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特許7545650蒸着膜形成用基材、蒸着基材、積層体および包装容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】蒸着膜形成用基材、蒸着基材、積層体および包装容器
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20240829BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240829BHJP
   C08L 53/00 20060101ALN20240829BHJP
   C08L 23/04 20060101ALN20240829BHJP
   C08L 23/02 20060101ALN20240829BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B65D65/40 D
C08L53/00
C08L23/04
C08L23/02
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020065043
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021161279
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100187207
【弁理士】
【氏名又は名称】末盛 崇明
(72)【発明者】
【氏名】林 佳恵子
(72)【発明者】
【氏名】山田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】河北 徳明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 良彦
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-060128(JP,A)
【文献】特開2009-078566(JP,A)
【文献】特表2020-517502(JP,A)
【文献】特開2020-040259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B65D 65/40
C08J 5/18
C23C 14/00-14/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、蒸着膜、蒸着膜形成用基材およびシーラント層を備えた積層体に使用される蒸着膜形成用基材であって、
前記蒸着膜形成用基材は、少なくとも、蒸着膜が表面に形成される第1のポリエチレン樹脂層を備え
前記第1のポリエチレン樹脂層が、ポリエチレン樹脂およびオレフィン系エラストマー樹脂により構成され、
前記蒸着膜形成用基材は、延伸処理が施されていることを特徴とする、蒸着膜形成用基材。
【請求項2】
前記オレフィン系エラストマー樹脂がエチレン系エラストマー樹脂である、請求項1に記載の蒸着膜形成用基材。
【請求項3】
前記オレフィン系エラストマー樹脂が、オレフィン系ブロックコポリマーである、請求項1または2に記載の蒸着膜形成用基材。
【請求項4】
前記オレフィン系ブロックコポリマーが、エチレン/α-オレフィンインターポリマーである、請求項3に記載の蒸着膜形成用基材。
【請求項5】
前記エチレン/α-オレフィンインターポリマーが、ポリエチレンにより構成されるハードブロック、およびα―オレフィンモノマーにより構成されるソフトブロックを備える、請求項4に記載の蒸着膜形成用基材。
【請求項6】
前記第1のポリエチレン樹脂層における前記オレフィン系エラストマー樹脂の含有量が、1質量%以上40質量%以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の蒸着膜形成用基材。
【請求項7】
前記第1のポリエチレン樹脂層に含まれるポリエチレン樹脂の密度が、0.970g/cm以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の蒸着膜形成用基材。
【請求項8】
前記蒸着膜形成用基材が多層構造を有し、
多層構造を有する前記蒸着膜形成用基材を構成する各層が、ポリオレフィン樹脂により構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の蒸着膜形成用基材。
【請求項9】
隣接する層を構成するポリエチレン樹脂の密度が異なり、密度勾配を有する、請求項8に記載の蒸着膜形成用基材。
【請求項10】
前記隣接する層間のポリエチレン樹脂の密度差が0.05g/cm以下である、請求項9に記載の蒸着膜形成用基材。
【請求項11】
少なくとも、請求項1~10のいずれか一項に記載の蒸着膜形成用基材と蒸着膜とを備えた蒸着基材であって
記蒸着膜は、前記蒸着膜形成用基材の第1のポリエチレン樹脂層上に設けられていることを特徴とする、蒸着基材。
【請求項12】
少なくとも、請求項1~10のいずれか一項に記載の蒸着膜形成用基材と蒸着膜と第1のシーラント層とを備えた積層体であって
記蒸着膜は、前記蒸着膜形成用基材の第1のポリエチレン樹脂層上に設けられており、
前記第1のシーラント層が、ポリエチレン樹脂から構成されることを特徴とする、積層体。
【請求項13】
前記蒸着膜形成用基材の前記第1のシーラント層が設けられた面とは反対の面に、第2のシーラント層をさらに備え、
前記第2のシーラント層が、ポリエチレン樹脂から構成される、請求項12に記載の積層体。
【請求項14】
前記第1のシーラント層と前記蒸着膜との間に、酸素バリア及び/または水蒸気バリアを有するバリアコート層をさらに備える、請求項12または13のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項15】
包装容器に用いられる、請求項12~14のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項16】
前記積層体全体におけるポリエチレン樹脂の含有量は、80質量%以上である、請求項12~15のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項17】
請求項12~16のいずれか一項に記載の積層体からなる包装容器。
【請求項18】
ラミネートチューブである、請求項17に記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸着膜形成用基材、蒸着基材、積層体および包装容器に関する。
【0002】
従来、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂からなる樹脂フィルム(以下、ポリエステルフィルムともいう)は、機械的特性、化学的安定性、耐熱性および透明性に優れると共に、安価であることから、包装容器の作製に使用される積層体を構成する基材として使用されている。
【0003】
このようなポリエステルフィルムは、通常、シーラント層であるポリエチレンフィルムと張り合わされ、積層体とされた後に、包装容器に成形される。
【0004】
上記した、異種の樹脂フィルム、すなわち、ポリエステルフィルムと、ポリエチレンフィルムとを貼り合わせた積層体により作製された包装容器は、それぞれの層に分離をすることが困難であり、使用後に回収した包装容器は、リサイクルに適しておらず、積極的にはリサイクルされていないという現状がある。
【0005】
そして、包装容器のリサイクル適性向上を目的として、ポリエステルフィルムに代えて、延伸処理が施されたポリエチレンフィルム(延伸ポリエチレンフィルム)を基材へ適用し、同一材料により構成される積層体を用いた包装容器(モノマテリアル包装容器)の作製が検討されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
今般、本発明者らは、ポリエステルフィルムを延伸ポリエチレンフィルムに変更することに伴い低下したガスバリア性、意匠性、光沢を補填すべく、延伸ポリエチレンフィルム表面に、蒸着膜を形成しようとしたところ、延伸ポリエチレンフィルムと蒸着膜との密着性が十分ではなく、蒸着膜を形成した延伸ポリエチレンフィルムを用いて包装容器を作製した場合、延伸ポリエチレンフィルムと蒸着膜との間で剥離(デラミネーション)を起こすおそれがあるという新たな課題を見出した。
【0007】
そして、驚くべきことに、本発明者らは、ポリエチレン樹脂により構成される基材の蒸着膜を形成する層へ、ポリエチレン樹脂と共に、オレフィン系エラストマーを含有させることにより、該層と蒸着膜との密着性を顕著に改善することができ、上記の問題を解決することができるとの知見を得た。
蒸着膜との密着性が改善する理由は定かではないが以下のように考えられる。
通常、延伸処理を施したポリエチレンフィルムは、非晶成分が減少し、配向結晶が増加するため、アルミニウムなどの蒸着膜との間の密着性が低下する傾向にある。
本発明においては、ポリエチレン樹脂と共に、オレフィン系エラストマーを含有させることにより、延伸時における配向結晶化を調整することができ、蒸着膜との密着性が維持されるものと考える。
【0008】
本発明はかかる知見に基づいてなされたものであり、その解決しようとする課題は、モノマテリアル包装容器の作製に好適に使用することができ、かつ蒸着膜との密着性が高く、包装容器とした場合のデラミネーションを効果的に防止することのできる、蒸着膜形成用基材を提供することである。
【0009】
また、本発明の解決しようとする課題は、上記した蒸着膜形成用基材を備える積層体、積層体および包装容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の蒸着膜形成用基材は、少なくとも、蒸着膜が表面に形成される第1のポリエチレン樹脂層を備える蒸着膜形成用基材であって、
前記第1のポリエチレン樹脂層が、ポリエチレン樹脂およびオレフィン系エラストマー樹脂により構成され、
前記蒸着膜形成用基材は、延伸処理が施されていることを特徴とする。
【0011】
一実施形態において、オレフィン系エラストマー樹脂は、エチレン系エラストマー樹脂である。
【0012】
一実施形態において、オレフィン系エラストマー樹脂は、オレフィン系ブロックコポリマーである。
【0013】
一実施形態において、オレフィン系ブロックコポリマーは、エチレン/α-オレフィンインターポリマーである。
【0014】
一実施形態において、前記エチレン/α-オレフィンインターポリマーが、ポリエチレンにより構成されるハードブロック、およびα―オレフィンモノマーにより構成されるソフトブロックを備える。
【0015】
一実施形態において、第1のポリエチレン樹脂層におけるオレフィン系エラストマー樹脂の含有量は、1質量%以上40質量%以下である。
【0016】
一実施形態において、前記第1のポリエチレン樹脂層に含まれるポリエチレン樹脂の密度が、0.970g/cm以下である。
【0017】
一実施形態において、蒸着膜形成用基材が多層構造を有し、
多層構造を有する前記蒸着膜形成用基材を構成する各層が、ポリオレフィン樹脂により構成される。
【0018】
一実施形態において、隣接する層を構成するポリエチレン樹脂の密度が異なり、密度勾配を有する。
【0019】
一実施形態において前記隣接する層間のポリエチレン樹脂の密度差が0.05g/cm以下である。
【0020】
本発明の蒸着基材は、少なくとも基材と蒸着膜とを備え、
基材は、上記蒸着膜形成用基材からなり、
蒸着膜は、蒸着膜形成用基材の第1のポリエチレン樹脂層上に設けられていることを特徴とする。
【0021】
本発明の積層体は、少なくとも、基材と蒸着膜と第1のシーラント層とを備え、
基材は、上記蒸着膜形成用基材からなり、
蒸着膜は、蒸着膜形成用基材の第1のポリエチレン樹脂層上に設けられており、
前記第1のシーラント層が、ポリエチレン樹脂から構成されることを特徴とする。
【0022】
一実施形態において、基材のシーラント層が設けられた面とは反対の面に、第2のシーラント層をさらに備え、
前記第2のシーラント層が、ポリエチレン樹脂から構成される。
【0023】
一実施形態において、本発明の積層体は、前記第1のシーラント層と前記蒸着膜との間に、バリアコート層がさらに設けられてなる。
【0024】
一実施形態において、本発明の積層体は、包装容器に用いられる。
【0025】
一実施形態において、積層体全体におけるポリエチレン樹脂の含有量は、80質量%以上である。
【0026】
本発明の包装容器は、上記積層体からなることを特徴とする。
【0027】
一実施形態において、包装容器は、ラミネートチューブである。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、モノマテリアル包装容器の作製に好適に使用することができ、蒸着膜との層間の密着性を顕著に向上することができ、好ましいガスバリア性を達成することができる、基材を提供することができる、
また、本発明によれば、上記した基材と、蒸着膜とを備える積層体を提供することができる。
また、本発明によれば、上記した基材と、蒸着膜と、シーラント層とを備える積層体からなる包装容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の蒸着膜形成用基材10の一実施形態を示す模式断面図である。
図2】本発明の蒸着基材20の一実施形態を示す模式断面図である。
図3】蒸着装置の一実施形態を示す概略的構造図である。
図4】本発明の積層体30の一実施形態を示す模式断面図である。
図5】本発明の積層体30の一実施形態を示す模式断面図である。
図6】本発明の包装容器の一実施形態であるラミネートチューブ40を示す正面図である。
図7図6のa-a断面図である。
図8】本発明の包装容器の一実施形態である包装袋50を示す正面図である。
図9】本発明の包装容器の一実施形態であるスタンドパウチ60を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(蒸着膜形成用基材)
本発明の蒸着膜形成用基材は、後記するポリエチレン樹脂から構成される第1及び第2のシーラント層と同様に、ポリエチレン樹脂層を備えるものである。このように、基材とシーラント層が同じ樹脂材料で構成されることにより積層体をモノマテリアル包装容器等のリサイクル性に優れる材料として使用することができる。
基材は、ポリエチレン樹脂層を備えるものであれば単層であってもよく多層であってもよいが、多層の基材とする場合は、ポリエチレン樹脂等の各ポリオレフィン樹脂を別々の押出機で加熱溶融し、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で積層した後、インフレーション法やTダイ法等によりフィルム状に成形する共押出法により作製することができる。
【0031】
例えば、共押出法により製膜された多層構造を有する基材とした場合、蒸着膜と接する側の第1のポリエチレン樹脂層から順に、第2、第3、第4・・・のポリエチレン樹脂層(以下、場合により、「その他のポリエチレン樹脂層」という)を備えていてもよい。その他のポリエチレン樹脂層を設けることにより、積層体の耐熱性、強度、透明性、延伸適性等の性能を向上することができる。
【0032】
本発明において、基材は、延伸処理が施されていることを特徴とする。これにより基材の強度及び耐熱性を向上することができる。また、印刷適性を向上することもできる。
延伸処理は一軸延伸であっても良く、二軸延伸であっても良い。
【0033】
基材の縦方向(MD方向)および横方向(TD方向)への延伸倍率は、2倍以上15倍以下であることが好ましく、3倍以上10倍以下であることが好ましい。
延伸倍率を2倍以上とすることにより、基材の強度および耐熱性をより向上することができる。また、基材への印刷適性を向上することができる。また、基材の破断限界という観点からは、延伸倍率は15倍以下であることが好ましい。
【0034】
本発明において、蒸着膜形成用基材は、蒸着膜がその表面に形成される層として、ポリエチレン樹脂およびオレフィン系エラストマー樹脂により構成される第1のポリエチレン樹脂層を備える。
【0035】
ポリエチレン樹脂としては、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)および超低密度ポリエチレン樹脂(VLDPE)を使用することができる。
また、ポリエチレン樹脂として、エチレンと、その他のモノマーとの共重合体を使用することもできる。
さらに、ポリエチレン樹脂として、バイオマス由来のポリエチレン樹脂や、メカニカルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエチレン樹脂を使用することもできる。
【0036】
第1のポリエチレン樹脂層は、密度0.970g/cm以下のポリエチレン樹脂を含むことができる。第1のポリエチレン樹脂層は、密度0.970g/cm以下のポリエチレン樹脂を含むことにより、蒸着膜との密着性をさらに顕著に向上することができる。
【0037】
第1のポリエチレン樹脂層に含まれるポリエチレン樹脂の融点は、110℃以上140℃以下であることが好ましく、115℃以上135℃以下であることがより好ましい。融点を110℃以上とすることにより、耐熱性の観点で積層体の作製時の加工適性が良くなる。融点を140℃以下とすることにより、多層構成における各層の融点差が少なく一定の温度で延伸がしやすい傾向となる。
【0038】
第1のポリエチレン樹脂層に含まれるポリエチレン樹脂のMFRは、0.1g/10min以上5g/10min以下であることが好ましく、0.2g/10min以上4g/10min以下であることがより好ましい。MFRを0.1g/10min以上5g/10min以下とすることにより、インフレーション法の製膜性が安定する。
【0039】
第1のポリエチレン樹脂層におけるポリエチレン樹脂の含有量は、60質量%以上99質量%以下であることが好ましく、70質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。第1のポリエチレン樹脂層におけるポリエチレン樹脂の含有量が60質量%以上であることにより、モノマテリアル包装容器の作製に好適に使用することができる積層体とすることができる。また、第1のポリエチレン樹脂層におけるポリエチレン樹脂の含有量が99質量%以下であることにより、第1のポリエチレン樹脂層に十分な量のオレフィン系エラストマー樹脂を含有させることができ、蒸着膜との密着性を向上することができる。
【0040】
一実施形態において、オレフィン系エラストマー樹脂は、エチレン系エラストマー樹脂である。オレフィン系エラストマー樹脂として、エチレン系エラストマー樹脂を使用することにより、本発明の積層体をモノマテリアル包装容器の作製により好適に使用することができる。
【0041】
一実施形態において、オレフィン系エラストマー樹脂は、オレフィン系ブロックコポリマーである。第1のポリエチレン樹脂層に、オレフィン系エラストマー樹脂として、オレフィン系ブロックコポリマーを含有させることにより、蒸着膜と第1のポリエチレン樹脂層との密着性をより向上することができる。
ブロックコポリマーとは、異なった種類の配列に共有結合した同じモノマー単位の配列(ブロックまたはセグメント)を含む。ブロックコポリマーの形態としては、例えば、ジブロック構造のA-B及びトリブロック構造のA-B-A(ここで、Aは、1つのブロックを表し、Bは、異なるブロックまたはセグメントを表す)などが挙げられる。また、マルチブロックコポリマーでは、AおよびBは多数の異なる方法で接続され、複数回反復されうる。また、異なる種類の追加ブロックまたはセグメントをさらに含むこともできる。マルチブロックコポリマーは、線状マルチブロックポリマーであっても、マルチブロック星型ポリマー(全てのブロックまたはセグメントが同じ原子もしくは化学部分に結合するもの)であってもよい。
【0042】
一実施形態において、オレフィン系ブロックコポリマーは、エチレン系ブロックコポリマーであり、好ましくは、エチレン系マルチブロックコポリマーである。オレフィン系ブロックコポリマーとして、エチレン系ブロックコポリマーを使用することにより、本発明の積層体をモノマテリアル包装容器の作製により好適に使用することができる。
【0043】
一実施形態において、エチレン系ブロックコポリマーは、エチレン/α-オレフィンインターポリマーであり、エチレン/α-オレフィンインターポリマーを使用することにより、蒸着膜と第1のポリエチレン樹脂層との密着性をより向上することができる。エチレン/α-オレフィンインターポリマーとは、エチレンおよび1以上の共重合可能なα-オレフィンモノマーを重合形態で含む。また、インターポリマーとは、少なくとも2種類のモノマーの重合により調製されるポリマーを意味する。よって、インターポリマーには、2種のモノマーの重合体であるコポリマー、3種のモノマーの重合体であるターポリマー、4種以上のモノマーの重合体であるポリマーが包含される。
【0044】
一実施形態において、エチレン系ブロックコポリマーである、エチレン/α-オレフィンインターポリマーは、ポリエチレンにより構成されるハードブロック(ハードセグメント)、α―オレフィンモノマーにより構成されるソフトブロック(ソフトセグメント)を備える。
【0045】
インターポリマーを構成するα-オレフィンモノマーとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-エイコセン、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラサイクロドデセン、2-メチル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレン、ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、3-フェニルプロペン、4-フェニルプロペン、1,2-ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、スチレン、及び3,3,3-トリフルオロ-1-プロペンが挙げられる。
【0046】
オレフィン系エラストマー樹脂は、市販されるものを使用してもよく、例えば、ポリエチレンにより構成されるハードブロック、α―オレフィンモノマーにより構成されるソフトブロックを備える、オレフィン系ブロックコポリマーとしては、Dow Chemical社製のINFUSE9100を使用することができる。
また、三井化学社製のタフマーA-4085Sを使用することもできる。
【0047】
第1のポリエチレン樹脂層におけるオレフィン系エラストマー樹脂の含有量は、1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。第1のポリエチレン樹脂層におけるオレフィン系エラストマー樹脂の含有量が1質量%以上であることにより、第1のポリエチレン樹脂層と蒸着膜との密着性をさらに向上することができる。また、第1のポリエチレン樹脂層におけるオレフィン系エラストマー樹脂の含有量が40質量%以下であることにより、モノマテリアル包装容器の作製に好適に使用することができる積層体とすることができる。
【0048】
第1のポリエチレン樹脂層は、本発明の特性を損なわない範囲において、ポリエチレン樹脂以外の樹脂材料(その他の樹脂材料)を含むことができる。蒸着膜との密着性およびリサイクル適性という観点からは、第1のポリエチレン樹脂層は、その他の樹脂材料を含まないことが好ましい。
また、第1のポリエチレン樹脂層は、本発明の特性を損なわない範囲において、添加剤を含むことができ、例えば、架橋剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、滑(スリップ)剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料および改質用樹脂などが挙げられる。
【0049】
その他のポリエチレン樹脂層は、ポリエチレン樹脂により構成される。
ポリエチレン樹脂としては、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)および超低密度ポリエチレン樹脂(VLDPE)を使用することができる。
また、ポリエチレン樹脂として、エチレンと、その他のモノマーとの共重合体を使用することもできる。
さらに、ポリエチレン樹脂として、バイオマス由来のポリエチレン樹脂や、メカニカルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエチレン樹脂を使用することもできる。
【0050】
多層構造を有する基材において、隣接する層を構成するポリエチレン樹脂の密度は同一であってもよく、異なっていてもよい。すなわち、基材を構成するポリエチレン樹脂層には、密度勾配が設けられていてもよい。
密度勾配が設けられたポリエチレン樹脂層において、各層の密度差が大きい場合、界面における剥離(デラミネーション)が発生してしまうおそれがある。そのため、各層間の密度差は、0.05g/cm以下であることが好ましく、0.04g/cm以下であることがさらに好ましい。
【0051】
(a)一実施形態において、多層構造を有する基材は、第1のポリオレフィン樹脂層と、中密度ポリエチレン樹脂から構成される第2のポリエチレン樹脂層と、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂から構成される第3のポリエチレン樹脂層と、中密度ポリエチレン樹脂から構成される第4のポリエチレン樹脂層と、高密度ポリエチレン樹脂から構成される第5のポリオレフィン樹脂層と、の5層構造を有する。
(b)一実施形態において、多層構造を有する基材は、第1のポリエチレン樹脂層と、高密度ポリエチレン樹脂および中密度ポリエチレン樹脂のブレンド樹脂から構成される第2の樹脂層と、中密度ポリエチレン樹脂から構成される第3のポリエチレン樹脂層と、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂から構成される第4のポリエチレン樹脂層と、中密度ポリエチレン樹脂から構成される第5のポリエチレン樹脂層と、高密度ポリエチレン樹脂および中密度ポリエチレン樹脂のブレンド樹脂から構成される第6の樹脂層と、高密度ポリエチレン樹脂から構成される第7のポリオレフィン樹脂層と、の7層構造を有する。
(c)一実施形態において、多層構造を有する基材は、第1のポリエチレン樹脂層と、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂から構成される第2のポリエチレン樹脂層と、中密度ポリエチレン樹脂から構成される第3のポリオレフィン樹脂層と、の3層構造を有する。
(d)一実施形態において、多層構造を有する基材は、第1のポリエチレン樹脂層と、中密度ポリエチレン樹脂から構成される第2のポリオレフィン樹脂層と、の2層構造を有する。
(e)一実施形態において、多層構造を有する基材は、オレフィン系エラストマー樹脂を含む第1のポリエチレン樹脂層と、中密度ポリエチレン樹脂から構成される第2のポリオレフィン樹脂層と、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂から構成される第3のポリオレフィン樹脂層と、中密度ポリエチレン樹脂から構成される第4のポリオレフィン樹脂層と、オレフィン系エラストマー樹脂および中密度ポリエチレン樹脂から構成される第5のポリオレフィン樹脂層と、の5層構造を有する。
【0052】
上記したような共押出法による多層構造の基材の一実施形態として、例えば、それぞれの樹脂を押出機により加熱溶融し、フィードブロック法により第1~第5のポリエチレン樹脂層からなる5層の積層とした後、インフレーション法によりチューブ状に製膜するとともに、これをゴムロール等によりチューブ内側どうしを圧着することにより10層の多層フィルムとすることができる。このようにして得られる多層フィルムは、断面厚さ方向において上下対称の層構成を有することになる。すなわち、例えば、共押出機により第1~第5のポリエチレン樹脂層からなる5層を積層した場合、得られる積層フィルムは、表面から順に、第1/第2/第3/第4/第5/第5/第4/第3/第2/第1のポリエチレン樹脂層からなる10層の層構造を有する基材となる。しかしながら、実際は、厚さ断面方向において中央の隣接する2層の第5のポリエチレン樹脂層は1層とみなせるため、実質的には第1/第2/第3/第4/第5/第4/第3/第2/第1のポリエチレン樹脂層からなる9層の多層構造を有する基材とすることができる。
このような製法により得られる多層構造フィルムは、「ブロックフィルム」とも呼ばれることがある。上記した製法によれば、製造における欠陥品数を顕著に低減することができ、最終的には、生産効率を向上することができる。
【0053】
基材は、その表面に印刷層を有していてもよく、印刷層に形成される画像は、特に限定されず、文字、柄、記号およびこれらの組み合わせなどが表される。
基材への印刷層形成は、バイオマス由来のインキを用いて行うことができる。これにより、環境負荷を低減することができる。
印刷層の形成方法は、特に限定されるものではなく、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法などの従来公知の印刷法を挙げることができる。
【0054】
また、基材は、表面処理が施されていてもよい。これにより、隣接する層との密着性を向上することができる。
表面処理の方法は特に限定されず、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスおよび/または窒素ガスなどを用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的処理、並びに化学薬品を用いた酸化処理などの化学的処理が挙げられる。
【0055】
基材の厚さは、単層構造、多層構造の場合を問わず、1μm以上60μm以下であることが好ましく、9μm以上60μm以下がより好ましく、12μm以上50μm以下がさらに好ましい。基材の厚さを1μm以上とすることにより、基材の耐熱性および強度を向上することができる。基材の厚さを60μm以下とすることにより、基材の加工適性を向上することができる。
【0056】
(蒸着基材)
本発明の蒸着基材20は、図2に示すように、上記蒸着膜形成用基材10と、蒸着膜21とを備え、第1のポリエチレン樹脂層11上に、蒸着膜21が設けられていることを特徴とする。
【0057】
以下、蒸着基材20が備える各層について説明する。なお、蒸着膜形成用基材10については上述したため、ここでは記載を省略する。
【0058】
(蒸着膜)
蒸着基材20は、第1のポリエチレン樹脂層11上に、蒸着膜21を備える。これにより、蒸着基材20のガスバリア性、具体的には、酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上することができる。
【0059】
蒸着膜は、金属から構成されるものであっても、無機酸化物から構成されるものであってもよいが、本発明の蒸着基材20を用いて作製される包装容器に光沢感を付与することができ、その意匠性を向上させることができることから、金属から構成される蒸着膜が(以下、金属蒸着膜という)好ましい。
金属蒸着膜を構成する金属としては、例えば、アルミニウム、クロム、スズ、ニッケル、銅、銀、金およびプラチナなどが挙げられる。
また、金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウムおよび酸化バリウムなどが挙げられる。
【0060】
上記した中でも、ガスバリア性が高く、良好な光沢感を付与することができるため、アルミニウムが特に好ましい。
【0061】
蒸着膜の表面は、上記表面処理が施されていることが好ましい。これにより、隣接する層との密着性を向上することができる。
【0062】
また、蒸着膜の厚さは、1nm以上150nm以下であることが好ましく、5nm以上60nm以下であることがより好ましく、10nm以上40nm以下であることがさらに好ましい。
蒸着膜の厚さを1nm以上とすることにより、蒸着基材20のガスバリア性および光沢感をより向上することができる。
また、蒸着膜の厚さを150nm以下とすることにより、モノマテリアル包装容器の作製に好適に使用することができる蒸着基材20とすることができる。さらに、蒸着膜21におけるクラックの発生を防止することができる。
【0063】
蒸着膜の形成方法としては、従来公知の方法を採用でき、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。
以下、蒸着膜の形成方法の一実施形態を示すが、蒸着膜の形成方法は、これらに限定されるものではない。
【0064】
具体的には、(1)金属あるいは金属の酸化物を原料とし、これを加熱して蒸気化し、これを基材が備える第1のポリエチレン樹脂層上に蒸着する真空蒸着法、(2)原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて基材が備える第1のポリエチレン樹脂層上に蒸着する酸化反応蒸着法、(3)酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸着膜を形成することができる。上記において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビ-ム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
【0065】
物理気相成長法による無機物および無機酸化物の蒸着膜を形成する方法について以下に説明する。
図3は、巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。図3に示すように巻き取り式真空蒸着装置Aの真空チャンバ-Bの中で、巻き出しロ-ルCから繰り出す基材Xは、ガイドロ-ルD、Eを介して、冷却したコ-ティングドラムFに案内される。
一実施形態において、該装置Aは、上記のガイドロ-ルEと冷却したコ-ティングドラムFとの間にプラズマ処理装置Gが配設される。該プラズマ処理装置Gにより、基材Xが備える第1のポリエチレン樹脂層の表面にプラズマガスを照射され、蒸着膜形成前の、該基材Xが備える第1のポリエチレン樹脂層の表面を、プラズマ処理するものである。
次いで、上記の冷却したコ-ティングドラムF上に案内された基材が備える第1のポリエチレン樹脂層上に、るつぼHで熱せられ、蒸発した蒸着源I(例えば、金属アルミニウムや酸化アルミニウム等)が堆積し、蒸着膜を形成する。この蒸着源Iの堆積は、マスクJ、Jを介して行ってもよく、更に、必要ならば、酸素ガス吹出口Kより酸素ガス等を噴出しつつ行ってもよい。
次いで、蒸着膜を形成した基材Xを、ガイドロ-ルL、Mを介して送り出し、巻き取りロ-ルNに巻き取ることによって、本装置による蒸着膜形成が完了する。
なお、上記工程を繰り返すことにより、異なる材料により形成される多層の蒸着膜としてもよい。多層構造の蒸着膜は、上記装置を2回使用することにより、形成してもよく、上記装置を連結した装置を使用することにより形成してもよい。
このような蒸着膜の形成は、例えば、特許第4569982号公報などにおいて開示される。
【0066】
(積層体)
本発明の積層体30は、図4に示すように、蒸着膜形成用基材10と蒸着膜21と第1のシーラント層31とを備える。
また、一実施形態において、積層体30は、図5に示すように、蒸着膜形成用基材10の第1のシーラント層31側とは反対の面に、第2のシーラント層32を備える。
なお、積層体30は、蒸着膜21上に、バリアコート層を備えていてもよい(図示せず)。
【0067】
積層体30に含まれる固形分の総量に対するポリエチレンの含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。これにより、モノマテリアル包装容器の作製に好適に使用することができる積層体とすることができる。
【0068】
以下、積層体30が備える各層について説明する。なお、蒸着膜形成用基材、蒸着膜については上述したため、ここでは記載を省略する。
【0069】
(第1および第2のシーラント層)
第1および第2ポリオレフィン樹脂層は、ポリオレフィンにより構成され、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン、エチレン-プロピレン共重合体およびプロピレン-ブテン共重合体などが挙げられ、これらの中でも、リサイクル適性の観点からは、ポリエチレン樹脂が好ましい。
【0070】
一実施形態において、第1および第2のポリオレフィン樹脂層は、相溶化剤を含み、これにより、本発明の積層体を用いて作製した包装容器を加熱溶融し、リサイクルする際において、ガスバリア性樹脂と、ポリエチレン樹脂とが、均一に混ざり合い、その物性が低下してしまうことを効果的に防止することができる。また、その透明性が低下してしまうことを効果的に防止することができる。
【0071】
相溶化剤は、従来公知のものを適宜選択し、使用することができるが、リサイクル適性の観点から、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂が好ましく、中でも、無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂がより好ましい。
【0072】
第1および第2のポリオレフィン樹脂層における相溶化剤の含有量は、5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
第1および第2のポリオレフィン樹脂層における相溶化剤の含有量を5質量%以上とすることにより、上記効果をより向上することができる。
第1および第2のポリオレフィン樹脂層における相溶化剤の含有量を30質量%以下とすることにより、基材の強度および耐熱性を向上することができる。
【0073】
本発明の特性を損なわない範囲において、第1および第2のポリエチレン樹脂層は、ポリオレフィン樹脂以外の樹脂材料を含んでいても良く、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂およびアイオノマー樹脂などが挙げられる。
なお、第1および第2のポリオレフィン樹脂層は、そのリサイクル適性という観点からは、ポリエチレン樹脂以外の樹脂を含まないことが特に好ましい。
【0074】
また、本発明の特性を損なわない範囲において、第1および第2のポリエチレン樹脂層は、上記添加剤を含むことができる。
【0075】
第1および第2のポリオレフィン樹脂層の厚さは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。ポリオレフィン樹脂層の厚さを5μm以上とすることにより、本発明の積層体の強度および耐熱性を向上することができる。ポリオレフィン樹脂層の厚さを100μm以下とすることにより、本発明の積層体の加工適性を向上することができる。
【0076】
第1および第2のポリオレフィン樹脂層の構成は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0077】
(バリアコート層)
本発明の積層体は、蒸着膜上(第1のシーラント層と蒸着膜との間、または蒸着膜と基材との間)にバリアコート層をさらに備えることができる。これにより、積層体のガスバリア性を向上することができる。
【0078】
一実施形態において、バリアコート層は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ナイロン6、ナイロン6,6およびポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などのポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、並びに(メタ)アクリル樹脂などのガスバリア性樹脂から構成される。
【0079】
バリアコート層の厚さは、0.01μm以上10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上5μm以下であることがより好ましい。
バリアコート層の厚さを0.01μm以上とすることにより、ガスバリア性をより向上することができる。バリアコート層の厚さを10μm以下とすることにより、蒸着基材20の加工適性を向上することができる。また、モノマテリアル包装容器の作製に好適に使用することができる蒸着基材20とすることができる。
【0080】
バリアコート層は、上記材料を水または適当な溶剤に、溶解または分散させ、塗布、乾燥することにより形成することができる。
【0081】
また、他の実施形態において、バリアコート層は、金属アルコキシドと水溶性高分子との混合物を、ゾルゲル法触媒、水および有機溶剤などの存在下で、ゾルゲル法によって重縮合して得られる金属アルコキシドの加水分解物または金属アルコキシドの加水分解縮合物などの樹脂組成物を少なくとも1種含むガスバリア性塗布膜である。
このようなバリアコート層を蒸着膜上に設けることにより、蒸着膜におけるクラックの発生を効果的に防止することができる。
【0082】
一実施形態において、金属アルコキシドは、下記一般式で表される。
M(OR
(ただし、式中、R、Rは、それぞれ、炭素数1~8の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す。)
【0083】
金属原子Mとしては、例えば、珪素、ジルコニウム、チタンおよびアルミニウムなどを使用することができる。
また、RおよびRで表される有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基およびi-ブチル基などのアルキル基を挙げることができる。
【0084】
上記一般式を満たす金属アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン(Si(OCH)、テトラエトキシシラン(質量%)Si(OC)、テトラプロポキシシラン(Si(OC)、テトラブトキシシラン(Si(OC)などが挙げられる。
【0085】
また、上記金属アルコキシドと共に、シランカップリング剤が使用されることが好ましい。
シランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。
【0086】
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコールおよびエチレン-ビニルアルコール共重合体が好ましく、酸素バリア性、水蒸気バリア性、耐水性および耐候性という観点からは、これらを併用することが好ましい。
【0087】
ガスバリア性塗布膜の厚さは、0.01μm以上10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上5μm以下であることがより好ましい。これにより、ガスバリア性をより向上することができる。
ガスバリア性塗布膜の厚さを0.01μm以上とすることにより、バリア性積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上することができる。また、蒸着膜におけるクラックの発生を防止することができる。
ガスバリア性塗布膜の厚さを10μm以下とすることにより、また、モノマテリアル包装容器の作製に好適に使用することができる蒸着基材20とすることができる。
【0088】
ガスバリア性塗布膜は、上記材料を含む組成物を、グラビアロールコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコード、アプリケータなどの従来公知の手段により、塗布し、その組成物をゾルゲル法により重縮合することにより形成させることができる。
ゾルゲル法触媒としては、酸またはアミン系化合物が好適である。
【0089】
上記組成物は、さらに酸を含んでいてもよい。酸は、ゾル-ゲル法の触媒、主としてアルコキシドやシランカップリング剤などの加水分解のための触媒として用いられる。
酸としては、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸、ならびに酢酸、酒石酸などの有機酸が用いられる。
【0090】
また、上記組成物は、有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノールなどを用いることができる。
【0091】
以下、ガスバリア性塗布膜の形成方法の一実施形態について以下に説明する。
まず、金属アルコキシド、水溶性高分子、ゾルゲル法触媒、水、有機溶媒および必要に応じてシランカップリング剤などを混合し、組成物を調製する。該組成物中では次第に重縮合反応が進行する。
次いで、蒸着膜21上に、上記従来公知の方法により、該組成物を塗布、乾燥する。この乾燥により、アルコキシドおよび水溶性高分子(組成物が、シランカップリング剤を含む場合は、シランカップリング剤も)の重縮合反応がさらに進行し、複合ポリマーの層が形成される。最後に、加熱することにより、ガスバリア性塗布膜を形成することができる。
【0092】
(包装容器)
本発明の包装容器は、上記した積層体からなることを特徴とする。
【0093】
本発明の包装容器の具体例としては、ラミネートチューブ、包装袋および蓋材などを挙げることができる。
【0094】
(ラミネートチューブ)
一実施形態において、本発明の包装容器は、ラミネートチューブ40である。
以下、本発明のラミネートチューブ40について図面を参照しながら説明する。図6はラミネートチューブ40の構成を簡略的に示す図であり、図7は、図6のa-a断面図である。図6に示すように、ラミネートチューブ40は、頭部42と、胴部43とを備えるラミネートチューブ本体41を備え、該胴部43が上記積層体30により構成されていることを特徴とする。
【0095】
(頭部)
頭部42は、胴部43の一端と連接した肩部44と、肩部44に連接した抽出口部45とを備える。
また、一実施形態において、注出口部45は、キャップ46を螺合するための螺条47を備える。
【0096】
一実施形態において、頭部42は、ポリエチレン樹脂により構成され、これにより、ラミネートチューブのリサイクル適性を向上することができる。ポリエチレン樹脂としては、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂および超低密度ポリエチレン樹脂を使用することができる。
これらの中でも、保型性という観点からは、高密度ポリエチレン樹脂が好ましい。
また、ポリエチレン樹脂として、バイオマス由来のポリエチレン樹脂やメカニカルリサイクルまたはケミカルリサイクルによりリサイクルされたポリエチレン樹脂を使用することができる。
本発明の特定を損なわない範囲において、頭部42は上記添加剤を含んでいてもよい。
【0097】
頭部42の製造方法は特に限定されず、従来公知の方法により製造することができる。例えば、頭部42は、圧縮成形法(コンプレッション成形法)や射出成形法(インジェクション成形法)により製造すると共に、胴部と接合させることができる。
【0098】
圧縮成形法(コンプレッション成形法)を利用して、ラミネートチューブ40を製造する場合、上部に凸部を有する雄型に胴部43を装着した後、雄型と雌型を対向させ、雌雄内に、溶融したポリエチレン樹脂などの材料を供給し、圧縮成形して頭部42を成形すると共に胴部43の一方の開口に接合させることにより、頭部42と胴部43とからなるラミネートチューブ40を製造することができる。
また、射出成形法(インジェクション成形法)を用いてラミネートチューブ40を製造する場合、上部に凸部を有する雄型に胴部43を装着した後、雄型と雌型を対向させ、ゲートから溶融したポリエチレン樹脂などの材料を供給し、射出成形して頭部42を成形すると共に胴部43の一方の開口に接合させることにより、頭部42と胴部43とからなるラミネートチューブを製造することができる。
【0099】
(胴部)
本発明のラミネートチューブ本体41において、胴部43は、頭部42の肩部44に連接されている。
胴部43は、上記積層体30を筒状に丸め、第1のシーラント層31と、第2のシーラント層32とを重ね合わせると共に、重合した部分をヒートシールすることにより形成される溶着部48を形成することにより得ることができる。
また、胴部43は、丸めた積層体30の開口部をヒートシールすることにより形成された底シール部49を備える。
【0100】
ヒートシールする方法としては、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール、火炎シールなどの従来公知の方法で行うことができる。
【0101】
(キャップ)
ラミネートチューブ40は、キャップ46を備えることができる。
キャップは、頭部の抽出口部に着脱可能に装着し、抽出口部を閉鎖する役割を担う。
キャップは、熱可塑性樹脂により構成される。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリエステル、セルロース樹脂およびビニル樹脂などが挙げられるが、リサイクル性という観点からはポリエチレン樹脂が特に好ましい。
また、本発明の特性を損なわない範囲において、キャップ46は、上記添加剤を含むこともできる。
【0102】
キャップは、図6に示すように、抽出口部45が有する螺条47に螺合するように、キャップ46内面に凹溝を有するスクリュータイプのものであってもよく、また、抽出口部47に打栓することにより嵌合される打栓タイプであってもよい。
【0103】
一実施形態において、本発明の包装容器は、包装袋である。
包装袋として、例えば、スタンディングパウチ型、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型などの種々の形態の包装袋が挙げられる。
【0104】
一実施形態において、本発明の包装容器は、図8に示すように、2枚の積層体を貼り合わせた包装袋50である(斜線部分はヒートシールされた箇所)。
【0105】
図8に示すような形態の包装袋50は、積層体30を2枚準備し、この積層体30を第1のシーラント層31が向かい合うように重ね合わせ、3辺をヒートシールすることにより、作製することができる。
【0106】
一実施形態において、本発明の包装容器は、図9に示すように、スタンディングパウチ型の包装袋60(以下、単に、スタンディングパウチ60という)であり、スタンディングパウチ60は、胴部61と、底部62とを備える。
スタンディングパウチ60の胴部61は、積層体30からなる。
また、底部62も、積層体30からなるものであってもよい。このような構成とすることにより、スタンディングパウチ60のガスバリア性をより向上することができる。
【0107】
胴部61は、基材、積層体30が備える第1のシーラント層31が最内層となるように製袋することにより、形成できる。
他の実施形態において、まず、積層体30を2枚準備し、これらを第1のシーラント層31が向かい合うようにして重ね合わせる。次いで、重ね合わせ合わせた積層体30の両端から、第1のシーラント層31が外側となるように、V字状に折った2枚の積層体30を挿入し、ヒートシールすることにより、スタンディングパウチ60の胴部61を形成することができる。このような作製方法によれば、側部ガセット付きの胴部を有するスタンドパウチ60とすることができる。
また、底部62は、製袋された胴部61の間に積層体30を挿入し、ヒートシールすることにより形成することができる。より具体的には、積層体30を、第1のシーラント層31が外側となるように、V字状に折り、製袋された胴部61の間に挿入し、ヒートシールすることにより形成することができる。
【0108】
また、包装容器は、図8に示すように、易開封手段71を備えていてもよい。
易開封手段71としては、例えば、図8に示すように、引き裂きの起点となるノッチ部72や、引き裂く際の経路として、レーザー加工やカッターなどにより形成されたハーフカット線73などが挙げられる。
【0109】
また、包装容器は、図9に示すように、蒸気抜き機構80を備えていてもよい。蒸気抜き機構80は、包装容器内の蒸気圧力が所定値以上となった際に、包装容器内部と外部とを連通させ、蒸気を逃がすと共に、蒸気抜き機構80以外の箇所において蒸気が抜けることを抑制するように構成されている。
蒸気抜き機構80は、側部シール部から包装容器の内側に向かって突出した蒸気抜きシール部80aと、蒸気抜きシール部80aによって、内容物収容部から隔離された非シール部80bとを備える。
非シール部80bは、包装容易の外部に連通している。電子レンジなどにより、内容物が充填され、開口部がヒートシールされた包装容器を加熱することにより、内部の圧力が高まり、蒸気シール部80aが剥離する。蒸気は、蒸気シール80a剥離箇所および非シール部70bを通り、包装容器外部へ抜ける。
【実施例
【0110】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例において使用した材料は以下の通りである。
・ポリエチレン樹脂A:Dow Chemical社製、ELITE5538G、MDPE、密度0.941g/cm、融点129℃、MFR1.3g/10min
・ポリエチレン樹脂B:Dow Chemical社製、ELITE5960G、HDPE、密度0.962g/cm、融点134℃、MFR0.85g/10min
・ポリエチレン樹脂C:プライムポリマー社製、SP2520、m-C6-LLDPE、密度0.925g/cm、融点122℃、MFR1.9g/10min
・ポリエチレン樹脂D:Dow Chemical社製、Affinity PL1880G、m-C8-LLDPE、密度0.902g/cm、融点99℃、MFR1.0g/10min
・オレフィン系エラストマー樹脂A:Dow Chemical社製、INFUSE9100、オレフィン系ブロックコポリマー(ポリエチレンをハードブロックとして、α―オレフィン系エラストマー樹脂をソフトブロックとして備える)、密度0.877g/cm、融点120℃、MFR1.0g/10min
・オレフィン系エラストマー樹脂B:三井化学社製、タフマーA-4085S、α-オレフィンコポリマー、密度0.885g/cm、融点66℃、MFR3.6g/10min
【0111】
実施例1-1
ポリエチレン樹脂Aとオレフィン系エラストマー樹脂Aとの混合物(配合比8:2(質量基準))、およびポリエチレン樹脂Aを、インフレーション法により、2層共押出製膜し、次いで、長手(MD)方向に5倍延伸し、ポリエチレン樹脂Aとオレフィン系エラストマー樹脂との混合物により構成される第1のポリエチレン樹脂層11と、ポリエチレン樹脂Aにより構成される第2のポリエチレン樹脂層12と、を備える蒸着膜形成用基材10を作製した。
蒸着膜形成用基材10において、第1のポリエチレン樹脂層11の厚さは2μm、第2のポリエチレン樹脂層12の厚さは23μmであった。
【0112】
上記のようにして作製した蒸着膜形成用基材10の第1のポリエチレン樹脂層11上に、PVD法により厚さ30nmのアルミニウム蒸着膜を形成し、蒸着基材20を作製した。
形成された蒸着膜の光学濃度(OD値)を測定したところ、3.0であった。
【0113】
実施例1-2~1-5および比較例1-1
第1のポリエチレン樹脂層11の構成を、表1に示すように変更した以外は、実施例1-1と同様にして、蒸着膜形成用基材10および蒸着基材20を作製した。
【0114】
<<ラミネート強度評価>>
ポリエチレン樹脂Cをインフレーション法により、単層押出製膜し、厚さ100μmの未延伸ポリエチレン樹脂フィルムを得た。
この未延伸ポリエチレン樹脂フィルムを、第1のシーラント層31として、上記実施例1-1~1-5および比較例1-1において得られた蒸着基材20が備える蒸着膜21上に、2液硬化型ウレタン系接着剤(ロックペイント社製、RU-004/H-1)を介して積層体し、積層体30を作製した。
【0115】
上記のようにして作製した積層体30を、15mm巾の短冊状にカットし、試験片とした。
この試験片における蒸着膜21と第1のポリエチレン樹脂層11との間の剥離力を引張試験器((株)オリエンテック製、テンシロン万能材料試験器)を用いて、JIS K 6854-2に準拠して、測定した。測定結果を表1に示す。
なお、剥離速度は50mm/min、剥離角度は180°とした。
【0116】
実施例2-1
ポリエチレン樹脂Aとオレフィン系エラストマー樹脂Aとの混合物(配合比8:2(質量基準))、ポリエチレン樹脂Aおよびポリエチレン樹脂Aとオレフィン系エラストマー樹脂Aとの混合物(配合比8:2(質量基準)を、インフレーション法により、3層共押出製膜し、次いで、長手(MD)方向に5倍延伸し、ポリエチレン樹脂Aとオレフィン系エラストマー樹脂との混合物により構成される第1のポリエチレン樹脂層11と、ポリエチレン樹脂Aにより構成される第2のポリエチレン樹脂層12と、ポリエチレン樹脂Aとオレフィン系エラストマー樹脂との混合物により構成される第3のポリエチレン樹脂層13と、を備える蒸着膜形成用基材10を作製した。
蒸着膜形成用基材10において、第1のポリエチレン樹脂層11の厚さは2μm、第2のポリエチレン樹脂層12の厚さは21μm、第3のポリエチレン樹脂層13の厚さは2μmであった。
【0117】
上記のようにして作製した蒸着膜形成用基材10の第1のポリエチレン樹脂層11上に、PVD法により厚さ30nmのアルミニウム蒸着膜を形成し、蒸着基材20を作製した。
形成された蒸着膜の光学濃度(OD値)を測定したところ、3.0であった。
【0118】
実施例2-2~2-5および比較例2-1
第1のポリエチレン樹脂層11および第3のポリエチレン樹脂層13の構成を、表2に示すように変更した以外は、実施例2-1と同様にして、蒸着膜形成用基材10および蒸着基材20を作製した。
【0119】
<<ラミネート強度評価>>
ポリエチレン樹脂Cをインフレーション法により、単層押出製膜し、厚さ100μmの未延伸ポリエチレン樹脂フィルムを得た。
この未延伸ポリエチレン樹脂フィルムを、第1のシーラント層31として、上記実施例2-1~2-5および比較例2-1において得られた蒸着基材20が備える蒸着膜21上に、2液硬化型ウレタン系接着剤(ロックペイント社製、RU-004/H-1)を介して積層体し、積層体30を作製した。
【0120】
上記のようにして作製した積層体30を、15mm巾の短冊状にカットし、試験片とした。
この試験片における蒸着膜21と第1のポリエチレン樹脂層11との間の剥離力を引張試験器((株)オリエンテック製、テンシロン万能材料試験器)を用いて、JIS K 6854-2に準拠して、測定した。測定結果を表2に示す。
なお、剥離速度は50mm/min、剥離角度は180°とした。
【0121】
実施例3-1
ポリエチレン樹脂Aとオレフィン系エラストマー樹脂Aとの混合物(配合比8:2(質量基準))を、インフレーション法により、単層押出製膜し、次いで、長手(MD)方向に5倍延伸し、ポリエチレン樹脂Aとオレフィン系エラストマー樹脂Aとの混合物により構成される第1のポリエチレン樹脂層11からなる蒸着膜形成用基材10を作製した。
蒸着膜形成用基材10において、第1のポリエチレン樹脂層11の厚さは25μmであった。
【0122】
上記のようにして作製した蒸着膜形成用基材10の第1のポリエチレン樹脂層11上に、PVD法により厚さ30nmのアルミニウム蒸着膜を形成し、蒸着基材20を作製した。
【0123】
実施例3-2~3-5および比較例3-1
第1のポリエチレン樹脂層11の構成を、表3に示すように変更した以外は、実施例3-1と同様にして、蒸着膜形成用基材10および蒸着基材20を作製した。
【0124】
<<ラミネート強度評価>>
ポリエチレン樹脂Cをインフレーション法により、単層押出製膜し、厚さ100μmの未延伸ポリエチレン樹脂フィルムを得た。
この未延伸ポリエチレン樹脂フィルムを、第1のシーラント層31として、上記実施例3-1~3-5および比較例3-1において得られた蒸着基材20が備える蒸着膜21上に、2液硬化型ウレタン系接着剤(ロックペイント社製、RU-004/H-1)を介して積層体し、積層体30を作製した。
【0125】
上記のようにして作製した積層体30を、15mm巾の短冊状にカットし、試験片とした。
この試験片における蒸着膜21と第1のポリエチレン樹脂層11との間の剥離力を引張試験器((株)オリエンテック製、テンシロン万能材料試験器)を用いて、JIS K 6854-2に準拠して、測定した。測定結果を表3に示す。
なお、剥離速度は50mm/min、剥離角度は180°とした。
【0126】
実施例4-1
ポリエチレン樹脂Aとオレフィン系エラストマー樹脂Aとの混合物(配合比8:2(質量基準))、ポリエチレン樹脂Aおよびポリエチレン樹脂Dを、インフレーション法により、ポリエチレン樹脂Aとオレフィン系エラストマー樹脂Aとの混合物から構成される層(外層)と、ポリエチレン樹脂Aから構成される層(中間層)と、ポリエチレン樹脂Cから構成される層(内層)と、からなる3層のチューブ状となるように、共押出し、
次いで、内層である、ポリエチレン樹脂Dから構成される層同士を、これをゴムロールにより、圧着し、ポリエチレン樹脂Aとオレフィン系エラストマー樹脂Aとの混合物から構成される第1のポリエチレン樹脂層11、ポリエチレン樹脂Aから構成される第2のポリエチレン樹脂層12、ポリエチレン樹脂Dから構成される第3のポリエチレン樹脂層13、ポリエチレン樹脂Aから構成される第4のポリエチレン樹脂層14およびポリエチレン樹脂Aとオレフィン系エラストマー樹脂Aとの混合物から構成される第5のポリエチレン樹脂層15、を備える5層構造のフィルムを得た。
このフィルムを長手(MD)方向に5倍延伸し、蒸着膜形成用基材10を作製した。
蒸着膜形成用基材10において、第1のポリエチレン樹脂層11の厚さは2μm、第2のポリエチレン樹脂層12の厚さは9.3μm、第3のポリエチレン樹脂13の厚さは2.4μm、第4のポリエチレン樹脂層14の厚さは9.3μm、第5のポリエチレン樹脂15の厚さは2μmであった。
【0127】
上記のようにして作製した蒸着膜形成用基材10の第1のポリエチレン樹脂層11上に、PVD法により厚さ30nmのアルミニウム蒸着膜を形成し、蒸着基材20を作製した。
形成された蒸着膜の光学濃度(OD値)を測定したところ、3.0であった。
【0128】
実施例4-2~4-5および比較例4-1
第1のポリエチレン樹脂層11および第5のポリエチレン樹脂層15の構成を、表4に示すように変更した以外は、実施例4-1と同様にして、蒸着膜形成用基材10および蒸着基材20を作製した。
【0129】
<<ラミネート強度評価>>
ポリエチレン樹脂Cをインフレーション法により、単層押出製膜し、厚さ100μmの未延伸ポリエチレン樹脂フィルムを得た。
この未延伸ポリエチレン樹脂フィルムを、第1のシーラント層31として、上記実施例4-1~4-4および比較例4-1~4-2において得られた蒸着基材20が備える蒸着膜21上に、2液硬化型ウレタン系接着剤(ロックペイント社製、RU-004/H-1)を介して積層体し、積層体30を作製した。
【0130】
上記のようにして作製した積層体30を、15mm巾の短冊状にカットし、試験片とした。
この試験片における蒸着膜21と第1のポリエチレン樹脂層11との間の剥離力を引張試験器((株)オリエンテック製、テンシロン万能材料試験器)を用いて、JIS K 6854-2に準拠して、測定した。測定結果を表4に示す。
なお、剥離速度は50mm/min、剥離角度は180°とした。
【0131】
【表1】
【0132】
【表2】
【0133】
【表3】
【0134】
【表4】
【符号の説明】
【0135】
10:蒸着膜形成用基材、11:第1のポリエチレン樹脂層、12:第2のポリエチレン樹脂層、13:第3のポリエチレン樹脂層、14:第4のポリエチレン樹脂層、15:第5のポリエチレン樹脂層、20:蒸着基材、21:蒸着膜、30:積層体、31第1のシーラント層、32:第2のシーラント層、40:ラミネートチューブ、41:ラミネートチューブ本体、42:頭部、43:胴部、44:肩部、45:注出口部、46:キャップ、47:螺条、48:溶接部、49:底シール部、50:包装袋、60:スタンディングパウチ、61:胴部、62:底部、71:易開封手段、72:ノッチ部、73:ハーフカット線、80:蒸気抜き機構、80a:蒸気抜きシール部、80b:非シール部、
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図9