(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】液体処理装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20240828BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20240828BHJP
C02F 1/461 20230101ALI20240828BHJP
B01F 21/00 20220101ALI20240828BHJP
B01F 23/231 20220101ALI20240828BHJP
B01F 23/2373 20220101ALI20240828BHJP
B01F 23/2375 20220101ALI20240828BHJP
B01F 35/11 20220101ALI20240828BHJP
【FI】
A61M1/16 161
C02F1/44 A
C02F1/44 H
C02F1/461 A
B01F21/00
B01F23/231
B01F23/2373
B01F23/2375
B01F35/11
(21)【出願番号】P 2023150606
(22)【出願日】2023-09-15
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】591201686
【氏名又は名称】株式会社日本トリム
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】三宅 正人
(72)【発明者】
【氏名】山内 悠平
(72)【発明者】
【氏名】小泉 義信
(72)【発明者】
【氏名】名木 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】小河原 賢一郎
【審査官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-142209(JP,A)
【文献】特開2016-013349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00-1/38
B01F 21/00-25/90
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に対して水素を溶解させる水素溶解装置と、
前記液体に対して逆浸透膜処理を行う逆浸透膜処理装置と、
前記液体の中に気泡を生成させる気泡生成装置と、
前記水素溶解装置、逆浸透膜処理装置、及び前記気泡生成装置を通液可能に接続することにより形成された流路と、
を有し、
前記流路が、
前記水素溶解装置及び前記逆浸透膜処理装置の双方を通過する経路で前記液体を通過させる主流路と、
前記主流路を外れる経路で前記液体を通過させる副流路と、
を有し、
前記気泡生成装置により生成された気泡を含む液体を前記副流路に通過させることができるものであり、
前記主流路が、前記水素溶解装置及び前記逆浸透膜処理装置の双方を通過する経路で前記液体が循環する循環流を形成可能なものであり、
前記循環流を形成するように前記主流路に液体を循環させることにより、前記主流路、前記水素溶解装置、及び前記逆浸透膜処理装置を含む構成を洗浄する主流路洗浄運転と、
前記気泡生成装置により生成された気泡を含む液体を前記副流路に通過させることにより、前記副流路を含む構成を洗浄する副流路洗浄運転と、
を行えること、を特徴とす
る液体処理装置。
【請求項2】
前記気泡生成装置が前記主流路に設けられており、
前記主流路及び前記副流路が連通した状態において、前記気泡生成装置により生成された気泡を含む液体を前記主流路及び前記副流路に流すことにより、前記主流路洗浄運転及び前記副流路洗浄運転を行えること、を特徴とする請求項
1に記載の液体処理装置。
【請求項3】
前記気泡生成装置が、前記副流路に対して接続されていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の液体処理装置。
【請求項4】
前記気泡生成装置が、前記流路において前記水素溶解装置と前記逆浸透膜処理装置との間となる位置、及び前記水素溶解装置の少なくともいずれかに接続されていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の液体処理装置。
【請求項5】
水素を溶解させた前記液体から脱気した水素を前記気泡生成装置に対して供給する脱気水素供給路を有すること、を特徴とする請求項1又は2に記載の液体処理装置。
【請求項6】
水素を選択的に抽出するフィルタが前記脱気水素供給路に設けられること、を特徴とする請求項
5に記載の液体処理装置。
【請求項7】
前記気泡生成装置が、前記液体に含まれている水素を微細化した気泡を生成するものであること、を特徴とする請求項1又は2に記載の液体処理装置。
【請求項8】
前記流路において前記液体を圧送する圧送装置と、
制御装置と、
を有し、
前記気泡生成装置が、前記液体内の圧力を低下させることで、前記液体に含まれる水素を微細化した気泡を生成するものであり、
前記制御装置が、前記気泡生成装置における圧力低下に応じて、前記気泡生成装置から送出される前記液体の圧力が所定の圧力条件を満足するように前記圧送装置の出力を制御すること、を特徴とする請求項1又は2に記載の液体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血液透析において透析患者に酸化ストレスが発生することが知られている。これは、透析時に発生する活性酸素が原因であると考えられており、この活性酸素を消去して酸化ストレスの軽減を図ることが提案されている。
【0003】
このような知見に基づき、例えば、逆浸透膜(RO膜)で処理され、純化した水(以下、「逆浸透水」という。)に水素を溶存させることにより、高濃度の水素が溶存する透析液を製造する方法が提案されている。そして、この透析液を使用することにより、水素を生体内のヒドロキシラジカルと反応させ、酸化ストレスや炎症反応を抑制することができる。このような透析液を生成するために現粉末を希釈する透析用水を製造するための装置として、例えば下記特許文献1に開示されているような透析用水製造装置が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、本発明者らは、上記特許文献1に開示されているような透析用水製造装置において、メンテナンスのために洗浄を行うための構成について検討した。特許文献1の透析用水製造装置等においては、電解槽等の装置や機器類、及びこれらの装置等に対して接続された管路によって構成される流路(主流路)おいて、洗浄用の水や薬液を循環させる等して、洗浄運転を行うことが考えられる。しかしながら、このような構成とした場合には、例えば電解槽から酸素が溶存した水を排出するための管路等のように、主流路を外れる経路で水を通過させる副流路には洗浄用の水や薬液が流れず、主流路に比べて洗浄しにくい可能性があるとの知見が得られた。
【0006】
そこで本発明は、水素を溶解させるための水素溶解装置等を通過する経路で液体を通過させる主流路と、主流路を外れる経路で水を通過させる副流路とを備えつつ、副流路の洗浄を十分に行うことが可能な液体処理装置の実現を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の液体処理装置は、液体に対して水素を溶解させる水素溶解装置と、前記液体に対して逆浸透膜処理を行う逆浸透膜処理装置と、前記液体の中に気泡を生成させる気泡生成装置と、前記水素溶解装置、逆浸透膜処理装置、及び前記気泡生成装置を通液可能に接続することにより形成された流路と、を有し、前記流路が、前記水素溶解装置及び前記逆浸透膜処理装置の双方を通過する経路で前記液体を通過させる主流路と、前記主流路を外れる経路で前記液体を通過させる副流路と、を有し、前記気泡生成装置により生成された気泡を含む液体を前記副流路に通過させることができること、を特徴とするものである。
【0008】
(2)本発明の液体処理装置は、前記主流路が、前記水素溶解装置及び前記逆浸透膜処理装置の双方を通過する経路で前記液体が循環する循環流を形成可能なものであり、前記循環流を形成するように前記主流路に液体を循環させることにより、前記主流路、前記水素溶解装置、及び前記逆浸透膜処理装置を含む構成を洗浄する主流路洗浄運転と、前記気泡生成装置により生成された気泡を含む液体を前記副流路に通過させることにより、前記副流路を含む構成を洗浄する副流路洗浄運転と、を行えるものであると良い。
【0009】
(3)本発明の液体処理装置は、前記気泡生成装置が前記主流路に設けられており、前記主流路及び前記副流路が連通した状態において、前記気泡生成装置により生成された気泡を含む液体を前記主流路及び前記副流路に流すことにより、前記主流路洗浄運転及び前記副流路洗浄運転を行えるものであると良い。
【0010】
(4)本発明の液体処理装置は、前記気泡生成装置が、前記副流路に対して接続されているものであると良い。
【0011】
(5)本発明の液体処理装置は、前記気泡生成装置が、前記流路において前記水素溶解装置と前記逆浸透膜処理装置との間となる位置、及び前記水素溶解装置の少なくともいずれかに接続されているものであると良い。
【0012】
(6)本発明の液体処理装置は、水素を溶解させた前記液体から脱気した水素を前記気泡生成装置に対して供給する脱気水素供給路を有するものであると良い。
【0013】
(7)本発明の液体処理装置は、水素を選択的に抽出するフィルタが前記脱気水素供給路に設けられるものであると良い。
【0014】
(8)本発明の液体処理装置は、前記気泡生成装置が、前記液体に含まれている水素を微細化した気泡を生成するものであると良い。
【0015】
(9)本発明の液体処理装置は、前記流路において前記液体を圧送する圧送装置と、制御装置と、を有し、前記気泡生成装置が、前記液体内の圧力を低下させることで、前記液体に含まれる水素を微細化した気泡を生成するものであり、前記制御装置が、前記気泡生成装置における圧力低下に応じて、前記気泡生成装置から送出される前記液体の圧力が所定の圧力条件を満足するように前記圧送装置の出力を制御するものであると良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、水素を溶解させるための水素溶解装置等を通過する経路で液体を通過させる主流路と、主流路を外れる経路で水を通過させる副流路とを備えつつ、副流路の洗浄を十分に行うことが可能な液体処理装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る水処理装置の構成を示す説明図である。
【
図2】
図1の水処理装置を構成する水素溶解装置を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る液体処理装置1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、液体処理装置1は、各種の液体を処理対象とすることができるが、本実施形態の液体処理装置1は、処理対象とされる液体を水とするものとして例示する。また、以下の説明においては、先ず液体処理装置1をなす各部の構成について説明したうえ、流路Sの構成、及び液体処理装置1における気泡生成装置100の配置について説明する。
【0019】
≪液体処理装置1の構成について≫
図1に示すように、液体処理装置1は、タンク20、水素溶解装置30、逆浸透膜処理装置40、及び気泡生成装置100を備えており、これらを配管接続することにより流路Sを形成したものである。液体処理装置1は、これらの構成に加えて、流路Sにおけるタンク20よりも上流側の構成として前処理部10を有する。さらに、液体処理装置1は、流路Sにおけるタンク20よりも下流側の構成として、電解水タンク50や、ポンプ60、昇温装置80、薬液供給装置90、気泡生成装置100等を備えている。また、液体処理装置1は、制御装置200を備えている。以下、液体処理装置1を構成する各部の構成について、さらに具体的に説明する。
【0020】
前処理部10は、外部から供給される水道水や井戸水、地下水などの水(原水2)を水素溶解装置30への供給前に前処理するものである。前処理部10は、前処理として、原水2から不純物を除去したり、原水2を軟水化したりする処理を行う。前処理部10は、プレフィルタ12、軟水化装置14、及び活性炭処理装置16等を備えている。
【0021】
プレフィルタ12は、液体処理装置1の外部から供給される水道水や井戸水、地下水などの水(原水2)から不純物を除去するためのものである。プレフィルタ12は、適宜のフィルタによって構成できるが、例えば原水2に含まれる硬度成分(カルシウムイオン、マグネシウムイオンなどの溶解固形物等)から、鉄錆や砂粒子等の不純物を除去できるものとされている。
【0022】
軟水化装置14は、原水2に含まれている硬度成分をイオン交換による置換反応により除去し、軟水とする処理を行うためのものである。流路Sにおいて、軟水化装置14は、プレフィルタ12に対して下流側に配管接続されている。そのため、軟水化装置14は、プレフィルタ12において不純物が除去された原水2からさらに硬度成分を除去し、原水2を軟水化することができる。
【0023】
活性炭処理装置16は、流路Sにおいて、軟水化装置14に対して下流側に配管接続されている。活性炭処理装置16には、軟水化装置14により軟水化処理された原水2が供給される。活性炭処理装置16は、多孔質の吸着物質である活性炭を用いて、原水2に含まれる残留塩素、クロラミン、有機物などを物理的な吸着作用により除去する処理を行うためのものである。
【0024】
タンク20は、流路Sにおいて、活性炭処理装置16に対して下流側に配管接続されている。そのため、タンク20には、プレフィルタ12において不純物が除去され、軟水化装置14において軟水化され、さらに活性炭処理装置16において残留塩素等の物質が除去された原水2が供給され、貯留される。
【0025】
水素溶解装置30は、流路Sにおいて、タンク20に対して下流側に配管接続されている。水素溶解装置30は、タンク20から導入された原水2に水素を溶解させたもの(溶存水素水3)を生成するものである。水素溶解装置30は、原水2に水素を溶解させて溶存水素水3を生成できるものであればいかなるもので有っても良い。本実施形態では、水素溶解装置30として、電気分解処理を行うことにより、水素が溶存した溶存水素水3を生成可能なものが採用されている。
【0026】
さらに具体的には、
図2に示すように、水素溶解装置30は、固体高分子膜32や電解槽34を備えたものとすることができる。電解槽34は、電解槽本体34a、導入路34b、送水路34c、及び排水路34dを有する。また、水素溶解装置30は、電解槽本体34aの内部に、固体高分子膜32、陽極35、陰極36、誘電体層38を有する。
【0027】
電解槽本体34aは、電気分解が行われる原水2を貯留可能な槽状のものである。導入路34bは、タンク20から供給された原水2を電解槽本体34aの内部に導入するためのものである。送水路34cは、水素溶解装置30によって生成された溶存水素水3を流路Sの下流側に送出するための流路である。また、排水路34dは、水素溶解装置30における処理によって発生した排水(溶存酸素水)を外部に排出するための流路である。
【0028】
固体高分子膜32は、水素溶解装置30において電解質として機能するものである。固体高分子膜32は、電解槽34の短手方向略中央部において、電解槽34の長手方向に延びるように配置されている。これにより、電解槽34の内部空間は、固体高分子膜32を介して一方側の空間と、他方側の空間とに隔てられている。固体高分子膜32は、電気分解により、陽極35側で発生したオキソニウムイオン(H3O+)を陰極36側へと移動させる役割を有するものである。固体高分子膜32は、例えばスルホン酸基を有するフッ素系の樹脂材料により形成されたものを好適に使用することができる。より具体的には、ナフィオン(デュポン社製)、Flemion(旭硝子社製)、Aciplex(旭硝子社製)などを固体高分子膜32として好適に用いることができる。
【0029】
陽極35及び陰極36は、電解槽34への給電を行う給電体として機能するものである。陽極35及び陰極36は、固体高分子膜32を介して互いに対向するように配置されている。陽極35及び陰極36は、例えば、チタンや白金などの素材を用いて形成されている。陽極35と陰極36は、電気的に接続されている。
【0030】
誘電体層38は、固体高分子膜32と陽極35との間に形成された空間、及び固体高分子膜32と陰極36との間に形成された空間に配されている。誘電体層38は、例えばチタンや白金などの素材を用いて形成されている。
【0031】
水素溶解装置30において原水2を電気分解すると、陽極35側、及び陰極36側において以下のような反応が起こる。
陽極側:6H2O→4H3O++O2+4e-
陰極側:4H3O++4e-→2H2+4H2O
【0032】
水素溶解装置30においては、陰極36における水素の生成原料としてオキソニウムイオン(H3O+)が使用され、電気分解処理の際にOH-イオンが発生しない。従って、水素溶解装置30は、溶存水素の量を増やすために高い電流値で電気分解処理を行った場合であっても、処理水のpHが変化しない。従って、水素溶解装置30においては、pHの上限値に起因して、処理水の溶存水素濃度が抑制されてしまうという不都合を生じることがなくなり、所望の高い電流値で電気分解処理を行い、処理水の溶存水素濃度を向上させることが可能になる。その結果、必要な溶存水素濃度を有する処理水を得ることが可能になる。
【0033】
水素溶解装置30は、上述した電気分解処理により生成した溶存水素水3を、電解槽本体34aの陰極36側に形成された送水路34cから、逆浸透膜処理装置40側に導出できる。本実施形態の流路Sでは、水素溶解装置30と逆浸透膜処理装置40との間に電解水タンク50が設けられている。そのため、水素溶解装置30の送水路34cから導出された溶存水素水3は、逆浸透膜処理装置40に到達する前に、一旦、電解水タンク50に導入され、貯蔵される。一方、電気分解処理により、陽極35側で発生した溶存酸素水4は、陽極35側に形成された排水路34dにより、電解槽本体34aの外部へと排出される。
【0034】
逆浸透膜処理装置40は、流路Sにおいて水素溶解装置30よりも下流側に配されている。本実施形態では、逆浸透膜処理装置40は、電解水タンク50を介して水素溶解装置30よりも下流側において配管接続されている。逆浸透膜処理装置40は、逆浸透膜42を用いて逆浸透膜処理を行うための装置である。
図1に示すように、逆浸透膜処理装置40は、逆浸透膜42、逆浸透水タンク44、及び逆浸透水ポンプ46を備えている。
【0035】
逆浸透膜42は、水素溶解装置30により生成した溶存水素水3に対して、逆浸透処理を行うためのものである。ここで、半透膜を境界にして、濃度の異なる溶液がある場合、低濃度の溶液から高濃度の溶液へ水が移動する現象(浸透)が生じる。これに対し、半透膜を境界にして、高濃度の溶液側に圧力を加えることにより、高濃度側の溶液から低濃度側の溶液へ水を移動させ、低濃度側に水が浸透する現象(逆浸透)を生じさせることができる。逆浸透膜42は、逆浸透膜処理装置40において逆浸透させた水(逆浸透水)を得る処理(逆浸透膜処理)を行うために設けられている。
【0036】
逆浸透膜処理装置40は、供給された水を逆浸透させることにより、微量金属類などの不純物を除去することができる。逆浸透膜処理装置40は、水素溶解装置30側(本実施形態では電解水タンク50)から供給された溶存水素水3から、さらに微量金属類などの不純物を除去することができる。本実施形態の液体処理装置1では、上述したように水素溶解装置30において溶存水素水3を生成するまでの段階において、既にプレフィルタ12において不純物が除去され、軟水化装置14において軟水化され、さらに活性炭処理装置16において残留塩素等の物質が除去されている。そのため、液体処理装置1は、逆浸透膜処理装置40によって溶存水素水3を逆浸透処理することにより、ISO13959(透析用水基準)に規定される水質基準を満たす水(逆浸透水)を得ることができる。また、液体処理装置1においては、水素溶解装置30において生成された溶存水素水3を逆浸透膜処理装置40によって逆浸透処理する。そのため、液体処理装置1は、逆浸透膜処理装置40における逆浸透処理を行うことにより、水素が溶存した逆浸透水(逆浸透溶存水素水5)を得ることができる。
【0037】
逆浸透水タンク44は、流路Sにおいて、上述した逆浸透膜42よりも下流側に設けられている。逆浸透水タンク44は、逆浸透膜42による逆浸透膜処理がなされた逆浸透水(逆浸透溶存水素水5)を貯蔵するためのものである。逆浸透水ポンプ46は、逆浸透水タンク44に貯留されている逆浸透溶存水素水5を流路Sの系外に設けられた溶解装置110及び透析液供給装置120に向けて圧送するためのものである。
【0038】
逆浸透水ポンプ46は、逆浸透溶存水素水5が溶解装置110及び透析液供給装置120において使用される場合に所定のタイミングで作動し、溶解装置110及び透析液供給装置120に供給される。これにより、溶解装置110において所定の透析液が製成されるとともに、製成された透析液が透析液供給装置120に供給される。透析液は、透析液供給装置120から各患者監視装置(図示せず)へ供給され、患者の血液の浄化に用いられる。
【0039】
電解水タンク50は、流路Sにおいて、水素溶解装置30と逆浸透膜処理装置40との間に設けられたタンクである。電解水タンク50は、水素溶解装置30から導出された溶存水素水3を、逆浸透膜処理装置40への供給に備えて貯蔵するものである。
【0040】
ポンプ60は、流路Sにおいて水を圧送するものである。ポンプ60は、流路Sにおいていかなる位置に設けられていても良いが、逆浸透膜処理装置40が備える逆浸透膜42よりも上流側に配置されていると良い。本実施形態では、ポンプ60は、電解水タンク50よりも流路Sの下流側(好ましくは電解水タンク50の直下流側)であって、逆浸透膜処理装置40よりも上流側(好ましくは逆浸透膜処理装置40の直上流側)の位置に配されている。これにより、タンク20に貯蔵された水(原水2)を必要とされる流量で水素溶解装置30に導入させるためのコントロールを精度良く行うことができる。ポンプ60は、印加電流値等により出力制御可能なものとすることができる。本実施形態では、ポンプ60は、デューティー比制御により出力制御可能なものとされている。
【0041】
液体処理装置1は、上述したタンク20や、水素溶解装置30、逆浸透膜処理装置40等を配管接続して構成される流路Sを洗浄するための構成として、昇温装置80や薬液供給装置90を備えている。
【0042】
昇温装置80は、流路Sに対して洗浄運転時に供給される洗浄用の液体(例えば原水2や、原水に薬液を加えた液体)等を加熱して昇温させるものである。液体処理装置1は、昇温装置80によって加熱された洗浄用の液体を流路Sに供給することにより、水素細菌等の殺菌や駆除を行うことができる。昇温装置80は、タンク20、及び逆浸透水タンク44のいずれか一方又は双方に設置すると良い。
図1に示した例においては、タンク20に対して第一の昇温装置80(第一昇温装置80a)を配するとともに、逆浸透水タンク44に第二の昇温装置80(第二昇温装置80b)を配している。
【0043】
タンク20に第一昇温装置80aを設置することにより、流路Sの洗浄に際して洗浄に用いる水を加温するときに、大量の水をまとめて加温できるため、洗浄運転を効率的に行える。また、原水2のシリカ含有率が高い場合に、水温が低いまま逆浸透膜42を透過させるとシリカで目詰まりが起こることから、タンク20に第一昇温装置80aを設置しておくことにより、第一昇温装置80aによって加温された原水2を洗浄用として供給し、前述のようなシリカによる逆浸透膜42の目詰まりを抑制できる。また、逆浸透水タンク44に第二昇温装置80bを配することにより、患者に使用する水温が低くならないよう、逆浸透水タンク44に貯留されている段階で適切な温度を保つことができる。さらに、逆浸透水タンク44に第二昇温装置80bを配することにより、流路Sにおいてタンク20よりも下流側の部分だけを洗浄するように洗浄用の水を流すときに、洗浄用の水を加温するために使用したり、洗浄用として第一昇温装置80aにおいて加温した水を、逆浸透水タンク44に到達した段階において必要に応じて第二昇温装置80bによって補助的に加温するといった使い方が可能となる。
【0044】
薬液供給装置90は、流路Sを洗浄に用いる薬液を供給するものである。薬液供給装置90は、例えばタンク20に対して配管接続される等、適宜の位置に配置することができる。薬液供給装置90は、例えば、
図1に示したように、流路Sをなす管路とは別にタンク20に対して接続された管路を設け、当該管路を介してタンク20に薬液を導入可能なように接続されたものとすることができる。
【0045】
気泡生成装置100は、処理対象である水の中に気泡を生成させる装置である。気泡生成装置100は、ウルトラファインバブル(直径1μm未満)を生成する装置、マイクロバブル(直径1μm~100μm)を生成する装置、サブミリバブル(直径100μm~1mm)を生成する装置、ミリバブル(直径1mm以上)を生成する装置等とすることができる。気泡生成装置100は、これらから選ばれるいずれの装置によって構成されても良いが、ウルトラファインバブル生成装置、あるいはマイクロバブル生成装置によって構成すると良い。
【0046】
気泡生成装置100をマイクロバブル生成装置によって構成する場合には、例えば、液流せん断による気相分散によりマイクロバブルを生成するもの、キャビテーションによりマイクロバブルを生成するもの、液中ガス溶解度変化によりマイクロバブルを生成するもの、分散相の相変化によりマイクロバブルを生成するもの等を好適に採用できる。液流せん断による気相分散によりマイクロバブルを生成するマイクロバブル生成装置として、例えば、旋回液流式、スタティックミキサー式、微細孔式のものを好適に採用することができる。また、キャビテーションによりマイクロバブルを生成するマイクロバブル生成装置として、エゼクター式、ベンチュリー式のもの等を好適に採用できる。液中ガス溶解度変化によりマイクロバブルを生成するマイクロバブル生成装置として、加圧溶解式(減圧析出式)、冷却溶解式(加温析出式)のものを好適に採用できる。分散相の相変化によりマイクロバブルを生成するマイクロバブル生成装置として、混合蒸気凝縮式のものを好適に採用できる。
【0047】
気泡生成装置100をウルトラファインバブル生成装置によって構成する場合には、例えば、界面張力低下によりウルトラファインバブルを生成するもの、強度液せん断流による気相分散と混合によりウルトラファインバブルを生成するもの、液中ガス溶解度変化によりウルトラファインバブルを生成するもの等を好適に採用できる。界面張力低下によりウルトラファインバブルを生成するものとして、微細孔式のものを好適に採用できる。強度液せん断流による気相分散と混合によりウルトラファインバブルを生成するものとして、スタティックミキサー式、旋回液流式のものを好適に採用できる。混合蒸気凝縮式のものとして、加圧溶解式(減圧析出式)のものを好適に採用できる。
【0048】
気泡生成装置100には、上述した各種の原理や方式のウルトラファインバブル生成装置、あるいはマイクロバブル生成装置のうち、液体(水)に含まれている気体を微細化した気泡を生成するものを好適に利用できる。本実施形態では、気泡生成装置100は、上述したエゼクター式やベンチュリー式のように、液体内(水中)の圧力を低下させることで、液体(水)に含まれる気体(水素)を微細化した気泡を生成するものによって構成されている。
【0049】
気泡生成装置100は、流路Sを流れる水の中に気泡を生成させることができるように設けられている。気泡生成装置100は、後に詳述するように、目的や期待する効果に応じて流路Sをなす管路の途中や、流路Sに設けられた水素溶解装置30、逆浸透膜処理装置40等の装置類、タンク20、電解水タンク50等のように流路Sに設けられた各種の部材等、適宜の箇所に設置することができる。
【0050】
制御装置200は、液体処理装置1の動作制御を行うものである。制御装置200は、液体処理装置1によって原水2から逆浸透溶存水素水5を生成するための水処理運転の他に、流路Sに洗浄用の液体を通液させることにより、流路Sの洗浄を行うための洗浄運転を行わせることができる。本実施形態の液体処理装置1は、制御装置200による制御のもと、後に詳述するように、主として流路Sを構成する主流路S1に存在する各部の洗浄を行う運転(主流路洗浄運転)、主として流路Sを構成する副流路S2の洗浄を行う運転(副流路洗浄運転)を行うことができる。
【0051】
≪流路Sについて≫
液体処理装置1は、上述したタンク20、水素溶解装置30、逆浸透膜処理装置40、気泡生成装置100等からなる構成部材を配管接続することにより形成された流路Sを有する。流路Sは、主流路S1、及び副流路S2を有する。主流路S1は、通液経路R1と、循環経路R2とを形成可能なように配管接続したものである。主流路S1は、切替弁48を備えており、切替弁48の切り替え操作によって水が流れる経路を通液経路R1と循環経路R2とに切り替えることができる。
【0052】
通液経路R1は、原水2の供給源から水素溶解装置30及び逆浸透膜処理装置40を経て液体の供給先である溶解装置110や透析液供給装置120に向かう経路で液体を通過させる経路である。液体処理装置1は、通液経路R1を水が流れるように切替弁48を切り替えた状態においてポンプ60を作動させることにより、圧送された水を水素溶解装置30、及び逆浸透膜処理装置40において処理し、原水2から逆浸透溶存水素水5を生成して供給する運転(水処理運転)を行える。
【0053】
循環経路R2は、水素溶解装置30及び逆浸透膜処理装置40の双方を通過する経路で水が循環する循環流をなすように水を通過させる経路である。液体処理装置1は、循環経路R2を水が流れるように切替弁48を切り替えた状態においてポンプ60を作動させることにより、循環経路R2において水を循環させ、主流路S1に存在する各部の洗浄を行う運転(主流路洗浄運転)を行うことができる。液体処理装置1は、メンテナンス運転に際して、適宜、薬液供給装置90から薬液を供給したり、昇温装置80を作動させて水を昇温させたりすることにより、各部の洗浄効果を高めることができる。また、主経路S1と循環経路R2の下流の接続箇所は、
図1で示す前処理部10の上流の箇所に限らず、適宜主経路S1のいずれかの箇所と接続させることができ、また循環経路R2を分岐させて主経路S1の複数個所と接続させてもよい。
【0054】
副流路S2は、主流路S1を外れる経路で水を通過させる流路である。本実施形態では、副流路S2として、水素溶解装置30から溶存酸素水4を排出するための第一排出経路D1をなす第一副流路S21と、逆浸透膜処理装置40において溶存水素水3から不純物を除去した残渣として排出される濃縮水6を排出するための第二排出経路D2をなす第二副流路S22とを有する。第一副流路S21及び第二副流路S22には、それぞれ第一開閉弁39及び第二開閉弁49が設けられている。第一開閉弁39を開状態とすることにより水素溶解装置30から溶存酸素水4を排出することができる。また、第二開閉弁49を開状態とすることにより、逆浸透膜処理装置40から濃縮水6を排出することができる。
【0055】
また、流路Sには、脱気水素供給路Gが接続されている。脱気水素供給路Gは、流路Sを流れる水から脱気した水素を気泡生成装置100に対して供給するものである。脱気水素供給路Gは、一端側が水素溶解装置30、あるいは水素溶解装置30よりも流路Sにおける水の流れ方向下流側に接続されている。また、脱気水素供給路Gの他端側は、気泡生成装置100、あるいは流路Sにおいて気泡生成装置100よりも上流側の位置など、脱気水素供給路Gを流れる水素を気泡生成装置100に供給可能な箇所に接続される。
図1に示す例では、脱気水素供給路Gは、一端側が水素溶解装置30に対して直接接続され、他端側が気泡生成装置100に対して直接接続されている。
図1に示す例では、脱気水素供給路Gには、水素を選択的に抽出するフィルタ104が設けられている。
【0056】
≪気泡生成装置100の配置について≫
気泡生成装置100は、主流路S1及び副流路S2において通液経路R1、循環経路R2、第一排出経路D1、及び第二排出経路D2をなす管路や、これらの経路に設けられた装置や器具類等に設けることができる。例えば、気泡生成装置100は、流路S(主流路S1)の通液経路R1をなす部分において、前処理部10、タンク20、水素溶解装置30、逆浸透膜処理装置40(逆浸透水タンク44)、電解水タンク50等の装置や器具、前処理部10の上流側の位置X1、前処理部10及びタンク20の間の位置X2、タンク20及び水素溶解装置30の間の位置X3、水素溶解装置30及び電解水タンク50の間の位置X4、電解水タンク50及びポンプ60の間の位置X5、ポンプ60及び逆浸透膜42の間の位置X6、逆浸透膜42及び逆浸透水タンク44の間の位置X7、逆浸透水タンク44及び逆浸透水ポンプ46の間の位置X8、逆浸透膜処理装置40(ポンプ60)の下流側に接続される配管の位置X9等に設けることができる、また、気泡生成装置100は、流路S(主流路S1)の循環経路R2をなす部分において、逆浸透膜処理装置40と前処理部10とを繋ぐ管路上の位置X10に設けることができる。また、気泡生成装置100は、流路S(副流路S2)の第一排出経路D1をなす管路上の位置Y1、第二排出経路D2をなす管路上の位置Y2等に設けることができる。また、気泡生成装置100は、一箇所にだけ設ける構成としたり、複数箇所に設ける構成としたりすることができる。
【0057】
上述したように、液体処理装置1において、気泡生成装置100は、目的や期待する効果に応じて適宜の箇所に設置することができる。具体的には、気泡生成装置100は、水に水素を含有させた逆浸透溶存水素水5の水素濃度が供給先である溶解装置110や透析液供給装置120に到達するまでの間に、所定の最低濃度よりも低くなるのを抑制する効果(水素濃度低減抑制効果)を目的として、流路Sに設置することができる。水素濃度低減抑制効果を目的として気泡生成装置100を設ける場合には、気泡生成装置100は、水処理運転時に水が流れる通液経路R1をなす管路、及び通液経路R1の途中に設けられた装置や器具等に設けられると良い。具体的には、水素濃度低減抑制効果を目的とする場合、気泡生成装置100は、前処理部10、タンク20、水素溶解装置30、逆浸透膜処理装置40(逆浸透水タンク44)、電解水タンク50等の装置や器具、及び上述した位置X1~X9のうち、少なくともいずれかの位置に設けると良い。また、水素濃度低減抑制効果を目的とする場合、気泡生成装置100は、原水2に対して水素を溶解させる水素溶解装置30、あるいはこれよりも下流側に設けるとさらに良い。
【0058】
また、気泡生成装置100として、上述したエゼクター式やベンチュリー式のように、液体内(水中)の圧力を低下させることによって、液体(水)に含まれる気体(水素)を微細化した気泡を生成するものを用いる場合、気泡生成装置100における圧力低下が生じる。このような気泡生成装置100における圧力低下の補填効果(圧力低下補填効果)を目的とする場合には、ポンプ60や逆浸透水ポンプ46等の圧送装置に対して水の流れ方向上流側に設けると良い。具体的には、圧力低下補填効果を目的とする場合、気泡生成装置100は、ポンプ60の上流側に位置する位置X5、ポンプ60に対して配管接続された電解水タンク50等、ポンプ60に対して水の流れ方向直前の位置に設けると良い。従って、水処理運転時における水素濃度低減抑制効果、及び圧力低下補填効果の双方を得ることを目的とする場合、気泡生成装置100は、
図1に示す例のようにポンプ60に対して水の流れ方向直前にある位置X5、及び水素溶解装置30のいずれか一方又は双方に設けられると良い。また、圧力の低下を適時正確に検知するために、主流路S1のいずれかの箇所に流量又は水圧を測定できる装置を配置してもよく、又は溶解装置110、透析液供給装置120その他外部装置にて検知した流量又は水圧の測定値を制御装置200にフィードバックできる構成としてもよい(図示せず)。この場合、制御装置200は、当該測定値と、予め定めた流量又は水圧の基準値を比較し、測定値が常に基準値の近似値をとるよう前記圧送装置を制御することにより、より適時に圧力低下補填効果を得ることができる。
【0059】
また、気泡生成装置100において発生する気泡による液体処理装置1の各部の洗浄効果の向上を目的とする場合、気泡生成装置100は、主流路S1をなす各部や、副流路S2に設けられると良い。具体的には、循環経路R2において水を循環させ、主流路S1に存在する各部の洗浄を行う運転(主流路洗浄運転)を行う場合における洗浄効果の向上を目的とする場合、気泡生成装置100は、前処理部10、タンク20、水素溶解装置30、逆浸透膜処理装置40(逆浸透水タンク44)、電解水タンク50等の装置や器具、及び上述した位置X1~X10のうち、少なくともいずれかの位置に設けると良い。
【0060】
また、主流路洗浄運転により循環経路R2において洗浄用の水や薬液等を循環させるだけでは水や薬液が到達しない副流路S2の洗浄を行う運転(副流路洗浄運転)を行えるようにすることを目的とする場合、気泡生成装置100は、第一排出経路D1上の位置Y1、第二排出経路D2をなす管路上の位置Y2等に設けられると良い。また、液体処理装置1が第一開閉弁39や第二開閉弁49を開状態とする等により、主流路S1と副流路S2とを連通させることができるものである場合には、主流路S1において主流路S1と副流路S2との連通箇所よりも上流側となる位置に気泡生成装置100を設ける等して、主流路S1において発生させた気泡を含む水を副流路S2に供給できるようにすることで、副流路洗浄運転を行えるようにすると良い。本実施形態では、
図1に示すように、位置X5に気泡生成装置100を設けるとともに、気泡生成装置100あるいはよりも下流側の管路、及び第一排出経路D1をなす副流路S2(第一副流路S21)の管路をバイパスするバイパス流路102を設けている。これにより、位置X5に設けられた気泡生成装置100において発生した気泡を含む水を第一排出経路D1に供給して洗浄できるものとされている。
【0061】
図1に示す例においては、バイパス流路102を第一排出経路D1に到達するように設けた例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、液体処理装置1は、第一排出経路D1に代えて第二排出経路D2に到達するようにバイパス流路102を設けた構成、バイパス流路102を複数設けて第一排出経路D1及び第二排出経路D2の双方に接続した構成、バイパス流路102を分岐させて第一排出経路D1及び第二排出経路D2の双方に接続した構成等として、副流路洗浄運転を行えるようにすると良い。
【0062】
≪作用効果について≫
上述した実施形態、及び各実施例を踏まえれば、本発明は、以下の(1)~(8)に示すような特徴的構成を有し、本発明に特有の効果が得られる。
【0063】
(a)上述した液体処理装置1は、液体に対して水素を溶解させる水素溶解装置30と、液体に対して逆浸透膜処理を行う逆浸透膜処理装置40と、液体の中に気泡を生成させる気泡生成装置100と、水素溶解装置30、逆浸透膜処理装置40、及び気泡生成装置100を通液可能に接続することにより形成された流路Sと、を有し、流路Sが、液体の供給源から水素溶解装置30及び逆浸透膜処理装置40を経て液体の供給先に向かう経路で液体を通過させる通液経路R1を有し、気泡生成装置100が、通液経路R1を流れる液体の中に気泡を生成させるものである。
【0064】
液体処理装置1は、上記(a)のような構成とされているため、気泡生成装置100によって通液経路R1を流れる液体(上記実施形態では水。以下同様。)の中に気泡を生成することにより、水素溶解装置30によって液中に溶解させた水素を液中に滞留させることができる。これにより、液体処理装置1は、水素溶解装置30によって液中に溶解させた水素が脱気して消失するのを抑制し、液中における水素濃度を高く、かつ長く維持させることができる。従って、液体処理装置1は、水素を含有させた液体の水素濃度が、供給先に到達するまでの間に所定の最低濃度よりも低くなるのを抑制できる。
【0065】
(b)上述した液体処理装置1は、気泡生成装置100が、流路Sにおいて水素溶解装置30と逆浸透膜処理装置40との間となる位置(
図1に示す例では位置X4~X6)、及び水素溶解装置30の少なくともいずれかに接続されたものである。
【0066】
液体処理装置1は、上記(b)のような構成とされているため、水素溶解装置30によって液中に溶解させた水素を、溶解後間もなくバブル化することができる。これにより、液体処理装置1は、水素溶解装置30によって液中に溶解させた水素の脱気をより一層効率良く抑制し、液中の水素濃度を高く、かつ長く維持させることができる。
【0067】
(c)上述した液体処理装置1は、水素を溶解させた液体から脱気した水素を気泡生成装置100に対して供給する脱気水素供給路Gを有するものである。
【0068】
液体処理装置1は、上記(c)のような構成とされているため、液体から脱気した水素を用い、気泡生成装置100において液中に水素を含む気泡を生成できる。これにより、液体処理装置1は、脱気に伴う液中の水素濃度の低下を抑制できる。
【0069】
(d)上述した液体処理装置1は、水素を選択的に抽出するフィルタ104が脱気水素供給路Gに設けられるものである。
【0070】
液体処理装置1は、上記(d)のような構成とされているため、脱気水素供給路Gに流入した気体から選択的に水素を抽出して気泡生成装置100に供給できる。これにより、液体処理装置1は、より一層確実に液中における水素濃度の維持、上昇を促進させることができる。
【0071】
(e)上述した液体処理装置1は、気泡生成装置100が、液体に含まれている水素を微細化した気泡を生成するものである。
【0072】
液体処理装置1は、上記(e)のような構成とされているため、水素溶解装置30によって液中に溶解させた水素を微細化し、液中における水素濃度の維持、上昇を促進させることができる。
【0073】
(f)上述した液体処理装置1は、流路Sにおいて液体を圧送するポンプ60(圧送装置)と、制御装置200と、を有し、気泡生成装置100が、液体内の圧力を低下させることで、液体に含まれる水素を微細化した気泡を生成するものであり、制御装置200が、気泡生成装置100における圧力低下に応じて、気泡生成装置100から送出される液体の圧力が所定の圧力条件を満足するようにポンプ60(圧送装置)の出力を制御するものである。
【0074】
液体処理装置1は、上記(f)のような構成とされているため、水素溶解装置30によって液中に溶解させた水素を微細化することにより液体内の圧力が低下したとしても、ポンプ60(圧送装置)によって液体内の圧力低下を回復させることができる。これにより、液体処理装置1は、液体の供給先(上記実施形態では溶解装置110や透析液供給装置120)に対して、所定の圧力レベルを確保した状態で液体(逆浸透溶存水素水5)を供給することができる。
【0075】
(g)上述した液体処理装置1は、液体に対して水素を溶解させる水素溶解装置30と、液体に対して逆浸透膜処理を行う逆浸透膜処理装置40と、液体の中に気泡を生成させる気泡生成装置100と、水素溶解装置30、逆浸透膜処理装置40、及び気泡生成装置100を通液可能に接続することにより形成された流路Sと、を有し、流路Sが、水素溶解装置30及び逆浸透膜処理装置40の双方を通過する経路で液体を通過させる主流路S1と、主流路S1を外れる経路で液体を通過させる副流路S2と、を有し、気泡生成装置100により生成された気泡を含む液体を副流路S2に通過させることができるものである。
【0076】
液体処理装置1は、上記(g)のような構成とされているため、気泡生成装置100により生成された液体を主流路S1だけでなく、副流路S2にも通過させることができる。これにより、液体処理装置1は、水や薬液を用いる等して洗浄運転を行う場合に、主流路S1に存在する各部の洗浄を行う運転(主流路洗浄運転)だけでなく、副流路S2の洗浄を行う運転(副流路洗浄運転)においても気泡生成装置100により生成される気泡を活用して洗浄を行うことができる。
【0077】
(h)上述した液体処理装置1は、主流路S1が、水素溶解装置30及び逆浸透膜処理装置40の双方を通過する経路で液体が循環する循環流を形成可能なものであり、循環流を形成するように主流路S1に液体を循環させることにより、主流路S1、水素溶解装置30、及び逆浸透膜処理装置40を含む構成を洗浄する主流路洗浄運転と、気泡生成装置100により生成された気泡を含む液体を副流路S2に通過させることにより、副流路S2を含む構成を洗浄する副流路洗浄運転と、を行えるものである。
【0078】
液体処理装置1は、上記(h)のような構成とされているため、主流路洗浄運転によって主流路S1を洗浄するだけでなく、副流路洗浄運転を行うことにより、主流路洗浄運転を行うだけでは洗浄が難しい副流路S2についても気泡生成装置100により生成された気泡を含む液体を活用して洗浄を行うことができる。
【0079】
(i)上述した液体処理装置1は、気泡生成装置100が主流路S1に設けられており、主流路S1及び副流路S2が連通した状態において、気泡生成装置100により生成された気泡を含む液体を主流路S1及び副流路S2に流すことにより、主流路洗浄運転及び副流路洗浄運転を行えるものである。
【0080】
液体処理装置1は、上記(i)のような構成とされているため、主流路S1に設けられた気泡生成装置100において発生した気泡を含む液体を用いて主流路洗浄運転及び副流路洗浄運転の双方を行うことができる。従って、液体処理装置1は、上記(i)の構成とすることにより、気泡生成装置100を主流路S1の洗浄、及び副流路S2の洗浄の双方に活用することができる。
【0081】
(j)上述した液体処理装置1は、気泡生成装置100が、副流路S2に対して接続されているものである。
【0082】
液体処理装置1は、例えば、上記実施形態において説明したように、流路S(副流路S2)の第一排出経路D1をなす管路上の位置Y1、第二排出経路D2をなす管路上の位置Y2等に設けることにより、上記(j)のような構成とすることができる。液体処理装置1は、上記(j)の構成を採用することにより、気泡生成装置100によって発生した気泡を含む液体を副流路S2において発生させ、副流路S2の洗浄効率をより一層向上させることができる。
【0083】
上述した液体処理装置1は、本発明の一実施形態を示したものに過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜構成の変更や省略、追加等を行うことができる。液体処理装置1は、
図1に示した構成とした場合、水素を含有させた液体の水素濃度が、供給先に到達するまでの間に所定の最低濃度よりも低くなるのを抑制するという目的、副流路S2の洗浄を行えるようにすることを目的の双方を達成可能なものであるが、例えば、これらのうちの一方の目的のみを達成できるもので良いのであれば、上記(a)及び上記(g)の構成のうちいずれか一方を満足しないものとすることが可能である。
【0084】
また、上記実施形態においては、上記(b)のように、気泡生成装置100が、流路Sにおいて水素溶解装置30と逆浸透膜処理装置40との間となる位置(
図1に示す例では位置X4~X6)、及び水素溶解装置30の少なくともいずれかに接続されたものとした例を示したが、本発明はこれに限定されず、他の位置(
図1に示す例ではX1~X3、X7~X10、Y1、Y2)等に設けた構成とすることも可能である。
【0085】
上記実施形態の液体処理装置1においては、上記(c)のように脱気水素供給路Gを設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、脱気水素供給路Gを備えていないものとすることも可能である。
【0086】
上記実施形態では、上記(d)のように、水素を選択的に抽出するフィルタ104を脱気水素供給路Gに設けたものを例示したが、本発明はこれに限定されない。液体処理装置1は、脱気水素供給路Gにフィルタ104を具備していないものとしても良い。
【0087】
上記実施形態では、上記(e)のように、気泡生成装置100として、液体に含まれている水素を微細化した気泡を生成するものを採用したものを例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態において例示したように、液体処理装置1は、気泡生成装置100として、他の原理や方式によって液中に気泡を生成するものとすることも可能である。
【0088】
上記実施形態では、上記(f)のように、気泡生成装置100として、液体内の圧力を低下させることで、液体に含まれる水素を微細化した気泡を生成するものを採用しつつ、気泡生成装置100における圧力低下に応じて、気泡生成装置100から送出される液体の圧力が所定の圧力条件を満足するように、制御装置200がポンプ60(圧送装置)の出力を制御するものを例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ポンプ60の出力制御を行わなくても溶解装置110や透析液供給装置120への液体の供給圧が十分確保できる場合や、供給圧の低下が生じても問題ない場合、液体処理装置1よりも下流側に設けられた別の装置において液体を加圧して圧送可能なものである場合等においては、上記(f)のような構成を備えていないものとすることも可能である。
【0089】
上記実施形態の液体処理装置1は、上記(h)のように、主流路S1を洗浄する主流路洗浄運転、及び副流路S2を洗浄する副流路洗浄運転の双方において、気泡生成装置100により生成された気泡を含む液体を活用するものであるが、本発明はこれに限定されない。例えば、液体処理装置1は、水素を含有させた液体の水素濃度が供給先に到達するまでの間に所定の最低濃度よりも低くなるのを抑制するという目的を達成できるのであれば、副流路S2の洗浄を行えるようにするという目的を達成できなくても良い場合には、気泡生成装置100により生成された気泡を含む液体を、主流路S1にのみ供給し、副流路S2には供給しない構成とすることが可能である。また、液体処理装置1は、気泡生成装置100により生成された気泡を活用して副流路S2の洗浄を行えるようにするという目的を達成することができるのであれば、主流路S1の洗浄において気泡生成装置100により生成された気泡を活用する必要がないのであれば、副流路S2にのみ気泡生成装置100により生成された気泡を含む液体を供給する構成とすると良い。
【0090】
上記実施形態では、上記(i)のように、主流路S1に設けられた気泡生成装置100を主流路S1に設けられた気泡生成装置100において発生した気泡を含む液体を用いて主流路洗浄運転及び副流路洗浄運転の双方を行える構成とした例を示したが、液体処理装置1は、必ずしもこのような構成とする必要はない。例えば、液体処理装置1は、主流路S1に設けられた気泡生成装置100を活用して主流路洗浄運転を行うとともに、これとは別に副流路S2に設けられた気泡生成装置100により副流路洗浄運転を行うものとすることも可能である。
【0091】
上記実施形態では、上記(j)のように、気泡生成装置100が副流路S2に対して接続されたものとすることができる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1等に示す例のように、副流路S2に接続された気泡生成装置100を備えず、主流路S1に接続された気泡生成装置100のみからなるものとすることも可能である。
【0092】
本願発明は、上述した実施の形態等に記載の構成に限定されることなく、本願発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲において適宜設計変更等することが可能である。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、課題を解決するための手段、発明を実施するための形態等に記載の任意の構成要素または課題を解決するための手段、発明を実施するための形態等に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても、本願または本願に基づく分割出願等において権利取得する意思を有する。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、水素溶解装置と逆浸透膜処理装置とを備えた水処理装置全般において好適に利用できる。
【符号の説明】
【0094】
1 :液体処理装置
5 :逆浸透溶存水素水
30 :水素溶解装置
40 :逆浸透膜処理装置
60 :ポンプ
100 :気泡生成装置
104 :フィルタ
110 :溶解装置
120 :透析液供給装置
200 :制御装置
D1 :第一排出経路
D2 :第二排出経路
G :脱気水素供給路
R1 :通液経路
R2 :循環径路
S :流路
S1 :主流路
S2 :副流路
【要約】
【課題】水素を溶解させるための水素溶解装置等を通過する経路で液体を通過させる主流路と、主流路を外れる経路で水を通過させる副流路とを備えつつ、副流路の洗浄を十分に行うことが可能な液体処理装置の実現を目的とした。
【解決手段】液体処理装置1は、水素溶解装置30と、逆浸透膜処理装置40と、液体の中に気泡を生成させる気泡生成装置100と、水素溶解装置30、逆浸透膜処理装置40、及び気泡生成装置100を通液可能に接続することにより形成された流路Sと、を有し、流路Sが、水素溶解装置30及び逆浸透膜処理装置40の双方を通過する経路で液体を通過させる主流路S1と、主流路S1を外れる経路で液体を通過させる副流路S2と、を有し、気泡生成装置100により生成された気泡を含む液体を副流路S2に通過させることができる。
【選択図】
図1