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特許7545566ハウジング内の受入凹部に挿入するためのコネクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】ハウジング内の受入凹部に挿入するためのコネクタ
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/098 20060101AFI20240828BHJP
   F16L 37/088 20060101ALI20240828BHJP
   F16L 37/092 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
F16L37/098
F16L37/088
F16L37/092
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023504247
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2021066862
(87)【国際公開番号】W WO2022017706
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】102020119170.7
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591044393
【氏名又は名称】ノルマ ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-マルク ペロン
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ ドリヴェ
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン ペートリ
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-505315(JP,A)
【文献】実公平06-045753(JP,Y2)
【文献】実公平03-056714(JP,Y2)
【文献】特開2014-105875(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第1936252(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/084-37/098
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(6)内の受入凹部(22)に挿入するためのコネクタ(4,44)であって、
その中に形成される流路(10)を有するソケット(8)を有し、
前記流路(10)が前記ソケット(8)の前端(12)まで延び、かつ、側面(14)によって囲まれ、
前記側面(14)が、少なくとも特定の領域において前記前端に向かって先細になり、
前記前端(12)において、引締めリング(16,46)が前記側面(14)を取り囲み、
前記引締めリング(16,46)は、前記ソケット(8)の前記前端とは軸方向の反対の他端側に向かって前記引締めリング(16,46)を付勢する軸方向の力によって、前記引締めリング(16,46)が、外径を増大させつつ前記側面(14)に完全に押し付けられ得
前記引締めリング(16,46)が前記側面(14)に押し付けられる作用が、前記側面(14)と前記受入凹部(22)の内面(26)との間に楔効果を生じさせるコネクタ(4,44)。
【請求項2】
前記引締めリングが、周方向に配置された少なくとも1つの所定の破断点(38,50)を有し、
前記引締めリング(16,46)は、該引締めリング(16,46)に作用して前記前端(12)に向かう軸方向の力が、前記少なくとも1つの所定の破断点(38,50)を破断し、それによって、前記引締めリング(16,46)が、外径を増大させつつ前記側面(14)に完全に押し付けられ得るように設計されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記引締めリング(16,46)が、前記ソケット(8)と一体的に形成され、
前記少なくとも1つの所定の破断点(38,50)を提供するために、前記引締めリング(16,46)と前記ソケット(8)との間の遷移領域(48)が弱められている請求項に記載のコネクタ(4,44)。
【請求項4】
前記遷移領域(48)が、周方向に互いに間隔を空けて配置された横材および/または低減した材料厚さを備える請求項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの所定の破断点(38,50)が、軸方向に延びる少なくとも1つのスロット(40)を有する請求項に記載のコネクタ(4,44)。
【請求項6】
前記スロット(40)が、前記前端において閉じられている請求項に記載のコネクタ(4,44)。
【請求項7】
前記引締めリング(16,46)が、別部品として設計されている請求項1または請求項に記載のコネクタ(4,44)。
【請求項8】
少なくとも1つの径方向に弾性を有するラッチ要素(36)が、前記受入凹部(22)内の周方向溝(32)内への拘束のために前記側面(14)上に配置されている請求項1から請求項のいずれか1項に記載のコネクタ(4,44)。
【請求項9】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載のコネクタ(4,44)と、受入凹部(22)を有するハウジング(6)とを備え、前記受入凹部(22)が、前記コネクタ(4,44)に相補的に形成されているカップリング(2)。
【請求項10】
前記コネクタ(4,44)が前記ハウジング(6)内に挿入される前の状態において、前記引締めリング(16,46)の内側に組み込まれる少なくとも1つのシールリング(18,20)を備え、
前記コネクタ(4,44)が前記ハウジング(6)内に挿入されて前記引締めリング(16,46)が前記側面(14)の上に押し出された状態において、前記少なくとも1つのシールリング(18,20)が、前記受入凹部(22)内に押し出されて該受入凹部(22)の内面と前記ソケット(8)の前記前端(12)との間の隙間を密閉する請求項9に記載のカップリング(2)。
【請求項11】
前記少なくとも1つのシールリング(18,20)が、前記ソケット(8)の前記前端(12)に対して、軸方向に隣接しているか、または軸方向に間隔を空けている請求項10に記載のカップリング(2)。
【請求項12】
前記受入凹部(22)が、内面(26)と径方向の肩部(28)とを有するクランプ部分(24)を備え、
前記内面(26)が、弛緩状態における前記引締めリング(16,46)の外径に一致する直径を有する請求項9から請求項11のいずれかに記載のカップリング(2)。
【請求項13】
前記ハウジングの前端(34)に隣接して、前記受入凹部(22)が、径方向に弾性を有するラッチ要素(36)を受け入れるための周方向溝(32)を有する請求項9から請求項12のいずれかに記載のカップリング(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載のハウジングの受入凹部に挿入するためのコネクタに関する。また、本発明は、このようなコネクタを有し、受入凹部を有するハウジングを備えたカップリングに関する。
【0002】
流体通路を構成する部品を接続するための様々なコネクタやカップリングが知られている。これらは通常、関連する流体、想定される圧力、設置条件などに適合している場合が多い。特に自動車産業では、サブアセンブリをプレハブ化し、それらを最終組立ラインに搬送し、最終組立の過程でそこに設置することが知られている。このようなサブアセンブリが、例えば、受入凹部に嵌合するコネクタを有する場合、サブアセンブリの設置を容易にするために、コネクタを三次元的に配置することが望ましい場合がある。
【背景技術】
【0003】
流体連通用の部品を接続するための公知のカップリングは、挿入可能なコネクタと、コネクタを受け入れるための受入凹部とを有するハウジングを備えることができる。コネクタを単に受入凹部に挿入して位置決めするだけでは、輸送中に輸送に起因する振動などによって位置が変わってしまう可能性がある。そこで、コネクタの位置ずれを防止するために、コネクタを挿入した後、回転させる前に固定することが知られている。しかし、これは、追加の回転防止措置を講じなければならないため、特に受入凹部を有するハウジングの製造に影響を及ぼす。旋盤を使用して行うことができるハウジングの単純な製造は、この場合、さらに費用のかかる機械加工工程によって補完する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、確実に位置決めすることができ、ハウジングの受入凹部に導入することができるコネクタを提供することであり、ハウジングまたは受入凹部は、できるだけ簡単に、好ましくは旋盤を使用するだけで製造することができるものである。
【0005】
本発明の主な特徴は、請求項1の特徴部分に明記されている。改良は、請求項2~11の主題を形成する。
【0006】
ハウジング内の受入凹部に挿入するためのコネクタであって、その中に形成された流路を有するソケットを有し、流路がソケットの前端まで延び、かつ、側面によって囲まれているコネクタの場合、本発明によれば、周方向に配置された少なくとも1つの所定の破断点を有することができる引締めリングが、前端において側面を囲むように設けられ、側面が、少なくとも特定の領域において前端に向かって先細になり、この引締めリングは、ソケットの前端とは軸方向の反対の他端側に向かって引締めリングを付勢する軸方向の力が、少なくとも1つの所定の破断点を破断する可能性があり、それによって、引締めリングが、外径を増大させつつ側面に完全に押し付けられ得るように設計され、引締めリングが側面に押し付けられる作用が、側面と受入凹部の内面との間に楔効果を生じさせる
【0007】
ソケットは、特に、1つ以上の円形断面を有する管状要素であり得る。ソケットは、ソケットに接続された部品からの流体がハウジングに接続された部品に流れ込むことができるように、相補的な凹部に挿入される役割を果たす。このため、ソケットには流路があり、この流路はソケットを貫通して軸方向に延びている。
【0008】
引締めリングは、前端の側面に配置される。例えば、引締めリングが側面に保持されるが、側面を大きく取り囲まないように、引締めリングの1つの縁部または狭い周辺領域だけが側面に配置されることができる。したがって、受入凹部に挿入する前に、コネクタは、引締めリングおよびソケットの形態の2つの構成要素が相互に連結されたサブアセンブリを形成することができる。
【0009】
所定の破断点は、引締めリングの周方向の領域の特定の弱化である。これにより、引締めリングは、周方向に破断し、径を増大させることができる。
【0010】
ソケットは、好ましくは、少なくともある領域において円錐形であり、したがって、前端から離れた軸方向において少なくともわずかに広がる。コネクタが受入凹部に挿入された結果、引締めリングが軸方向の力によってソケットの方向に押し込まれ、ソケットに押し込まれる。ソケットが広がることにより、引締めリングの周方向に機械的応力が生じ、それによって、特に、少なくとも1つの所定の破断点が破断される。少なくとも1つの所定の破断点が破断すると、引締めリングのサイズが増大し、側面に完全に位置するまで、側面上に押し付けることができるようになる。引締めリングを側面に押し付ける動作により、側面/引締めリングの組み合わせの最大外径を増大させることができ、その結果、受入凹部におけるソケットのクランプ動作が達成される。ソケットが受入凹部に完全に押し込まれ、所望のクランプ作用が得られるように、引締めリング、ソケット、受入凹部の寸法を調整することが必要である
【0011】
引締めリングは、ソケットをハウジングの受入凹部で引締め、コネクタとハウジングの間に回転的に固定された接続が確立されるようにする。このコネクタの設計は、コネクタを受入凹部において回転的に固定するために、受入凹部に追加の横方向ボア、スロットまたは他の手段を設ける必要がないことを意味する。つまり、受入凹部は旋盤によって非常に簡単に製造することができ、費用のかかる追加作業を行う必要はない。したがって、特に、ハウジングを金属材料からコスト効率よく製造することが可能である。一方、コネクタはプラスチック材料から製造することができ、ソケットと引締めリングの両方を射出成形で製造することができる。
【0012】
有利な実施形態では、引締めリングがソケットと一体的に形成され、少なくとも1つの所定の破断点を提供するために、引締めリングとソケットとの間の遷移領域が弱められている。遷移領域の特定の弱まりは、軸力の作用下で、引締めリングがソケットから容易に離脱できるようになることを意味する。この利点は、コネクタが提供されるときに、引締めリングがすでに正しく配置されており、使用する準備ができていることである。
【0013】
ここで、遷移領域が、周方向に互いに間隔を空けて配置された横材および/または低減した材料厚さを備えていることが好ましい。引締めリングは、引締めリングが正確に位置決めされ、軸方向の小さな圧縮力によってのみ引締めリングが外れるように、例えば、少数の互いに間隔を空けて配置された横材によってソケットに接続されることができる。周方向における横材間の距離は、横材の幅を大幅に超えることができる。また、圧縮力が引締めリングを引き離すのに十分となるように、遷移領域の材料厚さを薄くすることも可能である。
【0014】
少なくとも1つの所定の破断点が、軸方向に延びる少なくとも1つのスロットを有することが好ましい。スロットは、径方向において、引締めリングの材料厚さ全体を貫通する。それは、直線、曲線および/またはジグザグ線に沿って、好ましくは軸方向に延びることができる。スロットは、例えば射出成形時に一体的に製造されるか、またはその後、閉じた状態で製造される引締めリングにのこぎりで切り込みを入れることによって実現される。スロットの寸法、特にその軸方向の長さによって、破断のために必要な、前端における軸方向の力によって生じる周方向の力を制御することが可能である。
【0015】
また、スロットが前端において閉じられていると有利である。したがって、ソケットと引締めリングからなるサブアセンブリは、閉じた環状面を有し、傾くことなく受入凹部に挿入されることができる。したがって、この変形例では、スロットが引締めリングの軸方向の全長に伸長しておらず、引締めリングの周方向に隣接する2つのセグメントを橋渡しする接続部が残っており、該接続部が所定の破断点として機能する。スロットは、接続部分の方向に先細り、または接続部分から軸方向と反対側に広がることができ、接続部分の特定の破断開口動作を補助する。引締めリングが開くために超えなければならない軸方向の力は、接続部分の寸法とスロットの形状によって決まる。
【0016】
引締めリングを広げるために、横方向の面が、少なくともある領域において前端方向に先細になっていることが好都合である。引締めリングが反対側の軸方向に押し付けられると、その内面が広がり、その結果、特に、少なくとも1つの所定の破断点が開いて、引締めリングを側面にさらに押し付けることができるようになる。従って、少なくともある領域においては、ソケットは円錐形となる。
【0017】
また、引締めリングが別部品として設計されることも可能である。この場合、引締めリングは、ソケットとは異なる、例えば幾分柔らかい材料から形成することができる。これにより、少なくとも1つの所定の破断点の機能が向上し、ソケットの形状精度を維持することができる。
【0018】
特に好ましくは、少なくとも1つのシールリングが、引締めリングの内側に組み込まれることである。ソケットが受入凹部に押し込まれるとき、同時にシーリングが行われることが可能であり、コネクタを組み立てるときにシールリングを導入する別のステップを省略することができる。
【0019】
ここで、少なくとも1つのシールリングが、ソケットの前端に対して軸方向に隣接しているか、または軸方向に間隔を空けて配置されていると有利である。引締めリングが側面の上に押し出され、少なくとも1つのシールリングがソケットの前端によって保持されるので、ソケットは少なくとも1つのシールリングを導入する操作を補助する。少なくとも1つのシールリングは、コネクタが受入凹部に挿入されたとき、少なくとも1つのシールリングがわずかな軸方向の圧縮力で面一に押されてシーリングシートに嵌まるような寸法にすることができる。
【0020】
さらに、少なくとも1つの径方向に弾性を有するラッチ要素が、受入凹部内の周方向溝への拘束のために側面上に配置されていると好ましい。このようにして、コネクタは、押し込まれた状態で、軸方向に拘束されることができる。少なくとも1つのラッチ要素は、所定の挿入深さにおいて、ラッチ要素がハウジングの周方向溝に径方向にスナップフィットするように配置されている。したがって、コネクタと受入凹部との間の接続を確立するために必要なのは、コネクタが挿入されることだけである。
【0021】
本発明はまた、発明の詳細な説明の先行部に記載のコネクタと、受入凹部を有するハウジングとを備え、受入凹部が、コネクタに相補的に形成されているカップリングに関するものである。ハウジングは、コネクタの材料とは異なる材料から製造することができる。例えば、金属材料で作られたハウジングと、プラスチック材料で作られたコネクタとを組み合わせることを推奨することができる。本発明による構成は、コネクタへの接続のための重要な特徴が旋盤によって製造可能である、製造が容易なハウジングを提供する。
【0022】
受入凹部が、内面と径方向の肩部とを有するクランプ部分を備え、内面が、弛緩状態(応力緩和時)における引締めリングの外径に一致する直径を有すると好ましい。肩部は、引締めリングがこれに当たって、しっかりと保持されることを可能にする。コネクタが受入凹部に向かって押される操作により、ソケットと引締めリングとが相対的に移動する。直径比は、ソケットが想定された深さに達するまで導入されたとき、ソケットを所定の位置に固定するための楔としての効果を生じさせることができる。
【0023】
さらに、ハウジングの前端に隣接して、受入凹部が、径方向に弾性を有するラッチ要素を受け入れるための周方向溝を有することもできる。上述したように、それによって追加の軸方向の固定が達成できる。周方向溝の使用は、ラッチ要素を任意の所望の回転位置でラッチすることを可能にする。
【0024】
本発明の更なる特徴、詳細および利点は、特許請求の範囲の文言から、また、図面を参照した例示的な実施形態の以下の説明から読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】コネクタとハウジングが互いに間隔を空けて配置された状態のカップリングの側断面図である。
図2】コネクタがハウジングにある程度挿入された状態のカップリングの側断面図である。
図3】コネクタがハウジングの中に完全に挿入された状態のカップリングの側断面図である。
図4】コネクタの斜視図である。
図5】シールリングを有しないコネクタの側断面図である。
図6】引締めリングが破断して開いた状態のコネクタの斜視図である。
図7】引締めリングに2つの所定の破断点を設けたコネクタの斜視図である。
図8】4つのラッチ要素を有するコネクタの斜視図である。
図9】変形されたコネクタの斜視図である。
図10】変形されたコネクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、コネクタ4とハウジング6とを有するカップリング2を示している。コネクタ4は、流路10が形成されたソケット8を有する。ソケット8は、前端12を有し、そこから流路10を流れる流体が供給される。側面14は、流路10を取り囲んでいる。側面14の前端12には、引締めリング16が、周囲を取り囲むようにして配置されている。引締めリング16は、独立して製造された部品であってもよいし、ソケット8と一体的に形成されるように製造されたものであってもよい。後者の場合、引締めリング16とソケット8との間に非常に微細な連結ブリッジのみを設け、比較的小さな軸方向の力の作用下で引締めリング16をソケット8から離脱させることが好都合であり得る。以下に説明するように、引締めリング16は、この図には示されていない少なくとも1つの周方向の所定の破断点を有している。
【0027】
ここに示すように、弛緩状態において、引締めリング16は外径D1を有している。例として、2つのシールリング18および20が、引締めリング16の内側に組み込まれている。シールリング20は、ソケット8の前端12に直接隣接している。
【0028】
ハウジング6には、受入凹部22が設けられている。この受入凹部が、ソケットを補完するように形成されている。その中に、クランプ部分24が設けられ、内面26と径方向の肩部28とを有する。肩部28は、引締めリング16の前端30と表面領域で接触する役割を果たす。ここでの内面26の内径は、D1とほぼ同一であるか、または慣用の適合寸法だけD1を上回っている。
【0029】
また、ハウジングの前端34に隣接する周方向溝32が設けられている。ソケット8は、径方向に弾性を有するラッチ要素36を有し、このラッチ要素は、ソケット8が受入凹部22の中に完全に押し込まれると、周方向溝32でラッチされる。周方向溝32は、ここでは、受入凹部22の全周にわたって延びているので、ソケット8の回転位置決めは、ラッチ要素36のラッチング作用の機能には関係がない。
【0030】
図2は、ソケット8が受入凹部22に押し込まれる動作を示している。図2に示す状態においては、引締めリング16の前端30は、肩部28に接触している。引締めリング16がある位置でソケット8にある程度接続されている場合、この接続は、ソケット8をわずかに押し込むことによって解除することができる。以下に説明するように、引締めリング16に対する軸方向の力の作用は、少なくとも1つの所定の破断点が開放されることにもなり、引締めリング16を側面14へさらに押し込むことができるようになる。
【0031】
図1図3から分かるように、ソケット8、すなわち側面14は、場所によってはわずかに円錐形になっているので、側面14の直径は前端12よりわずかに広がっている。したがって、引締めリング16の外径は、引締めリングがソケット8に押し付けられることにより、D1からD2へ増大する。このことは、図3からわかる。そこでは、引締めリング16は、側面14に対してかなり押し付けられ、図1の弛緩状態の直径D1よりも大きい外径D2を有している。受入凹部22の断面は、少なくとも局所的に完全に埋まり、引締めリング16の材料が径方向への押圧を受けるので、内面26と側面14との間に楔効果が生じる。したがって、引締めリング16は一種の楔として機能し、ソケット8は受入凹部22に回転可能に固定された状態で収まる。
【0032】
図4は、コネクタ4の斜視図である。ここでは、引締めリング16がソケット8に嵌め込まれているので、ソケット8と引締めリング16は、組み立てと取り扱いが容易な相互に連結されたサブアセンブリを形成している。スロット40の形をした所定の破断点38が、引締めリング16の外面に設けられている。スロットは、前端30で閉じられている。この目的のために、例えば、スロット40が径方向および軸方向に延びない幅の細い横材42が提供される。これに加えて、スロット40は、前端30から軸方向に広がるように構成されているので、破断開放の目的に必要な機械的応力は、横材42の領域で集中することになる。引締めリング16がソケット8に押し付けられると、スロット40のうち横材42から離れる方向に向けられたその領域は、したがって引き離され、横材42は破断する。図示の例では、コネクタ4は、周方向溝32内でラッチ可能な2つの径方向に対向するラッチ要素36を有する。
【0033】
図5に示すように、引締めリング16の周方向の対向する位置に径方向に配置される2つのスロット40の形態で、2つの所定の破断点38を設けることも可能である。
【0034】
図6は、単一の所定の破断点38を有しているが、4つの周方向に分布するラッチ要素36を有するコネクタ4の改変された変形例を示している。これにより、ラッチされた状態において、より大きな軸方向の力を吸収することが可能となる。
【0035】
図7は、再び、コネクタ4の側面の断面を示している。このとき、シールリング18および20はなく、引締めリング16の一部が側面14上にある収まった状態である。これに直接隣接して、ソケット8が広がるので、引締めリング16の内径、したがって外径も増大する。
【0036】
さらに、図8は、完全に押し付けられた状態の引締めリング16を示し、この場合、所定の破断点38は、破断して開いている。ソケット8の前端12は、引締めリング16の外に飛び出している。破断点においては、引締めリング16がかなりの程度まで広がっていることがわかり、その結果、コネクタ4が受入凹部22に嵌合する際に前述の楔効果が得られる。
【0037】
図9および図10は、ソケット8と一体的に形成された、わずかに異なる引締めリング46を有するコネクタ44の変形例である。遷移領域48において、材料の弱化により、所定の破断点50が形成されている。これは、引締めリング46とソケット8との間を通る、周方向に間隔を空けて配置された横材によって、あるいは、材料の厚みを減らすことによって実現することができる。図9においては、引締めリング46が、側面14の前端12に取り付けられ、使用可能な状態になっている。引締めリング46に軸方向の圧縮力が作用した結果、横材が破断し、引締めリング46がずれることがある。これは、引締めリング46がラッチ要素36の方向にずらされ、ある程度広げられた図10につながる。
【0038】
なお、本発明は、上述した実施形態の一つに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0039】
特許請求の範囲、明細書および図面から生じる構造的詳細、空間的配置、およびプロセスステップを含むすべての特徴および利点は、個々に、および多種多様な組み合わせで、本発明の本質となり得るものである。
【符号の説明】
【0040】
2 カップリング
4 コネクタ
6 ハウジング
8 ソケット
10 流路
12 前端
14 側面
16 引締めリング
18 シールリング
20 シールリング
22 受入凹部
24 クランプ部分
26 内面
28 肩部前端
30 引締めリング前端
31 データ表示部
32 周方向溝
34 ハウジングの前端
36 ラッチ要素
38 所定の破断点
40 スロット
42 横材
43 外周
44 コネクタ
46 引締めリング
48 遷移領域
50 所定の破断点
D1 弛緩状態の外径
D2 応力負荷時の外径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10