IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水ハウス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-住宅 図1
  • 特許-住宅 図2
  • 特許-住宅 図3
  • 特許-住宅 図4
  • 特許-住宅 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】住宅
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
E04H1/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020169818
(22)【出願日】2020-10-07
(65)【公開番号】P2022061712
(43)【公開日】2022-04-19
【審査請求日】2023-07-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年4月17日に積水ハウス株式会社が、カタログFamily Suite「小林さん家。」PLANNING COLLECTION 第10頁にて、公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】橋本 大
(72)【発明者】
【氏名】宮地 宏和
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 裕也
(72)【発明者】
【氏名】末澤 貴大
(72)【発明者】
【氏名】石川 達也
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-105870(JP,A)
【文献】特開平07-034680(JP,A)
【文献】特開2016-003467(JP,A)
【文献】特開2015-224484(JP,A)
【文献】特開2019-148100(JP,A)
【文献】特開2017-086441(JP,A)
【文献】特開2001-317218(JP,A)
【文献】特開2015-140564(JP,A)
【文献】郊外の一戸建てが人気のいま、テレワーク時代のトレンドは 書斎 巣ごもり 掘机…住宅メーカーに聞く,[online],2020年06月21日,「両面から使えるタイプも」の欄,インターネット<URL:https://tetsudo-ch.com/10430920.html>,2024年3月11日検索
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/00 - 1/14
A47B 1/00 -41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リビングを含む居室内に配置され、床に畳が敷き詰められた畳スペースと、
前記畳スペースに隣接し、前記居室内に配置されるユーティリティスペースと、
浴室、洗面室、及び洗濯室からなり、前記ユーティリティスペースの上階に配置されるサニタリールームと、を備え、
前記ユーティリティスペース及び前記サニタリールームは、廻り階段に隣接して配置され、
前記ユーティリティスペースは、前記畳スペースに面してカウンターデスクが設置されるとともに、前記廻り階段と前記ユーティリティスペースとを間仕切る壁体と、前記カウンターデスクと、前記カウンターデスクの長手方向の一端に形成される柱型と、によって周囲を囲まれており、
前記壁体は、前記ユーティリティスペースを挟んで前記カウンターデスクと相対向するとともに、前記カウンターデスクと略同じ長さであり、
前記廻り階段の登り口は、前記壁体を挟んで前記ユーティリティスペースの反対側、且つ前記壁体の柱型側の一端に位置することを特徴とする住宅。
【請求項2】
前記カウンターデスクは、天板と、当該天板を下から支持する脚部と、前記天板の前記畳スペース側の端縁から下方へ延び、前記畳スペースと前記ユーティリティスペースとを仕切る仕切り板と、を有することを特徴とする請求項1に記載の住宅。
【請求項3】
前記居室及び玄関土間に隣接する玄関ホールと、
前記居室及び前記玄関土間に隣接するとともに入室可能な玄関収納室と、を備え、
前記居室は、前記リビングに隣接するダイニング、及び前記ユーティリティスペースに隣接する通路を有しており、
前記玄関ホールは、前記ダイニングに隣接するとともに行き来可能に連通し、
前記玄関収納室は、前記通路に隣接するとともに行き来可能に連通し、
前記玄関土間は、前記玄関ホールを通過して前記ダイニングから前記リビングまでを繋ぐ第1の動線を形成するとともに、前記玄関収納室を通過して前記通路から前記ユーティリティスペースまでを繋ぐ第2の動線を形成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の住宅。
【請求項4】
前記玄関収納室は、物品を収納する収納部と、当該収納部と前記居室とを繋ぐ収納部通路と、を有し、
前記居室は、キッチンと、当該キッチン及び前記収納部通路にそれぞれ隣接するとともに行き来可能に連通するパントリーと、を有することを特徴とする請求項3に記載の住宅。
【請求項5】
前記収納部は、前記玄関土間と連通する土間空間の第1収納部と、当該第1収納部及び前記収納部通路と連通し、靴を脱いで入室する第2収納部と、から構成され、
前記第2収納部は、前記第1収納部に隣接してスロップシンクが設置されるとともに、前記収納部通路に隣接して手洗い水栓が設置されることを特徴とする請求項4に記載の住宅。
【請求項6】
前記洗濯室は、前記浴室、前記洗面室、及びバルコニーにそれぞれ隣接するとともに行き来可能に連通することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床に畳が設置された畳スペースを備える住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、床に畳が敷き詰められた畳スペースをリビングダイニングに隣接して配置する住宅が増えている。この畳スペースは、幼い子供を遊ばせる保育スペースとして活用したり、洗濯物を畳む家事スペースとして活用するほか、畳スペースとリビングダイニングとの間を建具で間仕切ることによって来客時の対応スペースとして活用するすることができ、家事と育児との両立を図ることができる。リビングダイニングに隣接して畳スペースを配置する住宅としては、例えば、特許文献1が挙げられる。
【0003】
ところで、昨今ライフスタイルの変化により自宅で仕事を行う人が増えており、仕事を効率よく行える住宅の必要性が高まってきている。そこで、家族との適度なコミュニケーションを図りつつ、集中して効率よく仕事を行うことができる住宅が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0004】
特許文献2に記載の発明では、リビングやダイニングを含むパブリックゾーンに隣接して仕事室が配置された住宅について記載されている。仕事室は、リビングから出入り可能であり、また、パブリックゾーンとは上方が開放された腰壁によって仕切られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3224260号公報
【文献】特開2003-161046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の住宅では、効率よく仕事が行えるものの、家事や育児の効率化については考慮されていない。またこれまで、家事、育児、仕事全ての両立を図る住宅について提案されているものはなかった。
【0007】
そこで、本発明は、上述した課題を鑑みてなされたものであって、家族とのコミュニケーションを図りながら、家事、育児、及び仕事を両立可能な住宅を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の住宅は、リビングを含む居室内に配置され、床に畳が敷き詰められた畳スペースと、前記畳スペースに隣接し、前記居室内に配置されるユーティリティスペースと、浴室、洗面室、及び洗濯室からなり、前記ユーティリティスペースの上階に配置されるサニタリールームと、を備え、前記ユーティリティスペース及び前記サニタリールームは、廻り階段に隣接して配置され、前記ユーティリティスペースは、前記畳スペースに面してカウンターデスクが設置されるとともに、前記廻り階段と前記ユーティリティスペースとを間仕切る壁体と、前記カウンターデスクと、前記カウンターデスクの長手方向の一端に形成される柱型と、によって周囲を囲まれており、前記壁体は、前記ユーティリティスペースを挟んで前記カウンターデスクと相対向するとともに、前記カウンターデスクと略同じ長さであり、前記廻り階段の登り口は、前記壁体を挟んで前記ユーティリティスペースの反対側、且つ前記壁体の柱型側の一端に位置することを特徴としている。
【0009】
本発明の第2の住宅は、前記カウンターデスクが、天板と、当該天板を下から支持する脚部と、前記天板の前記畳スペース側の端縁から下方へ延び、前記畳スペースと前記ユーティリティスペースとを仕切る仕切り板と、を有することを特徴としている。
【0010】
本発明の第3の住宅は、前記居室及び玄関土間に隣接する玄関ホールと、前記居室及び前記玄関土間に隣接するとともに入室可能な玄関収納室と、を備え、前記居室が、前記リビングに隣接するダイニング、及び前記ユーティリティスペースに隣接する通路を有しており、前記玄関ホールが、前記ダイニングに隣接するとともに行き来可能に連通し、前記玄関収納室が、前記通路に隣接するとともに行き来可能に連通し、前記玄関土間が、前記玄関ホールを通過して前記ダイニングから前記リビングまでを繋ぐ第1の動線を形成するとともに、前記玄関収納室を通過して前記通路から前記ユーティリティスペースまでを繋ぐ第2の動線を形成することを特徴としている。
【0011】
本発明の第4の住宅は、前記玄関収納室が、物品を収納する収納部と、当該収納部と前記居室とを繋ぐ収納部通路と、を有し、前記居室が、キッチンと、当該キッチン及び前記収納部通路にそれぞれ隣接するとともに行き来可能に連通するパントリーと、を有することを特徴としている。
【0012】
本発明の第5の住宅は、前記収納部が、前記玄関土間と連通する土間空間の第1収納部と、当該第1収納部及び前記収納部通路と連通し、靴を脱いで入室する第2収納部と、から構成され、前記第2収納部が、前記第1収納部に隣接してスロップシンクが設置されるとともに、前記収納部通路に隣接して手洗い水栓が設置されることを特徴としている。
【0013】
本発明の第6の住宅は、前記洗濯室が、前記浴室、前記洗面室、及びバルコニーにそれぞれ隣接するとともに行き来可能に連通することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の住宅によると、畳スペース及びユーティリティスペースは、居室内に配置され、また、ユーティリティスペースは、畳スペースに面してカウンターデスクが設置される。したがって、幼い子供を畳スペースで遊ばせたり昼寝させながら、ユーティリティスペースで在宅ワークや家事を行うことができる。そして、ユーティリティスペースにいる居住者は、カウンターデスクで仕事や家事をしながら子供の様子を見守ることができ、家事又は仕事と育児との両立を図ることができる。
【0015】
本発明の第2の住宅によると、カウンターデスクは、天板の畳スペース側の端縁から下方へ延び、畳スペースとユーティリティスペースとを仕切る仕切り板を有するとされる。したがって、畳スペースで遊ぶ子供が誤ってカウンターデスクの天板の下からユーティリティスペース内に侵入することを防止でき、安全性を向上させることができる。
【0016】
本発明の第3の住宅によると、玄関土間が、玄関ホールを通過してダイニングからリビングまでを繋ぐ第1の動線を形成するとともに、玄関収納室を通過して通路からユーティリティスペースまでを繋ぐ第2の動線を形成するとされる。したがって居住者は、帰宅後、第2の動線を使用することで玄関収納室に上着や手荷物を保管した後、スムーズにユーティリティスペースへ移動することができるので、手早く在宅ワークを開始することができる。また、来客時は第1の動線を使用することによって、収納用品などの雑多なものを来客に視認させることなく、来客を居室内へ誘導することができる。
【0017】
本発明の第4の住宅によると、パントリーは、居室内のキッチン、及び収納部通路にそれぞれ隣接するとともに行き来可能に連通するとされる。したがって居住者は、帰宅後、第2の動線を使用して玄関土間からユーティリティスペースに移動するまでの間に、購入した食料品をパントリーに保管することができるので、手早く手荷物を片付けて在宅ワークや家事に着手することができる。
【0018】
本発明の第5の住宅によると、第2収納部は、第1収納部に隣接してスロップシンクが設置されるとともに、収納部通路に隣接して手洗い水栓が設置される。したがって居住者は、帰宅後、土のついた子供用品や靴、ガーデニング用品などの汚れをスロップシンクで洗い流すとともに、居室内へ移動するまでに手洗いを済ませることができるので、居室内への雑菌の侵入を効果的に抑えることができる。
【0019】
本発明の第6の住宅によると、ユーティリティスペース及びサニタリールームは、廻り階段に隣接して配置されるので、居住者は、ユーティリティスペースからサニタリースペースまでの間を短い動線で移動することができ、在宅ワークと洗濯家事との両立を容易に行うことができる。また廻り階段は、登り口がユーティリティスペースを挟んで畳コーナーと相対向する位置となっているので、畳スペースにいる幼児が誤って廻り階段を登ることを防ぐことができ、安全性を向上させることができる。そして洗濯室は、浴室、洗面室、及びバルコニーにそれぞれ隣接するとともに行き来可能に連通しているため、「洗濯物を洗う、干す、取り込む」という一連の洗濯家事をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】住宅の敷地配置図。
図2】住宅の1階平面図。
図3図2のA-A線断面図。
図4】住宅の2階平面図。
図5】子供部屋を設置した状態を示す住宅の2階平面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の住宅の最良の実施形態について各図を参照しつつ説明する。本願の住宅は、主に幼い子供を育てる子育て世代が居住する戸建住宅である。なお、本発明において「東」、「西」、「北」、「南」とは図3を除く図面における右方向、左方向、上方向、下方向をそれぞれ指すものとする。また、本発明における「バルコニー」は、本実施形態において第1バルコニー14が相当する。
【0022】
図1に示すように、住宅1は、略矩形状の敷地Sに配置される。敷地S1は、北側の道路Rに接道しており、東西、及び南側の隣地境界線L1を介して隣地S2と隣接している。住宅1は、敷地S1のやや南側に配置されており、住宅1と道路境界線L2との間には、アプローチXや駐車場Yが形成され、住宅1と南側の隣地境界線L1との間にはテラスZが形成されている。また住宅1内部へは、アプローチXに面して設置される屋外出入口X1を通じて入ることができる。
【0023】
まず、住宅1の各階構成について説明する。図1に示すように、住宅1の1階は、玄関土間2と、玄関土間2の西側に位置する玄関ホール3と、玄関土間2の東側に位置する玄関収納室4と、1階の過半を占め、南側に配置される居室5と、玄関収納室4と居室5との間に配置される第1トイレ6と、から構成され、居住者全員が使用する室が多く配置される。
【0024】
図1及び図2に示す居室5は、複数用途のスペースが集まって形成される1つの大空間であり、玄関土間2及び玄関ホール3の南側に位置するキッチン51、ダイニング52、及びリビング53と、リビング53の東側に南北へ並んで配置される畳スペース54及びユーティリティスペース55と、ユーティリティスペース55の北側に配置される廻り階段56と、廻り階段56とリビング53との間に位置し、南北に延びる一直線状の通路57と、キッチン51と玄関収納室4との間に配置されるパントリー58と、廻り階段56の階段裏に形成される収納スペース59と、を具備している。
【0025】
図2に示すように、居室5は、平面視矩形状の第1室空間5aと第2室空間5bと
を東西に並べ、東側の第1室空間5aを第2室空間5bよりも南側へ突出させた平面視略逆Z字型状の空間となっている。図示するように、第1室空間5aには、畳スペース54、ユーティリティスペース55、廻り階段56、通路57、収納スペース59が配置されており、家事及び仕事を行うスペースや各所への移動に使用するスペースによって形成される。一方、第2室空間5bは、居住者が集まることの多いキッチン51、ダイニング52、リビング53、及びパントリー58が配置されており、他の居住者との団欒やコミュニケーションを楽しむためのスペースとなっている。
【0026】
第1室空間5aは、東西へ延びる一直線状の第1壁体W1によって玄関収納室4と間仕切られており、この第1壁体W1には、玄関収納室4と通路57とを行き来可能に連通する第1出入口D1が設置されている。一方、第2室空間5bは、東西へ延びる一直線状の第2壁体W2によって玄関土間2及び玄関ホール3と間仕切られており、この第2壁体W2には、玄関ホール3とダイニング52とを行き来可能に連通する第2出入口D2が設置されている。
【0027】
一方、図2に示す玄関収納室4は、通り抜け可能な収納室であり、玄関土間2と第1室空間5aとの間に配置される。玄関収納室4は、物品を収納するL字型状の収納部41と、当該収納部41から南側へ延び、収納部41と第1室空間5aとを繋ぐ収納部通路42と、を有し、さらに収納部41は、玄関土間2と連通する土間空間の第1収納部41aと、第1収納部41aよりも東側に位置し、収納部通路4に隣接する第2収納部41bと、から構成される。また、第1収納部41aと玄関土間2とを間仕切る第3壁体W3には第3出入口D3が形成されており、この第3出入口D3を閉めることによって玄関土間2から玄関収納室4内部に収納された物品が視認できないようになっている。
【0028】
第1収納部41aは、靴やアウトドア用品、屋外で使用する子供用の玩具など、土がついた物品を保管する空間であり、靴箱41cや物品収納棚41dが設置される。また第2収納部41bは、外出時に着用する上着や小物類、及び帰宅時に着用する部屋着などを保管する空間であり、衣服収納棚41eが設置される他、第1収納部41bに隣接する位置にスロップシンク41fが設置されるとともに、収納部通路42に隣接して手洗い水栓41gが設置される。このように、第2収納部41bにスロップシンク41fや手洗い水栓41gを設けることにより、居住者は、帰宅後土のついた子供用品やガーデニング用品などの汚れをスロップシンク41fで洗い流すとともに、居室5内へ移動するまでに手洗いを済ませることができるので、利便性を向上させ、且つ、居室5内への雑菌の侵入を効果的に抑えて衛生面を良好に保つことができる。そして収納部通路42は、南北へ延びる第4壁体W4を介してパントリー58と隣接しており、且つ、第4壁体W4に設置された第4出入口D4によってパントリー58と行き来可能となっている。
【0029】
図2に示す畳スペース54は、床に畳54aが敷き詰められたスペースであり、居住者間の団欒を図るスペースとしてだけでなく、幼い子供を遊ばせたり昼寝させたりする育児スペースとして使用することができる。図示するように畳スペース54は、平面視略矩形状の空間であり、東側に位置し、南北方向へ延びる第5壁体W5と、第5壁体W5の南側の端縁から西方向へ延びる第6壁体W6と、第6壁体W6の西側の端縁から北方向へ延びる第7壁体W7と、第5壁体W5の西側に配置される柱型状のPS60と、第5壁体W5及びPS60の間に配置されるカウンターデスク55aによって周囲を囲まれている。また、PS60と第7壁体W7の北側の端縁とは離間しており、この間から畳スペースへ入ることができる。また畳スペース54は、リビング53と床レベルが同一となっており、子供がリビング53と畳スペース54とを行き来する際に、段差で転倒することがないよう安全性を高めている。なお、第6壁体W6及び第7壁体W7には、それぞれ透過性を有する第1掃き出し窓DX1と嵌め殺し窓DX2が設置されており、保育のために必要な通風と採光を確保することができる。
【0030】
図2及び図3に示すように、ユーティリティスペース55には、畳スペース54に面してカウンターデスク55a及び椅子55bが設置されており、畳スペース54の方向を向いて在宅ワークや家事などを行うことができる。図示するように、ユーティリティスペース55は、東側に位置する第5壁体W5と、廻り階段56とユーティリティスペース55とを間仕切る第8壁体W8と、PS60と、カウンターデスク55aによって周囲を囲まれている。またPS60は、第8壁体W8と離間しており、PS60と第8壁体W8との間からユーティリティースペース55へ入ることができる。ユーティリティスペース55は、第5壁体W5の壁芯からPS60の第5壁面W5側の壁芯までの距離が1.8m~2.3程度、カウンターデスク55aの畳スペース54側の端縁から第8壁体W8の壁芯までの距離が1.3m~1.7m程度で形成され、床面積を3.0平米程度とすることが好ましい。
【0031】
図2及び図3に示すように、カウンターデスク55aは、天板55cと、天板を下から支持する脚部55dと、天板55cの畳スペース54側の端縁55eから下方へ延び、畳スペース54とユーティリティスペース55とを仕切る仕切り板55fと、を有している。このように、仕切り板55fを設けることによって、畳スペース54で遊ぶ子供が誤って天板55cの下からユーティリティスペース55内へ侵入することを防止でき、安全性を向上させることができる。またカウンターデスク55aは、PS60と第5壁体W5との間に挟まれているため、ユーティリティスペース55で作業する居住者は、第2室空間5bにいる他の居住者の気配を感じつつも集中して在宅ワークや家事を行うことができる。なお天板55cには仕事で使用するPC55gが設置され、天板55cの下のスペースには書類や文房具などを収納する収納キャビネット55hが設置される。
【0032】
図2に示すように、住宅1の1階には、玄関土間2廻りに2つの動線が形成される。すなわち、玄関土間2は、玄関ホール3を通過してダイニング52からリビング53までを繋ぐ第1の動線F1を形成するとともに、玄関収納室4を通過して通路57からユーティリティスペース55までを繋ぐ第2の動線F2を形成する。したがって居住者は、来客時に第1の動線F1を使用することによって、収納用品などの雑多なものを来客に視認させることなく、来客を居室5内へ誘導することができる。また居住者が通常帰宅した際は、第2の動線F2を使用することで玄関収納室4に上着や手荷物を保管した後、スムーズにユーティリティスペース55へ移動することができるので、手早く在宅ワークや家事を開始することができる。さらに、パントリー58は収納部通路42と行き来可能に連通しているので、居住者は、第2の動線F2を使用して玄関土間2からユーティリティスペース55へ移動するまでの間に、購入した食料品をパントリー58に保管することができ、さらに効率よく在宅ワークや家事に着手することができる。
【0033】
図4に示すように、住宅1の2階は、南西に配置される主寝室8と、主寝室8の東側に配置されるサニタリースペース9と、主寝室8の北側に位置する多目的室10と、多目的室10の東側に配置されるウォークインクローゼット11と、ウォークインクローゼット11の南側に配置される第2トイレ12及び廻り階段56と、各室同士を結ぶ廊下13と、主寝室8の南側に位置する第1バルコニー14と、多目的室10の北側に位置する第2バルコニー15と、から構成され、個人で使用する個室が中心に配置されている。
【0034】
図4及び図5に示すように、各居住者が使用する主寝室8及び多目的室10は、子供の成長に応じてその形態を可変させることができる。子供が幼いうちは、図4に示す主寝室8で親と子供が一緒に就寝し、多目的室10は趣味や在宅ワークを行うための空間として使用することができる。そして、子供が成長して個室を必要とするようになった場合は、図5に示すように、主寝室8を北側の多目的室10だった場所に移し、主寝室8だった場所を子供室16とすることができる。また子供が複数いる場合は、子供室16を間仕切壁でさらに分割してもよい。
【0035】
図4に示すように、サニタリースペース9は平面視略矩形状の室空間であり、廊下13の南側に位置する洗面室91と、洗面室91の南側に配置される洗濯室92と、洗濯室92の北側、且つ、洗面室91の東側に位置する浴室93と、を具備している。洗濯室92は、東西方向へ細長な平面視矩形状の空間であり、「洗濯物を洗濯する、干す、収納する」といった一連の洗濯家事を行うことができる他、入浴する際の脱衣室として用いることができる。図示するように洗濯室92は、洗面室91、浴室93、及び第1バルコニー14と互いに行き来可能に連通しており、特に洗濯室92と第1バルコニー14とを間仕切る第9壁体W9には、透過性を有する幅の広い第2掃き出し窓D5が設置されており、外光を多く取り入れることができる。
【0036】
洗濯室92は、浴室93の南側に位置する部分に洗濯機92aが設置されており、また洗濯機92aの上方には物品を載置することができる棚板92bが固定される。洗濯機92aで洗った洗濯物は、掃き出し窓D5に面する部分に設置された物干しバー92cに干したり、隣接するバルコニー14に干すことができる。そして洗濯室92は、洗面室91の南側に位置する部分に洗濯機92aと相対向するクローゼット92dが配置されており、乾いた洗濯物はこのクローゼット92dや、廊下13に連通するウォークインクローゼット11に収納することができる。このように洗濯室92は、洗面室91、浴室93及びバルコニー14と行き来可能であるため、「洗濯物を洗濯する、干す、取り込む、収納する」という一連の洗濯家事をスムーズに行うことができ、家事効率を向上させることができる。
【0037】
図2及び図4に示すように、廻り階段56は、1階のユーティリティスペース55及び2階のサニタリースペース9に隣接しており、また、登り口56aが、ユーティリティスペース55に隣接する。したがって居住者は、ユーティリティスペース55からサニタリースペース9までの間を短い動線で移動することができ、在宅ワークと洗濯家事との両立を容易に行うことができる。また登り口56aは、ユーティリティスペース55を挟んで畳スペース54に相対向する位置となっている。そのため、畳スペース54にいる幼児が誤って廻り階段56を登ることを防ぐことができ、安全性を向上させることができる。
【0038】
このように、本願の住宅1は、畳スペース54にいる子供を視認しながらユーティリティスペース55で家事や仕事を行うことができ、且つ、ユーティリティスペース55を家事動線や外出動線に近接して配置しているので、家事、仕事、育児の両立を効率的に図ることができる。
【0039】
本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る住宅は、子育て世代が居住する戸建住宅に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 住宅
2 玄関土間
3 玄関ホール
4 玄関収納室
41 収納部
41a 第1収納部
41b 第2収納部
41c スロップシンク
41d 手洗い水栓
42 収納部通路
5 居室
51 ダイニング
53 リビング
54 畳スペース
54a 畳
55 ユーティリティスペース
55a カウンターデスク
55c 天板
55d 脚部
55e 天板の畳コーナー側の端縁
55f 仕切り板
56 廻り階段
56 登り口
58 通路
9 サニタリースぺース
91 洗面室
92 洗濯室
93 浴室
14 第1バルコニー(バルコニー)
F1 第1の動線
F2 第2の動線
図1
図2
図3
図4
図5