体は、プロセッサが前述の実施形態における欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための前処理方法のいずれか1つをロードして実行するための複数の命令を記憶する。
【0118】
本発明の別の実施形態はさらに記憶媒体を開示し、記憶媒体は、プロセッサが前述の実施形態における欠陥板のネスティングおよびシャー切断のためのレイアウト方法のいずれか1つをロードして実行するための複数の命令を記憶する。
【0119】
本発明の別の実施形態はさらに記憶媒体を開示し、記憶媒体は、プロセッサが前述の実施形態における欠陥板のネスティングおよびシャー切断のための生産最適化方法のいずれか1つをロードして実行するための複数の命令を記憶する。
【0120】
本願が開示する実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせで実装されてもよい。本願の実施形態は、少なくとも1つのプロセッサ、ストレージシステム(揮発性および不揮発性メモリおよび/または記憶素子を含む)、少なくとも1つの入力装置、および少なくとも1つの出力装置を含むプログラマブルシステム上で実行されるコンピュータプログラムまたはプログラムコードとして実装されてもよい。プログラムコードは、本願で説明する機能を実行し、出力情報を生成するために、入力命令に適用されてもよい。出力情報は、既知の方法で1つ以上の出力デバイスに適用されてもよい。本願の目的のために、処理システムは、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはマイクロプロセッサのようなプロセッサを有する任意のシステムを含む。
【0121】
プログラムコードは、処理システムと通信するために、高レベルの手続き型言語またはオブジェクト指向のプログラミング言語で実装されてもよい。また、プログラムコードは、所望により、アセンブリ言語または機械語で実装されてもよい。実際、本願に記載された機構は、特定のプログラミング言語の範囲に限定されることはない。いずれにしても、言語は、コンパイルされた言語または解釈された言語であってよい。
【0122】
場合によっては、開示される実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。開示される実施形態は、1つ以上の一時的もしくは非一時的機械可読(例えば、コンピュータ可読)記憶媒体によって担持されるか、または記憶される命令として実装されてもよく、命令は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行されてもよい。例えば、ネットワークや他のコンピュータ可読媒体を介して命令を配布してもよい。このように、機械可読媒体は、情報を機械可読(例えば、コンピュータ可読)な形式で記憶または伝送するためのあらゆる機構を含んでもよく、例えば、限定はしないが、フロッピーディスク、光ディスク、コンパクトディスク、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD‐ROM)、光磁気ディスク、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、磁気カード、光カード、フラッシュメモリ、または電気、光、音などの伝搬信号の形でインターネットを利用して情報を伝送するための有形の機械読可読メモリ(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)を含む。したがって、機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)可読形式で電子的命令または情報を記憶または伝送するのに適した任意のタイプの機械可読媒体を含む。
【0123】
図面において、いくつかの構造または方法の特徴は、特定の配置および/または順序で示されることがある。しかし、そのような特定の配置および/または順序は必要でない場合があることを理解されたい。むしろ、いくつかの実施形態では、特徴は、例示的な図に示されるものとは異なる方法および/または順序で配置されてもよい。加えて、特定の図に含まれる構造または方法の特徴は、そのような特徴が全ての実施形態において必要であることを意味するものではなく、いくつかの実施形態では、含まれていなくてもよく、または他の特徴と組み合わされてもよい。
【0124】
なお、本願の各装置の実施形態で述べた各モジュール/装置は、論理モジュール/装置であり、物理的には、1つの論理モジュール/装置が1つの物理モジュール/装置であってもよく、1つの物理モジュール/装置の一部であってもよく、複数の物理モジュール/装置の組み合わせにより実装されてもよい。論理モジュール/装置自体の物理的な実装態様は最も重要なわけではなく、論理モジュール/装置が実装する機能の組み合わせが、本願が提案する技術的課題を解決する鍵である。さらに、本願の発明部分を強調するために、本願の上記装置実施形態は、本願が提案する技術的課題を解決するためにそれほど密接に関連しないモジュール/装置を導入していないが、これは、上記装置実施形態に他のモジュール/装置が存在しないことを示すものではない。
【0125】
本発明は、本発明の特定の好ましい実施形態を参照して図示および説明してきたが、特定の実施形態と組み合わせて本願にさらなる詳細な説明がなされること、また、本発明のその特定の実施形態は、それに限定されると解釈されないことは、当業者には理解されよう。単純な控除または置換を含めた形態および詳細における様々な変更は、本発明の真髄および範囲から逸脱することなく、当業者によって行われてよい。