(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】釣用のルアー
(51)【国際特許分類】
A01K 85/01 20060101AFI20240828BHJP
A01K 85/16 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
A01K85/01 Z
A01K85/16
(21)【出願番号】P 2023033277
(22)【出願日】2023-03-06
(62)【分割の表示】P 2020038754の分割
【原出願日】2020-03-06
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】八木 啓之
(72)【発明者】
【氏名】若林 健一
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-187246(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0010984(US,A1)
【文献】特開2021-061975(JP,A)
【文献】特開平11-009144(JP,A)
【文献】米国特許第02629960(US,A)
【文献】特開2002-330668(JP,A)
【文献】特開2010-154762(JP,A)
【文献】実開昭60-057978(JP,U)
【文献】特開平11-018629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/00 - 85/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣用のルアーであって、
内部に空洞を備える本体部と、
端部が該本体部に支持される支持部材と、
該支持部材に支持され、揺動する揺動部材と、を備え、
該揺動部材は、前記本体部の外部から視認可能であり、該揺動部材は
外部光の反射のための3面以上の反射面を備える多面体であり、該揺動部材の延伸方向に垂直な断面でみて、
六角形又は八角形の多角形
、星状又はプロペラ状に形成される
ものであり、
前記支持部材は、前記揺動部材の延伸方向に垂直な断面でみて、該揺動部材の中心位置で該揺動部材を支持することを特徴とするルアー。
【請求項2】
前記揺動部材は、ボールベアリングを介して前記支持部材に支持されている、請求項
1に記載のルアー。
【請求項3】
前記揺動部材は、バネ部材を介して前記支持部材に支持されている、請求項
1に記載のルアー。
【請求項4】
前記支持部材は、円柱状に形成される、請求項1から
3までのいずれか1項に記載のルアー。
【請求項5】
前記支持部材は、1又は複数のアイである、請求項1から
3までのいずれか1項に記載のルアー。
【請求項6】
前記揺動部材は、1又は複数の揺動部分を備える、請求項1から
5までのいずれか1項に記載のルアー。
【請求項7】
前記揺動部材に錘が設けられる、請求項1から
6までのいずれか1項に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣用のルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ルアーフィッシングでは、フィッシュイーターを捕獲するため、小魚等のベ
イトに疑似された疑似餌(ルアー)が用いられている。このようなルアーとして、餌木、
スプーン、プラグ、スピナー、ジグ、プラスチックルアー等様々な種類のものが知られて
いる。
【0003】
このようなルアーの1つとして、特許文献1には、フィッシングに用いる疑似餌等の魚
誘引具に係り、特に本体内に光線を反射する物体を液体と共に封入して反射体の移動によ
り複雑な反射光を発現し、釣果を上げることが出来るようにした魚誘引具が開示されてい
る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような漁誘引具では、光を反射する小片を液体と共に封入
するための大きな空間が必要となるものの、ルアーのサイズよってはそのような空間を設
けること自体が難しい場合もあった。また、同文献1のような漁誘引具では、光の反射を
もたらし得るものの、小片に当たる外部からの光の角度によっては、反射光がフィッシュ
イーターに届かないために、魚の誘引効果が必ずしも高くならないという問題もあった。
【0006】
本発明の実施形態は、より小さい空間でより確実にフィッシュイーターを誘引すること
が可能な誘引機構を備えたルアーを提供することを目的の一つとする。本発明の実施形態
の他の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアーは、内部に空洞を備える本体部と、端部が該本
体部に支持される支持部材と、該支持部材に支持され、揺動する揺動部材と、を備え、該
揺動部材は、前記本体部の外部から視認可能であり、該揺動部材の延伸方向に垂直な断面
でみて少なくともその一部が、円形、多角形、波状、星状に形成される。
【0008】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアーにおいて、該揺動部材は、外部からの光を反射
するよう構成される。
【0009】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアーにおいて、該揺動部材の少なくとも一部は、円
柱、波形、多角体、多面体、球体に形成される。
【0010】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアーにおいて、該支持部材は、該揺動部材の延伸方
向に垂直な断面でみて、該揺動部材の中心位置若しくは該中心位置から偏心された位置で
該揺動部材を支持するよう構成される。
【0011】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアーにおいて、該揺動部材は、ボールベアリングを
介して該支持部材に支持されている。
【0012】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアーにおいて、該揺動部材は、バネ部材を介して該
支持部材に支持されている。
【0013】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアーにおいて、該支持部材は、円柱状に形成される
。
【0014】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアーにおいて、該支持部材は、1又は複数のアイで
ある。
【0015】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアーにおいて、該揺動部材は、1又は複数の揺動部
分を備えるよう構成される。
【0016】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアーにおいて、該揺動部材に錘が設けられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の様々な実施形態によって、より小さい空間でより確実にフィッシュイーターを
誘引することが可能な誘引機構を備えたルアーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(a)‐(d)は、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1の揺動部材の断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1の概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1の揺動部材の支持構造を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1の揺動部材の支持構造を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1の揺動部材の支持構造を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1の揺動部材の支持構造を示す図である。
【
図7】(a)‐(g)は、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1の揺動部材の斜視図である。
【
図8】(a)‐(c)は、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1の揺動部材の斜視図である。
【
図9】(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1の揺動部材の支持構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の様々な実施形態を適宜図面を参照して説明する。なお、図面における共
通する構成要素には同一の参照符号が付されている。
【0020】
図1、2を参照して、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1について説明する。図
1、2に示すように、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1は、内部に空洞11を備
える本体部2と、端部13が該本体部2に支持される支持部材3と、該支持部材3に支持
され、揺動する揺動部材4と、を備え、該揺動部材4は、該本体部2の外部から視認可能
であり、該揺動部材4の延伸方向Xに垂直な断面でみて少なくともその一部が、円形(図
1a)、多角形(
図1b)、波状(
図1c)、星状(
図1d)に形成される。本発明の一
実施形態に係る釣用のルアーにおいて、該揺動部材は、外部からの光を反射するよう構成
される。また、
図2の例では、該揺動部材4に錘14が設けられており、このようにする
ことで、揺動部材4の揺動をより長く持続させることができる。なお、支持部材3は、揺
動部材4と一体に成形されるようにしてもよい。この場合、例えば、支持部材3は揺動部
材4と共に樹脂成型品であってもよい。
【0021】
また、揺動部材4は、樹脂や金属等の材料を用いることができる(これらに限られない
)が、ルアー全体の重量を考慮して、適宜中間層や内側層に発泡体を用いてもよい。また
、ルアー全体の重量を考慮して、適宜揺動部材4の不要な部分を肉抜きや中空とするよう
にしてもよい。
【0022】
本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1により、より小さい空間でより確実にフィッ
シュイーターを誘引することが可能な誘引機構を備えたルアーを提供することができる。
より具体的には、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1により、揺動部材4が支持部
材3回りに回転させることができ、本体部内部への衝突を回避しながら、揺動部材4の移
動範囲を抑制することで空洞のスペースを最小限なものとすることができる。また、本発
明の一実施形態に係る釣用のルアー1により、揺動部材4が外部から受光する光を様々な
方向に反射させることが可能となることで、反射光がフィッシュイーターにも確実に届く
ため、誘引効果を大幅に高めることが可能となる。
【0023】
図2、3、4を参照して、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1についてさらに説
明する。当該揺動部材4は支持部材3に支持されており、図示の例では、該支持部材3は
、本体部2に設けられた支持受部5により支持されている。また、図示のように、支持部
材3の紙面の横方向端部A、B及び紙面の縦方向端部C、Dは共に先端に向かうにつれ尖
るよう(凸状)に形成することができる。このようにすることで、ルアーの僅かな動きに
反応して、揺動部材4を揺動させることができると共に、揺動時間を長くすることが可能
となる。
【0024】
また、
図2、3に示すように、本体部2に設けられた支持受部5の先端も尖るように形
成することができる。このようにすることで、ルアーの僅かな動きに反応して、支持受部
5が支持部材3を介して、揺動部材4をより揺動させることができると共に、揺動時間を
さらに長くすることが可能となる。
【0025】
ここで、
図2、3、4に示す支持部材3及び支持受部5の形状を例示であり、これら以
外にも様々な態様(例えば、円柱状など)が考えられるが、特定の態様に限定されるもの
ではないことを付言する。
【0026】
図5に支持受部5のその他の例を示す。図示の例では、本体部2とは別に設けられた支
持受部5はリング状部材として形成され、その内側面が凸状に形成されている。この場合
、支持部材3(図示の例では、断面が三角形状であるがこれに限られない)は、支持受部
5を貫通するようにして支持受部5の内側面で支持される。当該支持受部5は、金属若し
くは樹脂により形成することができる。このようにすることで、ルアーの僅かな動きに反
応して、揺動部材4を揺動させることができると共に、揺動時間を長くすることが可能と
なる。
【0027】
図6に支持受部5のその他の例を示す。図示の例では、本体部2にボールベアリング1
5を設け、支持部材3を回転可能に支持するようにしている。このようにすることで、ル
アーの僅かな動きに反応して、揺動部材4を揺動させることができると共に、揺動時間を
長くすることが可能となる。
【0028】
次に、
図7を参照して、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1の揺動部材4につい
て説明する。本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1において、該揺動部材4(若しく
は該揺動部材4の少なくとも一部でもよい)は、円柱(
図7a)、波形(
図7b、c)、
多角体(複数の多角体で構成されている態様も含む)(
図7d、e)、多面体(プロペラ
型の態様も含む)(
図7f)、球体(
図7g)に形成することができる。このようにする
ことで、より小さい空間で多方向に光を反射できより確実にフィッシュイーターを誘引す
ることが可能な誘引機構を備えたルアーを提供することができる。
【0029】
より具体的には、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1により、揺動部材4が支持
部材3回りに回転させることができ、本体部内部への衝突を回避しながら、揺動部材4の
移動範囲を抑制することで空洞のスペースを最小限なものとすることができる。また、本
発明の一実施形態に係る釣用のルアー1により、揺動部材4が外部から受光する光を様々
な方向に反射させることが可能となることで、反射光がフィッシュイーターにも確実に届
くため、誘引効果を大幅に高めることが可能となる。
【0030】
次に、
図8を参照して、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1について説明する。
本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1において、該支持部材3は、該揺動部材4の延
伸方向Xに垂直な断面でみて、該揺動部材4の中心位置(
図7の各態様)若しくは該中心
位置から偏心された位置(
図8の各態様)で該揺動部材4を支持するよう構成される。
【0031】
図8aに示すように、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1において、支持部材3
に支持された揺動部材4が略ラグビーボールの形状のように形成されており、全体として
多角体に形成されている。このように、支持部材3の支持位置を揺動部材4の中心位置か
ら偏心させることで、揺動部材4をより確実に揺動させながら、本体部内部への衝突も極
力低減することができる。また、揺動部材4を多角体に形成することで、揺動部材4が外
部から受光する光を様々な方向に反射させることが可能となることで、反射光がフィッシ
ュイーターにも確実に届くため、誘引効果を大幅に高めることが可能となる。
【0032】
次に、
図8bに示すように、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1において、支持
部材3に支持された揺動部材4が略ラグビーボールの形状のように形成されており、表面
にホログラムが貼付されている。
図8aの場合と同様に、支持部材3の支持位置を揺動部
材4の中心位置から偏心させることで、揺動部材4をより確実に揺動させながら、本体部
内部への衝突も極力低減することができる。また、揺動部材4にホログラムを貼付するこ
とで、
図8aの多角体の場合と同様に、揺動部材4が外部から受光する光を様々な方向に
反射させることが可能となることで、反射光がフィッシュイーターにも確実に届くため、
誘引効果を大幅に高めることが可能となる。
【0033】
次に、
図8cに示すように、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1において、支持
部材3に支持された揺動部材4が波形状のように形成されている。
図8a、bの場合と同
様に、支持部材3の支持位置を揺動部材4の中心位置から偏心させることで、揺動部材4
をより確実に揺動させながら、本体部内部への衝突も極力低減することができる。また、
揺動部材4を波形状とすることで、
図8a、bの場合と同様に、揺動部材4が外部から受
光する光を様々な方向に反射させることが可能となることで、反射光がフィッシュイータ
ーにも確実に届くため、誘引効果を大幅に高めることが可能となる。
【0034】
次に、
図9を参照して、本発明の一実施形態に係る釣用のルアー1の揺動部材4の支持
構造について説明する。
図9aに示すように、本発明の一実施形態に係る釣用のルアーに
おいて、該支持部材3は、1又は複数のアイ16により本体部に接続されている。このよ
うにして、アイ16を揺動部材4の支持のためにも効果的に用いることが可能となる。
【0035】
また、
図9bに示すように、本発明の一実施形態に係る釣用のルアーにおいて、該支持
部材3は、バネ部材17により本体部2に接続されている。このようにして、バネ部材1
7により揺動部材4を支持することで、揺動部材4をより確実に揺動させることができる
。
【0036】
図9のいずれの場合も、アイ16の接触部分は、ナイフエッジ状(鋭利な形状)に形成
されると揺動をより滑らかなものとすることができる。
【0037】
なお、上記説明した各態様において、揺動部材4は、複数の揺動部分を備えるよう構成
してもよい。この場合、1又は複数の支持部材3により、揺動部材4を支持するように構
成することができる。このようにして、揺動部材4の複数の揺動部分が外部から受光する
光を様々な方向に反射させることが可能となることで、反射光がフィッシュイーターにも
確実に届くため、誘引効果を大幅に高めることが可能となる。
【0038】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説
明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、
材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に
説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態に
おいて説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0039】
1 ルアー
2 本体部
3 支持部材
4 揺動部材
5 支持受部
11 空洞
13 端部
14 錘
15 ボールベアリング
16 アイ
17 バネ部材