(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 15/04 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
B41J15/04
(21)【出願番号】P 2020219184
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅井 翔
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄士
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 将太郎
(72)【発明者】
【氏名】池本 友亮
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 武彦
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-181764(JP,A)
【文献】特開2018-039217(JP,A)
【文献】特開平04-007217(JP,A)
【文献】登録実用新案第3127005(JP,U)
【文献】特開昭59-128147(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0033554(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フレームと、
前記第1フレームに固定され、被印刷媒体を巻回したロールを収容する収容空間を構成する第2フレームと、
前記第2フレームに支持され、前記ロールのうち軸心に沿う第1方向における端面を支持する一対の支持部であって、少なくとも一方が前記第1方向に移動可能に前記第2フレームに支持される一対の支持部と、
前記第1フレームに設けられ、前記支持部に設けられた接触部が接触しながら摺動可能な案内部と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記一対の支持部は、
第1支持部及び第2支持部を含み、
前記第2フレームは、
前記第1方向にそれぞれ延設された第1溝及び第2溝を備え、
第1支持部は、
前記第1溝に移動可能に係合する第1ガイド部と、
前記第1ガイド部から前記第1方向の一方側に延びる第1ラックギヤが形成された第1ラック部材と、
を有し、
第2支持部は、
前記第2溝に移動可能に係合する第2ガイド部と、
前記第2ガイド部から前記第1方向の他方側に延びる第2ラックギヤが形成された第2ラック部材と、
を有し、
前記印刷装置は、さらに、
前記第2フレームに設けられ、前記第1ラックギヤ及び前記第2ラックギヤと噛合するピニオンギヤを備え、
前記接触部は、
前記第1ガイド部及び前記第2ガイド部のうち、前記第1フレームと対向する部位にそれぞれ設けられる
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記接触部は、さらに、
前記第1支持部及び前記第2支持部の前記第1方向への倒れを抑止する第1接触部であって、前記第1ガイド部及び前記第2ガイド部における所定の第1位置にそれぞれ設けられた第1接触部を有する
ことを特徴とする請求項2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記接触部は、さらに、
前記第1支持部及び前記第2支持部の前記第1方向と直交する第2方向の倒れを抑止する第2接触部であって、前記第1ガイド部及び前記第2ガイド部における前記第1位置とは異なる第2位置にそれぞれ設けられた第2接触部を有する
ことを特徴とする請求項3記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第1フレームは、
略矩形平板状の第1保持板部を有し、
前記第2フレームは、
前記第1溝及び前記第2溝が形成された略矩形平板状の第2保持板部を有し、
前記第1ラック部材、前記第2ラック部材、及び前記ピニオンギヤは、
前記第1保持板部と前記第2保持板部との間に挟まれるように配置されており、
前記第1保持板部及び前記第2保持板部は、
それぞれの前記第1方向における両側の端部であってかつ前記第1方向に直交する第2方向における両側の端部となる四隅部において、第1締結部材により固定されることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第2保持板部は、
略中央位置に、前記ピニオンギヤが挿入されて回転可能に支持する支持軸部を有し、
前記第1保持板部は、
第2締結部材により前記支持軸部に固定される
ことを特徴とする請求項5記載の印刷装置。
【請求項7】
前記第1保持板部は、
少なくとも1つの位置決め孔を有し、
前記第2保持板部は、
前記位置決め孔に挿入されて嵌合する少なくとも1つのボスを有する
ことを特徴とする請求項5又は請求項6記載の印刷装置。
【請求項8】
前記案内部は、
前記接触部が接触する側の表面に摩擦抵抗低減処理がなされた部材である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の印刷装置。
【請求項9】
前記第1フレームは、
繊維強化樹脂材料により形成されており、
前記第2フレームは、
繊維強化樹脂材料ではない普通樹脂材料により形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被印刷媒体が巻回されたロールを内部に保持し、ロールから被印刷媒体を繰り出して印刷を行う印刷装置が知られている。例えば特許文献1には、ロールを支持する一対の支持部が設けられた印刷装置が記載されている。一対の支持部は、ホルダの固定部に設けられた溝に支持されており、当該溝に沿って移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の印刷装置では、ユーザが一対の支持部を移動させるときに、例えば過度な力を加えた場合、固定部が僅かに変形して、一対の支持部の移動の負荷抵抗が大きくなるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、支持部を滑らかに移動させることができる印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、第1フレームと、前記第1フレームに固定され、被印刷媒体を巻回したロールを収容する収容空間を構成する第2フレームと、前記第2フレームに支持され、前記ロールのうち軸心に沿う第1方向における端面を支持する一対の支持部であって、少なくとも一方が前記第1方向に移動可能に前記第2フレームに支持される一対の支持部と、前記第1フレームに設けられ、前記支持部に設けられた接触部が接触しながら摺動可能な案内部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本願発明においては、第2フレームの収容空間に収容されたロールの第1方向の両側端面が、第2フレームに支持された一対の支持部によって支持される。一対の支持部のうち少なくとも一方は、第1方向に移動可能に支持される。移動する支持部には接触部が設けられ、第1フレームには案内部が設けられる。案内部は、接触部を接触させつつ摺動させることで、接触部が設けられた支持部の移動を案内する。
【0008】
本願発明においては、第2フレームに支持される一対の支持部に接触部が設けられており、その接触部が、第1フレームに設けられた案内部に接触して摺動しながら案内される。すなわち、一対の支持部は、第2フレームに支持されるだけでなく、第1フレームによっても支持される。これにより、ユーザが手動で支持部を移動させるときに誤って過度な力が支持部に加えられた場合であっても、第2フレームの変形が抑制される。この結果、支持部を滑らかに移動させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、支持部を滑らかに移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】開閉カバーを開放した状態の印刷装置の全体構成を表す、上側右前方からの斜視図である。
【
図2】開閉カバーを開放した状態の印刷装置の全体構成を表す、上側右後方からの斜視図である。
【
図3】開閉カバーを閉じた状態の印刷装置の断面構成を表す断面図である。
【
図4】第1支持部及び調節機構の構成を表す、左側からの側面図である。
【
図5】第1支持部、第2支持部、及び調節機構の構成を表す、前側からの斜視図である。
【
図6】第2支持部及び調節機構の構成を表す、右側からの側面図である。
【
図7】第1ベース部及び第1ラック部材の構成を表す、第2フレーム側からの平面図である。
【
図8】第1ベース部及び第1ラック部材の構成を表す、第1フレーム側からの平面図である。
【
図9】第1フレームの第2フレームの固定構造を表す、分解斜視図である。
【
図10】第1フレームと第2フレームを固定した状態を表す斜視図である。
【
図11】第1フレームの案内部の構造を表す、上側右後方からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。印刷装置1は、信号ケーブルを介して外部端末(図示省略)に接続される。印刷装置1は、外部端末から受信した印刷データに基づいて、被印刷媒体に文字、図形等のキャラクタを印刷する。外部端末は、例えば汎用のパーソナルコンピュータ(PC)である。印刷装置1は、電池駆動が可能である。印刷装置1は、例えばベルトクリップ(図示略)を介して腰ベルトに装着されることによって、作業中のユーザに携帯されて使用される。
図1の右下側、左上側、右上側、左下側、上側、及び下側を、それぞれ、印刷装置1の右側、左側、後側、前側、上側、及び下側と定義する。なお、左右方向は第1方向の一例であり、上下方向は第2方向の一例である。
【0012】
<1.印刷装置の全体構成>
図1及び
図2に、開閉カバーを開放した状態の印刷装置の全体構成を示す。
図3に、開閉カバーを閉じた状態の印刷装置の断面構成を示す。
【0013】
図1~
図3に示すように、印刷装置1は、本体部3及び開閉カバー5を備える。本体部3及び開閉カバー5は、例えば合成樹脂で形成される。本体部3は、略直方体の形状であり、底部7及び前覆部9を有する。底部7は、印刷装置1の内部領域を下側から覆う。前覆部9は、印刷装置1の内部領域のうち前側略半分を上側から覆う。底部7のうち後側略半分の部分に、収容部11が設けられる。収容部11は、ロールを収容する収容空間の一例である。
図1及び
図2に示すように、収容部11の上側は、本体部3に形成された開口部13によって開口する。
【0014】
図3に示すように、収容部11には、ロール15が収容される。ロール15は、例えば複数の感熱ラベルが離散的に貼付された長尺状の台紙であるテープが筒状の芯に巻回されて構成される。テープは被印刷媒体の一例である。本体部3のうち開口部13の前端部に、切断刃17が設けられる。切断刃17は、テープのうち印刷された部分を切り離す。切断刃17の下側に、サーマルヘッド19が設けられる。サーマルヘッド19は、加熱により感熱ラベルにキャラクタを印刷する。切断刃17及びサーマルヘッド19は、それぞれ左右方向に延設される。
【0015】
図1及び
図2に示すように、本体部3のうち開口部13の左右両端部に係止部21が設けられる。各係止部21の下端部は、上端部が揺動可能なように支持される。開閉カバー5には、プラテンローラ23を回転可能に支持するプラテンホルダ35が設けられる。開閉カバー5が閉位置の場合(
図3参照)、各係止部21が開閉カバー5のプラテンローラ23の両端に設けられた軸受25に係止する。本体部3の右側面に設けられたレバー27がユーザによって押し下げられると、各係止部21の上端部が後方に揺動し、軸受25に対する係止を解除する。
【0016】
図1に示すように、開閉カバー5は、本体部3の後壁29の上端部に設けられた左右方向に延びる支持軸31により、閉位置と開位置とに亙って揺動可能に本体部3に支持される。開閉カバー5は、閉位置の場合に収容部11の上側を覆う(
図3参照)。開閉カバー5は、開位置の場合に収容部11を開放する(
図1、
図2参照)。開閉カバー5は、非図示の付勢部材によって、閉位置から開位置に揺動する向きに付勢される。
【0017】
図1~
図3に示すように、開閉カバー5の前端部にプラテンホルダ35が配置されている。プラテンホルダ35は、プラテンローラ23を回転可能に支持する。プラテンローラ23は、開閉カバー5が閉位置のときにサーマルヘッド19と対向する位置でテープを搬送する。プラテンローラ23の回転軸は左右方向に延設される。プラテンローラ23の回転軸は、プラテンローラ23の両端部の左右方向外側に配置された筒状の軸受25により回転可能に支持される。軸受25は、プラテンホルダ35に保持される。
【0018】
プラテンホルダ35は、センサホルダ37に設けられる。センサホルダ37は、開閉カバー5の前側に設けられる。即ち、プラテンホルダ35は、センサホルダ37を介して開閉カバー5に設けられる。センサホルダ37は、プラテンローラ23により搬送されるテープの有無を検出するセンサ39を支持する。センサ39は、例えば光学式の反射センサである。
【0019】
図1及び
図2に示すように、本体部3の各凹部41は、開閉カバー5を閉位置とした際に、対応する軸受25を下側から受ける。各係止部21は、開閉カバー5を閉位置とした際に、対応する軸受25に上側から係止する。これにより、開閉カバー5は閉位置に維持される。開閉カバー5が閉位置のときにレバー27が押し下げられると、各係止部21は対応する軸受25から外れる。開閉カバー5は、付勢部材の付勢力によって閉位置(
図3参照)から開位置(
図1、
図2参照)まで揺動する。
【0020】
図3に示すように、開閉カバー5が閉位置のとき、サーマルヘッド19とプラテンローラ23とは互いに近接する。プラテンローラ23は、サーマルヘッド19との間にテープが配置された場合、サーマルヘッド19に向けてテープを押し付ける。プラテンローラ23は、非図示のモータの駆動により回転することで、サーマルヘッド19にテープを押し付けながら搬送する。サーマルヘッド19により印刷されたテープは、排出口43を介して外部に排出される。
【0021】
図3に示すように、本体部3の内部の前方側の領域には、第1フレーム45が設けられる。第1フレーム45は、ガラス繊維などが含有された繊維強化樹脂材料により形成されている。本体部3の内部の後方側の領域には、第2フレーム47が設けられる。第2フレーム47は、第1フレーム45に固定され、ロール15を収容する収容部11を構成する。第2フレーム47は、繊維強化樹脂材料ではない普通樹脂材料により形成されている。したがって、第1フレーム45は、第2フレーム47よりも剛性が高い。第1フレーム45は、制御基板、通信基板、電源基板、モータ、サーマルヘッド19が保持されるヘッドホルダ等を支持する。
【0022】
図2に示すように、第2フレーム47は、収容部11の前側に略矩形平板状の第2保持板部49を有する。収容部11には、一対の支持部51,53が設けられる。一対の支持部51,53は、第1支持部51と、第2支持部53を含む。一対の支持部51,53は、第2フレーム47に支持され、ロール15のうち左右方向における端面を支持する。即ち、ロール15は、軸心方向が左右方向を向いた姿勢で、一対の支持部51,53により回転可能に支持される。一対の支持部51,53は、調節機構63(
図4、
図5、
図6参照)により両方が左右方向に移動可能に第2フレーム47により支持される。
【0023】
第2保持板部49は、収容部11の下端部から前側に向けて斜め上側に延びる。第2保持板部49は、左右方向にそれぞれ延びる第1溝55及び第2溝57を有する。溝55,57は左右方向に直線状に並び、左右方向に離隔する。第1溝55は、第2溝57の左側に配置される。
【0024】
収容部11は、第2保持板部49の後側の下端部に、係合部59,61を有する。係合部59,61は、それぞれ、左右方向に配列され且つそれぞれが前後方向に延びる複数の歯を有する。係合部59,61は左右方向に一直線状に並び、左右方向に離隔する。係合部59は、係合部61の左側に配置される。
【0025】
<2.支持部、調節機構の構成>
図4~
図8に、一対の支持部51,53及び調節機構63の構成を示す。
図4~
図8では、
図1~
図3に示す印刷装置1の各方向を支持部51,53及び調節機構63に適用する。
【0026】
図4~
図6に示すように、一対の支持部51,53は、互いに左右対称の構造である。
図4に示すように、第1支持部51は、本体部65、延伸部67、及び、突出部69を有する。
図6に示すように、第2支持部53は、本体部71、延伸部73、及び、突出部75を有する。
【0027】
図5に示すように、第1支持部51の本体部65は、右側の側面に回転板77を有する。
図1及び
図2に示すように、回転板77は円形板状である。回転板77の平面は、左右方向と直交する。回転板77の中心には孔79が形成され、
図1及び
図2に示すようにネジ81が挿通される。回転板77の右側の接触面は、ロール15の左側の端面に接触し、ロール15を回転可能に保持する。
【0028】
図4に示すように、延伸部67は、本体部65の前端部のうち上下方向略中央よりも下側の部分から、前斜め下側に向けて延びる。突出部69は、延伸部67の前斜め下側の端部から、前斜め下側に向けて突出する。突出部69は、第2保持板部49に設けられた第1溝55に後側から挿通し、第2保持板部49よりも前側に突出する。突出部69は、第1溝55に対し、上下方向の移動は規制されつつ左右方向に移動可能に係合する。
【0029】
図5に示すように、第2支持部53の本体部71は、左側の側面に回転板83を有する。回転板77と同様に、回転板83は円形板状である。回転板83の平面は、左右方向と直交する。回転板83の中心には孔85が形成され、非図示のネジが挿通される。回転板83の左側の接触面は、ロール15の右側の端面に接触し、ロール15を回転可能に保持する。
【0030】
図6に示すように、延伸部73は、本体部71の前端部のうち上下方向略中央よりも下側の部分から、前斜め下側に向けて延びる。突出部75は、延伸部73の前斜め下側の端部から、前斜め下側に向けて突出する。突出部75は、第2保持板部49に設けられた第2溝57に後側から挿通し、第2保持板部49よりも前側に突出する。突出部75は、第2溝57に対し、上下方向の移動は規制されつつ左右方向に移動可能に係合する。
【0031】
調節機構63は、一対の支持部51,53を連動して左右方向に移動させる。調節機構63は、第2保持板部49の前側に配置される。
図5に示すように、第1支持部51は、第1ベース部87と、第1ラック部材89とを有する。第1ベース部87は、突出部69の下端にネジ91により固定される。突出部69と第1ベース部87が第1ガイド部の一例である。第1ラック部材89は、第1ベース部87から下方向にオフセットした位置で右方向に延び、上側に第1ラックギヤ93が形成される。第2支持部53は、第2ベース部95と、第2ラック部材97とを有する。第2ベース部95は、突出部75の下端にネジ99により固定される。突出部75と第2ベース部95が第2ガイド部の一例である。第2ラック部材97は、第2ベース部95から上方向にオフセットした位置で左方向に延び、下側に第2ラックギヤ101(
図11参照)が形成される。
【0032】
第1ラックギヤ93と第2ラックギヤ101は、ピニオンギヤ103に噛合する。ピニオンギヤ103は、中央に貫通孔が設けられる。
図9に示すように、ピニオンギヤ103の貫通孔は、第2保持板部49の略中央位置に設けられた支持軸部105に挿入される。これより、ピニオンギヤ103は、支持軸部105に回転可能に支持される。このように、調節機構63は、第1ベース部87、第1ラック部材89、第2ベース部95、第2ラック部材97、及びピニオンギヤ103を有する。
【0033】
第1ラック部材89と第2ラック部材97は、それぞれ、ピニオンギヤ103の回転に伴って左右方向に移動する。これに伴い、一対の支持部51,53は、溝55,57に沿って左右方向に移動する。例えば、第1支持部51が左側に所定量移動すると、第1ベース部87、第1ラック部材89、ピニオンギヤ103、第2ラック部材97、及び、第2ベース部95を介して、第1支持部51の移動に連動して第2支持部53が右側に所定量移動する。つまり、調節機構63は、一対の支持部51,53を互いに離隔する方向(左右方向外側)に移動させる。同様に、第1支持部51が右側に所定量移動すると、第1支持部51の移動に連動して第2支持部53が左側に所定量移動する。つまり、調節機構63は、一対の支持部51,53を互いに接近する方向(左右方向内側)に移動させる。
図9に示すように、第1ラック部材89は、左右方向に架設された第1引張りバネ90により右方向に付勢される。第2ラック部材97は、左右方向に架設された第2引張りバネ98により左方向に付勢される。これによって、一対の支持部51,53は、接近する方向(左右方向内側)に付勢される。
【0034】
図7に示すように、第1ラック部材89の第2保持板部49と対向する対向面107には、右側の先端部の上下方向両側に接触部109,111が設けられる。接触部109,111はそれぞれ略長方形状の突起部として形成され、上下方向に延びる。接触部109,111は、対向面107から当該対向面107に垂直な方向に所定量だけ突出する。第1ラック部材89の接触部109,111は、第2フレーム47の第2保持板部49の前方側の表面に接触する。第1ラック部材89の対向面107は、第2フレーム47の第2保持板部49の前方側の表面には接触しない。
【0035】
図8に示すように、第1ラック部材89の第1フレーム45の第1保持板部119(
図9、
図10参照)と対向する対向面113には、接触部115,117が設けられる。接触部115は、第1ラック部材89の左端部近傍に設けられる。接触部115は略長方形状の突起部として形成され、左右方向に延びる。接触部115は、対向面113から当該対向面113に垂直な方向に所定量だけ突出する。接触部115は、第1フレーム45に接触することで、第1支持部51の左右方向への倒れを抑止する。接触部115は第1接触部の一例であり、第1ラック部材89の左端近傍は第1ガイド部における所定の第1位置の一例である。
【0036】
接触部117は、第1ベース部87の左端部に設けられる。接触部117は略長方形状の突起部として形成され、上下方向に延びる。接触部117は、対向面113から当該対向面113に垂直な方向に所定量だけ突出する。接触部117は、第1フレーム45に接触することで、第1支持部51の上下方向への倒れを抑止する。接触部117は第2接触部の一例であり、第1ベース部87の左端部は第1ガイド部における第1位置とは異なる第2位置の一例である。
【0037】
第1ラック部材89の接触部115,117は、第1フレーム45の第1保持板部119の後方側の表面に接触する。ここで、接触部115,117は、第1フレーム45に設けられる後述する案内部に接触する構成だが、便宜上、第1フレーム45の第1保持板部119の後方側の表面に接触するとして説明する。第1ラック部材89の接触部115,117以外の部位は、第1フレーム45の第1保持板部119の後方側の表面には接触しない。接触部115と接触部117は、上下方向及び左右方向のそれぞれにおいて所定距離だけオフセットするように配置されており、且つ、延設方向が互いに略直交するように形成されている。ユーザが第1支持部51を手動で左右方向に移動させる際には、第1支持部51は第1フレーム45側へ押される方向にも力を受ける。このとき、接触部115,117は、第1フレーム45の第1保持板部119の後方側の表面に接触しているので、第1支持部51は第1フレーム45により支持される。また、第1支持部51が第1フレーム45側へ押される方向に力を受けると、第1ラック部材89は、右側の端部が第1フレーム45から離れる方向、つまり、第2フレーム47の第2保持板部49に近づく方向に傾きやすくなる。このとき、接触部109,111は、第2フレーム47の第2保持板部49の前方側の表面に接触しているので、第1ラック部材89の右側の端部は、第2フレーム47により支持される。また、接触部115,117及び接触部109,111の大きさは、小さく形成されているので、接触面積を減らすことができ、第1支持部51を移動させるときの摩擦抵抗を低減することができる。
【0038】
なお、第1ラック部材89と第2ラック部材97は同等の構造であるため、第2ラック部材97については説明を省略する。
【0039】
<3.第1フレームと第2フレームの固定構造>
図9及び
図10に、第1フレーム45と第2フレーム47の固定構造を示す。
図9及び
図10では、
図1~
図3に示す印刷装置1の各方向を第1フレーム45と第2フレーム47に適用する。
【0040】
図9及び
図10に示すように、第1フレーム45は、略矩形平板状の第1保持板部119を有する。第2フレーム47は、第1溝55及び第2溝57が形成された略矩形平板状の第2保持板部49を有する。第1保持板部119と第2保持板部49は、略平行に対向して配置される。第1ラック部材89、第2ラック部材97、及びピニオンギヤ103を有する調節機構63は、第1保持板部119と第2保持板部49との間に挟まれるように配置される。第1保持板部119及び第2保持板部49は、それぞれの左右方向における両側の端部であってかつ上下方向における両側の端部となる四隅部において、4つのネジ121,123,125,127により固定される。ネジ121,123,125,127は第1締結部材の一例である。
【0041】
図9に示すように、ネジ121は、第1保持板部119の右下の隅部に形成された貫通穴129を貫通し、第2保持板部49の右下の隅部に設けられたボス131に固定される。ネジ123は、第1保持板部119の右上の隅部に形成された貫通穴133を貫通し、第2保持板部49の右上の隅部に設けられたボス135に固定される。ネジ125は、第1保持板部119の左下の隅部に形成された貫通穴137を貫通し、第2保持板部49の左下の隅部に設けられたボス139に固定される。ネジ127は、第1保持板部119の左上の隅部に形成された貫通穴141を貫通し、第2保持板部49の左上の隅部に設けられたボス143に固定される。
【0042】
図9に示すように、第2保持板部49は、略中央位置に、ピニオンギヤ103が挿入されて回転可能に支持する支持軸部105を有する。第1保持板部119は、略中央位置に形成された非図示の貫通穴を貫通したネジ145により支持軸部105に固定される。ネジ145は第2締結部材の一例である。
【0043】
図9及び
図10に示すように、第1保持板部119は、下端部に底部147を有する。底部147は、左右方向に延びる板状部材であり、第1保持板部119の下端部で屈曲して後方に突出する。底部147の左右方向の両端近傍にはそれぞれ2つの位置決め孔149,151が形成される。第2保持板部49は、下端部近傍における位置決め孔149,151に対応する位置に、下方向に突出した2つのボス153,155を有する。ボス153は、位置決め孔149に挿入されて嵌合する。ボス155は、位置決め孔151に挿入されて嵌合する。
【0044】
<4.第1フレームの案内部の構造>
図11に、第1フレーム45の案内部の構造を示す。
図11では、第2フレーム47、第1支持部51、第1ベース部87、及び第1ラック部材89等の図示を省略する。
図11では、
図1~
図3に示す印刷装置1の各方向を第1フレーム45に適用する。
【0045】
第1フレーム45の第1保持板部119の後側の表面には、4つの案内部157,159,161,163が設けられる。案内部157は、第1保持板部119の上部において、右側略半分の領域を左右方向に延びる。案内部157には、第2支持部53の第2ラック部材97の右端部近傍に設けられた接触部115が接触しながら左右方向に摺動する。案内部159は、第1保持板部119の上下方向中央部において、右側略半分の領域を左右方向に延びる。案内部159には、第2支持部53の第2ベース部95の右端部に設けられた接触部117が接触しながら左右方向に摺動する。
【0046】
案内部161は、第1保持板部119の上下方向中央部において、左側略半分の領域を左右方向に延びる。案内部161には、図示を省略した第1支持部51の第1ベース部87の左端部に設けられた接触部117が接触しながら左右方向に摺動する。案内部163は、第1保持板部119の下部において、左側略半分の領域を左右方向に延びる。案内部163には、図示を省略した第1支持部51の第1ラック部材89の左端部近傍に設けられた接触部115が接触しながら左右方向に摺動する。
【0047】
案内部159,161は左右方向に一直線状に並び、左右方向に離隔する。案内部159,161の間にはピニオンギヤ103が配置される。案内部157,159,161,163はそれぞれ、接触部115,117が接触する側の表面に摩擦抵抗低減処理がなされた、例えばテープ状部材である。案内部157,159,161,163は、各案内部157,159,161,163にそれぞれ対応した形状の凹部に収容される。案内部157,159,161,163の接触部115,117が接触する側の表面は、第1保持板部119の後側の表面と略面一となっている。
【0048】
<5.実施形態の効果>
以上説明した実施形態の印刷装置1においては、第2フレーム47の収容部11に収容されたロール15の左右方向の両側端面が、第2フレーム47に支持された一対の支持部51,53によって支持される。一対の支持部51,53の両方は、左右方向に移動可能に支持される。移動する支持部51,53にはそれぞれ接触部115,117が設けられ、第1フレーム45には案内部157,159,161,163が設けられる。案内部157,159,161,163は、接触部115,117を接触させつつ摺動させることで、接触部115,117が設けられた支持部51,53の移動を案内する。
【0049】
本実施形態においては、第2フレーム47に支持される一対の支持部51,53に接触部115,117が設けられており、その接触部115,117が、第1フレーム45に設けられた案内部157,159,161,163に接触して摺動しながら案内される。すなわち、一対の支持部51,53は、第2フレーム47に支持されるだけでなく、第1フレーム45によっても支持される。これにより、ユーザが手動で支持部51,53を移動させるときに誤って過度な力が支持部51,53に加えられた場合であっても、第2フレーム47の変形が抑制される。この結果、支持部51,53を滑らかに移動させることができる。
【0050】
また、本実施形態では特に、第2フレーム47に設けられたピニオンギヤ103が、第1ラック部材89及び第2ラック部材97の第1ラックギヤ93及び第2ラックギヤ101にそれぞれ噛合する。これにより、第1ラック部材89及び第2ラック部材97は、ピニオンギヤ103の回転を介して、互いに連動して左右方向に沿って移動する。移動の際には、支持部51,53の突出部69,75が、第2フレーム47に設けられた第1溝55及び第2溝57に係合して案内される。接触部115,117は、第1ベース部87及び第2ベース部95のうち第1フレーム45と対向する部位に設けられ、これら2つの接触部115,117が、第1フレーム45に設けられた案内部157,159,161,163に接触しつつ摺動して案内される。
【0051】
以上のように、本実施形態においては、ピニオンギヤ103の回転により第1ラック部材89及び第2ラック部材97が互いに連動して移動する。これにより、ユーザが一対の支持部51,53のうちいずれか一方を手動操作するだけで、一対の支持部51,53のうち他方も連動させて円滑に動かすことができる。
【0052】
また、本実施形態では特に、接触部として、第1ラック部材89の左端部近傍及び第2ラック部材97の右端部近傍に左右方向に延びる接触部115が設けられる。これにより、第1支持部51及び第2支持部53の左右方向への倒れを抑制しつつ、左右方向の一方側及び他方側へとそれぞれ円滑に移動させることができる。
【0053】
また、本実施形態では特に、接触部として、第1ベース部87の左端部及び第2ベース部95の右端部に上下方向に延びる接触部117が設けられる。これにより、第1支持部51及び第2支持部53の上下方向への倒れを抑制しつつ、左右方向の一方側及び他方側へとそれぞれ円滑に移動させることができる。
【0054】
また、本実施形態では特に、第1フレーム45及び第2フレーム47に、それぞれ略矩形平板状の第1保持板部119及び第2保持板部49が備えられている。第1ラック部材89、第2ラック部材97、及びピニオンギヤ103は、それら第1保持板部119と第2保持板部49との間に挟まれるように配置されている。第1フレーム45及び第2フレーム47は、第1保持板部119と第2保持板部49とがネジ121,123,125,127を介し締結されることで、固定される。本実施形態によれば、上記のようにして堅固に固定され一体化された第1フレーム45及び第2フレーム47によって、一対の支持部51,53を支持することができる。
【0055】
また、本実施形態では特に、第2保持板部49の略中央位置に支持軸部105が設けられ、第1保持板部119がネジ145による締結を介し、支持軸部105に固定される。これにより、第1保持板部119のうち、ネジ121,123,125,127により固定される第1保持板部119の四隅から離れた中央部分を、第2保持板部49側へと堅固に固定することができる。
【0056】
また、本実施形態では特に、案内部157,159,161,163のうち接触部115,117への接触側表面に摩擦抵抗低減処理がなされている。これにより、接触部115,117が案内部157,159,161,163へ接触して摺動するときの摩擦抵抗を低減し、支持部51,53の移動の円滑化を図ることができる。
【0057】
また、本実施形態では特に、一対の支持部51,53は、普通樹脂材料により形成された第2フレーム47に支持されるだけでなく、繊維強化樹脂材料によって形成された第1フレーム45によっても支持される。これにより、支持部51,53の移動時に過度な力が支持部51,53に加えられた場合であっても第2フレーム47の変形が抑制され、支持部51,53を滑らかに移動させることができる。
【0058】
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0059】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0060】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0061】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0062】
1 印刷装置
11 収容部(収容空間)
15 ロール
45 第1フレーム
47 第2フレーム
49 第2保持板部
51 第1支持部(一対の支持部)
53 第2支持部(一対の支持部)
55 第1溝
57 第2溝
69 突出部(第1ガイド部)
75 突出部(第2ガイド部)
87 第1ベース部(第1ガイド部)
89 第1ラック部材
93 第1ラックギヤ
95 第2ベース部(第2ガイド部)
97 第2ラック部材
101 第2ラックギヤ
103 ピニオンギヤ
105 支持軸部
115 接触部(第1接触部)
117 接触部(第2接触部)
119 第1保持板部
121 ネジ(第1締結部材)
123 ネジ(第1締結部材)
125 ネジ(第1締結部材)
127 ネジ(第1締結部材)
145 ネジ(第2締結部材)
149 位置決め孔
151 位置決め孔
153 ボス
155 ボス
157 案内部
159 案内部
161 案内部
163 案内部