(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】インクヘッドユニット
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20240829BHJP
B41J 2/18 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B41J2/14 605
B41J2/14 305
B41J2/14 603
B41J2/18
(21)【出願番号】P 2020045586
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】324006865
【氏名又は名称】理想テクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】石原 治彦
(72)【発明者】
【氏名】五十川 昌邦
(72)【発明者】
【氏名】添田 勝之
(72)【発明者】
【氏名】木下 静雄
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-036988(JP,A)
【文献】特開2015-054509(JP,A)
【文献】特開2011-201168(JP,A)
【文献】特開2016-135583(JP,A)
【文献】特開2016-036984(JP,A)
【文献】特開2011-031605(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0036824(US,A1)
【文献】米国特許第05752303(US,A)
【文献】中国特許出願公開第1733481(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを収容可能な共通インク室と、
第1ノズルと、前記第1ノズルと前記共通インク室とを連通する第1流路と、前記第1ノズルからインクを吐出させる第1アクチュエータと、を有する第1ノズルユニットと、
第2ノズルと、前記第2ノズルと前記共通インク室とを連通する第2流路と、前記第2ノズルからインクを吐出させる第2アクチュエータと、を有し、前記第1ノズルユニットと第1方向に隣り合う第2ノズルユニットと、
を備え、
前記第1流路は、複数の貫通孔からなる第1開口部を介して前記共通インク室と連通しており、
前記第2流路は、複数の貫通孔からなる第2開口部を介して前記共通インク室と連通しており、
前記共通インク室において、前記第1開口部と前記第2開口部との間に隔壁は設けられず、
前記共通インク室から前記第1流路に向かう第2方向に見て、前記第1方向と交差する第3方向における前記第1開口部の中心位置は、前記第2開口部の中心位置と異な
り、
前記第2方向において、前記第1開口部の範囲は、前記第2開口部の範囲と重複しない、
インクヘッドユニット。
【請求項2】
前記第3方向において、前記第1開口部が設けられた範囲と、前記第2開口部が設けられた範囲とは、重複していない、請求項1に記載のインクヘッドユニット。
【請求項3】
前記第1流路及び前記第2流路は、それぞれ前記第3方向に延びており、
前記第1開口部の中心位置と前記第2開口部の中心との距離は、前記第1方向における前記第1流路の中心と前記第2流路の中心との距離よりも長い、請求項1または2に記載のインクヘッドユニット。
【請求項4】
前記第3方向における前記第1ノズルの位置と、前記第3方向における前記第2ノズルの位置は同じであり、
前記第2開口部と前記第2ノズルとの前記第3方向における距離は、前記第1開口部と前記第1ノズルとの前記第3方向における距離よりも長い、請求項3に記載のインクヘッドユニット。
【請求項5】
前記第2流路の前記第3方向と直交する断面における最小面積は、前記第1流路の前記第3方向と直交する断面における最小面積よりも大きい、請求項4に記載のインクヘッドユニット。
【請求項6】
前記第2流路の前記第2方向における寸法の最小値は、前記第1流路の前記第2方向における寸法の最小値よりも大きい、請求項4または5に記載のインクヘッドユニット。
【請求項7】
前記第2方向に見て、前記第2開口部
における前記複数の貫通孔の面積の和は、前記第1開口部
における前記複数の貫通孔の面積の和よりも大きい、請求項4~6のいずれか一つに記載のインクヘッドユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、インクヘッドユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、共通インク室と、一方向に配列された複数のノズルユニットと、を備えるインクヘッドユニットが知られている。各ノズルユニットは、ノズルと、共通インク室とノズルとを連通する流路と、ノズルからインクを吐出させるアクチュエータと、を有する。このようなインクヘッドユニットにおいて、複数のノズルユニットのアクチュエータを同時に駆動した場合、共通インク室は、複数のノズルユニットからインクを同時に吸引される。隣り合うノズルユニットが共通インク室内のインクを同時に吸引すると、各ノズルに十分なインクが供給されない可能性がある。このような場合、各ノズルから所定量のインクの液滴が吐出されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、各ノズルから所定量のインクの液滴を吐出できるインクヘッドユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係るインクヘッドユニットは、インクを収容可能な共通インク室と、第1ノズルと、前記第1ノズルと前記共通インク室とを連通する第1流路と、前記第1ノズルからインクを吐出させる第1アクチュエータと、を有する第1ノズルユニットと、第2ノズルと、前記第2ノズルと前記共通インク室とを連通する第2流路と、前記第2ノズルからインクを吐出させる第2アクチュエータと、を有し、前記第1ノズルユニットと第1方向に隣り合う第2ノズルユニットと、を備え、前記第1流路は、第1開口部を介して前記共通インク室と連通しており、前記第2流路は、第2開口部を介して前記共通インク室と連通しており、前記共通インク室から前記第1流路に向かう第2方向に見て、前記第1方向と交差する第3方向における前記第1開口部の中心位置は、前記第2開口部の中心位置と異なる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態に係るインクヘッドユニットを示す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態に係るインクヘッドユニットを示す分解斜視図である。
【
図5】第1の実施形態に係るインクヘッドユニットにおける第1プレートを示す上面図である。
【
図6】第1の実施形態に係るインクヘッドユニットにおける第2プレートを示す上面図である。
【
図7】第1の実施形態に係るインクヘッドユニットにおける第3プレートを示す上面図である。
【
図9】
図9(a)は、参考例に係るインクヘッドユニットにおける開口部を上面視した際の共通インク室内のインクの流れを例示する模式図であり、
図9(b)は、参考例に係るインクヘッドユニットにおいて各ノズルから吐出される液滴を例示する模式図である。
【
図10】
図10(a)は、第1の実施形態に係るインクヘッドユニットにおける開口部を上面視した際の共通インク室内のインクの流れを例示する模式図であり、
図10(b)は、第1の実施形態に係るインクヘッドユニットにおいて各ノズルから吐出される液滴を例示する模式図である。
【
図11】第2の実施形態に係るインクヘッドユニットにおける第1プレートを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<第1の実施形態>
先ず、第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るインクヘッドユニットを示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係るインクヘッドユニットを示す分解斜視図である。
図3は、
図1の3-3線における部分端面図である。
図4は、
図1の4-4線における部分端面図である。
【0008】
本実施形態に係るインクヘッドユニット100は、
図1を参照して概説すると、共通インク室110と、複数の第1ノズルユニット120Mと、複数の第2ノズルユニット120Nと、を備える。複数の第1ノズルユニット120Mと複数の第2ノズルユニット120Nは、一の方向に交互に配列されている。
【0009】
各第1ノズルユニット120Mは、第1ノズル121Mと、第1ノズル121Mと共通インク室110とを連通する第1流路122Mと、第1ノズル121MからインクKを吐出させる第1アクチュエータ123Mと、を有する。各第1流路122Mは、第1開口部124Mを介して共通インク室110と連通している。
【0010】
各第2ノズルユニット120Nは、第2ノズル121Nと、第2ノズル121Nと共通インク室110とを連通する第2流路122Nと、第2ノズル121NからインクKを吐出させる第2アクチュエータ123Nと、を有する。各第2流路122Nは、第2開口部124Nを介して共通インク室110と連通している。
【0011】
インクヘッドユニット100は、インクジェットプリンターに搭載される。インクジェットプリンターにおける制御部は、インクヘッドユニット100の各アクチュエータ123M、123Nを制御し、各ノズル121M、121NからインクKを吐出させる。
【0012】
以下インクヘッドユニット100の各部について詳述する。以下では、説明をわかりやすくするため、XYZ直交座標系を用いる。第1ノズルユニット120Mと第2ノズルユニット120Nが配列されている方向を「X方向」という。また、X方向と直交し、第1流路122Mから共通インク室110に向かう方向を「Z方向」又は上方向という。Z方向の反対方向を「下方向」という。下方向にインクヘッドユニット100の各構成要素を見ることを「上面視」という。また、X方向及びZ方向と直交する一の方向を「Y方向」という。
【0013】
本実施形態に係るインクヘッドユニット100は、
図2に示すように、第1ブロック130、第2ブロック140、第1プレート150、第2プレート160、及び第3プレート170を備えている。
【0014】
第1ブロック130の形状は、例えば略直方体である。第1ブロック130の表面は、上面131と、下面132と、側面133と、を含む。上面131は、例えば、X方向及びY方向に平行な平坦面である。下面132は、上面131の反対側に位置する。下面132は、例えば、X方向及びY方向に平行な平坦面である。側面133は、上面131と下面132との間に位置する。
【0015】
第2ブロック140の形状は、例えば略直方体である。第2ブロック140の表面は、上面141と、下面142と、側面143と、を含む。上面141は、例えば、X方向及びY方向に平行な平坦面である。下面142は、上面141の反対側に位置する。下面142は、例えば、X方向及びY方向に平行な平坦面である。側面143は、上面141と下面142との間に位置する。
【0016】
第1プレート150の表面は、上面151及び下面152を含む。上面151は、X方向及びY方向に平行な平坦面である。下面152は、上面151の反対側に位置する。下面152は、X方向及びY方向に平行な平坦面である。
【0017】
第2プレート160の表面は、上面161及び下面162を含む。上面161は、X方向及びY方向に平行な平坦面である。下面162は、上面161の反対側に位置する。下面162は、X方向及びY方向に平行な平坦面である。したがって、第2プレート160の厚み(Z方向の寸法)は、X方向及びY方向の各位置において概ね一定である。
【0018】
第3プレート170の表面は、上面171及び下面172を含む。上面171は、X方向及びY方向に平行な平坦面である。下面172は、上面171の反対側に位置する。下面172は、X方向及びY方向に平行な平坦面である。したがって、第3プレート170の厚み(Z方向の寸法)は、X方向及びY方向の各位置において概ね一定である。
【0019】
第2ブロック140の上に第3プレート170が設けられている。第3プレート170の上に第2プレート160が設けられている。第2プレート160の上に、第1プレート150が設けられている。第1プレート150の上に第1ブロック130が設けられている。本実施形態では、
図1に示すように、第1ブロック130、第2ブロック140、第1プレート150、第2プレート160、及び第3プレート170からなる積層体に、共通インク室110、複数の第1ノズルユニット120M、及び複数の第2ノズルユニット120Nが設けられている。
【0020】
第1ブロック130には、
図2に示すように、下面132において開口した空間134が設けられている。空間134は、X方向に延びている。
図3及び
図4に示すように、空間134の内壁134aと、第1プレート150の上面151と、により、共通インク室110が形成されている。共通インク室110には、インクKが収容される。
【0021】
また、
図1及び
図2に示すように、第1ブロック130には、空間134(共通インク室110)に連通するインク供給用の流路135と、インク排出用の流路136と、が設けられている。インク供給用の流路135及びインク排出用の流路136は、インクジェットプリンターに搭載された際に、インクジェットプリンターに内蔵されたインクタンクに連通する。共通インク室110は、インク供給用の流路135からインクタンク内のインクKを取り込む。また、共通インク室110内のインクKは、インク排出用の流路136介してインクタンクへ排出される。そのため、インク供給用の流路135及びインク排出用の流路136を介して共通インク室110内のインクを循環させることができる。
【0022】
また、
図2に示すように、第1ブロック130には、第1ブロック130を上下方向に貫通する複数の貫通孔137が設けられている。複数の貫通孔137は、X方向に略等間隔に配列している。各貫通孔137には、第1アクチュエータ123Mの一部又は第2アクチュエータ123Nの一部のいずれかが配置されている。複数の第1アクチュエータ123M及び複数の第2アクチュエータ123Nは、X方向に交互に配列している。
【0023】
図3に示すように、各第1アクチュエータ123Mは、各第1ノズル121Mの直上に位置する。
図4に示すように、各第2アクチュエータ123Nは、各第2ノズル121Nの直上に位置する。
【0024】
各アクチュエータ123M、123Nは、本実施形態では、圧電方式のアクチュエータである。具体的には、各アクチュエータ123M、123Nは、圧電素子123aと、振動膜123bと、を有する。圧電素子123aは、貫通孔137内に配置されている。圧電素子123aは、接着部材123cにより、貫通孔137の内壁に接着している。接着部材123cは、例えば弾性を有する樹脂材料からなる。接着部材123cの下面及び第1ブロック130の下面132のうち接着部材123cの下面の周囲の領域には、振動膜123bが取り付けられている。振動膜123bは、第1ブロック130の貫通孔137の下面132側を、個々に覆い塞ぐ。
【0025】
圧電素子123aは、インクヘッドユニット100がインクジェットプリンターに搭載された状態で、インクジェットプリンターにおける制御部に電気的に接続される。制御部は、圧電素子123aのZ方向に例えばパルス電圧を印加することにより、圧電素子123aをZ方向に伸縮させる。これにより、接着部材123c及び振動膜123bにおいて圧電素子123aの直下に位置する部分がZ方向に振動する。これにより、各アクチュエータ123M、123Nの直下に位置するノズル121M、121N内にインクKの圧力波が発生する。その結果、ノズル121M、121Nの下端からインクKが突出する。ノズル121M、121Nから突出するインクKは、徐々に大きくなり、ノズル121M、121Nから離脱する。これにより、インクKの液滴がノズル121M、121Nから吐出する。
【0026】
ただし、制御部は、圧電素子123aにパルス電圧ではなく交流電圧を印加してもよい。また、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータの構造は上記に限定されない。例えば、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータのそれぞれは、ヒータを有し、ヒータによりノズル内のインクの一部を加熱して気泡化させることにより、インクをノズルから吐出させてもよい。
【0027】
図2に示すように、第2ブロック140には、複数の第1ノズル121M及び複数の第2ノズル121Nが設けられている。複数の第1ノズル121Mと複数の第2ノズル121Nは、X方向に略等間隔で交互に配列している。
【0028】
図3及び
図4に示すように、各ノズル121M、121Nは、Z方向に第2ブロック140を貫通している。各ノズル121M、121Nは、個別インク室121aと、ノズル孔121bと、を有する。個別インク室121aは、第2ブロック140の上面141において開口している。個別インク室121aは、円柱形状の第1部分121cと、第1部分121cの下端に接続された円錐台形状の第2部分121dと、を有する。第2部分121dは、下方向に向かうにつれ直径が小さくなる。ノズル孔121bは、第2部分121dの下端に接続されており、第2ブロック140の下面142において開口している。ノズル孔121bのZ方向における直径は、略一定である。ただし、各ノズル121M、121Nの形状は、上記に限定されない。
【0029】
図5は、本実施形態に係るインクヘッドユニットにおける第1プレートを示す上面図である。
第1プレート150には、複数の第1開口部124M及び複数の第2開口部124Nが設けられている。
【0030】
各開口部124M、124Nは、本実施形態では、第1プレート150をZ方向に貫通する複数の貫通孔153からなる。上面視における各貫通孔153の形状は、例えば円形である。
図5では、一つの第1開口部124Mが、X方向に3列かつY方向に4行配列された合計12個の貫通孔153からなり、一つの第2開口部124Nが、X方向に3列かつY方向に4行配列された合計12個の貫通孔153からなる例を示している。ただし、各開口部124M、124Nを構成する貫通孔153の数は、上記に限定されない。例えば、各開口部124M、124Nを構成する貫通孔153の数は、1個でもよい。また、第1開口部124Mを構成する貫通孔153の数と、第2開口部124Nを構成する貫通孔153の数は同一でなくてもよい。
【0031】
複数の第1開口部124Mと複数の第2開口部124Nは、X方向において交互かつ千鳥状に配列している。そのため、Y方向における第1開口部124Mの中心位置C1と、第2開口部124Nの中心位置C2とは異なっている。「第1開口部124Mの中心位置C1」とは、X方向において第1開口部124Mが設けられた範囲S11の中心を通り、Y方向に延びる直線L11と、Y方向において第1開口部124Mが設けられた範囲S12の中心を通り、X方向に延びる直線L12と、の交点を意味する。同様に、「第2開口部124Nの中心位置C2」とは、X方向において第2開口部124Nが設けられた範囲S21の中心を通り、Y方向に延びる直線L21と、Y方向において第2開口部124Nが設けられた範囲S22の中心を通り、X方向に延びる直線L22と、の交点を意味する。
【0032】
図3及び
図4に示すように、各第1開口部124M及び各第2開口部124Nは、共通インク室110の直下に配置されており、共通インク室110に連通している。
【0033】
図5では、各開口部124M、124Nと各ノズル121M、121Nとの位置関係をわかりやすくするため、各ノズル121M、121Nを第1プレート150に投影し、2点鎖線で示している。上面視において、第1ノズル121Mの中心位置C3は、第1開口部124Mの中心位置C1を通り、Y方向に延びる直線L11上に位置する。同様に、上面視において、第2ノズル121Nの中心位置C4は、第2開口部124Nの中心位置C2を通り、Y方向に延びる直線L21上に位置する。そして、Y方向における第1開口部124Mの中心位置C1と第1ノズル121Mの中心位置C3との距離d1は、Y方向における第2開口部124Nの中心位置C2と第2ノズル121Nの中心位置C4との距離d2よりよりも短い(d1<d2)。
【0034】
また、Y方向において第1開口部124Mが設けられた範囲S12と、第2開口部124Nが設けられた範囲S22とは、本実施形態では、重複していない。すなわち、第1開口部124Mと第2開口部124Nは、X方向に隣り合っていない。ただし、Y方向において第1開口部が設けられた範囲と、第2開口部が設けられた範囲とは、部分的に重複していてもよい。すなわち、第1開口部の一部と第2開口部の一部は、X方向に隣り合っていてもよい。
【0035】
また、第1プレート150には、複数の貫通孔154が設けられている。複数の貫通孔154は、X方向に沿って配列されている。上面視における各貫通孔154の形状は、矩形である。ただし、各貫通孔154の形状は、上記に限定されない。各貫通孔154は、
図3及び
図4に示すように、第1アクチュエータ123Mと第1ノズル121Mとの間、又は、第2アクチュエータ123Nと第2ノズル121Nとの間に配置されている。そのため、各アクチュエータ123M、123Nの各振動膜123bは、各貫通孔154を個々に覆い塞ぐ。そして、各アクチュエータ123M、123Nは、直下に設けられた貫通孔154を介して、直下に位置するノズル121M、121N内にインクKの圧力波を発生させることができる。
【0036】
図6は、本実施形態に係るインクヘッドユニットにおける第2プレートを示す上面図である。
図6では、説明をわかりやすくするため、各開口部124M、124N及び各ノズル121M、121Nを第2プレート160に投影させて、2点鎖線で示している。
【0037】
第2プレート160には、複数の第1貫通孔163及び複数の第2貫通孔164が設けられている。複数の第1貫通孔163及び複数の第2貫通孔164は、X方向に交互に配列されている。
【0038】
上面視における各第1貫通孔163の形状は、矩形である。第1貫通孔163のX方向における寸法w11(幅)は、Y方向の各位置において概ね一定である。第1貫通孔163のX方向における中心位置は、第1開口部124Mの中心位置C1を通る直線L11上に位置する。
【0039】
上面視における各第2貫通孔164の形状は、矩形である。第2貫通孔164のX方向における寸法w12は、Y方向の各位置において概ね一定である。第2貫通孔164のX方向における寸法w12は、第1貫通孔163のX方向における寸法w11と等しい(w11=w12)。第2貫通孔164のX方向における中心位置は、第2開口部124Nの中心位置C2を通る直線L21上に位置する。
【0040】
図3及び
図6に示すように、各第1貫通孔163は、Y方向に沿って、第1開口部124Mの直下から第1ノズル121Mの直上までの範囲にわたって延びている。
図4及び
図6に示すように、各第2貫通孔164は、Y方向に沿って、第2開口部124Nの直下から第2ノズル121Nの直上までの範囲にわたって延びている。前述したように、Y方向における第1開口部124Mの中心位置C1と第1ノズル121Mの中心位置C3との距離d1は、Y方向における第2開口部124Nの中心位置C2と第2ノズル121Nの中心位置C4との距離d2よりよりも短い(d1<d2)。従って、Y方向における第1貫通孔163の寸法l11は、Y方向における第2貫通孔164の寸法l12よりも短い(l11<l12)。
【0041】
図7は、本実施形態に係るインクヘッドユニットにおける第3プレートを示す上面図である。
図7では、説明をわかりやすくするため、各開口部124M、124N及び各ノズル121M、121Nを第2プレート160に投影させて、2点鎖線で示している。
【0042】
第3プレート170には、複数の第1貫通孔173及び複数の第2貫通孔174が設けられている。複数の第1貫通孔173及び複数の第2貫通孔174は、X方向に交互に配列されている。
【0043】
上面視における各第1貫通孔173の形状は、矩形である。各第1貫通孔173のX方向における寸法w21(幅)は、Y方向の各位置において概ね一定である。第1貫通孔173のX方向における中心位置は、第1開口部124Mの中心位置C1を通る直線L11上に位置する。
【0044】
上面視における各第2貫通孔174の形状は、矩形である。第2貫通孔174のX方向における寸法w22は、Y方向の各位置において概ね一定である。第2貫通孔174のX方向における中心位置は、第2開口部124Nの中心位置C2を通る直線L21上に位置する。
【0045】
各第1貫通孔173のX方向における寸法w21、及び各第2貫通孔174のX方向における寸法w22は、第1貫通孔163のX方向における寸法w11及び第2貫通孔164と概ね等しい(w11=w12=w21=w22)。
【0046】
図3及び
図7に示すように各第1貫通孔173は、第1ノズル121Mの直上に設けられており、第1開口部124Mの直下には設けられていない。
図4及び
図7に示すように、各第2貫通孔174は、Y方向に沿って、第2開口部124Nの直下から第2ノズル121N直上までの範囲にわたって延びている。第1貫通孔173のY方向における寸法l21は、第2貫通孔174のY方向における寸法l22及び第2プレート160の第1貫通孔163のY方向における寸法l11よりも小さい(l21<l11<l22)。第2貫通孔174のY方向における寸法l22は、第2プレート160の第2貫通孔164のY方向における寸法l12と概ね等しい(l22=l12)。
【0047】
図3に示すように、第1プレート150の下面152、第2プレート160の第1貫通孔163、第3プレート170の第1貫通孔173、及び上面171によって、第1流路122Mが形成されている。そのため、第1流路122Mは、Y方向に沿って第1開口部124Mの直下から第1ノズル121Mの直上までの範囲にわたって延びている。そして、第1流路122MのY方向における寸法(流路長)は、第1貫通孔163のY方向の寸法l11に等しい。
【0048】
また、第1流路122MのZ方向における寸法(高さ)は、Y方向において第1開口部124Mと第1ノズル121Mとの間に位置において最小となる。第1流路122MのZ方向における寸法の最小値h1は、第2プレート160の厚みに概ね等しい。また、第1流路122MのX方向における寸法(幅)は、第2プレート160の第1貫通孔163のX方向における寸法w11及び第3プレート170の第1貫通孔173のX方向における寸法w21と等しい。
【0049】
また、
図4に示すように、第1プレート150の下面152、第2プレート160の第2貫通孔164、第3プレート170の第2貫通孔174、及び上面171によって、第2流路122Nが形成されている。そのため、第2流路122Nは、Y方向に沿って第2開口部124Nの直下から第2ノズル121Nの直上までの範囲にわたって延びている。
そして、第2流路122NのY方向における寸法(流路長)は、第2貫通孔164及び第2貫通孔174のY方向の寸法l12、l22に等しい。したがって、第2流路122NのY方向における寸法は、第1流路122MのY方向における寸法よりも長い。
【0050】
また、第2流路122NのZ方向における寸法(高さ)の最小値h2は、第2プレート160の厚みと第3プレート170の厚みとの和に概ね等しい。そのため、第2流路122NのZ方向における寸法(高さ)の最小値h2は、第1流路122MのZ方向における寸法の最小値h1よりも大きい(h2>h1)。また、第2流路122NのX方向における寸法は、第2プレート160の第2貫通孔164のX方向における寸法w12及び第3プレート170の第2貫通孔174のX方向における寸法w22と等しい。したがって、第2流路122NのX方向における寸法は、第1流路122MのX方向における寸法と概ね等しい。
【0051】
図8は、
図1の8-8線における断面図である。
以上より、第1流路122MのY方向と直交する断面における面積は、
図1の8ー8線における断面のように、Y方向において第1開口部124Mと第1ノズル121Mとの間に位置する断面において最小となる。そして、
図8に示すように、第2流路122NにおいてY方向と直交する断面における最小面積は、第1流路122MにおいてY方向と直交する断面における最小面積よりも大きい。
【0052】
前述したように、第2流路122NのY方向における寸法(流路長)は、第1流路122MのY方向における寸法(流路長)よりも長い。流路長が長いほど、流路抵抗は大きくなりやすい。これに対して、本実施形態では、上述したように、第2流路122NにおいてY方向と直交する断面における最小面積を、第1流路122MにおいてY方向と直交する断面における最小面積よりも大きくすることで、第2流路122Nの流路抵抗が大きくなることを抑制している。なお、第1流路の高さの最小値と第2流路の高さの最小値は同じにし、第2流路の最小幅を第1流路の最小幅より大きくすることで、第2流路のY方向と直交する断面における面積の最小値を第1流路のY方向と直交する断面における面積の最小値よりも大きくしてもよい。
【0053】
第1流路122Mの高さ、幅、及び断面積、並びに、第2流路122Nの高さ、幅、断面積は、第1流路122MをインクKが流れる際の流路抵抗と第2流路122NをインクKが流れる際の流路抵抗が等しくなるように設定されていることが好ましい。
【0054】
以上より、
図6に示すように、第1開口部124Mの中心位置C1と第2開口部124Nの中心位置C2との距離d3は、X方向における第1流路122の中心位置と第2流路の中心位置との距離d4よりも長い(d3>d4)。
【0055】
以上、インクヘッドユニット100の各部について説明したが、インクヘッドユニット100の構成は上記に限定されない。例えばインクヘッドユニット100は、第1ブロック130、第2ブロック140、第1プレート150、第2プレート160、及び第3プレート170を積層した構造でなくてもよい。
【0056】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図3に示すように、第1アクチュエータ123Mにおける圧電素子123aにパルス電圧が印加された場合、圧電素子123aがZ方向に伸縮する。そのため、振動膜123bがZ方向に振動する。これにより、第1ノズル121Mの個別インク室121a内にインクKの圧力波が発生する。その結果、第1ノズル121Mのノズル孔121bからインクKが突出する。ノズル孔121bから突出するインクKは、徐々に大きくなり第1ノズル121Mから離脱する。このようにして、インクKの液滴が第1ノズル121Mから吐出する。
【0057】
この際、第1開口部124M及び第1流路122Mを介して共通インク室110のインクKが、第1ノズル121Mに吸引される。これにより、共通インク室110から第1ノズル121Mの個別インク室121aに十分な量のインクKが供給された場合、ノズル孔121bから突出したインクKを十分な大きさに成長させることができる。その結果、第1ノズル121Mから十分な量のインクKの液滴を吐出させることができる。
【0058】
同様に、
図4に示すように、第2アクチュエータ123Nにおける圧電素子123aにパルス電圧が印加された場合、圧電素子123aがZ方向に伸縮する。そのため、振動膜123bがZ方向に振動する。これにより、第2ノズル121Nの個別インク室121a内にインクKの圧力波が発生する。その結果、第2ノズル121Nのノズル孔121bからインクKが突出する。ノズル孔121bから突出するインクKは、徐々に大きくなり第2ノズル121Nから離脱する。このようにして、インクKの液滴が第2ノズル121Nから吐出する。
【0059】
この際、第2開口部124N及び第2流路122Nを介して共通インク室110のインクKが、第2ノズル121Nに吸引される。これにより、共通インク室110から第2ノズル121Nの個別インク室121aに十分な量のインクKが供給された場合、ノズル孔121bから突出したインクKを十分な大きさに成長させることができる。その結果、第2ノズル121Nから十分な量のインクKの液滴を吐出させることができる。
【0060】
図9(a)は、参考例に係るインクヘッドユニットにおける開口部を上面視した際の共通インク室内のインクの流れを例示する模式図であり、
図9(b)は、参考例に係るインクヘッドユニットにおいて各ノズルから吐出される液滴を例示する模式図である。
なお
図9(a)において、矢印a1~a4は、インクの流れる方向を示し、矢印a1~a4の太さは、インクの流量を示す。すなわち、矢印の太さが太いほど、インクの流量が多い。
【0061】
参考例に係るインクヘッドユニット900では、第1ノズルユニット920a、第2ノズルユニット920b、及び第3ノズルユニット920cがX方向に配列されている。Y方向において、第1ノズルユニット920aの第1開口部924aの中心位置C5、第2ノズルユニット920bの第2開口部924bの中心位置C6、及び第3ノズルユニット920cの第3開口部924cの中心位置C7は、同じである。そのため、第1ノズルユニット920aの第1ノズル921a、第2ノズルユニット920bの第2ノズル921b、及び第3ノズルユニット920cの第3ノズル921cから同時にインクKを吐出させようとした場合は以下のようになる。
【0062】
第1開口部924aを構成する複数の貫通孔のうち第2開口部924bとX方向において隣り合っていない貫通孔951aからは、矢印a1で示すように、十分な量のインクKが吸引される。同様に、第3開口部924cを構成する複数の貫通孔のうち第2開口部924bとX方向において隣り合っていない貫通孔951cからは、矢印a2で示すように、十分な量のインクKが吸引される。
【0063】
一方、第1開口部924aを構成する貫通孔のうち第2開口部924bとX方向において隣り合っている貫通孔952a、及び第2開口部924bにおいて第1開口部924aとX方向において隣り合っている貫通孔951bからは、同時にインクKが吸引される。そのため、共通インク室110内においてこれらの貫通孔951b、952aの周辺に存在するインクKは、各貫通孔952a、951bに分散して供給される。そのため、矢印a3で示すように、各貫通孔952a、951bからは、十分な量のインクKが吸引されない可能性がある。
【0064】
同様に、第3開口部924cにおいて第2開口部924bとX方向において隣り合っている貫通孔952c、及び第2開口部924bにおいて第3開口部924cとX方向において隣り合っている貫通孔952bは、同時にインクKを吸引しようとする。そのため、共通インク室110内においてこれらの貫通孔952b、952cの周辺に存在するインクKは、各貫通孔952b、952cに分散して供給される。そのため、矢印a4で示すように、各貫通孔952a、951bからは、十分な量のインクKが吸引されない可能性がある。
【0065】
以上より、第1ノズル921a及び第3ノズル921cのそれぞれに十分な量のインクKが供給されない可能性がある。このような場合、
図9(b)に示すように、第1ノズル921a及び第3ノズル921cのそれぞれから吐出されるインクKの液滴K1、K3の量は、所定量よりも少なくとなる。また、第2ノズル921bに供給されるインクKは、第1ノズル921a及び第3ノズル921cのそれぞれに供給されるインクKの量より更に少なくなる場合がある。このような場合、
図9(b)に示すように、第2ノズル921bから吐出されるインクKの液滴K2の量は、第1ノズル921aから吐出されるインクKの液滴の量よりも更に少なくとなる。
【0066】
インクKの粘度が高くなるほど、インクKが流動し難い。そのため、インクKの粘度が高くなるほど、隣り合うノズルで同時にインクKを吐出させようとした際にインクKの吸引量の低下が生じやすい。また、圧電素子123aに印加するパルス電圧の周波数が高くなるほど、インクKの吸引周期が短くなるため、インクKの吸引量の低下が生じやすい。
【0067】
図10(a)は、本実施形態に係るインクヘッドユニットにおける開口部を上面視した際の共通インク室内のインクの流れを例示する模式図であり、
図10(b)は、本実施形態に係るインクヘッドユニットにおいて各ノズルから吐出される液滴を例示する模式図である。
なお
図10(a)において、矢印b1~b4は、インクの流れる方向を示し、矢印b1~b3の太さは、インクの流量を示す。すなわち、矢印の太さが太いほど、インクの流量が多い。
【0068】
図10(a)に示すように、Y方向において第1開口部124Mの中心位置C1は、第2開口部124Nの中心位置C2と異なる。そのため、一つの第2ノズル121Nと、第2ノズル121NとX方向に隣り合う2つの第1ノズル121MのそれぞれからインクKから同時にインクKを吐出させようとした場合、矢印b1、b2、b3で示すように、各開口部124M、124Nからは、十分な量のインクKが吸引される。そして、各開口部124M、124Nから吸引されるインクKの量は、概ね同じである。
【0069】
これにより、各ノズル121M、121Nには、十分な量のインクKが供給される。その結果、
図10(b)に示すように、各ノズル121M、121Nから吐出されるインクKの液滴K4、K5、K6の量を、所定量とすることができる。また、各ノズル121M、121Nから吐出されるインクKの量を均一にできる。
【0070】
なお、隣り合う第1ノズル121Mと第2ノズル121Nから同時にインクを突出させる例を説明したが、常に、隣り合う第1ノズル121Mと第2ノズル121Nから同時にインクを突出させなくてもよい。
【0071】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係るインクヘッドユニット100は、インクKを収容可能な共通インク室110と、第1ノズル121Mと、第1ノズル121Mと共通インク室110とを連通する第1流路122Mと、第1ノズル121MからインクKを吐出させる第1アクチュエータ123Mと、を有する第1ノズルユニット120Mと、第2ノズル121Nと、第2ノズル121Nと共通インク室110とを連通する第2流路122Nと、第2ノズル121NからインクKを吐出させる第2アクチュエータ123Nと、を有し、第1ノズルユニット120Mと第1方向(X方向)に隣り合う第2ノズルユニット120Nと、を備える。第1流路122Mは、第1開口部124Mを介して共通インク室110と連通している。第2流路122Nは、第2開口部124Nを介して共通インク室110と連通している。そして、共通インク室110から第1流路122Mに向かう第2方向(下方向)に見て、第1方向(X方向)と交差する第3方向(Y方向)における第1開口部124Mの中心位置C1は、第2開口部124Nの中心位置C2と異なる。
【0072】
これにより、各ノズル121M、121Nから所定量のインクKを吐出できるインクヘッドユニット100を実現できる。
【0073】
また、第3方向(Y方向)において、第1開口部124Mが設けられた範囲S12と、第2開口部124Nが設けられた範囲S22とは、重複していない。これにより、第1開口部124Mと第2開口部124Nが隣接することを回避し、共通インク室110から各ノズル121M、121Nに十分な量のインクKを供給することができる。
【0074】
また、第1流路122M及び第2流路122Nは、それぞれ第3方向(Y方向)に延びている。第1開口部124Mの中心位置C1と第2開口部124Nの中心位置C2との距離d3は、第1方向(X方向)における第1流路122の中心位置と第2流路122Nの中心位置との距離d4よりも長い(d3>d4)。これにより、第1開口部124Mと第2開口部124Nが隣接することを抑制し、共通インク室110から各ノズル121M、121Nに十分な量のインクKを供給することができる。
【0075】
また、第3方向(Y方向)における第1ノズル121Mの位置と第2ノズル121Nの位置は同じである。そして、第2開口部124Nの中心位置C2と第2ノズル121Nの中心位置C4との第3方向(Y方向)における距離d2は、第1開口部124Mの中心位置C1と第1ノズル121Mの中心位置C3との第3方向における距離d1よりも長い(d2>d1)。これにより、第1ノズル121Mと第2ノズル121Nの第3方向(Y方向)における位置を合わせつつ、第1開口部124Mと第2開口部124Nが第1方向(X方向)に隣り合うことを抑制できる。
【0076】
また、このような構成においては、第2流路122Nの流路長が第1流路122Mの流路長より長くなる。これに対して、本実施形態では、第2流路122Nの第3方向(Y方向)と直交する断面における最小面積は、第1流路122Mの第3方向(Y方向)と直交する断面における最小面積よりも大きい。これにより、第2流路122Nの第3方向(Y方向)と直交する断面における最小面積が、第1流路122Mの第3方向(Y方向)と直交する断面における最小面積以下である場合と比較して、第2流路122Nの流路抵抗を低減できる。
【0077】
また、第2流路122Nの第2方向(下方向)における寸法の最小値h2は、第1流路122Mの第2方向(下方向)における寸法の最小値h1よりも大きい(h2>h1)。これにより、第2流路122Nの第2方向(下方向)における寸法の最小値h2が、第1流路122Mの第2方向(下方向)における寸法の最小値h1以下である場合と比較して、第2流路122Nの流路抵抗を低減できる。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
図11は、本実施形態に係るインクヘッドユニットにおける第1プレートを示す上面図である。
本実施形態に係るインクヘッドユニット200は、第1開口部224Mの面積と第2開口部224Nの面積が同じではない点において第1の実施形態に係るインクヘッドユニット100と相違する。
なお、以下の説明においては、原則として、第1の実施形態との相違点のみを説明する。以下に説明する事項以外は、第1の実施形態と同様である。
【0078】
第1プレート250には、複数の第1開口部224M及び複数の第2開口部224Nが設けられている。
【0079】
各第1開口部224Mは、本実施形態では、第1プレート250をZ方向に貫通する複数の第1貫通孔251からなる。上面視における各第1貫通孔251の形状は、円形である。
【0080】
各第2開口部224Nは、本実施形態では、第1プレート250をZ方向に貫通する複数の第2貫通孔252からなる。上面視における各第2貫通孔252の形状は、円形である。第2貫通孔252の直径は、第1貫通孔251の直径よりも大きい。そのため、第2開口部224Nの面積は、第1開口部224Mの面積よりも大きい。「開口部の面積」とは、開口部を平面視した際にインクが流通可能な領域の総面積を意味し、開口部が複数の貫通孔からなる場合は、平面視における複数の貫通孔の面積の和を意味する。これにより、第2開口部224Nの面積が第1開口部224Mの面積以下である場合と比較して、第2開口部224NにインクKが流入する際の抵抗を低減できる。
【0081】
第1の実施形態及び第2の実施形態では、第1開口部の中心位置と第2開口部の中心位置とがずれる方向(第3方向)に流路が延びている例を説明した。しかし、流路が延びる方向は、第1開口部の中心位置と第2開口部の中心位置とがずれる方向と一致していなくてもよい。
【0082】
また、第1の実施形態及び第2の実施形態では、インクヘッドユニットが複数の第1ノズルユニット及び複数の第2ノズルユニットを備えていたが、インクヘッドユニットは、更に第3ノズルユニットを備え、第2方向に見て、第3方向における第3ノズルユニットにおける第3開口部の中心位置は、第1開口部の中心位置及び第2開口部の中心位置と相互に異なっていてもよい。
【0083】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明及びその等価物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
100、200:インクヘッドユニット
110:共通インク室
120M:第1ノズルユニット
120N:第2ノズルユニット
121M:第1ノズル
121N:第2ノズル
122M:第1流路
122N:第2流路
123M:第1アクチュエータ
123N:第2アクチュエータ
124M、224M:第1開口部
124N、224N:第2開口部
130:第1ブロック
140:第2ブロック
150、250:第1プレート
160:第2プレート
170:第3プレート
C1:第1開口部の中心位置
C2:第2開口部の中心位置
C3:第1ノズルの中心位置
C4:第2ノズルの中心位置
K:インク
S11:X方向において第1開口部が設けられた範囲
S12:Y方向において第1開口部が設けられた範囲
S21:X方向において第2開口部が設けられた範囲
S22:Y方向において第2開口部が設けられた範囲
d1:第1開口部の中心位置と第1ノズルの中心位置のY方向における距離
d2:第2開口部の中心位置と第2ノズルの中心位置のY方向における距離
d3:第1開口部の中心位置と第2開口部の中心位置との距離
d4:X方向における第1流路の中心位置と第2流路の中心位置との距離
h1:第1流路のZ方向における寸法の最小値
h2:第2流路のZ方向における寸法の最小値