(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-27
(45)【発行日】2024-09-04
(54)【発明の名称】ダイバータ熱交換構造
(51)【国際特許分類】
F28F 13/18 20060101AFI20240828BHJP
F28D 15/02 20060101ALI20240828BHJP
F28F 21/00 20060101ALI20240828BHJP
G21B 1/13 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
F28F13/18 B
F28D15/02 101J
F28D15/02 102A
F28F21/00
G21B1/13
(21)【出願番号】P 2024072759
(22)【出願日】2024-04-26
【審査請求日】2024-04-26
(31)【優先権主張番号】202310709761.3
(32)【優先日】2023-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520416233
【氏名又は名称】中国科学院合肥物質科学研究院
【氏名又は名称原語表記】HEFEI INSTITUTES OF PHYSICAL SCIENCE, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】No.350 Shushanhu Road Hefei,Anhui 230031(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】宋 云濤
(72)【発明者】
【氏名】彭 学兵
(72)【発明者】
【氏名】卯 ▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】宋 方舟
(72)【発明者】
【氏名】銭 新元
(72)【発明者】
【氏名】宋 偉
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/078982(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108418545(CN,A)
【文献】特開2008-028124(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0314467(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0314862(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0033212(US,A1)
【文献】特開平08-029567(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102004023368(DE,A1)
【文献】中国特許出願公開第109887617(CN,A)
【文献】特表2021-526311(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0308277(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21B 1/13
F28D 1/00 - 21/00
F28F 1/00 - 99/00
H05K 7/20
H01L 23/34 - 23/473
G12B 15/00 - 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイバータ第一壁と、親水膜と、外管と、内管とを含むダイバータ熱交換構造であって、
前記外管は、前記内管に外嵌され、前記ダイバータ第一壁は、前記外管の第一端を塞ぐように設けられ、前記ダイバータ第一壁、前記外管の内壁及び前記内管の外壁によって取り囲まれて流動チャンバが形成され、前記内管の前記ダイバータ第一壁に向かう端には、噴流孔が開設され、前記流動チャンバは、前記噴流孔を介して前記内管の内部に連通し、前記親水膜は、前記ダイバータ第一壁の前記噴流孔に向かう側に敷設され、前記ダイバータ第一壁に固定接続され
、
複数の導熱柱をさらに含み、前記複数の導熱柱は、前記ダイバータ第一壁の前記噴流孔に向かう側に凸設され、アレイ状に配列され、
前記ダイバータ第一壁には、凹溝が開設され、前記凹溝は、前記複数の導熱柱の間に位置し、前記凹溝と前記親水膜との間にキャビティがある
ことを特徴とする、ダイバータ熱交換構造。
【請求項2】
ダイバータ第一壁と、親水膜と、外管と、内管とを含むダイバータ熱交換構造であって、
前記外管は、前記内管に外嵌され、前記ダイバータ第一壁は、前記外管の第一端を塞ぐように設けられ、前記ダイバータ第一壁、前記外管の内壁及び前記内管の外壁によって取り囲まれて流動チャンバが形成され、前記内管の前記ダイバータ第一壁に向かう端には、噴流孔が開設され、前記流動チャンバは、前記噴流孔を介して前記内管の内部に連通し、前記親水膜は、前記ダイバータ第一壁の前記噴流孔に向かう側に敷設され、前記ダイバータ第一壁に固定接続され、
凝縮管をさらに含み、前記外管は、前記凝縮管に穿設され、前記外管の軸方向と前記凝縮管の軸方向とが交差し、前記外管の外壁と前記凝縮管の内壁とによって取り囲まれて冷却液通路が形成される
ことを特徴とする
、ダイバータ熱交換構造。
【請求項3】
前記外管の内壁には、疎水層に敷設され、前記疎水層は、少なくとも一部が前記冷却液通路に対向して設けられることを特徴とする、請求項
2に記載のダイバータ熱交換構造。
【請求項4】
前記外管は、順に接続される第一円柱段、円錐段、及び第二円柱段を含み、前記第一円柱段の直径が前記第二円柱段の直径よりも大きく、前記第一円柱段の前記円錐段から遠い端は、前記外管の前記第一端であり、前記第二円柱段及び前記円錐段は、いずれも少なくとも一部が前記凝縮管に穿設されることを特徴とする、請求項
2に記載のダイバータ熱交換構造。
【請求項5】
前記親水膜は、SiO
2線を積層して形成されることを特徴とする、請求項1に記載のダイバータ熱交換構造。
【請求項6】
前記内管の端面には、複数の前記噴流孔が開設され、複数の前記噴流孔は、アレイ状に配列されることを特徴とする、請求項1に記載のダイバータ熱交換構造。
【請求項7】
前記ダイバータ第一壁は、前記外管の第一端から遠い位置から前記外管の第一端に近い位置まで順に積層して設けられる第一材料層、第二材料層及び第三材料層を含み、前記第一材料層は、タングステン材質であり、前記第二材料層は、無酸素銅材質であり、前記第三材料層は、クロムジルコニウム銅材質であり、前記第三材料層と前記導熱柱とは、一体品であり、前記外管は、ステンレス材質であることを特徴とする
、請求項1に記載のダイバータ熱交換構造。
【請求項8】
接続具をさらに含み、前記ダイバータ第一壁は、前記接続具により前記外管の第一端に接続され、前記ダイバータ第一壁は、前記外管の第一端から遠い位置から前記外管の第一端に近い位置まで順に積層して設けられる第四材料層及び第五材料層を含み、前記第四材料層は、タングステン材質であり、前記第五材料層は、タングステン・ランタン合金材質であり、前記導熱柱と前記第五材料層とは一体品であり、前記接続具は、クロムジルコニウム銅材質であり、前記外管は、ステンレス材質であることを特徴とする
、請求項1に記載のダイバータ熱交換構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核融合ダイバータの技術分野に関し、特にダイバータ熱交換構造に関する。
【背景技術】
【0002】
過冷却流動沸騰は、良好な熱交換能力を有するため、現在の一般的なダイバータ冷却方式である。しかしながら、現在よく使用されている通管又は超気化水冷ダイバータの構造はその構造特徴に制限され、冷水による高温壁面の冷却過程において、液体と気泡は同じ領域に存在する。ダイバータの熱負荷が増大するにつれて、流体側の熱交換壁面の熱流密度が増大し、それが臨界熱流密度を超えると、水が気化して発生した大量の気泡が壁面において1層のガス膜に連結され、膜状態の沸騰が形成され、伝熱能力が急激に悪化し、最終的に焼付き現象が発生することにより、ダイバータ構造の焼損及び失効を引き起こし、集中型燃料電池スタックの安定運転及び安全を深刻に脅かす。従って、ダイバータの熱負荷を耐える能力を向上させ、乾燥現象の発生を抑制又は回避することは、融合炉の定常高出力運転能力及び安全性を確保するために重要である。
【0003】
国内外の研究では、流量又は過冷却度を増大させ、雌ねじ又はねじりベルトを増加させ、リブのサイズを調整するなどの手段により、一定の熱交換効果を向上させることができるが、構造の複雑さを増加させ、水の作動圧力を向上させ、工程の実現可能性を低下させることが見出された。それでも、膜沸騰の現象は根本的に改善されなかった。したがって、この問題を解決するために、ダイバータの熱交換構造を設計する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、ダイバータの熱交換能力を保証できるダイバータ熱交換構造を設計することである。
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明によれば、ダイバータ第一壁と、親水膜と、外管と、内管とを含むダイバータ熱交換構造であって、前記外管は、前記内管に外嵌され、前記ダイバータ第一壁は、前記外管の第一端を塞ぐように設けられ、前記ダイバータ第一壁、前記外管の内壁及び前記内管の外壁によって取り囲まれて流動チャンバが形成され、前記内管の前記ダイバータ第一壁に向かう端には、噴流孔が開設され、前記流動チャンバは、前記噴流孔を介して前記内管の内部に連通し、前記親水膜は、前記ダイバータ第一壁の前記噴流孔に向かう側に敷設され、前記ダイバータ第一壁に固定接続されるダイバータ熱交換構造が提供される。
【0006】
好ましくは、複数の導熱柱をさらに含み、前記複数の導熱柱は、前記ダイバータ第一壁の前記噴流孔に向かう側に凸設され、アレイ状に配列される。
【0007】
好ましくは、前記ダイバータ第一壁には、凹溝が開設され、前記凹溝は、前記複数の導熱柱の間に位置し、前記凹溝と前記親水膜との間にキャビティがある。
【0008】
好ましくは、凝縮管をさらに含み、前記外管は、前記凝縮管に穿設され、前記外管の軸方向と前記凝縮管の軸方向とが交差し、前記外管の外壁と前記凝縮管の内壁とによって取り囲まれて冷却液通路が形成される。
【0009】
好ましくは、前記外管の内壁には、疎水層に敷設され、前記疎水層は、少なくとも一部が前記冷却液通路に対向して設けられる。
【0010】
好ましくは、前記外管は、順に接続される第一円柱段、円錐段、及び第二円柱段を含み、前記第一円柱段の直径が前記第二円柱段の直径よりも大きく、前記第一円柱段の前記円錐段から遠い端は、前記外管の前記第一端であり、前記第二円柱段及び前記円錐段は、いずれも少なくとも一部が前記凝縮管に穿設される。
【0011】
好ましくは、前記親水膜は、SiO2線を積層して形成される。
【0012】
好ましくは、前記内管の端面には、複数の前記噴流孔が開設され、複数の前記噴流孔は、アレイ状に配列される。
【0013】
好ましくは、前記ダイバータ第一壁は、前記外管の第一端から遠い位置から前記外管の第一端に近い位置まで順に積層して設けられる第一材料層、第二材料層及び第三材料層を含み、前記第一材料層は、タングステン材質であり、前記第二材料層は、無酸素銅材質であり、前記第三材料層は、クロムジルコニウム銅材質であり、前記第三材料層と前記導熱柱とは、一体品であり、前記外管は、ステンレス材質である。
【0014】
好ましくは、接続具をさらに含み、前記ダイバータ第一壁は、前記接続具により前記外管の第一端に接続され、前記ダイバータ第一壁は、前記外管の第一端から遠い位置から前記外管の第一端に近い位置まで順に積層して設けられる第四材料層及び第五材料層を含み、前記第四材料層は、タングステン材質であり、前記第五材料層は、タングステン・ランタン合金材質であり、前記導熱柱と前記第五材料層とは一体品であり、前記接続具は、クロムジルコニウム銅材質であり、前記外管は、ステンレス材質である。
【0015】
本発明の実施例に係るダイバータ熱交換構造は、従来技術と比較して以下の有益な効果を有する。
【0016】
本発明の実施例に係るダイバータ熱交換構造は、トカマク長パルスの高出力動作に特に適用され、親水膜をダイバータ第一壁内面に配置することにより、熱を受けるときに液体補給経路と蒸気抜き通路とを分離し、膜沸騰の発生が効果的に回避される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例に係るダイバータ熱交換構造の断面図である。
【
図3】本発明の実施例に係るダイバータ熱交換構造におけるダイバータ第一壁の構造模式
図1である。
【
図4】本発明の実施例に係るダイバータ熱交換構造におけるダイバータ第一壁の構造模式
図2である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面及び実施例により、本発明の具体的な実施形態をさらに詳しく説明する。以下の実施例は本発明を説明するものであり、本発明の範囲を制限しない。
【0019】
本発明の説明において、本発明において「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などの用語で示される方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、本発明の説明の便宜及び説明の簡略化のためのものに過ぎず、示される装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作されなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本発明を限定するものと理解すべきではない。
【0020】
本明細書において、「連結」、「接続」、「固定」などの用語を用いて広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、一体化であってもよく、機械的な接続であってもよく、溶接接続であってもよく、直接接続であってもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよく、2つの素子の内部の連通又は2つの素子の相互作用関係であってもよく、特に明確に限定されない。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本発明における具体的な意味を理解することができる。
【0021】
本発明において、「第一」、「第二」などの用語を用いて各種の情報を説明するが、これらの情報はこれらの用語に限定されるべきではなく、これらの用語は、同一タイプの情報を互いに区別するためのものに過ぎない。例えば、本発明の範囲を逸脱しない場合、「第一」情報は「第二」情報と呼ばれてもよく、同様に、「第2」情報は「第1」情報と呼ばれてもよい。
【0022】
ダイバータは、トカマク融合装置において、直接に上億度高温プラズマに面し、ハイスループット熱流を排除する機能を果たし、その熱負荷能力は、高パラメータプラズマの取得と維持において重要な役割を果たし、融合炉長パルス定常高出力動作レベルに直接に影響する。ダイバータが作動する時、プラズマに面する側は極めて高い熱負荷を受け、ITER国際熱核融合実験スタックの設計において、定常状態は10MW/m2に達することができ、瞬時ピークは20MW/m2に達することができ、将来の商用化融合炉においてより高い。
【0023】
国内外の研究では、流量又は過冷却度を増大させ、雌ねじ又はねじりベルトを増加させ、リブのサイズを調整するなどの手段により、一定の熱交換効果を向上させることができるが、構造の複雑さを増加させ、水の作動圧力を向上させ、工程の実現可能性を低下させることが見出された。それでも、膜沸騰現象は依然として根本的に変化しない。本発明で設計されたダイバータの熱交換構造は、特にこの問題を解決するために用いられる。
【0024】
本明細書において、用語「ダイバータ第一壁1の外面」とは、外部の高温熱流に接触する面、即ち、本発明の実施例におけるダイバータ第一壁の前記噴流孔41に背向する側を指す。「ダイバータ第一壁1の内面」とは、内部の冷却剤と熱交換する面、即ち、本発明の実施例におけるダイバータ第一壁の前記噴流孔41に向かう側を指す。
【0025】
図1に示すように、本発明の好ましい実施例に係るダイバータ熱交換構造は、ダイバータ第一壁1と、親水膜2と、外管3と、内管4とを含む。前記外管3は、前記内管4に外嵌される。前記ダイバータ第一壁1は、前記0314外管3の第一端31を塞ぐように設けられる。前記ダイバータ第一壁1、前記外管3の内壁、及び前記内管4の外壁によって取り囲まれて流動チャンバ5が形成される。前記内管4の前記ダイバータ第一壁1に向かう端には、噴流孔41が開設される。前記流動チャンバ5は、前記噴流孔41を介して前記内管4の内部に連通する。前記親水膜2は、前記ダイバータ第一壁1の前記噴流孔41に向かう側に敷設され、かつ前記ダイバータ第一壁1に固定接続される。親水膜2は、多孔質膜構造である。具体的な冷却剤の流動過程は、外部から内管4に流入し、上へ噴流孔41を通過し、ダイバータ第一壁1の内面を冷却し、親水膜2が冷却剤によって浸潤された後、沸騰して形成された水蒸気は親水膜2の内側に分散して両側へ流動し、外管3と内管4の間の流動チャンバ5に沿って外管3の内壁を冷却し、凝集して液滴となって流出する。このようにして、高温熱流の熱は、ダイバータ第一壁1を通過して冷却剤と熱交換し、親水膜2により液体補給経路と蒸気抜き通路を分離することにより、膜沸騰現象の発生が効果的に回避される。
【0026】
図2に示すように、本発明のいくつかの改良実施例において、複数の導熱柱6をさらに含む。前記複数の導熱柱6は、前記ダイバータ第一壁1の前記噴流孔41に向かう側に凸設され、アレイ状に配列される。導熱柱6は、前記親水膜2に穿設されてダイバータ第一壁1に接続され、これによって、その熱がより良く伝達され、高温熱流と冷却剤との熱交換が促進され、接触面積が大きくなる。具体的には、導熱柱6は、ダイバータ第一壁1の噴流孔41に向かう最外層構造材料に機械加工により直接成形することができ、これによって、熱が冷却剤により良く伝達され得る。
【0027】
本発明のいくつかの改良実施例において、前記ダイバータ第一壁1には、凹溝10が開設される。前記凹溝10は、前記複数の導熱柱6の間に位置する。前記凹溝10と前記親水膜2との間にキャビティがある。親水膜2により液体補給経路と蒸気抜き通路とを分離することにより、膜沸騰現象の発生が効果的に回避されるとともに、加工プロセスが簡単で、コストが低く、周期が短い利点を有する。導熱柱6及び親水膜2が設けられることにより、液滴は高温面に持続して接触することで、持続的な沸騰が保持され、全体的な熱交換効果が向上する。
【0028】
本発明のいくつかの改良実施例において、凝縮管7をさらに含む。前記外管3は、前記凝縮管7に穿設されるとともに、前記外管3の軸方向は、前記凝縮管7の軸方向に交差する。前記外管3の外壁と、前記凝縮管7の内壁とによって取り囲まれて冷却液通路が形成される。外管3は、ダイバータ第一壁1に固定接続され、凝縮管7に固定接続され、冷却剤の流動をガイドし、ダイバータ第一壁1を支持する作用を奏する。また、外管3は内管4に外嵌され、内管4と一緒になって冷却回路を構成する。
【0029】
本発明のいくつかの改良実施例において、前記外管3の内壁には、疎水層8が敷設される。前記疎水層8は、少なくとも一部が前記冷却液通路に対向して設けられる。前記疎水層8は、超疎水構造であり、主成分がフルオロシランポリマーであり、スプレーにより外管3の内壁に敷設され、特に外管3と凝縮管7との重なり部分に敷設される。疎水層8は、液滴の接触角を増大させ、転落角を減少させることができ、これによって、凝縮した液滴は凝集することがなく、膜状凝縮が回避され、凝縮効果が向上する。本実施形態の具体的な実施例において、外管3と凝縮管7とは、軸方向が互いに垂直である。沸騰して形成された蒸気は、外管3と内管4との間の流動チャンバ5に沿って疎水層8を通過するときに凝縮管7中の冷却液によりさらに冷却され、凝集して液滴となって流出する。図示される「×」は、冷却液通路内の冷却液が紙面に垂直な方向に沿って流動することを示す。
【0030】
本発明のいくつかの改良実施例において、前記外管3は、順に接続される第一円柱段、円錐段、及び第二円柱段を含む。前記第一円柱段の直径は、前記第二円柱段の直径よりも大きい。前記第一円柱段の前記円錐段から遠い端は、前記外管3の前記第一端31である。前記第二円柱段及び前記円錐段は、いずれも少なくとも一部が前記凝縮管7に穿設される。
【0031】
本発明のいくつかの改良実施例において、前記親水膜2は、SiO2線を積層して形成される。具体的には、SiO2線を重ねて形成した多孔質膜構造であり、押出した後に焼結することによりダイバータ第一壁1の噴流孔41に向かう側に固接され、沸騰熱交換を促進する作用を奏する。
【0032】
本発明のいくつかの改良実施例において、前記内管4の端面には、複数の前記噴流孔41が開設される。複数の前記噴流孔41は、アレイ状に配列される。噴流孔41は、冷却剤をガイドする作用を奏する。
【0033】
ダイバータ第一壁1は、ダイバータ熱交換構造における高い熱負荷を耐える部材として熱を導熱柱6に伝達するために使用され、異なる材料を組み合わせてなることができる。
【0034】
図4に示すように、本発明のいくつかの改良実施例において、接続具9をさらに含む。前記ダイバータ第一壁1は、前記接続具9により前記外管3の第一端31に接続される。前記ダイバータ第一壁1は、前記外管3の第一端31から遠い位置から前記外管3の第一端31に近い位置まで順に積層して設けられる第四材料層14及び第五材料層15を含む。前記第四材料層14はタングステン材質であり、前記第五材料層15はタングステン・ランタン合金材質である。前記導熱柱6と前記第五材料層15は一体品である。前記接続具9はクロムジルコニウム銅材質であり、前記外管3はステンレス材質であり、具体的には316Lステンレス材質であってもよい。
【0035】
図3に示すように、本発明の別の改良実施形態において、前記ダイバータ第一壁1は、前記外管3の第一端31から遠い位置から前記外管3の第一端31に近い位置まで順に積層して設けられる第一材料層11、第二材料層12及び第三材料層13を含む。前記第一材料層11はタングステン材質であり、前記第二材料層12は無酸素銅材質であり、前記第三材料層13はクロムジルコニウム銅材質である。前記第三材料層13と前記導熱柱6とは一体品である。前記外管3はステンレス材質であり、具体的には316Lステンレス材質であってもよい。この実施形態の実施例において、接続具9をさらに含む。ダイバータ第一壁1は、接続具9により外管3の第一端31二接続される。この実施形態においても、接続具9はステンレス材質であり、具体的には316Lステンレス材質であってもよい。
【0036】
本発明のダイバータ熱交換構造では、冷却剤の流動過程は、以下の通りである。冷却剤は外部から内管4に流入し、上へ噴流孔41を通過し、ダイバータ第一壁1の内面及び内面上の導熱柱6を冷却し、親水膜2が冷却剤によって十分に浸潤された後、蒸気及び液体水が親水膜2の両側に分散し、沸騰した蒸気が親水膜2の内側に分散して両側へ流動し、外管3と内管4との間の流動チャンバ5に沿って疎水層8を通過するときに凝縮管7中の冷却液によってさらに冷却され、凝集して液滴となって流出する。このようにして、高温熱流はダイバータ第一壁1を通過し、導熱柱6を経て冷却剤と熱交換することで熱が冷却剤に奪われ、熱交換の効果が達成される。
【0037】
本発明のダイバータ熱交換構造は、トカマク装置に特に適用される。
【0038】
以上より、本発明の実施例によれば、ダイバータ熱交換構造が提供される。それは、初めて親水膜2と超疎水構造材料をダイバータ第一壁1の熱交換構造に適用し、将親水膜2及び導熱柱6をダイバータ熱交換構造の内面に配置する。熱を受けたときに、親水膜2により液体補給経路と蒸気抜き通路とを分離することにより、膜沸騰の発生が効果的に回避される。また、設けられる疎水層8及び凝縮管7により、熱交換の能力が増強され、加工プロセスが簡単で、コストが低く、周期が短いなどの利点を有する。
【0039】
以上は、本発明の好ましい実施形態に過ぎない。当業者であれば、本発明の技術的思想から逸脱しない限り、複数の改良及び置換を加えることができる。これらの改良及び置換は、本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0040】
1、ダイバータ第一壁;10、凹溝;11、第一材料層;12、第二材料層;13、第三材料層;14、第四材料層;15、第五材料層;2、親水膜;3、外管;31、第一端;4、内管;41、噴流孔;5、流動チャンバ;6、導熱柱;7、凝縮管;71、凝縮液通路;8、疎水層;9、接続具。
【要約】 (修正有)
【課題】本発明の目的は、ダイバータの熱交換能力を保証できるダイバータ熱交換構造を提供することである。
【解決手段】ダイバータ熱交換構造は、ダイバータ第一壁1と、親水膜2と、外管3と、内管4とを含み、前記外管が前記内管に外嵌され、前記ダイバータ第一壁が前記外管の第一端を塞ぐように設けられ、前記ダイバータ第一壁、前記外管の内壁及び前記内管の外壁によって取り囲まれて流動チャンバが形成され、前記内管の前記ダイバータ第一壁に向かう端に噴流孔が開設され、前記流動チャンバが前記噴流孔を介して前記内管の内部に連通し、前記親水膜が前記ダイバータ第一壁の前記噴流孔に向かう側に敷設され、前記ダイバータ第一壁に固定接続される。
【選択図】
図1