(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】メタン含有ガス雰囲気および触媒構造物の存在下で液体燃料/化学品を製造するための有機固体バイオマスの転化
(51)【国際特許分類】
C10G 1/00 20060101AFI20240828BHJP
C10G 2/00 20060101ALI20240828BHJP
C10J 3/54 20060101ALI20240828BHJP
B01J 29/40 20060101ALI20240828BHJP
B01J 29/48 20060101ALI20240828BHJP
B01J 37/04 20060101ALI20240828BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
C10G1/00 C
C10G2/00
C10J3/54 A
B01J29/40 M
B01J29/48 M
B01J37/04 102
B01J37/08
(21)【出願番号】P 2023513455
(86)(22)【出願日】2021-08-25
(86)【国際出願番号】 IB2021057789
(87)【国際公開番号】W WO2022043892
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-04-20
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521367411
【氏名又は名称】カラ テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ファ
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0313219(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0142159(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104096571(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0115415(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体燃料および/または化学品製造用の有機固体バイオマス供給原料の価値を高めるための方法であって、
有機固体バイオマス供給原料をメタン含有ガスおよびメタノリシス触媒構造物の存在下にあるメタノリシス反応システムの反応ゾーン内に導入して、固体有機物供給原料をメタノリシスによって液体バイオ油製品および合成ガス製品に転化する工程
;
前記合成ガス製品を第2のガスおよび液化反応触媒構造物の存在下にある液化反応システム中に導入して、前記合成ガス製品を液化反応によって液体油製品に転化する工程
;
前記メタノリシス触媒構造物を前記反応ゾーンと再生ゾーンとの間を循環させる工程であって、前記メタノリシス触媒構造物上に堆積した炭素質材料が、前記再生ゾーン内で酸化され前記メタノリシス触媒構造物から除去されて、再生されたメタノリシス触媒構造物が生成され、前記再生されたメタノリシス触媒構造物が前記再生ゾーンから前記反応ゾーンへ向けられる工程;および
前記液化反応システムを出るガス状製品を前記メタノリシス反応システムへの入力として提供する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記メタノリシス反応システム内の温度が約400℃~約500℃であり、かつ前記メタノリシス反応システム内の圧力が約1気圧~約10気圧である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機固体バイオマス供給原料が、都市固体廃棄物ならびに農業および/または林業固体廃棄物残留物の1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記メタン含有ガスが、バイオガスおよび天然ガスの1つ以上をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記メタン含有ガスが、窒素、ヘリウム、二酸化炭素および水の1つ以上をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記メタノリシス反応システムが前記有機固体バイオマス供給原料の接触的メタノリシスのための循環する流動床反応器を含み、かつ前記液化反応システムが前記合成ガスの接触的液化反応のための固定床反応器を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記メタノリシス触媒構造物は、酸化アルミニウム(すなわち、Al
2O
3)、アルミノケイ酸材料(たとえば、ゼオライト)および酸化ケイ素(すなわち、SiO
2)の1つ以上を含む多孔質支持体構造物、ならびに前記多孔質支持層構造物に担持されかつMo、Ni、Co、Ag、Ga、ZnおよびCeから成る群から選ばれた1つ以上の金属、を含み、前記多孔質支持層構造物中に担持された前記金属のそれぞれは、前記メタノリシス触媒構造物の全重量に基いて約0.1重量%~約20重量%の量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記液化反応触媒構造物が、前記液化反応システム内の二重床反応器に提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記液化反応触媒構造物が、前記二重床反応器の第1の床中の第1の触媒構造物を含み、前記第1の触媒構造物がCo
3O
4、Fe
2O
3、NiOおよびMnO
2の2つ以上を含む混合金属酸化物構造物および前記混合金属酸化物構造物中に担持された単一アルカリ金属を含み、かつ前記混合金属酸化物構造物中に担持された前記単一アルカリ金属が前記第1の触媒構造物の約0.1重量%~約10重量%の量で存在する、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記液化反応触媒構造物が、前記二重床反応器の第2の床中の第2の触媒構造物をさらに含み、前記第2の触媒構造物が酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩材料および酸化ケイ素の1つ以上を含む多孔質支持体構造物および前記多孔質支持体構造物中に担持された2つ以上の金属を含み、かつ前記多孔質支持体構造物中に担持された前記2つ以上の金属がMo、Ni、Co、Ag、Ga、ZnおよびCeから成る群から選ばれ、前記多孔質支持体構造物中に担持された前記金属のそれぞれが前記第2の触媒構造物の約0.1重量%~約20重量%の量で存在する、請求項
9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年8月26日に出願され発明の名称を「メタン含有ガス雰囲気および触媒構造物の存在下で液体燃料/化学品を製造するための有機固体廃棄物の転化」とする米国特許仮出願第63/070,368号および2021年5月25日に出願され発明の名称を「メタン含有ガス雰囲気および触媒構造物の存在下で液体燃料/化学品を製造するための有機固体廃棄物の転化」とする米国特許仮出願第63/192,720号の優先権を主張し、それらの開示はそれらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、有機固体バイオマスの価値を高める方法に関し、固体供給原料の処理プロセスおよびアップグレードの技術分野に属する。
【背景技術】
【0003】
都市固体廃棄物、農業および林業残留物を含む有機固体廃棄物は、その低コスト、入手可能性およびカーボンニュートラルな性質の故に、再生可能な液体燃料および化学品を製造するための供給原料として、化石燃料の唯一の持続可能な代替物として世界中でますます注目を集めている。それにもかかわらず、技術的および経済的な懸念によりこれらの分野ではまだ原材料として広く使用されていない。
【0004】
有機固体廃棄物の熱分解は、バイオ原油とともにガスおよびバイオチャーを製造する1つの方法である。しかし、直接熱分解から得られたバイオ油は、低いH/C比の故に徐々に老化し、光、酸素ガスまたは80℃超の熱にさらされると、より速く老化して貯蔵上のおよび安定性の問題を引き起こす。さらに、その高い酸素含有量の故にバイオ原油は、より低い発熱量を有し、発電用の従来からの液体燃料の代替物として使用されるには不十分であり、そのうえ、硫黄、窒素、塩素および微量金属などの汚染物質を含んでいる。
【0005】
これらの問題を克服するために、望ましくない化合物を除去しまたは化学的に変性することによってバイオ油をアップグレードするための様々なプロセスが開発されている。最も広く使用されているプロセスは水素化脱酸素法である。これは、高品質で、エネルギー密度が高く、かつ、非腐食性の製品を製造することができ、この製品はさらにアップグレードされることができる。しかし、それは、大量の水素を消費し、高圧条件(たとえば、約15気圧~約35気圧)の下で操業されなければならない。天然に利用できないこのような高価な水素源の関与は、必然的にこのアップグレードプロセスの著しいコスト増加をもたらすだろう。そのうえ、そのような高圧操作は、間違いなく資本および操業コストのさらなる増加につながるだろう。
【0006】
バイオ油をアップグレードする代替的方法は、ゼオライト上での接触分解法であり、これは水素の必要がなく大気圧で芳香族を製造することができる。このプロセスはまだその初期段階にあり、最終製品のH/C含有量が低いという問題を抱えている。したがって、バイオ油のアップグレードを実現するために、豊富で容易に利用可能な原材料を用いた経済的に魅力的なプロセスを開発することが非常に望ましい。
【0007】
メタンは天然ガスの主成分であり、過小評価された価値を有する天然に存在する資源である。天然ガスの生産量は、主として北米でのいわゆるシェールガス革命およびそれに伴って起きた価格の減少により過去数十年間に飛躍的に上昇した。有機固体廃棄物のアップグレード用の水素供給源としてメタンまたは天然ガスが利用されて、価値の高い液体製品を製造することができるならば、そのプロセスは、より環境に優しく経済的に好適なものになり得るだけでなく、天然ガスの付加価値もまた大いに高められることができ、それは現在の石油および天然ガス産業に非常に役に立ち利益をもたらすものである。さらに、関連した操作圧力がさらに下げられることができるならば、プロセス全体が、より経済的に魅力的で競争力の高いものになることができる。
【発明の概要】
【0008】
本明細書に記載された実施形態によれば、液体燃料および/または化学品を製造するための有機固体バイオマス供給原料の価値を高める方法は、有機固体バイオマス供給原料をメタン含有ガスおよびメタノリシス触媒構造物の存在下にあるメタノリシス反応システムの反応ゾーン内に導入して、固体有機物供給原料をメタノリシスによって液体バイオ油製品および合成ガス製品に転化する工程、および合成ガス製品を(任意的な)第2のガスおよび液化反応触媒構造物の存在下にある液化反応システム中に導入して、合成ガス製品を液化によって液体油製品に転化する工程を含む。
【0009】
他の実施形態では、液化燃料油製品を生成する方法は、複数の液化反応触媒構造物を含む混合床反応器への入力として合成ガスを供給する工程、合成ガスを液化して液化燃料油製品およびガス状製品を産生する工程、および液化燃料油製品をガス状製品から分離する工程を含む。
【0010】
なおさらなる実施形態では、メタノリシス触媒構造物を生成する方法は、2つ以上の金属塩を水中に溶解して、Mo、Ni、Co、Ag、Ga、CeおよびZnから成る群から選ばれた任意の2つ以上の金属を含む金属前駆体溶液を生成する工程、金属前駆体溶液を多孔質支持体構造物中に担持する工程、金属前駆体を担持された多孔質支持体構造物を約80℃~約120℃の温度で少なくとも2時間乾燥する工程および金属前駆体を担持され乾燥された支持体構造物をガス雰囲気中で約300℃~約700℃の範囲の温度および約5℃/分~約20℃/分の範囲の加熱速度で焼成してメタノリシス触媒構造物を生成する工程を含む。
【0011】
なおさらなる実施形態では、液化反応触媒構造物を生成する方法は、2つの金属塩を水中に溶解して混合金属前駆体溶液を生成する工程、沈降剤としてのアルカリ溶液を混合金属前駆体溶液に撹拌下に滴下方式で導入してスラリーを生成する工程、スラリーを約25℃~約28℃の温度で少なくとも12時間熟成させる工程、前記熟成されたスラリーを繰り返し洗浄およびろ過して得られる沈殿物を生成させ、引き続いて前記得られた沈殿物を約90℃~約105℃で約6時間~約12時間乾燥して乾燥した支持体構造物を生成する工程、乾燥した支持体構造物を静止した空気下に550℃で3時間焼成して混合金属酸化物支持体構造物を生成する工程、単一のアルカリ金属塩を水中に溶解して金属前駆体溶液を生成する工程、金属前駆体溶液を混合金属酸化物支持体構造物の中に担持する工程、金属前駆体を担持された混合金属酸化物支持体構造物を約80℃~約120℃の温度で少なくとも2時間乾燥して単一のアルカリ金属を担持された乾燥した触媒構造物を生成する工程、および単一のアルカリ金属を担持された乾燥した触媒構造物をガス雰囲気中で約300℃~約700℃の範囲の温度および約5℃/分~約20℃/分の範囲の加熱速度で焼成して液化反応触媒構造物を生成する工程を含む。
【0012】
有機固体バイオマスの高価値化を達成するための、方法、システムおよび触媒構造物が本明細書でさらに説明され、それらは、特定のガス雰囲気中で単純なプロセス操作によって、高価値化された液体燃料および/または化学品を効果的に製造することができる。
【0013】
本発明の上記のおよびなおさらなる特徴および利点は、その特定の実施形態の以下の詳細な記載を考慮すると明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面は本発明のある態様を説明する目的のために含まれている。そのような図面およびその説明は、理解を容易にすることを意図しており、本発明を限定するものと見なすべきではない。以下の図面が含まれておりその説明は以下のとおりである。
【0015】
【
図1】メタン含有ガス雰囲気中で有機固体バイオマス(バイオ廃棄物)から液体燃料/化学品を製造するためのプロセスフロー図である。
【0016】
【
図2】ほぼ大気圧での合成ガス液化のための二重床反応器配置の概略図である。
【0017】
【
図3】
図1の配置およびアップグレードされたバイオ油を液体のバイオ燃料製品に転化するための追加のプロセスフローを含むプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、不均一系触媒構造物の配合、ならびにメタンまたは天然ガス雰囲気下で有機固体バイオマスをアップグレードするためにその触媒を利用して、環境への悪影響を生じることなく、高付加価値の液体燃料および/または化学品を生成するプロセスおよびシステムを対象とする。
【0019】
特に、本明細書に記載されているのは、メタン含有ガス雰囲気下で有機固体バイオマス(たとえば、バイオ廃棄物)の価値を高めるための、触媒構造物、そのような触媒構造物を利用するシステムおよび方法である。メタンは効果的に活性化されることができ、これにより環境保護にとって有益な最小限のCO2生成に抑えながら高付加価値の液体燃料および/または化学品の生成を最大化するためのメタノリシスおよび液化プロセスを促進することが観察されている。本明細書で提供される開示は、石油およびガス産業における再生可能な液体燃料および/または化学品の生産のための変革的な方法を促進する。
【0020】
たとえば、メタンに富むガスと固体バイオ廃棄物などの有機固体バイオマスとを価値の高い液体化学品または燃料に転化すると同時に建設産業向けのフィラーとしての灰分および住宅用の可燃性ガスの生成を最小限に抑えるシステムおよびプロセスが本明細書に記載される。1つの広い様相では、本明細書に記載されたシステムおよびプロセスは、メタン含有ガスを使用する単一工程で有機固体バイオマス供給原料(たとえば、都市固体廃棄物、農業および/または住宅残留物)を熱分解しアップグレードするために触媒構造物を利用する。メタノリシスプロセスは、熱分解とバイオ油のアップグレードとを組み合わせて単一工程にする。アップグレードされたバイオ油を収集するための適当な凝縮の後、同時に生成された合成ガスとともに未転化のメタン含有ガスは一連の浄化工程および水性ガスシフト反応に供されて望ましいCOとH2との比を有する製品が得られ、引き続いて別の触媒構造物による促進の下で液化工程によって液体炭化水素製品が生成される。このプロセスは、より低い圧力(たとえば、5気圧未満)でかつ(従来技術で使用される高価な水素の代わりに)メタン含有ガスを用いて行なわれてもよい。この触媒構造物は、非酸化条件下で、他の高級炭化水素または含酸素化合物の存在下でメタンの活性化を引き起こすための高い質の性能を提供する。収集されたアップグレードバイオ油は、本明細書に記載された追加の処理によってさらにアップグレードされることができる。本明細書に記載されたシステムおよびプロセスは、有機固体バイオマスの質をアップグレードするだけでなく、安価なメタン含有ガス化学種の導入によって、より多くのオイルを製造してもよい。
【0021】
以下の詳細な説明では、本開示の様相が開示されているけれども、本開示の代替的な実施形態およびそれらの等価物が本開示の精神または範囲から逸脱せずに考案されてもよい。「1つの実施形態」、「実施形態」、「典型的な実施形態」等に関する本明細書での議論は、記載された実施形態が特定の特徴、構造または特性を含んでいてもよく、また、そのような特定の特徴、構造または特性がすべての実施形態に必ずしも含まれていなくてもよいことを示すことが留意されるべきである。さらに、上記への言及は、必ずしも同じ実施形態への言及を含むわけではない。最後に、明示的に記載されているかどうかにかかわらず、当業者は、所与の実施形態の特定の特徴、構造または特性のそれぞれが、本明細書で議論されている他の実施形態のものと関連して、または組み合わされて利用されてもよいことを容易に認識するであろう。
【0022】
様々な操作は、特許請求された主題を理解するのに最も役立つ様式で、複数の別個の動作または順番の操作として記載されることがある。しかしながら、記載の順序は、これらの操作が必然的に順序に依存することを意味するものと解釈されるべきではない。特に、これらの操作は提示の順序で行なわれなくてもよい。記載された操作は、記載された実施形態とは異なる順番で行なわれてもよい。様々な追加の操作が行なわれてもよく、かつ/または記載された操作が追加の実施形態において省略されてもよい。
【0023】
本開示の目的のためには、句「Aおよび/またはB」とは(A)、(B)または(AおよびB)を意味する。本開示の目的のためには、「A、Bおよび/またはC」とは(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)または(A、BおよびC)を意味する。
【0024】
本開示の実施形態に関して使用される用語「含む(comprising)」、「含む(including」、「有する(having)」等は、同義語である。
【0025】
例示的な実施形態に従って、触媒構造物は、本明細書では、メタン含有資源、たとえば天然ガス、バイオガスおよび石炭層メタンおよびそのような触媒構造物の2つ以上を利用する有機固体バイオマスの価値を高めるためのプロセスとの組み合わせで使用され、高い質を有する液体製品が得られる。バイオガスは、バイオマスをメタンおよび二酸化炭素を含むガス状成分へ転化することによって生成されることができる。天然ガスもまた、主としてメタンを含むが二酸化炭素および水蒸気などの成分も含むことができる。
【0026】
有機固体バイオマスの価値を高めるプロセスにおいて水素ではなくてメタン含有ガスを使用することは、経済的に不利な高圧力および温度での水素化処理工程の必要性を除去する。メタンを活性化し所望の製品を選択的に生成するような触媒の設計が、このプロセスの効能にとって非常に重要である。特に、本明細書に記載された触媒構造物は、この触媒構造物の存在下で、低い温度(たとえば、約350℃~約600℃、好ましくは約400℃~約500℃の範囲、たとえばほぼ400℃)で、および圧力(たとえば、約1気圧~約10気圧の範囲、好ましくは約5気圧)で、メタンに富むガスの存在下でメタノリシスおよび液化反応のプロセスを促進する。
【0027】
炭化水素燃料製品の生成に使用される固体バイオマス
【0028】
任意の適当な固体有機物またはバイオマス/バイオ廃棄物材料が、本明細書に記載されたプロセスのための出発入力または供給原料として利用されることができ、このプロセスで有機材料がメタノリシスに供されて、アップグレードされたバイオ油とともにさらに精製/アップグレードされた炭化水素燃料製品が生成される。
【0029】
このプロセスへの入力として使用されることができる固体有機物または固体バイオマス材料の例としては、有機材料を含む都市廃棄物(たとえば、都市固体廃棄物すなわちMSW)などの固体有機廃棄物、トウモロコシ茎葉などの農業および/または林業残留物を含むリグニンに基いた資源、森林(たとえば、木材ペレット、木工場残留物等)からのリグニン供給原料、および/またはリグニン、藻類、有機材料等を含む産業廃棄物流れ、の任意の他の適当な資源、とともに任意の他の適当なタイプのバイオマス材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
メタノリシスのための触媒構造物
【0031】
本発明に従って、本明細書(
図1を参照)に記載されたメタン含有ガス雰囲気中で有機固体バイオマスを熱分解するための高度に多孔質の支持体に担持された一元または多元金属(たとえば、二元金属)活性成分の1つまたは組み合わせを含むメタノリシス触媒構造物が提供される。本明細書に記載された触媒構造物はまた、H2、HeおよびN2雰囲気などの他のガス雰囲気中での硫黄除去にも使用されることができる。もっとも、メタンまたは天然ガス雰囲気の利用が好ましいが。
【0032】
メタノリシス触媒構造物は、適当な支持体材料に2つ以上の金属を含浸させまたはドープすることにより合成されることができる。好適な多孔質支持体材料は、酸化アルミニウム(すなわち、Al2O3)、アルミノケイ酸塩(たとえば、ゼオライト)および/または酸化ケイ素(すなわち、SiO2)であることができる。触媒構造物用の支持体材料として適当なゼオライト材料のいくつかの非制限的な例は、HZSM-5型ゼオライト、L型ゼオライト、HX型ゼオライト、HY型ゼオライトおよびRive Technology社(米国、ニュージャージー州、Monmouth Junction)から市販のゼオライト構造物を含む。アンモニウム型ゼオライトもまた、水素型ゼオライトへ転換することによって(たとえば、約400℃~約600℃の温度で約4時間~約6時間静的空気中で焼成することによって)利用されることができる。支持体材料としてゼオライト材料を利用する場合、ゼオライト支持体材料のSiO2とAl2O3との比は約2.5~約280の範囲(すなわち、約2.5:1~約280:1の範囲にあるSiO2とAl2O3との比)であることができる。
【0033】
多孔質支持体材料に、たとえば含浸またはドーピングによって、担持されることができる適当な金属としては、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銀(Ag)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)およびセリウム(Ce)から成る群から選ばれる任意の1つ以上(たとえば、2つ以上)の金属が挙げられる。各金属ドーパントまたは金属ドーパントの組み合わせは、約0.1重量%~約20重量%(すなわち、触媒構造物の全重量に基く)の範囲の量で触媒構造物内に供給されることができる。ある金属については、好ましい金属担持量は約0.1重量%~約20重量%である。本明細書では、触媒構造物の異なる金属担持量の特定の例が提供される。
【0034】
多孔質支持体材料は、以下の方法で適当な量の1つ以上の金属でドープされることができる。1つ以上の金属塩が脱イオン水に溶解されて、溶液内の適当な濃度の水溶液が形成されることができる。触媒構造物を形成するために使用されることができる金属前駆体塩としては、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、硫化物およびポリチオメタレートが挙げられるが、これらに限定されない。次に、溶液中の1つ以上の金属前駆体が多孔質支持体材料中に担持されて、触媒構造物内の金属の所望の量(たとえば、約0.1重量%~約20重量%)が達成される。多孔質支持体材料内に金属を担持するための任意の適当な担持プロセスが実施されることができる。金属担持プロセスのいくつかの非限定的な例としては、以下のもの挙げられる:IWI法(初期湿潤含浸法、この方法では、活性金属前駆体が最初に水溶液または有機溶液に溶解され、次に金属含有溶液が、添加される溶液容積と同じ細孔容積を含有する触媒支持体に添加され、そこで毛細管現象が溶液を細孔内に引き込む。);WI法(湿潤含浸法、この方法では、IWI法の容積よりも多い液体が支持体に添加され、次に溶媒が蒸発によって除去される。);IE法(イオン交換法、この方法では、金属カチオンが溶液から支持体中へと交換される。);およびFI法(フレームワーク組み込み法、この方法では、金属が支持体の合成工程中に支持体材料に添加される。)。
【0035】
特定の担持プロセスに応じて、得られた金属担持触媒構造物は、約80℃~約120℃の温度で約2時間~約24時間乾燥されることができる。次に、乾燥された触媒構造物は、空気、N2またはHeガス下で約300℃~約700℃の範囲の温度で、適当な傾斜または段階的増加加熱速度(たとえば、約5℃/分~約20℃/分の加熱速度)で焼成されることができ、このような焼成温度、時間および加熱速度は、触媒構造物中にドープされた1つ以上の金属、とともに触媒構造物の使用に付随する反応条件に応じて修正されることができる。
【0036】
得られた金属をドープされた触媒構造物は、本明細書に記載のプロセスにおいてメタン含有ガス雰囲気下での有機物固体バイオマスの熱分解での使用に適している。触媒構造物は、特定の操作に望ましい粒子サイズを有する粒子形態へと加工されることができる。
【0037】
液化反応(ガス・ツー・リキッド、すなわちGTL)用の触媒構造物
【0038】
-は、本明細書に記載の二重床配置、すなわち二重床反応器中に存在して(
図2参照)、従来のフィッシャー・トロプシュ(FT)反応経路を新しい経路に変える。この新しい経路では、完全に異なる配合ではあるが同じ反応条件下で操作される2つの連続した触媒床を、合成ガス供給原料流は通過する。第1の床中の触媒構造物は、ほぼ大気圧下350℃~450℃の範囲の温度で合成ガスを軽質炭化水素の混合物(C1~C4)とともに残留物C5+製品に変換するように設計されている。得られた製品流れは次に、第2の床中で触媒構造物に接触させられ、そこでメタンと共存するそれよりも高い炭化水素(C2+)との間の相乗効果に基いた同じ反応条件の下で液体製品が最大化される。未反応ガス残留物は、(任意的な)さらなる反応のために反応器入口にリサイクルされることができる。
【0039】
第1の床の液化反応触媒構造物は、Co3O4、Fe2O3、NiOおよびMnO2の2つ以上を含む混合金属酸化物構造物と、その混合金属酸化物構造物中に担持された任意の単一アルカリ金属とから構成されるわずかに変性された従来型FT触媒である。混合金属酸化物構造物中に担持されたアルカリ金属は、約0.1重量%~約10重量%の量で存在する。
【0040】
第1の液化反応触媒構造物は、適当な支持体材料に単一のアルカリ金属を含浸させまたはドープすることによって合成されることができる。適当な混合金属酸化物支持体材料は、共沈法によってCo3O4、Fe2O3、NiOおよびMnO2から選ばれた2つ以上の金属酸化物から作られることができる。選ばれた2つ以上の金属の硝酸塩前駆体が、脱イオン水に溶解されて透明な水溶液が得られる。炭酸ナトリウムなどのアルカリ溶液が次に、沈降剤として水溶液に撹拌下に9~11のpHを維持しながら滴下方式で導入される。得られたスラリーは0.5時間~2時間激しく撹拌される。沈殿物が少なくとも12時間(たとえば、約12~48時間)、室温(たとえば、約25℃~約28℃)でエージングされ、それから脱イオン化水によって数回濾過され洗われる。沈殿物は約90℃~約105℃で一晩(たとえば、約6時間~約12時間)乾燥され、そして約350℃~約550℃で約2時間~約6時間焼成される。得られた混合金属酸化物支持体は、こうして含浸の準備が整う。
【0041】
支持体材料に含浸またはドーピングによって担持されることができる適当な金属としては、任意の単一のアルカリ金属(たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム等)が挙げられる。各金属ドーパントまたは金属ドーパントの組み合わせは、約0.1重量%~約10重量%の範囲の量で(すなわち、触媒構造物の全重量に基いて)触媒構造物内に提供されることができる。
【0042】
支持体材料は、以下の方法で適当な量の1つの金属をドープされることができる。1つの金属塩が脱イオン水に溶解されて、水溶液が溶液内の適当な濃度で生成されるができる。触媒構造物を生成するために使用されることができる金属前駆体塩としては、これらに制限されることなく、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、硫化物およびポリチオメタレートが挙げられる。溶液になっている1つの金属前駆体は次に、支持体材料中に担持されて、触媒構造物内の所望の量(たとえば、約0.1重量%~約10重量%)の金属が達成される。支持体材料内に金属を担持するための任意の適当な担持プロセスが実施されることができる。金属を担持するプロセスのいくつかの非制限的な例としては、以下のものが挙げられる:IWI法;(初期湿潤含浸法、この方法では、活性金属前駆体が最初に水溶液または有機溶液に溶解され、次に金属含有溶液が、添加される溶液容積と同じ細孔容積を含有する触媒支持体に添加され、そこで毛細管現象が溶液を細孔内に引き込む。);WI法(湿潤含浸法、この方法では、IWI法の容積よりも多い液体が支持体に添加され、次に溶媒が蒸発によって除去される。);IE法(イオン交換法、この方法では、金属カチオンが溶液から支持体中へと交換される。);およびFI法(フレームワーク組み込み法、この方法では、金属が支持体の合成工程中に支持体材料に添加される。)。
【0043】
特定の担持プロセスに応じて、得られた金属担持された第1の液化反応触媒構造物は、約80℃~約120℃の温度で約2時間~約24時間乾燥されることができる。乾燥された触媒構造物はそれから、空気、N2またはHeガスの下で約300℃~約700℃の範囲の温度で、かつ適当な傾斜または段階的増加加熱速度(たとえば、約5℃/分~約20℃/分の加熱速度)で焼成されることができ、その場合に、触媒構造物中にドープされた金属の種類または複数の種類とともにその触媒構造物の使用と関連する反応条件に依存して、そのような焼成温度、時間および加熱速度は修正されることができる。
【0044】
得られた金属担持された第1の触媒構造物は、本明細書に記載されたプロセスにおいてメタン含有ガス雰囲気の下でC1~C4軽質炭化水素とともに残留物C5+製品を生成するための合成ガス転化への使用に適している。第1の触媒構造物は、特定の操作のために望ましい粒子サイズを備えた粒子形態へと処理されることができる。
【0045】
本発明に従って、第2の床における第2の触媒構造物が提供され、これは、メタン含有ガス雰囲気での軽質炭化水素の液化のための、高度に多孔質の支持体に担持された単一金属または多元金属(たとえば、2元金属)活性成分の1つまたは組み合わせを含む。
【0046】
第2の液化反応触媒構造物は、適当な支持体材料に2つ以上の金属を含浸させまたはドープすることにより合成されることができる。適度に多孔質の支持体材料は、酸化アルミニウム(すなわち、Al2O3)、アルミノケイ酸塩(たとえば、ゼオライト)および/または酸化ケイ素(すなわち、SiO2)であることができる。触媒構造物用の支持体材料として適当なゼオライト材料のいくつかの非制限的な例としては、HZSM-5型ゼオライト、L-型ゼオライト、HX型ゼオライト、HY型ゼオライトおよびRive Technology社(米国、ニュージャージー州、Monmouth)から市販のゼオライト構造物が挙げられる。アンモニウム型ゼオライトも、水素型ゼオライトへの変換によって(たとえば、約400℃~約600℃の温度で約4時間~約6時間の静的空気中での焼成によって)利用されることができる。支持体材料としてゼオライト材料を利用する場合、ゼオライト支持体材料のSiO2とAl2O3との比は約2.5から約280の範囲(すなわち、2.5:1~280:1の範囲にあるSiO2とAl2O3との比)であることができる。
【0047】
含浸またはドーピングによって多孔質支持体材料に担持されることができる適当な金属としては、以下の群からの任意の1つ以上(たとえば、任意の2つ以上)が挙げられる:モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銀(Ag)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)およびセリウム(Ce)。各金属ドーパントまたは金属ドーパントの組み合わせは、約0.1重量%~約20重量%の範囲の量で(すなわち、触媒構造物の全重量に基いて)第2の触媒構造物内に提供されることができる。ある金属については、好ましい金属担持量は約0.1重量%~約20重量%である。第2の液化反応触媒構造物のための異なる金属担持量の特定の例が、本明細書に提供される。
【0048】
多孔質支持体材料は、以下の方法で適当な量の1つ以上の金属をドープされることができる。1つ以上の金属塩が脱イオン水に溶解されて、水溶液が溶液内の適当な濃度で生成されることができる。触媒構造物を生成するために使用されることができる金属前駆体塩としては、これらに制限されることなく、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、硫化物およびポリチオメタレートが挙げられる。溶液になっている1つ以上の金属前駆体は次に、支持体材料中に担持されて、触媒構造物内の所望の量(たとえば、約0.1重量%~約20重量%)の金属が達成される。支持体材料内に金属を担持するための任意の適当な担持プロセスが実施されることができる。金属を担持するプロセスのいくつかの非制限的な例としては、以下のものが挙げられる:IWI法;(初期湿潤含浸法、この方法では、活性金属前駆体が最初に水溶液または有機溶液に溶解され、次に金属含有溶液が、添加される溶液容積と同じ細孔容積を含有する触媒支持体に添加され、そこで毛細管現象が溶液を細孔内に引き込む。);WI法(湿潤含浸法、この方法では、IWI法の容積よりも多い液体が支持体に添加され、次に溶媒が蒸発によって除去される。);IE法(イオン交換法、この方法では、金属カチオンが溶液から支持体中へと交換される。);およびFI法(フレームワーク組み込み法、この方法では、金属が支持体の合成工程中に支持体材料に添加される。)。
【0049】
特定の担持プロセスに応じて、得られた金属担持された第2の液化反応触媒構造物は、約80℃~約120℃の温度で約2時間~約24時間乾燥されることができる。乾燥された触媒構造物はそれから、空気、N2またはHeガスの下で約300℃~約700℃の範囲の温度で、かつ適当な傾斜増加または段階的増加加熱速度(たとえば、約5℃/分~約20℃/分の加熱速度)で焼成されることができ、その場合に、第2の触媒構造物中にドープされた金属の種類または複数の種類とともにその第2の液化反応触媒構造物の使用と関連する反応条件に依存して、そのような焼成温度、時間および加熱速度は修正されることができる。
【0050】
得られた金属担持された第2の液化反応触媒構造物は、本明細書に記載されたプロセスにおいてメタン含有ガス雰囲気の下で軽質炭化水素の液化への使用に適している。第2の液化反応触媒構造物は、特定の操作のために望ましい粒子サイズを備えた粒子形態へと処理されることができる。
【0051】
触媒構造物を利用してメタン含有ガス雰囲気下で有機物固体バイオマスの価値を高めるためのシステムおよび方法
【0052】
メタノリシス反応システム102を含むシステム100が
図1に示されており、メタノリシス反応システム102は、メタノリシス反応ゾーン104、再生ゾーン106および複数のガスサイクロンユニット110A、110B、110Cを含む複数のコンテナーユニットまたは容器を含む。バイオ廃棄物材料を含むバイオ廃棄物流れ105を含むバイオマス、およびメタン(たとえば、天然ガス)の供給108が、反応ゾーン104中に投入されて、反応ゾーン内に備えられたメタノリシス触媒構造物の存在下に反応ゾーン内でガス化および熱分解(メタノリシス)が促進される。メタノリシス触媒構造物は、反応ゾーン104と再生ゾーン106との間を(再生ゾーンの出口から反応ゾーンの入口まで延在する)循環ライン112および(反応ゾーンの出口から再生ゾーンの入口まで延在する)循環ライン114を経由して循環し、この系において、再生ゾーン内の材料の燃焼がメタノリシス触媒構造物の再生を促進し、その後メタノリシス触媒構造物は反応ゾーンへ循環して戻される。それに加えて、再生ゾーンから反応ゾーンへ流れる出力材料は、反応ゾーンへのさらなる伝熱を促進する。
【0053】
反応ゾーン104は、メタン/天然ガス雰囲気の下で約400℃~約500℃の範囲の温度で操作される。反応ゾーン内で生成されたガス製品は、反応ゾーンから出現しまたは産出され、第1のサイクロンユニット110Aで触媒およびバイオチャーを含有する固体微粒子から分離される。第1のサイクロンユニット110A出口の流れライン115中の製品ガス流れによって搬送された生成微粉灰分は、第2のサイクロンユニット110Bで製品ガス流れから分離されることができる。これは、前処理されたバイオ廃棄物が連続的に灰分を除去されながら反応器システムに連続的に供給されることを可能にする。循環ライン114は、第1のサイクロンユニット110Aからの出力固体材料(メタノリシス触媒構造物を含む。)を再生ゾーン106への入力として供給する。
【0054】
再生ゾーン106では、サイクロンユニット110Aからの固体物出力とともに空気もまた投入されて再生ゾーン内での燃焼が促進され、これは反応ゾーン104から同伴された生成チャーをメタノリシス触媒構造物によって完全に酸化させ、反応ゾーン内の吸熱性のガス化/熱分解反応によるエネルギー必要量を補填する熱を発生させて、反応ゾーンに必要な外部からのエネルギー入力を最小限に抑えることにつながる。循環されるメタノリシス触媒構造物もまた、(熱分解/ガス化プロセスの間に)コークがその表面に堆積した場合にそのような空気の導入によって再生されることができる。言いかえれば、メタノリシス触媒構造物の表面部分の上に形成された任意のコークまたは他の炭素質材料は、酸化プロセスによって除去されることができる。これは、メタノリシス触媒構造物の長寿命/寿命延長/連続的な再使用に有益である。再生されたメタノリシス触媒構造物(これはヒーター担体の役割もする。)は、再生ゾーン106から搬出され、第3のサイクロンユニット110Cで生成燃焼排ガスから分離され、その後それは循環ライン112を経由して入力バイオ廃棄物材料の次のサイクルの熱分解/ガス化を引き起こすために反応ゾーン104にリサイクルされる。
【0055】
第2のサイクロンユニット110Bを出た製品ガス流れは、凝縮器ユニットに供給されて、合成ガス(シンガス)およびあり得る未反応天然ガスを含むガス状製品からアップグレードされた液体バイオ油製品(本明細書では製品Aとも呼ばれる。)が生成される。液体バイオ油製品/製品Aは分離ユニット122で合成ガスから分離され、製品Aはその後、区画124で収集されることができる。分離ユニット122を出た合成ガスおよび未反応/未転化の天然ガスは、浄化ユニット126で一連の従来型の浄化工程(たとえば、H2S、NH3、HClおよび重金属の除去用の一連のユニット)を受けることができる。
【0056】
浄化ユニット126を出た処理された合成ガスは次に、スチームの供給とともに反応器区画130に送られることができ、そこで合成ガスは、ガス製品用の所望のCOとH2との比を達成するように水-ガスシフト反応に付され、未転化のH2Oは凝縮液として合成ガスから除去されることができる。
【0057】
浄化ユニット126を出た処理された合成ガスは、接触的液化またはガス・ツー・リキッド(GTL)ユニット140を含む液化反応システムに投入され、そこで合成ガスは複数の液化反応触媒構造物の存在下に液化反応に付され、合成ガスは最初に軽質炭化水素の混合物に転化され、次に約350℃~約450℃の範囲の温度でメタンとより高級の炭化水素との間に存在する相乗効果に基いて液体炭化水素製品が生成される。
【0058】
図2を参照すると、GTLユニット140は、本明細書に前に記載された第1の液化反応触媒構造物を含む第1の触媒床142、および本明細書に前に記載された第2の液化反応触媒構造物を含む第2の触媒床144を含む二重床反応器を含む。第1および第2の液化反応触媒構造物のそれぞれは、その反応プロセスに適していると見なされる任意の適当な粒子サイズまたは粒子サイズ範囲にある粒子形態で提供されることができる。記載されたように、GTLユニット140は約350℃~約450℃の範囲の温度で操作される。さらに、GTLユニット140は大気圧またはほぼ大気圧の低い圧力(たとえば、約5気圧以下の操作圧力)で操作されることができる。合成ガス供給原料流れ(H2、CO、CO2およびCH4を含む。)はGTLユニット140を通して供給され、そこでそれは、第1の触媒床142および引き続き第2の触媒床144に遭遇する。本明細書に前に記載されたように、連続して配置された第1および第2の触媒床は著しく異なる触媒構造物を含むが、同じまたは実質的に同じような反応条件の下で操作されることができる。第1の触媒床142の第1の液化反応触媒構造物は、合成ガスの軽質炭化水素の混合物(たとえば、C1~C4の範囲であり、それとともにC5+を含む残留物成分)への転化を促進する。第1の触媒床142を通過する製品流れはその後、第1の触媒床と同じ反応条件下のGTLユニット140内の第2の触媒床144に接触させられ、その結果、メタンガス雰囲気下でガス状成分の少なくとも一部が液化されて液体炭化水素製品が生成される。未反応ガス化学種は、GTLユニット140を出た後、液体炭化水素製品から分離され、GTLユニット140の入口にリサイクルされて、さらなる反応に供されることができる。
【0059】
液体炭化水素製品は、区画160で関心対象の液体燃料製品(本明細書では製品Bとも呼ばれる。)が分離され収集されるように、分離または蒸留ユニット150でらに処理されることができる。凝縮された水とともにメタン/天然ガスを含むガス状炭化水素製品は製品から除去されることができる。メタン/天然ガスは、蒸留ユニット150からリサイクルライン170を経由して輸送反応器システム102にリサイクルされることができ、そこでそれは反応ゾーン104への入力メタン/天然ガスと混合される。
【0060】
図1のシステムおよび関連する方法は、有機物固体バイオマスの転化および価値の高い液体炭化水素製品への選択性を促進し、これらは、本明細書に記載された触媒構造物を使用しかつメタン含有雰囲気の下でさらに微調整されることができる。異なる反応器システムおよび改良された操作条件(たとえば、温度および圧力)とともに反応器システム内の触媒構造物の改良もまた、様々な製品構成を達成するために実行されることができる。
【0061】
メタンは、天然ガスの主成分として、本明細書に記載された触媒構造物の存在の下での有機物固体バイオマスの転化に特に有用である。メタンは、その安定した構造の故に典型的には化学的に不活性であると見なされており、メタンの活性化は天然ガスの利用における課題であった。しかし、本明細書に記載された発明に従って、バイオマス材料の高価値化へのメタンの利用は、前述の触媒構造物、システムおよび対応する方法の支援を受けて著しく改良されることができる。
【0062】
記載された触媒構造物、システムおよび方法を利用する有機物固体バイオマスの転化はさらに、本明細書に記載されたようにCO2の生成を最小限に抑える。特に、本明細書に記載された触媒構造物を利用するメタンの活性化および取り込みは、油製品の5重量%未満、いくつかのシナリオでは3重量%未満、または1重量%未満さえ(たとえば、プロセスでは実質的にCO2が生成されないこと)であるCO2の生成または製造をもたらすことができる。
【0063】
図3に示されたさらなる実施形態では、
図1のシステムが、アップグレードされたバイオ油製品(製品A)が精製された/さらにアップグレードされた軽質油製品へと処理されるさらなる炭化水素アップグレードシステムを含むように修正されている。たとえば、アップグレードされた軽質油製品は、バイオ油製品よりも低い粘度および酸素含有量などの性質を有することができる。バイオ油のアップグレードプロセスは、米国特許仮出願第16/792,574号に記載されたプロセスを利用して実施されることができ、その内容は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。特に、システム100の124で収集された製品Aは、バイオ油を軽質油燃料製品(本明細書では製品Cとも呼ばれる。)にアップグレードするための炭化水素アップグレードシステム200に提供されることができる。製品Aを含む供給原料源202は、メタン源204(たとえば、約95重量%のメタンを含む天然ガスまたは他の炭化水素源)とともにシステム200への入力として提供され、それらは混合ユニット206で一緒にされ、ヒーターユニット208で適当な温度(たとえば、約350℃~約450℃、例として420℃)に加熱されて、その後接触的反応器210に送られる。
【0064】
接触的反応器210は固定相触媒構造物を備えた触媒床を含む。反応器210の触媒構造物は、(たとえば、支持体材料の多孔質表面に金属イオンを吸着させるための湿潤含浸法またはイオン交換法などのプロセスを利用して)2つ以上の金属を含浸またはドープさせた適当な多孔質支持体材料を含む。適度に多孔質の支持体材料は、酸化アルミニウム材料(たとえば、Al2O3)、アルミノケイ酸塩(ゼオライト)材料または酸化ジルコニウム材料(たとえば、ZrO2)であることができる。触媒構造物用の支持体材料としての使用に適したゼオライト材料のいくつかの非制限的な例としては、ZSM-5型ゼオライト(たとえば、HZSM-5ゼオライト、NaZSM-5ゼオライト等)、A型ゼオライト、L型ゼオライト、HY型ゼオライトおよびRive Technology社(米国、ニュージャージー州、Monmouth Junction)から市販のゼオライト構造物が挙げられる。アンモニウム型ゼオライトもまた、水素型ゼオライトへ転換することによって(たとえば、約400℃~約600℃の温度で約4時間~約6時間静的空気中で焼成することによって)利用されることができる。支持体材料としてゼオライト材料を利用する場合、ゼオライト支持体材料のSiO2とAl2O3との比は約1~約280の範囲(すなわち、1:1~280:1であるSiO2とAl2O3との比)、たとえば5~28の範囲、または23~280の範囲であることができる。ゼオライト材料は約350m2/g~約950m2/gの範囲のBET表面積をさらに有することができる。支持体材料は、適当な触媒構造物へ合成される前に任意的にリンで修正されることができる。
【0065】
多孔質支持層材料をドープするのに使用されることができる適当な金属としては、ガリウム(Ga)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)およびセリウム(Ce)のいずれか1つ以上(好ましくは2つ以上)が挙げられる。各金属ドーパントまたは金属ドーパントの組み合わせは、触媒構造物内に(たとえば、金属または金属酸化物の形態で)約0.1~約20重量%の範囲の量で(すなわち、触媒構造物の全重量に基いて)賦与されることができる。ある金属、たとえばAgおよびGaについては、好ましい金属担持量は約0.2重量%~約2重量%である。他の金属、たとえばCoについては、好ましい金属担持量は約0.3重量%~約3重量%である。1つ以上の金属を多孔質支持体構造物にドープまたは含浸することによってかつ本明細書に記載された所望の重量パーセントで触媒支持体構造物を形成することは、同様な多孔質支持体構造物を用いて形成される本明細書に記載された他の種類の触媒構造物と同様な様式で達成されることができる。加えて、反応器210用の触媒支持体構造物は、ペレットに変換されまたは粉体もしくは粒子形態で提供されることができる。さらに、触媒構造物は、供給原料202の炭化水素をアップグレードするためにそれが使用される期間の前にあるいはその期間の後に再生されて、その触媒構造物の性能が高められることができる。再生プロセスは、触媒をトルエンですすぐ工程、空気中で乾燥してトルエンを除去する(たとえば、約100℃~約200℃、たとえば約150℃で少なくとも1時間、たとえば約3時間以上、乾燥する)工程、および少なくとも約500℃(たとえば、約600℃以上)の温度で十分な時間、たとえば少なくとも約3時間(たとえば約5時間以上)焼成する(空気中で加熱する)工程を含む。再生プロセスはまた、任意の回数および特定の用途に応じて繰り返されることもできる。
【0066】
バイオ油(製品A)は、接触的反応器210内の触媒構造物の存在下で軽質燃料油製品(製品C)に転化される。反応器210からの出力はセパレーター220に送られ、そこで未反応メタンを含むガス状成分から軽質燃料油(製品C)が分離される。ガス状成分はライン222を経由して混合ユニット206への入力にリサイクルされ、他方、軽質燃料油(製品C)は230に収集されることができる。
【0067】
したがって、3つのアップグレードされた炭化水素製品が
図3のプロセスで形成され、具体的には、アップグレードされたバイオ油(製品A)、バイオ油から分離された合成ガスを用いてGTL(ガス・ツー・リキッド)プロセスで生成された軽質炭化水素製品(製品B)、およびバイオ油(製品A)をメタンと反応させるアップグレードによって生成された軽質燃料油(製品C)である。
【実施例1】
【0068】
実施例1
【0069】
図3のシステムを使用するプロセスが、固体バイオ廃棄物(または他のバイオマス)材料からのバイオ油製品(製品A)およびバイオ油のアップグレードからの軽質燃料油(製品C)を生成するために実施された。これらの製品は、60日間連続で製品Aを生成するために(輸送反応システム102の反応ゾーン104内の)メタノリシスプロセスを実施し、かつ30日間連続で製品Cを生成するためにシステム200を実施することによって得られた。
【0070】
反応ゾーン104でバイオ油(製品A)を生成するためのメタノリシスに使用された触媒構造物は1重量%Ga-5重量%Zn-10重量%Ce/HZSM-5(80:1)であり、他方で、反応器210でバイオ油(製品A)を軽質燃料油製品(製品C)に転化するために使用された触媒構造物は1重量%Ag-1重量%Ga-2重量%Co-6重量%Mo-10重量%Ce/HZSM-5(80:1)であった。反応ゾーン104に供給された固体有機物バイオマス材料は木材チップであった。
【0071】
(製品Aを生成する)メタノリシスプロセスでは、反応ゾーン104の条件は以下のとおりであった:
【0072】
反応温度:400℃
【0073】
反応圧力:10~15psig(0.68~1.02気圧)
【0074】
バイオマス供給量:70g/分
【0075】
ガス流量:2m3/分
【0076】
触媒搭載量:35kg
【0077】
全物質収支:96重量%
【0078】
チャー収率:30重量%
【0079】
ガス収率:10重量%
【0080】
液体収率:56重量%(水に富む液相収率:23重量%;油に富む液相収率:33重量%)
【0081】
(製品Cを生成する)メタン下での固定床アップグレードプロセスでは、プロセス条件は以下のとおりであった:
【0082】
反応温度:400℃
【0083】
反応圧力:50バール(49.3気圧)
【0084】
WHSV(重量時間空間速度):1時-1
【0085】
液体収率:99重量%
【0086】
上記のプロセス条件下のプロセスから生成されたバイオ油(製品A)および軽質燃料油(製品C)のそれぞれの特性評価が、以下に記載される:
【0087】
【0088】
【実施例2】
【0089】
実施例2
【0090】
図3のシステムを使用するプロセスが、固体バイオ廃棄物材料からのバイオ油製品(製品A)およびバイオ油のアップグレードからの軽質燃料油(製品C)を生成するために実施された。これらの製品は、30日間連続で製品Aを生成するために(輸送反応システム102の反応ゾーン104内の)メタノリシスプロセスを実施し、かつ30日間連続で製品Cを生成するためにシステム200を実施することによって得られた。
【0091】
反応ゾーン104でバイオ油(製品A)を生成するためのメタノリシスに使用された触媒構造物は1重量%Ga-5重量%Zn-10重量%Ce/HZSM-5(80:1)であり、他方で、反応器210でバイオ油(製品A)を軽質燃料油製品(製品C)に転化するために使用された触媒構造物は1重量%Ag-1重量%Ga-2重量%Co-6重量%Mo-10重量%Ce/HZSM-5(80:1)であった。反応ゾーン104に供給された固体有機物バイオマス材料は稲わらであった。
【0092】
(製品Aを生成する)メタノリシスプロセスでは、反応ゾーン104の条件は以下のとおりであった:
【0093】
反応温度:400℃
【0094】
反応圧力:10~15psig(0.68~1.02気圧)
【0095】
バイオマス供給量:70g/分
【0096】
ガス流量:2m3/分
【0097】
触媒搭載量:35kg
【0098】
全物質収支:96重量%
【0099】
チャー収率:43重量%
【0100】
ガス収率:15重量%
【0101】
液体収率:38重量%(水に富む液相収率:21重量%;油に富む液相収率:17重量%)
【0102】
(製品Cを生成する)メタン下での固定床アップグレードプロセスでは、プロセス条件は以下のとおりであった:
【0103】
反応温度:400℃
【0104】
反応圧力:50バール(49.3気圧)
【0105】
WHSV(重量時間空間速度):1時-1
【0106】
液体収率:97.5重量%
【0107】
上記のプロセス条件下のプロセスから生成されたバイオ油(製品A)および軽質燃料油(製品C)のそれぞれの特性評価が、以下に記載される:
【0108】
【0109】
【実施例3】
【0110】
実施例3
【0111】
図3のシステムを使用するプロセスが、固体バイオ廃棄物材料からのバイオ油製品(製品A)およびバイオ油のアップグレードからの軽質燃料油(製品C)を生成するために実施された。これらの製品は、30日間連続で製品Aを生成するために(輸送反応システム102の反応ゾーン104内の)メタノリシスプロセスを実施し、かつ30日間連続で製品Cを生成するためにシステム200を実施することによって得られた。
【0112】
反応ゾーン104でバイオ油(製品A)を生成するためのメタノリシスに使用された触媒構造物は1重量%Ga-5重量%Zn-10重量%Ce/HZSM-5(80:1)であり、他方で、反応器210でバイオ油(製品A)を軽質燃料油製品(製品C)に転化するために使用された触媒構造物は1重量%Ag-1重量%Ga-2重量%Co-6重量%Mo-10重量%Ce/HZSM-5(80:1)であった。反応ゾーン104に供給された固体有機物バイオマス材料はトウモロコシ茎葉であった。
【0113】
(製品Aを生成する)メタノリシスプロセスでは、反応ゾーン104の条件は以下のとおりであった:
【0114】
反応温度:400℃
【0115】
反応圧力:10~15psig(0.68~1.02気圧)
【0116】
バイオマス供給量:70g/分
【0117】
ガス流量:2m3/分
【0118】
触媒搭載量:35kg
【0119】
全物質収支:96.5重量%
【0120】
チャー収率:23.5重量%
【0121】
ガス収率:13.5重量%
【0122】
液体収率:59.5重量%(水に富む液相収率:28重量%;油に富む液相収率:31.5重量%)
【0123】
(製品Cを生成する)メタン下での固定床アップグレードプロセスでは、プロセス条件は以下のとおりであった:
【0124】
反応温度:400℃
【0125】
反応圧力:50バール(49.3気圧)
【0126】
WHSV(重量時間空間速度):1時-1
【0127】
液体収率:97重量%
【0128】
上記のプロセス条件下のプロセスから生成されたバイオ油(製品A)および軽質燃料油(製品C)のそれぞれの特性評価が、以下に記載される:
【0129】
【0130】
【0131】
アップグレードされた炭化水素製品(製品A、BおよびC)のそれぞれは、従来のバイオ油または燃料油製品との関連で、はるかに低い酸素含有量、はるかに低い湿分(水)含有量およびより低い粘度を有する。製品Aおよび製品Cに関しては、製品Aをアップグレードして製品Cを生成することは、アップグレード前のバイオ油との関連で、より低い粘度、より低い硫黄含有量、より低い酸素含有量、より低いTAN値、より低い含水量とともに他の改良された特性を有するアップグレードされたバイオ燃料をもたらすことができる。製品Bは、2×103cP(mPa・s)未満の動粘度を有する軽質炭化水素製品(たとえば、ディーゼル油製品などの軽質油)として合成ガスから生成されることができる。
【0132】
炭化水素製品のアップグレードプロセスは、炭化水素製品の1つ以上の特性の変化をもたらす。(第1の炭化水素製品からアップグレードされた第2の炭化水素製品への転化による)炭化水素製品の1つ以上の特性の変化としては、密度の変化(減少)、粘度の変化(減少)、硫黄含有量の変化(減少)、TAN(全酸価)の変化(減少)、オレフィンの量(たとえば、重量パーセント)の変化(減少)、窒素の量(たとえば、重量パーセント)の変化(減少)、流動点の変化(減少)、1つ以上の芳香族炭化水素の量(たとえば、重量パーセント)の変化(増加)、水素と炭素との比(H/C比)の変化(増加)およびセタン価の変化(増加)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
したがって、アップグレードされた炭化水素製品のそれぞれを生成するために反応器で使用される様々な異なる触媒構造物の選択を含む、本明細書に記載されたプロセスおよびシステムは、使用されることができる多種多様の固体有機物またはバイオマス/バイオ廃棄物の供給原料投入を促進し、これは多種多様の用途のための改良された炭化水素製品の生成を促進する。
【0134】
本発明がその特定の実施形態を参照して詳細に説明されてきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更および修正を加えることができることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付された特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にある限り、本発明の修正および変形を包含することが意図されている。